2回目も定員超す申し込み (太地町 )
太地町は今年4月から、65歳以上の町民を対象とした買い物支援サービスを行っている。町から事業を委託された町社会福祉協議会(岡本研会長)が運営。1回目が4月19日に実施され、好評を博したという。2回目の予約も28人に上り好調で、マイクロバスと大型乗用車の2台対応となり、今月17日に実施した。
昨年、町が高齢者を対象に行ったニーズ調査で、日用品の購入などに困る声が多かったことから事業に踏み切った。今年3月の当初予算で35万4000円を計上し、議会で可決された。
同サービスは買い物が困難な高齢者を、無料で新宮市のスーパーセンターオークワ南紀店などに送迎し、自身で買い物をしてもらう取り組み。予約制で月に1回実施。定員は20人。原則、午前の便のみだが、申込多数の際は午後の便も運行する。
利用者は、店舗内外での移動や支払いが自身で行えることが条件。最寄りのバス停で待ち、マイクロバスなどで目的地へと向かう。
申し込み方法は、初回利用時に申請書を記入し、町社協に提出する。2回目以降の利用は、希望の都度に、町社協に電話で申し込むことができる。
ただし、毎年度1回は、身体状況や世帯状況などを把握するために、初回利用時と同様で申請書の提出が必要になる。町社協では、申請書を取りに来ることや提出が困難な場合は、対応するとしている。
社協職員によると、夏場の利用に向けての保冷対策や買い物先の選択肢拡大などの検討もしているという。初回にサービスを利用した80代の女性2人は「年を取ると腰が痛くて自転車に乗るのがつらくなるので、連れてきてもらえると便利で助かる」「ずっと楽しみにしていた。今日はいろいろと買い物ができた。車に乗っていたが、正月に免許を返納したので、遠くに買い物に行けなくなっていた。今日は無事に買い物ができた」と話していた。
岡本会長は「買い物支援と顔を合わすことのない町民同士のコミュニケーションの場や生きがいの創造にもつながっている。自らで買い物ができる方にはご遠慮いただいているが、こちらは今後の検討課題としたい。ぜひ、お気軽にご利用いただければ」と話している。
次回以降は▽6月21日(申込期限が6月16日)▽7月19日(7月14日)▽8月9日(8月4日)▽9月20日(9月15日)▽10月18日(10月13日)▽11月15日(11月10日)▽12月20日(12月15日)▽1月17日(1月12日)▽2月21日(2月16日)▽3月18日(3月13日)―となっている。
問い合わせなどは町社協(電話0735・59・3380)まで。
(2023年5月18日付紙面より)
和田煙火店で花火作り (熊野市 )
300年以上の伝統を有し、熊野市が誇る真夏のメインイベント「熊野大花火大会」に向けて、熊野市有馬町の和田煙火店(和田祐加子代表取締役)の工場で、花火作りが続いている。東紀州地域で唯一花火を製造しており、夏の夜を華やかに演出する8000発を生産する。
1914(大正3)年に創業して100年以上の歴史がある煙火店。新型コロナウイルスの影響で、数年間、各地の花火大会が中止となり、苦しい時期を過ごした。
今年は熊野大花火大会が4年ぶりに、七里御浜海岸で8月17日(木)に開催されることから、フィナーレを飾る鬼ヶ城大仕掛けを担う。
花火の生産は、ほとんどが手作業で、2号玉から〝尺玉〟と呼ばれる直径30㌢の10号玉までの大小9種類を作る。
作業は「星かけ」「爆薬」「仕込み」「玉貼り」「天日干し」などの行程を作業員が分担で行い、一つの花火が完成するまでに2週間から1カ月近くかかる。星の燃焼速度がそろい、玉が丸いものがきれいな花火になるという。一尺玉は重さ8㌔にもなる。鬼ヶ城大仕掛けで毎年大人気の「彩色千輪」は2号玉を入れた一尺玉を打ち上げ、500発の花火をさく裂させるという。
4代目の和田代表は「コロナで3年間も熊野大花火が中止になるとは思ってもみなかった。待ちに待った再開。鬼ヶ城大仕掛けでは合計1500発を打ち上げます。ぜひ、ご覧ください」と話していた。
(2023年5月18日付紙面より)
スポーツボイス教室が開講 (新宮市 )
新宮市役所別館で17日、「令和5年度スポーツボイス教室」が開講した。スポーツボイス公認インストラクターの森まりかさんが講師を務め、65~91歳の44人が音楽に合わせて発声しながら体を動かした。
スポーツボイスは、プロが行っているボイストレーニングを誰でも簡単に楽しくできるように開発された運動で、音楽に合わせて発声しながら体を動かすもの。▽そしゃく・嚥下(えんげ)機能低下の予防・改善▽運動機能・体力低下予防▽認知機能低下予防▽ストレスの解消▽コミュニケーションの構築―などに効果があるとされている。
新宮市では3年目となる取り組みで、本年度は3月まで月に2回のペースで20回の開催を予定。なお、前年度は前期・後期の2クールで実施していたが、継続的な教室参加に関する効果を加味し、本年度は年間通して開催していくという。
参加者はストレッチで体をほぐすと、音楽に合わせて発声練習を実践。森さんから「筋肉に年齢は関係ありません。毎日、少しずつ取り組めば、より健康になると思います」などと説明を受けながら、普段はあまり使うことがないとされている顔や顎周辺の筋肉を動かし、約1時間かけて全身運動や喉の使い方、息の吐き方などを体験していた。
(2023年5月18日付紙面より)
串本町消防本部(泉紀人消防長)が16日、サンゴ台にある消防防災センターで第51回県消防救助技術会に向けた訓練会を開いて出場する代表チームを選考した。
この技術会は、消防職員としての心技体と連携を培い他の模範となる者を育てることで救助技術の高度化を図る全国消防救助技術大会の趣旨に沿って年1回開かれている。同大会へ挑む県代表チーム選考を兼ねていて、今年は6月7日(水)に和歌山県消防学校=和歌山市=で実施予定。県内にある各消防本部で出場を目指す職員が鋭意訓練に打ち込んでいる。
串本町消防本部では引揚救助の部で2チーム、ほふく救出の部で3チームが出場を希望。個々の鍛錬を経て3月から警防課の岩谷大輔係長ら同技術会の経験がある先輩の指導を交え、非番返上で練習に取り組んできた。訓練会は泉消防長ら同本部職員に練習の成果を示す内容で、同本部代表チームの選考を兼ねて実施。各チームは順次試技に臨み、後に選考を受けた。
各チームの練習を統括する岩谷係長は「今年は若返りが特色。経験年数が短い選手もいる分、練習の回数を多くし若いという勢いも積んで挑んでもらえれば」とコメント。訓練会を始終見届けた泉消防長は「練習に頑張った成果を遺憾なく発揮し、仲間を信じて臆することなく大会に臨んでほしい」と出場する職員に期待を寄せた。
同技術会のほふく救出の部は優勝で同技術大会、引揚救助の部は準優勝以上で消防救助技術東近畿地区指導会の出場権がそれぞれ得られる仕組み。同本部は2年前の第49回においてほふく救出で優勝、引揚救助で準優勝したチームを輩出した県内の強豪。相応に最上位の同技術大会が理想に掲げる状況が宿る中で今後、各代表チームをさらに鍛え上げて本番へ送り出すという。
(2023年5月18日付紙面より)
前年比で122人増加 (GW観光客数 )
新宮市の主要5施設の、ゴールデンウイーク(GW)中の観光客数がこのほど分かった。コロナ禍前には及ばないものの、多数が訪問。瀞峡めぐりは前年より122人増加した。その他4カ所は減少したものの、5カ所の合計では増加に転じた。
▽浮島の森▽徐福公園▽旧チャップマン邸▽熊野川川舟下り▽瀞峡めぐり―の5カ所の、4月29日から5月8日までの各日の数字が判明した。二つの川舟クルーズは、増水や雨で休みの日もあった。
10日間の合計で、浮島の森の合計は457人。今年と同じく行動制限がなかった2022年は、同日間での合計が468人だったため、減少となった。コロナ禍以前の19年は、4月27日から5月6日までの10日間で1049人だった。
徐福公園の合計は871人で、22年は925人なので減少。19年は1347人だった。旧チャップマン邸は合計で94人、22年は108人、19年は142人。ただし今年は、22年や19年にはない休館日が2回あった。
熊野川川舟下りは、合計で235人、22年が257人。瀞峡めぐりは合計で434人、22年は312人。熊野川川舟下りは増水のため1回休みとなったのが影響したと予想される。瀞峡めぐりは、2回の定休日と1回の雨天休みがありながらも唯一、昨年以上の合計数となった。どちらの川舟クルーズも、19年はやっていなかった。
5カ所の全体合計は2091人で、22年の2070人を上回った。ただし、瀞峡めぐり以外の4カ所は全て22年より減少しており、瀞峡めぐりが単独で引き上げた。19年は二つの川舟クルーズはまだないが、3カ所合計で2538人に達しており、コロナ禍前はいかに観光客が多かったかが分かる。
瀞峡めぐりの受け付けを行う、新宮市熊野川町田長(たなご)の熊野川川舟センターの職員は、瀞峡めぐりの好調の理由について「近畿圏や愛知県から車で来るお客さんに、ちょうど良かったのでは」と推測する。
「乗り場は玉置口で、送迎バスもないため、お客さんが車で行く必要がある。近畿や愛知から車で来るのにちょうど良い距離にあり、自然に触れられ、あまり体験することのない川舟に乗れる。天気にも恵まれた」と話した。
(2023年5月14日付紙面より)
更生保護女性会が総会 (太地町 )
太地町更生保護女性会(北年美会長)は12日、同町公民館でコロナ禍のため、実施していなかった対面形式での総会を4年ぶりに開いた。事業計画ならびに予算案を承認したほか、同会を担当する住民福祉課の職員の自己紹介が行われた。
北会長は「4年ぶりに対面での総会が開催でき、ほっとしている。現在、会員の高齢化が進み活動も困難になってきた。互いに健康に留意し、助け合いながら地域に根差した活動を展開したいと思います」とあいさつ。
同会は青少年非行防止や子育てを支援するとともに、非行や犯罪に陥った人たちの社会復帰支援に取り組んでいる。
総会では、前年度の事業報告に加え、和歌山県更生保護大会で同女性連盟会長賞を受賞した林殖子さん、増田伊久美さん、川村迪子さん、和歌山保護観察所長感謝状を受けた岩本チヨカさん、小貝みゆきさんの功績がたたえられた。
本年度の事業として、県の大会や紀南ブロック研修会への参加、社会を明るくする運動(7月)、薬物乱用防止啓発活動(7、10月)などが挙げられ、承認された。
下津公広住民福祉課長が、4月から始まった入学祝い金制度の内容や、同月に開始された町社会福祉協議会に事業委託している買い物支援サービスの詳細や利用者の反響、町地域福祉センター梛の活用などについて説明があった。
続いて、総務課の和田正希さんが町の現状や取り組みを紹介。▽過去と現代にわたるクジラと人との関わり▽福祉施策▽梛の設置の理由▽30年にわたり進めるまちづくり―などを説明した。
そのほか、好評を得ている「高齢者のための自動運転による公共交通サービスの導入」についても話した。
(2023年5月14日付紙面より)
相野川沿いで幻想的に (紀宝町 )
紀宝町平尾井の相野川沿いで、ゲンジボタルが乱舞。川岸や草むらで無数の光りを放ち、幻想的な光景が広がっている。
日本には約50種類のホタルが生息するといわれ、町内にはゲンジ、ヘイケ、ヒメの3種類のホタルが生息。今の時季はゲンジボタルで、6月にはヘイケボタル、ヒメボタルが飛び始める。
相野谷小学校沿いを流れる相野川の周辺では、例年より早く、今月上旬ごろからゲンジボタルが飛び始めた。
町内でホタルの保護活動に取り組むほたるを守る会は、町内3地区7カ所にホタルの保護啓発を呼びかける看板を設置しており、蔵本一範会長は「観賞する際は静かに見守ってほしい」と話している。
(2023年5月14日付紙面より)
15周年迎える町民展示祭 (那智勝浦町 )
那智勝浦町文化協会(後誠介会長)、町民展示祭実行委員会が主催する絵画、生け花、呈茶の合同展「第15回町民展示祭」が13日、町体育文化会館で始まった。来場者は会員の力作やお茶を楽しんだ。最終日の14日は午前9時から午後3時まで。
展示祭は絵画の弁天画会(平内嘉子会長)、生け花の花好きクラブ(牧邦子代表)、茶道表千家流音無会(築紫充代会長)の3団体が成果を発表する場。
例年多くの来場者でにぎわっている。今年は15周年を記念して、各団体でくじ引きを実施。「はがき絵」「ブーケ」「懐紙」などが当選する催しも好評を博している。
感染症対策のため、マスク着用と消毒を呼びかけた。また、会場では、トルコ地震への義援金箱が設置された。
弁天画会は、今年のテーマである自画像やはがき絵、自由作品合わせて67点を出展。平内会長は「興味がある人もない人も作品を見て、楽しんでいただけたら幸いです」。
花好きクラブは季節の花を生けた作品約40点を展示。牧代表は「90歳を超える会員も頑張っている。自然の花々を生けているので、自然を感じていただけたら」と話した。
茶道表千家流音無会は、例年好評の茶席を設け、来場者をもてなした。築紫会長は「感染症対策を施している。おいしいお茶を味わってください」と語った。
町文化協会の後会長は「町に新緑を告げる催しであり、久しぶりと声をかけあえる場。出展者の方は来場者に見てもらうことで励みになり、生きがいにつながる。皆さまにも各門をたたいていただき、同様に生きがいを持っていただけたら」。
会場に訪れた堀順一郎町長は「生き生きとした山野草や素晴らしい絵、おいしいお茶を毎年、楽しみにしている。多くの方にお越しいただき、元気をもらってほしい」と語った。
(2023年5月14日付紙面より)
熊野速玉大社で鈴緒など取り付け (コロナ、8日から5類へ移行 )
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が、季節性インフルエンザと同じ5類に移行した8日、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)では、感染対策のために取り外していた「鈴緒」と手水舎の柄杓(ひしゃく)の取り付け作業を実施した。鈴緒などが元に戻るのは約3年ぶりとなる。
感染対策は、法に基づき行政が要請や関与をする仕組みから、個人の自主的な取り組みを基本とした考え方に変わる。政府は基本的対処方針を廃止。業種別ガイドラインもなくなり、事業者の判断に委ねられる。
神社本庁は2020年10月、各神社が行う新型コロナウイルス感染症拡大防止策の指針として「神社における新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」を策定。神社庁を通じて各神社に対策の検討を求めていた。
同大社では通達に先んじて、同年の年明け早々、鈴緒や柄杓を撤去するなど対策を実施。社会的距離が確保できるよう参拝路を設定したり、各所に消毒液を配置したりして感染対策を実践してきた。
この日は、神職が神前で奉告祭を執り行った後、拝殿で約3㌢の小さな鈴約15個をまとめた「速玉鈴」の取り付けに当たった。水がたまる部分をふさぎ、竹筒から流れ出る水で手を清めるようにするなどしていた手水舎では、上野宮司らが竹筒を撤去。8本の柄杓を並べ、参拝者を迎え入れた。
「速玉鈴」取り付け後、最初の参拝者となった愛知県豊川市から夫婦で訪れた60代男性は「鈴の音が爽やかで心が洗われるよう。朝一番で来て良かった」と笑顔。
上野宮司は「やっと鈴の音が戻ってきた。神社本来の姿に近くなってうれしい。この日を待ち望んでいた。しかし、(5類に移行したからといって)慢心するのではなく、基本的な感染症対策を講じていきたい」と話していた。
なお、同大社では引き続き各所に消毒液を配置するほか、神職や巫女(みこ)らはマスクを着用し参拝者の対応に当たっていくとのこと。また、換気が困難な「熊野神宝館」来館の際には、マスク着用への協力を呼びかけていくとしている。
(2023年5月9日付紙面より)
花火大会は中止しない方向 (串本町 )
串本町が2日午後、第16回串本まつりの実施が4年ぶりに決まったことを発表した。花火大会は従来通りの規模を目標とし、8月5日(土)に行う予定という。
串本まつりは、7月下旬から8月上旬にかけての町内主要イベントを包括する呼称。同まつり実行委員会が統括していて、事務局の町産業課によると先月28日に開いた総会で実施を申し合わせたという。
同実行委主催のイベントは2019年度当時で串本節踊り、花火大会、串本ダンスフェスin橋杭、サマーBANDライブの四つ。これから具体的に内容を詰めるが、至近の迫力で町内外から人気を得ている花火大会は新型コロナウイルスの情勢に伴う経済打撃や物価高騰などで運営の大変さもあろうが、できる限りの形を見いだし中止をしない考えで準備に臨むとしている。
開幕を飾る位置付けとなっている南紀串本観光協会主催のイベント「橋杭ビーチオープンフェスタ」は7月30日(日)に実施予定。終幕を盛り上げる串本町商工会青年部主催のイベント「ふれあい広場・アユのつかみ取り・ビンゴゲーム大会」は8月6日(日)実施予定だが、定年卒業で部員数が減っているためOBに協力を呼びかけつつできる形を探るところから準備が始まるという。
同商工会主催の関連イベント「串本まつりビアガーデン」は諸事情により中止の方向。串本海上保安署主催の関連イベント「巡視船艇体験航海」は、6日に従来通り(午前と午後の2回実施)で実施する方向で準備を始めるという。
新型コロナの情勢により直近の3年間は中止としたため、今回は19年度以来4年ぶりの実施予定。同実行委の島野利之会長は「串本まつりを楽しみにしている方がいっぱいいらっしゃるので、ぜひコロナ前と同じような形で実施できたらなと思っている。新型コロナウイルスが5類に引き下げられ通常営業でいけるようになる中、串本まつりも盛大に再開していきたい。大変だろうけれど、花火大会への寄付も含めてぜひご協力をよろしくお願いします」と話し、実施に意気込んでいる。
(2023年5月9日付紙面より)
大型連休、観光客でにぎわう
新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類へ移行するのを前に、連休中は全国でふるさとや観光地で過ごす人などでにぎわった。熊野地方の観光地にも多くの人が訪れた。訪日外国人客の姿も多く見られ、コロナ禍前をほうふつとさせるにぎわいを見せた。
新型コロナの感染対策が緩和される中で迎えた大型連休。終盤の6、7日は全国的に天気が崩れたが、前半は天候に恵まれ、汗ばむ陽気となった。
熊野三山では県内外から多くの参拝者でにぎわい、神職らが御朱印やお守りなどの授与品を求める人たちの対応に追われた。また、周辺の道路では時間帯によって渋滞が発生した。
友人たちと熊野速玉大社に参拝した大阪府の20代女性は「車が多くて着くまで大変だったけど来られて良かった。今から神倉神社に向かいます」。妻と共に那智山を訪れた30代スイス人男性は「那智の滝がとても美しかった。那智大社も青岸渡寺も神秘的で素晴らしい。次は熊野三山全てを回りたい」と話していた。
道の駅やレジャー施設も家族連れなどでにぎわった。親戚や家族と共に太地町立くじらの博物館を訪れた愛知県名古屋市在住の30代男性は「去年も来たが、人は今年のほうが多い気がする。クジラやイルカに触ることができて、子どもたちもとても喜んでいる」と笑顔で話した。
(2023年5月9日付紙面より)
新宮市出身の文豪で、望郷詩人とも呼ばれる佐藤春夫(1892~1964年)の命日の6日、市内の佐藤春夫記念館前庭でお供茶式(くちゃしき)が営まれた。関係者や一般約50人が参列し、文豪の遺徳をしのんだ。
茶道裏千家淡交会が長年、大社烏集庵(うしゅうあん)や望郷五月歌碑前で営んできた式で、記念館がオープンした翌年の1990(平成2)年から(公財)佐藤春夫記念会(須崎恵美代表理事)と共に記念館庭園で開いている。
式には田岡実千年市長や速水盛康教育長、濱口太史県議、市議会議員らも出席。茶道裏千家淡交会南紀支部の湊宗巳さんがお点前、半東・お供えは関宗重さんが務めた。式典後には、4年ぶりに淡交会員たちによるお茶と和菓子の振る舞いがあった。
式典に当たり、辻本雄一・佐藤春夫記念館長は、今年初めに逝去した、記念会前代表理事の舩上光次さんに対し「長年にわたって当地方の教育に貢献され、たくさんの教え子たちを育ててこられたご功績に敬意を表します」と哀悼の意をささげた。
移転に伴い、来年度中に休館に入る同記念館について「市文化振興課の助言も頂きながら、春夫先生顕彰の手だてをいろいろな形で模索していきたい。今後ともさらなるご支援、ご協力を」と呼びかけた。
田岡市長は「春夫先生は望郷詩人と呼ばれるほどふるさとを愛された方だった。その功績を改めて顕彰し、その精神や作品を後世に伝えていくことが私たちの使命。今後も皆さまと心を共にし、先生がこよなく愛された『ふるさと新宮』の豊かな自然と伝統を守り、新しい文化の創造と発展に心を尽くしていきたい」とあいさつした。
(2023年5月9日付紙面より)
走破目指し思いつなぐ
4月29日に千葉県銚子市を出発した、ナショナルサイクルルート「太平洋岸自転車道(PCR)」をタンデム(2人乗り)自転車で走破する「太平洋岸自転車道をタンデムでつないじゃえ2023」のメンバーらが4日、新宮市に到着した。参加メンバーらは翌5日に同市を出発。ゴールの和歌山市を目指す。
PCRは、千葉県から神奈川県、静岡県、愛知県、三重県を通り和歌山県までをつなぐ、全長1487㌔の日本最長の自転車道。日本を代表する魅力的な自転車道として国内外にPRするため、2021年5月にナショナルサイクルルートに指定された。
同年には、PCRの認知度向上、地域とPCRとのつながりの創出、活用方法の模索などのために民間の有志らが立ち上げた「太平洋岸自転車道を繋(つな)いじゃえプロジェクト」の発起人2人が同ルートの走破を達成。
今回のプロジェクトは、大阪で介護・ケアワークに携わるメンバーが「もっと障害者スポーツ、タンデム自転車に関心を持ってほしい」と思い立ち、和歌山サイクルプロジェクトとともに企画した。
タンデム自転車によるみんなに優しいサイクリングの実践・周知や、自転車とサイクリングルートを通した関係づくりなどを目的に掲げ、障害のある人などを後者ライダーとして迎えて7日までの9日間をかけてコースを走破する。
なお、タンデム自転車は複数人が前後に並んで乗り同時に駆動することができる自転車で、障害者スポーツとしてのパラサイクリングでは視覚障害クラスの競技としてタンデム自転車を使用したレースが実施されている。障害があってもサイクリングを楽しめる手段として活用されており、各都道府県でも次々と一般公道などにおいて走行が解禁されている。
6日目の4日の夕方に新宮市入りした参加メンバーらを、地域の自転車愛好家や市職員が歓迎した。メインパイロットの一人である、大阪府の介護会社「エールラインケア」代表で日本パラサイクリング連盟の小山結美さんは、タンデム自転車の安全性と、障害者だけではなく、一般の人にもその楽しさを広く知ってもらいたいと思いを語り「今回のプロジェクトでは立ち寄ったポイントでタンデム自転車の体験会も行うことができた。タンデム自転車を知ってもらう機会の提供や自転車を通した交流を今後もつないでいきたい。安全にゴールを目指したい」と話していた。
一行は7日午後、終点の和歌山市加太に到着する予定。
(2023年5月7日付紙面より)
勝浦護国神社で例祭営む (那智勝浦町 )
那智勝浦町勝浦の勝浦八幡神社(髙橋正樹宮司)境内にある勝浦護国神社で3日、第68回例祭が営まれた。午前9時から忠魂碑前で式典を、10時から同神社で式典と奉納行事を実施した。遺族や町消防団(下地将仁団長)、来賓など約50人が参列し、258柱の英霊に冥福を祈り白菊をささげ、平和と安寧を願った。
護国神社は日露戦争以降の大戦に出兵、また消防団員として尊い命を国にささげた人たちを神霊として祭っている。例祭は1955(昭和30)年に始まり、現在も勝浦6区で結成される同神社奉賛会(会長・坂井與己第6区長、勝浦地区区長会長)、勝浦遺族会、髙橋宮司の奉仕により、絶やすことなく営まれている。
神社での式典では舟謡(ふなうた)勝謡会(中村誓会長)や神輿(みこし)会、櫂伝馬(かいでんま)保存会の会員らの歌声に合わせ、参列者が国歌を斉唱。髙橋宮司が戦没者の英霊や殉職者ら258人の名前を読み上げ、祝詞を奏上した。
堀順一郎町長は「尊霊には先の大戦において、ひたすら祖国の興隆と同胞の安泰を願いつつ、尊い命をささげられました。消防殉職者におかれましては、郷土を思う不屈の消防精神の下、尊い犠牲となられましたことは、その勇気が永くたたえられるとはいえ痛惜の念に堪えません。私たちは戦火に、防災に散った尊い258柱のみ霊に見守られ、平和で明るく住みよい那智勝浦町を力強く築いていくことを謹んでここにお誓い申し上げる次第でございます」と慰霊の言葉を述べた。
舟謡勝謡会らが舟謡を奉納し参列者が白菊を献花。その後、勝浦獅子神楽保存会(沖和也会長)が獅子神楽を奉納した。
坂井会長は「258柱の英霊を追悼し、感謝の心をささげ、平和への誓いを新たにした。例祭にご参列いただき、ありがとうございました。年々、ご遺族の参列がさみしくなっているが、258柱のみ霊が祭られている限り、私たちが引き継いでいかなければならない。ご協力をお願いします」とあいさつした。
この日は直会(なおらい)も行われた。集まった参列者らは食事を取り、会話を交わすなどして、共にひとときを過ごした。
(2023年5月7日付紙面より)
ウミガメ放流会も大盛況 (紀宝町 )
好天が続いたゴールデンウイーク(GW)後半の3~5日、各地の行楽地は観光客でにぎわいを見せた。新型コロナウイルス対策が緩和される中、紀宝町の道の駅「紀宝町ウミガメ公園」でもコロナ禍前に近い人出となった。
「3日から急激に来場者が増えた。2年前、3年前とは比べものにならない人。これだけ忙しいゴールデンウイークは懐かしい」。観光客の子どもたちにウミガメを紹介する男性スタッフはそう話す。
今年は、ウミガメタッチイベントをはじめ、フリーマーケット、屋台が登場。ウミガメ水族館の営業時間を延長するなどして観光客を迎えた。
「こどもの日」の5日には、熊野灘の漁網にかかり保護していたアオウミガメの放流会を開催。多くの観光客らが見守る中、井田海岸から甲長40㌢、推定5~10歳のウミガメを海へと帰した。
観光客らはスマートフォンでカメを撮影し、放流の際には「ばいばい、元気でね」と手を振った。
臨時駐車場が常に満車になるなど、人と車であふれたウミガメ公園。県外から観光で家族と訪れたという男性は「ウミガメを初めて見て、放流まで経験できてラッキーでした。子どもも良い思い出になったと思う」と話していた。
(2023年5月7日付紙面より)
北山村の観光筏下り開航
熊野川の支流・北山川で3日、筏(いかだ)に乗り急流のスリルと渓谷美を楽しむ北山村の観光筏下りが始まった。関係者らが参列し神事を執り行った後、救命胴衣を身に着けた観光客らを乗せた第1便が出発。乗客らは水しぶきを受けながら迫力満点の川下りを満喫した。
筏下りは元筏師や村民の努力で1979年に観光筏下りとして再開し今年で44回目。特産品のかんきつ系果実「じゃばら」とともに村の基幹産業になっている。スギの丸太8本で組んだ床を七つ連結している筏は、全長約30㍍、幅約1・6㍍、重さは7㌧。手すりと席が設けられ、訓練を積んだ筏師たちが櫂(かい)で操船する。
約5・5㌔を約70分かけて下るコースで、水量豊かな北山川の急流と渓谷の大自然、そして筏師の伝統技術を楽しむことができる人気のレジャーだ。例年なら年間約7000人ほどが体験に訪れるが、新型コロナウイルス感染症の影響で令和2年度は3251人、令和3年度は4277人にとどまった。昨年度は6310人が乗船し、コロナ禍以前の水準に戻りつつある。
今年3月の京都・保津川下りの転覆死亡事故を受け、乗客の救助訓練などを集中実施し安全に万全を期した。運航責任者の山本正幸さんは「今年は川のコンディションが良い。山々の緑に包まれる癒やしの時間と急流のスリルを楽しんでほしい」と話していた。
観光筏下りは1日2便。料金は大人6600円、小学生3300円。乗船対象者は10~75歳の健康、健脚な人。
筏をゆっくり進めながら景観を楽しむことができる人気の特別便は14日(日)、6月4日(日)に運航予定で大人9900円、小学生6600円(弁当、お茶、おくとろ温泉入浴含む)。予約・問い合わせは北山村観光センター(電話0735・49・2324)まで。運航期間は9月30日(土)までを予定している。
(2023年5月7日付紙面より)
新宮GG同好会「春季大会」
田辺市長杯争奪弓道大会
ナガセケンコー旗軟式野球大会