ニュースアーカイブ|ARCHIVES
アーカイブ検索で表示されるグレーのリンクのない記事については、熊野新聞紙面をご覧ください。
ご購読のお申し込み
過去2年分の熊野新聞は、
SHIMBUN ONLiNE
でご購読頂けます。
新聞オンライン(電子新聞)
カレンダー検索:43件の記事がありました
【検索ステータス】 
2021年09月17日
1 大輪の花、笑顔誘う
 三輪崎でささやかな打ち上げ花火  (新宮市 )

 三輪崎八幡神社氏子総代会(中村武総代会長)は15日夜、区民に笑顔になってもらおうと新宮市三輪崎の孔島付近で花火の打ち上げを実施した。三輪崎漁港には近隣の住民らが訪れ、つかの間の花火大会を楽しんだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、昨年に引き続き大幅な規模縮小を余儀なくされた三輪崎八幡神社例大祭。漁労加護、五穀豊穣(ほうじょう)、商売繁盛など地域の繁栄を願い、現在の三輪崎漁協付近にあった元宮に神様が年に1度里帰りする祭りだ。

 元宮を目指して八幡神社を出発し、恵比寿(えびす)、二十四孝(にじゅうしこう)、大黒天の山車が豪快にぶつかり合いながら町を練り歩く神輿渡御(みこしとぎょ)やその他奉納行事は全て中止に。同日午前に約20人の関係者のみでしめやかに本殿大前ノ儀が営まれた。

 花火の打ち上げは新型コロナの終息と区民の健康を祈願し、また区民の笑顔を取り戻したいという思いから企画したもの。色とりどりの約70発の花火が約3分間にわたって夜空を彩る様子に、地域住民らは惜しみない拍手を送った。

 中村総代会長は「花火には神輿渡御など、奉納行事の2年連続中止に伴い、『祭りを忘れてほしくない』気持ちと、コロナ禍での一服の清涼剤になってほしいとの願いを込めた」と語り、「近隣地区にも祭りへの思いが浸透し、より活気のあるものにしていけたら」と地区の活性化と来年の盛大な斎行を願った。

(2021年9月17日付紙面より)

大輪の花が三輪崎の海と空を彩った=15日、新宮市の三輪崎漁港
2021年09月17日
2 歌やラジオ体操楽しむ
 いきいきサロン大勝浦区  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町の大勝浦漁民集会場で15日、2カ月ぶりに「いきいきサロン大勝浦区」が開かれた。地域住民14人が集い、歌や体操で楽しい時間を過ごした。

 いきいきサロンは地域の高齢化や1人暮らしの増加を背景に、引きこもり防止や生きがいづくりを目的としてスタート。同区では2019年に初めて開催され、月1回地域の高齢者が和気あいあいと交流する場となっている。8月は新宮保健所管内の新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止したが、今回は▽マスク着用▽手指消毒▽換気▽検温―の感染対策を取って2カ月ぶりに開いた。

 雨の中集会所に集った参加者は、最初にお座敷小唄の替え歌の「ボケない小唄」「ボケます小唄」を歌い、「お酒も旅行もきらいです、歌も踊りも大嫌い、お金とストレスためる人、人の2倍もボケますよ」の歌詞に笑い合った。ラジオ体操1番、2番で体をほぐした後は、3密を避けてカラオケやゲームをした。

 参加した70代女性は「普段から顔を合わせている人も多いですが、久しぶりに集まって話すからか、なんだか声が出にくいような気がします。やっぱりみんなで集まるのは楽しいですね」と話していた。

(2021年9月17日付紙面より)

ラジオ体操で体をほぐす=15日、那智勝浦町の大勝浦漁民集会場
「ボケない小唄」を歌う
2021年09月17日
3 専門職派遣で介護予防推進
 地域リハビリ活動支援事業  (串本町包括支援セ )

 串本町地域包括支援センターがリハビリテーション専門職を派遣する介護予防推進事業「地域リハビリテーション活動支援事業」を始めた。対象となる団体の申し出に応える形での実施で、派遣を希望する団体は同センター(電話0735・62・6005)まで連絡してほしいという。

 この事業の対象は▽主に町内在住者で構成し活動拠点を町内に置く▽月1回以上の活動をしている▽おおむね65歳以上の高齢者で構成―の3条件を満たす団体。同センターから活動場所へ理学療法士や作業療法士などを派遣し、同町が町民の健康寿命増進を目的として導入した体成分分析装置「InBody」による測定や8項目の体力測定、測定前の問診の結果に基づいて今後の介護予防に適した体操メニューを提案する。

 担当する専門職との日程調整が必要となるため、申し込みから派遣まで1カ月ほどの時間がほしいという。派遣は両測定や問診票受け付けで1回(同センター職員も同伴)、測定結果の説明や体操メニューの指導で1回の計2回で両者は1カ月程度の間隔を空けて行う。派遣は一団体につき年1度とし、できるだけ多くの団体を支援できる状況を目指すという。

 この事業には並行して同センターには個人の特定に至らない範囲で測定や問診の結果を統計活用し町民の傾向をしっかりと踏まえた介護予防施策を展開したいという思いがあり、全体として町民に実のある支援をしつつデータ収集の協力を得るという縮図になっている。

 まずはこの事業を町民に知ってもらうことが必要だとし、その足掛かりとして14日は県立潮岬青少年の家で親睦グラウンド・ゴルフ大会に臨む同町老人クラブ連合会女性部を対象にして1回目の派遣を試行した。71人全員とはいかないができる限り測定や問診の機会を届けて同事業を紹介。その延長で今後の派遣希望も伺うなどした。

 この事業の問い合わせは同センターまで。

(2021年9月17日付紙面より)

1回目の派遣の内容を試してもらいながら事業を紹介=14日、県立潮岬青少年の家
2021年09月17日
4 休憩施設の整備を要望
 町内の紀宝熊野道路に計画を  (紀宝町 )

 紀宝町と同町議会は15日、合同要望活動を実施。西田健町長、町議会の向井健雅議長、山本精一副議長、榎本健治・近畿自動車道紀勢線建設特別委員会委員長が国土交通省中部地方整備局紀勢国道事務所を訪問し、藤山一夫所長に一般国道42号紀宝熊野道路への休憩施設整備を求める要望書を提出した。

 14日に開かれた町議会定例会で「津波浸水時にも機能する紀宝熊野道路に、一時避難や道路情報の提供、給油などができる防災機能を併せ持つ休憩施設の整備が強く望まれる」などの議決が採択され、要望に至った。

 近畿自動車道紀勢線には、紀北町の「紀北PA」から和歌山県上富田町の「道の駅くちくまの」間の約140㌔にパーキングエリアが整備されておらず、町では防災機能を併せ持つ休憩施設の整備を求めていくこととした。

 要望書には「三重県の南玄関に位置する本町に休憩施設が整備されることは、道路利用者の安全性と利便性の向上が図られるだけでなく、県域を越えた連携促進により、近畿自動車道紀勢線の効果を最大限に引き出し、交流人口の拡大、観光・産業の振興、地域経済の活性化に寄与することが大いに期待できるものであります。これらのことからも、今後、道路計画を進めるにあたり、本町内の一般国道42号紀宝熊野道路への休憩施設整備につきまして、格段のご配慮をいただきますようお願い申し上げます」などと整備計画の必要性を盛り込んだ。

(2021年9月17日付紙面より)

藤山一夫所長(中)に要望書を提出する榎本健治委員長(左)と西田健町長(紀宝町役場提供)
2021年09月17日
5 コロナ経済支援や教育など  新宮市議会一般質問(終)  
2021年09月17日
6 運転免許自主返納者割引を開始  10月1日から、熊野御坊南海バス  
2021年09月17日
7 8月度月例杯の結果  那智勝浦ゴルフ倶楽部  
2021年09月17日
8 県知事賞などを選出 第43回児童生徒木工工作コンクール 
2021年09月17日
9 10月から作業本格着手  旧役場本庁舎解体工事  (串本町 )
2021年09月17日
10 今年も本殿大前の儀のみに  保存会の申し合わせを報告  (木葉神社 )
2021年09月17日
11 手作り絵本で交流  生徒が園児に読み聞かせ会  (潮岬中 )
2021年09月17日
12 子どもたちにテントを  町建設業組合が全小中学校に  (紀宝町 )
2021年09月17日
13 全国平均わずかに下回る  国、県の各学力テスト結果を分析  (紀宝町 )
2021年09月17日
14 これが「私の新宮遺産」  新宮市観光フォトコンテスト入選作品紹介  (一般の部② )
2021年09月17日
15 南東の空に「きぼう」観測  太地町  
2021年09月16日
16 コロナ収束願い来年こそ
 厳かに本殿大前ノ儀  (三輪崎八幡神社 )

 新宮市の三輪崎八幡神社(上野顯宮司)で15日、同社例大祭の本殿大前ノ儀が営まれた。中村武・氏子総代会長ら祭り関係者約20人が参列し、神様をたたえて新型コロナウイルスの収束や地域の平穏無事などを願った。

 例大祭は漁労加護、五穀豊穣(ほうじょう)、商売繁盛など地域の繁栄を願い、現在の三輪崎漁協付近にあった元宮に神様が年に1度里帰りする祭り。今年もコロナウイルス感染症拡大防止の観点から大幅に規模を縮小して実施。元宮を目指して八幡神社を出発し、恵比寿(えびす)、二十四孝(にじゅうしこう)、大黒天の山車が豪快にぶつかり合いながら町を練り歩く神輿渡御(みこしとぎょ)、その他の奉納行事は、昨年に続いて中止となった。

 今年は雨天のため、同神社社務所で大前ノ儀を斎行。厳かな雰囲気の中、上野宮司が祝詞、仲西博光副区長が祭詞を奏上し、参列者が玉串を供えた。

 中村氏子総代会長は「コロナウイルスの一日も早い収束と地域の健康、繁栄を願い、滞りなく営むことができました。2年連続の規模縮小については残念ですが、『来年こそは』という思いを忘れずに信じて過ごしていければ」と話していた。

(2021年9月16日付紙面より)

さまざまな思いを祈願した=15日、新宮市の三輪崎八幡神社
本殿大前ノ儀に参列した皆さん(一時的にマスクを外して撮影)
2021年09月16日
17 アカウミガメがふ化
 七里御浜海岸で2頭産卵  

 七里御浜海岸でのアカウミガメの上陸、産卵シーズンが終わり、今年は御浜町で6月21日と7月5日に2頭の産卵が確認された。紀宝町ウミガメ公園の飼育員・伊藤柊也さんによると、1頭目の卵は8月16日、2頭目は27日にふ化したと思われるという。紀宝町での産卵は3年連続でなかった。

 1頭目の卵はふ化した形跡があったものの、子ガメの足跡が少なかったことから、環境省吉野熊野国立公園管理事務所の職員が産卵巣を掘り起こしたところ、10匹がふ化していた。7匹は海に向かったが、残る3匹は元気がなく、ウミガメ公園で保護した。

 2頭目は産卵巣が台風などで浸水する恐れがあったため、127個の卵を安全な場所に移した。

 保護した当初、3匹は甲長4㌢弱だったが、1カ月近くたった現在では5㌢ほどまでに成長した。伊藤さんは「アジやホタテなどの餌を1日2回、食べて元気に育っています。1年後に海へ返す予定にしています」と話している。

 ウミガメ公園は「緊急事態宣言」により30日(木)まで休業中で、再開する10月1日(金)から、3匹を公開する。

(2021年9月16日付紙面より)

保護している子ガメ=紀宝町井田の道の駅「紀宝町ウミガメ公園」
七里御浜海岸でふ化したアカウミガメ=御浜町(伊藤柊也さん提供)
2021年09月16日
18 分散登校&オンライン
 新宮高校教職員の声を聞く  

 和歌山県内の県立高校は今月1日から、各クラスの半分の生徒が登校し、残り半分はオンラインによる自宅学習を行う形で授業を再開した。本格的なオンライン授業が始まって約1週間、新宮市の県立新宮高校の教職員の声を聞いた。

  □     □

■前野孝光教諭(国語)

 授業を担当している3年生は、昨年タブレット型パソコン(PC)が導入されて以来、日常的に授業でPCを使ってきました。1、2年生のクラスに比べると比較的スムーズに授業ができていると思います。

 授業は黒板への板書とパワーポイントの画面共有を併用して実施しています。もともと古文や漢文では板書の時間を短縮するため、パワーポイントを使っていました。タッチペンで画面に書き込みをすれば、教室/自宅学習の生徒両方にリアルタイムで同じ画面を見せることができます。普段から情報通信技術(ICT)を使った授業づくりをしていてよかったと感じます。

 板書もしますが、黒板の3分の1しか使用できず、カメラに映らない場所に書いてしまったり、広角にすると文字がぼやけてしまったりします。教室とPCのカメラのどちらを見たらいいのかは、今も悩みます。

 気をつけなければいけないのは提出物の管理。木曜日に登校した子が次に学校に来るのは月曜ですから、特に締め切りがあるものが多い3年生は気を使います。

  □     □

■岩倉真希教諭(数学)

 8月末からの準備期間はバタバタでしたが、授業を開始して1週間でようやく流れができてきたと感じます。

 全員登校のときは板書中心の授業をしていましたが、現在はタブレットPCに生徒に配ったのと同じプリントを表示し、タッチペンで書き込む形を取っています。教室の生徒はスクリーン、自宅学習の生徒はPCで同じ画面を見ることができます。数式を表示するのはパワーポイントでは難しいですね。

 最初は生徒全員にビデオ機能をオンにして顔を見せるよう言っていたのですが、そうすると通信容量の問題か、こちらから共有する映像の画質が下がってしまいます。現在は、生徒は顔出しなしで授業をしています。

 授業ではランダムで生徒を当て、自宅学習の子にも問題に答えてもらいます。生徒によってはオンライン授業の方がいいという子もいます。

 課題と感じているのは生徒の手元のプリントが見えないところ。数学ではどうしてもつまずく子がいるのですが、それをリアルタイムでサポートするのが難しい。登校したときに質問できるようにしていきたいです。

  □     □

 教職員の声を聞く中で、課題はあるものの▽普段からICTを活用した授業をしている方がスムーズに移行できる▽共有した画面に書き込みをする方式がいい―などの共通意見が見られた。

 県教委によれば全員登校再開のめどは立っておらず、分散登校・オンライン授業の長期化を見据え、今後も動向を追っていく。

(2021年9月16日付紙面より)

数学の授業風景=10日、新宮市の県立新宮高校
2021年09月16日
19 地域性踏まえ行動力培う 西向中生徒が防災学習で (串本町)

 串本町立西向中学校(山下哲治校長、生徒12人)が14日、役場総務課防災・防犯グループの職員を迎えて防災学習に取り組んだ。

 将来の発生が指摘されている南海トラフを震源域とする地震や伴う津波について地域性を踏まえて理解し、命の危険から逃げ切ることを考える内容で、前半は職員による解説を聞き後半は県独自の防災学習ツール「きいちゃんの災害避難ゲーム」に挑戦して理解や考えを深めた。

 解説を担当した同グループの岡田真一主任はまず町の人口規模や高齢化率、地理的特徴を伝え、それら状況との対比で南海トラフを震源域とする大地震や中央構造線付近を震源域とする大地震を注視しているとしそれぞれの予想最大規模や周期性など特色を解説した。

 南海トラフを震源域とする大地震は津波を伴うことを、県が作成した映像資料や津波ハザードマップを交えて印象づけ。この状況から命を守るために町は避難路や防災施設を整備し、公共施設の高台移転や同マップの作成、津波避難困難地域対策や訓練・啓発・補助事業による住民への意識付けや自主防災組織との協働、災害用備蓄水「なんたん水」の製造などさまざまな対策を積み上げているとした。

 それでも命を守るための避難は不可欠。岡田主任は津波が最短2分で町境に到達することを踏まえ、大きく揺れたら情報を待たず津波避難三原則に沿って行動し命を守ってほしいと呼び掛けた。

 質疑応答を経て後半は行動時の状況を疑似体験。用いた同ツールは小学生高学年以上を対象としゲーム1「津波から逃げ切ろう!」とゲーム2「避難所運営しよう!」の各体験ができるが、今回はゲーム1を2組に分かれてそれぞれ挑戦し起こる状況や求められる判断を考えて行動力を培った。

 持ち出し品や日頃の備えが全くない状況とある状況で2回取り組み、ある状況の方が行動しやすいことも実感した。

 同グループによると、同ツールを使った学習は串本西中に続き2校目でいずれもゲーム1を経験した状況。串本西中は後日ゲーム2にも挑戦する予定で西向中も同様に挑戦の機会を持ってほしいと希望して締めくくった。

(2021年9月16日付紙面より)

県独自の防災学習ツールで行動力を培う生徒ら=14日、串本町立西向中学校
2021年09月16日
20 串本古座・有田中央が敗退 秋季高校野球一次予選 
2021年09月16日
21 全議案可決して1日で閉会  第3回紀宝町議会定例会  
2021年09月16日
22 無投票の公算大に  立候補説明会に現職のみ  (熊野市長選 )
2021年09月16日
23 初日に4人が登壇  新宮市議会一般質問①  
2021年09月16日
24 ヌスビトハギの花  那智勝浦町  
2021年09月16日
25 仙人? いいえ、山田さんです  無所有のバックパッカーに御浜町で出会った  
2021年09月16日
26 銀河と町を盛り上げたい  立岡みのるさんの新曲販売中  (新宮市 )
2021年09月16日
27 演奏で感謝の思い伝える  那智中吹奏楽部が定期演奏会  
2021年09月16日
28 秋の七草・クズの花咲く  初秋の訪れ告げるように  (串本町 )
2021年09月16日
29 加齢の不安を気軽に相談  まちかど開設「笑笑茶屋」  (串本町 )
2021年09月16日
30 この街で生きる認知症 市役所1階ギャラリーで展示 (新宮市)
2021年09月16日
31 お悔やみ情報
  
2021年09月05日
32 祈り込めキャンドルともす
 那智谷大水害遺族会が追悼式  (紀伊半島大水害から10年 )

 当地方に甚大な被害をもたらした紀伊半島大水害(2011年)から10年。各地では、同水害の犠牲者を追悼するための慰霊祭や式典、復興催事などが営まれた。本紙エリアでも新型コロナ感染予防対策が講じられる中、遺族や関係者らが故人をしのび、防災への誓いを新たにした。

 4日未明、那智勝浦町井関の紀伊半島大水害記念公園で那智谷大水害遺族会(岩渕三千生(みちお)代表)による追悼式があった。犠牲者の遺族ら約60人が参列し、さまざまな思いを胸に死者・行方不明者数と同じ29個のLEDキャンドルに明かりをともした。

 昨年と同様に、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、追悼式で使用するキャンドルの製作は中止となり、火を使わないLEDライトをキャンドルに用いた。

 午前1時から始まった追悼式には、水害の犠牲となった中平景都君=当時(小2)=の同級生も駆け付けた。

 岩渕代表(60)があいさつし、参列者が黙とうをささげた。その後、静かにキャンドルに明かりがともされた。

 景都君の同級生で前日に18歳の誕生日を迎えた同町市野々在住の村田健士朗(けんじろう)君(新宮高校3年)は「高校卒業後は同級生が集まる機会がなくなってしまうので今回、集まれて良かった。帰り道も同じだった景都君を思い出しながら、感謝を伝えた。今後もまた来たい」。

 水害で妻と娘を失った寺本眞一さん(68)は「家内と娘には『こんなことあったよ、初孫できたよ』と話し掛けた。各地で災害が起きると10年前を思い出して気がめいる。孫には事故や災害に遭わず、人生を全うしてほしいと思う。また、犠牲者のために多くの方が供養に来てくれるのはありがたい」と話した。

 岩渕代表は「10年、20年たとうが気持ちは同じ。遺族にはそれぞれの思いがある。那智谷の復興や災害が起きないように見守っていてほしいと伝えた。今日は景都君の友人がたくさん来てくれてありがたい」。

 追悼式や今後については「二度と那智谷で同じような災害を起こしてはならない。この水害を教訓にして、『早めの避難』を心掛けてほしい。大水害を忘れないためにも行事は後世に伝えていかなくてはならない。遺族会がなくなってもうちの家族だけでも式はやっていきたい」と話していた。

(2021年9月5日付紙面より)

祈りを込める中平景都君の同級生ら=4日未明、那智勝浦町の紀伊半島大水害記念公園
慰霊碑と向き合う岩渕三千生代表(右端)
2021年09月05日
33 「熊野川は元気です!」
 黄色いハンカチに感謝込め  (新宮市熊野川町 )

 新宮市熊野川町の新宮市さつき公園(紀伊半島大水害復興祈念公園)に3日、2011年の紀伊半島大水害後に町の復興に携わった全ての人々へ感謝を込め「熊野川は元気です!」のメッセージを発信する黄色いハンカチが掲げられた。期間限定で1週間ほど設置する。

 町内約600世帯と学校、福祉施設などにハンカチを配布して世話になった災害復興ボランティアや親戚、友人らへメッセージを書いてもらい、公園に掲げる取り組み。今年5月に地域住民組織「チームくまのがわ」の会合で発案され、実行委員8人を中心に大勢の町民が作業を分担した。

 3日の設置作業には雨の中、実行委員8人や熊野川中学校の全校生徒22人、関係機関職員らが駆け付けて協力した。

 参加した中前なごみさん(中3)は「ボランティアの方々へ感謝を伝える機会を持ててうれしい。当時は4歳だったが、泥かきをしてくれた人たちのことは記憶に残っている。これからも災害は起こるだろうが、今度は自分たちが助ける側に回りたい」。

 取り組み発案者の1人で実行委員長を務めた下阪殖保さんは「SNSやメディアを通じて、『ありがとう、熊野川は元気やで』という思いが伝われば。こんなメッセージが出せるくらい、町のみんなが前向きに復興に向けて頑張ってこられたこの10年は、いいこともたくさんあったと思う」と語った。

 さつき公園には翌4日にバルーンも設置され、青空の下に黄色いハンカチがたなびいていた。

(2021年9月5日付紙面より)

青空に黄色いハンカチがたなびく=4日、新宮市熊野川町
雨の中設置作業を行う生徒たち=3日、同所
2021年09月05日
34 心構えと行政支援で「抑える」
 仲本耕士副町長に聞く  (古座川町 )

 古座川町では土石流こそなかったが、家屋の床上浸水585戸をはじめとし道路、堤体、公共施設など多岐の被害があり、3人が災害関連で一度は取り留めた命を失った。紀伊半島大水害時、町住民福祉課長として対応した仲本耕士副町長は「(七川ダムの)ただし書き放流は自身の経験ではこの1回だけ」と自然の脅威を振り返る。

 洪水調節をする七川ダムの放流量は最大毎秒320㌧。ただし書き放流は流入量をそのまま流出させて最悪の状況(設計満水位状態からの決壊)を避ける特例操作で、当時は毎秒約1000㌧以上が流出していたという。その先にあるのが前述した被害。当時はそれほどの影響を与える雨水が古座川へ流れ込んでいた。

 そのような脅威の経験を受け、同ダムは全国に先駆けて事前放流に関する協定を電力会社と結び、洪水調節の幅を広げた。同町は災害復旧に3年余りを要し、その終盤で洪水時最高水位標柱を町内各所に設置し経験の風化抑止も図った。さらにハード面で車両や農機を守る高台を6カ所造成し、ソフト面では同大水害記録誌や洪水ハザードマップの全戸配布による水防災意識の喚起や自主防災組織の結成推進による備蓄増強などの対策を積み上げている。

 20年度から古座川下流域で河川整備計画に基づく河道掘削が始まり、今年8月末には古座川流域治水プロジェクトも策定された。いずれも同大水害に次ぐ被害をもたらした2001年水害(同町では家屋70戸が床上浸水)を前提。気付くべきは既往最大水位となっている同大水害規模の防災は困難で、今はこの状況に対する備えが不可避という現実だ。

 「古座川は昔からつかるところ。だから逃げる場所をつくる」。ふと祖母の言葉を思い出して語った仲本副町長。同大水害から10年を迎えるに当たり「古座川町は町民1人1人の心構えと行政のサポート、その集大成で被害を『抑える』。水害の経験を風化させず、各職場、各家庭で意識を持ってほしい。そのようにして古座川とつきあっていく」と思うところを掲げ、実動の源となる減災意識を皆が持ち続けることを期した。

(2021年9月5日付紙面より)

10年を振り返り思いを掲げる仲本耕士副町長(左)=2日、古座川町役場
後につくられた避難高台(写真左)や最高水位標柱。水防災意識を保つ象徴になっている
2021年09月05日
35 災害に強いまちづくりを
 大水害献花式で誓い新た  (新宮市 )

 新宮市は4日、同市熊野川町田長の道の駅「瀞峡街道 熊野川」の紀伊半島大水害慰霊碑前で犠牲者追悼献花式を営んだ。遺族や田岡実千年市長、向井雅男副市長、速水盛康教育長、大西強市議会議長ら関係者約30人が参列。犠牲者の冥福を祈るとともに、災害に強いまちづくりを誓った。

 参列者たちは、同市で犠牲になった14人の名前が刻まれた慰霊碑の前で黙とうをささげ、白い菊を献花。故人をしのび、静かに手を合わせた。

 田岡市長は「災害でお亡くなりになられた方々の無念の思いと、ご遺族の皆さまの深い悲しみを思うと今も哀惜の念に堪えない」と追悼。

 市では災害後、国、県、市民からの多大な支援と励ましを得て復旧・復興を進めるとともに、防災対策を見直し災害に強いまちづくりに努めてきたと述べ「これからも紀伊半島大水害を片時も忘れることなく、市民の皆さまが安心・安全に暮らすことができるまちを築いていく」と決意を新たにした。

(2021年9月5日付紙面より)

田岡実千年市長が追悼の言葉をささげた=4日、熊野川町田長の紀伊半島大水害慰霊碑
参列者らが慰霊碑に献花した
2021年09月05日
36 「子どもの犠牲なくしたい」  遺族が弟家族の遺品探す  (那智勝浦町 )
2021年09月05日
37 犠牲者の鎮魂など祈願  熊野速玉大社で慰霊祭  (新宮市 )
2021年09月05日
38 心一つに防災力向上を 大斎原で大水害慰霊祭 (田辺市本宮町)
2021年09月05日
39 消防体制の強化目指す  消防安全の日の誓い  (新宮市 )
2021年09月05日
40 大水害を忘れないために  9月4日「町民防災の日」  (紀宝町 )
2021年09月05日
41 タイムライン防災、町の文化に  西田健町長が思い語る  (紀宝町 )
2021年09月05日
42 経験伝え、意識向上図る  社会福祉法人高瀬会の思い  (古座川町 )
2021年09月05日
43 お悔やみ情報