「南紀の自然を愛する会」(岩﨑新太郎会長)と新宮市の三輪崎区(屋敷満雄区長)は1日、複数名の新宮市職員や新宮市議会議員と共に、熊野古道「高野坂」の保全や整備に向けた現地調査を行った。総勢12人で高野坂を歩き、三輪崎側入り口の案内所、駐車場、トイレの設置や、木々の伐採、古道の補修などで意見を交わした。
岩﨑会長は三輪崎の出身で、東京都在住。ふるさとの新宮市と両親への恩返しとして、高野坂の魅了を伝え活性化を図りたいと、古くから親交があり親戚でもある屋敷区長などとともに、高野坂でのアジサイの植栽を行っている。
岩﨑会長や屋敷区長は、外国人観光客の増加などで高野坂にも多数が訪れている反面、保全や整備が不足しており、また世界遺産の一部で自由に伐採や補修ができないというもどかしさもあり、認識の共有を目指して市に現地調査を申し出た。新宮市の商工観光課と、文化財を担当する新宮市教育委員会の文化振興課から4人の参加があった。新宮市議会議員も2人参加した。
屋敷区長らは、三輪崎側の入り口が分かりづらく、迷っている外国人観光客の姿を目にすることを説明。トイレがないために三輪崎小の遠足先とするのも難しいとの話も伝えた。入り口付近で使用の承諾を得ている土地があることから「市が借りて、案内所や駐車場、トイレを設置してはどうか」と提案した。
また、高野坂の途中の海が見渡せる場所で、木々が育ち過ぎて眺望を邪魔していることから「ここらの木を切ることはできないのか」と確認。道中の鯨山見跡に設置された案内看板が汚れて見えなくなっており「これではいけない」と苦言した。
高野坂付近の危険箇所も指し示し「何か対策すべきでは」と考えを巡らせた。市が設置した道中の土留め部分も、傷みがないかを確かめた。市は意見を聞き、できることはないかと検討していた。
岩﨑会長は「保全や整備に関して、僕らがやりたくても、市の協力がないとなかなか前に進まない。現実そこが難しいが、今後何度も打ち合わせをしながら、諦めずにやっていきたい。高野坂をより良い環境にしたい」と話した。
(2023年12月7日付紙面より)