那智勝浦町宇久井の「珈琲処がじゅまる」で14日、初の認知症カフェがあった。地域に暮らす80代の認知症の女性2人が店員となり、朗らかな笑顔で来店客をもてなした。
がじゅまるの協力を得て、役場福祉課、地域包括支援センター、グループホーム「湯ごりの郷」やグループホーム「つつじ園」の認知症相談員らが共同で企画した。
認知症カフェは認知症の人やその家族、地域住民らが集い、気軽に話ができる場所。「誰もがなる可能性のある病気」である認知症についての理解を広げ、認知症の人が活躍できる場をつくることなどが狙い。
認知症の人が店員を務めるということで、メニュー数を絞り、注文もカードを手渡す方式にするなど工夫。来店客にも「注文カードを笑顔で店員に渡す」「飲み物を笑顔で『ありがとう』と受け取る」といったポイントを伝えた。
認知症支援のシンボルカラーであるオレンジにちなみ、来店客にマリーゴールドと黄色コスモスの種をプレゼント。介護・福祉の専門家もスタッフをしており、家族に関する相談などにも応じた。
がじゅまるを営む上地由美子さん(58)は「地域の人と関わりを持ちたいと思って始めたカフェ。高齢者の方が多い地域で、何かできたらと思っていたところだったので、提案を受けて『ぜひ』とお返事した。最初はドリンクを運ぶことだけお願いしようと思っていたが、飲み終わったコップの片付けなどもしてくれて助かった。今後も続けてほしい」と思いを語る。
町福祉課の山口普也さんは「『今後うちのカフェでも開きたい』『認知症について知りたい』という方がいらっしゃれば、ぜひご相談ください」と呼びかけていた。
(2025年3月16日付紙面より)