那智の滝で大しめ縄張り替え (那智勝浦町 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で27日、世界遺産である那智の滝で恒例の大しめ縄の張り替えがあった。日本一の落差133㍍の滝口で神職たち5人が足元に注意を払いながら慎重に新しいしめ縄に取り換えた。
那智の滝は同大社の別宮・飛瀧(ひろう)神社のご神体。張り替え作業は7月14日の例大祭「那智の扇祭り(火祭)」の前と年末の毎年2回行われている。
しめ縄はサラシ製で長さ約26㍍、重さ約4㌔。大社本殿で安全祈願を行い、白装束に烏帽子(えぼし)姿の神職らが表参道約2㌔の道のりを運んだ。滝の流れに足をつけた神職らは声をかけ合いながら無事にしめ縄を設置した。
年2回の張り替えの様子を見物できたことを喜び、写真撮影を行う参拝客らの姿も見られた。
男成宮司は「今日はすす払いを行い、しめ縄の張り替えも済み、新年を迎える準備が整った。今年はコロナ禍に加え、ロシアによるウクライナ侵攻もあり、厳しい社会情勢だった。来年こそはコロナ終息や紛争の終結する年になれば。すがすがしい一年になることを祈っています」と語った。
同大社では新型コロナウイルス対策に取り組み、年末年始の参拝客を迎えるとしている。
なお、那智の滝は大みそかから元旦にかけて青岸渡寺の三重塔とともにライトアップされる。
(2022年12月28日付紙面より)
串本町田原
串本町田原の荒船海岸では冬の風物詩、海霧が発生している=写真(20日撮影)。
霧は12月に入って、続く寒さでほぼ連日のように出ている。この日の串本の日の出は午前6時56分ごろだったが、水平線に雲があり、すこし遅れて顔を出した朝日に照らされて黄金色の海霧が浮かび上がった。
海霧は海面から発生する湿気を含んだ水蒸気が低温によって冷やされて蒸気霧となる現象で、気嵐(けあらし)といわれる。
シーズンはこれから本番を迎え、1月末ぐらいまで続く。
(2022年12月28日付紙面より)
来年2月末ごろのロケット「カイロス」初号機打ち上げを目指すスペースワン株式会社=東京都港区=がこのほど、準備の大詰めを迎えている射場「スペースポート紀伊」を報道公開した。同社は、事業の背景と概要を説明し総合指令棟と射点一帯の外観を紹介した。
射点には「カイロス」より一回り大きい高さ約20㍍の移動式射点組立足場があり、隣接するロケット整備棟からパーツを運び込んで射点上に組み上げる。打ち上げ時に立ち入り禁止となる「カイロス」の半径1㌔圏外となる場所に管制室があり、遠隔操作で「カイロス」を打ち上げて人工衛星を軌道投入するまでを一括監視する。
「カイロス」のロケットシステムは宇宙へ到達するための1段目と第一宇宙速度(地球の引力と人工衛星の遠心力がつりあい地球に落下しない最低速度、秒速約8㌔)までの加速を担う2、3段目からなり、さらに軌道修正用液体エンジン(スラスター)を駆使し適切に軌道投入をする。とりわけ多くのニーズが見込まれる高度500㌔の太陽同期軌道(打ち上げる方向は南方)に投入する場合、「カイロス」は150㌔の打ち上げ能力を発揮する。
これら技術の集大成により同社が目指す事業コンセプトは▽信頼性▽即応性(契約から1年、衛星受領から4日で打ち上げ)▽柔軟性▽低コスト―の4本柱。他の射点の手法を参考にし、遅くとも打ち上げの1カ月半前までにその日時を公表し、直前の気象条件などを見て日時を調整する形を取るという。
2020年代半ばには年間20回の打ち上げ頻度を目指していて、その光景と音響が日常となる射場周辺地域に向け同社の川井孝之部長は「初号機を成功し、そして定期的に打ち上げられるようになること、できることで地域の皆さんと一緒に頑張っていくことが貢献になると思っている。宇宙産業が拡大する中、宇宙へ出ていくためにはその手段が必要。われわれのロケットにより世界中の宇宙産業が多くなり、また入りやすくするような貢献もしていければ」と語った。
(2022年12月28日付紙面より)
市内小学生から120点の力作 (新宮市 )
新宮市野田の市福祉センターで20日、令和4年度赤い羽根絵はがきコンクール審査会があった。市共同募金委員会長の田岡実千年市長と社会福祉法人和歌山県共同募金会の髙瀨一郎常務理事、市社会福祉協議会の濵前泰弘会長らが審査員を務め、市内小学校の児童から寄せられた作品を審査。県共同募金会会長賞などに8作品を選んだ。
誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、さまざまな地域福祉の課題解決に取り組む民間団体を応援する「じぶんの町を良くするしくみ」としての取り組みが展開されている「赤い羽根共同募金」。
10月からの運動期間に合わせ、市では市内の子どもたちに街頭募金への協力を呼びかけ運動を展開しているが、昨今の新型コロナウイルス感染状況を鑑み、募金活動は縮小傾向に。コンクールは「活動が制限される中でも子どもたちに広く運動および活動の趣旨を伝えることができれば」との思いから、市共同募金委員会の主催で昨年初めて開催。市社協職員らが市内各小学校で「赤い羽根共同募金」の授業を実施しつつ、児童らにコンクール参加への呼びかけを行っていた。
2回目となる今回は、市内5小学校から120点の作品が寄せられた。審査会では最終審査に残った83枚から田岡市長らが▽県共同募金会会長賞(1点)▽市共同募金委員会会長賞(同)▽市社会福祉協議会賞(同)▽審査員特別賞(5点)―を選定。「絵だけではなく優しい言葉が入っている」「言葉も良く、絵も遠近感もある」「福祉の精神をよく理解していると思う」などと講評した。
審査を終え、髙瀨常務理事は、福祉への意識高揚を図る市と市社協の取り組みに感謝。田岡市長は「力作が多く、選ぶのに苦労した」と話していた。
応募作品は1月10日(予定)からの約1カ月間、市福祉センターで展示予定。入賞作品は市社協広報紙「Assist(アシスト)」2月号に掲載する。なお、表彰式の開催は未定となっている。
(2022年12月28日付紙面より)
新宮弓友会納射会
新宮ロータリー杯ジュニアバド大会
ケンドリック旗争奪少年野球大会 (串本RC )
再編に向け構想案、来年2月に説明会も (新宮高校・新翔高校 )
新宮市の県立新宮高校(東啓史校長)と県立新翔高校(藤田勝範校長)は19日、新宮高校で会見を開き、高校再編に向けた構想案を発表した。案は今後、小・中学校を通して保護者に配布する予定だ。
県教育委員会は2020年8月、第6期きのくに教育審議会の答申後、「県立高等学校の再編整備の基本的な考え方」と「各地域における今後の県立高等学校の在り方」を公表。住民説明会などで募った意見を基に今年3月、「県立高等学校教育の充実と再編整備に係る原則と指針」を作成した。
「原則と指針」では、新宮・新翔高校は「令和6年以降に生徒数の減少が予測されることから、新宮高校と新翔高校の再編整備により学校の活力を維持するとともに、地域の多様な教育ニーズに対応する拠点校としてその一翼を担う。当面は、施設等の有効活用のため校舎制をとる」「地域の教育ニーズに応える1校への再編整備を検討し、着手する」などと記されている。
また、「各地域で望ましい高等学校や高等学校教育について議論を深めていくことが重要」などと示されていることから、両校では今年4月下旬ごろから広く住民意見を募集。小・中学校の学校運営協議会や保護者会、スポーツ少年団などから意見や要望を聴取するなどし、このたびの構想案を作成するに至った。なお、再編のめどは、現在の6年生が高校に進学する26(令和8)年4月を予定している。
テーマを「生徒・地域社会の期待に応えるALL IN ONEの学校」とし、新しい学びとして▽地域社会で活躍する人材の育成▽大学や専門学校に進学し、より専門的な知識・技能・資格を取得▽高いレベルの大学進学に対応▽基礎・基本の習得を丁寧に支援―を柱に課程・学科を「総合学科」「普通科」「学際探究科(仮称)」「定時制・通信制・リカレント」に再構築。
スポーツ・文化活動に関しては、学校・地域が連携・共同した活動の展開や、強化種目の設定と全国募集、寮の活用や練習環境の整備、「eスポーツ」「ゆる部活」などの設置、定時制や通信制、特別支援学校の部活動との共同などを通して、学校の活力を高めていく。
また「複数の施設を有する一つの学校」として、校地や施設、設備を学習内容や活動に応じて効果的に活用し、地域交流や生涯学習など、世代を超えた学びの振興も視野に入れている。
両校では案を基に、来年2月11日(土・祝)午後1時から、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で説明会を開催する。事前申し込みは不要。両校では「今後もご意見、ご要望などを頂きながら、丁寧に進めていきたい。多くの方に説明会にお越しいただければ」と呼びかけている。
説明会に関する問い合わせは新宮高校(電話0735・22・8101)、新翔高校(電話0735・31・7087)。
(2022年12月21日付紙面より)
清野健太郎さん県代表に (串本古座高校 )
和歌山県立串本古座高校2年、清野健太郎さんが推奨する本「ロケットボーイズ」が18日実施の中高生読書まつり・ビブリオバトル和歌山県大会高校生の部でチャンプ本に選ばれた。中学時代も合わせると4年連続で選ばれ県代表となる快挙。過去3回権利を得るも新型コロナウイルスの情勢で実現できなかった全国進出も今回は形にするとし、「過去3回分の思いも込め、当初の思いを変えることなく臨みたい」と意気込んでいる。
幼少の頃から興味があり、ロケット「カイロス」がきっかけとなり大きく膨らんでいる宇宙への憧れに応える一冊として「ロケットボーイズ」を選び11月実施の串本町ビブリオバトル大会高校生の部に出場。参加者は1人で、中学生の部の参加者と共に発表に臨み町代表として県大会出場権を得た。
県大会は県立図書館であり、高校生の部は予選、決勝の2段階で行われた。清野さんは予選グループ4人の中でチャンプ本に選ばれ決勝へ進出。決勝では3人と競いチャンプ本に選ばれた。
競って評価を得る最初の機会となった県大会での挑戦について「年々発表の質が高まっていて予選の時点から不安を感じていたが、自分も思うことを十分に発揮して臨むことができ結果もついてきた。決勝の相手は2人とも本好きが伝わり、それぞれに発表の工夫もしていた。そのような中で自分の本をみんなに届けることができたかな、と手応えを感じられた点でうれしい」と語る。
全国大会(全国高等学校ビブリオバトル決勝大会)は来年1月22日(日)、大阪府茨木市の立命館大学大阪いばらきキャンパスで実施予定。清野さんは高校生として最終かつ会場が近距離という点で出場の気持ちを高めていて、「全国大会は推奨する本の変更ができるけれど、自分は変えずロケットボーイズで臨む。県大会の内容をもう一回見直し、さらに練り上げて挑戦したい。自分の本と思いを全国に届けることが一番の目標。それに結果がついてきたらいいなと思います」と来る本番を見据えている。
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串本町教育委員会教育課によると、中学生の部の町代表として出場した吉村咲良さん(串本中3年)も決勝進出したがチャンプ本には届かず。見届けた清野さんは「吉村さんの本が好きな気持ちがよく伝わる発表だったが、周りの子もさらにすごかった」と状況を語る。
古座川町教育委員会教育課によると、中学生の部の町代表として出場した中田蓮乃さん(明神中3年)は予選段階で今回の県代表となったかつらぎ町の発表者と競う形となり決勝進出はならなかったという。
(2022年12月21日付紙面より)
大みそかに向け試験点灯 (那智勝浦町那智山 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)の別宮・飛瀧(ひろう)神社のご神体である那智の滝と、那智山青岸渡寺(髙木亮英住職)の三重塔で19日、試験点灯が行われた。
ライトアップは1987(昭和62)年、NHK「ゆく年くる年」の企画としてお滝に照明を当て、実況中継が行われ、全国に感銘を与えたことを受けて、89(平成元)年大みそかより90(平成2)年元旦にかけて行ったのが始まり。
午後4時30分から発光機の清掃の後、午後5時20分に点灯を行った。水銀灯3基と、5基のライトに照らされた三重塔と那智の滝が夕闇迫る那智山中に浮かび上がった。
ライトアップは31日(土)の日没から元日の明け方まで実施される。また熊野那智大社では27日(火)に滝の上に架かるしめ縄を張り替え、迎春に備える。
(2022年12月21日付紙面より)
くじらの博物館で迎春準備 (太地町 )
太地町立くじらの博物館(稲森大樹館長)で20日、大掃除が行われた。参加した職員はセミクジラ実物大模型などのほこりを落とすとともに、人気の海洋水族館(マリナリュウム)の潜水掃除などにも取り組み、新年を迎える準備を整えた。
昨年5年ぶりに大掃除を公開した同館。職員らは実物から型取りし造られた全長15・2㍍のセミクジラの模型に上り、モップで汚れをふき、通路から長い柄付きのはたきでほこりを落とした。その他の骨格標本や室内の清掃にも汗を流した。
水族館では、アルビノのバンドウイルカなどが優雅に泳ぐ中、ダイバーが大水槽に潜って内側から磨き掃除をした。
同館によると、今年は国・県の施策や教育旅行もあって、来館者数がコロナ禍以前に戻りつつあるという。令和3年度は11万3479人で、本年度は11月末時点で10万1904人と、昨年度を上回る見込みとしている。
中江環副館長は「あっという間の1年だった。気持ちも新たにし、来年は飛躍の年にしたい」。
稲森館長は「1年のほこりを落とすことができた。来館者さまには、きれいになった博物館を見ていただけたら」。
1年の振り返りや今後については「今年はコロナ対策など、多くのことがあった。今後は博物館のみならず、町の事業などにも柔軟に対応していきたい」と語った。
同館は年末・年始も休まずに営業しており、年始には豊富な催しも実施される。
(2022年12月21日付紙面より)