新宮市下本町の「新宮下本町遺跡」が10日、官報告示を経て正式に国史跡に新規指定された。市内では2003年に新宮城跡附水野家墓所が指定を受けて以降、19年ぶりの指定となった。
国指定史跡は、文化財保護法または文化財保護条例によって歴史上、学術上価値の高いものとして指定された遺跡。「新宮下本町遺跡」は6月、文化審議会文化財分科会の審議・議決を経て、文部科学大臣に新規指定するよう答申がされていた。
このたび指定された「新宮下本町遺跡」は、15年以降の市教育委員会による発掘調査によって確認された、12世紀後葉から16世紀中ごろにかけての港湾に深く関係すると考えられる遺跡。
14世紀末ごろから15世紀にかけて最盛期を迎え、熊野川に面した自然堤防の斜面地を石垣に用いて段状に造成した面から地下式倉庫群や鍛冶遺構が検出されるとともに、それに直交して石段を伴う通路が設けられている。また、この時期には出土遺物から交易範囲の拡大が想定されるなど、港湾都市として機能したことが分かる。
中世以降、太平洋航路の重要な拠点であった新宮における港湾や海を介した交流の実態を知る上で重要なだけでなく、中世の海上交通と宗教勢力との関係、平安時代末ごろ以降から全国へ信仰が拡大する熊野三山の経済基盤などについて考える上でも重要なものとされる。
指定を受け、市では今後、実際に文化財を総合的に保存・活用するために必要とされる「保存活用計画」を策定し、保存と活用に向けた整備を実施していく予定としている。
また、指定を記念して、市と市教育委員会は12月17日(土)午後1時から同市下本町の「丹鶴ホール」で、シンポジウム「新宮下本町遺跡~中世の港町新宮の実像に迫る~」を開催する。来年2月25日(土)からは、市立歴史民俗資料館で国史跡指定記念企画展「中世新宮の町と海上交通」を開催する予定。
(2022年11月18日付紙面より)
堀町長が砂防部長に要望 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の堀順一郎町長は9日、同町の那智川上流遊砂地の下流付近の渓流保全工整備について、国土交通省水管理・国土保全局の三上幸三砂防部長を訪問し、要望活動を行った。
2011年9月の紀伊半島大水害によって、甚大な被害が発生した同町。復旧のため、国の緊急対策工事により、砂防えん堤が8支流で15基、完成している。
要望書には現在、工事着手している那智川上流遊砂地の下流にある二ノ瀬橋付近において万一、上流から土石流が発生した場合、土石流とともに流下する流木が橋脚を閉塞(へいそく)し、被害を拡大するおそれがあると記した。
さらには、流域の治水安全度向上および、近隣住民の安全・安心確保のため、当該箇所における渓流保全工整備を要望した。
堀町長は「流域の治水安全度は確実に向上していることを実感している。渓流保全工整備については、かかる状況をご賢察いただき、各段の配慮がなされますようお願い申し上げます」と訴えた。
この日は堀町長に加え、町建設課の楠本定課長も同行した。
(2022年11月18日付紙面より)
榎本君、全国大会3位を報告 (矢渕中 )
「第20回全国中学生都道府県対抗野球大会in伊豆」で3位に輝いた三重選抜(U―15 MIE SELECT)のメンバー、榎本健志君(紀宝町立矢渕中学校3年)が16日、同町役場を訪れ、西章教育長に入賞を報告した。
榎本君は、東紀州選抜の主将で出場した県選抜大会で優勝、三重選抜にも選ばれ、東海大会決勝戦で逆転のきっかけとなる安打を放ち優勝に貢献した。
全国大会は全国各地区を勝ち抜いた10チームが出場し、10月29日に開幕。東海地区代表の三重選抜は初戦で関東代表に勝利、準決勝で優勝した近畿代表に敗れたが3位入賞を果たした。
三重、東海、全国の各大会で全試合、捕手で出場した榎本君。報告会では全国大会を振り返り「自分にとって初めての全国大会で、レベルの高い選手が集まり、一緒にプレーできたことはとても貴重な経験になりました。これからは高校野球で甲子園に出場することが目標」と語った。
西教育長は「全国の舞台で、捕手で全試合出場したことは自信になったと思う」とたたえ「夢を持って一日一日を過ごすことが大事。甲子園に出場して矢渕中に甲子園の土を持ち帰ってほしい。夢を追いかけてこれからも頑張って」と激励した。
(2022年11月18日付紙面より)
ロシア非難で県内一斉 (新宮ユネスコ協会 )
ユネスコ設立77周年となる16日の正午、和歌山県内の9ユネスコ協会は、ロシアのウクライナ侵攻を非難し、平和を祈って鐘を打つ「平和の鐘」を行った。新宮ユネスコ協会(中谷剛会長)も新宮市千穂の宗応寺(石原知実住職)に10人が集まり、祈りを込めて鐘を鳴らした。
新宮ユネスコ協会はもともと毎年、世界平和記念日・第1次世界大戦停戦の日である11月11日に、新宮市内の寺院で年ごとに場所を変えながら、平和の鐘を行っていた。しかしロシアのウクライナ侵攻を受けて京都ユネスコ協会が、京都市がウクライナのキーウ市の姉妹都市であることから、3月26日に「平和の鐘」を行うことを決定。これに合わせて新宮ユネスコ協会も、同日に行っていた。
今回は他の県内協会の意向に合わせ、ユネスコ設立の日に時期をずらした。宗応寺に集まった会員らは順次、山門の上にある鐘つき堂に上がり、1人ずつ鐘を鳴らした。鐘を鳴らした後にその場で手を合わせ、一心に祈る姿も見られた。石原住職は「(ウクライナ侵攻が)一刻も早く終わってほしい」と語った。
中谷会長は、ユネスコ憲章にある理念「心の中に平和の砦(とりで)を」に言及。「今回の侵攻はロシア大統領のゆがんだ、誤った考えにより引き起こされたことが明確で、一片の正当性もない」と非難した。
戦争を起こさないためにつくったはずの国際連合の、常任理事国のロシアが侵攻に踏み切ったことを「暴挙であり、戦後社会の理念を踏みにじる行為」と強調。「憤まんやるかたなく、世界の誰もが(止めることができない)無力さを感じている。鐘を鳴らすことで、平和への思いや願いを届けたい」と述べた。
(2022年11月18日付紙面より)
県小学4年生サッカー大会
新宮JC杯中学新人サッカー大会
木戸浦グラウンド (那智勝浦町 )
5月末から緑化事業を行っていた那智勝浦町の木戸浦グラウンド。芝生の養生期間を経て1日から、利用が再開した。6日には地元スポーツ少年団のサッカーチームが真新しい芝生の上で練習に励む姿が見られた。
芝生化は町が進める体育文化会館周辺の公園化事業の一環で、町内外から人々が集える憩いの場とすることが目的。同会館や周辺には津波避難タワーが完成し、安全性向上にもつながっている。
工事はグラウンド内15カ所にスプリンクラーを設置。バックネットから45㍍周辺は土のグラウンドとして残し、約1万800平方㍍の芝生化を行った。
7月18日にはグラウンドを利用する各団体や関係者など約100人が参加し、芝生の植え付けに取り組んだ。その際は各団体からは「緑が一面に広がることを夢見ている」「芝生化で、グラウンドが今までと違う印象になるのが楽しみ」などの声が上がっていた。
町によると、今後は同会館横の枯山水部分に遊具などを設置し、ゲートボール場側をスケートボードなどが行える環境とする計画も視野に入れているという。
堀順一郎町長は「緑化事業のため、7月からグラウンドが利用できない状況にあり、町民の皆さまにはご迷惑をおかけした。新しい芝生を、多くの皆さまにご利用いただけたら幸いです」と話していた。
(2022年11月8日付紙面より)
第15回那智勝浦町熊野古道ヒルクライム
NPO法人「SPORTS PRODUCE熊野」(角口賀敏理事長/株式会社キナン会長)は6日、3年ぶりに「那智勝浦町熊野古道ヒルクライム」を同町内で開催した。約150人が快走し、標高差567㍍の激しいコースで競い合った。
催しは例年、当地方での自転車レースの周知や普及などを目的に行われていたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から2019年を最後に中止となっていた。
大門坂駐車場から妙法山阿弥陀寺前までの9・5㌔を舞台に実施。▽小学生▽男子中学生以上▽同20歳代▽同30歳代▽同40歳代▽同50歳代▽同60歳代▽女子―の各種目で開かれた。
新宮市を拠点に活動する「キナンレーシングチーム」のトマ・ルバ選手、新城雄大選手、山本大喜選手、花田聖誠選手、小出樹選手の5人がゲストライダーとして参加した。
第15回を迎えた開会式では、大会長の堀順一郎町長が「例年に比べて短い距離ということもあり、短期決戦になるとは思います。けがなく、レースを楽しんでもらいたい。その後は、時間があれば温泉や食事など、那智勝浦を満喫していただきたい」とあいさつ。
角口理事長は多くの参加に感謝し「自転車レースを通じて、さらなる普及と活動に努めていきますので応援よろしくお願いします」と語った。
参加者は同駐車場前で集まると、堀町長の合図とともにスタート。神々が宿るとされている熊野古道沿いの公道で、何度も繰り返されるアップダウンを攻略しながら懸命に駆け上がった。
(2022年11月8日付紙面より)
健康イベント・消防フェア (串本町 )
串本町くじ野川にある道の駅くしもと橋杭岩で3日、イベント「健康増進イベント」「消防フェア」があり、旅客や住民の利用でにぎわいを見せた。
「健康増進イベント」は町産業課が明治安田生命保険相互会社の包括連携協定に基づく協賛を得て実施した企画。同社は地域貢献事業の一つ「みんなの健活プロジェクト」の一環で野菜摂取レベルや血管年齢をチェックする機会を提供し、同課は同社の啓発物資にボトルドウオーター「串本の水」2本を添えて利用者に配ったり誘い水にして利用を促したりして後押しした。
同協定は昨年8月に町―同社間で締結。このイベントの実施は昨年11月に続いて2回目で、社員の一人として参加した同社新宮営業所の小堂和彦所長は「健康推進はもちろん、大勢の皆さまと接するこの機に地域のいいところも伝えて串本にリピートしてもらえるような貢献もできれば」と話し、応対に励んでいた。
「消防フェア」は同駅の指定管理者が町消防本部に協力を求めたのがきっかけで始まった企画で、おととし、昨年と社会情勢により中止したため3年ぶりの実施。同本部は防火・防災意識を促す目的で▽消防車・救急車の展示〈撮影可〉▽消防車による放水体験▽訓練用水消火器による取り扱い体験▽住宅用火災報知器の紹介▽県の地震体験車「ごりょう君」による揺れの体験―といった各コーナーを設け、同駅は場の提供に加えロケットサイダーなどの進呈品を準備して往来する人々の利用を促した。
町のマスコットキャラクター「まぐトル」も時折登場して子どもやその家族らの興味を引き、利用を後押し。その様子を見守った寺島正彦消防長は「このような形で(守るべき)地域の皆さまと接するのは久しぶりで、気持ちにいっそうの熱が入るような気分。これから寒く、乾燥する時季に差しかかる。地域の皆さまには防火・防災意識、そして新型コロナやインフルなど感染症予防の意識を高めていただければ」と願うところを語った。
(2022年11月8日付紙面より)
「じゃばらの里の収穫祭」盛況 (北山村 )
北山村青年会(中康行会長)主催の「じゃばらの里の収穫祭2022」が5日、同村下尾井のおくとろ公園で開催された。秋晴れの空の下、村内外から大勢の家族連れらが来場。ステージイベントやグルメ、買い物などを満喫した。
同村の特産品であるじゃばらの収穫を祝って開催する恒例のイベント。昨年は「紀の国わかやま文化祭2021」の地域文化発信事業として実施されており、従来の形での開催は実に3年ぶりとなった。新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、会場ではステージ前の座席配置に当たって間隔を空けるなどの対策を講じ、来場者らにマスク着用や手指消毒への協力を呼びかけた。
総勢70人以上がエントリーした恒例企画の大縄跳び「飛び地でジャンプ」では「国土交通省チーム」が77回を記録し見事優勝。ステージは「○×クイズ」や同村のヒーロー「じゃばライダー」のショー、抽選会などで盛り上がりを見せたほか、HanaHanaフラのメンバーがフラダンスで会場に花を添えた。
会場内にはじゃばら製品や唐揚げ、フルーツサンド、焼き菓子、フリーマーケットなどの販売コーナーや体験コーナーなども設けられ、400食限定の「じゃばらバーガー」、500食限定の「無料しし鍋配布」には多くの人が行列を作った。
中会長は「天候に恵まれ、多くの人に来場いただいた。3年ぶりの開催となったが、コロナ禍前よりも盛況に感じられてありがたい。今年の開催を機に来年、再来年へとつなげていきたい」と話していた。
(2022年11月8日付紙面より)