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2022年06月30日
1 県内唯一の食肉処理場の現状
 老朽化改善望む声  (新宮市 )

 新宮市新宮にある、和歌山県で唯一の食肉処理施設「新宮市食肉処理場」が供用開始から48年を経過し、施設の老朽化が懸念されている。施設利用業者は市に対して、大規模改修を含めた抜本的な改善を求めており、市は県に改修や修繕の必要性を訴え続けている。

 同施設は、1974年7月に供用を開始。以降、冷蔵庫増設や配水管移設工事、汚水処理施設脱水機増設工事などの大規模改修工事を行っており、2015年には汚水排水処理施設改修を実施した。ほか、施設内床の整備や浄化槽設備内ポンプ修繕など、必要箇所の改修や修繕に随時対応している。施設の運営は市の特別会計で賄われており、本年度は約1766万円が計上されている。

 国からHACCP(ハサップ=)の導入が求められる中、品質、衛生管理の向上に向けた取り組みも重要視されている。長年の要望活動が実り、県はHACCP対応の推進を目的に、令和5年度までを期限として令和3年度から畜産施設衛生管理強化支援事業補助金を交付。来年度には供用開始以降、一度も交換できていなかった分離機の交換など設備面の改善を行っていく予定としているが、市単独での維持、管理運営は依然として厳しい状況が続いている。

 同施設では現在、御坊市から三重県熊野市までの8社が利用している。仮に同施設が閉鎖した場合には大阪府や三重県松阪市まで牛を運搬する必要があり、畜産農家や食肉業社に費用面などで大きな負担を強いることにより和歌山県特産の黒毛和種「熊野牛」の値段高騰を招く恐れもある。

 市では「熊野牛推進のためにも施設は存続していかないといけない」とし、引き続き県に対して継続的な支援を要望していくとしている。

  □     □

※HACCP=食中毒汚染や異物混入などの危害要因(ハザード)を把握し、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、危害要因の除去および低減のため、重要な工程を管理し安全性を確保する衛生管理の手法。

(2022年6月30日付紙面より)

施設の老朽化が懸念される新宮市食肉処理場=新宮市新宮
2022年06月30日
2 3年ぶりの祭り斎行に向け
 那智の扇祭り関係者らが協議会  (熊野那智大社 )

 那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)社務所で28日、7月14日に営まれる例大祭「那智の扇祭り(火祭)」に向け、「令和4年例大祭斎行に関する協議会」が開かれた。今年は人数制限や斎行時間の変更はあるが、3年ぶりに諸祭儀が例年通り執り行われる。

 協議会は扇祭りを安全、円滑に執り行うため、毎年開かれている。協議会には、保存会役員、一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT)、新宮警察署、交通指導員協議会、消防本部、消防団、奉仕者らが出席。

 斎行概要や警備、救護、参列者受け付けなどについて確認した後、新型コロナウイルス感染症などの対策、直会(なおらい)の中止、駐車場の確保、交通整理について協議した。

 祭り当日は那智山の那智黒亭みむろの駐車場が満車になる午前10時から正午ごろまで一般車両の車両整理を行う。臨時駐車場の大門坂駐車場から、熊野交通がシャトルバスを運行する。午前10時20分より滝前駐車場の使用を中止し、大型バス含む一般車両の駐車および車両の出入りも禁止となる。

 午前10時40分から午前11時、正午から午後0時30分までの時間帯は扇神輿(みこし)の渡御ならびに還御が執り行われるため、滝前駐車場での全ての車両に関して駐停車および車両の出入りは厳禁となっている。

 別宮域の一部には南紀勝浦温泉旅館組合が特別拝観席を100席設ける。また、お瀧本での諸行事などはライブ配信される予定。

 男成宮司は「2年間、お祭りの縮小が余儀なくされた。今年は3年ぶりに扇神輿と大たいまつを全て繰り出し、感染症対策に努めながら斎行する。例年通りとはいかないが、別宮にお参りの方にも見ていただける。お祭りは五穀豊穣(ほうじょう)を祈願するが、疫病退散や氏子崇敬者の発展、世界平和を祈りたい」と話した。

 扇指奉仕者は、市野々氏子中に加え、南紀くろしお商工会青年部、南紀勝浦温泉旅館組合、紀州勝浦漁業協同組合、熊野第一交通株式会社・那智ねぼけ堂、熊野御坊南海バス㈱・熊野観光開発㈱、JAみくまの農業協同組合。

 組頭顧問は松本太一さんで、組頭は片山徹さん、地庵晋司さん、裏敏行さん、山田智也さんの4人が務める。

  □     □

■当日のスケジュール

 14日の例大祭当日は午前9時から本殿で、本社大前の儀を営み、終了後に御田植式を行う。続いて、10時10分より渡御祭を斎行。扇神輿12体、大たいまつ12本、子の使い、馬扇が出立する。

 11時30分に別宮大前の儀を営み、御田刈式、那瀑(なばく)の舞を終えて還幸。午後0時30分に本社還御祭を実施し、同50分には終了予定。

(2022年6月30日付紙面より)

扇祭りに向けて協議の場が設けられた=28日、那智勝浦町の熊野那智大社
男成洋三宮司
2022年06月30日
3 4年ぶりに上陸確認
 アカウミガメ、熊野川河口に  (紀宝町鵜殿 )

 紀宝町鵜殿の熊野川河口付近で28日、4年ぶりにアカウミガメの上陸が確認された。2カ所で上陸跡も見つかり、町ウミガメ公園で保護監視員の萩野進也代表は「これまで上陸がなかった場所なので、これからの調査地に追加したい。町内の上陸第1号でうれしく思う。今後の産卵に期待したい」と話していた。

 28日早朝、釣りをしていた人が上陸するウミガメを発見し、同町役場に連絡した。職員とウミガメ公園の飼育員・伊藤柊也さんが調査したところ、2カ所のうち1カ所で産卵のために掘った穴を確認した。

 紀宝町は1988年に「ウミガメ保護条例」を制定し、上陸・産卵シーズンに保護監視員が保護活動を続けている。今年は1日から開始し、7月末まで毎日パトロールする。

 調査を開始した88年には37匹が上陸、20匹が産卵。その後、ほぼ毎年、確認されてきたが、2013年以降、上陸数が減り、18年に1匹が産卵して以来、上陸がなかった。

 伊藤さんは「今回確認された2カ所は同じ個体と思われるが、産卵はなかった。ウミガメは失敗しても数日後、近辺に再度産卵に来る可能性が高いのでは」と話している。

(2022年6月30日付紙面より)

七里御浜に上陸したアカウミガメ=28日、紀宝町鵜殿
アカウミガメの上陸跡
2022年06月30日
4 医療と介護をシームレス化
 7月から介護医療院を設置  (くしもと町立病院 )

 くしもと町立病院(竹村司・病院事業管理者、阪本繁院長)が7月から、院内に介護医療院〈Ⅰ型〉を設置する。自治体病院としては県内初設置で、竹村管理者は「病院が目指す形の一つになると考える」と自負する。

 介護医療院は、長期療養が必要な要介護者に日常生活上の支援も含めて提供する施設。同病院は今後の増加が見込まれる慢性期の医療・介護ニーズに対応するため、医療スタッフ配置による重度の医学管理や看取(みと)り期のターミナルケアに対応可能な介護医療院〈Ⅰ型〉を7月1日付で設置する。

 現行の療養病床40床のうち16床を廃止して規模10床の介護医療院〈Ⅰ形〉に転換するとし、10床の利用を満たした状態で運営を始める。阪本院長は要介護1~5で日常的に重度の医学管理を必要とするが在宅ではサービスを得難い町民に生活をしてもらう場と位置付け、開設後も地域に潜在しているニーズを探り規模の増強や受け入れ幅の拡張(町外対応)などを検討するとしている。

 竹村管理者は4年余り地域と向き合う中で医療と介護のシームレス化が求められる実情を感じ、そのために同病院は医療だけでなく介護にも関わらなければならないと思い至り介護医療院〈Ⅰ型〉の設置を目指した、といきさつを語る。

 介護医療院〈Ⅰ型〉は4階病棟の一角に設置。仕切りでプライバシーを確保する多床室〈2床〉4室と個室2室があり、老健施設相当以上の生活の場(1床当たり15平方㍍)を提供する。利用者とスタッフ双方に安全安心な介護実現のため、ノーリフティングケアを取り入れている点も特色。当面の入所対象とする町民には同病院広報誌「うみつばめ」第16号(令和4年6月号)などで紹介済み。入所の検討や自宅介護で困っていることなどの相談は入所相談担当(介護支援専門員)に尋ねてほしいとしている。

 問い合わせは同担当(電話0735・62・7111〈代表番号から呼び出し〉)まで。

(2022年6月30日付紙面より)

利用者の生活の場として提供する介護医療院〈Ⅰ型〉の多床室=28日、くしもと町立病院
設置の概要や経緯の説明に臨む竹村司・病院事業管理者(左)と阪本繁院長
2022年06月30日
5 快適な環境守り発展に寄与  勝浦港美化推進協議会が総会  (那智勝浦町 )
2022年06月30日
6 フロアホッケーで白熱  中央児童館で20人が参加  (新宮市 )
2022年06月30日
7 ユリの帯化か  茎が平らで花多く  (那智勝浦町 )
2022年06月30日
8 阿須賀神社で茅の輪づくり 人々の幸せ願いカヤ束ねる (新宮市)
2022年06月30日
9 首相メッセージを伝達  社会を明るくする運動  (紀南保護司会 )
2022年06月30日
10 絵本「バスが来ましたよ」発行  町内2店舗でも取り扱い  (串本町 )
2022年06月30日
11 第2回定例会一般質問④  串本町議会  
2022年06月30日
12 母子で腸の健康学ぶ  サークル「のいちごの会」  (那智勝浦町 )
2022年06月30日
13 お悔やみ情報
  
2022年06月19日
14 「新宮下本町遺跡」国史跡指定へ
 文化審議会が文科大臣に答申  (新宮市 )

 国の文化審議会(佐藤信会長)は17日、文化審議会文化財分科会の審議・議決を経て、文部科学大臣に新宮市下本町の「新宮下本町遺跡」(指定予定面積5796・37平方㍍)を国史跡に新規指定するよう答申する。官報告示を経て正式に登録される予定。市内では2003年に新宮城跡附水野家墓所が指定を受けて以降19年ぶりとなる。

 国指定史跡は、文化財保護法または文化財保護条例によって歴史上、学術上価値の高いものとして指定された遺跡。現在、全国で1872件が指定されている。市では新宮城跡附水野家墓所のほか、熊野三山(熊野速玉大社他)、熊野参詣道中辺路・伊勢路(新宮市他)、大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)(同)が史跡指定を受けている。

 「新宮下本町遺跡」は、熊野川の河口から約2㌔、史跡新宮城跡の西麗の熊野川に面した自然堤防上に立地する中世の港湾関係遺跡。新宮は太平洋航路における重要な港湾としても知られ、平安時代末期以降、主に熊野三山による太平洋航路を利用した各地との交流・交易の記録が残る。

 このたびの答申を受け、田岡実千年市長は同遺跡の調査を指導した調査委員会委員や国、県の関係者らの尽力に感謝。

 「貴重な文化財を後世に保存・継承する責任の重さを改めて感じている。同遺跡は、丹鶴ホールの敷地で発見された中世の港に関係する重要な遺跡で、市ではその性格や価値の解明を目的として調査に取り組んできた。今後も市民の皆さまのご理解とご協力のもと、保存・管理に努めるとともに地域の宝として活用していきたい」。

 速水盛康教育長は「丹鶴ホールの建設に先立ち、同遺跡の発掘調査を実施したが中世の地下式倉庫など港町に関係する貴重な遺構が見つかった。遺跡の保存と施設の建設の両立を目指し、施設設計の変更を行うなどして事業を進めてきた。今回の答申により、取り組みが実を結んだことに安堵(あんど)するとともに、遺跡を保存・継承していくことについて責任を感じている。今後も遺跡の保存に努めるとともに、多くの皆さまにその価値を享受いただけるよう活用していきたい」とコメントを出している。

  □     □

■新宮下本町遺跡

 2015年以降の市教育委員会による発掘調査によって、12世紀後葉から16世紀中ごろにかけての港湾に深く関係すると考えられる遺跡が確認された。

 遺跡は14世紀末ごろから15世紀にかけて最盛期を迎え、熊野川に面した自然堤防の斜面地を石垣に用いて段状に造成した面から地下式倉庫群や鍛冶遺構が検出されるとともに、それに直交して石段を伴う通路が設けられている。また、この時期には出土遺物から交易範囲の拡大が想定されるなど、港湾都市として機能したことが分かる。

 同遺跡は中世以降、太平洋航路の重要な拠点であった新宮における港湾や海を介した交流の実態を知る上で重要なだけでなく、中世の海上交通と宗教勢力との関係、平安時代末ごろ以降から全国へ信仰が拡大する熊野三山の経済基盤などについて考える上でも重要となる。

(2022年6月19日付紙面より)

遺跡の遠景(新宮市提供)
川へと下る石段通路と石垣(同提供)
地下式倉庫(壁面石積み)=同提供
指定範囲(同提供)
2022年06月19日
15 産後ケア拡充で利用者増
 子育て環境充実の一助に  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町は今年4月から、分娩施設を退院した産後1年未満の母子に、助産師ら看護職が中心となって専門的な身体ケアやサポートを行う「産後ケア事業」を拡充させた。町子育て世代包括支援センターへの取材を基に、以後の利用動向を追った。

 産後ケア事業とは、母子とその家族が健やかな育児ができるよう、助産師らが▽母親の体調管理やカウンセリング▽母乳育児に関する相談や乳房ケア▽新生児・乳児の状況に応じた育児相談▽育児に必要な社会的資源の紹介―などを行うもの。

 2019年に公布された改正母子保健法において、産後ケア事業実施が市町村の努力義務として法定化され、新宮・東牟婁地域でも昨年度までに全市町村が事業化。那智勝浦町では19年度に事業化したものの、20、21年度の利用実績は0回と、活用が進んでいなかった。

 この状況を受け、今年4月からは「家族等から育児支援が受けられない」という利用条件を緩和し、1歳未満の子を育てる保護者全員を対象に。従来の母乳相談事業も廃止・統合し、母乳育児に関する相談も同事業で対応する。また、外出が難しい利用者のため居宅訪問型も利用できるよう改善し、利用料金も従来の1回2400円から800円に引き下げた。

 6月11日現在の本年度の利用者は8人(通所〈デイサービス〉型9回、訪問〈アウトリーチ〉型1回)と、短期間で利用者増につながっていることがうかがえる。

 同センターの保健師は「ぜひ多くの方に利用していただき、子育て環境の充実につなげていきたい」と話し、今後も妊娠届や出生届の提出などで来庁した保護者らへ積極的に周知を図っていくとしている。

 近隣市町村の昨年度の利用実績を調べると、新宮市51人(通所型148回、訪問型4回)、串本町7人(通所型12回、宿泊型2回)、古座川町4人(通所型11回)、太地町0人、北山村0人、紀宝町0人。出生数や料金、利用可能回数、母乳相談を統合して運用しているか否かという違いを考慮しても、大きくばらつきがある状況で、今後も動向を追っていく。

(2022年6月19日付紙面より)

那智勝浦町内で子育て中の母親たち
2022年06月19日
16 高木顕明師しのぶ
 非戦、平和願い遠松忌  (新宮市 )

 新宮市大橋通の淨泉寺(山口範之住職)で18日、真宗大谷派主催の「遠松忌(えんしょうき)法要」が営まれた。参列した関係者らが雨の中、非戦・平和を唱え、差別と闘った同寺12代住職・高木顕明(けんみょう)師(1864~1914年)の遺徳をしのんだ。

 「前(さき)を訪(とぶら)う 今、この時代に聞く非戦・平等の願い」をテーマに毎年営まれている法要。1998(平成10)年に滋賀県大津市の本證寺で有志らが第1回を営み、翌年から新宮市で開かれている。今年25回目で、2000(平成12)年から同派が主催している。

 関係者らは、市内の南谷墓地にある顕明師顕彰碑での勤行後、淨泉寺本堂での法要に参列。法要の様子は、動画投稿サイト「ユーチューブ」でライブ配信された。

 顕明師は新宮出身の医師・大石誠之助(1867~1911年)らと共に非戦、平和を唱えて活動していたが、明治天皇暗殺を企てたとして1910(明治43)年に連座(「大逆事件」)。死刑判決に処されたが後に無期懲役となった。

 事件を受け、同派から除籍の処分を付された顕明師は、無念の中、14(大正3)年6月24日に秋田監獄で自ら命を絶った。96(平成8)年に同派から処分が取り消され、名誉が回復されている。

 同所の顕彰碑には顕明師の著作「余が社会主義」の一節「南無阿弥陀仏は真に御仏の救済の声である。闇夜の光明である。絶対的平等の保護である」が刻まれている。

(2022年6月19日付紙面より)

読経の中、参列者らが焼香した=18日、新宮市の南谷墓地
2022年06月19日
17 「2期目の町政支える」  副町長に瀧本雄之さん  (那智勝浦町 )
2022年06月19日
18 4議員が当局質す  太地町議会一般質問  
2022年06月19日
19 歩いて周辺地域を知る  神倉小3年生が校区探検  (新宮市 )
2022年06月19日
20 ピンクとイエローが密集  旧浦神小の裏にランタナ  
2022年06月19日
21 小さな村の小さな図書室 北山村で利用者も増加中 
2022年06月19日
22 警察官の仕事を教わる  5歳児が紀宝警察署へ  (成川保 )
2022年06月19日
23 懐かしの名曲口ずさむ  カフェいっぷく亭で演奏会  (紀宝町 )
2022年06月19日
24 女性同士で和気あいあいと  グラウンドゴルフ楽しむ  (讃寿会 )
2022年06月19日
25 自由に筆走らせて表現  子育てサロンで「己書」  (紀宝町 )
2022年06月16日
26 無病息災など祈る
 アジサイをささげ祭典  (熊野那智大社 )

 那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)で14日、「紫陽花(あじさい)祭」が営まれた。アジサイを神前にささげて自然の恵みへの感謝をささげるとともに、梅雨時の無病息災を願った。

 境内の紫陽花園でも花盛りを迎えるころであるこの日に、毎年実施されている。今年は風雨ともに強い悪天候の中で行われた。祭典が行われた拝殿では、神職がおはらいの後、神前にアジサイを供え、男成宮司が祝詞を奏上。アジサイの小枝を手にした巫女(みこ)が、神楽「豊栄(とよさか)の舞」を奉納した。

 同様の神事は、別宮の飛瀧(ひろう)神社でも営まれた。また同大社のちょうず鉢には、たくさんのアジサイが浮かべられ、竹筒にも生けられていた。コロナ禍以前は茶席も設けられ、参拝者にお茶と菓子が振る舞われていたが、それは今回もなかった。

 男成宮司(68)は、新型コロナウイルスの感染状況は落ち着きつつあるが収束には至っていないこと、ロシアのウクライナ侵攻など世情は厳しいことなどに言及。「アジサイを供え、皆さんが健やかでますます栄えるよう、祈らせていただいた」と話した。

 1カ月後に控えた例大祭「那智の扇祭り(火祭)」についても「今年は通常通り、扇神輿(みこし)や大たいまつも出る。感染対策を行いつつだが、別宮(那智の滝前)は外なので、拝観者も入ってもらえる。拝観者と共に、五穀豊穣(ほうじょう)や新型コロナ収束を祈りたい」と述べた。

(2022年6月16日付紙面より)

アジサイを手に舞う巫女=14日、那智勝浦町那智山の熊野那智大社
2022年06月16日
27 助け合いの地域に
 ケアマネが集い研修  (新宮市 )

 新宮市地域包括支援センターの主催による、第2回新宮市ケアマネジャー支援会議が14日、新宮市役所別館であった。ケアマネジャー(ケアマネ・介護支援専門員)の約30人が参加、講演などを通して知識を深めた。

 新宮市民で介護保険の要支援者を担当している、新宮市から熊野市までの事業所に所属するケアマネが参加対象となった。新宮市の生活支援コーディネーターの福島圭さんが「新宮市での生活支援コーディネーター活動について」と題して説明を行ったほか、公益財団法人さわやか福祉財団さわやかインストラクターの高林稔さんが「生活支援コーディネーターの役割を知ろう! ~今 助け合いの地域づくりが求められています~」を演題に講話した。

 高林さんは長寿社会における「人生100歳時代」について「二幕目の人生は、健康、運動、社会参加が大事」と説明。少子高齢化についても、人口推計のグラフを基に、働ける世代が減っていること、少人数で高齢者を支える「肩車型」の社会へと進んでいることを示した。「高齢者も支えられるだけでなく、できる範囲でできることを。高齢者でも働ける人は働き、支え手を増やす努力が必要に」と述べた。

 地域包括ケアシステムについて「住み慣れた地域で、医療、介護、助け合いの切れ目のない支援を行う取り組み」と紹介。「目指すのは、住み慣れた地域で、自分らしく安心して暮らし続けること」と伝えた。

 助け合いの重要性や、つながりや信頼関係の構築の方法にも言及。生活支援コーディネーターと連携し、地域ケア会議も活用して、利用者の自立した生活を目指すべきと力を込めた。

(2022年6月16日付紙面より)

ケアマネジャーがやるべきことを考えた=14日、新宮市役所別館
講話する高林稔さん
2022年06月16日
28 聴覚障害者や接し方を知る
 串本中2年対象に手話講座  (串本町 )

 串本町立串本中学校(濱﨑和司校長)の2年生39人を対象にした手話講座が13日にあり、生徒らが聴覚障害者の実像や求められる接し方を知る機会を持った。

 町は2019年12月に手話言語条例を制定。その趣旨に基づき前年度から町立小中学校を対象としたこの講座を出張実施するようになり、本年度は同日現在で串本中と潮岬中の各2年生が別日に講師派遣を受けて受講する計画となっている。

 串本中は先んじての開講で、東牟婁新宮聴覚障害者協会会員の須川陽一さんと美熊野福祉会の手話通訳者・大代聖子さんが講師として来校。須川さんは生まれつき聞こえない自身の生い立ちや生活の様子を伝えて生徒の聴覚障害者への理解を促し、「耳が聞こえないだけで、ほかはみんなと一緒」としてみんなと同じ生活をしていくために生活上の支障をなくする工夫を積み上げていることなどを紹介した。

 聞こえないことで受ける差別をなくしたい、という思いも掲げ、今までにどのようなことに困ったか、その時にどのような支援がほしかったかも説明。聞こえないことが周囲に気付いてもらいにくいことも課題だと考えて作ったコミュニケーションツール「防災バンダナ」を紹介するなどして障害者差別解消法が社会に求める合理的配慮の義務がどのような発想に基づくかを示し、目指す社会への筋道をつけた。

 後半は聴覚障害者とのコミュニケーション手段として手話以外に空書、筆談、口話、身ぶりがあり、さらに相手の表情から言葉が帯びる感情を見て取ることなどにも触れて「伝える気持ちを大切にして接してほしい」という思いを生徒に託すなどした。

 受講した生徒の一人、荒木陽芽花(ひめか)さんは「手話だけでなく他の手段でも会話ができるという話が勉強になった。手話は覚えたいし、覚えきれなくてもしっかりと相手の反応を見て接していきたいという気持ちになった」と感想を話した。

 潮岬中は27日(月)に受講予定となっている。

(2022年6月16日付紙面より)

須川陽一さん(右)らから聴覚障害者との接し方を教わる2年生=13日、串本町立串本中学校
2022年06月16日
29 ご当地ナンバーって?
 国交省が導入地域の募集開始  

 国土交通省は4月、地方版図柄入りナンバープレートの導入地域と、新たな地域名表示(ご当地ナンバー)の導入を伴う図柄の募集を開始した。既存の地域表示名または都道府県の全域を単位とする図柄については2023年10月ごろ、新たな地域名表示を単位とする図柄については25年5月ごろに交付を開始する予定だ。

 「ご当地ナンバー」は、国土交通省が自動車のナンバープレートに表示する地名について、対象市町村の区域を限って、新規の自動車検査登録事務所の設置によらずに独自の地名を定められるよう、2006年に開始した制度。

 「富士山ナンバー」など、22年5月現在で46地域が導入している。三重県では鈴鹿市、亀山市で「鈴鹿ナンバー」、四日市市で「四日市ナンバー」、伊勢市や鳥羽市、志摩市などで「伊勢志摩ナンバー」が導入されている。

 当地域では過去に導入に向けた活動が、導入条件のハードルの高さから頓挫した経緯があるが、今回の募集では「登録車が5万台以上または登録車と軽自動車との合計が8・5万台以上」(複数市区町村の場合)など、軽自動車の保有台数の高まりを考慮して軽自動車との合計を条件とするなど、導入条件が緩和されている。

 しかし、導入に当たっては要綱を満たす地域の市町村が住民の意向を踏まえた上で、都道府県を通じて地方運輸局に要望する必要がある。

 なお、21年3月31日現在の新宮市・東牟婁郡の登録自動車・軽自動車数は4万9415台、田辺市・西牟婁郡では9万2880台、三重県熊野市・南牟婁郡は2万9875台、尾鷲市・北牟婁郡で2万6643台となっている。

 さて、そんな「ご当地ナンバー」導入のメリットといえば、地域のPR、ブランド化が挙げられる。いわば「走る広告塔」だ。愛郷心もますます高まることだろう。一方で、居住地の特定につながりやすいといった問題を指摘する声もある。

 14日に開会した新宮市議会6月定例会では、「ご当地ナンバー導入の実現を求める請願書」が提出された。前述した当地域の登録自動車・軽自動車数からみて「ご当地ナンバー」導入に向けては、広域で議論を交わしていかなければならないことは明らか。各自治体の今後の動きに注目が集まる。

(2022年6月16日付紙面より)

2022年06月16日
30 レッツゴーテニスが優勝
 第37回紀南テニス協会団体戦  
2022年06月16日
31 優勝は小川羊子さん
 なちかつGGCクラブ大会  
2022年06月16日
32 那智勝浦少年野球クラブがV
 学童軟式野球大会(B級)東牟婁大会  
2022年06月16日
33 久司航輝君(新宮高2年)が近畿大会へ
 全国高校総合体育大会県予選会  
2022年06月16日
34 5カ月ぶりに笑顔広がる  紀宝町のかわりない会  
2022年06月16日
35 災害対策で井戸の活用も  紀宝町議会一般質問②  
2022年06月16日
36 現職の大畑覚氏が出馬表明  コロナ対策が最重要課題  (御浜町長選 )
2022年06月16日
37 一般会計補正予算など審議  「ご当地ナンバー導入の実現を求める請願書」も  (新宮市議会 )
2022年06月16日
38 浸水被害の解消目指す  市田川ポンプ増強工事  
2022年06月16日
39 花火大会や河川管理問う  那智勝浦町議会一般質問㊤  
2022年06月16日
40 赤いアメリカデイゴ  浦神の虫喰岩と共演  
2022年06月16日
41 体を動かす楽しさ味わう  マリア保で「うんどうあそび」  (新宮市 )
2022年06月16日
42 串本沿岸海域の魅力発信  センターで特別パネル展  (南紀熊野ジオパーク )
2022年06月16日
43 3年ぶり大和舞奉納に向け  那智の扇祭りの事前学習  (市野々小 )
2022年06月16日
44 お悔やみ情報
  
2022年06月05日
45 1日限りの「とボケた喫茶店」
 認知症高齢者の輝く姿  (那智勝浦町 )

 「この喫茶店では、とボケた出来事が起こるかもしれません。なぜならホールスタッフは、この町で生まれ年を重ねた認知症のおじいちゃんおばあちゃんだからです」―。5月29日に那智勝浦町朝日の民宿わかたけ1階で開かれた「とボケた喫茶店」を紹介する一文だ。1日限りの喫茶店は予約制で午前と午後の4部で行われた。同町下里にあるグループホームつつじ園の利用者7人がホールスタッフとして従事し、訪れた30人の来店客と交流を深めた。

 この催しは医療と福祉、飲食業などの関係者で構成される「とボケた実行委員会」(近松健太委員長)が企画・開催したもの。高齢者の暮らしの在り方や社会参加の可能性を考え、地域においての認知症への理解や周知を行うことが目的。

 看護師の近松委員長がデイサービスを利用する自身の祖父の様子を見ていた際に「短時間でも、生き生きできる機会や場があれば」と2年前から考えるようになったという。ある時、同民宿を経営する花井清州さんに相談したところ、人脈が広がっていった。

 その後、つつじ園の看護師で認知症介護指導者である川口利恵さんや、大阪でスペイン料理のオーナーシェフを務めるなどの経験を持ち、現在は新宮市で飲食のプロデュース業を行う金子清人さんと妻の摩耶さん、同町朝日のケアプランサービスつなぎの管理者で、主任ケアマネジャーである南香帆里さんが今回の企画に賛同し加わった。

 6人は実行委員会を立ち上げて会議を重ねた。当初は3月に予定していたが、コロナ禍で延期が続いて今回に至った。

 当日は午前のブランチタイムと、午後のカフェタイムに分けて実施。来店客は、あらかじめ用意された各テーブルを担当するスタッフ(利用者)の情報が記された自己紹介カードに目を通した。

 スタッフが料理を運び、注文分の飲み物を届けた時点で席に着く。両者の交流を図るためのトークタイムが設けられており、共に笑顔を浮かべ、和気あいあいと会話に花を咲かせていた。

 料理を担当した金子清人さん、摩耶さん夫妻は「必要なことを伝えると、それに応えてくれる。認知症の方々とのコミュニケーションや関係性はイメージとは違い、とてもシンプルで楽しかった。多くの気付きや収穫がありました」。

 南さんは「人は外へ出て活動すると輝く。ご自宅に訪問する仕事をしているが、目にする機会がなかった。地域に溶け込み過ごす姿はとてもきらきらしていた。今後も多くの人に、同じように輝いてほしい」。

 川口さんは「専門の資格を持ち、専門の仕事をすることは大事だが、それだけではないことに気付いた。他業種の方々が集まり、連携することで広がった。人と人との関係性はもっとシンプル。こういった機会があれば、みんながハッピーになれる」と話した。

 花井さんはイベントを振り返り「イベントではスタッフの皆さんがスムーズに会話して、お客さまと共感し合い、盛り上がっていた。高齢者や若者など年齢は関係なく、互いに興味が持ち合える入り口やきっかけになったのでは」。

 福祉の学びを深めるために、今後数年間は国内外に赴いて勉強を検討しているという近松さんは「常に良い雰囲気。スタッフの皆さまが生き生きとしていて、感動した。イベントは継続していきたい。その際は多くの皆さまにもご参加していただけたら」と語った。

 イベント終了後は4部とも、スタッフが来店客を見送った。新たな福祉の在り方に感銘を受けた来店客がスタッフに感謝を述べ、握手を交わす姿なども見られた。

(2022年6月5日付紙面より)

スタッフ(左)と来店客が和気あいあいと交流を深めた=5月29日、那智勝浦町朝日の民宿わかたけ
1日限りの喫茶店が開かれた
2022年06月05日
46 細密鉛筆画家の篠田さんが講演
 那智勝浦RCの記念例会  (那智勝浦町 )

 那智勝浦ロータリークラブ(那智勝浦RC、後誠介会長)は2日、那智勝浦町天満のホテルサンライズ勝浦でクラブ創立60周年記念例会を開いた。記念ゲストとして細密鉛筆画家の篠田教夫さんが招かれ、卓話「細密鉛筆画家 篠田教夫展―神仏宿る細密画の世界 那智瀧図にはじまる―」を講演。会員らは篠田さんの作品に懸ける思いや制作過程など説明に耳を傾けていた。

 神奈川県出身の篠田さんは鉛筆による細密描写、迫真表現で自然の造形の社寺などをテーマに作品を発表している作家。「高野山・熊野を愛する百人の会」メンバーで、2017年に那智勝浦RCの招きから、熊野那智大社(男成洋三宮司)に「那智瀧図」を奉納した。

 昨年11月には那智勝浦RCの創立60周年記念事業で、「紀の国わかやま文化祭2021(第36回国民文化祭・わかやま2021、第21回全国障害者芸術・文化祭わかやま大会)」応援事業の一環として、今回の卓話と同タイトルの展覧会を町内で開催し、多くの来場者でにぎわった。

 また、2日朝には後会長と共に同大社を訪れ、「那智瀧図Ⅱ―夜―」「那智瀧図Ⅲ―霧―」2作品を奉納した。

 卓話では、友人に串本町の河内祭(こうちまつり)に誘われ熊野地域に足を運んだとし、その際に偶然にも後会長と出会ったエピソードなどを紹介した。

 那智瀧図については、「初めて那智の滝を見た時は圧巻で、刺激を受けた。絵描きの習性で、どう表現すれば、描くことができるのかいろいろ考えた」と振り返る。

 これまで自然の風景を描くことがなかったという篠田さんは、日本一の落差を誇る滝を描くために観察に徹した。ある時、左側から吹く強い風で滝の形が変わることに気付いたという。

 過去に那智の滝を題材としてきた作家たちの作品は全て滝筋が真っすぐのものばかりだったが、篠田さんは自然現象によって起こる曲がった滝を描くことを決意。「あえて曲げて描く。アイデアではなく、自然現象を受け止めて描きたかった」と話した。

 夜間の取材時の苦労や、絵画として成立させるための工夫なども説明。これまでに取り組んだ作品についても解説した。

 今後の構想として「那智の滝展」を検討しているとし、「著名な作家と共にやりたい。詳細は未定だが、この地で実施できればと思い、かすかな希望として、お伝えさせていただきたい」と語った。

 その後、後会長から篠田さんに記念品が贈呈された。

(2022年6月5日付紙面より)

細密鉛筆画家の篠田教夫さんの講演に耳を傾ける会員ら=2日、那智勝浦町のサンライズ勝浦
篠田教夫さん
2022年06月05日
47 大渓谷の風景を堪能
 城山田サロンが瀞峡めぐり  

 新宮市熊野川町の能城(のき)・山本・田長地区合同の城山田ふれあいいきいきサロンが2日に開かれ、地域住民ら12人が今年3月に運航開始した「瀞峡めぐり」へ出かけた。

 瀞峡(瀞八丁)は和歌山、三重、奈良の3県にまたがる大渓谷で、国の特別名勝・天然記念物に指定されている。多数の要因が重なって昨年からウオータージェット船の運航が休止となったが、(一財)熊野川町ふれあい公社が川舟を利用して運航をスタートさせた。

 熊野川町玉置口から乗船した参加者たちは、往復約6㌔、約40分のルートで、切り立った渓谷や巨岩・奇岩が織り成す風景を巡った。途中、奥まった谷の隙間へ入る趣向もあり、約7000万年前に堆積した地層がマグマの熱変性や水の浸食を受けて形作られた雄大な自然を堪能した。

 仲岡久子さん(89)は「以前に瀞峡へ行ったのはもう10年以上前。近くの有名な場所というのは意外と行かないもので、いい機会になりました」と話す。参加者からは「乗るまでは少し不安もあったが、川の上は気持ちが良かった」「また来たい」などの声があった。

 船頭によれば、これまでにサロンで団体参加があったのは熊野川町の2件のみで「ぜひご乗船を」と呼びかけている。料金、運航に関する問い合わせは熊野川川舟センター(電話0735・44・0987)で受け付けているという。

(2022年6月5日付紙面より)

川舟で瀞峡へ出発=2日、新宮市熊野川町
瀞峡巡りに参加した皆さん
2022年06月05日
48 市木木綿、未来へ紡げ
 地元出身者らで会発足  

 御浜町下市木で明治時代から織られてきた「市木木綿」の魅力を発信し、次世代につないでいこうと「市木木綿を未来へ紡ぐ会」が発足した。唯一の織元、向井浩高さん(53)=熊野市木本町=の活動を支えるため御浜町出身・在住者ら約15人が力を合わせる。

 市木木綿は旧市木村で農業の副業として発展し、最盛期の明治中期には45軒ほどの織元があった。1本だけの単糸で織るため、通気性が良く、柔らかな風合いに仕上がる。レトロでカラフルなしま模様も特徴の一つだ。

 向井さんは友人の父親で最後の職人の大畑弘さんから技術を継ぎ、2004年から布団店を営む家業の傍ら、生地を織り続けている。当時から大畑さんの工場を借りていたが、明け渡すことになり、和菓子屋だった木造2階建ての空き家に移転することに。布団店と自宅のある熊野市に移せば便利になるが、発祥の地である市木で織るからこそ意義があると考え、8カ月ほどかけて移転先を探した。

 作業場だけでなく、展示やワークショップのためのスペースも設け、市木木綿の魅力を伝えながら次の世代に残していける場所をつくりたいと考えている。将来、後継者候補が現れた際には無償で譲渡したいという。機械の移動などを始めたが、一部改装を行うため、引っ越しの完了時期は決まっていない。

 紡ぐ会ではメンバーの提案を受け6月1日から7月20日(水)まで、土地建物の購入費の一部などに充てるためのクラウドファンディング(ネットを通して賛同者から少額ずつ資金の支援を受けること)を始めた。

 向井さんは「市木木綿に出会ったとき、大正にタイムスリップしたかのような衝撃があった。文化も含めてこの技術を残していきたい」と語る。会に参加する一般社団法人ツーリズムみはま(御浜町阿田和)の辻本安芸さんは「資金を集めるだけのクラウドファンディングでなく、地元の人に知ってもらいたいという意味もある。たくさんの人に市木木綿の魅力に触れてもらいたい」と熱意を込める。

 支援について詳しくは「市木木綿 レディーフォー」でネット検索かサイト(https://readyfor.jp/projects/ichigimomen2022)まで。

(2022年6月5日付紙面より)

向井浩高さん(左から5番目)と紡ぐ会のメンバーら=御浜町下市木の工場移転先
カラフルなしま模様が特徴の市木木綿
2022年06月05日
49 玄峰老師の遺徳しのぶ  湯ノ峰で毎歳忌法要  (田辺市本宮町 )
2022年06月05日
50 地域の見守り活動に  蓬莱福祉委員がホウ酸団子作り  (新宮市 )
2022年06月05日
51 約90点の力作を展示  原野鶴雲・容子「二人展」  
2022年06月05日
52 風がテーマの作品など並ぶ  熊野ネイチャークラブ写真展  (太地町 )
2022年06月05日
53 6組が競い和深A優勝 第18回串本町ゲートボール大会 
2022年06月05日
54 好天の下5小中学校が熱戦 運動会体育祭シーズン後半 (串本町)
2022年06月05日
55 男女とも矢渕ペアが優勝  中学生ソフトテニス大会  (南郡予選 )
2022年06月05日
56 楽しく防災に取り組む  鮒田自主防が防災散歩  (紀宝町 )
2022年06月05日
57 犯罪、非行を防止する環境を  社会を明るくする運動  (紀宝町 )
2022年06月05日
58 スモークツリーの花  新宮市のタウンガーデン  
2022年06月05日
59 お悔やみ情報
  
2022年06月01日
60 実証事業参加者ら、熊野にも
 訪日観光解禁に向け  

 訪日観光ツアー実証事業の参加者4人が5月29日、那智勝浦町を訪れた。参加者らは熊野古道を散策するなどして、当地方の文化や歴史に触れた。

 岸田文雄首相は26日、訪日外国人観光客の受け入れを6月10日(金)から再開すると表明。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため当面、旅程を管理しやすい添乗員同行のパッケージツアーに限定する。

 訪日観光客の解禁は、新型コロナ感染症の世界的な流行で往来が途絶えて以降約2年ぶり。政府はコロナ禍で疲弊した地域経済を立て直す構えだ。

 同実証事業は、訪日観光再開に向け、感染防止対策の順守方法や、緊急時対応などについて検証を行い、旅行会社や宿泊事業者などが留意すべき点をまとめた「ガイドライン」を策定し、関係者間に周知を図る目的で実施。▽効果的な感染防止対策の順守方法▽陽性者発生時を含む緊急時の対応▽陽性者の発生状況―などを検証する。

 同事業の出発国は変異株に対する非指定国で、かつ訪日重点市場。ワクチン3回目追加接種済みの者を対象とする。受け入れ地域は緊急事態宣言などが発令されておらず、都道府県が同意した地域のみ。

 同事業第1便は先月24日、米国から成田空港に到着。第14便のシンガポールを出発した4人は、27日に和歌山県に到着。4泊5日の日程で白浜町や那智勝浦町、古座川町、田辺市などを観光し31日に帰国した。

 ガイドや通訳と共に大門坂を散策した一行は「夫婦杉(めおとすぎ)の樹齢が800年と聞いて驚いている。熊野地方は交流サイト(SNS)で写真を見た。実際に見ることができてうれしく思う。那智の滝が楽しみ」。

 県内の感染対策に対して「飲食店などでソーシャルディスタンスの確保やマスク着用、手指消毒など、ピクトグラムで示されていて分かりやすく安心できる。人々もしっかり守っていると思った」と評価した。

 国の受け入れ緩和や和歌山県への来訪について「次は公共交通を利用するかレンタカーを使うか、すでに考えているところです」と笑顔で話した。

 訪日客は2018年に3000万人を突破。しかし新型コロナ流行に伴う水際対策や、各国の渡航制限で20年2月は前年同月比58・3%減少。4月以降はマイナス99・9%と記録的な落ち込みが続いた。なお、和歌山県では19年の訪日宿泊客数は最多となる約50万人を記録したが、20年には4万5000人ほどに落ち込んだ。

 外務省は5月26日、感染者数が減少傾向として、米英両国や香港など36カ国・地域の感染症危険情報を不要不急の渡航自粛を求める「レベル2」から、十分な注意を促す「レベル1」に引き下げた。

(2022年6月1日付紙面より)

シンガポールから訪れた4人が熊野古道などを散策。国内観光客と触れ合う一幕も=5月29日、那智勝浦町
2022年06月01日
61 コロナ禍でも工夫し運営を
 自主防災組織連絡協議会  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町自主防災組織連絡協議会(中路進会長)は5月27日、同町体育文化会館で「令和4年度第1回自主防災組織連絡協議会」を開催した。会議では令和3年度の事業実施報告や収支決算、本年度の事業計画について協議を行い、全議案が承認された。

 町内の34の自主防災組織で組織される同協議会。これまでに土砂災害防災訓練や町内統一津波避難訓練、孤立集落通信訓練などに取り組んきた。

 また、防災意識向上を目的に、和歌山気象台や東日本大震災の語り部などを講師に招いて研修会も実施している。

 中路会長は「新型コロナウイルス感染症終息のめどは立たないが、さまざまな工夫をしながら、協議会の運営を進めていきたい。皆さま方には一層のご支援をよろしくお願いします」。

 来賓の堀順一郎町長は「皆さまには日頃から安心安全のためにご尽力いただき、感謝しております。町政において、最も重要なことは町民の命を守ること。4年間でソフト・ハードともに整備に努めてきた。しかし、防災意識を高めて、少しでも安全な場所へ避難していただくことが大事。町としても実践に即した訓練をしていきたい」とあいさつした。

 本年度の事業は▽5月28日実施の土砂災害避難訓練▽11月5日(土)に実施予定の町統一津波避難訓練▽孤立集落通信訓練▽災害避難ゲームによる図上訓練▽第17回自主防災組織合同研修会▽視察研修▽防災教育▽県自主防災組織情報連絡会情報交流会―などを計画している。

 事務局の町総務課防災対策室からは土砂災害から命を守るために、大雨警報の危険度分布がリアルタイムで確認できる気象庁ホームページの「土砂キキクル」の活用を呼びかけたほか、避難情報などの発表・発令される状況および住民がとるべき行動、南海トラフ地震の防災対策推進計画や感震ブレーカーの補助制度、津波注意報等発表の際の避難行動、津波避難訓練アプリ「逃げトレ」などの説明も行った。

(2022年6月1日付紙面より)

那智勝浦町自主防災組織連絡協議会の皆さん=5月27日、那智勝浦町の体育文化会館
中路進会長
2022年06月01日
62 慶喜の「奏聞書」、市に託す
 展示、公開に歩み進める  (新宮市 )

 新宮市下本町の劔持幸代さんは5月26日、市役所を訪れ田岡実千年市長を訪問。劔持家に伝わる「慶喜奏聞書」実物を持参し「多くの市民に見ていただければ」と奏聞書を託した。市はいったん奏聞書を預かり、市文化複合施設「丹鶴ホール」で展示公開する方向で調整を進めていく予定だ。

 江戸幕府かつ日本史上最後の征夷(せいい)大将軍、徳川慶喜。江戸末期、「薩長同盟」が成立し倒幕への動きが加速する中、慶喜は1867(慶応3)年10月に政権を朝廷に返上。劔持家の「奏聞書」には大政奉還に対する慶喜の苦悩がつづられており、本人直筆ではないものの、慶喜の心情を今に伝える貴重なものとなっている。

 和歌山信愛大学非常勤講師の小山譽城・歴史学博士の鑑定によると「将軍職を辞退し、天下の公議を尽くして政権を運営するようにと朝廷に政権を返上したにもかかわらず、列藩の衆議もなく、薩摩・長州の藩士らが幼い明治天皇の近くにいて勝手な振る舞いに及んでいることは嘆かわしい」とし、天皇と万民の安心できる国にしたいという慶喜の願いがつづられている。翌年1月3日、鳥羽・伏見の戦いが勃発。激戦の結果、旧幕府軍は敗退することになる。

 奏聞書は新宮藩最後の藩主・水野忠幹(ただもと)に送られたもので、大政奉還後に記されたもの。慶喜の幕臣であった渋沢栄一の「徳川慶喜公伝」や「南紀徳川史」に記録は残るものの、現物が世に出るのは珍しい。

 なお、「徳川慶喜公伝」には「本書は大目付戸田忠愛携へて、十二月十八日の夜、大坂より上京せるも、岩倉具視・及松平慶永・山内豐信等の抑止する所となりて、遂󠄂に呈出せず」(原文ママ)とあることから、天皇の元に届かなかったことが分かる。同奏聞書は、12月19日に大坂城で尾張と越前の大名に渡されたほか、23日に江戸城に総登城した万石以上の大名らの手に渡り諸藩へ。当時、江戸詰だった忠幹に渡されたのは26日とされている。

 和歌山城郭調査研究会の小渕伸二さんによると「大政奉還を申し出る奏聞書や江戸城総攻撃をやめるよう求めた奏聞書、いわゆる天皇の元に届いたものは現存するが、同奏聞書は新政府ににらまれることを恐れてその多くが処分されたのでは」と推測する。

 長州征伐では幕府軍の先鋒(せんぽう)を務めて唯一戦果を挙げ、天誅(てんちゅう)組の変で公平な裁きを見せるなど、慶喜の信頼も厚かったとされる忠幹。劔持家は1619年に水野家が新宮城領主として入部した際に側用人として浜松から入国したという家系で、忠幹が大きな信頼を寄せていたことから同奏聞書を預かる立場であったと思われる。なお、劔持家では、1946年の昭和南海地震に伴う火災により、多くの貴重な資料が焼失。同奏聞書とアルバム数冊のみが被害を免れたという。

 奏聞書を手に取った田岡市長は「責任を持ってお預かりさせていただきたい。貴重な奏聞書。展示して広く見ていただければ」と劔持さんに伝えた。

(2022年6月1日付紙面より)

奏聞書を手に取る田岡実千年市長(左)と劔持幸代さん=5月26日、新宮市役所
劔持家に伝わる「慶喜奏聞書」
2022年06月01日
63 ベースとなる議論を進める
 県宇宙教育検討会議始まる  (串本古座高校 )

 第1回和歌山県宇宙教育検討会議(座長=中須賀真一・東京大学大学院教授、委員7人)が5月30日に県立串本古座高校(榎本貴英校長)であり、中須賀教授によると今回は検討のベースとなる議論を進めたという。

 普通科宇宙探究コースの2024年度開設に向け本年度から2カ年の準備期間に入った同校。その取り組みに対して幅広い分野の有識者から専門的知見を得るため、県教育委員会と共に有識者の協力を求めて同会議を設置した。

 委員は▽伊東千尋・和歌山大学学長▽遠藤守・スペースワン株式会社最高顧問▽尾久土正己・同大学観光学部教授▽河本聡美・宇宙航空研究開発機構(JAXA)研究開発部問第二研究ユニット研究領域主幹▽富田晃彦・同大学教育学部・教職大学院教授▽永崎将利・Space BD株式会社代表取締役社長▽中須賀真一(東京大学大学院工学系研究科教授)―の7人。対し宮﨑泉教育長ら県職員4人と榎本校長ら同校教員2人が事務局として名を連ねる布陣としている。

 今回は現場を確かめるため同校を会場にして実施。事務局を代表して宮﨑教育長、委員を代表して中須賀教授が同会議に懸ける思いを交わし合い、以降は非公開で約3時間の協議に臨んだ。

 この日の議事は「同コースにおけるカリキュラムや開設科目等」。今回特に取り決めた事柄はなく、県教委や同校の現時点の考えを委員に伝えて各委員が自身の立ち位置から宇宙教育への期待や展望を交えた意見を注ぐ流れで、今後の検討に欠くことのできない委員―事務局間の相互理解を主に図ったという。

 委員協力はコース開設までの2カ年とし、同会議は年3回の頻度で開く予定。その中でまずは本年度中にカリキュラムなど大枠、2年目はその詳細を詰める検討を進める。県教委と同校はそれら成果となる提言を取り入れて同コースのカリキュラムなどを決めていく。

 初の会議を経て榎本校長は「単に物理や数学を学ぶだけでなく、宇宙を題材にして生き方やチャレンジ精神を持つ生徒を育てていきたい。委員もそのような教育を考えてくれていた」と協議の印象を語った。

(2022年6月1日付紙面より)

事務局陣が見守る中、座長としてあいさつする中須賀真一教授=5月30日、県立串本古座高校
2022年06月01日
64 商店街でお店屋さん巡る  遠足で新宮市に出向く  (うどの幼 )
2022年06月01日
65 事業中間区間の早期完成を  近畿道紀勢線建促期成同盟会が総会  
2022年06月01日
66 迂回路での通行始まる  熊野川河口大橋の工事に伴い  (紀宝町鵜殿 )
2022年06月01日
67 700人以上が来場  熊野美術協会展表彰式  (新宮市 )
2022年06月01日
68 閑静な街道筋に人の活気  下部区内で青空マルシェ  (古座川町 )
2022年06月01日
69 雨にひるまず行動起こす  国民平和大行進2022  (串本町 )
2022年06月01日
70 地域防災力を未来に継承  熊野川河川敷で総合水防演習  
2022年06月01日
71 純白のクチナシの花  浮島の森で次々と咲く  (新宮市 )