南葵音楽文庫アカデミー (新宮市 )
和歌山県教育委員会と新宮市教育委員会は19日、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」会議室で「令和3年度南葵(なんき)音楽文庫アカデミー春」を開いた。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から人数を制限して実施。和歌山大学名誉教授の泉健さんと和歌山信愛大学・同女子短期大学非常勤講師の小山譽城(よしき)さんが講師を務め、約20人が聴講した。
同文庫は、徳川頼倫(とくがわ・よりみち、1872~1925年)侯爵が設立した私設の図書館である南葵文庫の音楽部門に端を発しており、その息子である徳川頼貞(1892~1954年)が継承するとともに、音楽および音楽学の専門図書館に向け拡充。1977年以降、読売日本交響楽団が所蔵している。和歌山県との委託契約により2017年に紀州徳川家ゆかりの地である同県で一般公開のはこびとなった。
同アカデミーは、文庫が所蔵する資料およびコレクションの基礎を築いた頼貞を中心に、定期講座やレクチャーなどを通じて内容や魅力を紹介する目的で実施している。
泉さんは「東くめの生きた時代と南葵音楽文庫」を題目に、日本で初めて口語による童謡を作詞した東くめ(1877~1969年)の生きた91年間と南葵音楽文庫の歴史を重ねながら、日本における西洋音楽の受容の歴史を振り返りながら紹介。南葵音楽文庫が大人の世界での西洋音楽の受容に貢献したことに対し、くめは子どもの世界で西洋音楽の受容に貢献したと説明した。
頼貞との関係性について「くめは頼貞の15年前に生まれて15年後に亡くなっている。2人の人生は重なっている」と説明。母方の祖母・滝本吉弥が「古事記」「古今和歌集」などの古典文学を読み聞かせてくれたことなどを、童謡作詞家として花開いたくめの土壌の一つとして紹介した。
泉さんは、東京音楽学校の2年後輩で、くめと組んで多くの作品を発表した瀧廉太郎や、同期卒業生のバイオリニスト安藤幸、大阪音楽学校(現大阪音楽大学)を設立した永井幸次らについても解説した。
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小山さんは「紀州藩付家老水野忠央(ただなか)の文化政策」をテーマに講話。第9代新宮藩主・忠央が行った各種政策などについて話した。
紀州藩は他の御三家の付家老と連携して幕府に待遇改善を願い出るなど、付家老という地位に満足せず独立した大名に昇格するためにさまざまな運動を展開。
水野家は、資金を貸し付けて御炭山をつくり、新宮の池田、勝浦に浜役所を設置。炭納屋を建てて大量の木炭を貯蔵し、江戸に送って莫大(ばくだい)な利益を得た。また、ニッケイを栽培して製薬局を開いたり、ハゼやミカンの植栽を奨励するなどの産業育成も行った。
経済政策の他、積極的に文化政策も展開。忠央が刊行した「丹鶴叢書(そうしょ)」について小山さんは「吉田松陰は忠央を『奸(かん)にして才あり、世すこぶるこれを恐る』と評した。松陰にとっても無視できない存在であったのでは」と話した。
(2022年2月23日付紙面より)
電子帳簿保存法セミナー (串本町商工会 )
串本町商工会主催のオンラインセミナー「今こそ始めるDX!電子帳簿保存法対策セミナー」が21日にあり、25人が参加して改正法への対応の仕方を考えるなどした。
このセミナーは、1月1日施行の改正電子帳簿保存法により従来の紙による書類保存が猶予期間(2年間)以降認められなくなることへの対処を今から始めてほしい、という思いを込めて計画した。当初は1月下旬に会場聴講の形で開く予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い中止。オンライン実施に切り替えて再計画し、聴講を呼び掛けた。
当日はDX(デジタル・トランスフォーメーションの略称、デジタル技術による変革の概念)アドバイザー資格を持つASMILE(アスミル)株式会社(旧和歌山ゼロックス株式会社)の星野淳一さんが講師として登壇。事業に関係する書類を▽帳簿▽自社書類▽他社書類(紙)▽電子取引書類(PDF)―に区分し、それぞれどのような対策が求められるかを解説した。
自社の帳簿や書類はパソコンで作成するケースが大半のため、相手の事情で紙に出力しても自社はそのデータを電子保存すれば対応可。相手から紙で見積書などの書類が送られてきた場合はスキャンし電子保存する対応が必須となる。電子取引はどのような状況がそれに該当するかを紹介しつつ、書類のやりとりがPDFとなるのでその電子保存が必要になる。
税務署による承認制度が廃止されるなど経理面での負担緩和が進む一方、数年ごとの税務調査で税理士が求める電子データをパソコンなどの画面ですぐに示せる状況が今後必要となる。星野さんは電子データの効率的な管理方法やSaaS型クラウド活用によるタイムスタンプの不要化を紹介し、経理処理や電子契約などの省力化(生産性向上)システムがあることにも触れつつ▽保存ルール▽検索ルール▽保存先(同クラウドのストレージサービスを推奨)を決めて電子化を進めることを勧めた。
電子保存の義務化はそう遠い話ではなく、同社も手伝いができるので今から対策を始め、できれば来年10月導入のインボイス制度を視野に入れてそれまでに完了してもらえればと促すなどした。
(2022年2月23日付紙面より)
東牟婁地方美育協会(会長=芝﨑勝善・宇久井小学校長)は18日、那智勝浦町教育センターで「東牟婁地方学校版画展」の作品審査会を開いた。新宮・東牟婁地方の小中学校40校から907点(小学校665点=特別支援63点含む、中学校242点=特別支援8点含む)が出品された中から、特選80点、準特選120点を選出した。
戦後教育の中で「子どもたちに『木の国』和歌山の特産品である木材を使った作品づくりの機会を」との思いから始まり、70年近い歴史がある取り組み。郡独自の版画審査会や展示を実施しているのは県内でも新宮・東牟婁地方のみだが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため本年度の展示会も中止となっている。
審査は美育協会役員のみで実施し、刷りの美しさや人物の表情などのポイントを見て議論を進めた。木版画の他、中学生の作品ではステンシルやドライポイント、コラグラフなどの技法を使った作品も多く出品されていた。
(2022年2月23日付紙面より)
モニュメント前でほころぶ (太地町森浦 )
太地町の玄関口である森浦で、早咲きサクラとして知られるオオシマザクラの花がほころび、通行人や乗車する人々の目を楽しませている。
サクラは県道沿いに建てられたザトウクジラのモニュメント近くに植えられたうちの一本。近年になって毎年、2月上中旬にかけて花を付けている。
バラ科サクラ属で、古くから燃料として利用されてきたことから「タキギザクラ」とも呼ばれている。
モニュメントとサクラを一度に収めようと、車を止めてスマートフォンで撮影する運転手の姿も見られた。同乗していた40代女性は「クジラのモニュメントとサクラが一緒に見られるとは思わなかった。きれい。良い一枚が撮れました」と話していた。
(2022年2月23日付紙面より)
谷瀨三兄弟が防災担当大臣表彰 (新宮市 )
新宮市蜂伏在住の谷瀨剛君(12)、悠君(10)、将君(7)で結成されるはちぶせ探検隊「みんなの命をつなぎ隊 谷瀨三兄弟」が制作した「今だ!逃げ時マップ ぼくたちの安全地帯へ」がこのほど、第18回「小学生のぼうさい探検隊マップコンクール」(一般社団法人日本損害保険協会主催)において、防災担当大臣賞を受賞した。10日、市役所で同大臣表彰伝達式と市長表彰式が行われ、田岡実千年市長が表彰状と記念品を贈った。
同コンクールは、楽しみながらまちにある防災・防犯などに関する施設や設備を見て回り、身の回りの安心安全を考えながらマップにまとめて発表する実践的な安全教育プログラム。特に優れた作品には「文部科学大臣賞」「防災担当大臣賞」などが贈られる。
本年度は、小学校、子ども会、児童館など、全国の371団体から5697人が参加。971作品が寄せられた。なお、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、例年東京で行われている表彰式は中止となっている。
日頃から、両親より2011年の紀伊半島大水害における被災体験について聞く機会が多かった3人。「自分たちの住んでいる地域の災害リスクや、災害に応じた避難場所を知りたい」との思いから、大水害から10年の節目となった昨年の8月、防災対策課の櫻井勇太さんの協力を得るなどしてマップ作りを開始。
地域の特性を調べたり地域住民から聞き取りを行ったりしながら、約2カ月かけて完成させた。3人は「蜂伏には若い家族が多い。蜂伏会館には赤ちゃん用の備蓄品がない」など、調査を進める上で気付いたことを市に提言したという。
田岡市長は「素晴らしい完成に感動。いろんな人にマップを知ってもらうことで市の防災力向上につながれば」と称賛。
剛君は「お父さんとお母さんから、水害の時は水が来るのが早く力も強いということを聞いた。頑張って作ったマップでいい賞をもらえてうれしい」。悠君、将君も「めっちゃうれしい」と声をそろえた。
兄弟にはおととし4月に妹の蘭ちゃんが誕生。母・真理子さんは「妹が産まれたことで、さらに命の大切さを感じたと思う。マップ作りを通して兄弟の絆がさらに強まったのでは」と話していた。また式典後には、櫻井さんに対して、3人からサプライズで手書きの感謝状が贈られた。
3人が制作したマップは、市役所4階エレベーターホールで一定期間展示される。
(2022年2月11日付紙面より)
梅村代表理事らが市長表敬 (新宮青年会議所 )
一般社団法人新宮青年会議所(新宮JC)の梅村英義代表理事と宮本大二郎専務理事は9日、新宮市役所を訪れ、田岡実千年市長を表敬訪問した。今年一年の意欲や思いを伝えるとともに、団体の活動に協力を呼び掛けた。
梅村代表理事就任2年目となる今年の新宮JC。2年連続の就任は新宮および県内でも初という。「変化そして改革のとき」をテーマに掲げ、内容の変化・作り直しによる改革を目指す。
梅村代表理事は、新型コロナウイルス感染症の影響で思ったような事業展開がかなわない現状を報告。また、同JCにおける女性会員の比率は高いものの20代会員がいない状況を伝え「会員拡大のための活動をしっかりしていかないといけない。定款や規約を変更し、入会しやすい状態に変えていきたい」。
また「コロナ禍で子どもたちも活動できていない。青少年の育成やまちづくりに関して、JCでできることは担っていきたい」などと意気込みを語った。
第32代理事長を務めた田岡市長は「自分の仕事をしながらの活動は体力的にも時間的にも大変だが、自分自身の成長に必ずつながる」と激励。
「JCに入っていなければ、市長という責任ある仕事に就けていないと思う。鍛えていただいたおかげで今があると感謝している」と伝えた。
対し、梅村代表理事は「会員も減っているが、JCの継続を見据え、若い人につなげていけるように道筋をつくることができれば」と抱負を語った。
(2022年2月11日付紙面より)
広報きたやま11月号 (北山村 )
第19回和歌山県広報コンクールで、北山村が発行する「広報きたやま」の2021年11月号が広報の部(町村部)で1位、7月号が写真の部(組み写真の部)で2位に選ばれた。広報紙制作を担当する北山村役場総務課の橋爪大希(たいき)主事は「1位になったのは初めて。たくさんの方から記事ネタやご意見を頂いたおかげ」と笑顔で語った。
和歌山県広報協会主催のコンクール。広報技術向上を目的に、県内市町村が21年1~12月に発行した広報紙などを審査する。今年は広報紙の部に30点(市部9点、町村部21点)、写真の部に35点(一枚写真の部24点、組み写真の部11点)、映像の部に3点の応募があった。
11月号は、▽企画▽文章▽デザイン▽写真▽視認性―の5項目の合計点で69点(最高100点)を獲得。オールカラーで写真が多く「北山グルメを堪能しよう!」「北山村歴史シリーズ 大塔宮護良(おおとうのみやもりなが)親王と竹原八郎」など多彩な情報を掲載していることが評価された。一方で「飲食店紹介では店主が登場した方がいい」「文字を大きくしては」などの意見もあったという。
7月号は「観光筏(いかだ)下り安全祈願神事」のページが▽表現力▽技術力▽感動力▽独創力▽意匠力―の5項目で、50点満点中49点を獲得。移動しながら望遠レンズや広角レンズを使い分けて撮影し、シンプルにまとめた点が好評だった。
橋爪主事は「前任者の仕事を引き継ぎながらも、他の市町村の広報紙を参考に、自分なりにレイアウトやデザインを工夫してきた。3カ月に1回の発行前には、役場のほぼ全員から意見を頂いて修正を重ねている。今後も、村民の方々に楽しく読んでもらえる広報を目指したい」。
11月号は、日本広報協会主催の「令和4年全国広報コンクール」に出品される。これまでの広報誌は北山村のホームぺージ(https://www.vill.kitayama.wakayama.jp/about/koho/)で見ることができる。
(2022年2月11日付紙面より)
串本町が10日、住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金〈住民税均等割非課税世帯分〉の案内通知の発送を始めた。給付開始日は28日(月)で、通知を受けた世帯は同封の確認書を返送してほしいという。
国のコロナ克服・新時代開拓のための経済対策に基づき市町村が事務代行して実施する同給付。同町の場合①住民税均等割非課税世帯②令和3年1月以降に新型コロナウイルス感染症の影響で家計急変のあった世帯―のいずれかに該当(ただし住民税が課税されている者の扶養親族等のみからなる世帯は除外)する世帯が対象で①は案内通知に含む確認書の返送②は3月1日(火)から9月30日(金)まで役場2階に設置する臨時特別給付金事務局(兼コールセンター)窓口で給付の希望を受け付ける。
1世帯当たりの給付額は10万円で、給付先は世帯主が指定する金融口座。①は確認書に不備がないかを確かめた上で事務処理を進め、至近の振込期日で給付をする。
②は申請書に加え申立書で年間収入見込額または年間所得見込額で対象となる事情を申し立てる必要があり、まずは窓口に申し出て説明を受けるところから始まる。例えば年間収入見込額(令和3年1月以降の任意の1カ月の収入を12倍した額)で申し立てる場合の非課税相当収入限度額は世帯状況によりまちまちだが、世帯主が配偶者・扶養親族計2人を扶養している場合は168万円、配偶者・扶養親族計3人を扶養している場合は209万7千円など。同見込額が該当する同限度額を下回る事情があれば申し立てができ②に該当すると認められれば申請が受理され至近の振込期日で給付を受けられる。
同限度額の他の区分など詳細は今月14日(月)から開設するコールセンター(電話0735・67・7432、土・日・祝日を除く平日午前8時30分~午後5時15分)または前述した窓口まで。
①の世帯数は除外後の数で約3200世帯。同事務局は、町福祉課名の封筒で案内通知を発送したので着実に受け取り確認書を返送してほしいと話している。
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古座川町も7日付で前述の①に該当する約630世帯(除外後の数)に案内通知を発送済み。給付開始日は28日としている。②に該当する世帯への対応は10日現在で未確定。決まり次第周知を図るとしている。コールセンターの設置予定はなく、問い合わせは町住民生活課(電話0735・72・0180)まで。
(2022年2月11日付紙面より)