佐野分団が訓練を開始 (新宮市 )
和歌山県消防操法大会の出場に向けた、新宮市消防団佐野分団(宇治平三分団長、団員29人)の訓練が27日、新宮市消防本部で始まった。出場予定の若手団員6人が参加、消防職員の指導を受け、基本の礼式を覚えた。
県消防操法大会は、7月28日(日)に和歌山市の県消防学校で開催される。佐野分団はポンプ車操法の部に出場を予定している。コロナ禍などもあり、新宮市消防団からの出場は8年ぶりとなる。補欠2人を含む7人が出場する。
大会では、想定の火元に向かい、ポンプ車からホースをのばし、筒先を取り付けて放水する。スピードや正確性、チームの結束力などが審査される。ポンプ車操法の部への出場は全部で11チーム。優勝したら全国大会に進む。
訓練は、宇治分団長と日浦寛人選手団長が見守る中で行われた。若手団員らは、基本の礼式となる▽右へならえ▽右向け右▽左向け左▽敬礼▽整列休め▽休め―を習った。まず消防職員が手本を示し、一列に並んだ団員らが実践。職員の号令に合わせ、動作を行った。
職員は「手の位置は腰」「後ろ足を前に引きつけて」など、細部まで指導。内容は足さばきや指の伸ばし方、両足の角度にも及んだ。団員らは指導に従い何度も繰り返すことで、体に動作を覚え込ませていた。
宇治分団長と日浦選手団長は「最初は動きがばらばらだったが、段々とそろってきた。みんな一生懸命やっている。期待している」と話した。入団3年目となる中地達哉さん(32)は「覚えないといけないことや、気を付けないといけないことがたくさんあり、訓練は大変だろうが、頑張っていきたい」と意気込んだ。
訓練は2時間ずつ週に3回、大会まで続く。
(2024年5月31日付紙面より)


普通科改編、より充実した学びに (新宮高校 )
和歌山県教育委員会は30日、2025年度から県立新宮高校の全日制普通科を普通科と「学彩探究科」に改編すると発表した。新たに設置する「学彩探究科」は、地域社会や国内外でリーダーやイノベーターとして活躍することができる生徒の育成を目指す。
学彩探究科は、従来の文系、理系の枠にとらわれない、いくつかの学問領域にまたがり、探究を進めていく力を身に付ける。「総合的な探究の時間」に加え、学校独自の科目「くまの学彩」(仮称)を設ける。国公立大学、難関私立四年制大学への進学を進路目標としている。
学彩には、分野横断的な学びという「学際」の意味や「多彩な学びを実現する」という思いが込められている。新宮高校に縁の深い「彩雲」とつながり、新しい学びの創造も表している。
両学科ともに普通教育を主としながら、「総合的な探究の時間」や各教科、科目などで探究学習を中心とした教育活動全般を通して「探究的な学び」を充実させる。
学彩探究科は全国募集し、両科の募集人員は10月ごろ県教委が公表する。
新宮高校の全日制新学科は、1993年の建設工学科以来、32年ぶりとなる。2007年、建設工学科の募集を停止して以降、普通科単独での募集となっていた。
新宮高校では新年度に向けて、教職員向けの研修を進めており、今後、各中学校を訪問し、教職員らに説明、8月のオープンスクールで学彩探究科の授業体験も用意する予定。新年度のパンフレットでも紹介する。
下村史郎校長は「子どもたちには、いろいろな学びが必要。新宮高校では、新たな挑戦として、探究的な学びを取り入れて、学科をリニューアルする。中学生にはそれぞれの学びをよく理解して学科を選択してほしい。地域の方々には新宮高校のチャレンジを応援していただきたい」と話している。
(2024年5月31日付紙面より)

和歌山県相撲連盟の副会長でもある、新宮市在住の松原丈保さん(79)は26日、長年にわたり相撲大会の開催に尽力したとして、同連盟から感謝状の贈呈を受けた。「光栄。先輩もたくさんいるのに、もらっていいのかな」と恐縮する。
松原さんは、新宮市浮島にある建設会社の株式会社松原組の会長でもある。松原家は昔からスポーツ一家とのことで、代々相撲に親しんできたという。松原さんも新宮高校や近畿大学で相撲部に在籍し、新宮市に戻ってからは20年ほど、新高相撲部の監督を務め、後進の指導に当たった。
40歳ぐらいの頃に、同連盟の理事に就任。その後に副会長を任され、30年以上が経過している。長年の功績が認められ、2015年の紀の国わかやま国体の際には日本相撲連盟からの表彰も受けた。今回の感謝状の贈呈は、全国選抜大学実業団対抗相撲和歌山大会への長年の尽力に対してのものとなる。感謝状とともに、まわしをかたどった置物も贈られた。
松原さんは、長年相撲に関わってきたこともあり、往年の名力士をはじめ、新宮市出身の元大相撲力士の久島海啓太さんのことなどを熱く語る。「ただ、最近は若い子がみんな、野球やサッカーにいってしまう。もっと相撲人口が増えてきてほしい。相撲業界がもっと発展してくれたら」と思いを寄せた。
「しかし何にしても、スポーツは素晴らしい」と付け加えた。
(2024年5月31日付紙面より)

露地栽培でエディブルフラワー (那智勝浦町 )
那智勝浦町狗子ノ川で食べられる花「エディブルフラワー」が露地栽培されている。子育てをきっかけに健康への思いが強くなったという同町宇久井の山中綾さん(38)が雑木林だった土地を1年かけて開墾。自然を生かした農法で色とりどりの花を咲かせている。
5月中旬の昼下がり。国道42号近くの畑ではビオラ、キンセンカ、カモミール、コーンフラワー、チコリの花が開いていた。夏に開花するナデシコやコモンフラワーも株を大きくしている。
元々花好きだった山中さんは、趣味でガーデニングを楽しんでいた。長女と長男が小学生になり、子育てが落ち着いた頃、花を種から育てる「生産」に興味が湧き、「いつかやってみたい」と思っていた農業に挑戦することを決めた。
土地は草木が生い茂り、荒れていたが、2年前に開墾し、昨年から試験的に花と野菜の栽培を始め、3年目に入った今年はようやく複数の種類を咲かせられるようになった。農薬や化学肥料を全く使用せず、ボカシ肥料を手作りし、試行錯誤しながら作業している。
花は注文に応じて摘み取っており、今は新宮市の洋菓子店や那智勝浦町の飲食店、個人などに販売。春が最も花の種類が多いが、冬を除いて長く収穫できそうで、今後は株数を増やして生産性を上げたり、ハーブの種類を増やしたり、余った花を乾燥加工して販売したりしていきたいという。
農園名は名字と、畑が山の中にあることにちなんで「sanchu farm」にし、インスタグラムで情報発信している。山中さんは「子どもたちと一緒に土に触れることができるのも魅力。自分のこだわりを大切にしながら、たくさんの人にエディブルフラワーを広めていきたい」と話していた。
エディブルフラワーは、農林水産省のガイドラインに基づき安全に栽培された食用花。菓子や料理に彩りを添え、美しい見た目が楽しめることから、近年、人気が高まっている。
(2024年5月30日付紙面より)


鈴島の干潟でチゴガニ (新宮市 )
新宮市三輪崎の鈴島の干潟で、チゴガニが一斉にはさみを上げ下げしている。まるでダンスをしているようで、通りがかる人を楽しませている。
チゴガニは日本列島の温暖な砂泥干潟に生息する甲羅の幅1㌢ほどの小型のカニ。色は灰褐色で、はさみは白い。甲の腹面、口の左右が水色や淡い緑色に色づいている個体も見られる。
はさみを上下させる動作は「ウエービング」と呼ばれ、雄によく見られる行動。雌には求愛のアピールをし、雄には威嚇しているという。
鈴島は三輪崎漁港近くにある島で、三輪崎漁港交流施設前から徒歩4分。引き潮になると干潟が現れ、チゴガニが巣穴から出てきて活動している。ウエービングは繁殖期の初夏から9月ごろまで観察できるという。
(2024年5月30日付紙面より)

三輪崎会館外に設置 (新宮市 )
新宮市三輪崎の三輪崎会館の外に24時間使用可能な自動体外式除細動器(AED)が設置された。市によると、市内のAED設置場所は3月末現在で198カ所。このうち24時間使用可能なのは三輪崎会館を含めて11カ所。仲西博光区長は「いつでも、誰でも利用できる。もしもの時に役立ててほしい」と呼びかけている。
AEDはこれまで会館1階の玄関ホールに置かれていたが、開館時間内でないと使えなかったため、24時間使えるよう屋外への設置を区が市に要望していた。
設置されたのは防水構造の屋外用AED収納ボックスとAED。ボックスの扉を開けると、緊急を知らせるための警報ブザーが鳴る。持ち出して使用する。
閉館している夜間の利用を想定し、外の照明を点灯させてAED付近は暗くならないように配慮。周囲が明るく、防犯カメラもつけているため盗まれることは考えていないという。
仲西区長は「AEDは病院などにも置かれているが、屋内だと限られた時間しか使うことができなかった。外にあれば、緊急時に使いやすい。ここにあるということを覚えておいてほしい」と話していた。区民にはこれから回覧板などで周知していく予定という。
AEDは心停止になった人を救命するための医療機器。ふたを開けると自動的に電源が入り、音声ガイドに従って操作する。
(2024年5月30日付紙面より)

リレーウオークに19人
新宮市観光地魅力アップ協議会主催の「新宮につながる熊野古道リレーウオーク」が26日に始まった。初回の「松本峠・花の窟・浜街道(北)コース」には19人が参加し、熊野市の鬼ヶ城から御浜町の道の駅パーク七里御浜まで約11㌔を歩いた。
「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年を祝した企画。第1回、第2回では、熊野市~新宮市の伊勢路約26㌔を2回に分けて歩く。
JR新宮駅前に集合した参加者たちは、バスで鬼ヶ城まで移動し、そこからは徒歩で松本峠へ。熊野古道語り部友の会のガイドが語る魔見ヶ島(マブリカ)の伝承などにも耳を傾けつつ、「新宮まで26㎞」の道標を過ぎてこけむした石段を上っていった。
参加した60代女性は「高野坂や大門坂、松本峠も歩いたことはあるが、今回は語り部さんの解説もあるとのことで、楽しみにしてきた」と笑顔で話していた。
第2回の「浜街道(南)コース」は既に定員に達しているが、本年度中に別コースで4回のリレーウオークを予定。詳細は追って広報するとしている。
(2024年5月29日付紙面より)


関西福祉科学大学が講座 (近大新宮 )
新宮市の近畿大学附属新宮高校・中学校(池上博基校長)で24日、医療ゼミと関西福祉科学大学のコラボ講座があった。同大学の大西弘之さんが奥深い福祉の仕事について講話し、医療系進路を志す中高生19人が耳を傾けた。
関西福祉科学大学は▽福祉創造学科▽リハビリテーション学科▽健康科学科▽福祉栄養学科▽教育学科▽心理科学科―の6学科からなり、幅広く人間を相手にするキャリア形成をするために必要な資格を取得できる。
大西さんは「福祉」について「健康で文化的な最低限度の生活を保障することは1947年に施行された日本国憲法に規定された国の義務であり、その役割を担うのが福祉の仕事」と言及。その対象について「サポートを必要としている人のためだけではない。国や私たちが暮らす地域社会全体で、体が健康な人もそうでない人も、経済的に豊かな人もそうでない人も、みんなが幸せに暮らせるように貢献する」と強調した。
具体的な仕事について、食事や入浴の介助などの「直接援助」以外にも、相手の話を聞いて必要な援助を共に考えて助言していく「相談援助」の分野があることも紹介。生徒たちは社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士の三つの国家資格について、それぞれの特色に理解を深めた。
食事・栄養と医療の関係にも言及。「食べ物は命の源。病院では食べることも『治療』であり、栄養摂取によって治療効果を上げることができる。近年では制限するだけでなく、おいしいものを食べたいという欲求を肯定しつつ、生活の質向上を図っていくことにも重きが置かれている」と語り、チーム医療の中での管理栄養士もなくてはならない役職であると述べた。
上野小雪さんは「直接介助するだけでなく、相談援助という分野もあることが分かった。将来は薬剤師を目指しており、チーム医療という点で視野が広がった」と話していた。
(2024年5月29日付紙面より)


ウミガメ保護監視員の委嘱式 (紀宝町 )
アカウミガメの上陸・産卵シーズンを迎え紀宝町は27日、同町ウミガメ公園で保護監視員の委嘱式を行った。任期は2年間。保護監視員は萩野進也代表をはじめ、西昌志さん、前地敏久さん、前地正喜さんと新任の前田浩志さん、和田泰雄さん、伊藤柊也さんの7人。6月1日(土)から産卵期の2カ月間、井田海岸で上陸がないかパトロールする。
同町はウミガメの産卵地として知られ、旧紀宝町で1988年7月1日に全国でも珍しい「ウミガメ保護条例」を制定。保護監視員を委託し、町ぐるみで保護活動を展開、旧鵜殿村との合併で誕生した新・紀宝町でもこの条例を引き継いだ。
式で西田健町長が保護監視員に委嘱状を手渡し「保護監視員の皆さんには、パトロールなどに協力していただき感謝しています。これからも町のシンボルとして紀宝町をPRしてほしい」とあいさつした。
井田海岸では5年連続で産卵がないものの、萩野代表は「毎年、最初の1頭が待ち遠しい。早く上陸してほしい。今年は新たに3人が監視員に加わってくれた。一緒に保護活動を頑張っていきたい」と話した。
(2024年5月29日付紙面より)

第202回職場対抗ボウリング大会
ラグビー春季梅干しカップで活躍 (新宮RFC )
県空手道選手権大会で好成績 (太地拳和会支部 )
東大人文・熊野フォーラム (新宮市 )
東大人文・熊野フォーラムin新宮「聖地 その多様性と包摂性」が25日、新宮市の丹鶴ホールであった。市内外から多数が来場。主に欧州での宗教に関するさまざまな講演を聞き、「熊野」との類似や相違を探した。
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部と新宮市の主催。藤井輝夫東大総長による基調講演「領域を越え、多様性の海へ」をはじめ、東大名誉教授、青山学院大教授、東大准教授が講演した。山本殖生・国際熊野学会代表委員による「蟻(あり)の熊野詣―広大慈悲の救済霊場」の講演もあった。
開会に当たり、田岡実千年市長があいさつ。「今回のフォーラムでの、東大の総長の基調講演は、とても貴重でうれしい。今回のテーマである多様性と包摂性だが、熊野では古くから実現していた。今日は多様な視点からの講演をしていただける、興味深いプログラム。熊野の個性と魅力を、改めて実感していただければ」と話した。
続いて、納富信留東大教授・文学部長もあいさつ。「今回は総長の基調講演をはじめ、ヨーロッパのキリスト教などの聖地の話。ゆっくり楽しんでいただければ。『紀伊山地の霊場と参詣道』も世界遺産登録20周年を迎え、聖地を見直すいい機会かと思う。講演の後はディスカッションもある。楽しんでほしい」と語った。
藤井東大総長の基調講演では、大学の使命に言及。「対話を通じて新たな学知を生み出し、困難な解決の手がかりを見い出すのが使命。多様な背景を持つ人との対話が大事」と力を込めた。
かつては海中を探索するロボットを研究していたことを紹介。「なぜ海の底をと聞かれ、不老長寿の薬を探しにと答えていた」と明かした。当地に伝わる徐福伝説に触れ「つながりを感じた」と述べた。
山本委員は、熊野の寛容性を示す事例として、「蟻の熊野詣」の時代から女性やハンセン病者も受け入れていたことを紹介。山伏に食事を与えたり、盲人が訪れたりしていた記録が残っていることも伝えた。
新宮市と東大は2021年3月に連携協定を締結。たびたび同様のフォーラムを開催している。
(2024年5月28日付紙面より)


過去最多の1万4000人 (オール熊野フェスタ )
「絆・賑(にぎ)わい」をテーマにし第10回「オール熊野フェスタ」が26日、熊野市駅前で開かれた。過去最多の約1万4000人(主催者発表)が足を運び、ステージや物産を楽しんだ。
熊野の郷土料理「めはり寿(ず)し」を来場者が一斉に頬張る「みんなでめはり『新記録に挑戦』」では、これまでの記録630人を上回る650人が参加し、新記録を樹立した。
市内全域の物産販売や芸能を一堂に集め、地域の住民同士の一体感を深めて、地域の活力再生、市全体の活性化につなげようと、熊野市と同フェスティバル実行委員会(田畑麻子実行委員長)が主催。今年は熊野古道世界遺産登録20周年記念事業として実施した。
会場では物産展「オール熊野マルシェ」があり、市内特産品や飲食物、市と交流のある宮崎県日向市や広島県熊野町、奈良県桜井市からの出店、ボルダリング、消防・自衛隊・海上保安庁などの展示、にいひめちゃんトランポリンコーナーなども繰り広げた。周辺では「熊野いこらい市」も同時開催され多くの人でにぎわった。
子どもたちのダンスで舞台イベントが開幕。オール熊野合唱団や木本節、金山相撲とり踊り、日本舞踊、松原龍宮太鼓といった伝統文化を次々と披露した。
三重高校ダンス部OB・OGも登場し、迫力のダンスで盛り上げた。市民参加型の「みんなで踊ろう!笑顔のフラダンス♪」「みんなで歌おらい!歌好き全員集合!!」、木本高校吹奏楽部の演奏もあった。
ビジョンカーでは熊野市出身の人気芸人「ニューヨーク」の屋敷裕政さんやミュージシャンの森山一徳さん、歴代実行委員長らの10周年を祝うメッセージも紹介した。
(2024年5月28日付紙面より)

生まぐろ市場コンサートに向け (那智勝浦町 )
「さわかみオペラin紀州勝浦生まぐろ市場コンサート~オペラ『カルメン』ハイライト~」に向けたオペラ合唱団の練習が26日、那智勝浦町福祉健康センターで始まった。新宮市~串本町、三重県から約50人が参加し、テノール歌手の武井基治さんの指導で和気あいあいと練習に励んだ。
本格オペラを全国に広めようと活動するさわかみオペラ芸術振興財団と共に、公演は今年で3回目を迎える。広域で参加者を募っての合唱団結成は今回が初の試みだ。
初稽古で武井さんは「大切なのは一人一人が舞台で生き生きと演じること。カルメンはフランス語で、少し座学も必要だが、その先に歌える喜びがある。熊野で皆さんが合唱を楽しんでいると全国から注目されるよう、大きな取り組みにしていきましょう」と呼びかけ、呼吸やリズムの取り方を丁寧に指導した。
新宮市から参加した庄司麻弥さん(50)は「合唱は久しぶりだけれど、練習は楽しい」と笑顔。
地域音楽コーディネーターでコンサート実行委員会の山縣弘明実行委員長は「世界遺産登録20周年の年に、熊野エリアから広域で人々が集まり、一緒になって歌うことができるのがうれしい」。堀順一郎町長も「町民・市民総出の公演は当初からの願いで、それが実現する。演者と地域の方々が一つになって素晴らしい舞台になれば」と話していた。
10月19日(土)の本番まで計8回の稽古がある。2回目からの参加も可能で、問い合わせは町教育委員会生涯学習課(電話0735・52・4686)まで。
(2024年5月28日付紙面より)


一般社団法人未来創生塾(横田敏郎代表理事)の第1回総会が24日、新宮市丹鶴のホテルニューパレスであった。全会員の30人が参加。青年を育成し、地域の未来を創生していくために活動していくことを誓った。
同法人は1月に設立。新宮市、東牟婁郡、西牟婁郡などの広域から、30代から60代のあらゆる職種、立場の人間が集まり組織している。さまざまなテーマでの議論や活動を行い、地域を創生していくことを目的としている。
開会に当たり、横田代表理事があいさつ。「今年の1月に、地域社会の持続と発展のため、将来の担い手となる青年の育成を目的とする意味合いで、未来創生塾を立ち上げた」と、設立趣旨と経緯を説明した。
都市部と地方の経済格差や、少子高齢化、人口減少、人材不足などに言及。「みんなの知恵や発想を出し合い、行動力を持って、一つでも良いきっかけ、新たな商売、注目されるイベントが生まれたら。一人でも市や県、国を動かせる人材がこの会から生まれれば」と力を込めた。
市や県、国への陳情活動を行う意向も示した。「実行できる会にしたい。実行して初めて、理想と希望へ踏み出せる。ご協力をお願いします」とまとめた。
この後、議長を選出して議事を進行。本年度の事業や予算を決めた。本年度は▽会員のレベルアップのための月1回の勉強会▽市や県、国に対する要望や陳情▽会員の親睦を深め継続的なつながりを持つための定例会▽持続可能な地域を創生するためのイベントの企画―を行うとした。
(2024年5月26日付紙面より)


中家永理さんがフラ奉納 (熊野那智大社 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)と別宮・飛瀧(ひろう)神社で24日、和歌山市でフラ教室「アロヒ マウロア」を開く中家永理さん(47)ら7人によるフラダンスの奉納があった。ご神木のクスノキと那智の滝の下で、古典フラ「ウラ・ノヴェオ」とオアフ島マノアの美しさを歌う「ヴェヒヴェヒマノア」を奉納した。
「フラダンスは嵐の時には神々の怒りを鎮めるため、そして祝い事の時にも感謝を込めて踊るもの。フラとの共通点を感じ、那智山という場所に引かれてずっと訪れてきた」と語る中家さん。
中家さんが鳴らす楽器「イプヘケ」のリズムと歌に合わせて生徒たちもフラダンスを披露。自然の光を浴びて奉納する様子に、多くの参拝客らも見入った。
奉納を終え、中家さんは「昨年はハワイにある『アカカの滝』の曲で奉納したが、今年は自然の美しさを表現した曲に。1年間の感謝、教室の繁栄を祈って奉納させていただいた。これからも毎年訪れたい」と話していた。
(2024年5月26日付紙面より)


太田の郷ツアーに10人 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は24日、「町営バスで行く太田の郷ツアー」を開催した。町内から10人が同町南大居の交流センター「太田の郷」を訪れ、完成したばかりの新施設で発酵食品作りや散策を楽しんだ。
同町では現在、色川線、太田線、下里線、勝浦線、宇久井線の5路線で町営バスが走っている。昨年から75歳以上は保険証の提示で運賃無料。路線改定で太田の郷近くにバス停ができたこともあり、まずは乗ってもらおうとツアーを企画した。
太田線のバスで太田の郷へ到着した一行は、さまざまなプログラムに参加。しょうゆこうじ・玉ねぎこうじ作り体験では、スープの味付けや肉の下味などさまざまな活用方法がある発酵食品に興味津々で「しゃぶしゃぶのタレやドレッシングにもいいかも」などの声もあった。農産品や焼きたてのパンの買い物も楽しみ、午後からは渡る人を100㌔までに制限したつり橋「築紫橋」までの散歩もあった。
栗田登美子さん(75)は「お友達に誘われて3人で参加しました。せっかく町営バスに無料で乗れる年齢になったことですし、運転手さんもみんな優しくて、普段の生活でフル活用しています」と話していた。
町営バス利用に関する問い合わせは町福祉課(電話0735・29・7039)まで。
(2024年5月26日付紙面より)


河口大橋開通で計画 (戦前「提灯」の再現も )
今秋に予定する熊野川河口大橋(新宮紀宝道路)の開通記念イベントとして、橋の上での世界記録への挑戦や二県交流綱引き大会を行う計画であることが23日、分かった。他にも広域交流物産展やステージイベント、工事現場見学会、ウオーキングイベント&提灯(ちょうちん)行列、自衛隊音楽隊による記念コンサートなどを検討している。官民混成の新宮紀宝道路開通記念イベント実行委員会が実施する。
新宮市役所別館で行われた、熊野川河口大橋に橋を架ける会(田岡実千年会長=新宮市長)の総会の中で、事務局より報告があった。同実行委は、新宮市や紀宝町、両市町の商工会などで組織する。
「世界記録への挑戦」では、地元の角材を使い橋の上でつなぎ、世界記録に挑戦するという。「二県交流綱引き大会」は、橋の上で和歌山県と三重県に分かれて綱を引くもので、熊野エリア商工青年部協議会が昨年6月に「前哨戦」として行った経緯がある。
「工事現場見学会」は、開通前に工事しているところを見学する。重機などに触れてもらうことも考えているという。「提灯行列」は、1935(昭和10)年の旧熊野大橋の開通時に行われた行事を再現するもので、提灯を持って橋を渡ることを考えている。
なお、熊野川河口大橋の開通は、今秋の予定とは決まっているが、何月かは未定となっている。
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熊野川河口大橋に橋を架ける会は、新宮市と紀宝町、両市町の議員、架橋促進の民間団体、商工や観光の関連団体などで組織する。総会は29人が出席して開会。事務局より昨年度の事業と決算の報告、本年度の事業と予算の提案を受け、いずれも承認可決した。
開会に当たり、田岡会長があいさつした。同会が、新宮市と旧鵜殿村で2004(平成16)年に発足したことを紹介。橋が開通すれば新熊野大橋や国道42号の慢性的渋滞の解消や、防災、医療、産業、観光に効果があることも伝えた。
「この会は本年度でほぼ活動を終わるが、今後も紀伊半島一周道路の整備は続く。引き続きご協力を」と呼びかけた。
(2024年5月25日付紙面より)


がん研究支援呼びかけ30回目 (生命の駅伝 )
県内を走りながらがん研究への支援を呼びかける「第30回生命(いのち)の駅伝」が24日、紀宝町、御浜町、熊野市であった。ランナーたちは、がん研究支援、がん検診の受診率向上を訴えながら約20㌔を走り、医療関係者にエールを送った。
例年、県内全29市町を駅伝でつないで広く募金を募り、全額がんの研究支援に使われる。今年は11日から始まり6月1日(土)までに県内全29市町を13コースに分けて走る。
紀宝町役場であった出発式で、西田健町長があいさつ。町では、がん検診の受診率向上を柱にしていると紹介し「この生命の駅伝の活動を通して、がん研究支援・応援の輪がさらに広がることを祈念します」と述べた。
ランナー代表の松田弘和さん(68)は「今では早期発見で助かる命がある。生命の駅伝は希望のマラソン。各自治体のがん検診をもっとPRしてほしい」と伝えた。
庁舎内に設置した募金箱と町からの寄付金を受け取った駅伝ランナーは、「命」と書かれた旗を背負って御浜町へと走り出した。
(2024年5月25日付紙面より)


松尾泰伸さんが奉納演奏 (那智勝浦町 )
那智勝浦町那智山で23日、「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年記念イベント「北斗七星と那智の滝を見よう!!」が開かれた。あいにくの曇りで星は見えなかったが、松尾泰伸さんによるシンセサイザー奉納演奏の中、大勢が夜空を見上げた。
那智山と陰陽師(おんみょうじ)の安倍晴明の伝承にちなんだもので、世界遺産エリアの新たな魅力を発掘しようと企画した。
NHK大河ドラマ「光る君へ」にも登場する安倍晴明。那智山には、安倍晴明が満月の夜、那智の滝に北斗七星を勧請し、霊力を得たとの伝承がある。第65代天皇花山法王が那智山にこもって千日修行を行っていたところ、天狗(てんぐ)の妨害に遭遇したため、都より安倍晴明を呼び寄せ、改心した天狗たちが修行者を守る烏(からす)天狗となったとの言い伝えもある。
地域の子どもたちが作った竹灯籠が滝までの参道を照らした。演奏では、那智の滝にささげる最新曲「光る瀧」の他、「飛瀧」「天と地のレクイエム」「SEIMEI」などを奉納した。
大阪府岸和田市から参加した小林久美子さん(59)は「体に溶け込むような素晴らしい音楽。那智の滝のエネルギーも竹灯籠も素晴らしく、この場を調えていただいた皆さんに感謝しています」と感無量の様子だった。
(2024年5月25日付紙面より)



総合スポーツ大会グラウンドゴルフ (新宮市ゆうゆうクラブ )
那智勝浦町体協グラウンドゴルフ夏季大会
各地の名所や絶景を掲載 (中辺路のフォトブック )
和歌山県立新翔高校の3年生で写真部の味松優合娃(ゆりあ)部長と森綾音副部長が大半の写真を手がけた「熊野古道中辺路フォトブック」がこのほど、「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年を記念して発行された。2人が撮影した新宮市、那智勝浦町、田辺市本宮町、大雲取越・小雲取越の名所や絶景を掲載している。県内外の観光案内窓口や道の駅などに設置されている。
熊野三山観光協会が発行。B5判中とじ12㌻の両面フルカラーで、新翔の2人のほか、県立神島高校の写真部が撮影した田辺市市街地&中辺路町の写真もある。フォトブックは熊野エリア観光推進実行委員会ホームページ(https://www.kumano-area.jp/2024/04/09/2577/)からダウンロードもできる(QRコード参照)。
味松部長は中学生から、森副部長は小6から写真を始め、新翔写真部に入部。フォトブックは県東牟婁振興局から話があり、2年生の頃の9月から翌2月ぐらいまで撮影を行った。県職員に連れられて各地に出向いた。
スマートフォンで撮影していたのだが、寒い時期はバッテリーの減りが早く、お互いに貸し借りしてしのいだという。「同時に2人のスマホが壊れたこともある」と明かす。撮った枚数は全部で約2000枚。一つの場所で100枚ずつ撮ったりしていたため「選ぶのが大変だった」と振り返る。
味松部長のお気に入りは、新宮市で撮った熊野川の写真。空に太陽があり、左右には山があって、そのどちらもが水面に映っている。森副部長は那智高原公園で撮った大雲取越の写真で、左に針葉樹の並木、右に葉が紅葉した木があり、秋の情景を醸し出している。
味松部長は「自分たちが頑張って撮った写真が載り、写真の良さが他の人につながるのでいい機会になった。機会があればもっと範囲を広くして撮りに行ってみたい」。森副部長は「楽しさもあり、出来上がりを見てすごいなと思っています。またやってみたい」とほほ笑んだ。
(2024年5月24日付紙面より)


民生児童委員協議会が総会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町民生児童委員協議会(岡本美智子会長、委員55人)は21日、町役場大会議室で令和6年度総会を開き、本年度事業計画などを承認した。
民生委員は厚生労働大臣から委嘱を受け、それぞれの地域で住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助や社会福祉の増進に努める役職。児童委員は、地域の子どもたちが元気に安心して暮らせるよう見守り、子育ての不安や妊娠中の心配事などの相談・支援を行う。
開会に当たり、岡本会長は今年1月1日に発生した能登半島地震に触れ「長期にわたる断水生活などで、災害関連死も100人を超えると聞く。近い将来発生するといわれている南海・東南海地震では、私たちの地域も想像を絶する状況になる恐れがあり、日頃から減災を考え、自助共助で助け合うことが大切。委員一人一人が現状や制度への理解を深め、住民との信頼関係を築き、互いに協力していきましょう」とあいさつ。
来賓の堀順一郎町長は福祉行政推進への協力に感謝し「町内の高齢化率は43%を超え、子どもの出生数も減っているのが現状。高齢者の社会参加を促進するため、75歳以上を対象に町営バスを無料化し、体育文化会館周辺の公園整備も進めている。子どもと高齢者が互いに元気をもらい、この町に暮らして良かったと思える町づくりを進めるため、皆さんの協力が不可欠」と述べた。
昨年度の活動での相談支援件数は計753件。分野別では、高齢者に関すること397件、障害者37件、子ども98件、その他221件だった。内容は日常的な支援が166件、次いで在宅福祉が113件と多かった。
本年度の事業計画では、町内小中学校訪問や近畿ブロック研修などの他、1995年に阪神淡路大震災を経験した兵庫県で、人と防災未来センターなどの視察研修を予定している。
(2024年5月24日付紙面より)


熊野美術協会展表彰式 (新宮市 )
第76回熊野美術協会展が、新宮市の丹鶴体育館(旧丹鶴小学校体育館)で開催された。最終日の19日には表彰式があり、三隅俊昭会長が受賞者たちに賞状と記念品を手渡した。
熊野美術協会主催。1930(昭和5)年に設立され、熊野地方を中心に造形文化の振興を図り、絵画団体や作家の連携を緊密にする目的で毎年協会展を開いている。今回は会員26人、会友7人、一般12人が47点を出品した。
熊野美術協会賞(第一席)を受賞した竹原愛さんは「タイトルの『Hiraeth(ヒライス)』はウェールズ語で、戦争などで壊れてしまって二度と元に戻らないものへの思いという意味があるそう。この言葉に引かれて描いたが、自分にとっては新しい挑戦だった。自分では描けていないところばかりが目についてしまうが、賞を頂けて驚いた。熊野美術協会や筆島会の皆さんからいつも影響を受けている」と語る。
三隅会長は「バラエティーに富んだ作品が多かった。敷居が高いと思わず、来年も多くの方に参加していただきたい」と話していた。
(2024年5月24日付紙面より)


県サッカーU―12選手権東牟婁予選
毎月開催「おしごと相談会」 (ハローワーク新宮 )
深刻な人手不足に直面する中、仕事を探す人と、人材を求める事業所の気軽な出会いの場となるよう新宮市神倉のハローワーク新宮は「おしごと相談会」に力を入れている。島袋正弘所長は「まずは地元の企業を知ってほしい。直接話をすることで、求人票にはないことも分かる。普段着で気軽に参加してもらえたら」と呼びかけている。
地元にある事業所を一人でも多くの人に知ってもらおうと昨年5月から始めた取り組み。会社説明会として開催していたが、敷居が高そうなイメージを払拭しようと、4月から「おしごと相談会」に名前を変えた。会社の雰囲気や働く人の声など求人票だけでは見えてこないことを気軽に話せる場にしたいと考えている。
履歴書や事前予約不要で、普段着で参加できるのが特徴だとう。求職申し込みをしているかどうかも関係なく、事業所の担当者と希望の条件、職場の雰囲気などについてざっくばらんに話せる。
求人申し込みを受けている事業所に呼びかけ、ハローワーク新宮2階会議室を会場に1カ月当たり7~10回ほど開催。施設内の掲示板と、毎週発行している「週刊求人情報誌」、ハローワークインターネットサービス(※)で開催を知らせている。
保険代理店の株式会社ベストパートナー(新宮市緑ヶ丘)の相談会は15日に開かれ、担当社員が会社に関心がある人たちを迎えた。
昨年10月から相談会を活用した採用活動をしており、この日で6回目。会社見学や面接につながった例もあるという。植田隆治さんは「『地域で最も働きたい会社』になることを目指している。気軽な気持ちで、どんな会社なのかを知ってもらえたらうれしい」と話していた。
ハローワークの統括職業指導官・石丸尚之さんは「いろいろな働き方、いろいろな業界がある。話を聞いて、知って、考えてみる、きっかけづくりとして役立ててほしい」と話していた。
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※ハローワークインターネットサービス=同名でインターネット検索。トップページの「仕事をお探しの方へのサービスのご案内」から「イベントを探す」へ。和歌山県でエリア検索すれば、おしごと相談会の開催情報を見ることができる。
(2024年5月23日付紙面より)


登録20周年ののぼり掲出 (世界遺産大辺路地域協 )
和歌山県世界遺産大辺路地域協議会が20日、紀伊山地の霊場と参詣道の同遺産登録20周年記念のぼりの掲出を始めた。
この協議会は、熊野古道大辺路沿いにある白浜町、すさみ町、串本町の3町で結成。秋に記念行事として基調講演やパネル展、記念ウオークなどを実施しグッズを配って20周年を盛り上げる展開を考えていて、その機運を醸成するため先行してこののぼりを掲げることにした。
作成数は30枚。各町で10枚ずつ預かり、役場や公民館、駅など人流が見込める公共施設へ掲げるとしている。串本町では文化センター、役場本庁舎、南紀串本観光協会に設置している。
青地に白抜きでデザインを落とし込んでいて、背景のデザインは熊野古道大辺路刈り開き隊の生駒和歌子さんが担当。持ち味とする絵地図の表現で大辺路(田辺市・闘鶏神社~那智勝浦町・浜の宮王子間)の全体像を描き出している。道中の要所記載がされていて、串本町関係では新田平見道、富山平見道、飛渡谷道、清水峠といった世界遺産に登録されている区間を伝えている。
同協議会事務局(すさみ町教育委員会社会教育課)は「記念行事はこれから詰めるので、詳細については少し待ってほしい。参加の機運が高まるよう、3町でまずはこののぼりを活用していきたい」と話している。
(2024年5月23日付紙面より)

下里小5年生が海洋学習 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立下里小学校(堺高行校長)で21日、ウミガメ学習があった。海洋学習の一環として、5年生9人が玉の浦リップルズクラブの湊久和さんから、ウミガメの生態や産卵について学んだ。
玉の浦リップルズクラブは同校育友会OBによって結成。活動の一つである太田川河口の大浜海岸でのウミガメの保護は30年近く続いている。
湊さんはウミガメについて「生活のほとんどを海の中で過ごしており、陸に上がるのは雌が産卵する時くらい。まだまだ分かっていないことが多く、これから新発見があるかも」としつつ、日本周辺に生息するウミガメの甲羅や頭部、食性の特徴を紹介。産卵について「暗くて静かな砂浜に上陸し、歩き回って場所を決めると、ボディーピットという体が入る浅い大きな穴を掘る。その後、後ろ足で『卵室』を掘り、卵を産む」と映像を交えて語り「日本は北太平洋で唯一の産卵地」と海岸保全の重要性を強調した。
西莉愛さんは「今の6年生がウミガメのことを話してくれたけれど、知らないことがいっぱい」。表谷錬太朗君は「いろんなカメの種類を知れて良かった」と語った。
同校では産卵シーズンを前に、28日(火)に全校児童とクラブメンバーで大浜クリーン作戦を実施する予定で、樋口蓮二郎君は「2年連続で産卵がないということで、今年は来てくれるように頑張りたい」と話していた。
(2024年5月23日付紙面より)


流し灯籠の復活も検討 (新宮市 )
熊野徐福万燈祭運営委員会(田岡実千年委員長=新宮市長)の第1回会合が20日、新宮市役所であった。7人が参加。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録20周年の記念として、今年は花火大会をバージョンアップすることを決めた。流し灯籠の5年ぶりの復活も前向きに検討となった。
開会に当たり、田岡委員長があいさつ。「市の夏の風物詩として親しまれている花火大会だが、今年は世界遺産登録20周年の節目であり、例年よりバージョンアップして開催できれば。花火大会を楽しみにしている多くの方々の期待に添えるよう、意見を頂ければ」と語った。
この後、議事を進行。事務局より、昨年度の事業と決算の報告、本年度の事業と予算の提案を受け、いずれも承認可決した。本年度は名称を「世界遺産登録20周年記念 熊野徐福万燈祭(第62回新宮花火大会)」とし、8月12日(月・振休)の午後2時から徐福公園で徐福供養式典を、13日(火)の午後7時30分から熊野川河川敷で新宮花火大会を実施することを決めた。市からの補助金は100万円を増額して300万円とした。賛助金は昨年度の実績を基に、1700万円を計上した。
委員から「花火の予算が(前年度比)約300万円増となるが、花火はどうなるのか」との質問があった。事務局は、グレードアップの具体的な内容として、「20」の数字が上空で開く花火を打ち上げること、花火業者3社の競演打ち上げをプログラム中に増やす予定であることを明かした。競演はこれまで最後のみだった。「時間は延ばさず質をグレードアップ」と説明した。発数は約6000発を見込む。
コロナ禍前を最後に途絶えていた流し灯籠について「してほしいと言う人もいる」「やろう」などの声が上がった。事務局は、見えにくいこともあってやめたことを説明したが、意見を受けて前向きに検討するとした。必要な経費は約100万円を見込み、決定は委員長に一任、実施の場合は予備費から捻出することになった。
(2024年5月22日付紙面より)


串本町役場で第1回会合 (串本古座高校地域協議会 )
串本古座高校地域協議会(会長=田嶋勝正・串本町長)の2024年度第1回会合が17日、串本町役場本庁舎であった。
この協議会は、同校が存続のために掲げる魅力化プロジェクトの一端・地域まるごとキャンパス構想を実現する実働体として、串本町と古座川町の人口割負担を原資として16年7月に発足。コーディネーターを起用して県内唯一となる校内塾「くろしお塾」の運営や学校設定科目の講師発掘や「串本デュアル」長期インターンシップ受け入れ事業所の橋渡し、全国募集支援など魅力化を支援する諸事業を展開している。
開会に当たり会長の田嶋町長は本年度から未来創造学科の生徒受け入れを始めるなど同校の現況を見据えて「入学した生徒の皆さんがこの学校に来て良かったと思えるよう引き続きバックアップをしていきたい」とあいさつ。年度最初の会合となるため校内塾の酒井豊塾頭や町田一葉講師と委員、事務局一同で自己紹介をして協議を進めた。
序盤は同校からの報告で、本年度着任した中西浩子校長(同協議会副会長)が現在の生徒規模(1年生80人、2年生79人、3年生50人、計209人)、未来創造学科の概要と1期生(=1年生)のコース選択状況や育成像を見据えた入学直後の宿泊研修実施、同協議会コーディネーターによる全国募集と地元募集の取り組み状況などを説明。中盤は酒井塾頭が20年度の設置以降年間延べ利用者数が年々伸び前年度は1万1181人に達したこと、その先でアドバンスドコース(同校の進学コース)選択生徒の41%が志望する国公立大学へ進学する実績が上がっていることなどを報告。他方で本年度から講師陣が町田講師との2人体制になったことで受験指導や学び直し指導の発展、広報活動の拡充、生徒の自学自習の大きな励みとなっている豊かな自分づくり支援機能(通称・地域みらい学)への地域住民参加にいっそう力を入れたいと展望を掲げた。
これら報告を受けて委員からは、子育てを終えた世代も多い委員よりも今まさに子育て中の家族へ伝えるべき内容でありその機会をつくれないかとの意見が上がった。
以降は会長一任で専決処分した本年度予算の報告を受け、その他前年度と本年度の事業関係諸議案を審議し承認。副会長の西前啓市・古座川町長がよりよい方向への側面からの応援を呼びかけて締めくくった。
(2024年5月22日付紙面より)

植野めぐみさんが絵地図展 (田辺市本宮町 )
田辺市本宮町の世界遺産熊野本宮館北棟展示ロビーで20日、アトリエちきゅうの道の絵地図作家の植野めぐみさんによる古道を描いた絵地図展「いにしえの軌跡」が始まった。期間は6月6日(木)まで。
「もともと旅が好きだが、目的地というよりもその道中が大好き。自分が見たものをそのまま閉じ込めてしまいたいと思い、絵地図にたどり着いた」という植野さん。当地方でも、「太田川つれもていこら絵図」や「紀の松島見どころまっぷ」、「新宮市町歩きマップ」、串本町~那智勝浦町の駅周辺を描いた「わがらの駅お散歩マップ」などを手がけてきた。
今回は2019、20年に制作した3作品を展示。伊勢から田辺へ、紀伊半島での旅路を描いた縦横1・8㍍の「熊野巨大図会」の他、イタリアのローマから同じく道の世界遺産である「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の終着地点まで3000㌔の旅路を描いた「地球古道ローマ→サンティアゴ」などがある。
植野さんは「『紀伊山地の霊場と参詣道』の世界遺産登録20周年で、海外から訪れる方も多い。ボーダーレスに、ひとつながりの『熊野』という世界を感じてほしい」と話していた。
(2024年5月22日付紙面より)

三和交流グラウンドゴルフ大会
那智勝浦町体協夏季ソフトバレー
全日バレーボール小学生大会 (東牟婁予選 )
サッカーJC杯東牟婁予選
和歌山県空手道選手権大会 (和道流新宮道場松本塾 )
自治会連合会が要望書 (新宮市 )
新宮市自治会連合会(榎本義清会長)から新宮市長への「病児保育について」の要望書の提出が20日、新宮市役所であった。榎本会長が田岡実千年市長に手渡し、早期実現を求めた。
要望書では、子育て支援の施策として「病児保育」の重要性を強調。「共働きやひとり親家庭は、子どもが急な病気になったときに誰かに頼ることができず、頭を悩ませる家族も多い」と伝える。
県内の新宮市以外の8市はすでに、病児保育に取り組んでいることにも言及。「保護者や子どもらの負担軽減のために、病児保育の早急な実現を」と訴えている。
要望書の提出には榎本会長のほか、西孝副会長、貞宗孝史副会長、仲西博光副会長が訪れた。市議会の竹内弥生議員と中山忠吏議員も同席した。榎本会長は「人口流出はこういうところから始まる。子育て世帯が逃げていってしまう。若い世代が住みたいと思えるまちづくりを早急に」と力を込めた。田岡市長は「要望は重く受け止める。一日も早く実現できるように頑張りたい」と応じた。
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新宮市では病児保育こそ行っていないものの、ファミリー・サポート制度があり、これで病後児の預かりを行うとなっていた。しかしコロナ禍の影響で、やはり病後でも預かりは難しいとなり、病後児の預かり実績ゼロの状況が何年も続いている。5類移行後も状況は変わっていない。
また病児保育に関しても、昨年度から検討を進めているという。小児科の近くの施設を改修して開設できないかと考えているが、場所も含めて流動的とのこと。
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新宮・東牟婁の市町村の中で串本町は唯一、病児保育を行っている。くしもと町立病院内で2020年1月に開設。昨年度は延べ66人が利用している。担当者によると、実家が遠くて祖父母が近くにいない、もしくは祖父母も仕事に行っているなどの事情で預けていく人が多いのこと。「助かる」との声が聞かれるという。病院内にあるため、症状が悪化してもすぐに診てもらえる。
(2024年5月21日付紙面より)

丸山千枚田にオーナーら集い (熊野市 )
緑豊かな田園風景が広がる熊野市紀和町の丸山千枚田で18日、「田植えの集い」が行われた。県内外から68組のオーナーや家族、ボランティアなど約630人が参加した。
丸山千枚田は1601年に2240枚の田があったと記録されるが、1990年ごろには530枚まで減少した。93年に丸山千枚田保存会を結成し、保全活動により現在は1340枚まで復田した。市ふるさと振興公社が96年度からオーナー制度を採用し、今年は166組、880人の応募があった。
田んぼでは、木本、紀南高校書道部が名前を書いた立て札がオーナーを歓迎した。オーナー家族らははだしや長靴で水田に入り、スタッフや千枚田保存会の会員の指導で県育成品種「なついろ」の苗を手で植え込んでいた。
家族連れでの参加も多く、子どもたちは「おいしいお米に育って」と願いつつ、泥んこになりながら田植えを楽しんだ。
(2024年5月21日付紙面より)

太田の郷新施設で竣工式 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の交流センター「太田の郷」内に完成した新施設の竣工(しゅんこう)式が19日に開かれた。「くまのざくら」と名付けたホールでテープカットがあり、発酵食品の加工場や地域内外との交流、新規営農者育成の拠点として今後の活用・発展を祈念した。
新施設は旧太田中学校の講堂を改装したもので、発酵食商品の加工フロアや水洗トイレ、シャワールームなどを整備。「わがらで創る郷の未来『太田の郷を地域資源をもっと有効に活用できるファクトリーと農産業支援拠点へ』」と題し、総務省の過疎地域等集落ネットワーク圏形成支援事業の交付金を受け、地元住民の手で改装に取り組んできた。今年3月末に完成し、4月の農繁期を経て竣工式を迎えた。
式典ではNPO太田の郷の前身となる太田寄合会の大江清一会長が歩みを振り返り「多くの方に取り組んでいただいた結果であり、その喜びを分かち合いたい。自分たちにできることは自分たちで。そんな思いで、今後も取り組んでいきたい」とあいさつ。
来賓の堀順一郎町長は「太田地域が元気でU・Iターン者も多いのは、太田の郷が役割を果たしてきた成果。那智勝浦町は世界遺産と温泉と生マグロの町だが、そこに地元の方々が作ったみそや発酵食品などが加わっていく。町全体で新しいものを提供していけるように」と祝辞を述べた。
工事に協力した太田建設、東水道設備、圓戸石油店、南紀電設にそれぞれ感謝状と記念品が贈られた。乾杯の後、加工した甘酒アイスやいちごジャムの振る舞いもあった。
(2024年5月21日付紙面より)

補陀洛山寺で「春まつり」 (那智勝浦町 )
補陀落渡海の信仰で知られる那智勝浦町浜ノ宮の世界遺産・補陀洛山寺(髙木智英住職)で17日、毎年恒例の「春まつり」が営まれた。熊野修験の山伏も参列し、約30人が開帳された本尊「三貌十一面千手千眼観世音菩薩(ぼさつ)」(国重要文化財)に手を合わせた。
補陀落渡海は、平安時代から江戸時代まで行われた宗教儀礼。観音の浄土「補陀落山」に往生しようと多くの行者が渡海した。渡海上人が小舟に乗り込むと出入り口には板が打たれ、外に出られないようにした状態で、海のかなたへ出航したという。「渡海船」は1993年に復元され、同寺に展示されている。
先祖供養の法要の後、熊野修験の山伏のほら貝が鳴り響く中、髙木住職が護摩をたき、参列者が「家内安全」や「身体健康」などの願いを書いた護摩木を火中に投じた。その後、髙木住職と山伏らが同寺の裏山に上り、渡海上人の供養塔と歴代住職の墓の前で追善供養を営んだ。
髙木住職は「護摩たき中で能登半島地震の被災地の人たちが早く平穏な生活に戻られるように祈願した」と話し、補陀落渡海について「今年は世界遺産登録から20年を迎える。歴代の渡海上人や住職が法灯を守ってきてくれたからこそ寺が続いている。感謝の気持ちを込めて供養した」と話した。
同寺では7月7日の世界遺産登録20年を記念し、7、8月の毎週土曜日の午後2時から本尊を特別開帳するなど記念行事を実施する予定。
(2024年5月19日付紙面より)


19日まで「町民展示祭」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町文化協会(後誠介会長)、町民展示祭実行委員会主催の絵画、生け花、呈茶の合同展「第16回町民展示祭」が18日、町体育文化会館で始まった。最終日の19日(日)は午前9時から。町体育文化会館2階の会場には、会員の力作が並び、来場者を楽しませている。
展示祭は絵画の「弁天画会」(平内嘉子会長)、生け花の「花好きクラブ」(牧邦子代表)、「茶道表千家流音無会」(築紫充代会長)の3団体が成果を発表する場。会場には、能登半島地震の被災地への募金箱が設置され、協力を呼びかけている。
弁天画会は、月1回の室内写生と年間3回ほどの室外写生を楽しんでおり、今回は人物画や静物画など86点を出展。ミニサイズのイーゼルに飾った絵もあり、来場者の注目を浴びている。
花好きクラブは、会員が野、山、畑で思い思いの材料を集めて自由自在に生けて楽しむ活動を続ける会。季節の自然の花を感じさせる作品46点を展示した。
茶道表千家流音無会は、那智山青岸渡寺の「開山祭」や新宮市の本廣寺での「川上不白をしのぶ会」での献茶でも知られる会。会場では例年好評の茶席を設けて来場者をもてなしている。呈茶は午前10時から。
町文化協会の後会長は「毎年変化があり、いつも新鮮に感じる。それぞれテーマを持って展示しているのも素晴らしい。会場が久しぶりに会う知人らとの再会の場にもなっているのもうれしい」と喜んだ。会場を訪れた堀順一郎町長は「毎年楽しみ。生け花の展示でこんな野草が熊野にあったのかと驚いた。熊野の奥深さを感じさせてくれる展示だ」と話した。
(2024年5月19日付紙面より)


地域の「名人」に教わる (熊野川小 )
新宮市立熊野川小学校(水本紀史校長)の1、2年生7人は16日、夏野菜のミニトマトとピーマンを校庭の畑に植えた。地域の人に教わりながら収穫を楽しみに土に触れた。
生活科の授業で野菜作りを学んでおり、「野菜名人に教えてもらおう」と題し、みくまの農業協同組合(JAみくまの)の営農経済センターから笹平登紀さんと清水重良さん、学校運営協議会の下阪殖保さんを「名人」として迎えた。
土作りから畝立て、マルチ敷き、支柱立てと一連の作業の意味を子どもたちに伝わりやすい表現で説明。笹平さんは「肥料はピーマンとトマトのご飯になるけど、このままでは食べにくいから石灰を一緒に混ぜます。魚の骨など私たちが食べているものも肥料になりますよ」などと紹介した。
児童はスコップで土作りをした後、草が生えないよう黒のマルチシートを敷き、穴を開けると、ピーマン三つ、ミニトマト五つの苗をやさしく植えた。風で倒れないよう支柱を立て、たっぷり水をあげて獣害防止のための網で畑を囲った。
笹平さんは「大きくなるまでに1カ月以上かかります。たくさん収穫できるよう、みんなでお世話をしてくださいね」と呼びかけた。
畑は教室の前にあり、児童は日々の水やりや、支柱へのひも結びなど成長を見守ることにしている。
(2024年5月19日付紙面より)


危機浮き彫り、対策急務 (本紙エリア若年女性減 )
「人口戦略会議」はこのほど、和歌山県内の23市町が「最終的には消滅する可能性がある」との分析結果を公表した。本紙エリアである新宮市と東牟婁郡の自治体では、北山村のみを除いた5市町が含まれており、人口減少に伴う存続の危機があらためて浮き彫りとなった。それぞれの自治体で対策は行われているが今後はさらに、効果が発揮できるかが問われることになる。
人口戦略会議は、民間の有識者グループで構成。国立社会保障・人口問題研究所の推計を基に20代から30代の女性の数を示す「若年女性人口」の減少率を分析して公表した。2050年までに若年女性人口の減少率が50%以上となる自治体を「消滅可能性自治体」とした。新宮・東牟婁の6市町村の若年女性人口とその減少率は別表の通り。
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10年前の14年に行われた調査では消滅可能性自治体に入っていた北山村は、今回の調査で新宮・東牟婁で唯一、脱却を果たした。この理由について同村の担当課は「特にぱっとは思いつかないが、空き家改修の補助をやっていたり、医療費を高校卒業まで無料にしていたり、保育所の保育料や小中学校の給食費を無料にしていたりするからでは。最近始めたわけではなくずっと以前からなので、これらが影響したのかもしれない。ここ10年で子育て世帯が何世帯か入ってくれてはいる」と明かした。
新宮市は、高校卒業までの医療費や、市立小中学校の給食費の無料化を実施。那智勝浦町も同様に、高校卒業までの医療費や、町立小中学校の給食費を無料化している。移住定住の促進についても、空き家改修への補助を用意している。太地町も、高校卒業までの医療費、町立小中学校の給食費を無料化。変わったところでは、高校生などの通学定期の補助もある。
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対策が「子育て支援策」にとどまる自治体がほとんどの中で、三重県紀宝町はそれ以前の「結婚支援策」として婚活イベントを実施している。和歌山県側の5市町と同様に「消滅可能性自治体」ではあるが、一歩進んだ対策の実施が、今後の明暗を分けるかに注目が集まる。
(2024年5月18日付紙面より)

水族館内トピックス水槽で (串本海中公園センター )
串本町有田にある串本海中公園センター水族館(森美枝館長)が館内Aゾーンのトピックス水槽でゲッコウスズメダイを展示している。
その飼育を担当する大西遼さんによると、多くのスズメダイの仲間が浅い海域にいる中、ゲッコウスズメダイは水深100㍍の深場に生息。相模湾~琉球列島の黒潮流域で確認されていてその形態から長らくトウカイスズメダイの一種と考えられてきたが、2019年に新種として学術報告され、以降は国内でもにわかに話題を集めるようになっている。
展示している個体のうち2匹は町内在住の深海小物釣り愛好者が先月24日に潮岬沖の水深120㍍から釣り上げ、浮袋の空気を調節し生かした状態で翌25日に寄贈した。同館は深場にいるため採集が難しく、かつ展示例も沖縄美ら海水族館や高知県の足摺海洋館などごく限られている珍しい魚として預かり、串本の海の旬の話題を伝える同水槽で水温を生息環境に合わせながら展示飼育している。
後に愛好者から追加の1匹が寄贈され、16日現在で3匹に増えている。体長はいずれも10㌢弱。水圧の違いで弱る状況を心配したが最初の2匹は水槽内で縄張りを持ち落ち着いている。赤色と青色の光源で生息場所に近い明るさにしているが、光が強く差し込む場所は3匹とも避けている様子。名前の由来となっている月光のようなうろこの光沢はなかなか見せてくれないが、この大きさの個体を生きた状態で見ること自体がほぼない珍しい魚なのでこの機会に観察してもらえればという。
同水槽は期間限定でテーマ設定がされているため、ゲッコウスズメダイの展示は5月末ごろまでの予定。以降はバックヤードで飼育を続けるそうで、大西さんはこの寄贈をきっかけにして将来的に串本の海の深場を紹介する常設水槽を設置し、他に紹介したい種と一緒に展示を再開できれば、と考えを巡らせている。
観察時は入館料が必要。個体の状況により予告なく展示を終了する場合がある点はあらかじめ了承してほしいという。問い合わせは株式会社串本海中公園センター(電話0735・62・1122)まで。
(2024年5月18日付紙面より)

熊野三山協議会(田岡実千年会長=新宮市長)の総会が16日、新宮市役所別館であった。16人が出席。「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年記念事業として、8月に東京大学でシンポジウムを行うことや、田岡会長への再任などを決めた。
開会に当たり、田岡会長があいさつ。昨年度に「宮城県名取市での熊野三社勧請900年記念祭」や「山形大学名誉教授による歴史講座」「熊野文化調査交流事業での沖縄訪問」などに取り組んだことを紹介。
「本年度も世界遺産登録20周年記念事業として、都内でのシンポジウム開催など、皆さんのご指導、ご協力を仰がねばならない。(本日は)忌憚(きたん)のない意見をお願いします」と呼びかけた。
20周年記念事業は、8月3日に東京大学で行うシンポジウム「自然への祈りと那智瀧図」を提案。東京大学名誉教授による講演などを計画していることを伝え、承認可決を得た。シンポジウムの開催日は、東京都の根津美術館で、国宝である本物の那智瀧図も展示されることを明かした。役員改選では、会長や副会長、理事、監事などを選出した。
本年度の事業について、「学術研究の取り組み」として▽歴史講座の開催▽熊野神社に関する現状の情報更新▽熊野文化調査交流の実施▽八咫烏(やたがらす)と梛の情報発信▽熊野に関する研究への支援―に取り組むとした。
「顕彰事業」では▽「八咫烏」をテーマに熊野信仰の特性などを調査研究▽八咫烏=熊野=中村覚之助=日本サッカー界の関係のPR―などを行うことを決めた。
同協議会は、熊野三山の宮司、関係自治体の長、民間団体の長などで組織する。熊野の文化や地域振興について調査研究を行い、その実施を推進することを目的としている。
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新役員は次の皆さん。
【会長】
▽田岡実千年・新宮市長
【副会長】
▽上野顯・熊野速玉大社宮司
【理事】
▽九鬼家隆・熊野本宮大社宮司
▽髙木亮英・那智山青岸渡寺住職
▽男成洋三・熊野那智大社宮司
【監事】
▽真砂充敏・田辺市長
▽堀順一郎・那智勝浦町長
(2024年5月18日付紙面より)

【第72回】家では食べない子の対処法
5月に入り、夏がどんどん近づいてきているのが分かりますね。わが家は娘が中学に入り、毎日がお弁当となったことで、バタバタの日々が続いています。そんな中、先日同じ番組のスタッフからこんな相談を受けました。「子どもが家では白米しか食べないんですよ。保育園での給食は食べてるのに。どうしたらいいですか?」というお話でした。これ、ものすごくよく聞くお話です。おそらく、この記事をご覧いただいている方のお子さまにも、「給食では食べるけど、家では食べない」という子がいるのではないでしょうか? そこで今回は、そんなお子さんへの対処法を三つお伝えしようと思います。
まず一つ目は、「一緒に作ること」です。これはこれまでも何度か触れてきたことですが、子どもは自分が作ったものは食べてくれる傾向があります。包丁を使わなくても、レタスをちぎる、食材と調味料をあえるなど、子どもにもできることは、どんどんやらせてあげてください。そして、ポイントは「できたことを褒めること」と「楽しく自由に作らせること」です。作る過程で、楽しくできた!と思ってもらえるだけでも、立派な食育ですし、結果食べなくても、必ずプラスになります。
二つ目は、子どもが苦手な食べ物を「親がおいしそうに食べる」です。給食で、あまり気が進まない食材でも食べることができる理由のうち、最も大きいものは、「みんなが食べているから」だったりします。子どもは、食事の雰囲気をとても敏感に察知しているんです。みんながおいしそうに食べていると、それにつられて自分も食べる。みんなが食べて褒められたりしていると、自分も食べる。この作用はとても大きいのです。なので、おうちでも、会話をしながら楽しそうに、そしておいしそうに親が食べて見せることは、とても重要です。すぐに効果が現れなくても、その姿勢を見せ続けることで、偏食を克服するハードルはグッと低くなります。
三つ目は、「給食のように盛り付ける」です。これはお弁当箱に詰める、やワンプレートに盛るなどでもオッケー。子どもたちにとって、視覚はとても大切です。大皿から取り分けられるより、自分の量が把握できたり、「これくらいなら食べられるかも」と思わせることで、食べることができる可能性があります。一度トライしてみてください。
今回ご紹介した三つの対処法には、共通する守ってほしいポイントがあります。それは、すぐに効果が出なくても、焦って叱ったりしないということです。偏食で大切なのは「叱らないこと」。これは多くの論文に記されています。偏食は年齢とともに改善されることが多く、特に心配することはありません。給食をきちんと食べられているなら、なおさら問題ありません。ただ、食べることの楽しさや、食材のおいしさを伝えるために、この三つの対処法を試してみてください。
(2024年5月18日付紙面より)
高野坂にノハカタカラクサ (新宮市 )
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部である新宮市の高野坂で現在、「生態系被害防止外来種リスト」の重点対策外来種に指定されているノハカタカラクサ(トキワツユクサとも)が花を咲かせている。白い花が群生している様子は一見美しいが、分布を拡大させないよう注意が必要だ。
外来種とは人間の活動によって他の地域から入ってきた生物。在来の生物と競合して駆逐したり、雑種をつくって在来生物の独自性を損なわせたりするなど、地域の生態系や生物多様性に影響を与えるものを「侵略的外来種」という。分布拡大~まん延期の重点対策外来種としてはセイタカアワダチソウや外来ノアサガオ類などがあり、当地方でもたびたび問題となってきた。
ノハカタカラクサは南アメリカ原産のツユクサ科の多年草で、昭和初期に観賞用として輸入されたものが野生化。耐陰性があるため暗い林床でも育成でき、全国で分布を広げている。
過去には新宮市・熊野学研究委員会主催の自然探訪スクールで高野坂での駆除を行った他、串本町の九龍島(くろしま)でも除草作業が行われた記録があるが、高野坂では再び拡大している。
ノハカタカラクサは茎にある節から根を伸ばして再生できるため、防除には一本一本手で引き抜き、天日にさらして完全に枯死させた後、ビニール袋に密封して処分する必要がある。
当地方では現在、特定外来生物のオオキンケイギクも花期を迎えている。「紀伊山地の霊場と参詣道」は文化遺産だが、滝や原始林、川、岩、温泉などの自然景観を多く含んでいる。登録20周年を迎える今年、世界遺産をいかに後世に継承していくのかが問われている。
(2024年5月17日付紙面より)


古座小や西向小など迎え (エコ工房四季 )
串本町古座にある社会福祉法人つばさ福祉会(川端千央理事長)の事業所「エコ工房四季」が15日、町立古座小学校(山路教代校長)と町立西向小学校(河田恵美校長)の児童と合同で田植えに取り組んだ。
みくまの農業協同組合との農福連携により能動的に取り組める農生産の主力事業化を進めている同事業所。昨年から古田地内で1㌶弱の水田を借りて米の生産をするようになり、地域と一緒に生産をしたいという思いの一端で前述した2校へ田植えや稲刈りへの参加を誘うようになった。
この日は古座小の1年生と5年生26人、西向小の1~4年生23人が教職員と一緒に参加。古田区の山本憲男区長ら地域住民も協力するために集まり、川端理事長が「田植えはなかなか大変だけれども、秋に収穫した米を食べる楽しみやみんなで植える面白さがある。小学生の皆さんには田植えを通していろんな発見を持ち帰り学習に生かしてもらえたらありがたい」とあいさつするなどして一同を水田へ迎え入れた。
今回用意した水田は広さ約4㌃。2校で半々を担当し、事業所の利用者や職員、地域住民らが品種「コシヒカリ」の苗を配り児童は3株を目安にして手で植え込んだ。同法人は別の水田で田植機による実演や体験提供もし、機械化された田植えの様子も伝えた。
収穫は8月下旬ごろを予定。昨年は天候に恵まれず実現できなかったが稲刈りへの参加も誘い、食べる喜びを伝えるため昨年に続いて得られた米を小分けして参加した児童に届けることも予定しているという。
(2024年5月17日付紙面より)


天空ハーフマラソン実行委
新宮・那智勝浦天空ハーフマラソン実行委員会(田岡実千年委員長=新宮市長)の会議が13日、新宮市役所別館であった。12人が参加。最後となった第9回大会の事業や決算について報告を受けた後、実行委員会の解散を決めた。
那智勝浦新宮道路を走る天空ハーフマラソンは、2011年に発生した紀伊半島大水害からの復興と地域の活性化を願い、翌12年にスタート。コロナ禍に伴う中断を経て昨年11月に、4年ぶりとなる第9回大会を開催したが、大水害から10年が経過したこともあり、再開と同時に最後となった。
会議では、田岡委員長があいさつ。「4年ぶりの開催となった第9回大会は、2204人がエントリーし、大きなアクシデントもなく成功のうちに終了した。大会については第9回で終了となるが、ここまで続けられたのも、運営に尽力した委員の協力のたまもの。本日が最後の実行委員会の会議となるが、忌憚(きたん)のない意見を頂戴できれば」と話した。
この後、議事を進行。事務局が、第9回大会の完走数は1981人(3㌔の部728人、10㌔の部581人、ハーフの部672人)だったこと。大きなけがや事故、大きな苦情はなかったことを報告した。
これまでの大会の参加者数も紹介した。多い時は3000人強、少ない時は2000人弱で推移したことを明かした。第9回大会の参加人数の男女・種目・年代別の詳細や、都道府県別と県内市町村別の参加者数、収支の内訳も説明した。監査の結果、問題がなかったことも示された。実行委は、議案を全て承認可決して解散した。
(2024年5月17日付紙面より)

語り部の会がウオークイベント (田辺市本宮町 )
熊野本宮語り部の会と熊野本宮観光協会が12日、田辺市本宮町の大日山を周遊する新ルートでウオークイベントを開催した。県内外から30人が参加し、新緑がまぶしい古道の風景や趣ある温泉街、道中の名所旧跡を楽しんだ。
「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年に向け、新たなコースで魅力を発信しようと3年がかりで古い里道や生活道を整備し、約9㌔のルートを完成させた。イベントは今回が初。
熊野古道ウオークでは観光客の帰りの交通手段が壁となることもあるが、新ルートでは大日山周辺にある熊野本宮大社や湯の峰温泉、渡瀬温泉などを歩いて周遊でき、体力に合わせてリタイアもできる。
語り部の会の松本純一会長は「世界遺産登録から20年たち、熊野古道を歩いたことがあるという人にも、改めて興味を持ってもらう機会に。整備した里道は世界遺産ではないが、国道ができる以前は湯の峰と本宮をつなぐ重要な道で、雰囲気もいい。県内はもちろん、大阪や東京などの都市圏にもPRしていきたい」と思いを語る。
世界遺産熊野本宮館を出発した一行は、旧社地・大斎原(おおゆのはら)や木漏れ日の松葉峠を過ぎ、2時間30分ほどで湯の峰温泉へ。温泉卵や温泉コーヒーの振る舞いもあった。昼食の後、午後は世界遺産ルートの「大日越」を歩いた。コースの名所を記したオリジナル手拭いのプレゼントもあった。
みなべ町から参加した小林真菜子さん(37)は「これまでも熊野古道を歩いたことがあるけれど、新しいルートと聞いてわくわくした。アップダウンもきつくなく、歩きやすい。初心者でも大丈夫だと思うが、やっぱり語り部さんのお話を聞きながら歩くのが楽しくていいです」と笑顔で話していた。
(2024年5月16日付紙面より)


紀伊半島の海亀を守る会 (王子ヶ浜 )
紀伊半島の海亀を守る会(山舗徹哉会長)は12日早朝、全国有数のアカウミガメの産卵地として知られる新宮市の王子ヶ浜(大浜海岸)でパトロールを開始した。8月にかけての上陸・産卵シーズンに合わせた活動で、産卵が確認できれば波浪流失や小動物の捕食被害から卵を守るため、海岸に隣接するふ化場に移して安全に保護する。
守る会はNPO法人「環境ファースト連合会」に所属。アカウミガメの保護活動に取り組んでいる。毎年、早朝パトロールを実施、秋には子どもらを招待し、放流会を通してふ化した子ガメを海に返す活動を行っている。
初日のこの日は午前6時から会員23人が参加し、河口付近~御手洗付近の約3㌔間で産卵の形跡がないか確認した。
後継者を養成するため、昨年から新体制となって、榎本晴光前会長が指導に当たっている。昨年8月には台風で、国立公園の王子ヶ浜に大量の流木が打ち上げられたため、環境ファースト連合会と環境省、和歌山県が協議した結果、海岸管理者の和歌山県が清掃業務を行った。
山舗会長は「昨年3頭のウミガメが上陸したが、産卵は確認できなかった。何とか今年はたくさん上陸、産卵してもらい、秋には子どもたちを迎えて子ガメの放流会を開催したい。環境保護に取り組むには官民一体になる必要がある。この活動を通じて、王子ヶ浜の自然環境を守る大切さを次の世代へつないでいきたい」と思いを語った。
(2024年5月16日付紙面より)


のびのびサロン始まる (新宮市 )
妊産婦を対象とした「のびのびサロン」が14日、新宮市こども家庭センターで始まった。生後3カ月から9カ月の乳児と母親の親子7組がベビーマッサージで触れ合った。
サロンは妊産婦が安心して妊娠期を過ごし、安心して育児ができるよう市の産前産後サポート事業として昨年度から行われている。新宮市に住民票がある妊婦と産後1年以内の親子が対象で、本年度は来年3月にかけて全6回の開催を予定している。
初回のこの日は那智勝浦町のかづこ助産院のもとだてかづこ助産師を迎え、ベビーマッサージを行った。母親は手にオイルを塗ると、服を脱いだ赤ちゃんの体に広げ、やさしくマッサージ。もとだてさんに習いながら体中に触れていった。
生後9カ月の長男と参加した新宮市橋本の中家彩さんは「上の子の時もベビーマッサージには参加していて、長男は3、4回目くらいです。入浴後、保湿剤を塗る時にマッサージをすると、ぐずらず、よく寝てくれるような気がします」と話していた。
ベビーマッサージ後は保育士と保健師も加わり、日頃の育児について歓談した。
ベビーマッサージは7月9日(火)、12月10日(火)、来年3月4日(火)にも行う。9月19日(木)は「親子でできる遊び&赤ちゃん絵本の紹介」、来年1月21日(火)は「親子でできる遊び&歯と食事のお話」を予定している。時間はいずれも午前10時から11時30分までで、開催1週間前まで申し込みを受け付けている。問い合わせは市子育て推進課(電話0735・23・4511)まで。
(2024年5月16日付紙面より)

手話奉仕員の養成講座 (新宮・東牟婁広域事業 )
新宮・東牟婁市町村広域事業「手話奉仕員養成講座」の開講式が9日、新宮市佐野の社会福祉法人美熊野福祉会・ワークランドそらであった。25人が参加、手話の習得を目指し始めた。
新宮・東牟婁の6市町村の合同事業として毎年行われている。手話の楽しさを知ってもらい、地域の聴覚障害者と日常会話ができる人を増やすことを目的としている。講座は来年2月27日までの全40回を予定しており、9月までを入門編、10月からを基礎編としている。
開講式では講師より、手話上達のための心がけの説明があった。「講座に来る前に(手話の)動画を見てきて」「手話をする時は声を出さずに表現を」「講師の話や問いかけには、うなずきや首振りなどで必ず反応を」などと呼びかけた。「手話と日本語は違う言語です。分からなくても見ていて」と力を込めた。
続いて、5人の講師が自己紹介。しゃべることができる講師も声を出さず、手話と空書で伝えた。参加者はその様子を、静かに注視していた。
講座でよく使う手話の紹介もあった。講師は「ポイントは見ること。手を見て、指が伸びているか、ちょっと曲がっているかなど、指の形までよく見て」と語った。「始まる」「終わる」「注目」「分かる」などを、手話と口話で実演した。
参加者は、講師の動きをまねて実践。体の前で手を動かし、基本の手話を覚えた。講師は「手だけでなく、表情も交えて意思を伝えて。『分からない』では分からないような表情で。『同じ』と同調する時は相手の方を向いて」などと強調。参加者は指導を受け、何度も繰り返し練習していた。
市内から参加した中山明子さん(48)は「ずっと手話に興味があって、やっとその世界に触れられて楽しくうれしい。頭で考えながらやると難しいが、皆さんと一緒にそのままやれば大丈夫かな。でも数が増えてくるとパニックになるかも。2月にどうなっているか、自分でも楽しみ。せっかくなら少しでも多く覚えたい」と話した。
(2024年5月15日付紙面より)


丸山良徳師が文化講演会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の体育文化会館で10日、仏教文化講演会「仏教の智慧(ちえ)を活用しよう~幸福コミュニケーション術~」が開催された。宗教法人金剛寺執事長の丸山良徳師が講演し、約50人が普段の生活の中にある人間関係の悩みを解決し、幸せになるための実践について学んだ。
新宮市の念法眞教新宮念法寺(田中芳恭住職)主催。豊かで幸せな人生を送るために仏教の智慧や考え方が役立つことを、身近な話題を通じて伝えるために毎年開いており、丸山師の講演は5回目。
丸山師は、誰もが社会の中で生きている中で「〇〇さんとうまくやっていきたい」など、人間関係の悩みを抱えていることに言及。日本のアニメなどさまざまな物語は仏教の教えが下敷きになっているとし「仏教では相手に求める前に、自分を磨くことを教わる。普段の生活の中で、相手を変えようとするのは間違い。まずは自分が変わること。そうすれば、おのずと周りも変わってくる」と語った。
「仏教の智慧には人生を豊かに、幸せに生きていくための答えが含まれている。それが『肯定力』」と述べ▽肯定的な言葉(言辞施)▽肯定的な行動(身施、眼施、和顔悦色施)▽肯定的な思考(心施)―の実践を説いた。
具体的なトレーニングとして▽あいさつをする▽「ハイ」という返事をする▽褒める▽「ありがとう」を言う―の四つを紹介。あいさつについて▽相手の目を見てにっこり笑って▽明るいソの音で自分が先に言う―などの「正しい」実践を意識するよう呼びかけ「本当に毎日、正しくあいさつできていますか? 四つの共通項は笑顔。愛する人への贈り物ですから、まずは自分で行動を。信じて繰り返すことで、初めて『幸せ』という効果が分かる」と強調した。
念法寺の田中住職は「今日のご縁を生かし、まずは自分が幸せになり、周りの人も幸せになるように実践し、家族にも伝えてほしい」と呼びかけていた。
講演会の様子などはユーチューブ動画でも視聴できる。「仏教文化講演会」で検索する。
(2024年5月15日付紙面より)


きのくに野外博物館イベント (那智勝浦町 )
和歌山県立自然博物館のきのくに野外博物館イベント「磯の生物観察会」が12日、那智勝浦町宇久井の地玉(じごく)の浜で開催された。県内外から親子ら30人が参加し、潮間帯の岩場でエビやカニ、ウミウシなど無脊椎動物や小型の魚などを観察した。
「地玉の浜」は吉野熊野国立公園の特別地域に指定されている宇久井半島にあり、太平洋に面した磯では多種多様な生き物が観察できる。南紀熊野ジオパークのジオサイトにも指定されている。
危険な生き物や法律で取ってはいけない生き物についての説明を受けた後、参加者たちは早速磯へ。子どもたちは岩の裏側や海藻の中などから、エビやウミウシなどを次々に発見した。動きが速いトゲアシガニや30㌢以上の長い腕を持つウデナガクモヒトデ、色鮮やかなミノウミウシの仲間も見つかった。
講師の楫善継さん(魚類担当学芸員)は、軟体生物、甲殻類、棘皮動物を分類しつつ「水中で浮遊して生活する生き物を『プランクトン』、魚など遊泳生活を送るのを『ネクトン』、海底に住むのは『ベントス』と呼ぶ」と説明。「いろいろな生き物がいてこの海が成り立っている。それぞれが生態系の中で役割を持っている」と話していた。
みなべ町から参加した𠮷水颯汰君(10)は「岩の狭いところで、ヒトデやハゼを見つけた。腕が長いヒトデがすごいなと思った。魚が好き」と話していた。
(2024年5月15日付紙面より)

チームくまのがわ定例会 (新宮市熊野川町 )
新宮市熊野川町の熊野川総合開発センターで10日、地域住民組織「チームくまのがわ」の定例会があった。メンバーや関係機関から24人が出席し、計画中の「じじばば食堂(仮称)」について話し合った。
チームくまのがわは、2011年の紀伊半島大水害後の人口減少が進む町の状況を背景に、18年に設立。「いつまでも、自分たちの生まれ育った町で元気に楽しく過ごす」を目標に、今年は「高齢者の居場所づくり」を中心に活動していく予定だ。
その一つが、開発センターの調理室スペースを活用した「じじばば食堂(仮称)」。高齢化率が高い町内で、男性1人暮らしで食事に困っている、誰かと一緒に食べたいという声があったことから、皆で料理やカフェを楽しむ場を企画した。
本格始動に先立ち4月10日には「みんなでわいわい食事を作ろう」と呼びかけてカレー作りを実施し、約30人が参加した。報告ではアンケート結果を基に、メンバーから「男性でも簡単なものくらいは作れるようになっておいた方がいい」「あく取りに悪戦苦闘したが、意外においしくできていた」などの意見が。「将来的には男性だけで作ってみては?」「まだ無理かなあ…」などやり取りもあった。
財源や名称、具体的な実施方法について話し合った他、料理については「たこ焼き」「サラダ」「いろんな具を入れためはり」「やっぱりカレーでいいのでは。海の物や野菜、イノシシ肉を入れてもいい」などさまざまな意見が出されていた。
高齢者のよりどころを目指し、イベントも交えて盛り上げていくこと、将来的には「地域の宝」である子どもたちとの交流にも発展させていくなどの展望も共有。メンバーからは「楽しみになってきた」との声が上がっていた。
(2024年5月14日付紙面より)


キナンは総合5位に (第24回ツール・ド・熊野 )
国際自転車競技連合(UCI)の国際自転車ロードレース「第24回TOUR de KUMANO(ツール・ド・熊野)」が12日、第3ステージの「太地半島周回コース」で全日程を終了した。3日間にわたりスプリント勝負を展開、JCLチーム右京がチーム総合優勝。地元・新宮市のキナンレーシングチームは、昨年より順位を二つ上げ5位となった。
個人は、岡篤志選手(JCLチーム右京)が2連覇を達成。「序盤からチームメートがサポートをしてくれ、結果を残せてうれしいです。ライバルチームも強力で、連覇は難しいと思っていた。みんなの協力のおかげ」と喜びを語った。
今年は、伝統の3日間開催が復活し、古座川町を舞台に初開催となった「古座川清流周回コース」で開幕。2日目は「熊野山岳コース」、3日目は「太地半島周回コース」で熱戦を繰り広げた。
11日の「熊野山岳コース」は、アップダウンの激しい丸山千枚田を4周する新たなコースを走り抜け、終盤には17人によるスプリント勝負となり、ベンジャミ・プラデス選手(VC福岡)が2015年以来、9年ぶりに制した。3位にはキナンレーシングチームのライアン・カバナ選手が入り、観客から大きな拍手を受けた。
「太地半島周回コース」は、くじら浜公園をスタート。太地港からの急な上り坂や、一部変更となった太地小学校前から道の駅「たいじ」などを走る全長104・3㌔。
序盤、チーム右京勢が隊列を形成。終盤に後続が追いつき、最後は複数台が横一線に並ぶ形でコントロールラインを通過。岡本隼選手(愛三工業レーシングチーム)が優勝した。
表彰式で、主催したNPO法人「SPORTSPRODUCE 熊野」の角口賀敏理事長は、大会に協力したスポンサーや多くのボランティアなどに感謝し「コースの一部改正や交通規制に伴い地域の方には迷惑をかけたが、選手からはいい評価をもらいました。来年には、和歌山市から当地方までの6日間にわたる大会を企画している。今後とも、ご理解とご協力をよろしくお願いします」と述べた。
(2024年5月14日付紙面より)



23日のイベントでも使用 (那智勝浦町 )
那智勝浦町のブルービーチ那智駐車場で11日、イベント「竹灯籠を作ろう!」が開かれた。親子26人が、今年世界遺産登録20周年を迎える「紀伊山地の霊場と参詣道」の夜を彩る竹灯籠約250個を手作りした。
記念事業で使用するため、町が初企画。町建設業組合(上地秀和理事長)が部材の準備や制作のサポートをした。
子どもたちは大小さまざまな丸で絵柄を考え、電動ドリルで竹に穴を開けていった。マグロや、那智の滝を図案化した町章などもあり、夢中になって2個、3個と作っていた。
田代茉子さん(8)は「ドリルで小さい穴を開けるのが難しかった。あと2個くらい作る」。和田恋那さん(11)は「結構力を使う。友達とおそろいで、花の模様にした」と話していた。
堀順一郎町長は「ご家族で参加いただきありがたい。世界遺産登録20周年に当たり、もう一度魅力アップを。7月の那智山でのランタンイベントやナイトウオークでも使用したい」と話していた。
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■北斗七星と那智の滝
那智勝浦町那智山の飛瀧(ひろう)神社で23日(木)午後7時~8時30分、世界遺産登録20周年記念イベント「北斗七星と那智の滝を見よう!!」が開かれる。那智の滝までの道中で、子どもたちが作った竹灯籠が来場者を迎える。
陰陽師(おんみょうじ)の安倍晴明が満月の夜に那智の滝に北斗七星を勧請(かんじょう)し、霊力を得たという言い伝えが基になっている。那智の滝の真上に北斗七星が見える絶好のロケーションの中、松尾泰伸さんによるシンセサイザー奉納演奏を楽しむ。懐中電灯持参。
問い合わせは那智勝浦町役場観光企画課(電話0735・52・2131)まで。
(2024年5月14日付紙面より)

那智勝浦ゴルフ倶楽部
第20回広川少年剣道大会 (三輪崎剣道クラブ )
那智山区民らが奮闘中 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の那智山区の区民らが現在、県道46号(那智山勝浦線)沿いの美化活動に奮闘している。「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年を迎える今年、「参拝者の目線で改めて環境の見直しを」と始まった。
神仏習合の一大霊場として、古くから熊野詣での人々の目的地となってきた那智山。那智の滝や那智山両社寺など、世界遺産を構成する数多くの文化財を有し、現在でも町の主要観光地として年間を通じて国内外から多くの参拝者が訪れる。
県道46号は勝浦方面から那智山へ向かうつづら折りの山道だが、沿道には外来種の大きなヨシススキが繁茂して車から見通しの悪い所や、脱輪の多発箇所、草刈りが行き届いていない斜面などがあった。
これらの現状を受け、那智山区(髙木喜三区長)、那智山青岸渡寺(髙木亮英住職)、熊野那智大社(男成洋三宮司)の三者で環境美化活動に取り組むこととし、土地所有者や県の協力も得ながら進めている。
「素晴らしい文化財を与えていただいたのだから、保全をしていくのはわれわれの義務。参拝者目線で見たときに、反省すべき点は多くある」と話すのは那智山区の髙木区長。「数ある観光地の中から熊野の地を選んでいただいた方々には、きれいに整備した道を通って参拝し、心願成就をして、気持ちよく帰っていただきたい。観光に必要なのは水、道、見晴らしの三つ。特に那智川は、車窓から魂と心でみそぎをしてもらう役目がある」と思いを語る。
区民らが順次沿道の草刈りを進めている他、バス停周辺には歩き疲れた参拝者らが休めるベンチなども設置したい考えだ。
(2024年5月12日付紙面より)


南紀くろしお商工会太地支部総会
南紀くろしお商工会太地支部(坂下行平支部長)の本年度総会が10日、太地町公民館であった。約30人が出席し、地域振興事業や親睦などの事業計画を決め、重点事業を確認した。
本年度は太地浦くじら祭、道の駅たいじ朝市、太地町くじら浜駅伝大会への協力や、講演会、映画鑑賞会、親睦ゴルフ大会、親睦ボウリング大会への協力などを計画した。
重点事業に▽環境変化の時代に対応する伴走型支援の強化▽デジタル化・生産性向上のための支援強化▽事業承継・創業支援等の強化▽働き方改革等への支援強化▽中小企業・小規模事業者の防災・減災対策の支援―など7項目を掲げた。
冒頭、坂下支部長が南紀くろしお商工会の森川起安会長の叙勲受章を紹介。「コロナ禍が落ち着き、太地も経済活動が本格的に活発化しようとしている。事業所の皆さまにも落ち着いた商売に力を入れてもらいたい。太地支部が一丸となって協力する」とあいさつした。
森川会長は「地域を取り巻く環境は厳しいが、役に立つ商工会と評価を頂いている。新規入会の事業所もあり、商工会の大きな目標の一つである組織率向上に寄与している。太地支部は良い事業を展開してくれている。商工会として今後とも太地支部の協力を頂きながら、組織運営の充実と事業活動の活性化を進めたい」と述べた。
(2024年5月12日付紙面より)



和歌山県知事と意見交換 (福祉、観光、まちづくり )
和歌山県の岸本周平知事と地域住民が意見を交わす「タウンミーティング」が9日、新宮広域圏公設地方卸売市場であった。商工、観光、福祉、まちづくりなどのさまざまな団体から10人が参加。困り事や要望を伝え、支援や協力を求めた。
知事が直接、県民の声を聞き県政に生かそうと、地域でさまざまな活動を行っている人々と意見交換を行う取り組み。これまでに県内の32カ所で実施している。岸本知事のほか、新宮市の田岡実千年市長、県地域振興部長、県東牟婁振興局長なども同席した。
福祉関係の参加者は「熊野川町での高齢者の居場所づくりで『じじばば食堂』の案もある。子ども食堂には高齢者は行きづらい」と伝えた。岸本知事は「食堂の補助(要件)は3世代で交流と定義。子どもゼロでは困るが、名前は『じじばば食堂』でも(補助は)大丈夫」と応じた。
地域奉仕団体は、子ども向けのスポーツ体験を学校体育館で行っていることを説明。「空調設備がないと夏は子どもが危ない」と検討を求めた。岸本知事は「災害関連で補助金が出るのでは」と助言。これを受けて田岡市長は「議論の最中だが、具体的にはなっていない」と明かした。
観光関係者は、川舟下りの船頭の不足に言及。「外国人(の予約)が増えて日本人が乗れない状況が発生している」と訴えた。県地域振興部長は「船頭もいろんなところで募集したい」と話した。
別の観光関係者は「ゴールデンウイークに神倉神社の駐車場がいっぱいで、観光客が止められない。旅行会社にも神倉神社へ行きたいが駐車場がないと言われる。大型の駐車場を」と求めた。田岡市長は「検討課題としたい」と答えた。
イベント実行委の参加者は、テントやトラックを周辺自治体や企業からレンタルして実施していることを紹介し「物の協賛もうれしい」と語った。雨天時の実施場所についても「公設市場でやれたら」と打診した。田岡市長は「市でできる分(の支援)はやる。具体的な要望を」と応じた。
福祉関連事業者は、子ども食堂の実施場所を相談。「近所の寺を借りてやっているが、寺も都合がある。広くて良い場所があれば」と述べた。田岡市長は「協力できるかと思う」と発言した。
(2024年5月12日付紙面より)


ツール・ド・熊野
国際自転車競技連合(UCI)の国際自転車ロードレース「第24回TOUR de KUMANO(ツール・ド・熊野)」の第1ステージが10日、古座川町が舞台の「古座川清流周回コース」で行われた。国内外16チーム94選手が激戦を繰り広げ、オーストラリアのジョン・カーター選手(キャッシュ・パー・クップ)が2時間55分05秒で優勝。2位に岡篤志選手(JCLチーム右京)、3位に山本大喜選手(同)が入った。
コースは山岳ポイントの平井峠や国の天然記念物に指定されている「一枚岩」などを3周する全長126・7㌔。各チーム、スタート直後から先行を図る動きを見せたが、抜け出すまでには至らず緊迫したレースが続いた。
展開がないまま約30人が集団となり、勝負はゴール前のスプリントへ。選手たちは全力を振り絞ってフィニッシュラインを通過。カーター選手が大接戦を制し、歓喜の声を上げた。
地元のキナンレーシングチーム勢は、ドリュー・モレ選手の6位が最高位だった。
(2024年5月12日付紙面より)

第24回ツール・ド・熊野
国際自転車競技連合(UCI)公認の国際自転車ロードレース「第24回TOUR de KUMANO(ツール・ド・熊野)」が10日、初開催となる古座川町が舞台の「古座川清流周回コース」で開幕した。伝統の3日間開催が復活、さらに熊野山岳、太地半島周回の両コースも一部変更となるなど、これまでにない激戦が予想される。国内外、どのチームが総合優勝の栄冠をつかむのか、最後まで目が離せない。
NPO法人「SPORTS PRODUCE 熊野」(角口賀敏理事長)が主催。新宮市を拠点とする「キナンレーシングチーム」をはじめ海外5、国内11の計16チームが出場。12日(日)までの3日間の総合タイムで優勝を競う。
初日の開催に当たり、角口理事長が関係者らに感謝し、選手に「古座川の新しいコースで、気合が入っていると思う。事故のないよう、全力を尽くしてください」と呼びかけた。来賓の西前啓市町長は「自然豊かな古座川を楽しみながら、レースに挑んで」とあいさつした。
コースは平井峠や国の天然記念物「一枚岩」などを3周する全長126・7㌔。晴天の下、午前9時30分に選手が一斉にスタートした。アップダウンが激しく、道幅の狭い難コースを果敢に攻めた。観客からは「頑張れ!」などの熱い声援が送られていた。
前日の9日には、新宮市の丹鶴ホールでオープニングセレモニーを実施。ツール・ド・熊野大会長で和歌山県の岸本周平知事が「国際ロードレースが和歌山で行われることを誇りに思う。熊野は、神様が宿る特別な聖地。日頃の成果を発揮し、全力を尽くして」、田岡実千年市長は「素晴らしいレース展開を心から祈念したい」と激励した。
選手を代表してキナンレーシングチームの山本元喜選手が「日頃の練習の成果を十分に発揮し正々堂々、走り抜くことを誓います」と力強く宣誓した。
11日の第2ステージ「熊野山岳コース」はツール・ド・熊野最大の舞台。上り、下り、平たん全てを制した者のみが勝利をつかむ。最終12日の第3ステージは「太地半島周回コース」。新たなルートを設定し、変化に富んだコースが選手を待ち受ける。
(2024年5月11日付紙面より)


町公民館教室の開講式 (那智勝浦町 )
那智勝浦町公民館教室の開講式が9日、町体育文化会館であった。本年度は▽生花▽茶道▽香道▽絵手紙▽陶芸▽手芸▽ペーパークイリング▽民踊―の8種類10教室に、延べ78人が申し込んだ。
開講式には、各教室の講師を含む約20人が参加。町社会教育指導員の田中信幸さんが「私の思うこと伝えたいこと」をテーマに講話した。
「日本の平均寿命は世界トップクラスの84・3歳。さらに伸びると予想されるが、社会保障の負担増、老後の生活費、健康寿命が課題。これまでの健康づくりは生活習慣病予防だったが、これからはフレイル予防が大事になる」と話した。
病気ではないけど、年齢とともに心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい状態がフレイル。身体的、精神的心理的、社会的の三つのフレイルがあるとし、栄養、運動、社会参加で予防できると説いた。
「趣味のサークルや地域活動でフレイルのリスクを下げることができる。公民館活動はフレイルを防ぐとともに、町民の心と心をつないでくれる。一人一人に合った社会参加の形を見つけ、みんなで明るく健康的で楽しい町にしていきましょう」と呼びかけた。
開式に当たり、公民館自主サークル民謡教室講師の清水千双さんが「常磐炭坑節」「いわき草刈唄」など3曲の民謡を披露、三味線の音色に合わせ美しい歌声を響かせた。
公民館民謡教室は2013年度から6年間続き、19年度からは卒業生が中心となって自主サークルを立ち上げた。現在は、教育センターで5人の会員が毎月第1、3水曜日に練習している。
町公民館長で町教育委員会教育次長の中村崇さんは「公民館教室を通じて学びとともに、参加者同士の親睦を図る場として活用してほしい」と話していた。
(2024年5月11日付紙面より)


たばこ商業組合紀南支部が清掃 (新宮市 )
和歌山県たばこ商業組合紀南支部(塩崎伸一支部長)は9日、新宮市の黒潮公園やスーパーセンターオークワ南紀店周辺で清掃活動を実施した。会員18人が参加し、ごみ拾いに励んだ。
同支部には新宮・東牟婁郡のたばこ店経営者などが所属。日本たばこ産業(JT)の「ひろえば街が好きになる運動」の一環で、同組合女性部(大谷敏子部長)を中心に1997年度から清掃を続けている。
本年度も同市から串本町までのさまざまな場所で、年間26回の活動を計画。たばこのポイ捨て禁止や20歳未満の喫煙防止などの啓発に従事している。
この日は晴天の下、そろいのベストとサンバイザーを身に着けた会員たちが火ばさみとごみ袋を手に作業を開始。のぼりを掲げながら道や側溝に落ちた紙くず、たばこの吸い殻などを拾っていった。
大谷部長は「近年は全体的にきれいで、地域の方々のマナーの良さを感じます。比較的、町中ではごみが見受けられるため、継続して清掃を行うことが必要。私たちの活動を知ってもらい、さらなる美化意識を高めてもらえれば」と話していた。
(2024年5月11日付紙面より)

和歌山県消防救助技術会に那智勝浦町消防本部から出場する隊員の選考会が8日、同町消防・防災センター訓練場で開かれた。隊員11人が▽ほふく救出▽ロープ応用登はん▽はしご登はん―の3種目で安全・確実・迅速に救助実演を行い、技術を競った。
県内17消防本部の選抜隊員が一堂に会し、技術を競い合う消防救助技術会。切磋琢磨(せっさたくま)による技術向上、他の模範となる消防救助隊員の育成を目的としている。
開始に先立ち、湯川辰也消防長が訓示。「4月から悪天候により、訓練の時間が短かったと思うが、持てる力を出し切ってほしい。協力する職員は、公正な審査と安全管理を」と激励した。
ほふく救出は3人一組で実施。救助者の隊員が空気呼吸器を着装し、確保ロープなど結んだ後、狭い煙道の先で要救助者を発見。屋外へ救出した。▽空気呼吸器を正しく着装しているか▽呼称▽所要時間―などの観点で評価をした。
結果、ほふく救出の救助者に辻内玲士消防副士長、補助者に淺井真消防副士長、ロープ応用登はんの登はん者に植野喜裕消防士長、補助者に生駒幸太郎消防士長、はしご登はんに西翔太消防士が選ばれた。
淺井消防副士長は「自分の中ではまだ60~70点くらい。さらに訓練を重ね、本番で披露したい」と意気込みを語った。技術会は6月5日(水)に、和歌山市の和歌山県消防学校で実施される。
(2024年5月10日付紙面より)


水害後に移住した丹波章夫さん (那智勝浦町 )
2011年の紀伊半島大水害後、復旧の手助けをしたいと、和歌山市から那智勝浦町粉白に移住した丹波章夫さん(45)。少しでも地域の助けになればと、ボランティア活動に力を注いでいる。
「ボランティアはきっかけがないとできない。だからこそ、自分がそのきっかけをつくり、地域に必要なことはどんどんやっていきたい。毎年続けていると賛同する人も増えてくると思う」。
4年前に立ち上げた建設・建築業「章友」の従業員らと共に4日、津波に備えた粉白地区の高台避難路の草刈り作業に汗を流した。以前の仕事仲間も、この日のために香川から駆け付けた。
区が整備した避難路で、高台の避難場所は海抜40㍍。これまで地区住民が草刈りなどをしていたが、高齢のため「自分たちがやろう」と決めた。この日は、9人で3時間ほどかけて生い茂る草木を刈り取った。
作業の合間、元気に走り回る娘を見つめながら「ここには海も山もある。子どもを育てるには素晴らしい環境。移住して良かったよ」とほほえむ丹波さん。「自分に何ができるか」、これからも妻の地元で探し続けていく。
海水浴シーズン前に玉の浦海水浴場の清掃にも取り組みたいと次の目標を掲げていた。
(2024年5月10日付紙面より)


潮岬望楼の芝キャンプ場 (串本町 )
串本町の潮岬望楼の芝キャンプ場が4月27日から5月6日まで開設され、期間全体で1049泊分の利用の申し出を得た。
このキャンプ場は、潮岬望楼の芝管理運営委員会が環境省の許可に基づいて運営。芝地の東側一帯をテント設営場所として提供するもので、小学生以上の利用者から清掃協力金を得て事前の草刈りや当日の受け付け、キャンプごみの引き受けをして開設前後で吉野熊野国立公園の一角でもある同芝の環境が悪化しないよう管理をしている。
現在は既設のキャンプ場設備が開放されていないため、同委員会が実施する開設期間だけが望楼の芝でキャンプできる唯一の機会。ゴールデンウイーク(GW)に合わせた開設期間は過ごしやすく日程が取りやすいこともあって例年、特に利用の申し出が多い繁忙傾向にある。
利用の申し出は期間前日の午後4時から受け付け、期間前半で雨の影響を複数回受けたもののピークの5月3日に486泊分、4日に176泊分、4月28日に105泊分、5月2日に99泊分と利用が伸び、全体として昨年より31泊分多い実績となった。
コロナ禍を経て再開した2022年は1030泊分で、再開以降はほぼ横ばいで推移している状況。同委員会の田仲康慧会長は、今年の特徴として期間中に張られたテントの数が昨年より少なく、家族などグループの利用が増えたことでその状況でも再開後の例年と変わらない利用の申し出を得ることができたと実績を分析している。
次の開設期間は7月13日(土)~15日(月・祝)。本年度は計8期間の開設を計画している。詳細は町公式ホームページ新着情報一覧表示内にある「潮岬望楼の芝キャンプ場」(4月16日付発表)のリンク先を参照。問い合わせは町産業課(電話0735・62・0557、平日午前8時30分~午後5時15分)まで。
(2024年5月10日付紙面より)

県中学校野球紀南地区大会
女子学童野球県代表に選出 (蓬莱フレンズ )
スポーツ合宿受入実績 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の2023年度のスポーツ合宿等受入実績が、前年度比で175・5%となったことが、このほど分かった。前年度はコロナ禍もあり、以前とは集計方法も変わっているため、多少差し引いて考える必要はあるが、好調とは言える。一方で串本町は93・0%にとどまった。
両町も加入している、南紀エリアスポーツ合宿誘致推進協議会の総会で明らかになった。同協議会は、スポーツ合宿や大会などを広域的に誘致していくことを目的に、15年に発足。串本町は17年度、那智勝浦町は22年度に加入していた。
那智勝浦町は、主に卓球やレスリングの合宿が行われている。22年度は2592人だったが、23年度は4549人で、1957人が増加した。コロナ禍前の19年度は3131人だったため、19年度比でも1418人が増加している。
主力2種に加え、バスケットやバレーボールのサークル合宿も受け入れるなど、守備範囲を広めてもいるという。担当課は「リピーターをつなぎとめることはもちろん、新規合宿も獲得したい。文化系団体の誘致も、例えば体育文化会館は音も出せるので、吹奏楽などの合宿も行ってもらえれば」などと語る。
串本町は、23年度は8306人。対して22年度は8932人で、626人が減少した。担当課によると、減少の主な要因は大手ホテルの改修工事で、これまで来ていた野球やサッカーの合宿の一部が受け入れできなかったためという。
なお、コロナ禍前の19年度は8213人のため、23年度でも超えていることになる。串本町では野球、サッカー、テニス、ラグビーなどの合宿が行われており「野球やサッカーに戻ってきてもらうことはもちろん、稼働率が悪いテニスの誘致を頑張りたい」と述べた。
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一方で、8市町からなる南紀エリアスポーツ合宿誘致推進協議会の全体の23年度の実績は8万6783人だった。22年度は7万7733人なので、9050人が増えた。自治体の途中加入もあるので正確な比較はできないものの、協議会の創設以降で最多ではあるという。
(2024年5月9日付紙面より)


猿田彦・神倉三宝荒神社 (新宮市 )
社殿の建て替えの竣功(しゅんこう)奉祝祭も兼ねた、新宮市の神倉神社境内にある猿田彦(さるたひこ)神社・神倉三宝荒(さんぼうこう)神社(上野顯宮司=熊野速玉大社宮司)の例祭が8日、営まれた。関係者の約30人が参列。新たな社殿の完成を喜び、地域の安寧を祈った。餅まきも行われた。
元の社殿は1983年に建てられたが傷んでいた。この状況を見て、同大社の崇敬者である、埼玉県川越市の不動産会社の株式会社秀拓の米原祥雅会長と米原恭淳社長が寄付を申し出。世界遺産登録20周年に合わせ、同神社境内にある満山社社殿、火神社社殿、中ノ地蔵堂、同大社境内の灯籠、看板などの新調・修復費用も同様に捻出した。同じく寄付による、神倉神社境内の看板2基の修復も、今月中に予定している。
例祭の神事は、猿田彦神社・神倉三宝荒神社敬仰会や、熊野速玉大社の崇敬会、敬神婦人会、神倉神社奉賛会などが参列した。熊野速玉大社の神職が祝詞を奏上し、巫女(みこ)が舞を奉納。参列者が玉串をささげた。
上野宮司はあいさつで、建て替えの経緯を紹介。米原社長・会長の「残念ながら参列はかなわなかったが、どうか末永く信仰していただきたい。20周年の節目に、造営に関われたことをうれしく思います」との言葉を伝えた。
餅まきは、地域住民が多数訪れていた。軽トラックの荷台から盛大に餅がまかれ、歓声が響いた。
神倉山には明治時代まで「天狗(てんぐ)様」として親しまれた猿田彦命(さるたひこのみこと)の神社があった。火産霊神(ほむすびのかみ)と誉田別命(ほんだわけのみこと)を祭る三宝荒神社は立里(高野山)にあり、願望成就・商売繁盛の御神徳が高い。速玉大社は、氏子有志の協力で81年から両社の社殿、鳥居、参道などを整備した。毎年5月8日に例祭を営んでいる。
(2024年5月9日付紙面より)


串本町出身の久保凛さん
串本町出身の陸上競技選手・久保凛さん(東大阪大学敬愛高校2年)が第39回静岡国際陸上競技大会女子800㍍種目で、U18日本新となるタイム2分3秒57を記録し優勝した。
日本陸上競技連盟「日本グランプリシリーズ」の第5戦にも位置付けられた同大会は3日、静岡県の小笠山総合運動公園スタジアムで実施。グランプリシリーズ内ではグレード1に分類されるハイレベルな競技舞台で、女子800㍍では高校生~社会人選手25人が出場し3組に分かれてタイムレースに臨んだ。
久保さんは25人中唯一の高校生選手で、第3組で出走。中盤まで2~3番手につけ残り200㍍を切ったところでラストスパートをかけて先頭に立ち、さらに後続を1秒以上引き離す力走でゴールを駆け抜けた。
その記録は直前の自己ベスト2分5秒13、さらにU18日本記録2分4秒44をも超えるタイム。今期の目標として見据える日本高校記録2分2秒57突破まであと1秒に迫る快勝を国際大会で収めた。
(2024年5月9日付紙面より)
新宮RC旗学童軟式野球大会
新宮市出身の文豪で、望郷詩人とも呼ばれる佐藤春夫(1892~1964年)の命日の6日、熊野速玉大社双鶴殿でお供茶式(くちゃしき)が営まれた。関係者や一般約50人が参列し、文豪の遺徳をしのんだ。
茶道裏千家淡交会が長年、大社烏集庵(うしゅうあん)や望郷五月歌碑前で営んできた式で、記念館がオープンした翌年の1990年から(公財)佐藤春夫記念会(須崎恵美代表理事)と共に佐藤春夫記念館前庭で開いてきた。
記念館は故郷をこよなく愛し、明治末期から昭和にかけて近代日本の詩人・作家として活躍した春夫の文学館。旧チャップマン邸や旧西村家住宅近くに移転するため、現在休館しており、2026年のオープンを目指している。
今年は現記念館で最後のお供茶式だったが、雨天のため双鶴殿で開催。田岡実千年市長や濱口太史県議会議長、市議会議員らも出席。茶道裏千家淡交会南紀支部の上宗景さんがお点前、半東・お供えは関宗重さんが務めた。式典後には、淡交会員たちによるお茶と和菓子の振る舞いがあった。
式典で田岡市長は「雨のため記念館の庭での式典がかないませんでしたが、佐藤先生をしのび、ご歓談を」とあいさつした。辻本雄一・佐藤春夫記念館長は「合併により、新宮市から佐藤春夫が作った校歌がなくなっていくのがさみしいが、春夫が込めた精神は残っていく。記念館と共に、一緒に受け継いでいきたい」と話していた。
場所は未定だが、来年以降も春夫の命日に合わせてお供茶式を開くという。
(2024年5月8日付紙面より)


世界遺産や各施設に観光客 (熊野地方 )
4月27日から始まった今年のゴールデンウイーク(GW)。平日の3日をはさみ、3~6日の後半4連休は、熊野地方の世界遺産や観光地などに家族連れ、帰省客、外国人らが多く訪れ、にぎわいを見せた。
新宮市の熊野速玉大社では、3~5日にかけて参拝者が多くあった。駐車場には観光バスをはじめ、愛媛、所沢、石川、湘南、姫路、広島、船橋などのナンバープレートの車が並び、遠方から訪れた人たちも見受けられた。神社の関係者は「今年に入ってから外国人参拝者の数も増えてきた。ゴールデンウイーク中はコロナ禍以前に近い参拝者に戻ってきたのでは」と話していた。
市観光協会には、2日に442人、3日459人、4日550人が訪れ、熊野三山めぐりの案内が大半を占めた。レンタサイクルも好評だったという。
那智勝浦町では、熊野那智大社の参拝や那智山の大門坂を歩く人たちが列を作った。築地の勝浦漁港にぎわい市場では、生まぐろ丼などが人気を集め、海を眺めながら舌鼓を打つ観光客の姿が目立った。
太地町立くじらの博物館には地元をはじめ、他府県から多くの家族連れが訪れた。5日は「こどもの日」にちなみ、小中学生の入館が無料となった。来場者はイルカショーや海洋水族館「マリナリュウム」を見学。「ふれあい体験」では、優雅に泳ぐクジラなどに餌をやるイベントもあり、楽しいひとときを満喫した。
(2024年5月8日付紙面より)




くじ野川・澤さんの水田で (串本町 )
串本町立橋杭小学校(溝内聡子校長)の5、6年生12人が2日、くじ野川にある澤武実さん(75)の水田で田植えに取り組んだ。
本年度赴任した金澤有史教頭が校区内で体験提供を得られないかと探したところ、町地産地消生産者組合の組合員で学校給食センターへ米を納入している澤さんが協力してくれることになり実現した機会。この成果を受けて同校は、社会科で稲作を学ぶ5年生と学んだ6年生が体験をさせてもらうこととした。
澤さんにとっても初めての体験の受け入れとなるため、この日は中継ぎをしたくじ野川区の知野光洋区長や町教育委員会教育課の森博司さんら元教員勢も段取りを手伝い。5、6年生は澤さんから手植えの仕方を教わり、水田にあらかじめ付けられた30㌢間隔の筋の交点へ苗3~4本を植え込んだ。澤さんが体験用に準備したのは広さ約4㌃、子どもの体格を考慮しやや浅めの水田。5、6年生の大半が水田に入るところからぎこちない様子だったが、徐々に要領をつかんで半分ほどを植え終わって以降は最初の倍以上の早さで一気に田植えを進めた。
「思っていたよりも早く終わった」と5、6年生の上達ぶりに驚いた澤さんは、余った時間で愛用しているトラクターや田植え機、コンバインや精米機などの農機も一通り紹介し、現在の稲作のイメージも伝えるなどした。
田植えをするのは初めてという岡内ちなみさん(6年)は「前半より後半の方が上達を感じられて楽しかった。水田の中は気持ちよかった」とコメント。苗の品種は学校給食用の米と同じコシヒカリで9月上旬ごろに稲刈りをし、5年生は晩秋のキャンプ、6年生は調理実習で味わうという。
(2024年5月8日付紙面より)


県スポ少東牟婁交流大会バレーボール競技
青年部と町議が意見交換 (那智勝浦町 )
南紀くろしお商工会青年部有志と那智勝浦町議会議員の意見交換会が4月30日、同町の商工会館で開かれた。「町民に開かれた議会」を目指す議会改革の一環で、初開催。3月議会で紛糾した町営入浴施設「丹敷(にしき)の湯」の継続や道の駅の今後などが話題に上り、ざっくばらんに意見が交わされた。
全議員が所属する議会改革特別委員会(委員長=津本芳光議員)を中心に、約1年かけて準備。町内各地区や団体と議員の交流の場を設け、町民の声を吸い上げることで、議会・町政に反映させることが狙い。議会のネット中継も準備が進められている。
若手経営者らが集う意見交換会では、3月議会で閉鎖から営業継続へ転じた「丹敷の湯」が話題に。議員を代表して松本和彦議員と城本和男議員がそれぞれの立場で経緯を説明した。青年部から寄せられた意見は下記の通り。
その他、旧グリーンピア南紀の維持管理について「民間にも開いて活用検討を」。駅前商店街の空き家・空き店舗問題についても「活用したいという若い人もいるが、持ち家だったり売ってくれなかったり。他市町の施策も見てどうにかならないか」、「空き家を寮にして、外国人を含めた介護人材確保につなげられないか。外国人に貸すことに嫌な顔をする人もおり、意識を変えていく必要も」などの意見が寄せられ、議論がつきない様子だった。
閉会に当たり吾妻正崇議員は「青年部に限らず、今後もいろいろな場に出向いて議論をしていきたい。青年部とも、定期的にこうした場を持ちたい」。
青年部の浦賀英昭部長は「互いにもっとこうした場を持っていくべき。同時に、われわれも『ただ言うだけ』ではなく、発言したからには実行していく覚悟を持って場に臨むことが必要」と話していた。
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■青年部有志から寄せられた意見(一部抜粋)
・正月でも整理券を配らないと風呂に入れないほど人が集まる施設。もったいない。やるだけやって駄目なら閉めなければいけないが、これまで何をしてきたのか
・署名活動があったこと自体知らなかった
・灯油ボイラーのコストが高いなら、重油なりバイオマス燃料のボイラーの試算をしては。ある程度の投資と(費用)回収は絶対必要だが、冷泉なら温水プールにしたっていい。現状のまま直して使うだけだと赤字が膨らむ
・最終的に町当局が動いてくれないと意味がない
・改善案がないならやめてほしい。改善案を行政に求めるより、クリエーティブな脳のある人に依頼をすべき
・風呂も大事だが、まずはトイレと食事と駐車場。女性が使うなら、化粧室も必要
・お湯や景色の良さなら、町内にもっといい温泉がある。1階も暗い雰囲気で、見た目がきれいになるだけでも良くなる
・地元の人のための存続なのか、観光客のためなのか分からないので、賛成とも反対とも言えない。高校生や20~30代の若い人がチャレンジできる場が那智駅にあれば
(2024年5月3日付紙面より)

第95回紀南統一メーデー
「働くものの団結で生活と権利を守り、平和と民主主義、中立の日本をめざそう」をスローガンとした第95回紀南統一メーデーが1日、新宮市福祉センターであった。メーデー宣言を採択し、「8時間働いて普通に暮らせる社会を!」と掲げたプラカードなどを手に、約70人が市内をアピール行進した。
11の労働団体で組織する実行委員会(喜田俊生委員長)が主催。福祉センターで集会を開き、喜田委員長があいさつ。「本日の集会が全国、世界の労働者との団結と連携の力を示す日になるよう奮闘を」と呼びかけた。
6人がリレートークを繰り広げ「世界の労働者の戦いと心を合わせ、貧困と格差の解消、持続可能な社会と戦争のない平和な世界を目指して団結しましょう。そして、ジェンダー平等の実現や多様性の尊重、子育て支援の拡充や地球環境の保全など、国民生活に寄り添った政治への転換を求めていきましょう」などのメーデー宣言を採択した。
全員で労働歌「がんばろう」を歌い、「ガンバローコール」で結束を強めた。アピール行進で全国一律最低賃金やジェンダー平等なども訴えた。
(2024年5月3日付紙面より)

町職員の芝公士郎さん (古座川町 )
古座川町職員の芝公士郎さん(33)が1日、フライングディスク競技の国際大会「WFDF2024アジア・オセアニアビーチアルティメット選手権大会」に日本代表選手として出場することを西前啓市町長や谷久司議長らへ事前報告した。
ビーチアルティメットは同競技の1種目で、5人チーム対抗で75㍍×25㍍のフラットな砂地を駆け回って得点を目指す内容。この大会はその最高位となる競技舞台で、23年は米ロサンゼルスで開かれ24年は日本の田辺市(扇ヶ浜)や白浜町(白良浜)で6月12日(水)から16日(日)まで開かれる予定となっている。
日本代表選考会は1~3月に段階実施され、芝さんはオープンチーム19人中の1人として選ばれた。兄・圭一郎さんが日本代表として19年の同大会に出場し、白浜町で実施されるとあって芝さんも応援観戦。その折に誘いを受けて20年6月、大阪府を拠点とするクラブチーム「Heat Haze」に加入して本格的に練習を始めた。やるからには日本代表選手に。大きく目標を抱いて練習に打ち込み、コロナ禍を経て23年に同選考会が開かれることになりさっそく挑んだが最終選考には至らず。その悔しさもばねにして24年の同選考会最終選考を突破し、念願の出場権をつかみ取ったという。
事前報告には西前町長、谷議長に加え、仲本耕士副町長や中道悟教育長も同席。芝さんは「仲間のサポートや応援、職場の理解なしにとてもここまで来ることはできなかった。これまでお世話になってきた全員への感謝の気持ちを持って、自分らしくガッツあふれるプレーを見せて少しでも皆さんに恩返しできればと考えています。応援をよろしくお願いします」と抱負を掲げ、西前町長は「町のためにも名をはせていただけたらありがたい」と応えて健闘を期待した。
日本代表オープンチームは23年の同大会で準優勝していて、今年は優勝を目標にして練習に打ち込んでいる。芝さんは持ち味の走力と持久力を生かしたディフェンスで勝利に貢献したいと意気込んでいる。串本町串本在住。9日(木)には田嶋勝正町長へも出場の事前報告をするという。
(2024年5月3日付紙面より)

近畿学童東牟婁支部大会
GWの観光客でにぎわう (勝浦地方卸売市場 )
ゴールデンウイーク(GW)序盤の4月29日、那智勝浦町築地の勝浦地方卸売市場にクロマグロ43本の水揚げがあった。シーズン最終盤の大漁に市場が活気づき、観光客らも巨大なクロマグロが並ぶ様子を見物していた。
全国有数の生鮮マグロの水揚げ量を誇る勝浦地方卸売市場。この日は9隻が入港し、最大は益丸(高知県)のクロマグロ273㌔、最高値は1㌔当たり8180円だった。
那智勝浦観光機構(NACKT)の生マグロ市場競りガイドツアーもあり、マグロが食べたいと愛知県から家族6人で訪れた岩瀬篤紀君(9)は「マグロの卵の大きさや体温などのクイズがよく分かった」。姉の恵奈さん(12)は「市場を見ていて、おいしそうだなって思った。お刺し身はあんまり好きではなかったけれど、今日の朝ご飯が楽しみ」と話していた。
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一方、はえ縄船の船頭らからは、漁獲枠規制で思うように漁ができていないことへの不満の声も。「枠を超えないよう、大半を海に放すことになった。以前はこれほど食いつくこともなかったので、規制で資源量も回復しているのでは」「漁獲枠を10㌧持っている船もあれば1㌧ほどしかない船もあり、急に減らされることもある。全船一律なら納得もできるが、基準が分からない」「禁漁期間や禁漁区域を設ける方が合理的と思う」などの意見が聞かれた。
太平洋クロマグロは資源保護のため、国際的な漁獲規制の対象であり、国内では中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の合意に基づいて2015年以降、漁獲管理を行っている。2024年の漁獲枠は日本全体でおよそ1万1000㌧。うち市場価値が高い30㌔以上の大型魚は、国が管理する沖合漁業に4820・2㌧、近海はえ縄漁を含む各都道府県での沿岸漁業分に1745・9㌧を振り分けた。そこから漁法、船ごとに枠が決められる。
漁港関係者からは「枠のほとんどを巻き網船が持っている。幼魚を含めて一網打尽にする巻き網と違い、大きく成長した成魚のみを一本一本釣り上げるはえ縄漁は環境に最も優しい漁法。これからの時代、こうした漁法の保護を考えるべき」「マグロは自分たちの生活の糧。今のままでは資源保護になっていない」との意見も聞かれた。
(2024年5月2日付紙面より)


有田で現場職業体験会 (串本町 )
串本町有田にある有田漁港で4月30日、現場職業体験会があり串本町立橋杭小学校(溝内聡子校長)の2、3年生15人が参加して建設工事の仕事を知る機会を得た。
この体験会は、東牟婁振興局串本建設部が管内で発注した事業から毎年2事業を指定し、その施工者が子どもたちに工事現場の成り立ちを伝える内容を準備して開いている。今回は2023年度有田漁港漁港施設整備(機能強化)事業の同体験会で、現場紹介と職業体験の各内容を準備して参加を歓迎した。
現場紹介は元請けの株式会社小森組・矢倉準一管理技術者(同事業の現場代理人)と下請けの株式会社人見建設・人見翔専務取締役が担当。この事業は津波対策として防波堤をかさ上げする内容で、どのように目の前にある真新しい防波堤を作ったのかを21枚の写真資料を交えて説明した。
職業体験はおととし、昨年に続いてこの体験会に関わる人見建設が担当し▽ドローン操作体験▽空調服体験▽建設機械(バックホウ・高所作業車)試乗体験▽Pコン穴補修体験―の4種類を準備。Pコン穴補修は材料(モルタル)とこてなどの道具を配り、実際にその穴を埋める作業をしてもらう形で提供した。
楽しい体験会にするため、今回はキリン模様のバックホウや同社マスコットキャラクター「ひとみちゃん」を現場へ持ち込む工夫も取り入れた。人見専務取締役(38)は「普段、工事の現場を見かける機会はあっても、何をやっているかまで興味を持って知る経験はないと思う。今日はこんな仕事があると知ってもらい、この経験をきっかけにして興味を持ち続け、将来の担い手になってくれたら」と願いつつ、参加した小学生の学びを後押しした。
(2024年5月2日付紙面より)


春の田長谷で自然観察会 (新宮市熊野川町 )
公益財団法人熊野林業は4月29日、新宮市熊野川町田長で「自然観察会~春の田長谷・白倉観察会~」を開催した。県内各地から17人が参加し、紀伊半島と四国のみに分布する希少なアケボノツツジなど、色とりどりのツツジが咲く熊野の自然を満喫した。
熊野自然保護連絡協議会の南敏行さんや三重県立熊野古道センターの山口和洋さん、浦木林業株式会社の泉諸人代表取締役社長らを案内人に、参加者たちはマイクロバスで移動し、途中からは歩いてツツジの群生地を訪れた。霧の中、アケボノツツジが見えると、上品なピンクに感嘆の声が上がった。
雨天で田長谷森林自然公園ウオークは中止したが、大雲取越の地蔵茶屋休憩所では、南さんから那智山周辺に生息する絶滅危惧種のナチマイマイの標本紹介もあった。
参加した兵庫昌子さん(48)は「夫と二人で山歩きをするのが好きで、今日もいろいろなツツジが見られて本当にきれいでした」と話していた。
同財団は「自然環境とバランスを保った森林を目指すために、所有山林の調査研究および普及啓発事業を通じて自然豊かな森林を形成してゆく」ことを目的に設立。森林の自然環境を維持しながら、木材などの恵みを少しずつ収穫するという「非皆伐・択伐」方式の実践を行ってきた。山林の一部を「森林自然公園」として一般開放し、人々に熊野の自然に触れる場を提供している。
(2024年5月2日付紙面より)



水害から13年、奇跡の復活
2011年9月の紀伊半島大水害で犠牲になった那智勝浦町の中平幸喜さん=当時(45)=の愛車、三菱ギャランGTO。水没して9年間、泥だらけで保管されていたが、4年がかりで修理、奇跡の復活を遂げた。「もう一度走りたい」。ギャランに魂が宿った瞬間だった。
13年の時を経た4月29日、真っ白なスポーツカーがエンジン音を響かせ、新宮市の丹鶴ホールに登場。雨の中、集まった約200人が拍手と歓声で迎えた。
この日初めて、父が愛し続けたギャランの復活を目にした長男の史都さん(35)。市内と那智勝浦町を巡り、助手席からの風景とともに、亡くなった家族5人への思いをはせた。
「父は僕を助手席に乗せるのが大好きだった。笑顔の絶えない少年のような人で、車の話ばかりしていた。泥だらけだったが、こんな日が来るとは思っていなかった。修理に携わってくれた皆さんの思いが詰まった世界に1台の車。これから大事に乗りたい」。
ハンドルを握ったのが中村進太郎さんだった。「大切な形見を残したい」との思いを知り、20年5月から修理を開始。多くの協力を受け、部品を取り寄せ組み直すなど力の限り手を尽くした。「不思議と自信はあった。不安なこともあったけど、今年に入ってから完成のめどが付いた。今は達成感でいっぱいです」と晴れやかな表情を見せた。
丹鶴ホールであった追悼行事で、那智谷大水害遺族会の岩渕三千生代表は幸喜さんとの思い出を紹介。「史都君、宝物が一つ増えましたね。世界で1台、みんなの魂が入ったギャランです。月に1回は散歩に連れていってください」と伝えた。
(2024年5月1日付紙面より)

世界遺産登録20周年に (那智勝浦町 )
熊野・那智ガイドの会が現在、那智勝浦町内宿泊施設で「那智参詣曼荼羅(まんだら)絵解き」の活動をしている。ゴールデンウイーク初日の4月27日には休暇村南紀勝浦で行い、宿泊客約50人が、熊野に息づく信仰の世界に触れた。
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」登録20周年を盛り上げようと企画。休暇村南紀勝浦とホテル浦島で実施している。
宿泊客の前に熊野比丘尼(びくに)に扮(ふん)した石坂容子さんが登場。「曼荼羅は仏様の世界という意味。かつてはここ熊野が、仏様の世界と信じられていた」と語り出し、補陀落渡海の那智の浜から大門坂、熊野那智大社、青岸渡寺、那智の滝、死者の魂が訪れる妙法山などを巡った。当日の那智山での写真を振り返りつつ、耳を傾ける宿泊客の姿もあった。
3世代の一家6人で当地方を訪れた丸山隆一君(7)は、曼荼羅図に興味津々。母親の真澄さんは「1枚の絵に、生と死の両方の世界が描かれているのが面白い。熊野市の鬼ヶ城から那智勝浦町、太地町のくじらの博物館、白浜のアドベンチャーワールドと紀伊半島を一周する計画」と語った。
石坂さんは「絵解きを聞いていただいてから那智山を歩くと、何倍もその価値が増す。登録20周年を機に、那智参詣曼荼羅や絵解きについても、広めていきたい」と話していた。
(2024年5月1日付紙面より)


熊野那智大社で昭和祭
「昭和の日」の4月29日、那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で昭和祭が営まれた。本社と別宮の飛瀧(ひろう)神社で皇室の弥栄(いやさか)と国の隆昌(りゅうしょう)、国民の安泰を祈念した。
昭和天皇の誕生日である「昭和の日」は、「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」という趣旨の下、2007年に国民の祝日に加わった。同大社では、在位六十有余年のご聖徳を仰いで神事を営んでいる。
雨天のため、飛瀧神社では、那智の滝正面横の建物で神事を営んだ。男成宮司が祝詞を奏上し、巫女(みこ)が浦安の舞を奉納した。
あいにくの天気ではあったが、熊野那智大社や那智の滝には参拝客が途切れることなく訪れていた。
(2024年5月1日付紙面より)

