3年ぶり「ツール・ド・熊野」開幕
熊野地方を舞台とする国際自転車競技連合(UCI)公認で国内屈指の自転車ロードレース「第22回TOUR de 熊野(ツール・ド・くまの)」が27日、新宮市熊野川町の「赤木川清流コース」(114㌔)で開幕した。NPO法人「SPORTS PRODUCE 熊野」が主催、公益財団法人日本自転車競技連盟が後援。
大会は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から昨年、おととしと中止。3年ぶりの開催となった。今年は新宮市を拠点とする「キナンレーシングチーム」をはじめ海外1、国内17の計18チームが出場。総合優勝を目指し、熱戦を繰り広げる。
開会で「SPORTS PRODUCE 熊野」の角口賀敏実行委員長が大会の開催に尽力してくれた多くの人に感謝を伝え、選手に向け「力いっぱい熊野の地を駆け抜けて楽しみつつ、頑張ってください」とあいさつ。来賓の田岡実千年市長は「全力を尽くし、素晴らしい大会にしていただければ」と述べた。
コースは海、山、川の自然豊かな環境で起伏のあるのが特徴。大会2日目の28日(土)は三重県熊野市紀和町の山間部を走る「熊野山岳コース」(104・5㌔)、最終日の29日(日)は捕鯨の歴史が色濃く残る太地町が舞台の「太地半島周回コース」(104・3㌔)で競われる。
(2022年5月28日付紙面より)
コロナ情勢考慮し主催者判断 (串本町 )
串本町が26日、▽JAPANビルフィッシュトーナメントin串本▽熊野水軍古座河内祭(こうちまつり)の夕べ▽串本まつり―の各行事について中止が決まったことを発表した。いずれも新型コロナウイルス感染症の情勢を考慮した主催者判断で、3年続けて実施が見合わされる形となっている。
同トーナメントはスポーツフィッシングの最高峰・カジキ類の釣果を競う大会として年1回実施。串本漁港に本部を置き、釣果公開や体験クルージングなど地域交流の側面もあって例年町民らの見物を集めている。
今年は7月15日(金)~17日(日)に第33回大会を開く方向で準備を進めていたが、同ウイルスの収束が見通せず主催者は4月5日付で中止決定を発表した。最近では2019年に節目の第30回記念大会を実施。以降は中止が続いている。
熊野水軍古座河内祭の夕べは、古座川河口域にある河内神社の例祭「河内祭」の本祭日夕方~夜半に開かれている奉賛行事で同夕べ実行委員会が主催。屋台村やビアガーデン、芸能発表などで例祭後の納涼のひとときを提供し、終盤では東牟婁地方にシーズンインを告げる花火大会が電飾をともした祭船「御舟」も共演しながら行われている。
実行委員長の上野一夫さんによると書面決議で中止を決めたそうで、自身はこの辺りでは大御所の熊野大花火大会が中止を発表する状況で開くのは難しいと判断したという。まして子どものころから見てきた例祭の縮小が続く状況がつらいと訴え、「地元(=古座)が断念しない限り、自分も応援を惜しまない」と今後も例祭と連動して同夕べを続ける意思を掲げた。
串本まつりは前述した行事を除く盆前の行事を包括する企画名で、直近では19年に▽橋杭ビーチサマーフェスタ▽串本節踊り▽花火大会▽ふれあい広場(アユのつかみ取りやビンゴゲーム大会含む)▽串本ダンスフェス―といった各イベントを実施した。
実行委員長の島野利之さんは「やれればと皆思っているが、人出の管理が難しく中止となった」と話し、「ウイズコロナが進み再開する時はためた分も含めてぜひ盛大に開きたい」と思いを語った。
イベントのうち、同フェスタは南紀串本観光協会が主催で橋杭ビーチ振興の関係で本年度も串本まつりによらず独自に実施の方向を模索しているという。連動行事の巡視船体験航海について串本海上保安署は「大枠の串本まつりが中止であれば実施しない」としている。
(2022年5月28日付紙面より)
熊野川河口大橋を視察 (紀宝町議会 )
紀宝町議会の全議員が所属する近畿自動車道紀勢線建設特別委員会(榎本健治委員長)は26日、建設中の熊野川河口大橋を現地視察した。橋の上部、内部を視察した榎本委員長は「初めて河口大橋の上部から視察した。新宮側はかなり工事が進んでいる。委員会としても引き続き、早期完成に向けて努力したい」と語った。
新宮市、紀宝町で建設工事が進む熊野川河口大橋(橋長821㍍)は来年1~2月に接続する計画。河口大橋を含む新宮紀宝道路(延長2・4㌔)は2024年秋の開通を目指している。
河口大橋は現在、両市町で上部工事が続いており、改めて進捗状況を確認しようと視察を計画。全議員と西田健町長らが新宮市側の建設現場に出向いた。
国土交通省近畿地方整備局紀南河川国道事務所の本田明副所長らが説明。新宮紀宝道路は近畿自動車道紀勢線の一部で、13年度に新規事業化された。紀宝町側の用地取得率は昨年度100%となり、現在の工事進捗率は74%だという。
議員らは工事状況を確認し、構造や安全対策も聞いた。視察後、西田町長は「工事が目に見えて進み、肌で実感することができた。河口大橋を含む新宮紀宝道路の一日も早い完成を願っている」と話していた。
(2022年5月28日付紙面より)
Lアラート合同訓練 (和歌山県 )
災害時における円滑な情報伝達を行うために和歌山県は26日、県内市町村および各消防本部一斉のLアラート合同訓練を実施した。那智勝浦町役場では午前9時30分ごろ、町防災対策室の担当職員らが情報入力などに取り組んだ。
Lアラートとは、地方公共団体などが発信した災害情報などを放送報道事業者やインターネット事業者に対して、配信する情報共有基盤のことを指す。それぞれ入力された情報は各市町村でも即座に確認できるという。
訓練は県の防災情報システムに災害情報の入力を行い、操作の習熟度向上に努めるとともに、災害時の情報連携について確認を行うことが目的。
訓練は各市町村それぞれで個別シナリオを設定し、進められた。同町でも各地区の避難場所に避難した人数や職員の人数、発令している避難情報レベルの切り替えなどの入力も行っていた。
町防災対策室の増田晋室長は「正確な情報が瞬時にメディアなどに伝えられることがメリット。訓練ではシステムの更新などにも対応するとともに、それに慣れることが必須。実際の場面で円滑に操作が行えるように今後も取り組んでいきたい」と話した。
(2022年5月28日付紙面より)
27日に「第22回ツール・ド・熊野」開幕
熊野地方を舞台に27日(金)から29日(日)までの3日間、3年ぶりに「TOUR・de・熊野(ツール・ド・くまの)」が開催される。NPO法人「SPORTS PRODUCE熊野」が主催、公益財団法人日本自転車競技連盟が後援。
ツール・ド・熊野は「南紀熊野体験博」「東紀州体験フェスタ」の関連イベントとして1999年4月に初めて開催。地域の振興と地球環境に優しい自転車の普及を目的に「3DAY CYCLEROAD 熊野」が行われた。
07年の第9回大会からNPO法人「SPORTS PRODUCE熊野」が主催し、名称を「ツール・ド・熊野」に変更。翌08年からUCI(国際自転車競技連合)アジアツアー2・2のカテゴリーに指定され「ツアー・オブ・ジャパン」「ツール・ド・北海道」と並んで国際自転車競技連合公認の国内3大レースの一つとなった。
大会は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から昨年、おととしと中止となっていた。22回目の今年は新宮市を拠点とする「キナンレーシングチーム」をはじめ海外1、国内17の計18チームが出場し、熱戦を展開する。
コースは海、山、川の景観と起伏のある自然豊かな環境で、本場ヨーロッパに似た雰囲気が特徴。初日の27日は第1ステージとなる新宮市熊野川町の「赤木川清流コース」で開幕する。28日(土)には三重県熊野市紀和町の山間部を走る「熊野山岳コース」で第2ステージ、29日に太地町の「太地半島周回コース」で行われる3日間の総合タイムで競われる。
開幕に向け、角口賀敏理事長は関係者やボランティアなど多くの人たちに感謝し「コロナ禍で迷いもありましたが、前に進まなければ地域の未来はないと思い、徹底した感染対策を施し開催することを決めました。当地方の皆さんにはお世話とご迷惑をお掛けしますが、非常に盛り上がる大会にしていければ」と話している。
今大会も恒例のフォトコンテストや地元ケーブルテレビ局による生中継、動画投稿サイト「ユーチューブ」の「サイクリングチャンネル」での配信を予定している。
(2022年5月17日付紙面より)
高池小6年対象に租税教室 (古座川町 )
古座川町立高池小学校(大畑眞校長)の6年生10人を対象にした租税教室が13日にあり、児童が税を意識しその必要性を考えるきっかけを得た。
この教室は、新宮・東牟婁租税教育推進協議会(山端克明(やまばな・よしあき)会長)が管内の小学校~高校の希望を受け講師を派遣する形で通年実施。今月は4小学校が希望していて、高池小はその先陣を切る参加となった。
この日は新宮税務署個人課税部門の小田大樹さんが講師として来校。消費税や所得税など約50種類の税金があることを伝え、映像教材で税金の有無で社会はどう変わるか、学校を例にして税はどのように使われているかを児童と一緒に考えた。
1億円の見本を児童に持ってもらうなどして金銭感覚を培いつつ、学校を一つ建てるのに平均15億円、義務教育を受けるのに小学生は1人年間約88万円、中学生は約100万円の税金が使われているといった紹介も。児童はそれら話を聞いた感想を発表して、小田さんの紹介に感謝した。
児童の大屋沙織さんは家族から消費税や所得税などの話を聞いて社会に税金があることを知っていたそうで「いろいろな税金があることを知れて良かった。ムービー(=映像教材)で税があるとないの差が激しくて、ないと国民は損をするので必要だなと思った」と印象を話した。
選挙権年齢の引き下げで主権者教育の重要性が一層高まる中、国民の三大義務の一つでもある納税への関心と適切な理解を児童・生徒の段階から促すことがこの教室の趣旨。今後は下里小と北山小=ともに17日(火)、王子ケ浜小=18日(水)=も参加する予定となっている。
(2022年5月17日付紙面より)
東大人文・熊野フォーラム (新宮市 )
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で14日、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部と新宮市が主催する「東大人文・熊野フォーラムin新宮」があった。「常呂(ところ)と熊野―地域を繋(つな)ぐ試みとして」をテーマに開催。フォーラムの様子はオンラインでも同時配信された。会場では約100人が聴講する中、人文社会系研究科前研究科長の大西克也教授が基調講演を行った。
第2回となる同フォーラムでは、常呂(北海道北見市)と熊野(新宮市)をつなぐ新たな人文学の試みとして、熊や鯨などの聖化動物を通して熊野とオホーツクの精神文化の通底を考えるといった趣旨に基づきテーマを定めた。2021年に新宮市と連携協定を締結した同大学は、半世紀にわたって常呂町(現北見市)と地域連携協定を結んでいる。
開催に当たり、同大学の津田敦副学長が「多くの人が『熊野』に取りつかれていくのを見てきた。私も『熊野』に取りつかれたいとの思いで熊野に来た。『熊野』に選ばれ、足繁く通えるようになれば」とあいさつした。
辻直孝・北見市長のビデオメッセージが紹介され、田岡実千年市長は「遠く離れた地域に通底する文化の特徴とは、また外国はどうかを学ぶことができるこれまでになかった大変興味深いプログラム。熊野の個性と文化を再検証する機会としていただければ」。
秋山聰・人文社会系研究科長がフォーラムの趣旨を説明。「それぞれの文化的事象や歴史文化をじっくりと眺めてみれば、多かれ少なかれ人文学的比較対象の種となる要素はおのずと見つかるのではないか。二つの地域を人文学的見知からつなげ、予想もしない共通点を見つけたり比較を試みたりすることによって、双方の文化振興に寄与することが人文学には可能ではないかと思い始めている」と期待を込めた。
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大西教授は「熊野の牛玉(ごおう)宝印と呉越の鳥書(ちょうしょ)―漢字の伝来と信仰―」を題目に講演。中国では春秋時代後期(前6世紀)~戦国時代初期(前4世紀)の「越王句践剣」に記されている鳥書や漢時代の鳥書、雑体書を紹介し「当時は瑞象(ずいしょう)の意味合いがあったと思われるが、後漢時代には魔よけの機能が備わっていた」。
漢字を発明したとされる古代中国の伝説上の人物・蒼頡(そうけつ)の記録では「鬼は文字によって告発されることを恐れて夜に泣いたのである」と伝わっていると紹介し「漢字の魔よけの機能が、記録という漢字の本質に由来している」と説明した。
宮殿や寺社などに掲げられたという「扁額(へんがく)」と牛玉宝印との共通点を上げ「牛玉宝印が扁額の書を取り入れたのは間違いない」。
三山で最も古いとされる「那智瀧宝印」は15世紀に全ての文字を烏点で作り上げる劇的な変革が行われたことや、需要が増加したことや誰にでも書けるものではないことなどから手書きから木版となったことなどについても紹介。「連携協定締結により、このようなことを考える機会に恵まれたことは私にとっても楽しい経験となった」と講演を締めくくった。
(2022年5月17日付紙面より)
少年少女発明クラブ (新宮市 )
小学生にさまざまな工作や体験の機会を提供する「新宮市少年少女発明クラブ」(瀧野秀二会長)の開講式と、その第1回の講座「ペーパークラフト」が14日、新宮市福祉センターであった。所属する児童28人のうち、27人が参加。式で所属バッジを受け取ったほか、昆虫や動物を作る紙工作を楽しんだ。
発明クラブは全国にあり、和歌山県内でも11市町で活動が行われている。新宮市は2015年に開始しており、市内の小学校の4~6年生を対象に、児童に理科や科学、ものづくりなどに関心を持ってもらえるように取り組んでいる。本年度は11回の講座の実施を予定している。
式では、瀧野会長があいさつ。講座について「昨年は新型コロナでできなかったものもあるが、今年は全部できるように祈っている。皆さんもぜひ、全部参加を。一生懸命に、いろんな講座に挑戦を」と呼びかけた。続いて、児童に1人ずつ、クラブのバッジを手渡した。
ペーパークラフトは、和歌山県立新翔高校の教諭でもある中岸速人さんが講師を務めた。児童に対し「ものづくりは失敗を恐れず、失敗しても次に生かすことが大事。その過程を大事に。頑張って完成品ができたなら、それは素晴らしいこと」と伝えた。
講座の内容は、切り取り線や折り線、のりしろを加えて描かれた、昆虫や動物の図柄の付いた用紙をはさみやカッターで切り抜き、折ったり貼ったりして立体的に工作するもの。カブトムシやクワガタムシ、チョウ、キリン、クマ、サルなどの種類があった。
児童は、好みの2種類の図柄を選び、工作を開始。中岸さんは完成見本を配るなどしながら、その様子を見て回った。児童に対して「カッターで切る時はもっと立てて」「(昆虫の)触角を切る時は気を付けて」「ここは山折りで、こっちは谷折り」などと指導。児童はこれらを聞き入れ、一心に取り組んでいた。
キリギリスとトンボに挑戦した、王子ヶ浜小6年生の岸本青空(すかい)君は「参加するのは初めて。工作は夏休みに、お父さんと木材で貯金箱を作ったりしている。ペーパークラフトは楽しい。キリギリスは胴体のところの折り方が難しかった。これからの講座も楽しみ」と話した。
(2022年5月17日付紙面より)
新宮市立佐藤春夫記念館(辻本雄一館長)にこのほど、佐藤春夫が中学校時代に描いた水彩画などの寄贈があった。6日、辻本館長が発表した。
春夫の新宮中学校の同級生であった故・汐﨑慶三さんが所蔵していたもので、孫の慶宏さんが寄贈した。慶三さんは当地方で教師をしており、旧丹鶴小学校などで校長を務めた他、「和歌山県移民史」の編集にも力を注いだ人物。那智勝浦町下里の「懸泉堂」の縁者であり春夫の親戚筋にも当たる。
水彩画は、春夫が新宮中学1年生(12歳ごろ)の時の作品で、子どもと犬を中心に、川や山、町並みが円形に縁取られた枠内に収まる構図となっている。少年時代に描いた絵は少なく大変貴重で、同記念館では同作品を含む2点のみが所蔵されている。
また、慶三さんは「望郷五月歌」「秋刀魚(さんま)の歌」詩碑の除幕式のために当地方に滞在していた1959年当時、宿泊先の湯川楼(那智勝浦町湯川)に春夫を訪ね、持参した中学時代の絵を本人に見せた時に春夫が筆書きした「少年時戯画 春夫」の短冊も所持しており、併せて寄贈された。
辻本館長は「春夫は二科展に3回入選するほどの腕前。少年時代から絵の才能があったことは間違いない。(寄贈の水彩画は)構図的にも面白い」と感想。
背景の川には、熊野川の伝統・三反帆(さんだんぼ)が描かれている点に着目し「ヨーロッパの背景のようであるが新宮の町並みをイメージしているのでは。春夫はふるさとをエキゾチックな目線で見ていたのかもしれない」と話していた。
寄贈品は水彩画の他、春夫が揮毫(きごう)した「行く春のカメラ行脚や那智の瀧」(全集未収録)の短冊や慶三さんに宛てたはがき、書簡など。
慶三さんが同級生の立場から新宮中学校時代の春夫の様子などを記したエッセーも。チョーク入れに生きたカエルを仕込んで先生を驚かせたり、授業中に目覚まし時計を鳴らしたりしたエピソードがつづられており、生き生きとした少年時代の春夫を今に伝える貴重なものとなっている。
寄贈品は31日(火)まで同記念館で展示される。
(2022年5月8日付紙面より)
熊野林業が3年ぶりに (新宮市熊野川町 )
公益財団法人熊野林業は3日、新宮市熊野川町田長の山林で3年ぶりとなる「自然観察会~春の田長谷・白倉観察会~」を開催した。市内などから20人が参加し、希少なアケボノツツジの群生地やツガやモミの大木が自生する天然林で森林浴を満喫した。
同財団は所有山林の調査研究および普及啓発事業を通じ、自然環境とバランスを保った森林を形成してゆくため、1992年に発足。非皆伐方式による天然林型複層林施業の生育状況調査などを行うとともに、所有している天然林を「森林自然公園」として一般開放している。
観察会には熊野自然保護連絡協議会の瀧野秀二会長、南敏行副会長ら植物・昆虫の専門家も同行。参加者たちはウンゼンツツジ(愛称・コメツツジ)などが咲く林道をマイクロバスで移動し、紀伊半島と四国のみに分布する大型のアケボノツツジの群生地を訪れた。
瀧野会長は「アケボノツツジには福岡県~三重県に分布するアカヤシオや九州のツクシアケボノツツジなどの近縁種がある。いずれもおしべが10本だが、おしべ基部の軟毛の有無で違いがある」と解説。参加者たちはルーペで花を拡大し、違いを観察した。
森林自然公園では「この木何の木?」のクイズを考えながら遊歩道を一周。紀伊半島や四国の一部にしか自生していないマツ科のトガサワラ(絶滅危惧Ⅱ類)の巨木を見上げ、感嘆の声を上げた。
友人と参加した三﨑幸子さんは「花だけでなく、その周りの景色も合わさって素晴らしかった。新緑の若葉もきれいで天気も良く、気持ちが良かった」と笑顔で話していた。
(2022年5月8日付紙面より)
近大新宮中・高生徒会
新宮市の近畿大学附属新宮高校・中学校の2021年度後期生徒会メンバーは6日、「鯉(こい)よ、新宮の空を泳げ!」と題し、七里御浜鯉のぼりの会から借り受けた6匹のこいのぼりを1号館玄関前に揚げた。
七里御浜鯉のぼりの会は毎年ゴールデンウイークに、熊野市・七里御浜海岸の獅子岩から鬼ヶ城方面へ約1㌔にわたってこいのぼりを揚げる「泳げ!鯉のぼりくん」を開催している。
しかし、新型コロナウイルスの国内での再拡大を受け、3年連続の中止を決断。希望のあった学校などへ貸し出しを検討していたところ、同校生徒会が名乗りを上げた。生徒会メンバーは28匹を借り、4月25日~5月6日の晴れた日に校舎各所に揚げた。
高校生徒会の濱田青葉会長は「コイは生命力が強く、汚れた水の中でも生き抜く強さを持っている。コロナ禍がもう何年も続く中ですが、強くたくましく生きていこうという思いが、地域の方々にも伝われば」。中学校生徒会の𠮷良和子会長は「2日には校舎4階と玄関前の手すりをロープでつないでこいのぼりを揚げ、廊下からの景色が中1の子たちにも好評だった。こいのぼりを見て『授業を頑張ろう』と気持ちが晴れ晴れしたらいいなと思う」と語る。
この日は役員改選に伴い、後期生徒会最後の活動で、校内生徒らへ感謝を述べる校内放送もあった。
(2022年5月8日付紙面より)
感染症対策し第14回展示祭 (那智勝浦町 )
那智勝浦町文化協会(後誠介会長)、町民展示祭実行委員会は7日、町体育文化会館で絵画、生け花、呈茶の合同展「第14回町民展示祭」を開催した。来場者は会員の力作やお茶を楽しんだ。最終日の8日は午前9時から午後3時30分まで。
展示祭は絵画の弁天画会(平内嘉子会長)、生け花の花好きクラブ(牧邦子代表)、茶道表千家流音無会(築紫充代会長)の3団体が成果を発表する場。例年多くの来場者でにぎわっている。今年はウクライナ人道支援の募金箱も設置した。
会場では▽消毒▽体温計測後、マスクに受付完了シールを貼る▽感染症発覚時の追跡用に入場時間などを記したカードを発行―など新型コロナウイルス感染症対策に取り組んだ。
弁天画会のテーマは各地域の滝で70点余りの力作を出展。また、前会長の故・坪野一郎さんの絵を喪章とともに展示した。平内会長は「自由に描いた絵もあります。楽しんでいただけたら」。
花好きクラブは季節の花を生けた作品40点余りを並べた。牧代表は「捨てる予定だった物を花器として使い、自然の花を生けています。最高齢は93歳で、会員一同が楽しんだ作品を見てほしいです」と話した。
茶道表千家流音無会はテーブルに仕切りを設け、茶わんなどの消毒にも注意。築紫会長は「無事開催できて良かった。おいしいお茶を味わってください」と語った。
町文化協会の後会長は「作品作りはもちろん、多くの人に見てもらうことは会員の皆さんの生きがいになっている。来場者の方にも楽しんでほしい」。
会場に訪れた堀順一郎町長は「生き生きとした作品やおいしいお茶をいただくことで毎年、元気を頂いています」と語った。
(2022年5月8日付紙面より)