行者堂の上棟式を営む (那智山青岸渡寺 )
那智勝浦町の那智山青岸渡寺(髙木亮英住職)は27日、同寺敷地内で、熊野信仰・山岳宗教のシンボルとなる「行者堂」の上棟式を営んだ。髙木住職や髙木智英副住職、熊野修験の山伏、建設を行う岐阜県関市の亀山建設の亀山直央代表取締役や関係者ら約50人が参列。再建が近づく行者堂の棟上げが無事に終えられたことへの感謝をささげ、完成までの安全を祈願した。
同寺では、明治初年の神仏分離・廃仏毀釈(きしゃく)と1872(明治5)年の修験道廃止令によって元あった行者堂が取り壊された。
その後、髙木住職が亡き父への追善供養と自らの使命感から1988年に熊野修験を再興。行者堂再建は髙木住職や熊野修験らにとって、かねての目標・念願だった。
行者堂は三間四方の木造平屋建てで、敷地面積は42・54平方㍍。工期は今年10月20日(金)までだが、同月18日(水)に竣工(しゅんこう)式に当たる落慶法要を予定。完成後は熊野信仰や熊野修験における自己再生の道場として利用される。
上棟式では、山伏のほら貝が鳴り響き、髙木住職らが読経。続いて、建物の末永い安泰を祈念する工匠式が同社によって斎行された。棟梁(とうりょう)らが伝統的な工匠の礼装に身を包み、作法にのっとって、「曳綱ノ儀」や「槌打ノ儀」を行った。
式後、亀山代表取締役は「名刹(めいさつ)の行者堂再建に携わることができ、感謝している。この建物は太い柱、太い部材で構成されている。古くからの技術を遺憾なく発揮し、歴史ある建物として行者堂の復興に向けて、精いっぱい努めてまいります」と話した。
智英副住職は「本日を迎えることができたのは熊野修験、関係者の皆さまや亀山建設さまのおかげ。完成後は日本一の行者堂として、熊野修験の根本道場として、研さんを積んでいきたい」と感謝を述べた。
髙木住職は「父・亮孝大僧正の熊野修験への思いを感じ、復興に至った。亀山建設さまのご支援で、約150年ぶりに熊野修験の根本道場である行者堂が再建される。多くの方々のご協力に感謝している。再建を通して熊野信仰を一人でも多くの方々に知っていただき、熊野の自然や霊気霊験に触れ、心の再生につなげてほしい」と語った。
(2023年5月28日付紙面より)
紀伊半島の海亀を守る会 (新宮市 )
ウミガメの保護活動を展開する「紀伊半島の海亀を守る会」(山舗徹哉会長、環境ファースト連合会会員)の会員らは27日、アカウミガメの産卵シーズンを前に、新宮市王子ヶ浜のふ化場周辺で清掃活動を実施。約10人が草刈りや溝掃除、海水ポンプの点検などに汗を流した。
同浜は絶滅危惧種・アカウミガメが訪れる世界でも数少ない海岸の一つ。同会は、波浪流失や小動物の捕食被害からアカウミガメの卵を守るための保護活動を行っている。
アカウミガメの上陸・産卵シーズンは5月中旬から8月半ばごろまで。1回の産卵で平均110~120個の卵を産み、60~80日でふ化する。卵は海岸に隣接するふ化場に移し、ふ化した子ガメは秋ごろに海に戻される。
同会は、アカウミガメの上陸・産卵を確認するために、今季は今月14日から早朝パトロールを開始。14人が交代制で毎朝午前5時から確認作業を行っている。
昨年は6月14日に初上陸と産卵を確認。8月1日までに5匹の親ガメの上陸が確認され、うち4匹が計489個を産卵し311匹がふ化。毎年秋に、地域の子どもたちを招いて同浜でウミガメの放流会を開催しているが、新型コロナウイルス感染症や天候不良の影響で、過去4年間は実施に至っていない。
山舗会長は「上陸・産卵があって今年こそは5年ぶりに子どもたちと一緒に通常規模の放流会を行うことができれば」と期待を込めた。
(2023年5月28日付紙面より)
くろしお乗り表敬訪問 (紀勢線の今後を考える協議会 )
紀勢線の今後を考える協議会(立谷誠一会長=元白浜町長)の和歌山県知事やJR西日本和歌山支社長への表敬訪問に参加するため、関康之副会長(=新宮商工会議所会頭)など3人は26日、JR新宮駅から特急くろしおに乗り込んだ。和歌山駅までの利用で協力する姿勢を示した上で、会が実行中の利用促進策を伝えた。
同会は、南紀州の民間事業者や有志が集まり、昨年の11月中旬に発足。本紙エリアからは新宮市観光協会や那智勝浦観光機構、南紀串本観光協会事務局長、新宮ガス社長、新宮信用金庫理事長、新宮商工会議所専務理事も参加している。紀勢線の特に白浜―新宮間の利用率が低く、存続が危ぶまれることから、対策を協議している。
まずは活動を認知してもらおうと訪問を決めた。協議会として利用促進のため▽白浜―新宮間の各駅周辺施設の共通マップ作製▽地元企業や官公庁などへのJR利用促進依頼▽JR各駅周辺の駐車場情報案内▽JR各駅から2次アクセスを含めた案内をまとめる―などを行っていることも説明した。
利用促進を目指すことを行動で示すため、訪問の参加者が地元各駅でくろしおに乗り込んだ。関副会長は出発に際し「(利用促進は)地域一体となり考える必要がある。月に1回、JRに乗りましょうキャンペーンをやるなど、何らかの形で利活用を考えていかないと」と力を込めた。
JR西日本は昨年4月に、利用者が少ない路線の収支を公表。2017~19年度の赤字額の平均は、紀勢線の新宮―白浜間がワースト2位の28億6000万円だった。
(2023年5月28日付紙面より)
那智勝浦ゴルフ倶楽部レディース杯
総合スポーツ大会グラウンドゴルフ (ゆうゆうクラブ )
「海彩まつり」4年ぶりに開催 (新宮市 )
当地方を中心に県内外の踊り団体が多彩な踊りを披露する「第14回南紀海彩(かっさい)まつり」(同実行委員会主催)が6月4日(日)の午前10時~午後3時、新宮市佐野の新宮港緑地で開催される。北道江利実行委員長は23日、同市緑ヶ丘の東牟婁振興局で会見を開き、4年ぶりの開催に向け「踊りで地元を盛り上げたい」と意気込みを語った。
「南紀海彩まつり」は踊りを通じて地域、世代間の交流を深め、地域を活性化したいという思いから2006年に始まった。北道実行委員長が立ち上げた新宮市を拠点に活動するよさこいチーム「Team雅龍(がりゅう)」が、遠方でのイベント参加を通して他地方の団体と交流を重ねる中で抱いた「熊野地方にも来てほしい」といった思いがイベント開催への道標となった。
回数を重ねるごとに参加団体、来場者ともに増加し、コロナ禍前の2019年には46団体が参加し、1700人以上(主催者発表)が会場に訪れた。なお、同イベントは新型コロナウイルス感染症の影響で翌年以降は中止を余儀なくされていた。
今回は、当地方を中心に愛知県名古屋市や和歌山市、三重県伊勢市、鈴鹿市などから36団体が参加。よさこいやフラダンス、日本舞踊、ストリートダンスなどで会場を盛り上げる。近畿大学附属新宮高校・中学校吹奏楽部の演奏もイベントに花を添える。また、会場ではグルメやマルシェスペースも設けられるほか、和菓子のふるまい(数量限定)もある。
フラッグショーやスタンプラリー、豪華景品が当たるタオルくじなどの企画も盛りだくさんで、新たな試みとしてLINE(ライン)を使用した「なぞとき」なども開催予定だ。
北道実行委員長は「4年ぶりの開催で準備段階から忘れていることも多々あったが、踊り子だけではなくみんなが楽しめるイベントを目指している。多くの方に会場に足を運んでほしい」と来場を呼びかけている。
当日は小雨決行、荒天時は中止。イベントの詳細はホームページ(http://nankikassai.web.fc2.com/、QRコード)を参照。問い合わせは北道実行委員長(電話090・3052・4351)まで。
(2023年5月24日付紙面より)
磯観察会に親子ら16人 (太地町立くじらの博物館 )
太地町立くじらの博物館(稲森大樹館長)は20日、向島遊歩道沿いの磯で「磯のいきもの観察会」を開いた。町内外から親子16人が参加し、海の生き物たちの営みに触れた。
磯の岩場や潮だまりに残された生き物を採集・観察することで、その生態や海洋環境について考え、小さな生き物たちの営みに触れてもらおうと開催した。
この日は荻原拓さんら博物館スタッフがガイドを務め、海で遊ぶときの注意点や危険な生き物について解説。参加者たちはライフジャケットや軍手を身に着け、生き物探しへ出発した。
岩場や潮だまりの海藻の中にはさまざまな生き物が動いており、ハゼやナマコ、ウニ、ヤドカリなどが発見された。海藻のような毛が密生したケブカガニや、体中に海藻やサンゴを付けて天敵からカムフラージュしているイソクズガニ、体の上に小石などを乗せる習性を持つコシダカウニなどが発見された。
日本一小さい魚ともいわれるゴマハゼや、顔がカエルに似ているといわれるカエルウオなどの魚類は、博物館スタッフが同定に協力した。
家族で参加した森本美桜さん(太地小5年)は「今日捕まえたのはムラサキウニ。家から海が近いので、磯で遊ぶのが好きです。ウツボを捕まえたかったな」と話していた。
(2023年5月24日付紙面より)
大島支館が映画上映会開く (串本町公民館 )
串本町公民館大島支館(古田茂丈支館長)が20日夜、紀伊大島開発総合センターで映画上映会を開き20人が映画館を意識した視聴環境で作品鑑賞に親しんだ。
この上映会は、大島区長会の推挙に応えて本年度から着任した古田支館長(59)による新たな試み。自身の愛好を生かしてプロジェクターやスピーカーなど必要な資機材を教育委員会から借りて視聴環境を組み、区民の中心世代層を考慮して「なつかしい風来坊」(1966年製作)を初上映作品として選択。手作りの告知ポスターを掲げて、当日の来場を呼びかけた。
スクリーンとして縦2㍍、横約3・5㍍の古布を調達。少し黄ばんでいるが試写で気になるほどではないと確かめ、画面の大きさ優先で同センター備え付けのスクリーンではなくこれを使うことを決めた。上映前にはBGMを流し、飲み物を配って来場を歓迎。上映中は古布の横幅いっぱいに作品を投影し、音響も映画館に近いレベルで響かせて鑑賞した。映画館を意識しているが社会教育活動なので、入場料は無料。今回の成果を素地にして今後、同支館の定例活動として年6回程度の実施を目指すという。
「公民館だから文部科学省指定の映画を上映、とは考えていない」と語る古田支館長が見据える先は、サブカルチャーで区民が盛り上がる状況。秀でた伝統文化(水門祭など)を持つ一方、外の文化に親しむ経験が他の地域に比べてごく少ない点を映画の力で変えたいと意気込む。
いまひとつ、映画はテレビや最近はスマートフォンなどでも見ることができるが映画館には一人や少人数の鑑賞では得られない「みんなで鑑賞し、みんなで興奮する」という独特の後味があり、その要素も取り入れて区内を盛り上げることにこだわっている。
今後も洋邦問わず秀作を選びできうる限りの臨場感を出して上映するが、映画自体が若者志向の文化で年を取るほど見に行こうという気持ちが湧きにくくなる傾向があるので当面は機会が少ない年長を優先。若い頃に親しんだ興奮を思い出しながら鑑賞を楽しめるよう、レトロ作品を選ぶ流れで様子を見るという。
(2023年5月24日付紙面より)
色川棚田で田植え体験 (那智勝浦町 )
棚田を守ろう会(峯茂喜代表)の主催による「田植え体験」が21日、那智勝浦町小阪の棚田「米作り体験農場」であった。近隣をはじめ大阪や名古屋から多数が参加。昔ながらの手植えで苗を植えた。
同会は、2005年に前身団体が発足、翌年に名称を変更し、田植えや収穫の体験などを開催してきた。しかしコロナ禍の影響で中断し、この日は4年ぶりの実施となった。なお同町では11月に、第28回全国棚田(千枚田)サミットの開催を予定している。
参加者は、会のスタッフの指導を受け、田植えに挑戦。はだしや長靴で田に入り、苗を1束ずつ、手で植えていった。手や服を泥で汚しながら、少しずつ作業を進めていた。
峯代表(68)は「たくさん来てくれて喜んでいる。ここは色川の顔みたいなところ。できるだけ維持していきたい。ただ、会で維持ではなく、誰かが耕作してくれるのが本来の形。耕作してくれる人が(色川棚田に)入ってきてくれれば」と話した。
事務局の吉田創さん(53)は「体験を機会にこういう場所があることを知り、田んぼを耕して生活してくれる人が増えたら。サミットも盛り上がれば」と語った。
植える田は79枚で、面積の合計は0・4㌶。品種はコシヒカリともち米を少々で、豊作なら七、八百㌔の収穫になる。7月に草取り、9月に収穫の体験の実施を予定している。
(2023年5月24日付紙面より)
西田君、森本さんも準優勝 (北道院拳法錬成大会 )
新宮ソフトテニスが全国、近畿へ (和歌山県予選 )
学童軟式野球(B級)東牟婁大会
アジア協会メンバーらが市長訪問 (新宮市 )
(公社)アジア協会アジア友の会の村上公彦事務局長ら5人は11日、新宮市の田岡実千年市長を訪問し、新型コロナウイルス感染症の影響で3年間実施できずにいた「土と水と緑の学校」の再開に向け意見交換。学校に対する思いや今後の課題などを共有した。
「土と水と緑の学校」は、新宮市、アジア協会アジア友の会、(一財)新熊野体験研修協会が主催する自然学校。大自然の中、地球の基本である土、水、緑について学び、その役割や大切さに気付いてもらうことを目的に1984年に開始した。
40年にわたり、子どもたちの健全育成に寄与。毎年、約80人の小中学生が夏休みを利用して参加し、高校生以上のリーダーの協力を得て共同生活やさまざまな体験を通して熊野の自然やコミュニケーションの大切さなどを学んでいる。これまで、延べ2952人の子どもたちが参加した。
前回、2019年には地元や大阪周辺、同市の姉妹都市・宮城県名取市から76人の子どもたちが参加。同市高田の高田グリーンランドを中心に、5泊6日の日程で班ごとに分かれてキャンプやカヌー遊び、水生昆虫の観察、ホエールウオッチングなどを体験したが、新型コロナウイルス感染症の影響で翌年以降は中止となっていた。
今年は、新型コロナの5類移行などを背景に、日にちの短縮や参加人数の定員を約半数にするなどの対策を講じながらも8月4日(金)~8日(火)の日程で実施していく計画としている。
この日、田岡市長と村上事務局長らは「リーダーの募集を始めているがリーダーの育成も必要」「3年のブランクは大きく、ノウハウの継承も難しい」などと現状や課題を共有。
4年ぶりの開校に向け、村上事務局長は「事故のないように子どもたちに指導したい。今の子どもたちは体験が少ないと感じている。熊野の自然を体験していただき、機転力や洞察力、創造力などの知恵を養ってほしい」。
田岡市長は「4年ぶりに開校できて本当にうれしい。子どもたちの元気な姿が見られることを、今から楽しみにしています」と話していた。
(2023年5月13日付紙面より)
ドライバーらに街頭啓発 (那智勝浦町・太地町 )
那智勝浦町では「春の全国交通安全運動」の初日となる11日午前7時30分、同町天満のAコープなち店前や汐入橋交差点付近で早朝街頭啓発があった。
出勤の時間帯に合わせた運動期間中の恒例行事。堀順一郎町長や町職員をはじめ、町交通指導員協議会、交通安全協会新宮支部、新宮警察署、JAみくまの農業協同組合、那智勝浦自動車教習所などから25人が集まり、啓発を行った。
堀町長が「思いやりを持って交通安全に取り組むことで、事故の減少にもつながる。皆さまが安心して暮らせる町にしていきたい」と訓示。
町交通指導員協議会の塩﨑一男会長が「通勤・通学時間帯と重なり、交通量も多いと思いますので、啓発物資を渡す際には、ご自身が事故に遭わないよう、しっかりと安全確認をしていただきますようお願いいたします」とあいさつした。
参加者はドライバーたちに「こどもを始めとする歩行者の安全の確保」「横断歩行者事故等の防止と安全運転意識の向上」「自転車のヘルメット着用と交通ルール遵守(じゅんしゅ)の徹底」など、運動の重点を記したチラシや町交通指導員協議会の発足50周年記念タオルなどの啓発物資を配布した。
「現在、春の全国交通安全運動を実施しています。運転の際はお気を付けて、安全運転でお願いします」などと呼びかけた。
□ □
太地町太地の小畑石油前の交差点においても、午前10時45分ごろから街頭啓発を実施した。
新宮署、交通指導員会、町職員、町立太地小・中学校の保護者、和歌山県職員、関西電力などから20人が参加し、啓発に取り組んだ。
参加者は田辺市出身の落語家・桂三歩さんと共に声がけをしながら、啓発物資を配った。
桂さんは「皆さま、安全運転を心がけておられるが、慣れが出てしまうと、事故につながる可能性もある。啓発を通して、交通安全の意識や大切さに気付いていただければ」と話していた。
(2023年5月13日付紙面より)
串本町と自社作成の協定締結 (有限会社岡村 )
三重県松阪市に本社工場を置く「有限会社岡村」(西口鐵也代表取締役)が11日、串本町と地域における見守り活動に関する協定を締結した。
同社は1952年創業の豆腐・揚げ類製造販売会社。95年から移動販売業務を始め、その先々の地域から寄せられる見守り活動への誘いに応えて2020年9月、自社作成の同協定を伊勢市と初締結した。以降、今月10日までに三重県内で28市町村、和歌山県内で新宮市と那智勝浦町の2市町と締結済み。串本町との締結は同社として31例目、和歌山県内では3例目となる。
この日は西口代表取締役と髙橋千秋顧問、金谷英生・営業課長兼総務課長が同町役場本庁舎を訪ね、田嶋勝正町長と福祉課の鈴木一郎課長が応対。両代表名で同協定書2通に署名をして締結し、西口代表取締役は「普段やっていることの範囲で町のお役に立てることは、私どもにとってもありがたいこと。地域の方にもっともっと使っていただけるようやっていきたい」、田嶋町長は「串本町も高齢化率が大変高く、65歳以上の1人住まいが2654軒もあるまち。健康なうちは特に問題なく生活されているが、年を重ねるごとにいろいろな不調が出て(周囲から)『あの人どうしたのかな』といった声が聞こえてくることもある。共に協力をさせていただくので、今後とも末永くよろしくお願いしたい」とあいさつを交わして歩み寄った。
この協定は移動販売先で住民の異変に気付いた場合に自治体などとただちに連携し、迅速かつ適切な対応に寄与する内容。同社は現在白浜町や上富田町方面まで移動販売網を広げていて、同協定の内容にかなう展開が見込める状態に達し次第その地域の自治体に締結を申し入れるという。
□ □
この協定の趣旨は同町が22年度から導入している高齢者見守りネットワーク事業に通じる面があり、締結を機に同町はこのネットワークの協力事業者となることを同社に提案。承諾が得られたため締結後にその登録証を交付した。町内2事業者に続き3例目で、今後も登録増を目指すという。
この事業の問い合わせは町福祉課(電話0735・62・0562)まで。
(2023年5月13日付紙面より)
3年生児童が校区探検 (神倉小学校 )
新宮市立神倉小学校(藪中秀樹校長)は11日、3年生の社会の授業の一つとして、校区探検を行った。70人の児童が旧市内を巡り、校区内のどこに何があるかを確かめた。
教職員の引率で、学校を出発。▽和歌山地方裁判所新宮支部▽浮島の森▽新宮市保健センター▽オークワ新宮仲之町店▽仲之町・丹鶴・駅前本通り商店街▽新宮郵便局▽新宮駅▽徐福公園・蓬莱公園▽市役所・中央児童館▽井の沢放課後児童クラブ―を巡って学校に戻った。
児童らは、地図やメモ、方位磁石、カメラなどを持って歩いた。方位磁石で時折、方角を確かめながら移動。中継点で立ち止まり、教職員に教わりながら、場所を地図に記録した。気付いたことはメモを取り、カメラで写真に収めるなどした。教員は「学校に戻ったら、地図記号を確かめてみよう」と呼びかけていた。
児童らは道中、見慣れない物を見つけて友人と「何だろう」と話し合ったりしていた。浮島の森では「あれは浮いているの」と教員に尋ねていた。
(2023年5月13日付紙面より)
新宮ジュニアレスリングクラブ
新宮RFCが「ラグビー体験会」 (新宮市 )
熊野速玉大社で鈴緒など取り付け (コロナ、8日から5類へ移行 )
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が、季節性インフルエンザと同じ5類に移行した8日、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)では、感染対策のために取り外していた「鈴緒」と手水舎の柄杓(ひしゃく)の取り付け作業を実施した。鈴緒などが元に戻るのは約3年ぶりとなる。
感染対策は、法に基づき行政が要請や関与をする仕組みから、個人の自主的な取り組みを基本とした考え方に変わる。政府は基本的対処方針を廃止。業種別ガイドラインもなくなり、事業者の判断に委ねられる。
神社本庁は2020年10月、各神社が行う新型コロナウイルス感染症拡大防止策の指針として「神社における新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」を策定。神社庁を通じて各神社に対策の検討を求めていた。
同大社では通達に先んじて、同年の年明け早々、鈴緒や柄杓を撤去するなど対策を実施。社会的距離が確保できるよう参拝路を設定したり、各所に消毒液を配置したりして感染対策を実践してきた。
この日は、神職が神前で奉告祭を執り行った後、拝殿で約3㌢の小さな鈴約15個をまとめた「速玉鈴」の取り付けに当たった。水がたまる部分をふさぎ、竹筒から流れ出る水で手を清めるようにするなどしていた手水舎では、上野宮司らが竹筒を撤去。8本の柄杓を並べ、参拝者を迎え入れた。
「速玉鈴」取り付け後、最初の参拝者となった愛知県豊川市から夫婦で訪れた60代男性は「鈴の音が爽やかで心が洗われるよう。朝一番で来て良かった」と笑顔。
上野宮司は「やっと鈴の音が戻ってきた。神社本来の姿に近くなってうれしい。この日を待ち望んでいた。しかし、(5類に移行したからといって)慢心するのではなく、基本的な感染症対策を講じていきたい」と話していた。
なお、同大社では引き続き各所に消毒液を配置するほか、神職や巫女(みこ)らはマスクを着用し参拝者の対応に当たっていくとのこと。また、換気が困難な「熊野神宝館」来館の際には、マスク着用への協力を呼びかけていくとしている。
(2023年5月9日付紙面より)
花火大会は中止しない方向 (串本町 )
串本町が2日午後、第16回串本まつりの実施が4年ぶりに決まったことを発表した。花火大会は従来通りの規模を目標とし、8月5日(土)に行う予定という。
串本まつりは、7月下旬から8月上旬にかけての町内主要イベントを包括する呼称。同まつり実行委員会が統括していて、事務局の町産業課によると先月28日に開いた総会で実施を申し合わせたという。
同実行委主催のイベントは2019年度当時で串本節踊り、花火大会、串本ダンスフェスin橋杭、サマーBANDライブの四つ。これから具体的に内容を詰めるが、至近の迫力で町内外から人気を得ている花火大会は新型コロナウイルスの情勢に伴う経済打撃や物価高騰などで運営の大変さもあろうが、できる限りの形を見いだし中止をしない考えで準備に臨むとしている。
開幕を飾る位置付けとなっている南紀串本観光協会主催のイベント「橋杭ビーチオープンフェスタ」は7月30日(日)に実施予定。終幕を盛り上げる串本町商工会青年部主催のイベント「ふれあい広場・アユのつかみ取り・ビンゴゲーム大会」は8月6日(日)実施予定だが、定年卒業で部員数が減っているためOBに協力を呼びかけつつできる形を探るところから準備が始まるという。
同商工会主催の関連イベント「串本まつりビアガーデン」は諸事情により中止の方向。串本海上保安署主催の関連イベント「巡視船艇体験航海」は、6日に従来通り(午前と午後の2回実施)で実施する方向で準備を始めるという。
新型コロナの情勢により直近の3年間は中止としたため、今回は19年度以来4年ぶりの実施予定。同実行委の島野利之会長は「串本まつりを楽しみにしている方がいっぱいいらっしゃるので、ぜひコロナ前と同じような形で実施できたらなと思っている。新型コロナウイルスが5類に引き下げられ通常営業でいけるようになる中、串本まつりも盛大に再開していきたい。大変だろうけれど、花火大会への寄付も含めてぜひご協力をよろしくお願いします」と話し、実施に意気込んでいる。
(2023年5月9日付紙面より)
大型連休、観光客でにぎわう
新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類へ移行するのを前に、連休中は全国でふるさとや観光地で過ごす人などでにぎわった。熊野地方の観光地にも多くの人が訪れた。訪日外国人客の姿も多く見られ、コロナ禍前をほうふつとさせるにぎわいを見せた。
新型コロナの感染対策が緩和される中で迎えた大型連休。終盤の6、7日は全国的に天気が崩れたが、前半は天候に恵まれ、汗ばむ陽気となった。
熊野三山では県内外から多くの参拝者でにぎわい、神職らが御朱印やお守りなどの授与品を求める人たちの対応に追われた。また、周辺の道路では時間帯によって渋滞が発生した。
友人たちと熊野速玉大社に参拝した大阪府の20代女性は「車が多くて着くまで大変だったけど来られて良かった。今から神倉神社に向かいます」。妻と共に那智山を訪れた30代スイス人男性は「那智の滝がとても美しかった。那智大社も青岸渡寺も神秘的で素晴らしい。次は熊野三山全てを回りたい」と話していた。
道の駅やレジャー施設も家族連れなどでにぎわった。親戚や家族と共に太地町立くじらの博物館を訪れた愛知県名古屋市在住の30代男性は「去年も来たが、人は今年のほうが多い気がする。クジラやイルカに触ることができて、子どもたちもとても喜んでいる」と笑顔で話した。
(2023年5月9日付紙面より)
新宮市出身の文豪で、望郷詩人とも呼ばれる佐藤春夫(1892~1964年)の命日の6日、市内の佐藤春夫記念館前庭でお供茶式(くちゃしき)が営まれた。関係者や一般約50人が参列し、文豪の遺徳をしのんだ。
茶道裏千家淡交会が長年、大社烏集庵(うしゅうあん)や望郷五月歌碑前で営んできた式で、記念館がオープンした翌年の1990(平成2)年から(公財)佐藤春夫記念会(須崎恵美代表理事)と共に記念館庭園で開いている。
式には田岡実千年市長や速水盛康教育長、濱口太史県議、市議会議員らも出席。茶道裏千家淡交会南紀支部の湊宗巳さんがお点前、半東・お供えは関宗重さんが務めた。式典後には、4年ぶりに淡交会員たちによるお茶と和菓子の振る舞いがあった。
式典に当たり、辻本雄一・佐藤春夫記念館長は、今年初めに逝去した、記念会前代表理事の舩上光次さんに対し「長年にわたって当地方の教育に貢献され、たくさんの教え子たちを育ててこられたご功績に敬意を表します」と哀悼の意をささげた。
移転に伴い、来年度中に休館に入る同記念館について「市文化振興課の助言も頂きながら、春夫先生顕彰の手だてをいろいろな形で模索していきたい。今後ともさらなるご支援、ご協力を」と呼びかけた。
田岡市長は「春夫先生は望郷詩人と呼ばれるほどふるさとを愛された方だった。その功績を改めて顕彰し、その精神や作品を後世に伝えていくことが私たちの使命。今後も皆さまと心を共にし、先生がこよなく愛された『ふるさと新宮』の豊かな自然と伝統を守り、新しい文化の創造と発展に心を尽くしていきたい」とあいさつした。
(2023年5月9日付紙面より)