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御神火をともした大松明が下山=6日夜、新宮市の神倉神社
熊野に春呼ぶ御燈祭り
古式床しく神事斎行
新宮市神倉神社

 熊野地方に春の訪れを告げる「御燈祭(おとうまつ)り」が6日夜、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社、神倉神社で営まれた。新型コロナウイルス感染防止のため、3年連続で上(あ)がり子の入山が中止となる中、神職と介釈(かいしゃく)の一行が古式床(ゆか)しく神事を斎行。御神火をともした大松明(たいまつ)と共に下山した。

 新宮節の一節に「山は火の滝、下り竜」とうたわれ、1500年以上の歴史と伝統を誇る勇壮な火祭り。2016年3月、熊野速玉大社大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」と合わせて国の重要無形民俗文化財に指定された。

 今年は、斎行に向けて前向きな検討が行われていたものの、昨年末に新型コロナウイルス第8波の状況を受け、3年連続の上がり子参加中止を決断していた。

 午後5時過ぎ、神倉神社で修祓(しゅうばつ)を終えた介釈らは熊野速玉大社へ。神職らに導かれ一行は神倉神社に向かった。

 神倉神社神事を執り行った神職と介釈らは、御神火をともした大松明と共に下山。阿須賀神社に向かい、御神火を奉安し奉幣神事を執り行った。

 熊野速玉大社に戻った神職らは同様に神事を斎行。厳かな雰囲気の中、今年の火祭りは幕を下ろした。

 猪飼三雄・神倉神社奉賛会長は「3年連続の上がり子参加中止は寂しいがコロナだけは仕方ない。上がり子も関係者もみんな残念がっているはず。毎年、祭りが終われば新しい年を迎える気持ちになる。祭りはやりたかったが今は気張らなければ。来年こそは必ず」と思いを語った。

 祭事を終えた上野宮司は「熊野に生まれたことを誇りに思い、そしてどんな年であっても一日というものを大切に、そして祖先が感じた神様の尊さを感じる。大神の心、神々の伝言というものを今日、私たちはこのお祭りで聞くことができたと思う」。

 「今年はさらに厳しい年になるかもしれないが、神様の力を頂いて乗り切れるように、蘇(よみがえ)りの熊野にふさわしい民として生きていきたい」と話し、市消防団や市消防職員、新宮警察署、関係者らに対する感謝を述べた。

(2023年2月8日付紙面より)


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参加した皆さん=5日、那智勝浦町の旧浦神小学校周辺
地域 ロケット見学場周辺を清掃
「かつうら渚の会」
那智勝浦町
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旧浦神小
浦神小
台風
 「かつうら渚(なぎさ)の会」(猪飼伸会長、会員22人)は5日、串本町田原のスペースポート紀伊から発射されるロケット「カイロス」初号機の公式見学場の一つである那智勝浦町浦神の浦神小学校周辺で清掃活動を実施した。会員や区民、和歌山ロケット応援団、那智浦神郵便局、町役場有志、和歌山県など41人が参加し、作業に汗を流した。

 昨年11月末に串本町の公式見学場・田原海水浴場で実施されたビーチクリーンにも参加した渚の会。今回は応援団が駆け付け、協力した。

 堀順一郎町長が「ロケット発射が延期となった。本町では盛り上がりが少ないため、盛り上げるために努めていきたい。けがには注意して、きれいにしていただけたらありがたいです」とあいさつ。

 その後、参加者はごみ袋や火ばさみなどを持って、学校や周辺の海沿い、漁港、道路などに落ちている空き缶やビニール、粗大ごみなどを回収し、雑草なども除去した。

 浦神西区の並川廣区長は「今日は多くの皆さまに清掃していただけて、とてもありがたい。台風シーズンは漂流物が多く、清掃が大変。ロケットを楽しみにしている方も多いため、漂流物が多い台風シーズンの際にもご協力いただければうれしい」と語った。

 猪飼会長は「この場所以外にも近くで清掃したい場所もあるため、別の機会で取り組みたい。多くの方が楽しみにしているロケット打ち上げのためにも、今日はしっかりときれいにしたい」と話していた。

(2023年2月8日付紙面より)

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500号を手にする片野晴友住職=紀宝町鵜殿の東正寺
地域 東正寺の寺報500号に
42年、毎月欠かさず発行
紀宝町
 紀宝町鵜殿の醫王山(いおうざん)東正寺(とうしょうじ)が発行する寺報「醫王」が、2月で500号を迎えた。寺と檀家(だんか)、地域とのつながりになればと片野晴友住職(69)が42年前に始めた取り組みで、編集印刷を一人で担いながら毎月欠かさず作り続けてきた。

 B4判を二つ折りにした両面モノクロ印刷で、毎月1日発行。僧侶仲間のエッセーや、「せいゆうのひとりごと」と題したコラム、前の月の行事報告、寄付金の状況などを載せ、今は860部を檀家や縁のある人に届けている。

 始まりは大本山永平寺(福井県)での修行から戻った27歳の頃。「お葬式や法事以外、どんなことをしているか知られていない」と感じ、寺と檀家をつなぐものとして寺報を当時の眞道住職に提案した。

 創刊号は1981年に発行。鉄筆で手書きし、いわゆるガリ版印刷(謄写版印刷)で仕上げた。表紙となる1面には今すぐに取り組もうという意味の道歌をつづり、イラストも描き入れた。「当時は笑われることもあった」が、先代の住職は何も言わず温かく見守ってくれた。

 創刊した年は計4回発行し、翌年からは毎月発行へ。83年からは文字をワープロ書きに変え、読みやすくした。「文才がないので、1面だけは何とかしたいと思って」。元々交流のあった北海道の僧侶仲間に依頼し、エッセーを執筆してもらうなど試行錯誤してきた。

 これまで最も多い時で1350部発行し、3日間をかけて熊野市から那智勝浦町まで原付バイクで配っていたが、2年前に膝を痛めてからは多くを郵送に託すことにした。今はパソコンで編集し、業務用プリンターで印刷。「元気だよと、分かってもらえたらという気持ちで続けている」という。

 晴友住職のそばでは日々、長男で副住職の智博さん(37)、次男で徒弟の道雄さん(32)が励んでおり、21年からは智博さんがインスタグラムでの発信を始めた。先代の住職が背中を押してくれたように、信頼して任せている。

 晴友住職は「500号だからという意識はしていない。毎月出すという最初の気持ちをずっと持っている。続けられる間は続けていきたい」と目を細めていた。

(2023年2月8日付紙面より)

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住民課窓口に急きょ設置した義援金箱〈今後容器を変更する予定〉=7日、串本町役場本庁
国際 義援金箱など支援に動く
6日のトルコ地震を受け
串本町
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 トルコ共和国南東部で6日午前4時17分(日本時間同日午前10時17分)ごろ、マグニチュード7・8の地震があった。日本とトルコの友好発祥地・串本町は刻一刻と深刻さが増す被災状況を受け、翌7日から義援金の受け付けを始めるなど支援に動き出している。

 この地震はシリアとの国境に近いガジアンテップ県で発生。その一帯で大規模な余震が続いて被災が拡大し、救助活動にも支障が及ぶ状況にある。

 串本町も6日正午前に事態を察知。未明の発生とあって序盤こそ把握が進まなかったが現地の夜明けを経て被災状況が刻一刻と伝わり、田嶋勝正町長はただちに義援金の受け付けを始めるよう指示。7日の開庁と同時に役場本庁住民課窓口に義援金箱を設置し、今後は旧役場古座分庁舎、文化センター、トルコ記念館へも設置し、在日トルコ共和国大使館とも連絡を取り、送金の段取りを進めるという(7日正午現在)。

 田嶋町長は「大きな被害が出ている様子を見ると、心を痛めるばかり。日本トルコ友好発祥の町として義援金を募集するので、頑張ってください」と被災者向けのメッセージを発表し、注視を続けている。

(2023年2月8日付紙面より)

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