「さわかみオペラin紀州勝浦 生まぐろ市場コンサート」が19日、那智勝浦町築地の勝浦地方卸売市場であった。300人超が来場し、今年は世界三大オペラに数えられる「カルメン」を上演。地域住民らで結成したオペラ合唱団「TUNA GOOD(ツナぐ)」の約60人も出演し、圧巻の歌声を響かせた。
「生まぐろの市場」で「オペラ」という、世界でここだけの取り組みとして同実行委員会(山縣弘明実行委員長)が主催。オペラを通じた社会や地域の活性化を目指すさわかみオペラ芸術振興財団と共に開催しており、3回目を迎える。
舞台は、工場で働く女性たちや町の男たちが行き交う1820年ごろのスペインのセビリア。自由奔放で魅惑的なカルメンが、生真面目な衛兵ドン・ホセを誘惑する。ホセの婚約者ミカエラ、スター闘牛士エスカミーリョと共に「カルメン前奏曲」や「闘牛士の歌」など有名な楽曲に乗せて物語が進行していった。
合唱団メンバーも町民役になりきり、歌に演技に大活躍。会場から「ブラボー!」「ブラビー!」と歓声が上がった。
鑑賞に訪れた小賀柚那さん(17)は「知り合いが出演すると聞いて見に来た。オペラを間近で見るのは初めてだけれど、声がすごく響いて、見に来て良かった」と語る。
合唱団に参加した赤岡那南さん(8)、向井香桜さん(8)は、衛兵ごっこをして遊ぶ子ども役などで冒頭から出演。フランス語の歌詞ながら「全部楽しい。今日も車で音楽を聴きながら来た」「緊張したけれど、楽しかった」と笑顔を見せた。
さわかみオペラ芸術振興財団の澤上篤人理事長も来場し「社会や地域の活性化のためにオペラを開催しており、見ているだけではつまらない。自分たちで歌い、町の誇りに思ってもらえるイベントに」と話していた。
(2024年10月22日付紙面より)