御創建1900年に向け (熊野速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)は24日、同大社のご神木「梛(なぎ)」の大樹から剪定(せんてい)した梛の木を境内に植樹した。梛は2028年に迎える、同大社御創建1900年の節目に当たって広く公開される予定だ。
樹齢約1000年と伝わる同大社の梛の大樹は、熊野権現の象徴として信奉あつく、平和の象徴ともされている。
このたび植樹した梛は、高野町の造園修景工房・山本園の代表取締役で樹木医の山本聰洋さんらが2010年に大樹の初期治療を実施した際に剪定した枝。枝は上富田町の県林業センターで挿し木していたが、約200本のうち残ったのは1本のみだったという。
同大社では、御創建1900年の記念事業の一つとして、大樹の遺伝子を受け継ぐ枝の植樹を計画。参道沿いの「八咫烏(やたがらす)神社」と「鑰宮(かぎのみや) 手力男(たぢからお)神社」の裏の一角を仮植え場所に定め、植樹を実施した。仮植えは木を環境に慣らすためのもので、今後、木の成長などに伴い植栽場所を移すことも視野に入れている。
植樹には、山本さんと同社社員らが協力。約120㌢の木を丁寧に植えて添え木をし、周囲に柵を設けて作業を終えた。山本さんによると梛は成長が遅く、1年で成長するのは10㌢程度だという。
山本さんは「人間も元々は自然の生き物。(梛の大樹について)こうして千年も長い命で生きられるということは、その周辺が人間にとっても安心できる場所であることの象徴だと思う。その木が、安全で平和な場所であることを教えてくれる。ご神木にはそういった日本人の根源的な裏付けがあると思う」と話し、植樹した梛の成長を願った。
濵中孝成禰宜(ねぎ)は「熊野の気候やこの環境にも慣れて成長してくれたら何より。葉も厚みがあって今の状態だと元気に育つと思う」と話し「手で触ると弱ってしまう可能性もあるので触れずに見守ってほしい」と呼びかけている。
(2023年5月26日付紙面より)
作品の貼り付け作業 (紀宝町 )
ほたるを守る会(蔵本一範会長)は24日、紀宝町の鵜殿ふれあい会館で「ほたる灯ろう展」の会場に展示する灯ろう作品の貼り付け作業を行った。
4年ぶりとなる灯ろう展は、紀宝町ふるさと資料館前広場で6月3日(土)午後6時30分始まり、町内の小学生が描いたホタル灯ろう作品193点を展示する。雨天順延。4日(日)も雨天の場合は田代体育館で実施。
ほたる夢太鼓の演奏で開幕し、優秀作品表彰式、ホタル学習、○×クイズの後、灯ろうに明かりをともす。
作業には、守る会の会員や町社会福祉協議会の有志、町職員ら20人が参加。児童が縦50㌢、幅100㌢の和紙にホタルを描いた作品を木製の灯籠枠に貼り付けた。
2時間かけて作業した後、会長賞や町長賞、各学年の学年賞などを決めた。蔵本会長は「全小学校から応募があり、初めて出品してくれた1~3年生も上手に描いてくれた。久しぶりの灯ろう展なので、会員一同楽しみにしている。ぜひ、会場で子どもたちの作品を見てください」と話していた。
(2023年5月26日付紙面より)
「スターブリーズ」が入港 (新宮港 )
外国客船「スターブリーズ」(総トン数1万2969㌧、全長159㍍、ウィンドスタークルーズ)が24日、新宮港に入港し、同日午後に出港した。出港時にはお見送りイベントが行われ、梛(なぎ)の木見送り隊や地域住民、市のツイッターキャラクター「めはりさん」、県PRキャラクター「きいちゃん」らが手を振って見送った。
クルーズ名は「日本をめぐる グラン・ジャパン・クルーズ」で行程は神戸~高松~鞆の浦~唐津~釜山(韓国)~長崎~鹿児島~終日航海~新宮~清水~東京。新宮港に降り立った191人の乗客らは、当地方の観光を満喫した。
見送り時には、里中陽互・市観光協会長が「この地は、1日では回り尽くせないほどのたくさんの見どころがある。地域を挙げて歓迎させていただくので、二度、三度と熊野・新宮へお越しください」と呼びかけた。
クルーズ客船歓送迎イベントでの演奏披露は約7年ぶりとなる、近畿大学附属新宮高校・中学校吹奏楽部が「Let’s Swing」や「リトルマーメイドメドレー」などを披露。同船は、地域住民や見送り隊らの「ありがとう」「またきてね」の声に見送られながら次の寄港地へ出発した。
次回のクルーズ船の入港は6月8日(木)を予定。「飛鳥Ⅱ」が入港する。
(2023年5月26日付紙面より)
嶋幸二14周年コンサート (串本町 )
串本町潮岬在住の演歌歌手・嶋幸二(本名・島田和幸)さんが21日、文化センターでのデビュー14周年記念のチャリティーコンサートを開き300人強の歌仲間や観客が多彩なステージ発表に親しんだ。
収益を地元の社会福祉向上につなげる地域貢献の思いを込めて回を重ねている同コンサート。元アナウンサーの柿白享子さんに司会進行を求め、嶋さんが会長を務める潮岬(みさき)節保存会の踊り子連が友情出演でダンスを披露して開演を飾った。
演歌を愛唱する歌仲間や西川流友千恵会社中の友情出演、歌手・橋度順子さんの特別出演を経て嶋さんのステージへ。花束などの激励を受けながら持ち歌や他曲のカバーで歌声を響かせ、続く若手の演歌歌手・朝花美穂さんのステージへとつないだ。
嶋さんは同コンサート当日の10日前、妻の突然の他界に直面。悩み周囲に相談して励まされた末、歌手として行くべき道を進むことを決意し待つ観客のために同コンサートを敢行した。この決意を促した持ち歌「紀州の漁師」「渚(なぎさ)の思い出」の共同作詞作曲者・永田要之助さんの同伴を得ながら冒頭のあいさつでその胸中を打ち明け、精いっぱいのステージにしたいと思いを掲げて来場に感謝した。
(2023年5月26日付紙面より)
県年金受給者協会グラウンドゴルフ大会
全日本バレー東牟婁予選 ( )
和歌山県空手道選手権大会 (和道流新宮支部 )
熊野川町の小中保 (新宮市 )
新宮市立熊野川中学校(松本潤校長)、同市立熊野川小学校(水本紀史校長)、三津ノ保育所(田端晴美所長)の合同運動会が20日、新宮市熊野川町の若もの広場であった。生徒16人、児童40人、園児5人が参加。晴天の下で爽やかな汗を流した。
「笑勝良(えんじょい)~魅せよう自分たちらしさ~」をスローガンに実施した。開会に当たり、水本校長があいさつ。「昨日まで練習してきた成果をしっかりと発揮し、今日は元気な姿を見せて。一日しっかり楽しみましょう」と呼びかけた。小学校6年生で児童会長の平野菜つさんも「練習の成果を発揮し、楽しい運動会に。自分たちらしさを十分に発揮して頑張ろう」と語った。
競技は徒競走やダンス、玉入れ、借り物競走、パン食い競争、リレーなどがあった。徒競走では、参加者が全力で疾走。一緒に走る友人と懸命に速さを競っていた。園児のダンスでは楽曲に合わせて、かわいらしい踊りを披露していた。
訪れた保護者は、目を細めつつ声援を送り、カメラやビデオで子や孫の様子を撮影するなどしていた。
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なお同日、新宮市立の緑丘中学校と光洋中学校、太地町立太地中学校でも体育祭が行われた。新宮市立城南中学校、那智勝浦町立の宇久井中学校、那智中学校、下里中学校も開催を予定していたが、前日の雨天の影響で順延となった。
(2023年5月21日付紙面より)
納税協会と納税貯蓄組合が総会 (新宮市 )
公益社団法人新宮納税協会(横手章郎会長)の「第13回定時総会」と新宮納税貯蓄組合連合会(森川起安会長)の「第64回定時総会」が19日、新宮市井の沢の新宮商工会議所であった。それぞれ令和5年度の事業計画などを承認した。
納税協会総会で横手会長は、関係各位の理解と協力に感謝を示し「今後も税務当局の指導、関係機関との連携の下、健全な納税者の公益を担う団体として事業活動を展開していく」と協力を呼びかけた。
議案審議では新任理事・監事を選任。本年度は▽税務指導・税務相談などの実施▽説明会や講演会などの開催▽e―Tax研修会、簿記教室などの開催▽租税教室▽納税だよりの発行・配布▽地域のイベントへの参画▽税の作品への表彰▽税制改正要望に関する意見聴取―などを実施していく予定。
納税貯蓄組合連合会総会では、森川会長が毎年管内の中学生から募っている税の作文について、昨年度は太地中学校の生徒が国税庁長官賞を受賞したことや、デジタル申告・納税推進の宣言式などに触れ「納税協会と共に、納税道義の高揚を図るためこれからも引き続き啓発運動に尽力していきたい」と誓いを新たにした。
本年度は▽納税協会との一体的運営の一層の推進▽デジタル申告・納税の推進▽中学生の税についての作文募集・表彰活動▽女性部の活動―を重点施策として取り組んでいく。
各総会の開催に当たり、来賓の河野武・新宮税務署長は、両会の税務行政への協力と理解に感謝を表し、10月から開始するインボイス制度に言及。「これからも太いパイプをもって皆さんと協力してやっていきたい」と伝えた。
東牟婁振興局の玉置昌彦・地域振興部長は「振興局としても、適正かつ公平な税務行政の執行はもとより地域の皆さまの信頼にお応えできるよう努めていきたい」と鳥羽真司・東牟婁振興局長の祝辞を代読。
田岡実千年市長は「税の役割の重要性は大切。行政としても、税によってまちづくりが成り立っているということを、市民の皆さまに訴えていきたい」とあいさつした。
(2023年5月21日付紙面より)
「田植えの集い」に650人 (丸山千枚田 )
緑豊かな田園風景が広がる熊野市紀和町の丸山千枚田で20日、「田植えの集い」が行われた。今年は県内をはじめ神奈川、愛知、大阪などからオーナー81組315人と地元の児童生徒、ゆとり協会の会員ら約650人が参加した。
丸山千枚田は1601年に2240枚の田があったと記録されるが、1990年ごろには530枚まで減少。93年に丸山千枚田保存会を結成し、保全活動により現在は1340枚まで復田した。市ふるさと振興公社が96年度からオーナー制度を採用し、今年は154組885人の応募があった。
田植えの集いは、新型コロナウイルスの影響で中止が続いていたが、昨年から再開。オーナー家族らははだしや長靴で水田に入り、スタッフや千枚田保存会の会員の指導で県育成品種「なついろ」の苗を手で植え込んでいた。
家族連れでの参加も多く、子どもたちは「おいしいお米に育って」と願いつつ、泥んこになりながら田植えを楽しんだ。公社によると、稲刈りは9月上旬ごろを予定しており、12㌧の収穫を見込んでいるという。
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丸山千枚田で6月10日(土)、豊作を願う伝統行事「丸山千枚田の虫おくり」が4年ぶりに復活する。
虫おくりは、1953年まで丸山地区で行われていた害虫駆除の行事で、2004年に熊野古道が世界遺産に登録されたことを記念して再開した。
田んぼの枚数と同じ1340本のたいまつをともして幻想的な情景の中を鐘や太鼓を鳴らし、「虫おくり殿のお通りだい」と声をかけながら練り歩く。
紀和の夏の風物詩として定着していたが、新型コロナウイルスの影響で20年以降、3年連続で中止となっていた。
当日は、午後6時からキャンドルに点灯、7時から虫おくり行列が丸山神社を出発。8時から北山砲を発射する。
雨天時は17日(土)に延期となる。問い合わせは熊野市地域振興課(電話0597・97・1113)まで。
(2023年5月21日付紙面より)
なちかつ古道を守る会 (那智勝浦町 )
「なちかつ古道を守る会」(地庵晋司会長)は17日、那智勝浦町浦神の浦神峠周辺で草刈りを行った。会員14人が参加し、協力して作業に汗を流した。
浦神の海蔵寺や炭焼き窯などより、さらに山側に進んだ場所にある浦神峠。世界遺産には認定されていないが、立派な古道が残されており、頂上の「休平」付近からは海を眺めることができるという。同会では、浦神峠だけでなく、定期的に各地にある古道の整備や清掃を行っている。
今回は古道周辺に生え、歩行に障害を来すような雑草などを鎌や草刈り機、じょれんを用いて取り除いた。
会員らは協力しながら、作業を進めるとともに、和気あいあいと交流も深めた。
作業開始前、地庵会長は来月に実施される「紀州路クリーン大作戦」への参加要請があったことを報告し「晴天で気温も高くなる中、皆さんにご参加いただきありがたい。刈りづらい草なども多くあるが、心を寛大に持って取り組んでください。作業にはじゅうぶん、注意を払ってほしい」と話した。
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同会では過去に、町内の熊野古道を紹介した「那智勝浦町内 熊野古道マップ」を作製している。手書きの地図やイラストで、町内各所の古道が一目で分かる工夫がなされているマップだ。
現在、新たに刷り直し、町観光案内所や那智勝浦観光機構(NACKT)で無料で手に入るという。
同会では「ぜひ、手に取っていただき、町内にある熊野古道を知ってもらいたい。機会があれば、歩いていただければ」と話している。
(2023年5月21日付紙面より)
補陀洛山寺で春まつり (那智勝浦町 )
補陀落渡海の信仰で知られる那智勝浦町浜ノ宮の補陀洛山寺(髙木智英住職)で17日、年中行事の一つ「春まつり」があった。新型コロナウイルスの影響で昨年は僧侶と信者のみで斎行されたが、今年は4年ぶりに一般参拝者も集まった。熊野修験の山伏も参列し、約30人が集まる中、法要が営まれた。
補陀落渡海は、平安時代から江戸時代まで行
われた宗教儀礼。観音の浄土、補陀落山に往生しようと多くの行者が渡海した。渡海上人が一度乗り込むと出入り口には板が打たれ、外に出られないようにした状態で、海のかなたへ出航したという。
この日、世界遺産に登録されている本堂では、国重要文化財の本尊「三貌十一面千手千眼観世音菩薩(ぼさつ)」を開帳した。
信者が手を合わせる中、髙木住職らが読経を行った。大護摩祈祷(きとう)では、熊野修験の山伏のほら貝も鳴り響き、髙木住職らと共にコロナ終息や世界平和を祈った。
その後、同寺裏山にある渡海上人の供養塔と歴代住職の墓地で追善供養も営まれた。
髙木住職は「4年ぶりに一般の方々にも参列していただくことができ、ご本尊様も良いお顔をされていたと思う。コロナの5類移行もあり良い方向に進んでいるが、終息したわけではない。毎日、継続して世界平和や疫病退散、人々の安穏を祈願していく」。
補陀落渡海については「平安時代から多くの方々が行ってきた宗教儀礼。歴代の渡海上人や住職がいてくれたからこそ、今日がある。その強い意志や背中を引き継いでいきたい」と語った。
(2023年5月19日付紙面より)
絵本第2弾の作成など発表 (南紀熊野ジオパーク )
南紀熊野ジオパーク推進協議会が17日、絵本「南紀熊野の民話『クジラとモグラ おいの伝説』」を作成したことなどを発表した。
民話に親しむところから地質資源への興味を引き出す趣旨で前年度に作成した絵本「南紀熊野の民話『橋杭岩の立岩伝説 河内島(こうちじま)と鯛島(たいじま)』」に続くシリーズ第2弾で、フルカラー25㌻構成。クジラとモグラは那智勝浦町にある那智の滝、おいの伝説は新宮市にある浮島の森の民話で、前回同様に作中は地域の言葉(今回は新宮弁)とし、巻末に標準語の文をつける形で仕上げている。
挿絵は第1弾に続き大江みどりさんが担当。鉛筆で実物の凹凸を写し取る技法「フロッタージュ」の表現を取り入れ、今回は岩に加えて浮島の森にちなみ植物の葉のフロッタージュ作品も盛り込んでいる。各民話の最後では関係するジオサイトを写真や図を織り交ぜて解説している。
教材として活用してもらい幼児~児童の段階から興味を持ってほしいという思いから同パークエリア内の小学校40校や幼児教育・保育関係38施設に絵本版を配布していて、県立図書館=和歌山市=や情報交流センターBig・U=田辺市=で6月ごろから閲覧可能となる予定。
串本町潮岬にある南紀熊野ジオパークセンター内ではゴールデンウイーク前から絵本版を先行披露中。絵本版の一般配布はしていないが、同パーク公式ホームページ内でPDF版の公開(トップページにあるお知らせ欄内の発表を参照)を始めていて内容を確認できる。作成記念として6月14日(水)から7月31日(月)まで、同センター内で原画展も開く予定という。この絵本の問い合わせは同協議会事務局(電話0735・67・7100)まで。
(2023年5月19日付紙面より)
鵜殿西遺跡で発掘調査進む (紀宝町 )
紀宝町鵜殿の鵜殿西遺跡で三重県埋蔵文化財センターによる発掘調査が進んでいる。2018年度から開始し、昨年度は第7~9次調査を実施、鎌倉時代から室町時代の屋敷地の構造を詳しく把握する上で重要な成果が得られたという。
遺跡は熊野川河口部に位置し、対岸には熊野速玉大社や国指定史跡の新宮城跡、中世の湾港に関係する施設が見つかっている新宮下本町遺跡などがある。
鎌倉時代から江戸時代を中心とした集落遺跡で、西側の山には鵜殿城跡があることから、鎌倉時代から室町時代に活躍した有力者、鵜殿氏との関わりが想定されている。
複数の溝が遺跡内に南北方向と東西方向に何本も造られており、これまでの調査で溝に区画された土地の中に大型の掘立柱(ほったてばしら)建物などが見つかった。
建物以外には、井戸や土坑を複数発見。伊勢産や大坂堺産、播磨産の土器や瀬戸・美濃産、備前産の陶器など東海地方と西日本各地の土器や陶磁器、中国産の青磁と呼ばれる高級品が出土した。
昨年度は屋敷地を区画する複数の溝のうち、西側を調査したところ、幅5㍍、深さ1・2㍍もある大規模なものだったことが分かった。出土遺物には中国から輸入された青磁などの破片もあった。
本年度は今月から第10次調査に着手する計画。今後、土器や陶磁器などの整理を進め、鵜殿西遺跡の屋敷地に、どのような人が住み、生活していたのかを検討する予定だという。
(2023年5月19日付紙面より)
前年比で122人増加 (GW観光客数 )
新宮市の主要5施設の、ゴールデンウイーク(GW)中の観光客数がこのほど分かった。コロナ禍前には及ばないものの、多数が訪問。瀞峡めぐりは前年より122人増加した。その他4カ所は減少したものの、5カ所の合計では増加に転じた。
▽浮島の森▽徐福公園▽旧チャップマン邸▽熊野川川舟下り▽瀞峡めぐり―の5カ所の、4月29日から5月8日までの各日の数字が判明した。二つの川舟クルーズは、増水や雨で休みの日もあった。
10日間の合計で、浮島の森の合計は457人。今年と同じく行動制限がなかった2022年は、同日間での合計が468人だったため、減少となった。コロナ禍以前の19年は、4月27日から5月6日までの10日間で1049人だった。
徐福公園の合計は871人で、22年は925人なので減少。19年は1347人だった。旧チャップマン邸は合計で94人、22年は108人、19年は142人。ただし今年は、22年や19年にはない休館日が2回あった。
熊野川川舟下りは、合計で235人、22年が257人。瀞峡めぐりは合計で434人、22年は312人。熊野川川舟下りは増水のため1回休みとなったのが影響したと予想される。瀞峡めぐりは、2回の定休日と1回の雨天休みがありながらも唯一、昨年以上の合計数となった。どちらの川舟クルーズも、19年はやっていなかった。
5カ所の全体合計は2091人で、22年の2070人を上回った。ただし、瀞峡めぐり以外の4カ所は全て22年より減少しており、瀞峡めぐりが単独で引き上げた。19年は二つの川舟クルーズはまだないが、3カ所合計で2538人に達しており、コロナ禍前はいかに観光客が多かったかが分かる。
瀞峡めぐりの受け付けを行う、新宮市熊野川町田長(たなご)の熊野川川舟センターの職員は、瀞峡めぐりの好調の理由について「近畿圏や愛知県から車で来るお客さんに、ちょうど良かったのでは」と推測する。
「乗り場は玉置口で、送迎バスもないため、お客さんが車で行く必要がある。近畿や愛知から車で来るのにちょうど良い距離にあり、自然に触れられ、あまり体験することのない川舟に乗れる。天気にも恵まれた」と話した。
(2023年5月14日付紙面より)
更生保護女性会が総会 (太地町 )
太地町更生保護女性会(北年美会長)は12日、同町公民館でコロナ禍のため、実施していなかった対面形式での総会を4年ぶりに開いた。事業計画ならびに予算案を承認したほか、同会を担当する住民福祉課の職員の自己紹介が行われた。
北会長は「4年ぶりに対面での総会が開催でき、ほっとしている。現在、会員の高齢化が進み活動も困難になってきた。互いに健康に留意し、助け合いながら地域に根差した活動を展開したいと思います」とあいさつ。
同会は青少年非行防止や子育てを支援するとともに、非行や犯罪に陥った人たちの社会復帰支援に取り組んでいる。
総会では、前年度の事業報告に加え、和歌山県更生保護大会で同女性連盟会長賞を受賞した林殖子さん、増田伊久美さん、川村迪子さん、和歌山保護観察所長感謝状を受けた岩本チヨカさん、小貝みゆきさんの功績がたたえられた。
本年度の事業として、県の大会や紀南ブロック研修会への参加、社会を明るくする運動(7月)、薬物乱用防止啓発活動(7、10月)などが挙げられ、承認された。
下津公広住民福祉課長が、4月から始まった入学祝い金制度の内容や、同月に開始された町社会福祉協議会に事業委託している買い物支援サービスの詳細や利用者の反響、町地域福祉センター梛の活用などについて説明があった。
続いて、総務課の和田正希さんが町の現状や取り組みを紹介。▽過去と現代にわたるクジラと人との関わり▽福祉施策▽梛の設置の理由▽30年にわたり進めるまちづくり―などを説明した。
そのほか、好評を得ている「高齢者のための自動運転による公共交通サービスの導入」についても話した。
(2023年5月14日付紙面より)
相野川沿いで幻想的に (紀宝町 )
紀宝町平尾井の相野川沿いで、ゲンジボタルが乱舞。川岸や草むらで無数の光りを放ち、幻想的な光景が広がっている。
日本には約50種類のホタルが生息するといわれ、町内にはゲンジ、ヘイケ、ヒメの3種類のホタルが生息。今の時季はゲンジボタルで、6月にはヘイケボタル、ヒメボタルが飛び始める。
相野谷小学校沿いを流れる相野川の周辺では、例年より早く、今月上旬ごろからゲンジボタルが飛び始めた。
町内でホタルの保護活動に取り組むほたるを守る会は、町内3地区7カ所にホタルの保護啓発を呼びかける看板を設置しており、蔵本一範会長は「観賞する際は静かに見守ってほしい」と話している。
(2023年5月14日付紙面より)
15周年迎える町民展示祭 (那智勝浦町 )
那智勝浦町文化協会(後誠介会長)、町民展示祭実行委員会が主催する絵画、生け花、呈茶の合同展「第15回町民展示祭」が13日、町体育文化会館で始まった。来場者は会員の力作やお茶を楽しんだ。最終日の14日は午前9時から午後3時まで。
展示祭は絵画の弁天画会(平内嘉子会長)、生け花の花好きクラブ(牧邦子代表)、茶道表千家流音無会(築紫充代会長)の3団体が成果を発表する場。
例年多くの来場者でにぎわっている。今年は15周年を記念して、各団体でくじ引きを実施。「はがき絵」「ブーケ」「懐紙」などが当選する催しも好評を博している。
感染症対策のため、マスク着用と消毒を呼びかけた。また、会場では、トルコ地震への義援金箱が設置された。
弁天画会は、今年のテーマである自画像やはがき絵、自由作品合わせて67点を出展。平内会長は「興味がある人もない人も作品を見て、楽しんでいただけたら幸いです」。
花好きクラブは季節の花を生けた作品約40点を展示。牧代表は「90歳を超える会員も頑張っている。自然の花々を生けているので、自然を感じていただけたら」と話した。
茶道表千家流音無会は、例年好評の茶席を設け、来場者をもてなした。築紫会長は「感染症対策を施している。おいしいお茶を味わってください」と語った。
町文化協会の後会長は「町に新緑を告げる催しであり、久しぶりと声をかけあえる場。出展者の方は来場者に見てもらうことで励みになり、生きがいにつながる。皆さまにも各門をたたいていただき、同様に生きがいを持っていただけたら」。
会場に訪れた堀順一郎町長は「生き生きとした山野草や素晴らしい絵、おいしいお茶を毎年、楽しみにしている。多くの方にお越しいただき、元気をもらってほしい」と語った。
(2023年5月14日付紙面より)
熊野速玉大社で鈴緒など取り付け (コロナ、8日から5類へ移行 )
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が、季節性インフルエンザと同じ5類に移行した8日、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)では、感染対策のために取り外していた「鈴緒」と手水舎の柄杓(ひしゃく)の取り付け作業を実施した。鈴緒などが元に戻るのは約3年ぶりとなる。
感染対策は、法に基づき行政が要請や関与をする仕組みから、個人の自主的な取り組みを基本とした考え方に変わる。政府は基本的対処方針を廃止。業種別ガイドラインもなくなり、事業者の判断に委ねられる。
神社本庁は2020年10月、各神社が行う新型コロナウイルス感染症拡大防止策の指針として「神社における新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」を策定。神社庁を通じて各神社に対策の検討を求めていた。
同大社では通達に先んじて、同年の年明け早々、鈴緒や柄杓を撤去するなど対策を実施。社会的距離が確保できるよう参拝路を設定したり、各所に消毒液を配置したりして感染対策を実践してきた。
この日は、神職が神前で奉告祭を執り行った後、拝殿で約3㌢の小さな鈴約15個をまとめた「速玉鈴」の取り付けに当たった。水がたまる部分をふさぎ、竹筒から流れ出る水で手を清めるようにするなどしていた手水舎では、上野宮司らが竹筒を撤去。8本の柄杓を並べ、参拝者を迎え入れた。
「速玉鈴」取り付け後、最初の参拝者となった愛知県豊川市から夫婦で訪れた60代男性は「鈴の音が爽やかで心が洗われるよう。朝一番で来て良かった」と笑顔。
上野宮司は「やっと鈴の音が戻ってきた。神社本来の姿に近くなってうれしい。この日を待ち望んでいた。しかし、(5類に移行したからといって)慢心するのではなく、基本的な感染症対策を講じていきたい」と話していた。
なお、同大社では引き続き各所に消毒液を配置するほか、神職や巫女(みこ)らはマスクを着用し参拝者の対応に当たっていくとのこと。また、換気が困難な「熊野神宝館」来館の際には、マスク着用への協力を呼びかけていくとしている。
(2023年5月9日付紙面より)
花火大会は中止しない方向 (串本町 )
串本町が2日午後、第16回串本まつりの実施が4年ぶりに決まったことを発表した。花火大会は従来通りの規模を目標とし、8月5日(土)に行う予定という。
串本まつりは、7月下旬から8月上旬にかけての町内主要イベントを包括する呼称。同まつり実行委員会が統括していて、事務局の町産業課によると先月28日に開いた総会で実施を申し合わせたという。
同実行委主催のイベントは2019年度当時で串本節踊り、花火大会、串本ダンスフェスin橋杭、サマーBANDライブの四つ。これから具体的に内容を詰めるが、至近の迫力で町内外から人気を得ている花火大会は新型コロナウイルスの情勢に伴う経済打撃や物価高騰などで運営の大変さもあろうが、できる限りの形を見いだし中止をしない考えで準備に臨むとしている。
開幕を飾る位置付けとなっている南紀串本観光協会主催のイベント「橋杭ビーチオープンフェスタ」は7月30日(日)に実施予定。終幕を盛り上げる串本町商工会青年部主催のイベント「ふれあい広場・アユのつかみ取り・ビンゴゲーム大会」は8月6日(日)実施予定だが、定年卒業で部員数が減っているためOBに協力を呼びかけつつできる形を探るところから準備が始まるという。
同商工会主催の関連イベント「串本まつりビアガーデン」は諸事情により中止の方向。串本海上保安署主催の関連イベント「巡視船艇体験航海」は、6日に従来通り(午前と午後の2回実施)で実施する方向で準備を始めるという。
新型コロナの情勢により直近の3年間は中止としたため、今回は19年度以来4年ぶりの実施予定。同実行委の島野利之会長は「串本まつりを楽しみにしている方がいっぱいいらっしゃるので、ぜひコロナ前と同じような形で実施できたらなと思っている。新型コロナウイルスが5類に引き下げられ通常営業でいけるようになる中、串本まつりも盛大に再開していきたい。大変だろうけれど、花火大会への寄付も含めてぜひご協力をよろしくお願いします」と話し、実施に意気込んでいる。
(2023年5月9日付紙面より)
大型連休、観光客でにぎわう
新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類へ移行するのを前に、連休中は全国でふるさとや観光地で過ごす人などでにぎわった。熊野地方の観光地にも多くの人が訪れた。訪日外国人客の姿も多く見られ、コロナ禍前をほうふつとさせるにぎわいを見せた。
新型コロナの感染対策が緩和される中で迎えた大型連休。終盤の6、7日は全国的に天気が崩れたが、前半は天候に恵まれ、汗ばむ陽気となった。
熊野三山では県内外から多くの参拝者でにぎわい、神職らが御朱印やお守りなどの授与品を求める人たちの対応に追われた。また、周辺の道路では時間帯によって渋滞が発生した。
友人たちと熊野速玉大社に参拝した大阪府の20代女性は「車が多くて着くまで大変だったけど来られて良かった。今から神倉神社に向かいます」。妻と共に那智山を訪れた30代スイス人男性は「那智の滝がとても美しかった。那智大社も青岸渡寺も神秘的で素晴らしい。次は熊野三山全てを回りたい」と話していた。
道の駅やレジャー施設も家族連れなどでにぎわった。親戚や家族と共に太地町立くじらの博物館を訪れた愛知県名古屋市在住の30代男性は「去年も来たが、人は今年のほうが多い気がする。クジラやイルカに触ることができて、子どもたちもとても喜んでいる」と笑顔で話した。
(2023年5月9日付紙面より)
新宮市出身の文豪で、望郷詩人とも呼ばれる佐藤春夫(1892~1964年)の命日の6日、市内の佐藤春夫記念館前庭でお供茶式(くちゃしき)が営まれた。関係者や一般約50人が参列し、文豪の遺徳をしのんだ。
茶道裏千家淡交会が長年、大社烏集庵(うしゅうあん)や望郷五月歌碑前で営んできた式で、記念館がオープンした翌年の1990(平成2)年から(公財)佐藤春夫記念会(須崎恵美代表理事)と共に記念館庭園で開いている。
式には田岡実千年市長や速水盛康教育長、濱口太史県議、市議会議員らも出席。茶道裏千家淡交会南紀支部の湊宗巳さんがお点前、半東・お供えは関宗重さんが務めた。式典後には、4年ぶりに淡交会員たちによるお茶と和菓子の振る舞いがあった。
式典に当たり、辻本雄一・佐藤春夫記念館長は、今年初めに逝去した、記念会前代表理事の舩上光次さんに対し「長年にわたって当地方の教育に貢献され、たくさんの教え子たちを育ててこられたご功績に敬意を表します」と哀悼の意をささげた。
移転に伴い、来年度中に休館に入る同記念館について「市文化振興課の助言も頂きながら、春夫先生顕彰の手だてをいろいろな形で模索していきたい。今後ともさらなるご支援、ご協力を」と呼びかけた。
田岡市長は「春夫先生は望郷詩人と呼ばれるほどふるさとを愛された方だった。その功績を改めて顕彰し、その精神や作品を後世に伝えていくことが私たちの使命。今後も皆さまと心を共にし、先生がこよなく愛された『ふるさと新宮』の豊かな自然と伝統を守り、新しい文化の創造と発展に心を尽くしていきたい」とあいさつした。
(2023年5月9日付紙面より)