夏の風物詩「扇立祭」 (熊野速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で14日、「扇立祭(おうぎたてまつり)」が営まれた。神職が速玉宮前で高さ1・5㍍、幅1・65㍍の檜扇(ひおうぎ)を開帳。大社関係者らが無病息災や家内安全などを願い神前に玉串をささげた。
熊野地方の夏の風物詩として1000年以上の伝統を持つ祭り。神前に立てられた檜扇に神が降臨し、氏子の無病息災や五穀につく虫を追い払って豊作を願う。
室町時代の作品と伝わる檜扇は大社を代表する宝物。現在、日本に18握ある国宝のうち11握が大社に伝わる。ヒノキの木目の美しさを生かしながら花鳥風月が描かれており「熊野檜扇」と称される。
祭りで使用されている檜扇7握は、1964(昭和39)年に模写されたもの。本殿用は大社先々代の故・上野殖宮司、残り6握の各殿用(高さ0・8㍍、幅1・3㍍)は故・杉本義夫さんが模写し、故・鮒田和往さんが奉製した。
今年の扇立祭は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から昨年同様、神事のみを斎行。上野宮司が祝詞を奏上し巫女(みこ)らが「扇舞(浦安の舞)」を奉納した。
未生流笹岡の家元・笹岡隆甫さんによる献花もあり、神事終了後に上野宮司から神納証が手渡された。
上野宮司は、扇立祭の歴史について触れ「扇を通した珍しい祈りの形を経験してほしい」とあいさつ。
神道が仏教と結ばれて神仏習合として興った熊野権現信仰に言及し「宗教は違えど世界の平和や安寧への祈りは同じ。私たちは人間のためだけに祈るのではなく、人間が侵してきた自然環境や地球のために祈りをささげなくてはならない」と思いを語った。
(2022年7月16日付紙面より)
商品化に向けモニターツアー (那智勝浦観光機構 )
一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT)は13日、那智勝浦町築地の勝浦地方卸売市場で、「那智勝浦 生まぐろ市場競り(入札方式)ガイドツアー」のモニターツアーを実施した。町内外から参加した8人は市場を見学しながら、NACKT公認ガイドから漁法や競りの説明を受け、生マグロの魅力を知るとともに見識を深めた。
紀州勝浦産の生マグロの魅力を全国に発信すべく、今回の催しを企画。本格的なツアーの発売開始に先駆け、近隣在住の人々を対象にモニターツアーを実施。1回目は10日に実施し、9人が参加。この日が2回目となった。
モニターツアーでは、紀州勝浦産の生マグロの魅力を近隣住民に伝え、アンケートの回答を基に、この企画を良い商品に仕上げることや、町民には観光事業に興味や関心を持ってもらい、観光地としての町に対する町民の誇り(シビックプライド)の醸成を図ることを目的としている。
公認ガイドの後呂孝哉さんと山縣弘明さんが同行し、この日は後呂さんがガイドを担当。参加者はガイドの声が聞き取りやすいように、軽量無線機を取り付け、ツアーに臨んだ。
後呂さんは、▽生マグロの町だが、那智勝浦町船籍のマグロ漁船がない▽同町は生マグロが水揚げされる町▽マグロには八つの種類がある▽同町で水揚げされるマグロはビンチョウが7割、キハダが2割、メバチが1割▽クロマグロは数%のみ▽マグロの見分け方▽はえ縄漁業はサステナブルでエコな漁法でマグロにとってもストレスが少ない―などと解説した。
同町下里から参加した60代男性は「普段見る景色だが、説明を受けることで港の魅力を知った。面白いと思う。マグロと温泉の町をすぐに体験できる良いツアーになれば」。
機構の南條絢子さんは「元々は無料で案内していたものだが、さまざまなところから商品化してはとのご意見を頂き、企画に至った。オンラインまぐろ祭りの成功も踏まえ、今後も紀州勝浦産のマグロの魅力を発信していきたい。今年秋ごろには商品化できれば」と話していた。
3回目は18日(月・祝)に予定しているが、新型コロナウイルスの影響から延期の可能性もあるとしている。
(2022年7月16日付紙面より)
社明運動啓発パレード実施 (古座川町 )
古座川町社会を明るくする運動実施委員会(委員長=西前啓市町長)が15日、啓発パレードを挙行した。アナウンスを流しながら車両2台で町内をほぼ一巡。町民の同運動趣旨に対するいっそうの意識喚起を図った。
この運動は、国民を挙げて犯罪や非行の未然防止に努めるとともに犯罪や非行をした人の更生について理解を深め、それぞれの立場で力を合わせて犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築くため法務省が主唱。毎年7月をその強調月間としていて、本年度は72回目の実施となっている。
同委員会は新型コロナウイルスの情勢を鑑み、期間初日恒例の街頭啓発は人対人の接触を避けるため自粛。のぼりを掲げるなど非接触の取り組みで意識付けを図り、期間半ばのこのパレードで意識に弾みをつける流れで同運動の趣旨に対する町民の機運醸成を目指している。
当日は牟婁保護司会の生熊和道会長と事務局担当の尾崎昇保護司、串本青少年センターの山本誠士センター長と福田實指導員が啓発員として参加。出発に当たり西前町長は安倍晋三元首相銃撃の件に思いをはせ、都会や地方に関係なく犯罪や非行が起こらない社会実現を目指さなければならないと見据えてパレードの成果を期待し仲本耕士副町長と共に啓発員を送り出した。
パレードには町広報車と同センターの自主防犯活動自動車(通称・青パト)を使用。役場本庁を起点・終点とし小川、七川、三尾川(みとがわ)、明神、高池の順で町内を一巡した。
(2022年7月16日付紙面より)
下里小3年生がクジラ学習
那智勝浦町立下里小学校(泉一代校長)の3年生8人は13日、太地町立くじらの博物館を訪れ、「パートナー」の鯨類の背びれや体色を観察した。
海洋教育の一環で、児童がハナゴンドウ、オキゴンドウ、コビレゴンドウ、カズハゴンドウ、マダライルカ、スジイルカ、カマイルカ、シワハイルカの8種類とパートナーを組み、詳しく生態を観察していく。
児童たちは、クジラショーで大きなゴンドウクジラがジャンプする姿を楽しんだ後、マリナリウムやイルカショープールでクジラやイルカの体重・体長・模様・背びれの形を記録した。
玉井愛那(えな)さんは「パートナーはマダライルカで9、10歳くらい。生まれた時は体に模様がないけれど、大きくなったら出てくるそうです」。下向薪登君は「オキゴンドウは大人になると体重2㌧になるけれど、博物館のはまだ700㌔くらいの子どもらしいです」と話し、互いに学んだことを共有していた。
(2022年7月16日付紙面より)
高等部が浴衣着付け体験 (みくまの支援学校 )
新宮市蜂伏の県立みくまの支援学校(松下幸嗣校長)で7日、「浴衣着付け体験」があった。高等部家庭科の生徒17人が同市井の沢の萩原きもの総合学院の萩原真理学院長ら3人から浴衣の着付けや着物の歴史などを教わった。
季節や場所に応じた服装について理解し、日本文化である着物(浴衣)の着付け体験を通して衣服の歴史や日本の衣服文化への興味と関心を深める機会にと行われた。6月には「民族衣装と気候・文化」をテーマに授業を行い、今月14日(木)に事後学習を開き、学んだことを振り返る予定となっている。
萩原学院長は「着物は鎌倉時代から伝えられ、人々が身に着けてきたものは全て『着物』だった。その後、明治時代に日本へ洋服が入ってきたことに伴い、和服と呼ばれるようになりました」と説明。平安時代に「熊野詣で」で当地方を訪れた際に身に着けていた平安装束を披露しながら歴史などを伝えた。
生徒たちは着方や帯の結び方、男女の着丈の違いの説明を受けると、男女に分かれて浴衣の着装に挑戦。萩原学院長らに教わりながら女子は文庫結び、男子は男結びに取り組み身に着けた。
山口采音(あやね)さんは「着付けは難しかったけど、柔らかくて気持ちいい」。岡本紗奈さんは「また機会があれば着てみたい」と話していた。
(2022年7月8日付紙面より)
生徒が水質調査に協力 (近大新宮 )
紀宝町を流れる熊野川の支流・相野谷川で2日、国土交通省の水質調査があった。新宮市の近畿大学附属新宮高校・中学校のスーパーサイエンス部員7人も参加し、指標となる水生生物探しに協力した。
国交省は毎年、近畿地方の16水系で調査を実施しており、同部が参加するのは14年目。水生生物調査は、29種類の指標生物のうち、該当河川にどの種類がどれだけ生息しているかを調べることで、長期的な水質の変動を追うことができる手法。
スーパーサイエンス部は2020年度から、同じく熊野川支流の高田川(新宮市高田)で独自調査を実施しており、現在の部員たちも活動を引き継いでいる。
この日は調査を委託されている「いであ株式会社」の職員と共に活動。部員たちは川底の石をひっくり返して出てきた魚や昆虫などを網で捕獲していった。
きれいな水にすむカワゲラ類やヒラタカゲロウ類が多数発見された他、貴重なウツセミカジカや生きた化石と呼ばれるムカシトンボのヤゴ、海から遡上(そじょう)したモクズガニやヒラテテナガエビも見つかった。試薬・人間の感覚による判定のいずれにおいても水質階級Ⅰ「きれいな水」と結論づけられた。
同校非常勤講師の瀧野秀二さんは「近年大きな出水がないからか、ヒゲナガカワトビケラが多いことが気になる。また、ヨシが茂ってきたことで、エビやサナエトンボも増加した」。今回初参加の渕上翔真君(中1)は「川の生き物が好きで、新宮市内の川でも自分で調べたことがあるが、相野谷川の方がきれい。カマキリ(アユカケ)という魚は初めて見た」と語った。
捕獲した水生昆虫の一部は、今後の分析のために生徒たちがホルマリン漬けにして標本として持ち帰った。
(2022年7月8日付紙面より)
宇久井の作業所が回収 (那智勝浦町 )
NPO法人南紀ひまわり会が運営する、那智勝浦町宇久井の南紀ひまわり作業所では、まだ着られる古着を無料で回収し、海外で再利用してもらう取り組みを行っている。得た収入は全額、施設利用者の工賃に充てているため、環境にも福祉にも優しく、持続可能な開発目標(SDGs)にもつながるとしている。羽毛布団やぬいぐるみも同様に集めている。
同作業所は、障害者の就労支援を行う施設で、利用者に作業を行ってもらい、その工賃を支払っている。古着の無料回収はもともと、田辺市の運送会社の高雄運輸が実施している事業で、同作業所はその取次所の一つとして、2013年から行っている。周辺住民の理解も進んでおり、5月は945㌔を回収した。新宮市や那智勝浦町の主婦がよく持ち込み、小さくなった子ども服が多いという。
持ち込める古着は、海外での再利用が前提なので、身に着けることが可能な物。衣類全般、肌着、着物、帯などが回収可能。他にも▽ペアがそろった靴や靴下や手袋▽金具を外したカーテン▽
ファスナーなどが壊れていないかばん▽ベルト▽帽子▽シーツ▽タオル▽毛布▽中身が綿だけのぬいぐるみ―も持ち込める。
回収できないのは▽ぬれているもの▽破れたもの▽汚れがひどいもの▽ペット用に使用されたもの▽雨がっぱなどのビニール製品▽長靴▽げた▽雑巾▽布の端切れ▽反物▽カーペット▽じゅうたん▽マット類▽家庭用スリッパ▽はんてん▽スーツケース▽布団―など。ただし布団のうち、羽毛布団については、中のダウンの割合が50%以上なら回収できる。
同作業所の日浦頼和主任は「まだ着られて、捨てるのはもったいないというものを、持ち込んでもらえれば。海外で役立てられ、喜ばれています。ぜひ、ご協力をよろしくお願いします」と呼びかけている。問い合わせは、南紀ひまわり作業所(電話0735・54・1465)。
古着をはじめとする回収品は、高雄運輸によりタイ、ベトナム、韓国、パキスタン、マレーシア、アフリカなどに送られ、再利用されるという。
(2022年7月8日付紙面より)
木本、紀南両校で壮行会
「第104回全国高校野球選手権三重大会」を前に、木本高校と紀南高校でそれぞれ、野球部の壮行会があった。三重大会は8日に開幕し、両校は10日(日)に初戦を迎える。
木本高校では野球部の躍進を後押ししようと、野球部保護者会(仲猛志会長)が一羽一羽願いを込めた千羽鶴を選手、マネジャーに届けた。
〝夏の大一番〟へ挑む部員たちを激励するとともに、「ベンチで保護者の思いも一緒」との気持ちを込めて千羽の折り鶴を作った。色とりどりの鶴が保護者に代わってベンチで選手たちを見守る。
贈呈式で仲会長は「日頃お世話になっている先生、OBのために存分に暴れてほしい」と激励した。仲柊二主将(3年)は「僕たちのために千羽鶴を折ってくれた思いを結果で恩返ししたい。OB、保護者、先生方の思いを背負って暴れてきます。応援よろしくお願いします」と伝えた。
紀南高校は体育館で野球部、卓球部壮行会を開き、東涼会長(3年)が「最後まで諦めず、悔いのないよう精いっぱい頑張ってください」と激励した。
野球部の﨑上野和音主将(3年)は「大会に出場できるのは顧問の先生方、保護者の方々のおかげです。楽しく全力で戦ってきます。応援よろしくお願いします」と語った。
卓球部は池本菫子主将(3年)、舛屋龍之介君(1年)が16日(土)にサオリーナ(津市)で開幕する中部日本卓球選手権と9月17日(土)から愛知県体育館で開催される「名古屋オープン」に出場する。池本主将は「1点でも多く勝ち取り、次につながる試合をしたい」と抱負を口にした。
(2022年7月8日付紙面より)
扇立祭は神事のみ斎行 (熊野速玉大社 )
熊野地方の夏の風物詩として1000年以上の伝統を持つ「扇立祭(おうぎたてまつり)」=14日(木)=を前に、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)は4日、祭り当日に各殿で開帳する檜扇(ひおうぎ)7握を虫干しのため蔵から出し、ほこりなどを払った。
扇立祭は、神前に立てられた檜扇に神が降臨し、氏子が病気にかからないよう、また五穀につく虫を追い払って豊作を願い始まった。
室町時代の作品と伝わる檜扇は大社を代表する宝物で、現在、日本に18握ある国宝のうち11握が大社に伝わっている。ヒノキの薄い板の木目の美しさを生かしながら彩色、金箔(きんぱく)、銀箔(ぎんぱく)が施されていて「熊野檜扇」と呼ばれている。
祭りで使用されている檜扇7握は、1964(昭和39)年に模写されたもので、本殿用(高さ1・5㍍、幅1・65㍍)は大社先々代の故・上野殖宮司、残り6握の各殿用(高さ0・8㍍、幅1・3㍍)は故・杉本義夫さんが模写し、故・鮒田和往さんが奉製したものとなっている。
なお、今年の扇立祭は昨年同様、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から神賑行事や露店商組合の出店は中止。午後1時に神事を斎行する。未生流笹岡の家元・笹岡隆甫さんによる献花も予定。檜扇の開帳は4時までで、5時に閉門する。
濵中孝成禰宜(ねぎ)は「万が一のこともあり無理はできない。奉賛会の意向もあり、今年も神事のみを斎行させていただく形となった。来年こそは例年通りの形でお祭りを斎行することができれば」と話した。
(2022年7月5日付紙面より)
「初号機応援サイト」開設 (SP紀伊周辺地域協議会 )
スペースポート紀伊周辺地域協議会が1日、ロケット打ち上げ関係情報などの発信を目的としたホームページ「ロケット『カイロス』初号機打ち上げサイト」(アドレスhttps://wakayama-rocket.com)を開設した。
同協議会が開設する公式見学場や打ち上げ時のイベント「ロケット『カイロス』打ち上げ応援会」関係の各種チケット料金やアクセス方法などを伝える内容。打ち上げ情報のお知らせを希望する登録フォームもあり、事前登録しておけば速やかに新着情報の通知を受けることができる。同情報には数量限定の公式見学場イベント「ロケット打ち上げ応援会」入場チケットやオフィシャルツアー(宿泊・同見学場へのバス送迎・入場チケットのセットプラン)の販売情報も含まれていて、その案内を受けたい人は事前登録が必要となる。
公式見学場は旧プレミア見学場として告知されていた田原海水浴場と旧浦神小学校の2会場で、いずれもスペースポート紀伊の射点から約2㌔の至近。定員は各2500人で、JRまたはパーク&ライド(有料・事前予約制)のいずれかで入場を受け付ける。パーク&ライドは場外に設けた駐車場からシャトルバスで送迎する仕組みで、駐車場は串本町の西の岡学校用地と那智勝浦町の体育文化会館・ホテル浦島駐車場の2カ所。事前予約は入場チケット販売開始と同発で受け付けを始めるとしている。
打ち上げ日が決まるのは打ち上げの1~2カ月前で、公式見学場関係の情報は以降の通知となりチケットや事前予約はその内容に基づいて別途申し込む形となる。このホームページ関係の問い合わせは同応援会事務局(電話073・432・5860、株式会社JTB和歌山支店内、平日午前9時30分~午後5時30分)まで。
(2022年7月5日付紙面より)
観光機構が社員総会 (那智勝浦町 )
一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT、以降は機構)は6月30日、那智勝浦町の体育文化会館で本年度の定時社員総会を開いた。会場に9人、オンラインで3人の計12人が出席。事業報告後、収支決算や理事の選任などの全議案が承認された。
機構は町観光協会解散後に業務の一部を引き継ぎ、2020年4月に設立。21年11月に「観光地域づくり法人(登録DMO)」に登録され、国からさまざまな支援を受けることが可能となった。
「宿泊」「飲食」「文化財・歴史」「観光資源・体験」「物販・特産品」「交通」「施設・環境整備」の七つの専門部会の設立や会員(サポーター)組織を創設。町内外関連組織との連携を図り、調査やプロモーション、マーケティングなどの事業を展開している。
総会で清水貞吾理事長が「観光で人流をつくり出すことが機構の役割。明るい報告ができるように運営していきたい」。
堀順一郎町長は「観光は主力産業、経済対策を図っていきたい。地域活性化のためにも町と機構が両輪となって頑張っていく」とあいさつした。
機構は21年度の事業を報告。宿泊施設利用者統計調査では、21年度の目標値35万人に対し、コロナ禍の影響で達成率が79%とした。前年度比28・9%増だが、コロナ禍前の19年度比では25%減となった。
来町者アンケートでは、宿泊客は20~30代の割合が低いことが把握できたとし、「オンラインまぐろ祭り2021」の際にはデジタル広告(SNS広告)を初使用し、安価だがターゲット層をピンポイントに集客できたとした。
そのほか、個人客をターゲットとした現地プロモーションや団体客を狙った各種商談会、ウェブサイトアクセス解析調査、町民観光地満足度調査、町と連携した団体宿泊旅行誘致、個人宿泊旅行誘致および観光消費促進、オンラインまぐろ祭りの開催、着地型旅行商品開発、実証事業などの詳細を報告した。
22年度の事業計画では本格的な誘客活動を展開し、造成した体験型観光商品を販売し、自主財源増を図るという。
これまでの各調査などの継続事業に加え▽インバウンド客を対象とした来町者アンケート▽那智勝浦PRポスターの制作▽湯めぐりチケットMAPのインバウンド対応▽新型コロナウイルス感染症対策を行ってのまぐろ祭りやツナカップ、あげいん熊野詣などの実施▽現在は直接、観光客との取引ができないため、旅行業登録を取得する▽大泰寺を中心とした地域周遊コース整備事業▽365日のロケット観光の確立事業―などを説明した。
また、新たに近畿日本ツーリスト株式会社の柴田健次さん、株式会社JTB和歌山支店の田邊淳さん、前任者の後任として那智勝浦町観光企画課の吉中秀郎さんが理事に選任された。
(2022年7月5日付紙面より)
3年ぶりの「じゃばらカップ」 (北山村 )
北山村音乗(おとのり)の北山川で2、3の両日、カヌー大会「第6回じゃばらカップ」が開かれた。40人が出場し、技とスピードを競い合った。
北山村、同村観光協会、和歌山県カヌー協会、熊野カヌークラブが主催した。じゃばらカップは2015年に北山川が紀の国わかやま国体カヌー競技の会場となったことをきっかけに開催。新型コロナウイルスの影響で昨年、おととしと中止になっており、3年ぶりに催された。
開会式で村観光協会の葛城健也会長が大会の実施に協力した関係者たちに感謝を述べ「暑い日が続いていますが、熱中症に注意し、楽しみながらも全力で頑張ってください」とあいさつしスタートした。
2日は自由形式の艇で五つのゲートを通過し、速さを競うダウンリバーレースが行われた。参加者15人は激流にもまれながら競技に臨み、ゲートをくぐる選手たちに観客から拍手や声援が送られた。
3日には、スラロームレースが行われ、25人が日本カヌー連盟スラローム競技規則に準じたK―1、C―1、C―2種目でスタンドアップパドルボート(SUP)やポリ艇など、多種多様な艇に乗り競技に挑んだ。
大阪市から訪れ、ダウンリバーレースに出場した古川啓滋さん(53)は「今回で3回目の参加になります。結果は残念でしたが、待ちわびた大会だったので楽しめました。北山村は景観がよく、魅力ある場所。難しいコースではありますが、来年以降も開催を願い参加したい」と笑顔を見せていた。
(2022年7月5日付紙面より)
「オレンジガーデニングプロジェクト」始動 (那智勝浦町 )
「世界アルツハイマー月間の9月にはオレンジ色の花を咲かせましょう」「認知症になっても暮らしやすいまちをみんなで創っていく」などを目的に掲げ花を育て、認知症啓発のシンボルカラーであるオレンジ色の花を咲かせる「オレンジガーデニングプロジェクト」。認知症への理解を深めるためのこの活動は全国各地でも広がりを見せており現在、那智勝浦町でも産声を上げている。
町地域包括支援センターで勤務し、認知症地域支援推進員でもある岩本ひろ子さんは昨年9月にこのプロジェクトを知り、自身にも何かできないかを模索。
今年4月に自費で、キバナコスモスとともにおすすめの花とされるマリーゴールドの種を購入。毎年色とりどりの花が美しいことで有名な同町下里の下里とも子ガーデンの岩本カナエ代表に協力を呼びかけた。
とも子ガーデンは花壇所有者の故・笠松朝子さんの遺志を受け継いだ会員や住民らがボランティアで管理している花壇。とも子ガーデンのメンバーが作業を進め、780本の苗が育った。
その後、岩本さんと同じ認知症地域支援推進員に近日、任命される職員がいる下里のグループホームつつじ園と湯川の社会福祉法人高瀬会の地域密着型バーデンライフ・ケアセンター「湯ごりの郷」に苗を届け、各施設で育て活動を広めてもらうこととなった。
とも子ガーデンは6月26日に太地町地域福祉センター梛(なぎ)で実施されたフリーマーケットに出店。認知症の普及啓発を行い、マリーゴールドの苗を販売した。
また、とも子ガーデンと岩本さん自身が育てた苗の一部は現在、町役場の玄関にあり、来庁者を出迎えている。
町福祉課の桝本佳貴さんは「町だけでなく、地域の方々との企画。とも子ガーデンの皆さんのように集まり活動することが認知症予防のモデル。町が関わることができてありがたい」。
岩本さんは「フライングでスタートしたが、認知症への理解や啓発のために実施しています。プロジェクトに賛同いただける方で、マリーゴールドを育てる方を募集するなどを今後、検討していきたいです」と話した。
岩本代表は「岩本さんの思いを受けて、とも子ガーデンでも広めたいと思った。プロジェクトに参加できてうれしい。啓発の一助になれるように努めたい。苗を販売し、協力金として頂いたお金は福祉に役立てたいと考えています」と語った。
(2022年7月1日付紙面より)
「ご当地ナンバー」は継続審査へ (新宮市議会6月定例会 )
新宮市議会(榎本鉄也議長、15人、欠員2)の6月定例会は6月30日、市一般会計補正予算(第2号)などを可決し閉会した。総務建設委員会に付託されていた「ご当地ナンバー導入の実現を求める請願書」は閉会中の継続審査となった。
「市支所設置条例の一部を改正する条例」や特別会計などを可決。「市議会議員及び市長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部を改正する条例」では、岡﨑俊樹議員が「国の法律が変わったからといって国の基準に従う必要はない。公費負担を下げるなど、条例の検討を行うべき」と反対討論。対し福田讓議員は「上限が上がっても常識の範囲内で選挙で戦っていくのが議員の務めでは」などと賛成の立場を示した。議案は賛成多数で原案通り可決した。
閉会に当たり、田岡実千年市長は議員らに対し「貴重な意見を賜り、また市の施策にもさまざまな提案を頂きありがたい」と感謝を伝えた。
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議会中、大西強議員は議事進行で、自身の一般質問において損害賠償請求事件に言及した件で、田岡市長が「補助参加人の控訴の権利を剝奪することもできたが議員の意思を尊重した」などとした答弁に対し「市民の不利益になるから控訴しないと言うのであれば、大西の意思を尊重してはいけないのでは」などと指摘。発言の訂正もしくは撤回を求めた。
対し、榎本議長は「市長の意思を確認したが、指摘の内容については、発言により不快な思いをさせたとしたら申し訳ない、法的な詳しい内容に関しては弁護士と相談したいとしていた」と伝えた。
(2022年7月1日付紙面より)
串本消防署の第2警防班 (串本町消防本部 )
串本町消防本部の串本消防署第2警防班が6月29日、串本漁港の一角で水難救助訓練に取り組み必要と見据える技術の習熟に努めた。
この訓練は、年間を通して盛んな釣りに加え水浴なども始まって水難事故が多発しやすい夏季への備えとして毎年実施。同本部内の警防班それぞれに訓練計画を立てて実践する形で順次取り組んでいる。
この日実践に臨んだ串本消防署第2警防班は今回、喫緊で事例があった車両の海中転落対応(想定訓練)と溺者対応(資機材取り扱い訓練)の2系統で訓練を計画。班員12人が参加し、想定訓練は事故の認知から始め通報や現場での聞き取りで得た情報に基づいて救助隊(陸上・洋上組)と潜水隊(海中組)に分かれ、海中に沈んでいる要救助者を救助艇も駆使して陸まで救出する手順をその場で迅速的確に組み上げて実行した。
資機材取り扱い訓練は救命索発射銃で要救助者を避けつつ至近に浮環弾を投じる内容。海域での使用となるため、要救助者より沖に投じロープで引いて浮環を届ける設定で主に若手隊員がベテラン隊員指導の下で取り扱いを実践した。
安全管理者としてこれら訓練を見守った内田真也署長は「串本町内では結構な頻度で水難事故が多く起きている。対応できるよういろんな訓練を繰り返してほしい」と職員の今後に期待。同日現在で期日未定だが、第1警防班も近日中に独自の内容で水難救助訓練に臨むという。
(2022年7月1日付紙面より)
人権講話会で性を学ぶ (矢渕中 )
紀宝町立矢渕中学校(立嶋信雄校長、生徒211人)は6月29日、体育館で人権講話会を開催。全校生徒が「パープルリボンくまの」の中谷奈央子さんから包括的性教育を学んだ。
元養護教諭で思春期保健相談士の中谷さんは「いま知りたい!思春期のからだ・こころ・性」をテーマに、「思春期は子どもから大人に近づき大人スイッチがオンになる時期。いつ入るかは人によって違うが、性ホルモンの働きで体も心も変わり、不安定になりやすい。自分を否定してしまう時期だが、どんな自分でも大丈夫。まずは今の自分を受け止めてほしい」と呼びかけた。
思春期は▽イライラする▽なんとなく寂しい▽自意識過剰▽友達とぎくしゃくする▽性への関心―などの特徴があるとし、自身の経験を交え「思春期、反抗期はいつの間にか始まり、終わる。いつまでも続くものではない」と伝えた。
「性は生まれながらの心の在り方。人権は自分らしく幸せに生きる権利で誰もが生まれながらに持っている。男の子、女の子は体や戸籍上のこと。性的指向、性表現などは人それぞれ。どう生きていくのかこれから自分で考え、みんなが堂々と生きられる学校や社会を考えてほしい」と語った。
これまで中学生から受けた体、性、恋愛などの質問を紹介。「みんなは相手にNOと言える?」と問い「相手に合わせるのはしんどくて自分らしく幸せに生きられない。相手にNOと言える、相手のNOを受け入れることで、良い人間関係が築ける。自分と相手の考えは違う。受け入れる考えを持ってほしい」とアドバイスした。
(2022年7月1日付紙面より)