新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」がこのほど、国内の優秀な建築作品を表彰する「第64回BCS賞(日本建設業連合会表彰)」を受賞した。京都市美術館、大阪梅田ツインタワーズ・サウス、那覇文化芸術劇場などと並んで全国15件の一つに選定された。
BCS賞は「優秀な建築物を作り出すためには、デザインだけでなく施工技術も重要であり、建築主、設計者、施工者の三者による理解と協力が必要である」という建築業協会初代理事長の竹中藤右衛門(竹中工務店創業者)の発意により、1960年に創設。
わが国の良好な建築資産の創出を図り、文化の進展と地球環境保全に寄与することを目的に、毎年国内の優秀な建築作品を表彰している。
本年度は、学校施設や複合施設、官公庁舎施設、ホテル、劇場など、国内の各地域から74件の応募があった。「丹鶴ホール」は熊野の歴史・信仰・文化が層を成すように凝縮された敷地に、みんなが集まり活動する広場としてのホールと、地域を俯瞰(ふかん)する場としての図書館・熊野学センターを積層させ、熊野文化を体現する建築を実現しているとし高く評価された。竣工日は2021年7月31日。山下設計や金嶋一級建築設計事務所、シアターワークショップ、NHKテクノロジーズ、プレイスメディアが設計に携わり、村本建設と三和建設が施工した。
田岡実千年市長はこのたびの受賞に対し「『丹鶴ホール』は本市の豊かな自然や歴史、芸術といった文化を介した『新宮ならでは』の多彩な交流を展開することで、地域文化の信仰を推進するため最も重要な施設。世界遺産に認定された『熊野文化』を今の日常の中に生かし、個性的な地域創造につなげたいという思いが結晶した本施設が評価されたことを大変喜ばしく思う。今後も多様な文化芸術活動、観光など市内外の人々の交流拠点となって、熊野観光のハブとして交流人口が拡大し、さらなる地域振興が進むよう、施設運営に努めていきたい」とコメントしている。
(2023年12月8日付紙面より)