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松明にハナを取り付ける岩口雅典さん=15日、新宮市熊野地
無事な下山の祈り込め
岩口雅典さんが松明製作

御燈祭りに向け

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神倉神社
例大祭
大祭
 神倉神社大祭「御燈祭(おとうまつ)り」を間近に控え、新宮市熊野地にある岩口雅典さん(45)の作業場では、上(あ)がり子の松明(たいまつ)作りがピークを迎えている。仲間の協力も得て約350本の製作を予定。「上がり子の無事な下山を祈りながら作っています」と話す。

 岩口さんは、生まれも育ちも新宮市で、本職は木工職人。御燈祭りには6歳から毎年参加している。20歳から自分用の松明作りを始め、2010年ごろから販売も開始。和歌山県の名匠にも選ばれた故・上道益大さんをはじめ、他の職人が作る松明を研究し、自分なりの技術を練り上げた。

 松明は、乾燥させた5枚のヒノキ板を五角すいの形に組み合わせ、竹ひごや針金で締め上げて作る。板は製材の段階で節のあるものを除き、良材を厳選する。松明の先端に、ヒノキを薄く削った「ハナ」を100枚ほど取り付けて完成となる。種類は長さ91㌢の特大から、当日参加できない上がり子に代わり御神火をもらう31㌢の代参(だいさん)まで6種類ある。

 ヒノキ板の表面仕上げにはこだわっているという。その他にも「ハナを薄くきれいに削り出すのが難しい」「(手首に通す)取っ手をわらで編むのも大変」「代参のハナの『巻き』は作るのに苦労した」などと明かす。「しっかりと強度を持たせつつ、美しくきれいな松明を作りたい」と語る。

 毎年、10月中旬ごろから作業を開始する。本職が終わって午後5時30分ごろから、遅い時は午前4時ごろまで製作を行う。「もうけのことを考えたらできない。自分の時間を割き、体もしんどいし、家族や仲間にも迷惑をかける。しかし、祭りのためと思うとやめられない。これからも、みんなに喜んでもらえる松明作りに励んでいきたい」と述べた。

(2025年1月17日付紙面より)


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太鼓をたたいてみよう=15日、那智勝浦町立下里小学校
学校 地元の獅子舞を知ろう
下里小が下里祭典部招き
那智勝浦町
 那智勝浦町立下里小学校(堺高行校長)の3年生11人が15日、下里祭典部の太田進さん(54)と潮さん(27)親子を招き、地域の祭りと獅子舞の学習に取り組んだ。

 総合学習「魅力発見!!下里自慢」の一環。下里地域では毎年秋、下里神社、高芝区民会館(旧住吉神社)、下里天満天神社で一斉に秋祭りがあり、それぞれ下里祭典部、高芝の獅子舞保存会、天満祭典が獅子舞を奉納する。獅子舞の天狗(てんぐ)役や子ども神輿(みこし)、笛、太鼓には児童も多く参加する。

 下里祭典部で約30年太鼓をたたいてきた進さんは「下里の獅子舞は雌獅子で、優雅なのが特徴。演目は全部で九つ。花がかり、扇の舞、寝獅子、天狗の舞の四つは、獅子が蝶(ちょう)や扇で遊び疲れて寝てしまい、そこに天狗がちょっかいをかけに行って起こすという物語がある」と紹介。獅子頭や天狗の面が京都で制作されたことや、笛も一本一本音色が異なることも語った。

 子どもたちは祭り囃子(ばやし)に耳を傾け、三つの祭りの獅子舞を映像で見比べるなど、それぞれ学びを深めた。

 木下勇翔君(9)は「去年お祭りを見に行った。獅子の内側を見たり、太鼓をたたいたりして、獅子舞に興味が湧いた」と話していた。

(2025年1月17日付紙面より)

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倒壊家屋から要救助者を運び出した=15日、新宮警察署
警察 若手に訓練、教訓生かす
阪神・淡路大震災から30年
新宮警察署
 阪神・淡路震災の発生から30年が経過することから、その教訓を生かそうと新宮警察署は15日、同署敷地内で災害警備訓練を実施した。震災を知らない20代を中心に構成する、同署の機動隊員20人が参加。倒壊家屋からの救助を行い、類似災害の発生に備えた。

 地震により家屋の倒壊が発生したとの想定で訓練した。指揮を執る隊員が現地に机や通信用機材を設置し、指揮所を立ち上げ。現地の状況を警備本部へ無線などで報告できる態勢を整えた。状況を映像配信できる機器も用意した。

 現地指揮所からの指示を受け、実動の隊員が現着。倒壊家屋までの道中はあらゆる物が倒れてふさいでいるとの想定で、木材や鉄パイプが横たえてあった。隊員らは、チェーンソーやエンジンカッターなどを使ってこれらを切断して進んだ。

 木材で作ったみなし倒壊家屋の前には、鉄製の障害物や崩れた土砂に見立てた土のうが置かれていた。隊員らは呼びかけを行い、中に要救助者がいること確認。重機や人力で障害物をどかし、チェーンソーで一部を切り開いて中に入り、助け出した。

 車庫を使い、夜間を想定したみなし倒壊家屋からの救助も訓練した。照明機材を使って照らし、ヘッドライトを着けた隊員が要救助者を運んだ。いずれの訓練も、隊員同士で協力しながら取り組んでいた。

 機動隊員だった若手時代に阪神・淡路震災で現地活動を行った経験のある、湯庭大悟警備課長(51)は「教訓を無駄にしない、忘れないように訓練を実施した。訓練をしないと対応ができない。若い隊員も訓練を通じ、震災に備えてほしい。訓練を繰り返し、対応できる力を身に付けてもらえれば」と話した。

(2025年1月17日付紙面より)

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