那智勝浦町はこのほど、自殺対策を推進するための「那智勝浦町自殺対策計画~笑顔のまち那智勝浦を目指して~」を策定した。日本は自殺死亡率が主要先進国と比較し高いことから国、和歌山県は先進国の水準を目指しており、同町でも同様に10年間で30%以上減少させることを目標に定めた。
日本の自殺者数は1998年に急増し、以降14年連続で3万人を超える状態が続いた。2006年に自殺対策基本法が制定され、わずかに減少傾向となったが、国際的に見ても日本の自殺死亡率が高かった。そのため、国が16年4月に自殺対策基本法の改正により「誰もが自殺に追い込まれることのない社会」の実現を目指し、自殺対策のより一層の推進と具体的・実行的な計画の必要性が明記されたことを受け、同町でも計画の策定に至った。
同町の自殺死亡者数は09~17年までで45人。11年には大幅に減少し、15年までは横ばい傾向だったが、16、17年と増加。人口10万人当たりの自殺者数を示す自殺死亡率は、最も自殺者が多かった10年には45・1で17年が37・6となった。全国、和歌山県でも減少傾向となった。
性別では14~17年では15年を除き、男性より女性のほうが自殺死亡率は高い。年代別では30、50代以上の自殺死亡率が全国や県と比較すると高い。60代以上は特に高くなっている。19歳以下の年代の自殺死亡者はいない。
職業別では無職者(主婦、失業者および年金・雇用保険等生活者以外の無職者)が40%と最も高くなっており、学生・生徒等および失業者にはいない状況となっている。
同町では「笑顔のまち那智勝浦を目指して」を基本理念として、▽啓発・教育の充実▽精神保健医療サービスの充実▽相談体制の充実▽人材の育成▽地域におけるネットワークの強化▽職場環境の整備・充実▽自殺リスクの高い要因への取組―などを具体的な施策として総合的に展開するという。
榎本直子福祉課長は「町民の皆さまが笑顔で暮らしていけるように計画を進めていきたい」と述べ、同町自殺対策委員の委員長を務める矢熊義人副町長は「昨年、和歌山県は自殺率がワースト1位だった。本町でも策定した自殺対策計画の基本理念を基に本腰を入れて取り組んでいかないといけない」と語った。
(2019年7月21日付紙面より)
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