新宮高校合気道部
「質実剛健」「文武両道」を校訓・校是に掲げる県立新宮高校(東啓史校長)。同校合気道部(髙須崇顧問、上地翔真部長)ではこのほど、廃部の危機を乗り越えて1年生部員5人が晴れて全員そろって5級に昇級した。
新宮市は、西牟婁郡西ノ谷村(現田辺市)生まれの合気道の創始者・植芝盛平の命を受けて建設された熊野塾道場がある、合気道の聖地の一つ。
そんな環境も背景の一つに、同校合気道部は1960年に産声を上げた。以降60年以上にわたり、「和合」「万有愛護」など植芝翁の教えを継承し、代々にわたり、心身の鍛錬に努めてきた。
そんな同部だが、今年の3月に廃部の危機を迎える。3年生の卒業により部員が消失。「あわや廃部か」と関係者やOBらが肩を落とす中、4月に1年生5人が入部。先輩部員からの指導が受けられない中においても、同部OB会の鈴木正師範や紀子シュタイナーさん、玉置温之(はるゆき)さんらの指導と温かいまなざしを受け、切磋琢磨(せっさたくま)し合い稽古を積み重ねてきた。
昇級審査は今月20日、同校で行われ、紀州熊野合気会の庵野素岐会長が審査。緊張感が漂う中でも5人は日頃の練習の成果を発揮。見事合格を勝ち取った。
発足当時に同部に席を置いていた玉置さんは「新型コロナの影響で練習もできない期間もあったができる範囲で真面目に一生懸命頑張ってくれた。これからも上を目指してほしい」と激励。
髙須顧問は「指導いただいた皆さんには感謝しかない。切磋琢磨しながら頑張ってくれているので今後が楽しみです」。シュタイナーさんは「鈴木先生が一生懸命力を尽くしてくれた。合気道はヨーロッパでもとても盛ん。今後、海外の人とも練習する機会を持つことができれば」と話していた。
上地部長は「何も知らない状態の自分たちを指導してくださった指導員やOBの方々には感謝の言葉しかない。一つでも上の級を取ることが、恩返しになると思っています」と笑顔。
合気道の魅力について「体の動かし方などが他のスポーツとは違い、指導を受ける中で毎日新しい発見がある」と述べ「部員募集中です。女性の方も大歓迎です」と呼びかけた。
(2022年12月25日付紙面より)
マリア保「キャロリング」 (新宮市 )
新宮市の保育所型認定こども園「マリア保育園」(三浦恒久園長、園児119人)は23日、3年ぶりの「キャロリング」を実施した。園児らはクラスごとに6施設を訪れて歌の披露などを行い、クリスマスムードを楽しんだ。
キャロリングはクリスマスの喜びを分かち合おうと同園の恒例行事として行われていたが昨年、おととしは新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から中止となっていた。この日は、5歳児がはまのデイケアと社会福祉法人県福祉事業団東牟婁生活総合支援センター「えん」、3歳児が新宮市役所、2歳児が市保健センターを巡った。
新宮病院には、4歳児26人が訪問した。園児たちは「おはようございます」と元気よくあいさつ。歌「私と小鳥と鈴と」を披露し、クリスマスカードを手渡すと、見守った職員らから大きな拍手が送られた。その後はベーカリーキッチントムトム新宮本店にも訪れ、カードを渡した。
(2022年12月25日付紙面より)
センバツ21世紀枠東海地区候補表彰 (木本高校 )
来年3月18日(土)に開幕する「第95回記念選抜高校野球大会」の21世紀枠、東海地区候補校に選ばれた県立木本高校が23日、東海地区高校野球連盟から表彰された。
同校体育館で表彰式が行われ、表彰状と盾を受け取った榎本和真主将(2年)は「東海地区の候補に選ばれ、地域の方々も喜んでくれた。甲子園出場が恩返しだと思う。全員が甲子園に出る気持ちで練習しています」、久保尊副主将は「甲子園出場の目標もできたし、学校の友達も励ましてくれる。冬はハードな練習が増えてくるが、みんなで助け合って頑張りたい」と決意を述べた。
初の東海地区推薦校に選ばれた木本は、過疎地でありながら地元出身の部員13人で、県内強豪校と互角に戦い秋季大会県ベスト4に進出したことや、140㌔近いストレートを誇る投手が2人いること、地元に愛されていることなどが高く評価された。
21世紀枠の出場校は、木本を含む全国の候補9校から3校が選ばれ、1月27日(金)に発表される。
(2022年12月25日付紙面より)
南紀くろしお商工会青年部 (那智勝浦町 )
南紀くろしお商工会青年部(由谷恭兵部長)は23日から来年1月7日(土)までの間、那智勝浦町のブルービーチ那智(熊野体験博跡地)で2度目となる「NACHIKATSUブルービーチイルミネーション」を開催している。夜のビーチ周辺を無数の光が照らし、来場者の目を楽しませている。点灯時間は午後5時30分から10時まで。
催しはコロナ禍の影響で町内のイベントの多くが中止になっていることを受け、落ち込んだ地域のにぎわいを取り戻すとともに、地域住民に楽しんでもらうことが目的で昨年からスタート。来場者も多く、好評を博していた。
今年11月中旬から企画・協議し、15日から数日間かけて、部員やOBら約10人で設置。昨年の経験や失敗を踏まえ、作業を進めた。その中、強風で、イルミネーションが転倒し破損するアクシデントもあったという。
会場では光のトンネルやクリスマスツリー型のイルミネーションに加え、今年から新たにパレスや手作りのフォトスポットを設置した。23日夜も多くの家族連れなどが訪れ、子どもたちは「こっちもきれい」「ここで写真撮って」と、喜ぶ姿が見られた。
南沙余親睦委員長は「今年も時間のない中、みんなで頑張りました。今後も継続していけたら」。由谷部長は「少しずつ感染状況も落ち着きつつあるため、コロナが明けることを期待したい。皆さまにはイルミネーションで元気になって、新年を迎えていただけたら幸いです」と話していた。
なお、大みそかはオールナイトで点灯するという。
(2022年12月25日付紙面より)
新宮城跡で高所作業訓練 (新宮市消防本部 )
新宮市消防本部の職員らは21日、新宮城跡で石垣の清掃作業を実施した。作業は高所での活動を想定した訓練の一環として行われ、職員らは清掃活動を通して不測の事態に備える機会とした。
新宮城は1633(寛永10)年、紀州藩付家老水野氏により完成。建造物は1873(明治6)年の廃城令を受け、75(明治8)年までに取り壊されている。
市は1980(昭和55)年に新宮城跡を公有地化し都市公園として整備を開始した。2003(平成15)年には城郭跡が国史跡指定を受け、17(平成29)年には「続日本100名城」に選出されている。
「亀甲積」や「算木(さんぎ)積」「打込接(はぎ)」「切込接」「面取化粧石積」など、石垣の美しさと当時の技術の高さをうかがい知ることのできる新宮城跡。大阪城にも見られる天守台下帯曲輪の四つ連続の横矢掛け(屏風折れ)は、その防御力の高さを現在に伝えている。
新宮城跡での清掃を兼ねた訓練は今回が初で、高所における作業技術の確認や、高度な安全管理体制を構築することが目的。新宮城跡の魅力を、改めて広く発信する狙いもある。
訓練は14、15日にも行われ、最終日となったこの日は17人の職員らが屏風折れの約9㍍の石垣を中心に、天守台と本丸の石垣の清掃を展開。鎌などを手に、ロープやはしごを使って約3時間にわたり除草作業などに汗を流した。
訓練の様子を見守っていた堀切学署長は「消防本部では、あらゆる災害に対応するため、日々訓練を行い、不測の事態に備えている。今回、自身にとっても思い出深い新宮城跡で訓練を実施できる機会を頂いた。石垣の清掃作業を通して、観光などで新宮市を訪れてくれる人や、市民の皆さまへの新宮城跡の魅力発信につながれば幸いです」と話していた。
(2022年12月22日付紙面より)
鵜殿保育所、高台に移転 (紀宝町 )
紀宝町鵜殿の海抜14㍍の高台に新たな鵜殿保育所が完成し、21日、竣工(しゅんこう)式が行われた。西田健町長、町議会の向井健雅議長、市川潔・教育民生常任委員会委員長、鵜殿保育所の上地悠太・保護者会長、樫山早起カモシカクラブリーダー、町区長会の辰巳尚会長、町民生委員・児童委員協議会の西村喜久男会長がテープカットし、4歳児21人が「小さな世界」を歌って完成を祝った。
現園舎が津波浸水予測区域に位置することから高台に移転し、防災機能強化を図った。新園舎は、町生涯学習センターまなびの郷の西側に建設し、敷地面積は約4594平方㍍。建物は鉄骨造り平屋建てで延べ床面積は1211・51平方㍍。自力避難が困難な0歳児など乳幼児を含めた園児の安全を確保するため耐震構造とした。玄関などに3台の防犯カメラを配置、出入り口を1カ所にして施設をフェンスで囲うなど防犯面にも配慮した。
施設内は床や天井などに木をふんだんに使い、明るく開放感のある間取りとし、中央部に中庭を配置。温もりのある構造として整備した。
竣工式で西田町長が園児代表の西村侑翼君、濱浦来希ちゃんに記念品を贈呈。「多様化する保育ニーズに応えながら、児童が元気と笑顔にあふれ健やかに成長できる保育所として安全安心な子育て環境の充実に取り組んでいく。これまで以上に保護者や地域の方々にとって開かれた保育所として発展するよう努める」とあいさつ。設計・施工8業者に感謝状を贈った。
鵜殿保育所の下地水香所長は「次世代を担う子どもたちの健全な育成と地域の皆さまに親しまれるよう、地域に根差した保育所を目指し、さらなる保育所の充実、子育て支援の拡充に努めます」と謝辞を述べた。
園児たちは、来年1月4日(水)から新園舎に通うという。
(2022年12月22日付紙面より)
王子地区でクリスマス会 (新宮市 )
新宮市の王子地区福祉委員会(野尻和則委員長)は20日、同市王子町の王子会館でクリスマス会を開いた。福祉委員や地域住民らが参加し、クリスマスに向けた花の寄せ植えを楽しんだ。
クリスマス会は赤い羽根共同募金による「歳末たすけあい運動配分金助成事業」の助成金を活用。新型コロナウイルス感染防止として手指消毒や検温、換気に加え、3密を避けるため18、19日にも行われた。
冒頭で野尻委員長が「短い時間ではありますが、和気あいあいと過ごしてください」と呼びかけた後、参加者たちは寄せ植えに挑戦。
古川美穂副委員長のアドバイスを得ながら▽ウィルマ▽シロタエギク▽ビオラ▽アリッサム▽ジュリアン―の計5種類を手に取り、底石を敷いたプランターに花々をバランスよく配置してリボンなどの飾り付けをして完成させた。
参加した仲富美子さんは「近況報告などをしながら楽しい時間だった。クリスマスに合ったきれいな花を寄せ植えできて心が癒やされました」。
野尻委員長は「皆さんの笑顔が見られてよかったです。コロナ禍で外出が少なくなる中、交流ができるのは貴重なこと。今後も感染対策を施しながら、できる限り催しを開いていければ」と話していた。
(2022年12月22日付紙面より)
1万1798筆の署名届ける (那智勝浦町 )
那智勝浦町で性の多様性を祝福し、分かち合う催し「レインボーフェスタ」を開催しているレインボーフェスタ那智勝浦実行委員会の代表を務める丸山都さんら7人は20日、同町役場を訪問。自治体が性的少数者のカップルを公的に認めるパートナーシップ制度とファミリーシップ制度導入を求める署名を堀順一郎町長に届けた。思いが込められた署名は直筆1706筆、オンラインが1万92筆の計1万1798筆に上った。同町は来年年明けから導入したいと見解を示した。
パートナーシップ制度は、婚姻や親族関係の形成、相続、税金の控除などの法律上の効果は生じないが、各種行政サービスの適用拡大が行われるもの。
性的少数者のカップルが届け出た際に受理証明書などが交付され、ファミリーシップ制度では、二人のほかに子どもがいる場合も証明書が発行される。
和歌山県では橋本市が今年10月にパートナーシップ制度を導入。同町では加えて、ファミリーシップ制度導入も検討している。制定されれば県内初。また、制定には議会の議決は必要としない。
自身がトランスジェンダー(性自認と身体的な性が一致していない当事者)である丸山さんは幼い頃から自身の性に違和感があり、「男女の別」に苦悩してきた。
カミングアウト後、性の多様性を啓発するために地域や小中学校などでの講演や前述のレインボーフェスタを開催している。
署名は多くのメンバーの協力の下、対面型の直筆やインターネットの署名サイトによるオンラインによって集められた。町民による署名は合わせて866筆となった。
署名提出を受け、堀町長は「導入はお約束する。コロナ禍で少し遅れたが、たたき台も出来上がった。法的な効力はないが、導入する自治体が増えれば、法改正への後押しにもなる。今後も互いを尊重し合えるまちづくりを進めていきたい」。
丸山さんは「予想以上に多くの皆さまが賛同してくれた。制度がないために、制度のある都市部へ移住した方もいる。導入への希望の光が見えた。もっと勝浦が好きになりました」と語った。
町の制度導入への前向きな答えを聞き、メンバーからは祝福の拍手が起きた。制定後、宣誓証明書などの手続きは、役場住民課で対応するとしている。
(2022年12月22日付紙面より)