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2021年09月22日
1 縮小し2年ぶりに渡御
 勝浦八幡神社例大祭  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町の勝浦八幡神社(髙橋正樹宮司)例大祭の宵宮が18日、本宮が19日に営まれた。今年は昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から神輿(みこし)渡御などの行事が取りやめとなった。しかし、本宮の19日夕方、御霊を移した辛櫃(からひつ)を船に乗せ、規模を縮小した形で渡御が行われた。

 数度、開かれた祭典委員会で関係者や参加者らの安全などを考慮し、祭りの内容が決定した。

 今回、祭典が主となることから、神にささげる献饌(けんせん)の伝供(でんく)は総代らが務め、髙橋宮司が笛を吹いた。

  □     □

■宵宮では



 18日午後5時から同社で宵宮の式典が営まれた。神社役員や総代、近隣の区長、各奉仕団体の代表らが参列。髙橋宮司が町の発展やコロナ終息などを祈願した。

 舟謡勝謡会(中村誓会長)と勝浦獅子神楽保存会(沖和也会長)が舟謡と獅子神楽を奉納した。

 祭典後は社務所に場を移し、昭和30年代の頃の例大祭の様子を収めた動画を鑑賞した。

 祭りの歴史などを解説した髙橋宮司は「昔は祭り参加者も見物する人も多い。当時までとはいかなくても、神社の祭りで勝浦の活気や勢いを取り戻したい」と語った。

  □     □

■本宮では



 翌19日は午前10時から本宮の式典を斎行した。来賓は招待せず、役員や各奉仕団体の代表らが出席し、玉串をささげた。

 宵宮同様、舟謡勝謡会と勝浦獅子神楽保存会が奉納を行った。中村会長は「今年こそは神輿も出したかった。コロナ終息を心から願っている」。

 沖会長は「2度も縮小して実施するのは残念。一刻も早くコロナが終息し、来年は盛大に祭りができれば」と話した。

 同日夕方、渡御祭が営まれた。関係者が潮(しお)や御幣、鉾(ほこ)などを持ち、御霊を移した辛櫃が担がれた。

 神社前の船着き場から達福丸、あかね丸、宮丸の3隻に乗り込み、渡御を開始。舟謡が周囲に響く中、列となった一行は勝浦漁港や市場などを通って神社に戻った。

 祭典委員会の前地俊秀委員長は「渡御ができて良かった。来年は大々的にしたい」。

 髙橋宮司は「縮小した形だが、神様に渡御いただけてうれしい。来年こそは本来の形で盛大にお祭りができればありがたい」と語った。

(2021年9月22日付紙面より)

縮小した形で2年ぶりに渡御が行われた=19日夕方、那智勝浦町の勝浦八幡神社前
宵宮祭後には過去の例大祭の様子を鑑賞した=18日、勝浦八幡神社社務所
2021年09月22日
2 「おはよう、元気だった?」
 県立高校で全員登校再開  (新宮市 )

 新宮市内の県立新宮高校(東啓史校長、生徒541人)と新翔高校(藤田勝範校長、生徒312人)で21日、全員登校による通常授業が再開した。通学路や校舎には「おはよう、元気だった?」とクラスメートとの再会を喜ぶ姿が見られた。

 和歌山県教育委員会は県内の新型コロナ感染拡大を受け、8月24日に県立学校の夏休みを31日まで延長。9月1日からは、1日交代でクラスの半分が登校し、残り半分がオンラインによる自宅学習を行う形で授業を再開していた。今回の通常登校再開は、実技・実習を伴う授業や就職・進学に関する進路指導等を充実することが目的。

 新翔高校では、各クラスのホームルームで県教委が生徒・保護者向けに出した「通常の登校及び授業を再開するにあたっての留意事項」やワクチン接種の副作用による欠席の取り扱いなどを確認し、自宅学習で使っていたタブレット型パソコンを回収。3年生のクラスでは就職活動や進学に関する諸注意などが行われていた。

(2021年9月22日付紙面より)

ホームルームを行う3年生教室=21日、新宮市の県立新翔高校
2021年09月22日
3 氏子らの無病息災願い
 宇久井神社例大祭を斎行  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町の宇久井神社(男成洋三宮司)例大祭が19日、本殿で営まれた。熊野那智大社の神職を斎主に迎え、祭典役員、党家(とうや)講などの関係者ら約20人が、静かに海上安全や豊漁、地域の繁栄、氏子らの無病息災、新型コロナウイルス感染症の収束などを祈願した。

 例年であれば、「チョーサヤ、チョーサヤ」の掛け声勇ましく神輿(みこし)行列が区内を練り歩き、御船による海上渡御や獅子舞、婦人会と宇久井保育所による手踊り、餅投げなどで地域全体が活気づく伝統行事。今年も昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から規模を縮小して式典のみを執り行った。

 神事では伊藤士騎(しき)禰宜(ねぎ)が祝詞を奏上し、出席者が玉串をささげた。この日は宇久井青年会(柴原寛会長)、秋葉会(梶誠仁会長)による獅子舞奉納もあり、「鈴の舞」「剣の舞」「天狗(てんぐ)の舞」の見せ場を集めた宮神楽を披露した。

 祭典委員長の亀井二三男さんは、普段の練習もままならない中で獅子舞を披露した宇久井青年会と秋葉会のメンバーをねぎらい、「来年こそは」と期待を込めていた。

(2021年9月22日付紙面より)

秋葉会が神楽奉納=19日、那智勝浦町宇久井
宇久井青年会の獅子舞
2021年09月22日
4 秋の交通安全運動始まる
 各地で啓発活動など  

 正しい交通ルールの順守とマナーの実践を呼び掛ける「秋の全国交通安全運動」が21日から始まった。30日(木)までの10日間、「子どもと高齢者をはじめとする歩行者の安全の確保」「夕暮れ時と夜間の事故防止と歩行者などの保護など安全運転意識の向上」「自転車の安全確保と交通ルール順守の徹底」「飲酒運転などの悪質・危険な運転の根絶」を重点に取り組んでいく。

 新宮市では運動初日の21日、市交通事故をなくする市民運動推進協議会(会長・田岡実千年市長)、市交通指導員協議会、交通安全母の会、新宮警察署、東牟婁振興局など関係者約100人が、同市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店で決起集会を開いた。

 田岡会長は「新宮市においては人身交通事故の発生件数・負傷者数ともに減少し死者もいないが、県内では死亡事故が増加しており私たちを取り巻く交通情勢は予断を許さない厳しいもの」とあいさつ。

 「交通事故のない明るい社会を目指し、今後もあらゆる機会を通じて交通ルールと交通マナーの順守を訴えていきたい」と誓いを新たにした。

 酒井清崇・東牟婁振興局長は「交通事故のない安全で安心なまちづくりは全ての県民、市民の願い。交通事故をなくしていくため、引き続きご尽力を」と呼び掛けた。

 山田守孝・新宮警察署長は、早めのヘッドライト点灯と、歩行者への反射材などの着用を呼び掛けたほか「管内では今年に入って飲酒運転での交通事故が4件発生。飲酒運転の根絶には徹底検挙しかない」と強調。

 先週、岩出市でトラックと小学5年生男児が乗った自転車が衝突し、男児が死亡した事故に触れ「痛ましい交通事故をなくしていくためにも、この運動を一人でも多くの人に交通安全意識を持ってもらい考えてもらう機会にしていかなければ」と話した。

 県内では今年、昨年同時期と比較し、人身交通事故の発生件数・負傷者数は減少しているものの、死者数は13人増加の22人となっている(8月末現在)。

(2021年9月22日付紙面より)

買い物客に啓発物資を手渡した=21日、新宮市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店
2021年09月22日
5 コロナ対策や観光機構など問う  那智勝浦町議会一般質問①  
2021年09月22日
6 新ホールの響き確認  新宮高吹奏楽部が練習会  (新宮市「丹鶴ホール」 )
2021年09月22日
7 盛大な祭りが戻ると信じ  天満天神社、下里神社で例大祭  (那智勝浦町 )
2021年09月22日
8 登下校をより安全に  金山小学校通学路に歩道整備  (熊野市 )
2021年09月22日
9 新たにコロナ予算を承認  町議会第3回定例会閉会  (串本町 )
2021年09月22日
10 代表参列で信仰をつなぐ  古座神社例祭本祭迎える  (串本町 )
2021年09月22日
11 串本中が第75回体育祭挙行  秋の運動会シーズン始まる  (串本町 )
2021年09月22日
12 お悔やみ情報
  
2021年09月19日
13 古式捕鯨のモリなど提供
 紀伊風土記の丘で特別展  (三輪崎小 )

 和歌山市の県立紀伊風土記の丘で開館50周年を記念した令和3年度秋期特別展「海に挑み、海をひらく―きのくに七千年の文化交流史―」が10月2日(土)から12月5日(日)まで開催される。新宮市立三輪崎小学校でこのほど、展示品として同校所蔵のモリを貸し出し提供すべく、梱包(こんぽう)作業が行われた。

 同展は紀伊半島の沿岸に暮らした先人たちや海の歴史を考古学と民俗学の観点から紹介することがテーマ。和歌山県発祥の漁業にもスポットを当て、改良を重ねた技術が全国各地に伝わったことや、新宮・東牟婁含む県内各地の漁具や資料などが展示される。

 同校のモリ2本は寄贈されたもので、捕鯨を行っていた三輪崎組の紋「三つの輪」が刻まれている。このモリに加え、クジラのひげや疑似餌などが貸し出しされる。

 三輪崎区や三輪崎郷土芸能保存会、三輪崎漁業協同組合も協力。「鯨踊りの衣装」や「捕鯨に関する写真」「一本釣りに使用した竹の釣り竿」なども展示されるという。

 紀伊風土記の丘の主査学芸員・蘇理(そり)剛志さんは「県内では江戸時代から明治半ばまで捕鯨をやってきたのが、太地や古座、三輪崎。紆余(うよ)曲折を経て、約300年にわたり、行ってきた文化が残っている。三輪崎の捕鯨はなくなったが、鯨踊りなど、さまざまな形で伝統が引き継がれ、地域の誇りになっている」。

 モリについては「古式捕鯨時代のもの。形も古く、数も残っていない。古くからある三輪崎鍛冶にもつながる。鉄を加工する技術あってこその捕鯨。このモリは重要なものだと思う」と話した。

 嶋田雅昭校長は「当校は三輪崎郷土芸能保存会の皆さまから鯨踊りや捕鯨について教えていただいているため、児童も三輪崎の捕鯨文化に触れることができている。価値のあるモリなどを多くの方々に見ていただけるのはうれしい」。

 児童に対しては「博物館に展示されるほどの貴重な物が学校にあるということを児童にも伝えたい。県内での修学旅行になるため、行き先の一つとして展示を見に行くことも検討している」と語った。

 なお、太地町の鯨舟の模型や鯨絵巻、串本町の河内祭の道具なども展示される予定。

(2021年9月19日付紙面より)

貸し出しのため、モリを梱包する=新宮市立三輪崎小学校
三輪崎小所蔵のモリを中央に配したポスター
2021年09月19日
14 コロナ禍の避難を考える
 相須地区でいきいきサロン  (新宮市熊野川町 )

 新宮市熊野川町の相須集会所で16日、「ふれあいいきいきサロン」があった。地域住民5人が参加し、防災クイズを交えてコロナ禍の避難について考えた。

 サロンは地域のコミュニティーづくりや介護・寝たきり防止、1人暮らしの人への見守りなどを目的に、区と市社会福祉協議会が協力して開いている。新宮市の施設利用再開を受け、手指消毒や参加者全員の検温、マスク着用などの感染対策を取りながら実施した。

 この日は市社協熊野川ステーションの大江真季さんが、コロナ禍中に災害が発生して避難所生活を送ることになったときの備えについて講話。「災害時は危険な場所から避難するのが原則だが、食料や水に加えてマスク、アルコール消毒液、体温計などの感染対策用品を持ち出し袋へ入れておくことが大事。9月の防災月間に合わせて市内のスーパーマーケットに防災用品コーナーができているので、一度見に行ってみて」と呼び掛けた。

 「高齢の方や足の悪い人は警戒レベル3の『避難準備・高齢者等避難開始』のときにはもう避難しておいてほしい」と言い、改めて早期避難の重要性を伝えた。

 住民からは「紀伊半島大水害の時、なかなか救援物資が届かず難儀した」「自分の身は自分で守らなければ」との声があった。

(2021年9月19日付紙面より)

最新の非常食について解説=16日、新宮市熊野川町
2021年09月19日
15 来年への思い胸に式典斎行
 宇久井神社例大祭・宵宮祭  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町の宇久井神社(男成洋三宮司)例大祭の宵宮祭が17日夜、本殿であった。例年多くの人でにぎわうが、昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大防止のため宵宮と本宮の規模を縮小。神職や祭典役員、党家講など関係者ら約20人が参列して厳かに式典が斎行された。

 例年の宵宮では、式典後に宇久井青年会と秋葉会による神楽の奉納や宇久井婦人会による踊りが場を盛り上げ、盛大に餅まきが行われているが、昨年、今年は取りやめとなった。

 台風接近の影響で雨が降る中、式典が進められた。熊野那智大社から出仕した伊藤士騎禰宜が神事を執り行い、祝詞を奏上。出席者が玉串をささげた。

 式典後の神酒拝載では伊藤禰宜が「コロナが終息に向かいまして、活気あふれる宇久井のお祭りが復活することを心よりお祈りしております」と述べ、一同、手にした杯で乾杯した。

 祭典委員長の亀井二三男さんは「残念ながら省略した形での宵宮祭となった。昨年は当地域でのコロナの影響は少なかった。来年こそはと思っていたが、感染が広がり今年も縮小する形となった。2年はわれわれにとっては大きな年。祭典関係者の高齢化も進む中、2年間休んで来年は体力的に大丈夫だろうかとの懸念もある」。

 来年については「地域の祭りは氏子の方々にとって大切なもの、決断は心苦しかった。今回の祝詞にもコロナ終息の思いを込めていただいた。来年こそは皆さまの豊漁や健康を祈り、盛大にやっていきたい」と意気込みを語った。

(2021年9月19日付紙面より)

規模を縮小し宵宮祭が斎行された=17日、那智勝浦町の宇久井神社
コロナ終息と来年への思いを胸に乾杯した
2021年09月19日
16 地域の伝統踊り子どもたちに
 4年生が「鵜殿ばやし」を練習  (鵜殿小 )

 新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの祭り、イベントが規模縮小や中止を余儀なくされ、紀宝町鵜殿地区で毎年11月22、23日に開催される「うどのまつり」も2年連続の中止が決まった。

 秋を彩る「うどのまつり」は、鵜殿ばやしの手踊りが練り歩き、熊野水軍太鼓の演奏、諸手船(もろとぶね)をかたどったダンジリの上でハリハリ踊りを披露するなど、毎年、地区内が祭り一色に包まれる。

 鵜殿ばやしは1992年に誕生し、96年に保存会が発足。うどのまつりや紀宝みなとフェスティバルなどで披露し、町村合併以前の旧鵜殿村運動会でも住民総出で踊ったという。

 その地域の伝統踊りを子どもたちに継承してもらおうと、町立鵜殿小学校では毎年、運動会で4年生のプログラムに組み込んできた。

 昨年は新型コロナの影響もあって運動会で披露する機会がなかったが、今年は10月2日(土)の運動会で2年ぶりに復活する。

 本番に向け、4年生35人が保存会のメンバーに踊りを教わりながら練習に励んでいる。15日にはメンバー4人が訪れ、細かい動きを丁寧に指導した。

 「沖を眺める」「網をたぐり寄せる」など漁師のしぐさを盛り込んだ男踊り。手を上げる角度や指先の力の入れ方など、難しい動作も多く、児童たちはアドバイスを受けながら覚えていった。今後も本番まで練習を重ねるという。

 メンバーの松元美国さんは「現在の保存会メンバーは20人ほど。昨年から鵜殿ばやしを披露する場がなくなり、踊りを知っている子どもも少なくなってきた。鵜殿の伝統を引き継いでもらい、来年、祭りが開催されれば参加してもらいたい」と話していた。

 女子児童は「踊りは難しいけど、頑張って運動会までに覚えたい」と笑顔を見せていた。

(2021年9月19日付紙面より)

鵜殿ばやしの練習に励む4年生=15日、紀宝町立鵜殿小学校
2021年09月19日
17 21日から通常授業再開  和歌山県内の県立学校  
2021年09月19日
18 追加を含め全議案可決  9月定例会が閉会  (太地町議会 )
2021年09月19日
19 避難路整備や鯨類施設で議論  太地町議会一般質問(終)  
2021年09月19日
20 ツリガネニンジンの花  宇久井ビジターセンター  
2021年09月19日
21 対象者の約8割が予約済み  新型コロナワクチン接種  (紀宝町 )
2021年09月19日
22 早期発見、集団感染の防止に  「抗原定性検査キット」を配備  (紀宝町 )
2021年09月19日
23 公正な選挙確保のために  熊野、紀宝署に選挙違反取締本部  (熊野市長選 )
2021年09月19日
24 これが「私の新宮遺産」  新宮市観光フォトコンテスト入選作品紹介  (学生の部 )
2021年09月19日
25 お悔やみ情報
  
2021年09月10日
26 17年の陳情実らせた功労者 港又次氏の記念碑とアジサイ (那智勝浦町)

 旱天が十数日も続くと、田面が亀裂して稲田が白穂になるので人々は皆汲水に忙しく、殆んど寝食を忘れて毎日井戸から水をとつた。この人々の心配無駄な労苦を何とかしたいと翁は深く考へてゐた。(下里町史、原文ママ)

  □     □

 那智勝浦町下里の下里神社から少し太地町寄りの国道42号の路肩に港又次氏の功績を称した記念碑が建立されている。地元住民によると、元々は国道から太田川寄りに設置されていたが、国道の拡幅に伴い、現在の位置に移設されたという。

 下里町史には、江戸時代後期の下里村は農業を本業としていたとある。しかし、農地に外部から人工的に水を供給する灌漑(かんがい)の設備が完全でなかったという。享保6、7年ごろに上太田村南大居大谷口から給排水を目的として造られた小規模な水路の溝渠(こうきょ)を通じて開墾したが、地の高低勾配がうまくできず、廃渠となった。

 冒頭のような状況となり、港氏は市屋村にある与根河池の水を下里村にも引けないかと考え、市屋村に協力を請う。藩の役所へ嘆願・陳情を幾十回も重ねたが、堤防の決壊の恐れから、許可は下りなかった。

 その後も信念を曲げずに嘆願と陳情を重ね続けた港氏。費やした年月は17年にも及んだ。そうして、安政3年に藩の聴許を得て、工事に着手。その翌年に堤池修築となり、新池を造って溝渠も通じ、水が通じた。下里町史には「全村歓喜湧くやうであつた。そして皆流れる水を拝んだといふ。(原文ママ)」と記されている。

 この後、功績が認められて紀伊新宮の水野土佐守から金百疋と米六石を贈られたと町史には記されている。明治17年、港氏は病で没した。その19年後にその遺徳を表彰しようと記念碑が建立された。

  □     □

■アジサイに彩られていた



 毎年6月ごろ、記念碑の周辺には美しいアジサイが咲く。その花は登校中の学生や住民、自動車を走らせるドライバーの目を楽しませていた。

 地元住民らによると、紀伊半島を一周する幹線道路計画の一つ「一般国道42号串本太地道路」の延伸に伴い、将来的には拡幅工事などが実施される可能性もあるとして、今年7月に住民有志らが集まり、来季の花のために剪定(せんてい)を行った。このアジサイは秋ごろに定光山大泰寺に移植されるという。

 国土交通省紀南河川国道事務所によると、串本太地道路の本線は太田川方面から延伸し、現在の那智勝浦新宮道路につながる計画だという。下里地区内に太地インターチェンジ(仮称)や交差点の建設が予定されていることから、記念碑周辺の道路形状が変わる可能性もあるとしている。

 担当者は「現在は調整中。詳細などが決まれば、今後は地元住民の方々にも方針をお示ししたい」と話していた。

  □     □

■地元住民の声



 記念碑前のアジサイは元々、那智駅前に植えられていたもの。道の駅なちが建設されるため、当時の花てまりの会や地元住民らが協力し同所に植え替えたという。

 その後の管理は下里とも子ガーデン(岩本カナエ代表)が行い、太田耕二さんら地元住民も協力してきた。岩本代表は「このアジサイは場所を移しながら、最後は寺へ行く。人の一生のよう。良かった」。

 記念碑については「立派な方の碑なので多くの方に知っていただきたい。50年前以上に移設した際、下里中の生徒会や校長先生たちが移転式に参加したと聞いた。半世紀前は大切にされていたのだと思う」と話した。

(2021年9月10日付紙面より)

港又次氏の遺徳を表彰した記念碑(右)=那智勝浦町下里
地域に彩りを添えていたアジサイを剪定した
2021年09月10日
27 歩行者の安全確保など重点に
 21日から「秋の全国交通安全運動」  (紀宝署 )

 21日(火)から「秋の全国交通安全運動」が全国一斉に始まる。30日(木)までの10日間で、重点は▽子供と高齢者を始めとする歩行者の安全の確保▽夕暮れ時と夜間の事故防止と歩行者等の保護など安全運転意識の向上▽自転車の安全確保と交通ルール遵守(じゅんしゅ)の徹底▽飲酒運転等の悪質・危険な運転の根絶―の四つ。

 運動期間中、南牟婁郡交通安全対策協議会、紀宝地区交通安全協会、紀宝警察署では、早朝街頭指導や安全運転管理推奨像の伝達、一声運動推進協力店の指定など各種取り組みを進める。

 8月末現在、県内では3万2506件(昨年同期比987件増)の交通事故が発生。このうち人身事故は1787件(同178件減)で、死亡事故は31件(同17件減)で32人が死亡した。

 紀宝警察署管内での総事故件数は163件(同25件減)で、人身事故は11件(同5件減)、死亡事故は発生していない。国道42号で多く、事故原因は車両単独、出合い頭が上位を占めている。

 紀宝町では67件(人身事故6件)、御浜町は87件(同5件)、熊野市紀和町は9件で人身事故は起きていない。

 同署では、運動期間中、四つの重点に関連し▽児童・生徒の通学時間帯の見守り▽歩行者保護に資する取り締まり▽自転車のルール遵守とヘルメット着用の啓発▽飲酒運転の取り締まり―などの活動を強化する。

 歩行者の安全の確保については、横断歩道横断時に「少し手を上げる」など自らの安全を守る交通活動「横断歩道“ハンドサイン”キャンペーン」の推奨を図る。

(2021年9月10日付紙面より)

紀宝警察署管内で交通事故が多い国道42号
2021年09月10日
28 外装工事で真新しさ宿す
 北大和歌山研究林の本館  (古座川町 )

 古座川町平井にある北海道大学和歌山研究林(中村誠宏林長)の本館外装工事がこのほど完了した。今回は外壁、次いで屋根を手入れし、外装のほぼ全体が真新しさを宿した状態。職員も心機一転の心境で運営に励んでいるという。

 同研究林の本館は1927年建築。洋風木造2階建てで、九十余年を経た今も現役で用いている。内外装とも維持のため適時適切に手入れをしているがケヤキ材の階段や旧事務窓口など建築当時の基本構造も良好にとどめていて、2013年には国の有形文化財に申請して登録を受けている。

 最近の外装工事は技術職員の伊藤欣也さんが大学と地元業者の仲立ちをして実施。19年度に本館と宿泊施設(和風木造平屋建て)の外壁塗装を削り剝がして塗り替え、20年度に本館トタン屋根へ青色系のガルバリウム鋼板をかぶせる内容で、完了により02年に外装が青屋根・白壁に変わって以来20年ぶりにその雰囲気を取り戻す形となった。ガルバリウム鋼板はトタン屋根以上の耐食性を誇る素材で、薄く軽量であることやコストパフォーマンスに優れることを生かして従来のトタン屋根にかぶせることで性能を保ちながら長寿命化を図る施工となっている。

 同研究林は現在、新型コロナウイルス感染症の情勢を考慮しつつ県内の日帰り利用を受け入れ中。中村林長は「コロナが終息したら従来通り県外や宿泊の受け入れも再開し、多くの皆さまにリニューアルした本館を気持ちよく利用していただけるよう頑張りたい」と心機一転の胸中を語った。

 町内では高池にある芳流館互盟社社屋と同年生まれの木造建造物。戦前の建築技術を宿した希少な現存物の一つとなっている。問い合わせは同研究林(電話0735・77・0321)まで。

(2021年9月10日付紙面より)

ゲート越しに望む北海道大学和歌山研究林本館=3日、古座川町平井
2021年09月10日
29 自らの命は自ら守る
 緑丘中で防災集会  (新宮市 )

 新宮市立緑丘中学校(宮本雅史校長、生徒249人)で8日、防災集会があった。生徒たちは宮本校長の講話に耳を傾けるなどして防災意識を高めた。

 2011年3月の東日本大震災、9月の紀伊半島大水害などでは、自然災害によって多くの人の命が奪われた。10年が経過し改めて災害を教訓に、残された者として「日々の生活への感謝」「防災」「人としてのつながる社会」について考える機会にと毎年実施。新型コロナウイルス感染症対策として学年ごとに分かれて開かれた。

 3年生86人の集会では、那智勝浦町在住の宮本校長が自身の水害での体験を基に講話。▽想定にとらわれるな▽最善を尽くせ▽率先避難者たれ―の津波避難3原則を挙げ、「住んでいる周辺は地域の中でも危険な場所だと思っていたが、ここまでの災害が起こるとは思っていなかった。暗くなってからの避難は危ないので、明るい間に早急に逃げるべきだった」と振り返った。

 生徒たちには教訓として「『自らの命は自ら守る』。家は洪水や土砂災害などの危険性がないか、危機が迫った場合にはどこへ、どうやって逃げるかを正しく判断できる人になってください」と呼び掛けた。

 講話後には、30年以内に発生する可能性があるとされている南海トラフ地震のシミュレーション動画を視聴した。

 生徒会長の冨谷絵理香さんは「当時は5歳だったので薄い記憶しかなかったけど、校長先生の話を聞いて災害の恐ろしさを感じた。早めの避難を忘れず、自分の命を守る行動を取ることが大切だと改めて思いました」と話していた。

(2021年9月10日付紙面より)

講話に耳を傾ける生徒ら=8日、新宮市立緑丘中学校
宮本雅史校長
2021年09月10日
30 濵口大幹君、全国で堂々5位
 全日本少年少女空手道選手権大会  (拳武館新宮 )
2021年09月10日
31 山東、漁野両選手(那智中3年)が全国へ
 都道府県対抗中学バレーボール大会  
2021年09月10日
32 子育て支援に1000万円寄付  吉田久市さんに紺綬褒章  (御浜町 )
2021年09月10日
33 温泉病院が10日から再開  決算の認定について質疑も  (那智勝浦町議会 )
2021年09月10日
34 来年に期待を込めて  円満地公園「プールじまい」  (那智勝浦町 )
2021年09月10日
35 生まぐろ丼が全国第2位  IPPINグランプリで  (休暇村南紀勝浦 )
2021年09月10日
36 最優秀賞や優秀賞決まる 小中学生ポップコンクール結果 (串本町)
2021年09月10日
37 お悔やみ情報
  
2021年09月09日
38 ベトナムの高校生と交流
 対日理解促進プログラム  (新宮高校 )

 外務省が推進する国際交流事業「対日理解促進交流プログラムJENESYS」の一環として7日、和歌山県とベトナム・クアンナム省の高校生のオンライン学校交流が行われた。当地方からは新宮高校から4人が参加し、英語を中心に和気あいあいと互いの地域の歴史文化や学校生活について伝えた。

 和歌山県―ベトナム間の青少年交流は、2019年にグエン・スアン・フック首相(現国家主席)が来県したことが契機となってスタート。翌20年1月に県内6高校の生徒がベトナムを訪問し、現地の人々との交流や文化体験を通じて日本・ベトナム両国の関係について知見を深めた。

 今年はベトナムの高校生を県に招く予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大により両国間の往来ができないため、オンライン交流を実施する運びとなった。

 この日は県内6校から23人、ベトナムの2校から20人が参加。新宮高校生による学校・地域紹介では、今年同校が創立120周年を迎えることやクラブ活動の様子、地元銘菓の鈴焼などについて発表。他高校の生徒らも、分散登校とオンライン授業を併用した学校生活やそれぞれの地域の観光名所について伝え、浴衣で参加する姿も見られた。

 ベトナムの高校生も動画を交えて学校の歴史や学校祭、ローカルフードについての紹介。グエン・ビン・キエム専門高校の生徒と交流した東崎心さん(高2)は「コロナ禍の中、他の国の高校生はどんな学校生活を過ごしているのか知りたいと思って参加した。アニメや韓国アイドルなど、生徒の間ではやっているものは一緒だが、女の子の制服の形などが違うと感じた。新型コロナが収束したら、ベトナムに行ってみたい」と語った。

 最後にクアンナム省教育訓練局のグエン・コン・タン次長が「互いの地域の高校生が、温かな雰囲気で交流する様子を見た。新型コロナの感染が続く中だが、今後も定期的に高校生の交流事業を実施していき、より建設的な関係を築いていきたい。和歌山県の関係者や教職員、生徒たちの健康と幸福を願っている」と結んだ。

(2021年9月9日付紙面より)

交流に参加した生徒たち(日本国際協力センター提供)
学校生活について発表する生徒=7日、新宮市の県立新宮高校
2021年09月09日
39 高池小が最優秀賞
 「人権の花運動」写真コンテスト  (古座川町 )

 和歌山県人権啓発活動ネットワーク協議会主催の「第39回和歌山県小学校人権の花運動」写真コンテストの結果が発表された。116校の応募の中から最優秀賞10校が選ばれ、古座川町立高池小学校(大畑眞校長)が入賞した。

 小学生が協力して花を育てる中で命の尊さを実感し、人権尊重思想を育み情操をより豊かにしようと実施している。同小は毎年「花いっぱい あいさつ日本一の高池小学校」をテーマにコンテストに応募している。最優秀賞の受賞は3年ぶり。

 コンテストに応募した写真は今年の3月24日に撮影した。同協議会から送られたチューリップの他、ノースポールやネモフィラ、パンジーやビオラなどさまざまな花がちょうど見頃を迎えた時期で、当時5年生だった現6年生が笑顔で写っている。

 現在園芸委員を務めているのは6年生の紀田音色(ねいろ)さんと尾崎蓮音(れのん)君、5年生の洞勇佑君。委員長の紀田さんは「係の日は朝登校して準備をしたら花の水やりをします。元々動物や植物の世話をするのが好き。先生や昨年の園芸部の人が育ててくれた花が受賞でき、うれしいです」。

 中心となって関わる校務員の東山仁美さんは「卒業する6年生と入学してくる新1年生を、たくさんの花で送り、迎えたいという思いで育てています。散歩コースを変えて見に来てくれる方もおり、地域の人にも喜んでもらえてうれしいです」と笑顔。

 大畑校長は「校務員の東山さんがよくしてくれています。道行く人が『きれいやね』と声を掛けてくれ、子どもたちも授業で観察したりスケッチをしたりする機会があるなど、学校の環境整備や子どもたちの情操教育にも花は大切だと思います」と話していた。

 本紙エリアでは優秀賞に新宮市立三輪崎小学校と那智勝浦町立宇久井小学校、奨励賞に市立神倉小学校と王子ヶ浜小学校が入選している。最優秀賞と優秀賞の作品は11月20日(土)に和歌山ビッグホエールで開催の「ふれあい人権フェスタ2021」で展示を予定している。

(2021年9月9日付紙面より)

最優秀賞を受賞した写真(高池小学校提供)
花壇の前で笑顔を見せる園芸委員の児童と校務員の東山仁美さん=6日、古座川町立高池小学校
2021年09月09日
40 きれいな校内で2学期迎える
 大規模改修で教室など改装  (矢渕中 )

 夏休み期間中も続いた紀宝町立矢渕中学校の大規模改修工事。7月20日の1学期終業式以降、生徒の立ち入りを原則中止し、校舎内の改装工事が集中的に行われた。

 夏休み中は教室棟の内部工事を施工し、床や内壁、天井の改修工事、照明器具のLED取り替え、黒板、ロッカー、下足箱などの設置が完了した。生徒たちはきれいになった校内で2学期の学校生活を過ごしている。

 1974年に建設された校舎の老朽化が進むことから、町では大規模改修を計画。3月から本格的に工事が始まり、8月末時点で全工程の70%ほどが完成した。現在は外壁の修繕、防水塗装工事などに取り組んでいる。

 今後は、運動場のバックネット、防球ネット、駐輪場改修などを予定しているという。

 竹原巧校長は「終業式後から生徒が立ち入らない校舎内で改装工事が精力的に行われました。お盆も休みを返上して業務に取り組んでいただいたおかげで2学期を迎えることができました」と感謝し、「教室のロッカーが以前より1・5倍広くなり、使いやすくなったと好評です。廊下も木目調で温かみを感じ、LED照明のおかげで学校全体が明るくなった。玄関の靴箱もきれいになり、生徒たちも喜んでいます」と話していた。

(2021年9月9日付紙面より)

きれいになった下足箱や廊下=紀宝町立矢渕中学校
改修工事を終えた教室で授業に取り組む生徒たち
2021年09月09日
41 南紀園職員が15年表彰受賞
 全国老人福祉施設協議会  (太地町 )

 公益社団法人全国老人福祉施設協議会はこのほど、令和3年度の15年表彰を行い、太地町にある東牟婁郡町村新宮市老人福祉施設事務組合南紀園の岩佐記久子さんと、世古龍さん、掛橋みかさんに表彰状が贈られた。南紀園において初の表彰であり、金田健治園長から3人に表彰状が伝達された。

 表彰は同協議会が、多年にわたり老人福祉および介護事業に貢献し、その業績が顕著な正会員・準会員の施設および事業所の施設長や職員などに対し、功績を顕彰して労苦に報いることなどが目的。

 在職期間が通算15年以上の人が対象となる。全国で3923人が対象となり、和歌山県では98人が選ばれた。

 養護老人ホームの岩佐さんは「子育てしながらの勤務だった。家族の支えのおかげで15年間続けてこられたと思う」。

 特別養護老人ホームの世古さんは「入社してからここまで長く勤められたことを自分なりにほめてあげたい。今後は、20年、25年と頑張っていきたい」。

 掛橋さんは「家族の協力があり勤められた。いろいろなことがあったが、周囲にも恵まれていたので楽しく仕事ができている。感謝しています」と笑顔で話した。

 金田園長は「15年という長い間、ご苦労もあったと思う。一生懸命やってくれたことが表彰につながった。これからもよりいっそう頑張っていただけましたら」とねぎらった。

 その後、開かれたリーダー会議において、3人の伝達式が行われた。

(2021年9月9日付紙面より)

世古龍さん(前列左)、掛橋みかさん(同中央)、岩佐記久子さん(同右)が表彰された=7日、太地町の東牟婁郡町村新宮市老人福祉施設事務組合南紀園(一時的にマスクを外して撮影)
2021年09月09日
42 雑木林でアカヤマドリタケ  キノコシーズン到来か  
2021年09月09日
43 入賞作品候補17点を選考  観光フォトコン審査実施  (串本町 )
2021年09月09日
44 コロナ関連補正予算など  町会議第3回定例会始まる  (古座川町 )
2021年09月09日
45 ポジティブ行動支援学ぶ  市教育研究会が夏期講演会  (新宮市 )
2021年09月09日
46 将来の進路実現に向け  新翔高で就職希望生壮行式  (新宮市 )
2021年09月09日
47 4人が特別賞受ける  第55回記念高野山競書大会  (香波書道教室 )
2021年09月09日
48 10年前、町で起きたこと  市野々小学校で防災学習  (那智勝浦町 )
2021年09月09日
49 開館まであと1カ月  新宮市「丹鶴ホール」  
2021年09月09日
50 全小中学校にテントを寄贈  地域貢献活動で町建設業組合が  (紀宝町 )
2021年09月09日
51 女子大生が駅前でカフェ起業  活性化に大きな期待  (熊野市 )
2021年09月04日
52 「私たちは、忘れない」
 宇久井中学校で防災学習  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町教育委員会は本年度、2011年の紀伊半島大水害の記憶を後世に伝えるため、町内3中学校で防災学習を実施する。2日には町立宇久井中学校(坊信次校長)で学習があり、1、3年生36人が真剣な表情で被災当時の那智川沿いの写真や遺族の証言に向き合った。

 紀伊半島大水害で小中学生4人を含む29人が亡くなった那智勝浦町では、16年に町と和歌山大学が那智谷大水害遺族会の協力を得てDVD「私たちは、忘れない 紀伊半島大水害のことを」を制作。つらい記憶をよみがえらせることから生徒の視聴には賛否があったが、水害後10年を迎える今年、申し出があった3校で上映に踏み切った。

 DVD視聴に続き町教委の草下博昭課長が講話。「災害時には『絆』という言葉が注目されるが、被災した状況下で人と協力していくのは容易なことではない。それが実現するには、日頃から人に優しく接し、多面的に物事を捉え、自分にできることを探すという行動を取っていることが大切なのではないか」と語り掛けた。

 参加した生徒からは「どんな被害があったのか、どういう経緯で大きな被害が起きてしまったのか知ることができた。家族を亡くした遺族の気持ちは想像もできないが、一つ一つの災害を忘れてはいけないと感じた」「5歳の時、自分の家も浸水したと聞いた。自分たちにできるのは、忘れないこと、そして防災に取り組むこと」などの声があった。

(2021年9月4日付紙面より)

被災当時の町の様子を視聴=2日、那智勝浦町立宇久井中学校
真剣に向き合う生徒たち
2021年09月04日
53 打ち上げ機運盛り上げる
 新たなロケットロゴT発売  (南紀串本観光協会 )

 南紀串本観光協会(島野利之会長)は町独自ロゴ「スペースタウン串本ロゴ」を活用したTシャツの販売を開始した。アウトドア総合メーカー「(株)モンベル」とのコラボ商品で、カラーは3種類。1枚3000円(税込み)。同協会と同協会古座の窓口で販売している。

 前面にロケットロゴ(単色)、背面の首元にモンベルのロゴをそれぞれあしらった。生地はペアスキンコットンを使用しており、丈夫で型崩れしにくく肌に優しい着心地となっている。色とサイズはネイビー(サイズS~XL)とホワイト(同S~L)、グレー(同XLのみ)。

 同協会はロケット打ち上げの機運を盛り上げようと町独自ロゴを活用した商品を開発してきた。ロゴを使った商品のモデルケースを見せる狙いもある。これまでに「大漁旗Tシャツ」「ロゴステッカー」「ロケットサイダー」などを発売した。商品はJR西日本が運行する長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」の出迎えの際などにも販売している。

 今後は8月に完成した同協会オリジナルのロケットロゴ(全4種)を使った小物類の製作も計画している。商品の通信販売も検討中で、宇井晋介事務局長は「町全体で盛り上がっていることを形として示したい」と話していた。

 商品などの問い合わせは同協会串本事業所(電話0735・62・3171)まで。

(2021年9月4日付紙面より)

ロケットロゴを使用したTシャツ=1日、串本町串本
2021年09月04日
54 田辺市社協に福祉用具を寄贈
 みくまの農業協同組合  (本宮町 )

 みくまの農業協同組合(JAみくまの、漆畑繁生組合長)は8月30日、田辺市本宮町の保健福祉総合センター「うらら館」で田辺市社会福祉協議会(野見陽一郎会長)に介助型車椅子10台、松葉づえ3本、段ボールベッド30個を贈呈した。

 「農」と「食」と「地域を守る」を経営理念とし、地域に根差したJAとして2001年から活動してきたJAみくまの。昨今の経済情勢の変化により、今年6月に開催した第20回通常総代会で拠点再編が決まり、本宮支所が縮小となった。しかし、組合員や利用者にわずかでも地域貢献したいという思いから、「介護・福祉活動」「防災対策活動」の一助として、今回の贈呈に至ったという。

 同社協の松本栄夫副会長に目録を贈った漆畑組合長は「今回、本宮支所が縮小する中で何か地域貢献ができないかと考えておりました。福祉用具の必要性などを考え、少ないですが、今回の贈呈に至りました。今後ともどうぞよろしくお願いします」と話した。

 松本副会長は「大変ありがたい。少子高齢化社会が進む世の中、企業や社協もそれぞれ悩みがある。われわれとしても地域の皆さまがご心配ないように取り組み、貢献できるように進めてまいりたい」と話した。

(2021年9月4日付紙面より)

贈呈された福祉用具と目録を贈呈した漆畑繁生組合長(左)と松本栄夫副会長=8月30日、田辺市本宮町の保健福祉総合センター「うらら館」
2021年09月04日
55 「防災」について考えよう
 市野々小で防災学習  (那智勝浦町 )

 「防災の日」(9月1日)を中心とした1週間(8月30日~9月5日)は防災週間。那智勝浦町立市野々小学校(中西健校長)で期間中の2日、防災学習があった。児童らは真剣な表情で授業に取り組み、命を守る避難行動について学びを深める機会とした。

 5、6年生12人を対象に行われた授業では、新型コロナウイルス感染防止の観点から、県土砂災害啓発センターとオンラインで中継をつなぎ、防災について考える時間とした。学習テーマを「私の避難方法を考えよう」とし、同センターの坂口隆紀所長がハザードマップや警戒レベルから読み解かれる避難場所や方法などについて説明した。

 同センターによるオンラインを使用しての防災学習は初の取り組み。坂口所長は「『避難』とは命を守るために逃げること」と説明。「避難所では新型コロナの感染リスクも高くなる。でも避難しないこともいけない」と述べ、分散避難(ばらばら避難)の重要性を訴えた。

 分散避難のためには、自分の住んでいる所で起こり得る自然災害を知り、安全な場所を確認することが必要とし、ハザードマップを用いた事前確認を促した。

 また、天気予報などで耳にする「台風が発生」「梅雨前線・秋雨前線・線状降雨帯」「大気の状態が不安定」などの言葉や、気象情報における警戒レベルとその色分けにも注意が必要とし「赤(警戒レベル3)と紫(同4)を注意する色として覚えておいてください」と呼び掛けた。

 その後、児童らはハザードマップなどを参考にし、災害時の自分や家族の役割について考えながら避難スケジュールの作成に取り組んだ。

(2021年9月4日付紙面より)

ハザードマップで安全な場所や避難場所を確認した=2日、那智勝浦町立市野々小学校
オンラインで県土砂災害啓発センターとつないだ
2021年09月04日
56 個性豊かな作品並ぶ  町内小学校で夏休み作品展  (串本町・古座川町 )
2021年09月04日
57 約3年越しで工事が完了  平井地内の地滑り区間  (古座川町 )
2021年09月04日
58 ロケット関係経費など計上  一般会計補正予算案を発表  (串本町 )
2021年09月04日
59 9月議会提出の議案説明  一般質問は14日から  (新宮市 )
2021年09月04日
60 名誉町民推挙やバス路線変更  9月定例会に上程  (那智勝浦町 )
2021年09月04日
61 センニンソウが花咲かす  黒潮公園の生け垣に  (新宮市 )
2021年09月04日
62 「太平洋食堂」最後の開店  メメントC+「太平洋食堂を上演する会」  (DVD、BD販売中 )
2021年09月04日
63 3教科で全国平均下回る  全国学力・学習状況調査  (三重県 )
2021年09月04日
64 4人の功績をたたえる  自治功労表彰の授与式  (御浜町 )
2021年09月04日
65 お化け屋敷にも挑戦  うどの幼で「お楽しみ会」  (紀宝町 )
2021年09月04日
66 お悔やみ情報