阪神・淡路大震災の発生から30年が経過することから、その教訓を生かそうと新宮警察署は15日、同署敷地内で災害警備訓練を実施した。大震災を知らない20代を中心に構成する、同署の機動隊員20人が参加。倒壊家屋からの救助を行い、類似災害の発生に備えた。
地震により家屋の倒壊が発生したとの想定で訓練した。指揮を執る隊員が現地に机や通信用機材を設置し、指揮所を立ち上げ。現地の状況を警備本部へ無線などで報告できる態勢を整えた。状況を映像配信できる機器も用意した。
現地指揮所からの指示を受け、実動の隊員が現着。倒壊家屋までの道中はあらゆる物が倒れてふさいでいるとの想定で、木材や鉄パイプが横たえてあった。隊員らは、チェーンソーやエンジンカッターなどを使ってこれらを切断して進んだ。
木材で作ったみなし倒壊家屋の前には、鉄製の障害物や崩れた土砂に見立てた土のうが置かれていた。隊員らは呼びかけを行い、中に要救助者がいること確認。重機や人力で障害物をどかし、チェーンソーで一部を切り開いて中に入り、助け出した。
車庫を使い、夜間を想定したみなし倒壊家屋からの救助も訓練した。照明機材を使って照らし、ヘッドライトを着けた隊員が要救助者を運んだ。いずれの訓練も、隊員同士で協力しながら取り組んでいた。
機動隊員だった若手時代に阪神・淡路大震災で現地活動を行った経験のある、湯庭大悟警備課長(51)は「教訓を無駄にしない、忘れないように訓練を実施した。訓練をしないと対応ができない。若い隊員も訓練を通じ、震災に備えてほしい。訓練を繰り返し、対応できる力を身に付けてもらえれば」と話した。
(2025年1月17日付紙面より)
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