「人口戦略会議」はこのほど、和歌山県内の23市町が「最終的には消滅する可能性がある」との分析結果を公表した。本紙エリアである新宮市と東牟婁郡の自治体では、北山村のみを除いた5市町が含まれており、人口減少に伴う存続の危機があらためて浮き彫りとなった。それぞれの自治体で対策は行われているが今後はさらに、効果が発揮できるかが問われることになる。
人口戦略会議は、民間の有識者グループで構成。国立社会保障・人口問題研究所の推計を基に20代から30代の女性の数を示す「若年女性人口」の減少率を分析して公表した。2050年までに若年女性人口の減少率が50%以上となる自治体を「消滅可能性自治体」とした。新宮・東牟婁の6市町村の若年女性人口とその減少率は別表の通り。
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■各市町村の取り組み
10年前の14年に行われた調査では消滅可能性自治体に入っていた北山村は、今回の調査で新宮・東牟婁で唯一、脱却を果たした。この理由について同村の担当課は「特にぱっとは思いつかないが、空き家改修の補助をやっていたり、医療費を高校卒業まで無料にしていたり、保育所の保育料や小中学校の給食費を無料にしていたりするからでは。最近始めたわけではなくずっと以前からなので、これらが影響したのかもしれない。ここ10年で子育て世帯が何世帯か入ってくれてはいる」と明かした。
新宮市は、高校卒業までの医療費や、市立小中学校の給食費の無料化を実施。那智勝浦町も同様に、高校卒業までの医療費や、町立小中学校の給食費を無料化している。移住定住の促進についても、空き家改修への補助を用意している。太地町も、高校卒業までの医療費、町立小中学校の給食費を無料化。変わったところでは、高校生などの通学定期の補助もある。
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■結婚支援の町も
対策が「子育て支援策」にとどまる自治体がほとんどの中で、三重県紀宝町はそれ以前の「結婚支援策」として婚活イベントを実施している。和歌山県側の5市町と同様に「消滅可能性自治体」ではあるが、一歩進んだ対策の実施が、今後の明暗を分けるかに注目が集まる。
(2024年5月18日付紙面より)