新宮・東牟婁市町村広域事業「手話奉仕員養成講座」の開講式が9日、新宮市佐野の社会福祉法人美熊野福祉会・ワークランドそらであった。25人が参加、手話の習得を目指し始めた。
新宮・東牟婁の6市町村の合同事業として毎年行われている。手話の楽しさを知ってもらい、地域の聴覚障害者と日常会話ができる人を増やすことを目的としている。講座は来年2月27日までの全40回を予定しており、9月までを入門編、10月からを基礎編としている。
開講式では講師より、手話上達のための心がけの説明があった。「講座に来る前に(手話の)動画を見てきて」「手話をする時は声を出さずに表現を」「講師の話や問いかけには、うなずきや首振りなどで必ず反応を」などと呼びかけた。「手話と日本語は違う言語です。分からなくても見ていて」と力を込めた。
続いて、5人の講師が自己紹介。しゃべることができる講師も声を出さず、手話と空書で伝えた。参加者はその様子を、静かに注視していた。
講座でよく使う手話の紹介もあった。講師は「ポイントは見ること。手を見て、指が伸びているか、ちょっと曲がっているかなど、指の形までよく見て」と語った。「始まる」「終わる」「注目」「分かる」などを、手話と口話で実演した。
参加者は、講師の動きをまねて実践。体の前で手を動かし、基本の手話を覚えた。講師は「手だけでなく、表情も交えて意思を伝えて。『分からない』では分からないような表情で。『同じ』と同調する時は相手の方を向いて」などと強調。参加者は指導を受け、何度も繰り返し練習していた。
市内から参加した中山明子さん(48)は「ずっと手話に興味があって、やっとその世界に触れられて楽しくうれしい。頭で考えながらやると難しいが、皆さんと一緒にそのままやれば大丈夫かな。でも数が増えてくるとパニックになるかも。2月にどうなっているか、自分でも楽しみ。せっかくなら少しでも多く覚えたい」と話した。
(2024年5月15日付紙面より)