横田南嶺老師講話に800人 (新宮市 )
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で18日夜、同施設開館記念講演があった。同市出身の臨済宗円覚寺派管長・横田南嶺(なんれい)老師が「ほほえみの種をまこう」を題目に講話。約800人が聴講した。
横田老師は1964年同市船町生まれ。旧丹鶴小学校、緑丘中学校、新宮高校卒業。87年に筑波大学卒業後、建仁寺僧堂、円覚寺僧堂で修行。円覚寺足立大進老師に嗣法した。2010年、臨済宗円覚寺派管長、17年に花園大学総長に就任。13年には旧市民会館で、紀伊半島大水害(11年)追悼講演会「生きねばならぬ」を行っている。
講話に先立ち、10年前の大水害の犠牲者に追悼の意を込めて手を合わせた横田老師。熊本県出身の詩人・坂村真民(しんみん)の詩の一節「念ずれば花開く」を紹介し「真民は、女手一つで5人の子どもを育てた母が、口癖のようにつぶやいていた言葉を世に広めるために詩を作った。海の深さを測ることはできるが愛の深さを測ることはできない」と話した。
「かつての日本人は、身内を大切にするように他人にも慈悲の心を示していたのでは」と述べ、1890年に日本を訪れた小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が「日本の面影」で「日本人のように、幸せに生きていくための秘訣(ひけつ)を十分に心得ている人々は他の国にはいない」と記していると紹介。
串本沖で起こったエルトゥールル号遭難事故(1890年)の際、不眠不休でオスマン・トルコ帝国の生存者救助などに当たった日本人と、イラン・イラク戦争の際にイランに残された日本人救援のためにトルコ政府が救援機を派遣し、日本に対して恩返しを果たしたエピソード(1985年)にも触れた。
横田老師は「お釈迦(しゃか)様が説いたように、本来私たちはお互いのことを思いやる気持ちを備えている。しかしつらいことが続くと愚痴を言ったりしてしまう」。
「そんな中においても人の幸せを願い、人のために努力をしている人が観音様。観音様の心を持った人は身近にいる。それに気付く眼(まなこ)を持つことが大事」と説いた。
人のためにできることは数多くあるが、最も簡単でいつでも誰でもできることは「ほほ笑み」であるとし「ほほ笑むと免疫も上がる。磨くほど効果が大きい。ほほ笑むことは人間が最後の時までできることの一つでは」。
佐藤春夫が作詞した旧丹鶴小学校校歌の一節「心あかるく すこやかに ま心の人 たらんかな」を引用し「身近な人に対してできるだけの愛情を注ぎ、どんなときもほほ笑む努力をしたら『あのまちに行ってみたい』と思う人が増えると確信している。未来を開いていくのは私たち一人一人のほほ笑みでは」と講演を締めくくった。
(2021年12月21日付紙面より)
下里小と市野々小が傍聴 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立下里小学校(泉一代校長)と市野々小学校(中西健校長)は15日、那智勝浦町役場議場を訪れ、一般質問を傍聴した。両校の児童は議員の質問や町当局の答弁を見学し、生の議会に触れた。
この日は午前に下里小の6年生児童14人が、午後に市野々小の5、6年生児童12人が社会科学習の一環で訪れた。堀順一郎町長と荒尾典男議長が児童にあいさつし、「議場の様子をしっかりと見学していってください」と歓迎した。
両校の児童はそれぞれの地元選出となる城本和男議員と中岩和子議員の一般質問を傍聴した。両議員は冒頭で議員や当局の役割、議会の意味などを説明した。
児童は真剣な表情で議論に耳を傾け、メモを取っていた。
(2021年12月21日付紙面より)
「銀河」見送りに400人 (JR西日本 )
長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」の22日(水)の運行終了に先立ち、新宮市徐福のJR新宮駅構内で19日、最終運行直前お見送りイベントが催された。子ども連れの家族やカメラを手にした鉄道愛好家ら約400人が、同駅を出発する列車に手旗を振り「またね」「ありがとう」などと声を掛けた。
観光を中心とした西日本エリアの活性化のためにJR西日本が運行する同列車。当地域では7月16日に紀南コースの運行を開始し、約半年にわたり京都―新宮間を往復。多くの観光客を当地方に運んだ。
この日のお見送りイベントでは、参加する子どもたちにはお菓子の詰め合わせをプレゼント。市ツイッターキャラクターめはりさんと一緒に、京都駅に向けて出発する列車を見送った。
同列車のラストランは22日正午新宮発。なお、同列車受入協議会(会長=田岡実千年新宮市長)は先月22日、JR西日本に対し同列車の再運行を求める要望書を提出している。
(2021年12月21日付紙面より)
買い物支援バス活動継続 (七川ふるさとづくり協議会 )
古座川町の七川ふるさとづくり協議会(下山隆正会長)が18日、平井地区の住民7人の希望を受けて買い物支援バスを運行した。
この運行は、2018~20年度に展開した過疎対策事業の中で試行を重ねてきた取り組みの発展形。同協議会は山間部にある七川地区で切実な課題となっている買い物の不便緩和策として、同事業が終了し自立運営が求められる中でも続ける方向で方策を模索している。
七川地区区長会が運用する送迎車両「福祉号」を活用し、一定人数(最大9人)の希望者を集めて荷物運搬車両分も含めて運行収支のバランスを取り継続する、というのが現在の考え方だそう。利用は有償で、その枠で今月中に4回の実施が決まり順次運行する状況となっている。
この日は平井地区の住民7人が平井簡易郵便局前で買い物支援バスと合流。▽コメリハード&グリーン南紀店▽オークワ串本店▽AコープVASEO店―を巡り、7人によるとこの機会に花苗や農薬、衣類や化粧品など地区内では得難いものを選り好みして買い出したという。
下山会長によると、地区内では移動販売2事業者が巡回しているが人口減で経営維持が年々厳しさを増しているそう。農協店舗も近々閉所となる予定で、この先移動販売が限界に達したときに移動手段を持たない住民の生活が成り立たなくなる状況を恐れてこのバスの継続に力を入れている。
同協議会の思いに呼応して、同区長会が同バス運行時に運転手の日当を出すことを最近になって決断したという。下山会長はその分で利用者1人当たりの有償負担の緩和(燃料代を分割負担)を見据え、次はさらに希望しやすい運行計画を組みたいと意気込みを語った。
本年度は今月中のみの運行で、今後は25日(土)と26日(日)に運行する予定という。
(2021年12月21日付紙面より)