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2022年01月20日
1 ワクチン接種、いつ?
 前倒しに向けて準備進む  (新宮市、那智勝浦町など )

 新たな変異株「オミクロン株」による新型コロナウイルス感染症の拡大が急激に広がる中、各自治体では新型コロナワクチン3回目の早期接種に向け急ピッチで準備が進められている。

 国は13日、64歳以下の一般の人について、2回目を打った後の間隔を従来の8カ月から7カ月へと前倒しする方針を発表。さらに17日、岸田文雄首相は3月以降の接種前倒しを加速させる意向を示した。

 多くの自治体で一般向け3回目接種に向けた計画発表が待たれる中、新宮市や那智勝浦町などに今後の接種スケジュールと現状を聞いた。

  □     □

■新宮市



 新宮市では、今月から医療従事者や高齢者施設等入所者、施設従事者などに対する接種を開始した。2月からはワクチンを2回接種してから一定期間が経過(年齢によって異なる)した18歳以上の対象者に向け接種を進めていくという。1回目は6日(日)に集団接種を予定しており、2月は会場での接種を毎週実施していく。

 国の方針(前倒しなど)を随時踏まえながら、対象者には順次接種券を送付しており、接種会場や日時などの詳細を記した案内も同封。

 2回目の接種が個別接種であった人は追加接種も個別接種となる見通し。ワクチンはファイザー社製かモデルナ社製のいずれかを使用する予定。なお、2回接種を完了している市民は2万1000人強で、うち18歳以上が追加接種対象となる。

  □     □

■那智勝浦町



 那智勝浦町では、医療従事者への接種券を昨年11月25日に郵送し、12月前半から接種を実施している。

 65歳以上の一般高齢者には昨年12月20日から接種券を郵送。今月24日(月)から体育文化会館で集団接種を開始する。

 今後のワクチン接種について町は、個別接種は行わず集団接種のみで進めていくとしている。3回目接種の終了は6~7月を見込んでいる。

 また、今月末からインターネットでのウェブ予約サービスにも対応するという。

  □     □

■太地町、北山村では



 太地町では、18日から町多目的センターで接種が始まった。接種後8カ月の期間を満たした町民に接種券の送付を行っているが、6カ月に前倒しになったことから、順次対象者に接種券を送付し接種を進めていくという。なお、現時点では接種完了時期は未定。

 北山村では、来月中旬に集団接種を行う予定としている。

(2022年1月20日付紙面より)

写真はイメージ
2022年01月20日
2 紀伊半島大水害から10年
 土砂災害研究講演会  (那智勝浦町 )

 国土交通省近畿地方整備局紀伊山系砂防事務所と和歌山県、那智勝浦町は18日、同町の体育文化会館で土砂災害研究講演会「紀伊半島大水害から10年~あの日の災害を忘れない~」を開催した。一般、関係者など120人が来場。同水害を契機に進められている土砂災害に関する話題や研究の動向について、講演や報告が行われた。

 2011年に発生し、紀伊半島に甚大な被害をもたらした同水害。講演会は昨年9月に10年を迎えたことを機に、災害を風化させず、関係機関などの活動を地域に周知することを目的に実施された。

 会場には同水害語り部の防災士・久保榮子さんの体験紙芝居や手作りの資料、和歌山県土砂災害啓発センターの活動や水害の実情を伝えるパネルなどが展示された。

 堀順一郎町長は「水害の記憶を後世に伝えていくことが重要。被害を最小限に食い止めるためには防災意識の向上が必要。改めて防災を考える機会としていただけたら」とあいさつした。

 町立色川中学校の生徒10人が「今、私たちにできること」と題し、取り組んできた防災学習の発表を行った。水害で口色川が被災しているため、地域の防災意識の低下を危惧し、色川小・中学校の児童・生徒が防災学習に継続して取り組んでいるという。

 児童らは地域の防災意識確認のために全戸のアンケートを取り、早期避難しない理由などを把握。防災パンフレットを作成して住民に配布した。啓発センターや町、町消防などから「色川地域は土砂災害が発生しやすい」「紀伊半島大水害の詳細」「非常食の作り方やパーティション、テントの設置」などを学んだと説明した。

 同校では敬老の日に高齢者宅を訪問する取り組みをしており、今年からは防災意識の向上のために、訪問時に防災対策の提案や早期避難の呼び掛けも行っているとした。生徒は「色川には若者が少ない。いざというときに高齢者を支える必要がある。中学生でもできることが多くあることを学んだ」。

 今後については「大好きな色川の自然と大切な人たちの命を守りたい。災害はどこで、いつ起きるか分からない。繰り返し学ぶことが大切。これからも避難の大切さを訴えていきたい」と締めくくった。

 そのほか、京都大学防災研究所流域災害研究センターの竹林洋史准教授が「土砂災害防止のための最新技術」を、国土技術政策総合研究所土砂災害研究部砂防研究室の主任研究官の木下篤彦さんが「大規模土砂災害対策技術センターでの10年間の研究成果」、県土砂災害啓発センターの坂口隆紀所長が「和歌山県土砂災害啓発センターの取り組み」、近畿地方整備局紀伊山系砂防事務所の田村友秀副所長が「紀伊山系砂防事務所のこれまでの取り組み」を講演・報告した。

 紀伊山系砂防事務所の山本悟司所長は「講演会を通して、災害や防災に関心を持っていただき、東日本大震災や紀伊半島大水害を思い出してほしい。災害はいつ発生するか分からないため、しっかりと準備をいただけたら」と語った。

(2022年1月20日付紙面より)

色川中学校の生徒が取り組んできた防災学習について発表した=18日、那智勝浦町の体育文化会館
紀伊半島大水害に関連するパネルが展示された
来場者ら
2022年01月20日
3 出火時の初動態勢を実践
 錦江山無量寺で防火訓練  (串本町 )

 串本町串本にある錦江山無量寺(東谷洞雲住職)で17日、防火訓練があり同寺と町教育委員会が両輪で出火時の初動態勢を実践するなどした。

 この訓練は文化財防火デー(1月26日)の趣旨に基づき実施。同寺は国の重要文化財指定を受ける襖絵(ふすまえ)(紙本墨画竜虎図)など貴重な寺宝を複数所蔵するため毎年、町教委と連携して町消防本部に指導を求めつつ出火時の初動確認に取り組んでいる。

 町教委によると、今年は本尊を安置する本堂からの出火を想定して訓練を開始。東谷住職らは消防への通報と消火器による初期消火、串本応挙芦雪館の職員らは来館者や拝観者の避難誘導、駆け付けた前芝雅嗣総代長ら総代は手分けして寺宝を門外へ運び出し自衛消防活動(消火栓からの放水準備)を試みつつ消防を待ち、消防は到着後速やかに同寺周辺に水利を得て放水するまでの手順を実践した。

 その後は消防から訓練講評を受け、訓練用水消火器を用いた使用訓練にも取り組んで火が小さいうちに対処するすべも磨いたという。

 東谷住職によると、昨年に消防から指摘された通報装置の不備解消が完了し今回は正常な作動が確認できたそう。他方、「あらかじめ手順を考えておくことが大事だと思った」と今回の訓練を振り返り、体制確立を今後の課題として見据えた。

 旧串本町域の同寺とともに、旧古座町域の薬王山成就寺と佛光山善照寺も隔年交互でこの訓練に取り組んでいて、今年は善照寺が2月2日(水)午前10時から実施予定となっている。

(2022年1月20日付紙面より)

消火栓からの放水準備の手順をこなす総代ら=17日、串本町串本(町教育委員会教育課提供)
訓練用水消火器を使って使用訓練に臨む東谷洞雲住職(右)ら(同提供)
2022年01月20日
4 西田健さん、無投票で5選
 「五つの項目を実行する」  (紀宝町長選 )

 任期満了(2月4日)に伴う紀宝町長選が18日に告示され、現職の西田健さん(73)=無所属=のほかに立候補の届け出がなく、西田さんが無投票で5選を果たした。同町長選の無投票は2014年以来8年ぶり。今月24日(月)に当選証書が付与される。

 西田さんは午前9時に同町鵜殿の選挙事務所前で第一声を放ち、選挙カーで町内を遊説。届け出が締め切られた午後5時すぎ、事務所前に戻ると、集まった支持者らから拍手で迎えられた。

 簡素化した祝賀式で後援会長の神園敏昭さんが「謙虚な気持ちで誇りと愛着の持てる魅力ある町づくりにまい進を」と西田さんを激励した。

 妻の雅代さんと共に、孫の栞菜さん(小6)、心音さん(小4)から花束を受け取った西田さんは「5期目の挑戦をさせていただき、無投票となったことは皆さま方のご支援のおかげ」と感謝した。

 5期目に向けて「約束した五つの項目を実行することが責務。『人の命が一番、子どもは町の宝、高齢者は町の誇り』と誇りと愛着の持てる魅力ある町づくりの取り組みを進めていく」と決意を述べた。

 西田さんは1948年、旧鵜殿村生まれ。72年に鵜殿村に奉職。産業建設課長、総務課長などを歴任し、2000年に鵜殿村長に初当選。06年に旧鵜殿村と旧紀宝町が合併して誕生した紀宝町の町長選で当選し、現在4期目。20年から県町村会会長、21年から全国町村会副会長を務めている。

(2022年1月20日付紙面より)

孫の栞菜さん(左端)から花束を受け取る西田健さん=18日、紀宝町鵜殿
2022年01月20日
5 「M―1」優勝で三重№1に  県大会3冠達成で有終の美  (有馬クラブ )
2022年01月20日
6 地震や風水害時の行動考える  神内小で防災体験学習  (紀宝町 )
2022年01月20日
7 基本的な感染防止の徹底を  町民に向けメッセージ  (那智勝浦町 )
2022年01月20日
8 不要不急の外出控えて  症状があればクリニック受診を  (和歌山県 )
2022年01月20日
9 力強い絵画で「火の用心!」  園児と婦人防火クラブがポスター制作  (新宮市三輪崎 )
2022年01月20日
10 地域の子ども守りたい  はま建装がマスクを寄贈  (北山村 )
2022年01月20日
11 皆さまに感謝伝えたい  わかば保育園が50周年  (那智勝浦町 )
2022年01月20日
12 クッキー作りに挑戦  下田児童館で子ども料理教室  (新宮市 )
2022年01月20日
13 住民税非課税給付を承認  町議会が第1回臨時会で  (古座川町 )
2022年01月20日
14 収穫追い込みを迎える  重畳山のポンカン生産  (串本町 )
2022年01月20日
15 当選者延べ491人決める  お年玉プレゼント抽選実施  (串本リリースタンプ会 )
2022年01月20日
16 お悔やみ情報
  
2022年01月18日
17 御燈祭りに向け安全確認
 神倉神社の石段検分  (新宮市 )

 新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社、神倉神社で17日、石段検分が行われた。2月6日(日)の「御燈祭(おとうまつ)り」に向け、関係者が石段の安全を点検。ひび割れなどが約47カ所見つかり、祭り当日までに修繕する。

 「御燈祭り」は1400年以上前から続くとされており、熊野速玉大社例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」と合わせて国の重要無形民俗文化財(重文)に指定されている。白装束に荒縄を巻いた「上(あ)がり子」と称する参拝者が神倉山上で松明(たいまつ)に御神火を受け、山門の開閉とともに急峻(きゅうしゅん)な石段を一気に駆け下る勇壮な祭りとして例年、全国から大勢の人が訪れている。

 今年は新型コロナウイルス感染症第6波の襲来を案じ、約2000人の上がり子が山門内に集結することによって長時間の3密が避けられない状況にあることを考慮。クラスター(感染者集団)が発生する危険が高くなると予想されることから、昨年同様、最少人数の神職と介釈(かいしゃく)のみで営まれる。当日は正午から神倉山への入山を制限し、報道関係者や一般撮影者の入山も禁止。翌7日(月)の御燈祭り奉祝祭、餅まきも中止する。

 点検には同大社、神倉神社奉賛会(猪飼三雄会長)、神倉青年団(中山忠吏団長)などから6人が参加。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝(1147~99年)が寄進したと伝わる自然石を積み上げた538段の石段を一段ずつチェックし、石が動くなどの問題箇所にチョークで印を付けていった。

 猪飼会長は「奉賛会として準備などは例年通り進めている。昨年に続いての規模縮小は非常に残念ですが、現在の状況を考えると仕方ありません。『来年こそ』の思いを持って、再び勇壮な祭りができることを信じています」と話していた。

(2022年1月18日付紙面より)

石段の点検を行う祭り関係者たち=17日、新宮市の神倉神社
2022年01月18日
18 本州最南端で芝焼き作業
 役職員らが消防と両輪で  (南紀串本観光協会 )

 南紀串本観光協会(島野利之会長)が14日、串本町潮岬にある望楼の芝の芝焼き作業に取り組んだ。敷地外への延焼防止のため同町消防本部(寺島正彦消防長)も協力。両輪で芝地のほぼ全面を焼き尽くした。

 この芝焼きは、枯れ芝に火を放って害虫を駆除し、地中にある芝の芽吹きを促す管理手法として1983年から実施。97年に本州最南端の知名度向上による観光の発展を期してイベント化、後に日没後に実施するようになり現在は1月最終土曜日を期日とするイベント「本州最南端の火祭り」として回を重ねるところとなっている。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、昨年に続いて今年もイベントの中止を発表済み。他方で芝焼きは例年の管理として行う必要があるため、今年もイベントに向け事前にしている部分焼き(芝地の外周など一部を焼き延焼防止を図る作業)を全面焼きに振り替えてこの日行うに至った。

 当日は同協会の役職員や会員ら15人(ゲスト2人を除く)と同本部20人が作業に参加。同本部の事前散水と風向きを踏まえた判断に基づいて枯れ芝に火を放ち、広がる炎の動向を見ながらその範囲を広げて既設キャンプ場や木立、旭の森や最外縁(クロスカントリーコースより外側)を除く芝地を焼いた。

 今年の枯れ芝は例年より短かったが風が強く、作業は2時間弱で完了したという。島野会長(54)は「2年続けての中止で残念な思いはあるけれど、来年の今頃は小型ロケットの打ち上げ開始が見込まれコロナが落ち着けば近いタイミングで本州最南端の火祭りもできると思う。他のイベントも中止が続いている状況なので、来年こそはコロナに十分注意しながらでも何とかやって観光を盛り上げていきたい」と思うところを語り、役職員や会員による芝焼き作業を支えていた。

(2022年1月18日付紙面より)

枯れ芝に火を放って焼く南紀串本観光協会の関係者ら=14日、串本町潮岬
2022年01月18日
19 町内の安全無事を祈願
 海翁禅寺で秋葉山大権現祈祷  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町勝浦の臨済宗海翁禅寺(武内宗隆住職)で15日、一年の間、町内で火災や盗難がないよう祈願する「火盗守護秋葉山大権現御祈祷(きとう)」が営まれた。昨年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から寺族のみで実施したが、今年は例年通り、町消防団(下地将仁団長)の幹部や団員8人が参列した。

 前夜には規模を縮小してどんど焼きを行ったが、昨年に引き続き、3密を避けるために15日の餅まきは中止とした。

 祈祷前には境内の鐘が鳴らされ、幹部らが供え物を持ち、一行は山頂の祠(ほこら)へ向かった。武内住職と武内洪淵(こうえん)副住職が読経を行い、火伏せの神として知られる「火盗守護秋葉山大権現」に今年の平穏無事を祈願した。

 また、この日は洪淵副住職の息子の弥那人(みなと)君(勝浦小1)も法衣を身に着け、初参列した。

 下地団長は「秋葉山大権現は勝浦の町を守る火の神様。町内で火事がないように安全祈願するとともにコロナ終息も願いました」。

 洪淵副住職は「普段は病気平癒なども願うが、今日は火盗守護の秋葉山大権現の祈祷。火事や盗難が少しでも減少することを祈願しました」と話した。

 武内住職は「昨年はお寺のみで営んだが、今年は消防団の皆さまも来ていただけた。コロナ終息も含め、町内の皆さまが無事で安全に過ごせるように祈願しました」と語った。

 なお、同寺の「火盗守護秋葉山大権現」は町消防団が願主となって建立され、1969(昭和44)年に同寺総檀家が再建したという。

(2022年1月18日付紙面より)

秋葉山大権現祈祷が営まれた=15日、那智勝浦町の海翁禅寺上の山頂
2022年01月18日
20 西田氏、5選の公算大  18日に告示、無投票か  (紀宝町長選 )
2022年01月18日
21 消火器の取り扱い学ぶ  相野谷小学校で防災訓練  
2022年01月18日
22 「健次は生涯熊野を愛した」  作家・中上紀さんが講演  (熊野市 )
2022年01月18日
23 食事や栄養など学ぶ  いきいきサロン三四朗  (那智勝浦町 )
2022年01月18日
24 新年の集いで誓い新た  新宮支部が安全祈願祭など  (県自動車整備振興会 )
2022年01月18日
25 正月遊びを楽しむ  中央児童館でかるた大会  (新宮市 )
2022年01月18日
26 新宮城跡を広くPR  総勢30人で保全清掃活動  (新宮YEG )
2022年01月18日
27 脱穀で得たもみを白米に  高池小5年生が精米体験  (古座川町 )
2022年01月18日
28 串本90㌢、浦神50㌢の津波  和歌山・三重に一時注意報  
2022年01月18日
29 お悔やみ情報
  
2022年01月14日
30 広げよう、赤い羽根
 市内小学生の絵はがきを審査  (新宮市 )

 新宮市野田の市福祉センターで12日、令和3年度赤い羽根絵はがきコンクール審査会があった。市共同募金委員会が主催。同委員会長の田岡実千年市長と社会福祉法人和歌山県共同募金会の髙瀨一郎常務理事、大谷和也副主査、市社会福祉協議会の大谷康央事務局長が審査員を務め、市内5小学校の児童から寄せられた作品を審査。県共同募金会会長賞などに6作品を選んだ。

 赤い羽根共同募金は戦後復興の一助として1947年に始まった住民主体の活動。当初は戦後復興の一助として、被災した福祉施設を中心に支援が行われ、その後、法律(現在の「社会福祉法」)に基づき、地域福祉の推進のために活用されてきた。

 現在は、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、さまざまな地域福祉の課題解決に取り組む民間団体を応援する「じぶんの町を良くするしくみ」として取り組みを展開している。

 10月からの運動期間に合わせ、市では市内の子どもたちに街頭募金への協力を呼び掛け運動を展開。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響でおととしの募金活動は中止となり、昨年は田岡市長や市社会福祉協議会職員らが市内で募金への協力を呼び掛けた。

 そんな昨今のコロナ情勢を鑑み「活動が制限される中でも子どもたちに広く運動および活動の趣旨を伝えることができれば」と同コンクールを初企画。昨年秋に市社協職員らが市内小学校でオンラインを交えながら「赤い羽根共同募金」の授業を実施しつつ、「私たちの町でみつけた! 人のつながり」をテーマに定めたコンクールへの参加を呼び掛けていた。

 第1回のコンクールには、短い募集期間(昨年10月1~31日)にもかかわらず196枚の作品が寄せられた。審査会では最終審査に残った109枚から田岡市長らが▽県共同募金会会長賞(1点)▽市共同募金委員会会長賞(同)▽市社会福祉協議会賞(同)▽審査員特別賞(3点)―を選定。「こういうふうに使われているというメッセージ性が高い」「絵から作品テーマである、人のつながりが感じられる」「共同募金の意味を理解してくれている」などと講評した。

 審査を終え、田岡市長は「レベルの高さに驚いた。この取り組みが共同募金の理解につながっていくことを願います。たくさんの応募に感謝」と話していた。

 応募作品は2月以降に市福祉センターで展示予定。入賞作品は市社協広報紙「Assist(アシスト)」3月号にて掲載されるほか、3月には表彰式も予定している。

(2022年1月14日付紙面より)

作品を審査する和歌山県共同募金会の髙瀨一郎常務理事(左写真手前)、田岡実千年市長(右写真)=12日、新宮市福祉センター
2022年01月14日
31 「来年こそ」の思い諦めず
 塩竈神社で「脊美祭り」神事斎行  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町浦神の塩竈(しおがま)神社(井谷正守宮司)で9日、伝統の「脊美(せみ)祭り」が営まれた。祭り関係者約10人が参列し、商売繁盛や船の安全などを祈願した。

 脊美まつり保存会(会長=並川廣・浦神西区長)が祭りや歴史を継承し、古来捕鯨の歴史を持つ同区でセミクジラを模したわら製の「脊美」を縁起物として用いる祭り。過去には成人の儀式として行われていたとされている。長年、捕鯨文化を継承していることから2016年に日本遺産「鯨とともに生きる」に認定された。

 例年は井谷宮司が「鬼」と書かれた的を矢で射抜くと同時に、3人の脊美子が取り付けられた脊美を一斉につかみ取り西区区民会館まで全力で駆け抜ける儀式や東区の勇義社(畑下圭喜社長)による勇壮な獅子舞奉納、脊美音頭などを披露しているが、新型コロナウイルス感染症の影響から昨年に続いて規模を縮小し、神事のみの斎行となった。

 厳かな雰囲気の中、井谷宮司が神事を執り行い祝詞を奏上。参列者が玉串をささげていき、コロナ収束を願った。

 並川区長は「無事に神事を終え安心した反面、2年連続の規模縮小はつらい。私たちはじめ、世話人の方々の高齢化も進んでくるため、伝統を引き継ぎながらも祭事の改善を考えなければならないのではと思っています。来年こそは通常の祭りができるよう、諦めずに信じていければ」と話していた。

(2022年1月14日付紙面より)

多くの思いを祈願し神事を執り行う井谷正守宮司=9日、那智勝浦町浦神の塩竈神社
祭り関係者が玉串をささげた
2022年01月14日
32 警察との連携意識し救助
 関係機関等と合同で訓練  (串本警察署 )

 串本町上野山にある上野山防災広場で12日、串本警察署(泉政勝署長)とその関係機関等合同の災害警備訓練があった。大規模災害発生時の警察との連携を意識して関係機関等も救助訓練に臨む内容で、南海トラフを震源域とする大地震発生から6時間後という想定で態勢構築から救助まで一連の流れを実践した。

 この訓練は、同署が阪神・淡路大震災の期日を踏まえて計画。同署現地本部を軸にして連携し人命救助の態勢を構築して実動する内容で関係機関等に合流を呼び掛けた。

 当日は▽県警本部(警備部警備課・警備部機動隊・生活安全部地域指導課警察航空隊・串本警察署)▽航空自衛隊串本分屯基地▽串本町消防本部古座消防署▽串本海上保安署▽串本町役場▽株式会社POS▽県災害救助犬協会―の7機関42人が参加し、救助関係諸機関未踏の被災地に態勢を構築するところから訓練を始めた。

 県警ヘリ「きのくに」と串本警察署配備のオフロードバイクで被害状況を確認し、得た情報を防災相互通信用無線機や衛星電話を用いて関係機関などと共有し応援を要請。株式会社POSと県災害救助犬協会が調査に協力して倒壊家屋と損壊車両に閉じ込められた要救助者を発見し、同家屋は消防が救出して海保が搬送、同車両は警察が救出し自衛隊が搬送する形で救助を実践した。

 警察と消防が有するそれぞれの救出に秀でた資機材とその操作技術を被災地で最大限行使するために他の機関が調査や捜索、要救助者の搬送やがれき撤去などの支援をし、被災地における災害対処能力を効率的に引き出すのが今回の連携の全体像。

 同基地の中津洋紀司令と共に訓練の始終を見届けた泉署長は同訓練の主眼を参加人員に改めて伝え「どの機関も真摯に取り組み、成果があったと思う」と講評。「訓練に終わりなし。要救助者を救える仕事に就いている自覚を持ち、自身や同僚、第三者を危険にさらさないため今後も向上を目指して(訓練を)継続してほしい」と呼び掛けて締めくくった。

(2022年1月14日付紙面より)

損壊車両から要救助者(ダミー人形)を救出する串本警察署の署員=12日、串本町上野山
串本警察署現地本部の指示に基づき消防と海保が連携して倒壊家屋の要救助者を救出
2022年01月14日
33 コロナ収束と豊作願い
 熊野那智大社にまりひめ奉納  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町苺(いちご)生産組合(桒野稔近(くわの・としちか)組合長)とJAみくまの農業協同組合が13日、熊野那智大社(男成洋三宮司)に和歌山県のオリジナル品種のイチゴ「まりひめ」約9㌔を奉納した。

 那智勝浦町産のイチゴの振興と豊作を願い、この時季に毎年奉納している。今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、昨年に引き続き生産農家や町立市野々小学校児童、同生産組合のマスコットキャラクター「まりりん」、同町イメージキャラクターの「なっちー」らの参列をやめ、平安衣装によるイチゴの振る舞いも中止とした。

 神事には桒野組合長と坂地安明副組合長、JAみくまの農業協同組合職員ら合わせて4人が参列。巫女(みこ)が「那智の瀧舞」を奉納し、代表して桒野組合長が玉串をささげた。

 最盛期には、栽培面積4・5㌶で45人のイチゴ農家が生産に従事していた同組合。しかし生産者の高齢化などが原因で栽培が減少傾向となっていた。

 現在は若者を中心に再建され、9軒の農家が約65㌃の農地でイチゴを栽培している。まりひめは紀州の伝統工芸品「紀州手まり」にちなみ、命名された東牟婁地方を代表する特産品。同町太田地区が主要産地で、果実は大きめで甘味が強く酸味もほどよいのが特徴だ。

 神事後、男成宮司は「新型コロナの影響で厳しい状況にあるが、町を代表する果物を心待ちにしている人も多い。豊作と組合の発展、農家の皆さまのご健勝をお祈りしております」と感謝。

 桒野組合長は「前年に比べて採れ出しも早く味も良かった。年末には観光客も多く売れ行きが良かった」としつつも「今年に入ってまた感染が拡大しつつある。観光客の減少はイチゴや農業にも関係してくる。早期のコロナ収束を願っています」と話した。

 「まりひめ」は現在、出荷のピークを迎えている。

(2022年1月14日付紙面より)

まりひめ約9㌔を奉納した=13日、那智勝浦町の熊野那智大社(一時的にマスクを外して撮影)
2022年01月14日
34 競技普及のきっかけに
 バレーボール体験会  (新宮バレーボールスポーツ少年団 )
2022年01月14日
35 心身鍛え技術向上目指す
 OBらも参加し伝統の寒稽古  (新宮剣友会 )
2022年01月14日
36 女子サッカーの普及願い
 新宮高とトルベリーノが合同合宿  
2022年01月14日
37 「里親を知って」  巡回パネル展始まる  (那智勝浦町 )
2022年01月14日
38 ごみ減量や適正処理に向け  基本計画素案に対する意見募集中  (新宮市 )
2022年01月14日
39 毎日来るセキレイが心癒やす  井関の笠木千枝子さん  (那智勝浦町 )
2022年01月14日
40 お正月遊びを楽しもう!  くろしお児童館で伝統的な遊び  (新宮市 )
2022年01月14日
41 片山さん、小栗須さん六段に  紀南剣道連盟が初稽古会  
2022年01月14日
42 なぎ看護学校に7年連続合格  9年連続就職率100%達成  (紀南高校 )
2022年01月14日
43 3市町の各チームに寄贈  美し国三重市町対抗駅伝  (JA伊勢 )
2022年01月14日
44 一般高齢者、2月から開始  新型コロナワクチン追加接種  (紀宝町 )
2022年01月14日
45 二刀流でまちづくりを推進  宇宙コース新設受けて町長  (串本町 )
2022年01月14日
46 展示や体験で意識を促す  24日まで防災企画を実施  (南紀熊野GPC )
2022年01月14日
47 峯の薬師如来堂で厨子開扉  守護職・水本一男さん奉仕  (古座川町 )
2022年01月12日
48 防災力の向上目指し
 2年ぶりに消防出初め式  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町の体育文化会館で9日、令和4年消防出初め式があった。各分団の幹部や来賓ら約40人が出席。防災活動に尽力した団員らを表彰したほか、防災力向上への誓いを新たにした。

 新型コロナウイルス感染症の影響で昨年の出初め式が中止となったため2年ぶりの開催となった。感染防止対策の観点から規模を縮小し無観客で挙行。多くの町民が見学に訪れるパレードや一斉放水も中止とした。

 式典では殉職消防団員に対する黙とうに続き、国歌と町歌を静聴。

 昨年春の叙勲で瑞宝単光章を受章した元消防団長・貝岐昌志さんと、秋の叙勲で同じく瑞宝単光章を受章した元副団長・竹原昌男さんをたたえ、令和3年度県消防協会総裁表彰、東牟婁地域消防協会優良消防職団員表彰、町長表彰、消防長表彰、消防団長表彰が行われた。

 堀順一郎町長は受章者や団員らの尽力や新型コロナウイルス感染対策への協力に敬意と感謝を示し「自然災害などの被害を最小限にとどめるためには施設面の整備を進めるのも当然だが、町民の安心安全のためには一人一人の防災意識の向上も必要」と式辞。

 津波浸水域にある消防本部の高台移転や災害発生時に対策本部となる防災センターを併設するなどの対策を進めているとし「一人の命も失わないという精神の下、有事の際には迅速な行動ができるよう研さんを。また、それぞれの地域において町民の防災意識の啓発・向上にご協力を」と呼び掛けた。

 湯川辰也消防長は「新型コロナウイルス感染症の影響で引き続き厳しい状況が続いているが、災害はいつ何時発生するか分からない。町民の生命、身体および財産を守る崇高な使命を達成するため、引き続き基本的な感染対策を行いながら消防団活動に尽力を」とあいさつ。来賓の荒尾典男町議会議長、玉置昌彦・東牟婁振興局地域振興部長、谷洋一県議会議員がそれぞれ祝辞を述べた。

 下地将仁団長は「自分たちの地域は自分たちで守るという基本理念の下、町民が安心して暮らせるように消防人としての自覚と誇りを持ち、災害対応力の向上に努め、日夜訓練を重ねていく」と訓示した。

(2022年1月12日付紙面より)

各受章者を表彰した=9日、那智勝浦町の体育文化会館
2022年01月12日
49 コロナ終息や商売繁盛など願い
 熊野速玉大社で恵比寿祭  (新宮市 )

 新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)境内の熊野恵比寿(えびす)神社で10日、恵比寿祭(恵比寿神社例大祭)が執り行われた。神職らが参列し、新型コロナウイルスの終息などを祈願した。

 例年では商売繁盛や家内安全などを願い、前日夜の宵宮から縁起物の福笹(ふくざさ)や熊手を買い求める多くの人々でにぎわいを見せる同大社の「十日えびす」。

 今年は新型コロナウイルス感染拡大の観点から昨年に引き続き、規模を縮小し神事のみを斎行。えびす様の御利益にあやかろうと、地域住民らが祭司を務めた上野潤権宮司に続いて玉串をささげた。

 神事を終え、上野権宮司は「新型コロナの影響で今年も福笹など縁起物の設置はできなかったが神事斎行に当たり多くの問い合わせがあった。こういった状況でも忘れていない人が多いとうれしく感じた」とあいさつ。

 「『虎口を脱する』ということわざもあるが、今年は光に満ちあふれて一日でも早く日常が戻り、来年こそは祭りが盛大に執り行われるようになれば」と話した。

(2022年1月12日付紙面より)

地域の発展やコロナ終息を祈願し、上野潤権宮司らが玉串をささげた=10日、熊野速玉大社境内の熊野恵比寿神社
2022年01月12日
50 6事業者連携し体験提供
 キャンプ主題にして実証  (古座川町 )

 古座川町で8、9日に6事業者連携によるキャンプイベントがあり、モニター客16人を受け入れてその在り方に対する意見を求めるなどした。

 このイベントは、同町観光協会を事務局とする複数の事業者で本年度に展開している「産学官民連携による観光型過疎地域課題解決実証事業」の一環。今回連携した事業者は▽古座川ジビエ山の光工房▽HYGGE▽田上おとり店▽北海道大学和歌山研究林▽Yocco▽古座川町観光協会―で、事業者からの誘い掛けに応えた芸能人を含む16人がモニター客として協力した。

 事業者はそれぞれの得意を発揮して連携し、テントの設営やまき割り、地元の食材を取り入れたキャンプ飯作り、各種体験(鹿革クラフト・木工クラフト・毛鉤(けばり)作り)やテントサウナなどの各体験を提供。モニター客は事業者の趣向を凝らした進め方にも触れながら2日間の行程を過ごし、その内容に対して意見を還元するなどした。

 同事業は観光庁「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業」の採択を受けて展開していて、昨年10月にスタディケーション、11月にワーケーション、そして同イベントを実施し、これら領域に対応する資源提供を域内連携で形作ることを実践した。今月は日本航空株式会社(JAL)の協力を得てワーケーションも19日(水)から実施予定。以降はこれら実証の成果を今後の課題解決に生かすため事業者間で共有しつつ、観光庁に報告する流れとなっている。

(2022年1月12日付紙面より)

キャンプイベントの一端、鹿肉ソーセージ作りの実演の様子=8日、古座川町相瀬
2022年01月12日
51 110番の適正利用を
 署員らが広報啓発  (新宮警察署 )

 警察庁が定める「110番の日」である10日、新宮警察署(山田守孝署長)は新宮市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店などで、110番の適正利用を呼び掛ける啓発活動を実施した。

 新宮署によると、2021年中の110番受理件数は6万2843件。うち、いたずらや間違い、無応答などの非有効は1万131件で昨年と比較し1285件の減少となった。主な通知内容は交通事故関係が29%と最も多くを占めている。

 同店正面入り口では和歌山県警のマスコット「きしゅう君」や署員、交番連絡協議会員ら11人が買い物客に対し、啓発物資を配布。「110番の適正利用をお願いします」と声掛けした。

 同署ではいたずら電話や間違い電話の110番によって、事件・事故などによる緊急の110番がつながりにくくなるため、犯人摘発や被害者救護の妨げになる可能性があると危惧しているとした。

 南良太地域課長は「緊急でない場合や問い合わせ、相談などは警察相談窓口(073・432・0110または#9110)に通報してください。適切な110番のご利用をどうぞ、お願いいたします」と話した。

 なお、同署では110番通報のポイントとして▽何があった(不審な人影など)▽どこで(場所、目印など)▽いつ▽犯人は(どの方向へ、服装は、人相は)▽今、どうなっている▽通報者の名前、住所、電話番号を慌てず伝える―の六つを挙げている。

 この日はイオン新宮店、JR新宮駅から出発するくろしお22号車内(JR紀伊勝浦駅までの区間)でも啓発を行った。

(2022年1月12日付紙面より)

110番の適正利用などを呼び掛けた=10日、新宮市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店
2022年01月12日
52 次回はキラフェス復活したい  イルミネーション撤収作業  (光の祭典in紀宝 )
2022年01月12日
53 具体的な目標を立てよう  小中学校で3学期始業式  (熊野市・南郡 )
2022年01月12日
54 全校生徒が共に完成祝う  大規模改修工事竣工式  (矢渕中 )
2022年01月12日
55 「停滞する町の復活を」  和泉行洋氏が事務所開き  (那智勝浦町長選 )
2022年01月12日
56 コロナ対策徹底・継続を  公立小中学校で始業式  (新宮・東牟婁 )
2022年01月12日
57 平癒願い枝打ち鳴らす  大泰寺、初薬師で本尊開帳も  (那智勝浦町 )
2022年01月12日
58 芳香漂わせつつ花盛り  樫野埼灯台のスイセン  (串本町 )
2022年01月12日
59 使命再確認し士気高める  事始め行事「消防出初め式」  (串本町・古座川町 )
2022年01月12日
60 お悔やみ情報
  
2022年01月07日
61 新春年賀会で決意新た
 新宮商工会議所  

 新宮市井の沢の新宮ユーアイホテルで5日、新宮商工会議所(関康之会頭)の新春年賀会が開催された。2年ぶりとなった今年の年賀会は、新型コロナウイルス感染症の情勢を踏まえ規模を縮小して実施。同会議所役員ら30人が出席し、新春をことほいだ。

 関会頭は冒頭のあいさつで、昨年はコロナ禍で多くの行事やイベントが中止となる中、市文化複合施設「丹鶴ホール」の開館や、串本太地道路起工式などの明るい話題もあったと振り返り「オミクロン株や人口減少・少子高齢化に伴う人手・人材不足、後継者問題など多くの事案があるが、中小企業が抱えるさまざまな諸問題に積極的に取り組み、経営改善普及事業をはじめ引き続き事業者に寄り添った伴走型の経営支援を行っていく」と誓いを新たにした。

 来賓として出席した田岡実千年市長は、長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」紀南コース運行や新宮港へのクルーズ客船入港がもたらす交流人口増加について触れるとともに、3月から運航開始予定の瀞峡観光船の集客効果にも期待し「今年はサイクルツーリズムにも力を入れていきたい」。

 「ウィズコロナ、アフターコロナを見据えてしっかりと準備をしなければ。皆さんのお力をお借りしながら、新宮市の魅力を発信していきたい」とあいさつした。

 榎本鉄也市議会議長は「コロナ禍も3年目を迎えるが、感染症の収束後には歴史が大きく変貌してきた史実がある。前向きに、市長と市議会が一丸となって問題に取り組み、市民の努力が報われる新宮市につながっていくように頑張りたい」。

 濱口太史県議は「県としても感染拡大を少しでも抑えるための対策に取り組んでいるが、経済は大きなダメージを受けている。疫病にも耐えられる体をつくることはひいてはまちの発展にもつながる」と述べ、市の発展に力を尽くすとした。

 同商工会議所の夏山晃一顧問が、同市出身の岩出雅之監督率いる帝京大学ラグビー部の活躍を明るい話題として紹介し乾杯の音頭。新年の門出を祝った。

(2022年1月7日付紙面より)

夏山晃一顧問の音頭で乾杯した=5日、新宮市井の沢の新宮ユーアイホテル
関康之会頭
2022年01月07日
62 全国女子駅伝選抜を報告
 潮岬在住の久保凛さんら  (串本町 )

 串本町潮岬在住の久保凛さん(13)=潮岬中2年=らが5日、皇后盃第40回全国都道府県対抗女子駅伝競争大会の和歌山県チームメンバーに選抜されたことを田嶋勝正町長へ報告した。

 この大会は、都道府県ごとに中学2年生~社会人選手で結成したチームを対象として年1回、京都市を舞台にし日本陸上競技連盟が主催している。西京極総合運動公園たけびしスタジアム京都をスタート・ゴール地点とする全長42・195㌔の折り返しコースを9区間でつなぐ駅伝で、第3、8区(いずれも距離3㌔)が中学生限定区間となっている。

 和歌山県チームを結成する和歌山陸上競技協会は昨年11月下旬実施の主催事業「第6回記録会」中学女子3000㍍種目を第3、8区走者候補の選考会と位置付け。久保さんは記録9分51秒99で1位となり、メンバーに選抜された。「出たいなと思っていた大会なので、メンバーに選ばれてうれしかった」と念願の選抜を喜んでいる。

 この日は祖母でありジュニア駅伝串本町チーム監督の久保浩子さんや教育委員会教育課の山崎幸三さんらと共に報告に臨み、田嶋町長は「県代表に選ばれるのは素晴らしいこと。最高のコンディションで最大の力を出して頑張ってほしい」と激励するなどした。

 同大会は16日(日)午後0時30分スタート予定。同県チームはその直前で選抜3人(同種目1~3位)の中から出走者を決めるとしていて、良好にコンディションと実力を保てれば1位の久保凛さんの出走は大いに期待できるという。久保さんは「走るかどうかはまだ分からないけれど、走るなら前の人をできる限り抜いて次の人(=第4区走者)につなぎたい」と実現の自信をにじませながら意気込みを語った。

 同大会を共催する日本放送協会(NHK)によると5日現在、実施時はNHK総合テレビなどで様子を報じる予定という。

(2022年1月7日付紙面より)

全国女子駅伝和歌山県チームメンバー選抜を報告する久保凛さん(中)ら=5日、串本町役場
2022年01月07日
63 共通の目的持ち進む
 賀詞交歓会で結束固める  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町の南紀くろしお商工会は、一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT)、町水産振興会、南紀勝浦温泉旅館組合の協力の下に5日、町体育文化会館で、2年ぶりとなる「新春の集い!~賀詞交歓会~」を開き、関係者ら約70人が参加した。

 賀詞交歓会は商工業、観光、水産が一体となり町の活性化に寄与することが目的。新型コロナウイルス流行前までは毎年開催されていた。

 南紀くろしお商工会の森川起安会長は、コロナ禍の現状からGoToトラベルキャンペーンの再開やインバウンドが戻ってくることなどに触れ、終息後が肝要だと主張。今回配布されたパンフレットの「目的に向かって準備を積み重ねる時」「ポストコロナに向け、(略)共通の目的を持って、持続可能な取組を図っていきましょう」の一文を紹介した。

 今後については「観光協会の解散を巡ってさまざまなことがあったが、ラグビーで言うところの『ノーサイド』としてはどうか。熊野信仰やよみがえりの地、風光明媚(めいび)な自然、温泉、マグロがある那智勝浦町にとって最大のチャンスになる。行政や関係機関、団体、地域が一つとなって進む寅(とら)年であってほしい」と話した。

 堀順一郎町長はこれまで町が実施してきたまちなか商品券などのコロナ対策や新宮市立医療センター産婦人科の分娩(ぶんべん)予約休止に関する対応など報告。「観光客は文化や幸せな町を見に来る。そのためには町民の方々が幸せと思えるような町にしていきたい」と語った。

 また、この日は感染症対策のため、国歌や「一月一日」は歌わず、曲が流されたほか、恒例の鏡割りも行わなかった。荒尾典男町議会議長の乾杯の後、出席者は新年の抱負などを歓談し、交流した。

(2022年1月7日付紙面より)

町の発展を祈り乾杯した=5日、那智勝浦町体育文化会館
2022年01月07日
64 新春の森にかれんな花  バイカオウレン咲く  (古座川町 )
2022年01月07日
65 農福連携食品5品で認証  規格「ノウフクJAS」  (エコ工房四季 )
2022年01月07日
66 接種問わず検査など無料  和歌山県  
2022年01月07日
67 185人乗せ、にっぽん丸入港  新宮市  
2022年01月07日
68 若い人に贈る読書のすすめ  新宮市立図書館  
2022年01月07日
69 渡邉小姫さんが特別賞  中学生人権作文コンテスト  (那智勝浦町 )
2022年01月07日
70 町の安心、安全確保を決意  御浜町消防出初め式  
2022年01月07日
71 熊野大花火大会開催へ意欲  河上市長が年頭会見  (熊野市 )
2022年01月07日
72 団員一丸で防災意識誓う 感染症対策講じて消防出初め式 (紀宝町)
2022年01月07日
73 この一年、どんな年に?  新宮高校で始業式  
2022年01月07日
74 お悔やみ情報
  
2022年01月01日
75 絆つなぎ、次世代へ
 手を取り合い、里山守る「くまの里山」  (那智勝浦町 )

 「鍋のふたはまだ開けたらあかんで」「うどんは何味にするん」「みんなで食べるとおいしいよ」「残りは家に持って帰ったらええよ」「今日は忘年会やね」—。和気あいあいと屋外で昼食を作り、広大な自然をさかなに食事を楽しみ、会話に花を咲かせる人々。古き良き日本の原風景が今もここには残っている。この里山を守るべく活動する那智勝浦町高津気(こうづけ)の「くまの里山」を取材した。

 「くまの里山」は2007年に高津気地区の清源寺(せいげんじ)に覆いかぶさろうとする竹から寺を守るために組織された「高津気竹灯りの会」が母体。その後、農業を身近なものとし、里山に残る食文化や先人の教えを次世代につなぐとともに、耕作放棄地の再生と里山の保存のために新たな組織の存在が必要となった。

 しかし、会員で協議した結果、里山を守るには人口が少なく、高齢化率の高い同地区だけでは難しいと判断。町内外の人々の力を借りながら活動していきたいという思いから「くまの里山」と名付け、新組織が発足した。

 91歳を迎える最高齢の東阪景子さんを含む、各地域から21人の会員が集まった。

 その後は和歌山県の「農業農村活性化支援モデル事業」などを活用し▽オーナー制トウモロコシ栽培▽加工を目的としたラベンダー栽培▽食品加工を目的としたタカナやサトイモ、ニンニクなどの農作物栽培▽オーナー制タマネギ栽培▽サトイモを使用した茎漬け講習会▽たくあん漬け講習会▽子ども参加型めはり寿司教室▽生け花やミニ門松、しめ縄教室▽ジャガイモ収穫イベント▽しめ縄制作と販売▽サツマイモ収穫体験▽落花生収穫体験—など多岐にわたる活動を展開。

 オーナー制タマネギ栽培や落花生の収穫体験では多くの親子が参加する人気の催しとなっており、参加者が自然と触れ合い、農業や耕作放棄地への理解を深める機会につながっている。

 また、総延長が150㌔あるといわれ、保存状態が良い同地区の熊野列石(通称・しし垣)も有名。各地からの見物者も多く、会員らは保全活動にも尽力している。

 2020年には橋本市の学校法人きのくに子どもの村学園のきのくに子どもの村中学校の生徒を迎え、会員らが案内。しし垣の歴史や役割、里山の素晴らしさを伝えた。

  □     □

■数ある課題と向き合う



 力を合わせ日々奮闘している「くまの里山」だが、増え続ける耕作放棄地や組織の運営資金、押し寄せる高齢化の波などを課題に挙げる。それらの解決には屋台骨である組織の拡充が必要となり、一定の収益を見込まなくてはならないという。

 代表を務める西美恵子さんは「まずは会員のお弁当代だけでもなんとかしたい。お年寄りから子どもたちへ文化や歴史を継承していくためにも組織づくりが重要になる。皆さまが楽しみながらできる手仕事や新たな事業にも力を入れたい」と抱負を述べる。

 西さんら中心メンバーは、乾燥した麦わらを糸でつないで作るフィンランド伝統の装飾品「ヒンメリ」にも目を向けている。国内でも人気が高まっていることから、里山の耕作放棄地を生かして麦を育て、その麦をヒンメリの作り手に提供することも模索していると話す。

 高齢化については、活動の原点である農業をけん引してきた高齢メンバーが、年齢や肉体的な問題から作業に加わることができない現状もある。「くまの里山」ではその高齢メンバーに各体験の際に提供する振る舞い作りや受付係など、これまでとは違った役割で活動に参加してもらっている。

 互いにさまざまな形で支え合って里山を守り、生きがいを創出する姿は新たな「農業と福祉の連携」につながるのかもしれない。

  □     □

■今後の挑戦について



 今後は西さん所有の空き家を拠点とし、「先進地への視察」「地域住民の居場所づくり」「アサギマダラの休憩所整備」「防災と郷土食づくりを掛け合わせた体験」「会員制交流サイト(SNS)の活用による里山の発信」などにも取り組んでいく方針だ。

 西さんは「里山が元気でないと産業廃棄物の捨て場になる可能性が高い。そうなると海へとつながる水源が汚染されてしまう。山村と漁村は水の絆でつながっている」と語った。

 会合の際は屋外で火をたいて調理し、自然の中で食卓を囲むのが「くまの里山」流。会員同士もおかずを持ち寄り、食べきれないほどの料理がテーブルに並ぶ。

 それらの料理に彩りを添え、味を向上させるのがあふれる笑顔と会話の数々。まばゆいほどの明るさは希望となって、太陽とともに里山を照らし続けていくことだろう。山でつないだ手と絆が清流とともに海に流れ込み、里山と地域をつなぐ懸け橋となるはずだ。

(2022年1月1日付紙面より)

環境や文化を次世代へつなぐため奮闘する「くまの里山」の皆さん
町内外から多くの人々が参加する体験会
会合の際は屋外で調理
日本の原風景がここにある
2022年01月01日
76 孤立させない 今、必要な場
 寄り添い奮闘する現場「ママが元気でいて」  (コロナ禍の子育て支援 )

 コロナ禍の今、親と子を孤立させないために必要な子育て支援は何か―。核家族化と女性の社会進出で子育て家庭の孤立化が叫ばれる中、コロナ禍はそれに拍車を掛けた。初めての育児に周囲の手が差し伸べられず、同じ立場の母親たちと悩みを共有できないのは苦しい。再び感染拡大しても、親子の駆け込み寺的役割を果たす、子育て支援の場は守らなければならない。母親たちに寄り添いながら奮闘する現場の声を聞いた。

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◇他愛もない話を

 よく晴れた昨年11月の午前、紀宝町子育て支援センターには10組ほどの親子が訪れ、0歳から2歳までの子どもたちが思い思いに遊んでいた。そばでは母親とベテラン保育士が日々の成長を語り合ったり、母親同士で会話を楽しんだりしている。見守るセンター長の保育士・淡海順子(たんかい・のりこ)さんは「他愛もない話をして、笑って遊んで、子どもと共感し合える場所。お母さんが元気であってほしい」と目を細める。

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◇悩み解決することも

 センターは町立図書館との複合施設「紀宝はぐくみの森」2階で平日に開設されている。遊び場には2~3人の保育士が常駐し、子どもにさまざまな遊びを提供したり、保護者の話を聞いたりしている。

 育児の悩みが話題になることはよくあるが、その場にいる母親も会話に加わって「うちもそうだったよ」と解決することも。淡海さんはそんな様子を何度も見てきた。「悩みを抱えて悶々(もんもん)としていたのが、『あ、そうだったのか』と気持ちが軽くなる。一人で抱え込まないで、ここで一緒に子育てをしたい」。

 相談を受けたときは悩みに寄り添うように心掛け、初めて訪れた保護者には「よくここまで育てましたね。頑張りましたね」とねぎらうという。

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◇多くの母親が支持

 2020年度は延べ4655人の利用にとどまったが、コロナ禍前は1万人前後が訪れていた。「明るい雰囲気」「居心地が良く、安心感がある」との声が多く、近隣の市町からわざわざ足を運ぶ人も多い。講習を受けた地域の人が子どもを一時的に預かるファミリーサポートセンターは、同年度で1039件の利用があった。町が1時間当たり300円を補助しており、1時間当たり400円(平日午前9時~午後5時の場合)の負担で利用できる。

 かづこ助産院(那智勝浦町)の本舘千子(もとだて・かづこ)さんは「紀宝町は近隣に比べて支援センター、ファミサポの利用がとても多く、子育て環境が整っている」と注目。「長くセンター長を務める淡海先生の人柄もある。お母さんたちのために、という思いが反映されている」と支持される理由を語る。

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◇2カ月の閉所、そして再開

 昨年夏、町内で新型コロナウイルス感染症患者が初めて確認され、緊急事態宣言も出たことでセンターは2カ月間、町内の他の公共施設とともに閉所された。ただ、ファミサポは子育て家庭への重要な支援と捉え、継続した。

 全国的に感染拡大していく中、町内で予定されていた子育て関連の集まりも全てなくなり、普段利用している母親たちの間には「どこにも行き場がない」と不安が広がった。

 閉所中は、12年から毎年度引き継がれてきた母親たちのグループ「ママサークルさくらんぼ」が、無料通信アプリ「LINE(ライン)」のグループ機能を使い、利用する母親に向けて情報発信をしてくれたという。

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◇母親に寄り添う活動

 子育て家庭の孤立化を不安に思った助産院の本舘さんは、民間である強みを生かし、行政がカバーできない部分に目を向けた。ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」による「子育て女子会」をしたり、普段は各市町で行っているベビーマッサージを院内で少人数開催したりと柔軟に対応し、LINEでの気軽な相談も呼び掛けるなど母親たちに寄り添う活動を続けている。

  □     □

◇新しい生活様式で

 宣言解除に伴って10月に再開したセンターでは今、滅菌器によるおもちゃの消毒、室内の定期的な換気、検温と消毒などの対策を取りながら、新しい生活様式で運営している。再開直後は多くの親子が訪れ、再会を喜んでいたという。第6波も懸念されているが、必要な感染対策を続けていくしかないと考えている。

 月に1度開催されている「ママサークルさくらんぼ」の行事も10月から再開。センターには子どもたちのにぎやかな声が響き、母親たちは表情を和らげている。淡海さんは「お母さんが元気で明るく楽しく。そして、笑うのっていいなと感じてもらいたい。気軽に話ができる場であればいいと思う」と語る。

(2022年1月1日付紙面より)

母親たちと語り合うセンター長の淡海順子さん(右から4人目)=紀宝町神内の町子育て支援センター
ママサークルの行事を楽しむ子どもたち
2022年01月01日
77 誘客幅拡大目指して動く
 南紀月の瀬温泉ぼたん荘  (古座川町 )

 古座川町が地域振興拠点として設け、古座川ふるさと振興公社に運営委託する「南紀月の瀬温泉ぼたん荘」。滞在機能を備えた交流施設として近年、時代相応の変化が進んでいる。今後の展望を探ってみた。

  □     □

滞在機能備えた多目的施設



 南紀月の瀬温泉ぼたん荘は1996年開業。本館2階に滞在前提の和室(8帖)10室があり、1階には宴会・会議場やレストラン、開放的で木のぬくもりに満ちたオープンスペース「ロビーカフェ」や土産物ショップなどを集約。渡り廊下でつながる別棟の温泉館はpH9・7のアルカリ単純泉を引き込んだ入浴環境があり、本館向かいには宿泊や会議、個展、講演、コンサートなど多目的に活用される「いろり館」がある。その横にはゲートボール(GB)場用途の芝地があり、50台分の駐車場を含めた全体が一施設となっている。

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RVパーク認定目指して



 建設当時の需要を見据えた形を今も宿すぼたん荘だが、25年を経て需要が変遷。とりわけGB場の活用が見込めない状況となり、町は用途変更へと動き出している。そのキーワードが「RVパーク構想(※)」。昨年に関係予算を計上し、本年度中にGB場を13台分の駐車区画と給電設備、ならびにコインランドリーの新設を完了し次年度に同パーク認定を目指す。

 町地域振興課は旅行を含めた時代変遷に加え、長引くコロナ禍により旧来の形で収益の回復を目指すのは難しいと認識。町内近隣はもとより遠方からも利用を引き込む必要性を重視し、その足掛かりとして前述した認定を目指すという。

 他方、最近はコロナ禍で低迷しているが平年は新成人のつどいなど行事利用の多いいろり館は、外周ウッドデッキに続いて屋根部分の改修が新年から本格化する。これも今年進む変化の一つとなっている。

  □     □

利便高めつつ体制を強化



 運営委託を受ける公社は町と連携し、町内の65歳以上を対象にした入浴回数券の申請受け付けを前年度から開始。本年度は175件の申請を受けているが、地理的な課題が町民を優遇から遠ざけてしまう状況に直面している。できることから緩和を。本年度はリフレッシュ目的で親しまれるグループ対象の送迎付き食事プランに温泉入浴や買い物支援を付与する工夫を始めた。昨年10月に最初の利用があり、今年はどう軌道に乗せるかが注目される年。同公社も今が完成形ではなく、さらに使いやすい形を目指すと意気込んでいる。

 ハード、ソフトの両面で時代相応の変遷に動き出しているが、これら新たな方向性の担い手確保と人材体制の確立を今後に重視するのが関口隆男理事長。即回復の策はいまだ見えないがスタッフ一丸で直面する過渡期を支え、中期的な視野で新たな方向性への適応を目指したいと思いを語る。

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※RVパークとは…キャンピングカーなどで快適に安心して車中泊ができる施設。

(2022年1月1日付紙面より)

誘客幅拡大を目指して動き出している南紀月の瀬温泉ぼたん荘の本館
気軽に立ち寄れる環境を目指して力を入れているオープンスペース「ロビーカフェ」
温泉館内にある浴場。古座川弧上岩脈由来の湯に親しめる(古座川ふるさと振興公社提供)
多目的スペースのいろり館など。手前のゲートボール場は今年、RVパーク環境に切り替わる
本年度から始めた送迎付き食事プラン付帯の買い物支援の様子(古座川ふるさと振興公社提供)
2022年01月01日
78 向井兵輔氏をご存じですか?
 水産共同支えた立役者  (太地町 )

 「向井氏は郷土愛に満ちた人だったと推測する。水産共同組合の一時期を支えた立役者です」と太地町歴史資料室研究員の江﨑隆司・同町公民館長は話す。大正7年にはコメの価格の急騰による米騒動が起きるなどして、国内が不景気となっていた時代。経営が困難となっていた当時の太地水産共同組合(以降、共同組合)を支えるため、太地漁業株式会社を立ち上げた向井兵輔(ひょうすけ)氏をひもといてみる。

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■カナダで会社起こす



 明治4年に太地村に生まれた向井氏。数年後には長崎県の永野万蔵氏が日本人で初めてカナダ西部のブリティッシュコロンビア州へ渡っている。明治28年、向井氏が24歳の時に、親類の太田音市氏と共にカナダへ渡る。二人はフレーザー川の河口でサケ漁に従事した。

 この時すでに紀南地方からも多くの移民者が海を渡っており、太地や下里の郷友会も結成されていた。二人はサケ漁をやめ、バンクーバー島中部にあるナナイモに移った。根来勝之助氏、松本鉄蔵氏と共にニシンの肥料製造業を始めたが2年後、放火によって工場は全焼した。

 モレスビー島では新潟県出身の池田有親氏が立ち上げた銅鉱山の会社で働いた。明治42年に二人はサケ・ニシンの塩蔵加工や輸出業に取り組み、アワビやハマグリの缶詰業も営むこととなった。

 二人は渡航以来、さまざまな事業に挑み続け、日本人排斥にも負けることなく、ようやくこの地で成果を上げることができた。向井氏は商用で度々、帰国して東京や神戸の輸出入業者や海産物業者との取り引きを行うとともに、帰郷の際には呼び寄せ人との折衝に当たっていたという。

 父たちの背中を追い、海を渡った向井氏の長男・政太郎氏や太田氏の長男・琴太郎氏も事業を助けた。大正9年に帰国した政太郎氏は新宮中学校で事業の様子や見聞などを講演したとされる。

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■太地水産共同組合を助ける



 組合員共同の利益を図るとともに村の経済を援助することを目的とした共同組合が大正5年に発足。しかし、不漁続きで経営的に困窮を極めていたという。

 共同組合は鰤(ぶり)敷網の契約期間が満期になった際に営業権を太地漁業組合に返還するか、新会社を設立し運営するかで揺れ動いていた。

 そんな中、大正11年に帰国後の向井氏と太田氏に資本協力を依頼。二人は快諾し、同年に向井氏を社長とした太地漁業株式会社が発足した。同社は共同組合から船や網など、多くの資材を買い取った。その際に得た金を元に共同組合は同社の株を購入。組合員に1株ずつ分配して生活をつなぐこととなった。

 同社は新しい船を建造し、漁獲高の向上に努め、好成績を挙げた。昭和6年の営業権の契約終了時、共同組合は臨時総会を開き、再び鰤敷網を操業することを決定。その旨を向井氏は承諾し、同社は解散。再び、共同組合が鰤敷網を操業することとなった。

 移民であった向井氏と太田氏の二人の郷土愛や経験が共同組合の危機を救い、その結果、町民への恩恵にもつながった。

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■息子たちは



 父二人が帰国し、その後を託された政太郎氏らは事業を引き継ぎ、キルドナンで「グリーンコーブ鹽魚(えんぎょ)製造所」を開業。事業は発展を遂げたが、太平洋戦争勃発で中断。工場や船舶など全財産が強制的に処分となった。

 開戦の翌年、日系人に「夜間禁足令」が出され、バンクーバー島にいた3300人余りの日系人が収容所に送られてしまう。

 政太郎氏らが一時帰国中に開戦となり、カナダへの渡航はかなわなかった。戦後、カナダ政府と政太郎氏らは財産の返還交渉を行うも、返還や補償には至らなかった。

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■向井氏をご存じですか?



 江﨑館長は「経営が大変だった水産共同組合が鰤敷部門を頼んだ際、向井氏は快くそれを引き受けた。太地と共同組合は切っても切れない存在。組合の経営が持ち直した後に、快くそれを返している。組合が維持できたのも太地漁業株式会社と向井氏がいたからこそ。今後は向井氏を知る方が増え、顕彰されることを望んでいる」と語る。

 向井氏を曽祖父に持つ、向井マリトさんは「築100年となる立派な家屋も残していただいた。大変な時代を生き抜かれたのだと思う。誇らしい存在です」と祖先を思った。

 昭和7年に同社は鰤敷網や海を見下ろすことができる燈明崎(とうみょうざき、町立太地中学校体育館裏近く)に「向井翁遺徳碑」を建立した。郷土の海も世界中の海につながっている。

 59歳で生涯を終え故郷の地に立つ向井氏は、どのような思いでこの景色を見つめているのだろうか。多くの人々が彼を知ることで、その心の中に、彼の郷土への思いや魂が生き続けるはずだ。

(2022年1月1日付紙面より)

(左から)太田音市氏、向井兵輔氏、太田琴太郎氏(太地町歴史資料室提供)
グリーンコーブ鹽魚製造所のラベル(同提供)
当時の作業の様子(同提供)
貯蔵庫にサケが並ぶ(同提供)
長年海と共に生きた向井氏の遺徳碑(同提供)
2022年01月01日
79 多彩さ見せるロケット振興
 年末ごろの打ち上げ期待し  (串本町 )

 串本町田原などでほぼ完成したとされる民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」。地元内外が注目する小型ロケット「カイロス」初号機の打ち上げについてスペースワン株式会社は昨年末、当初予定から1年遅れて今年年末ごろを目指して取り組む考えをスペースポート紀伊周辺地域協議会に伝えた。その瞬間を期待して、射点がある串本町ではロケット振興が日に日に多彩さを増している。

 「ロケットといえば串本」を印象づけるため県と町が両輪で始めた振興企画「宇宙シンポジウムin串本」。本州最南端から最先端情報を発信するという趣旨で年1回、回を重ねている。

 第2回以降、感染症予防のため県に主導権を委ねている町だが、おととしの秋に町独自の振興を始動。町民対象ワークショップ(WS)で基本情報の普及を図り、昨年2月にキックオフ企画「宇宙ウイーク」を展開して振興の一歩を踏み出した。その一端が射点近くからのサーチライト投光で、天候に恵まれなかったが、田原海水浴場が望める町域東側広範で見物できることを予見させた。

 この時に発表されたスペースタウン串本ロゴは、町企画課ロケット推進室を窓口にして7月から使用許諾申請の受け付けを始め、活用商材の開発が進んでいる。南紀串本観光協会は先導的にロケットサイダーやロゴ入りシャツなどを商品化。町もピンバッジなどさまざまなグッズ開発を進め、宇宙産業のまちづくりに取り組む串本町の応援サポーター『宇宙兄弟』とのコラボレーションによる盛り上げにも力を入れている。

 紀の国わかやま文化祭2021の一環で日本初民間ロケット射場開始プレイベントも実施。宇宙飛行士講演やそのダイジェストの期間限定オンライン配信、模型などの展示で「宇宙ウイーク」に続く接点をつくった。

 年末には新年にもかかる町民対象WSの第2弾をスタート。同室は「いざ打ち上がるとなると、今の町職員規模では見学の受け入れだけで手いっぱいになってしまう。その前後でできることを考えて、今後とも盛り上げていきたい」と思いを語る。

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官民それぞれに振興の歩み



 3カ年計画でリノベーションが始まった旧役場古座分庁舎は本年度末に3階8Kシアターと1階玄関が先んじて仕上がり、別事業で2階サテライトオフィスも完成予定となっている。コミュニティバス佐部・上田原線でロケットの絵でラッピングされたノンステップ車両を導入。教育面で県宇宙教育研究会がモデルロケット製作、打ち上げ体験を重ねていて、昨年は学校教育領域での試行にも取り組んだ。県立串本古座高校のCGS部が小型ロケット「カイロス」にちなんだ独自キャラクターを生み出して盛り上げを意識し、生徒有志による缶サット甲子園への挑戦も始まっている。

 ロケットにちなんだ飲食メニューの開発と発表、ロケットが描かれた大型観光バスの運行、小型ロケット模型の寄贈など、盛り上がりも一段と多彩になった昨年。田嶋勝正町長は、2016年にスタートした発射場進出が今こうして盛り上がっているのは用地を提供してくれた地権者をはじめ各関係者の協力あればこそだと喜び以上に感謝を掲げ、「ロケットが放つ光は必ず串本を明るく照らしてくれる。打ち上げ時には県とも調整して混雑の緩和に努め、ロケットから得られる学びの裾野の広さを生かして学力レベルが上がったといわれるよう教育にもつなげていきたい」と今年の挑戦への意気込みを語る。

(2022年1月1日付紙面より)

スペースポート紀伊の総合司令塔一帯。昨年末時点でほぼ完成に達している
振興企画「宇宙シンポジウムin串本」(上)や「宇宙ウイーク」(下)の様子
スペースポート紀伊射点付近からのサーチライトによる投光
実物大「カイロス」懸垂幕
宇宙ウイーク以降、数を増しているロケット関係グッズ類
ロケットの絵を背負って地元を盛り上げているコミュニティバス(上)や大型観光バス
県宇宙教育研究会による学校教育領域でのモデルロケット製作・打ち上げ体験の試行の様子
美術造形工房「BAS Fronti」寄贈の「カイロス」模型(現在は役場に常設)
2022年01月01日
80 新年度から統合、運用開始へ
 新宮警察署・串本警察署  

 新宮警察署と串本警察署は今年4月1日(金)に統合し、串本警察署は「新宮警察署串本分庁舎」として運用を開始する。串本署が管轄する串本町と古座川町は新宮警察署に、すさみ町は白浜警察署の管轄となる。統合は1968年以降半世紀ぶりとなる。

 県内の警察署ごとの警察官1人当たりの年間処理件数(刑法犯認知件数)は平均2・7件。しかし、串本警察署は1・2件と、他の警察署に比べて少なくなっている。また、交通事故発生件数についても0・5件(平均1・1件)、110番通報の受理件数も14・9件(平均35・2件)と少なくなっている。

 現在地で2005年に供用開始となった串本警察署は津波浸水域に位置しており、南海トラフ巨大地震発生時には車両や装備資機材の流失や浸水などで警察機能が失われてしまう可能性も指摘されている。

 統合はそういった現状に対応するためのもので「警察官の負担の平準」「警察機能の喪失回避」を図るとともに、「マンパワーの集中的運用」を目指す目的もある。

 統合により新宮署の管轄エリアは新宮市、田辺市本宮町、那智勝浦町、太地町、北山村、古座川町、串本町となり、面積は1・62倍、人口は1・37倍となる。

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■何が、どう変わる?



 統合により、約100人から約140人体制へと、人員が増員される新宮警察署。主に事件事故を担当する課の体制を強化するほか、夜間休日の当直体制も強化される。

 うち、一定数の警察官は串本分庁舎に配置され、刑事事件や交通事故の初動対応に当たる捜査員2人も配置(24時間常勤)。パトカー1台の増強も予定されている。発災時に初動対応に当たる災害対策要員2人を代替指揮所に配置する予定だ。

 また、運転免許関係(更新、記載事項変更など)の手続き、交通許認可関係(自動車保管場所証明、道路使用許可など)、生活安全許認可関係(銃砲、風俗営業、古物営業、警備業など)の申請、落とし物(遺失物、拾得物)、警察安全相談の届け出などの行政サービスは継続となる。新宮市、田辺市本宮町、那智勝浦町、太地町、北山村、古座川町、串本町の各交番・駐在所も引き続き存続される。

 しかしながら、串本、古座川両町に存在する交番や駐在所、分庁舎配属の警察官を合わせると現状の約半数となる予定。津波による浸水被害が想定されている古座交番、和深、田並、大島の3駐在所については、当面の間、夜間の勤務員を引き上げるとのこと。夜間パトロールを強化するなど、新宮警察署を挙げて治安維持に努めていく計画だが、住民には治安の低下や初動対応などについて不安視する声もある。

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■デメリットも周知が必要



 前述したように、統合の目的は▽負担平準化▽警察機能の喪失回避▽マンパワーの集中的運用—とされているが、新宮警察署の山田守孝署長は「住民の不安を払拭(ふっしょく)するためには、統合のデメリットもしっかりと周知していく必要がある」と口にする。

 昨年3月下旬から4月下旬にかけて実施されたパブリックコメントでは「大規模地震・津波で国道42号が寸断された場合、新宮警察署員は串本町に来ることができないので、串本警察署がなくなったときは、初動対応に当たる警察官が少なくなってしまうのではないか」「津波被害に遭うのであれば、なぜ現在の場所に警察署を建てたのか」「いつ発生するか分からない津波被害に備えるよりも、日々の生活の不安解消を優先すべきではないか」「高速道路が開通すれば(新宮警察署から串本町などの)現場への時間短縮にもなるが、それまで(統合を)待てないのか」「令和3年度に串本町においてロケットの打ち上げが予定されており、多くの観光客などの来町が予想される。そのような時期に串本警察署がなくなると、交通渋滞、交通事故、防犯面において不安がある」などの意見が寄せられた。

 山田署長は「初動対応や災害対応など、とにかく『頑張る』としか言いようがない。しかし、いくら『頑張る』『大丈夫だ』と言ったところで近くに警察署がなくなるといった住民の不安を払拭することは簡単ではない」と話す。

 今年、串本町田原で民間ロケットの打ち上げが予定されており、紀伊半島一周高速道路の全線事業化も決定している。ロケット打ち上げや道路の開通により人流が増加し、交通事情や治安情勢が変化することが考えられる。

 「住民に寄り添った警察行政」とは。警察署の再編がもたらす弊害とは、利点とは。今、4月1日の新宮警察署、串本分庁舎の運用開始に向けて準備が進められている。

(2022年1月1日付紙面より)

新宮警察署
串本警察署
2022年01月01日
81 走り出す、「わがら広角」  広がる、支え合いの地域づくり  (新宮市 )
2022年01月01日
82 いつまで待たすんや!  寅年の今年こそ優勝を!猛虎魂!!  (三佐木虎の会 )
2022年01月01日
83 熊野の匠を訪ねて  ②今日もシロアリと向き合う  (那智勝浦町・尾屋勝夫さん(オヤシロアリ技研) )
2022年01月01日
84 M地記者の冒険  八十八カ所、お遍路へ。  
2022年01月01日
85 佐藤春夫から中上健次へ その100年の系譜 (春夫生誕130年、中上没後30年)
2022年01月01日
86 「虎図」に隠された奇想  長沢蘆雪の生涯と熊野  
2022年01月01日
87 アフターコロナ。動くか、熊野。  熊野地方9市町村のリーダーが語る、「熊野の2022年」  (Kumano Summit K10 )
2022年01月01日
88 翁が愛した「飛鳥山」 渋沢栄一ゆかりの地と熊野信仰 (新宮市)
2022年01月01日
89 積み上げる実績で継続目指す  今年はJGCの再認定審査年  (南紀熊野ジオパーク )
2022年01月01日
90 10市町村から大集合!  キャラクターズサミット「C10」  
2022年01月01日
91 熊野の匠を訪ねて  ①もんちゃんとみっちん  (新宮市・浅井もと実さん、髙橋美智子さん )
2022年01月01日
92 先輩の思いを胸に日々精進  新宮高校サッカー部100周年  
2022年01月01日
93 移住×観光  きらりと光る地域の魅力  
2022年01月01日
94 「M地十景」ご堪能あれ  独断と偏見で選ぶ地域の景色  
2022年01月01日
95 地元の魅力を配信したい  紀宝町出身・向井雅喜さん  (オンラインゲーム「Apex Legends」アジアチャンピオン )