那智勝浦町立宇久井中学校(川口徹校長)で6日、防災学習プログラムがあった。全校生徒72人が、学校が避難所となったことを想定し、避難所運営ゲームや炊き出し訓練などに取り組んだ。
津波災害、洪水・土砂災害発生時に地域の中核避難場所となる同校で、生徒たちに「災害が起こったらどう行動するか、何ができるか」を考え、役立つ知識や行動力を身に付けてもらおうと毎年実施している。町教委やPTA、学校運営協議会、町消防本部が協力した。
最初に全校生徒が縦割り班に分かれ「きいちゃんの災害避難ゲーム」の「みんなで協力して避難所運営しよう!」編をプレーした。某年12月12日午前4時に南海トラフ地震(マグニチュード8・7)が発生し、ライフラインの途絶えた宇久井中学校で避難所を運営していくことを想定。生徒たちはそれぞれ▽総務▽保健・衛生▽食料・物資▽被災者管理▽情報▽施設管理▽要配慮者▽ボランティア―を統括する班長になり、さまざまな問題への対処方法を考えた。
町教委の草下博昭さんは、今月2日にフィリピン付近を震源とする地震の影響で和歌山県沿岸に津波注意報が出されたことに触れ「ゲームの内容は実際の避難所でも起こりうる。ゲーム通りにはいかなくとも、今日の経験を生かしてほしい」と呼びかけた。
被災時に役立つロープワークや止血・包帯法、初期消火について学ぶ学年別プログラムもあり、2年生はペール缶を使った炊き出しに挑戦。まきで火をおこし、役割分担しながら参加者100人の昼食を温めた。
山下千瑛さん(1年)は「避難所運営ゲームでは、障害のある人などの要配慮者に、学校のどこにいてもらうかという問題が難しかった」。山本奨真さん(同)は「避難所にお弁当が届いたとき、全員分そろうのを待たずに、子どもや高齢者に先に食べてもらうという判断をした。学校が避難所になったときのことが想像できた」と話していた。
(2023年12月10日付紙面より)
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