コロナ禍前の状況に近づく (新宮市 )
新宮市の高田や熊野川町で、ゴールデンウイーク(GW)の宿泊予約が好調となっている。高田グリーンランドは、コロナ禍前には至らないものの、だいぶ増えていると説明。小口自然の家は予約でいっぱいの状況という。
両施設は、新宮市が所有。高田グリーンランドは(一財)新熊野体験研修協会が、小口自然の家は(一財)熊野川町ふれあい公社が、指定管理者となり運営している。以前はスポーツ合宿の誘致やインバウンド(訪日外国人旅行)の盛り上がりなどを受け、両施設ともに多くが宿泊していたが、コロナ禍に伴い3年ほど減少していた。
高田グリーンランドの状況について、同協会の葛薮忠事務局長は「だいぶ戻ってきた」とほほ笑む。「3月、4月は外国人が増えた。オーストラリアからが多かった」と明かす。反面、国内旅行者には一抹の不安もあるという。「国の全国旅行割が6月末までだったが、4月半ばで予算が終わってしまった。今後、国内がどうなるか」と話す。「国内がそのままで、外国人も増えてくれると一番いいが」と祈るように述べた。
小口自然の家について、丸石輝三支配人は「GWは満室。コロナ禍前と同じようなところまできた」と喜ぶ。日本人と外国人の割合については「半々というところか。外国人は、オーストラリアやヨーロッパ、アメリカからが多い。東南アジアからはちょっと少ないかな。ほぼ全員が、熊野古道歩き」と語る。「コロナ禍で3年は苦しんだので、戻ってきて良かった。今後は安定してお客さんが来てくれたら」と結んだ。
(2023年4月29日付紙面より)
男成宮司が記念講演 (那智勝浦町 )
那智勝浦町勝浦の「熊野カフェ」は22日、オープン10周年の締めくくりとして記念講演「熊野那智大社宮司が語る熊野・那智の魅力」を開催した。男成洋三宮司が、熊野・那智の魅力などについて講話し、町内外から訪れた来場者らは耳を傾けていた。
これまで、さまざまな10周年企画を実施。今回の講演は、オーナーの畑中卓也さんが、長年実現を望んできた企画だ。
講話では、男成宮司と畑中さん、南紀くろしお商工会観光振興部会長の明慶勝義さんも加わって進められた。
熊本県の社家に生まれた男成宮司。国学院大学神道科に入学し、昼間は明治神宮の実習生として研さんを積み、夜間は大学に通ったと振り返る。卒業後、昭和51年に明治神宮に奉職し、平成23年から権宮司を務めた。40年務め上げた後、熊野那智大社の前宮司退職に伴い、28年に熊野那智大社の宮司に就任した。
男成宮司は「参拝旅行やお祭りへの参列で大社を訪れたことはあるが、和歌山県とはゆかりがなかった」と振り返る。
飛瀧(ひろう)神社鳥居前の安倍晴明にまつわる看板設置と記念フレーム切手作成に尽力した明慶さんは「お世話になりました。那智山に晴明が滞在していたという文献もあるため、看板や切手に至った」と感謝した。
男成宮司は「映画や小説でご存じの方も多い。看板や切手も素晴らしい絵を描いていただき、ありがたい」と述べた。
畑中さんは京都橘大学の学生が学生証を提示すれば、町内の各店舗で割引が受けられる仕組みを整備し、未来の観光につなげる「学生版蟻の熊野詣」について「町に学生が訪れた際に、大社や熊野について、宮司から話を聞くことができれば素晴らしい」と話した。
熊野の魅力について男成宮司は「熊野信仰は現在も続いている。昔も今も熊野は遠い。遠いからこそ信仰が守られている。人気番組で大社が取り上げられるなど近年、取材が多い。外国人が来訪に刺激され、日本人が熊野の魅力を再発見しているのでは」と語った。
明慶さんは「西国三十三所一番の青岸渡寺と那智大社、滝がある。熊野参詣曼荼羅(まんだら)が最初からあるのも那智山だけ。熊野三山の中でも、那智山は憧れの場所では」。
畑中さんは「僕らはすごい場所に住んでいる。文化は人の息遣い。そんな気持ちでいないといけない」と評した。
男成宮司は「上皇が難行苦行し、何度も熊野に来たのか。現世の幸せと来世の浄土に行けるという願いを込めて来られた。それだけのものが熊野にはある」。
同町については「この町は山も海もマグロも温泉もある。滝や熊野信仰があり、大社や青岸渡寺がある。こんな町はそうそうない。いかに素晴らしいふるさとであるかを、皆さまにも知ってほしい」と締めくくった。
来場していた和歌山県観光振興課の林正尚課長は「来年は世界遺産20周年。多くの方々に、自然崇拝のこの地に足を運んでいただけるように、取り組んでいきたい」と話していた。
(2023年4月29日付紙面より)
住崎に水中こいのぼり設置 (串本ダイビング事業組合 )
串本ダイビング事業組合(谷口勝政会長、会員24店舗)が27日、袋港沖のダイビングポイント「住崎」に水中こいのぼりを設置した。
冬の小康を経てダイビング需要が大きく弾むゴールデンウイーク期間の旬な話題として定着させている、認知度が極めて高いこどもの日にちなんだ取り組み。今年も吹流し1本とこいのぼり9本、さらに地域色としてカツオのぼり(ケンケン漁発祥地)やマグロのぼり(クロマグロ養殖地)を2㍍間隔でつないだ親ひもを準備し、この日はダイバー7人がかりで「住崎」の水深約15㍍に横一線で張り掲げた。
陸上で風を受けてたなびくように、海中で潮流を受けてたなびく様子をダイビング客に楽しんでもらい、ひいては串本町を盛り上げるきっかけとすることを狙いとしている。設置期間は5月7日(日)までで、人工物のため期間終了後は速やかに回収するという。
この取り組みを担当する谷口会長は、新型コロナウイルスに伴う規制が緩み人々の動きの活発化がこれまで以上に期待できる中、串本町への関心にいっそうの弾みをつける話題性にもなればと願いこの日の全体指揮に当たっていた。
(2023年4月29日付紙面より)
近大新宮中が田植え体験 (新宮市熊野川町 )
新宮市の近畿大学附属新宮中学校(池上博基校長)の1年生33人が27日、同市熊野川町の国道168号「日足道路」下の水田を訪れ、田植え体験をした。生徒たちは丁寧にコシヒカリの苗を植え、紀伊半島大水害(2011年)からの復興・地域活性化に向けた地域住民の思いにも触れた。
郷土への誇りと愛着を育み、農家への感謝や米を大切にする心を養う「ふるさと教育」の一環で16年にスタート。地域の休耕田を減らす活動を行う「MYNS(マインズ)」を中心に、和歌山県やJAみくまのも協力している。
生徒たちは田んぼに足を踏み入れ「気持ちいい」「キャー」「足が重い」と叫びながら、泥だらけになって作業に励み、10㌃の水田一面に苗を植えた。
高見杏さん(1年)は「今日までたくさんの準備をしていただいてありがたい。幼稚園の頃から丸山千枚田で田植えをしているが、新型コロナの影響で4年ぶり。楽しかった」と笑顔で語った。
MYNSの下阪殖保さんは「良い米ができるかは天候次第だが、一生懸命世話をさせてもらう。今揚がっているこいのぼりは水害からの復興のシンボル。9月にはひまわり祭りや花火も計画しているので、また熊野川町へ来て」と呼びかけた。
8月下旬に稲刈りを行い、米は文化祭「近大新宮祭」で販売する予定だ。
(2023年4月29日付紙面より)
第189回職場対抗ボウリング大会
約300人が熊野の地へ (新宮市 )
外国客船「スターブリーズ」(総トン数1万2969㌧、全長159㍍、ウィンドスタークルーズ)が18日、新宮港に入港した。外国客船の入港はコロナ禍前の令和元年から約4年ぶりで、同船の寄港は初。今回は「ジャパンサイクリングクルーズ」の名の通り、日本でのサイクリングを楽しむことが目的のクルーズだ。主に欧米から訪れた乗客約300人は、自転車で熊野地域の観光を楽しんだ。
新型コロナウイルス感染症の影響で受け入れが中止になっていた日本への国際クルーズ。昨年11月、国土交通省が再開を発表したことを受け、新宮港でも、感染症対策を講じ、受け入れを再開した。
行程は東京~田子の浦~新宮~高知~別府~博多~唐津~釜山(韓国)~下関~松山~尾道~神戸。
歓迎セレモニーでは、田岡実千年市長が初寄港への感謝を述べ「熊野は千数百年以上の歴史を有し、熊野信仰の聖地として、人々を魅了している。本日は、平穏で幸せな気持ちに浸っていただければうれしく思います」とあいさつ。
平安衣装による出迎えに加え、花束や初入港プレート、尾﨑酒造の日本酒などの贈呈もあった。
同船のペドロ・ピント船長は「現地での交流や体験を楽しみたい。新宮市に来られたことに感謝している」と述べた。
その後、乗客は各自、自転車に乗り、好みの観光地を目指した。アメリカから訪れた60代夫婦は「日本はきれいで素晴らしいところ。神社と寺を見て回るのが楽しみ」と笑顔で話していた。
市では本年度、同船と19日に入港する「ヘリテージアドベンチャラー」を含め、12隻の受け入れが決定しているとし、そのうち11隻が国際クルーズだという。
クルーズ船を担当する市商工観光課の福林透真さんは「今後も外国客船を中心に誘致を進めていく。寄港の際には、新宮市の魅力を知っていただき、リピーターを増やしたいです」と話していた。
(2023年4月19日付紙面より)
協議会設立、計画策定へ (那智勝浦町 )
那智勝浦町地域公共交通活性化協議会の設立総会が17日、那智勝浦町天満の体育文化会館であった。国や和歌山県、同町の関係者、地域公共交通事業者、地域住民代表、学識経験者、警察など30人が出席。同町の瀧本雄之副町長を会長とし、本年度中に計画を策定して活性化を目指していくことを決めた。
国の法改正に基づく取り組みで、地域公共交通計画の策定が必要なため組織した。策定は努力義務だが、同町が町営バスを運営するに当たり受けている国の補助が、2024年度からは計画なしでは受けられなくなる。また補助対象も、現在は同町が国から直接受けているが、地域公共交通活性化協議会(法定協議会)に変わる。このため、協議会設立と計画策定は、町営バスの存続のためには必須となる。
総会では、瀧本会長のほか、副会長1人と監査2人も決めた。瀧本会長は就任あいさつで「公共交通は欠かすことのできないものだが、取り巻く環境は厳しい。皆さんにそれぞれの視点で意見を出してもらい、創意工夫しながら、地域特性に応じたより良い公共交通の在り方を検討したい。今後の町の交通施策を示す重要な計画の策定、検証を行うに当たり、皆さんの忌憚(きたん)のない意見をお願いします」と呼びかけた。
事務局より、計画の策定期間は24年3月までの1年間であること、策定に協力するコンサルタント業者をプロポーザルで選定すること、計画そのものの期間は24年度からの5年間であることの説明があった。
参加者からは「計画策定に当たり行う住民アンケートを、公共交通の現状と課題を可視化した上で行うことで、現実に即した回答が得られるようにすべき」との意見が出された。また「県も同様に計画を策定しているため、整合性を意識して進めるべき」との指摘もあった。
(2023年4月19日付紙面より)
サイン+サンクス運動指定 (新宮警察署 )
新宮警察署(井田昌樹署長)が18日、串本町立串本小学校(堀靖典校長、児童80人)と古座川町立高池小学校(中井清校長、児童61人)を「サイン+サンクス運動」推進校に指定した。期間は本年度末までで、同署は両校による推進の取り組みを適時支援するという。
同運動は、日本自動車連盟(JAF)の信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査で和歌山県の停止率が低いことを受け県と県警が両輪で前年度から提唱を開始。歩行者は挙手とアイコンタクトでドライバーに横断する合図を出し、ドライバーは停車し手ぶりで合図をし、歩行者は会釈などで応えることでお互いに意思疎通をして歩行者が安全に渡れる状況の定着を目指している。
推進校指定は啓発手法の一つで、各警察署が指定し同運動を推進する学校の取り組みを支援する形で校区内への定着を図る。提唱初年度の前年度は7月に指定をしたが、本年度は統一地方選により「春の全国交通安全運動」の期間設定が1カ月先延ばしとなる中、県警察本部が設定している「こどもの交通事故防止強化期間」(4月7~20日)の取り組みの一環で実施。指定期間は単年度で、串本町域では前年度の古座小に続いて2校目、古座川町域では1校目の指定となっている。
この日は同署交通課の嶝口知宏課長や岡本暢夫係長、串本分庁舎の山本貴彦分庁舎長が両校を順次訪問。代表して嶝口課長から各校長へ指定書と啓発のぼりを託し、以降は注視が必要な横断歩道など校区内の交通環境などで情報交換もした。堀校長は「歩行者もドライバーもお互いに気持ちよくできるよう組み立てられていて良いと思う」と同運動の印象を語り、中井校長は「児童の目につきやすい通用口に啓発のぼりを掲げて取り組む意欲を促したい」と話した。
同署は本年度、管内各市町村から1校を選んで推進校に指定。次またその次と指定を重ねて管内全域へと広めていきたいとしている。
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道路交通法上、信号機のない横断歩道は歩行者優先で渡ろうとする人がいる場合、運転手は減速、停止する義務があるとされる。全国調査の2022年結果に見る停止率の全国平均は39・8%で、6割が依然として停止していない状況。うち和歌山県の停止率は22・5%で、前年度より4・1㌽向上したが全国ワースト2位となっている。
(2023年4月19日付紙面より)
合唱・器楽の部に14団体 (新宮市民音楽祭 )
第15回新宮市民音楽祭「合唱・器楽の部」が15日、同市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で開催された。14団体が出演し、大勢の来場者を魅了した。
新宮市民音楽祭実行委員会、市、市教育委員会が主催。市民音楽祭は1976年3月に第1回が開催され、合併前の旧市から数えると2011年の紀伊半島大水害の年を除いて45回続いている。
合併後15回目となった今回は、新型コロナウイルス感染症の影響で3年ぶりに開催となったが、1月22日に実施予定だった「合唱・器楽の部」は、市内における感染状況を考慮し、延期を余儀なくされていた。
開催に当たり、今村義郎実行委員長は「この素晴らしいホールで開催することができて胸がいっぱい。このホールを起点に、活性化を目指して近隣市町村も巻き込んで継続し、協力していきたい」とあいさつ。
田岡実千年市長は「皆さんが自ら企画・運営してくださっている、多くの方々に愛されている歴史ある音楽祭。素晴らしい音楽祭となることを期待しています」と述べ、関係者らに感謝を伝えた。
音楽祭は、小野俊二さんの指揮による「新宮市歌」で幕開け。アカデミー合奏団の伴奏に乗せて、美しい歌声が会場を包んだ。14団体が合唱や室内楽、和太鼓など、日頃の練習の成果を発揮。来場者らは会場に響く美しい歌声や楽器の音色、迫力ある和太鼓の音に大きな拍手や手拍子を送っていた。
(2023年4月19日付紙面より)