候補演説を聞き思い託す (王子ヶ浜小で児童会選挙 )
新宮市立王子ヶ浜小学校(谷口幸生校長)で10日、2023年度前期児童会役員選挙があった。4~6年生178人が、会長に立候補した5年生5人の演説を聞き、一票を投じた。初の試みとして、投票箱や記載台も用意され、実社会の選挙さながらの実施となった。
同校ではこれまで、各教室で候補の演説放送を聞き、意中の候補に丸を付けた用紙を教室で集める形で選挙を行っていた。今回は、22年度後期児童会が、実社会の模擬選挙を兼ねた投票を提案。投票箱や記載台は、新宮市立光洋中学校が所持しているものを借りた。投票所は学校内の会議室に設け、準備や運営も22年度後期児童会が受け持った。
23年度前期児童会の会長には、いずれも5年生の馳平花杏さん、宮地さつきさん、榎木谷莉叶さん、樫本なるさん、前山百花さんが立候補した。候補者は、1月30日の公示日から、学校内にポスターを掲示したり、児童に支持を呼びかけたりしていた。投票日となる10日は、候補と応援演説者がカメラに向かって演説。有権者の児童は、教室のモニターでそれを聞き、投票所に出向いて投票した。
候補者はカメラに向かい「クリーン作戦を行い、校庭をきれいにします」「雨の日に廊下を走らないよう、体育館を開放します」「やりたいことボックスを設置して、意見を聞きます」など、公約を発表。「清き一票をお願いします」と力を込めた。応援演説者は「優しく、友達思いで、頼りになる人です」などと伝えた。
投票は、クラスごとで順次行われた。有権者の児童は、記載台で思いを託す意中の候補を記し、投票箱に用紙を投じていた。谷口校長は「今は校内だけだが、社会に出たら、声が届く場所として政治に興味を持ち、まち全体を良くするにはどうすべきかを考える、一つのきっかけになれば」と話した。
なお、今回の選挙の得票数の順に、会長1人、副会長1人、役員3人に選ばれる。任期は3月1日から、23年度の1学期終業式までとなる。
(2023年2月15日付紙面より)
東大人文熊野セミナー (新宮市 )
新宮市と東京大学大学院人文社会系研究科・文学部は12日、同市浮島の浮島児童館での対面とオンラインを併用して東大人文熊野セミナーin新宮「東大の授業をのぞいてみよう!」を開催した。同大学の教員や研究者らが、それぞれの専門分野について分かりやすく説明した。
同市と同大学大学院人文社会系研究科・文学部は2021年3月に連携協定を締結。以降、協力体制の下、人文学を応用しての地域振興や交流促進、地域連携活動などを図っている。
このたびのセミナーは、同大学大学院人文社会系研究科の教員や研究員が11日から14日にかけて同市を拠点に実施した「熊野研修」の一環として開催。さまざまな分野で多様な研究教育活動を行う教員らが、それぞれの専門分野を紹介し、研究や教育の面白さを広く伝えることを目的に開いた。
開催に当たり、田岡実千年市長が「当地域には大学はないが、このような形で東京大学において行われている研究や教育に触れることができるというのは本当にありがたいこと。お集まりの皆さまには、充実した時間を過ごしていただければ」とあいさつした。
セミナーには▽秋山聰さん(美術史学)▽阿部公彦さん(英文学)▽加藤隆宏さん(インド哲学)▽小島毅さん(中国思想史)▽納富信留さん(哲学)▽松﨑照明さん(日本建築史)▽村本由紀子さん(社会心理学)▽和田真生さん(文化資源学・歌舞伎)▽ストルティーニ・パリデさん(宗教学)―の9人が登壇した。
同大学大学院人文社会系研究科長の秋山さんは「東大(文学部)にとっての熊野と紀州」と題し、自身の研究分野を紹介しつつセミナーの趣旨を説明。
13年、大雲取越を歩いた際、光に照らされた円座石(わろうだいし)を目にした時に、エルサレムのキリスト昇天教会にある「キリストの足跡」と重なったことが、日本の宗教文化や熊野に興味を抱いたきっかけと話した。
また、「東大人文・熊野プロジェクト」の概要や同大学文学部の歴史や構成、教員らの著書、今後プロジェクトで計画している熊野関連事業などを紹介し「熊野、紀州、紀伊半島の持つ伝統文化、宗教文化が、国際的にも重要なものだと認識されていくのではないか」と述べた。
発表後には松﨑さんの司会の下、国際熊野学会代表委員の山本殖生さん、熊野学研究委員会委員長の中瀬古友夫さん、太地町歴史資料室学芸員の櫻井敬人さんによるディスカッションがあった。登壇者らはセミナー内容や同大学の取り組みに対し「非常に幅広い分野に関心を持たれていると感じた」「若い人たちの心をつかむ工夫を引き続きお願いしたい」などとコメントした。
閉会に当たり、秋山さんは学生らに対し「聞いて分かる、はつまらない。聞いたけど分からないを見いだすことが学問の醍醐味(だいごみ)だと思う。地元の若い人たちには、面白い所に住んでいるということに気付いてほしい」と呼びかけた。
(2023年2月15日付紙面より)
樫野埼灯台内部一般公開 (串本古座高校 )
串本町樫野にある樫野埼灯台で11日、県立串本古座高校CGS(地域包括的支援)部による内部一般公開があり約170人を普段入ることができない内部へ案内した。
この公開は、航路標識協力団体としての活動の一環。同校は同部を軸とした協力内容を掲げて昨年2月に樫野埼灯台付けの同団体指定(指定期間は2025年3月まで)を受け、以降は部員が振興策を考えて動いている。
協力内容は▽敷地内植生管理(スイセンの再生)▽灯台内部の一般公開―とそれら現地活動時の本体点検の3系統。同公開は指定前に年1回程度だった頻度を5回に増やすとしていて、昨年5月の下準備を経て7月に1回目を実施した。以降9月と11月は天候不良のため中止。本年度最終となる今年2月は、約半年ぶりに実施する形となった。
この日は部員11人が受付、解説、感染症予防(内部の適時アルコール消毒)と役割分担をして内部見学の希望者を歓迎。今後の活動費を得るため1人につき100円の協力金をお願いし、併せてボトルドウオーター「串本の水」や緑茶飲料の提供もした。
同部は中止が相次いだ間、1回目の反省を基にして同公開の在り方を検討。解説をしやすくするためパネル資料を自作して内部に置くなど、検討の成果を発揮して臨んだという。解説役を担当した雑賀和さん(2年)は「役割分担もしっかりと決めたことで、以前よりスムーズに案内ができたと思う。解説にも余裕ができ雑談もする中で、京都や岐阜など県外のいろいろな所から串本へ来てくれていて、串本をよく知っている人もよく知らない人もいると分かった」と振り返り、その気付きも糧にして今後、さらにしっかりと同灯台や地域を伝えていけるよう部員一同で頑張りたいと意気込んだ。
この日は同校生徒会も合流し、トルコ南東部地震災害義援金の募集を内部見学希望者に呼びかけた。これを足掛かりにして校内でも協力を求め、集めた額を15日に同町の窓口へ寄託するという。
同部は次年度も年5回の頻度でこの公開を考えるとし、次はゴールデンウイークごろの実施を目指したいとしている。
(2023年2月15日付紙面より)
那智中で火災避難訓練 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立那智中学校(岡史博校長)で9日、火災避難訓練があった。全校生徒142人が町消防本部の協力の下、垂直式救助袋の使い方や初期消火、けが人の搬送法について学んだ。
学校生活を安全に送ってもらうだけでなく、将来進学や就職で都市部へ出た際にも都市火災などへ対応できるよう、年3回の訓練を計画している。
1年生は垂直式救助袋を使った避難を体験。避難経路の複数確保の観点から同校南館の3、4階に設置されている器具で、袋内部のらせん状の通路を滑り降りることで、階段が使えない場合でも建物外部の安全な場所へ逃げることができる。
実際に救助袋を使った政所さくらさんは「最初は落ちてしまうんじゃないかと思って怖かったけれど、中に入ってしまえば大丈夫だった」。片原凛睦さんは「最初見た時は仕組みが分からず、怖かった。初見で使うのは勇気がいるかも」。髙出成二さんは「怖そうと思ったけれど、実際には傾斜に沿って安全に下りることができた」と話していた。
2年生はけが人の搬送法、3年生は消火器を使った訓練に取り組み、それぞれに災害時にできる行動を考えていた。
(2023年2月15日付紙面より)