オンラインで生徒らに伝える (新宮市立城南中学校 )
駐日トルコ共和国大使館のハサン・ムラット・メルジャン特命全権大使は4日、オンライン会議システム「Zoom(ズーム)」で、新宮市立城南中学校(中田善夫校長)と中継をつなぎ、同校生徒会5人に対し「エーゲ海地震」の義援金への感謝を伝えた。
同地震は、昨年10月30日にエーゲ海を震源に発生したマグニチュード7・0の地震。余震も相次ぎ、トルコとギリシャで100人以上が死亡し1000人以上が負傷した。
「何か世の中の役に立てることを」と考えていた同校生徒会は、地震の発生を受け昨年12月初旬に募金箱を手作り。全クラスを訪問して募金を呼び掛けた。
生徒会は約1週間かけて1万1191円を集め、仁坂吉伸県知事と串本町の田嶋勝正町長が呼び掛け人となり募集していた「トルコ西部イズミル県における地震被害に対する災害義援金募集」の受け入れ口座に送金。入金手続きも生徒ら自らが行ったという。
中継では、メルジャン特命全権大使が募金をしようと思った経緯などを生徒らに質問。エルトゥールル号を通した和歌山県とトルコとのつながりや歴史について細かく説明し「和歌山県がトルコにとってどれだけ大事な場所か。今回のことも感謝を込めていろんな人に伝えていきたい。いつかトルコに遊びに来て」と呼び掛けた。
生徒会会計の山中瑛斗君(2年)は「緊張したが(大使は)気さくに話してくれた。和歌山県とトルコの歴史について深く教えてもらった。このことをばねにして生きていきたい」。
生徒会長の小口篤紀君(同)は、災害直後のトルコの様子について「建物の原形がなくなるくらいの被害にショックを受けた」と述べ「感謝を示してくれたことに感謝したい。トルコにより親しみを持つことができました」と話していた。
中田校長は「さまざまな活動を通して、生徒たちの意識も変わり自信もついてきた。生徒会を中心により良い学校になっていけば」と生徒らを激励。「生徒らに感謝するとともに、今日のことは先生たちにもしっかり伝えたい」と話していた。
(2021年2月6日付紙面より)
下里小学校で啓発授業 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立下里小学校(泉一代校長、児童86人)で4日、同町天満の「くまのこころのクリニック」睡眠健康指導士(上級)の西山直子さん、福戸百合子さんによる啓発授業が開かれ、6年生25人と保護者、近隣学校の教職員らが睡眠について学んだ。
障害者福祉に携わる事業所で組織する新宮・東牟婁圏域自立支援協議会の取り組みで、開催は今回が初めて。不眠症患者らと関わる心療内科の立場から、睡眠が心身の発達に及ぼす影響について知ってもらうとともに、教育機関との連携を強化する中で精神障害の予防や偏見解消につなげる狙いもある。
福戸さんは6年生を対象に○×クイズを実施。「睡眠には成長ホルモンを出し、疲労を回復させる『ノンレム睡眠』と、記憶を整理し、学習したことを定着させる『レム睡眠』の2種類がある。必要な睡眠時間は人によって違うが、皆さんの年齢にお薦めなのは9~11時間」と語った。
「朝食のタンパク質から活動ホルモン『セロトニン』が作られ、夜の暗さで睡眠ホルモン『メラトニン』に変化する。夜に明るい光を見ると脳が興奮して眠りにくくなるため、寝る1時間前から照明を一段階暗くし、携帯電話やパソコンを触らないよう心掛けて」とポイントを伝えた。
保護者・教職員向けには西山さんが講話。同小の児童を対象にした生活アンケートで、寝る時間が遅くなる理由の48・1%がスマートフォンやメディア、ゲームだったと話し、「大事なのは早寝、早起き、朝ご飯。より良い明日を生きるためには、良い睡眠を取ることが大切です。夜は『早く寝なさい』ではなく、『いい夢を見てね』という言葉で送り出してあげてほしい」と呼び掛けていた。
(2021年2月6日付紙面より)
消防本部が自主参集訓練 (串本町 )
串本町消防本部(寺島正彦消防長)が3日、地震を想定した自主参集訓練に取り組んだ。訓練指揮者以外の職員は抜き打ちとする形で開始し、有事さながらの緊張感を持って全職員が取るべき行動を考え配属先拠点での体制確立を目指した。
同本部の拠点を消防防災センターへ移して以降、未実施だった同訓練。久しく途絶えたことで未経験の若い隊員が増えている状況を踏まえ、今回は午後7時に震度4の揺れを感じる地震が発生したという想定で開始した。
当務職員は速やかに全員集合し、安否確認をした上で初動の布陣を構築。手分けして施設の被害確認、全消防・救急車両の始動、非番職員自主参集指示のメール送信などを実行した。
同メールを5分たっても受信していない非番職員には当務職員が順次電話をかけて指示を伝達。その参集を待つ間、当務職員は先んじて管内の被害情報収集を始め同町と同本部の各災害対策本部立ち上げの準備も進めた。自主参集した非番職員は職員登庁報告書を記入し、登庁の手段や参集の開始・終了時刻、参集中に確かめた被害状況を集約しながら同本部災害対策本部による指示が出るまで庁内待機した。職員全員が参集した時点で同訓練終了とし、寺島消防長は「今回の訓練の結果をさらに精査検証し、今後の防災力の充実強化につなげてほしい」と訓示して締めくくった。
今回は地震のみとしたが津波も想定としてあり得るし職員が取るべき行動の考え方も違ってくるとし、今後はその状況で参集できない想定での同訓練実施も考えているという寺島消防長。今回は未経験の職員が増える中で何が問題になっているかを洗い出すための訓練だと位置づけ、訓示した成果の発揮を職員の今後に期待した。
(2021年2月6日付紙面より)
太地こども園でキノピー教室 (太地町 )
太地町立太地こども園(森尾扶佐子園長、園児68人)で3日、3~5歳児51人を対象とした「キノピー教室」が開かれた。和歌山の森を守る妖精「キノピー」と太地町のマスコットキャラクター「ゴン太」が来園し、森林の働きや山の大切さを伝えた。
県内の全市町村と県で組織する「紀の国ふるさとづくり協議会」の取り組みで、森林の恵みやそれを支えてきた山村に対する理解と関心を深めてもらうことが目的。
キノピーは、和歌山の森の巨木のふところに住み、きれいな水や空気、大地、太陽の光、森の生き物が大好き。子どもを育てるように山村や森林も守り育てていきたいという願いから、小さな子どもの姿をしている。
キノピーが登場すると、園児たちは「かわいい」と大喜び。紙芝居「みんなで森へ行こう」では、森の落ち葉のスポンジが川の水をきれいにし、土砂災害から町を守り、木材や食べ物といった恵みをもたらしていることを勉強した。最後に働き者の森に全員で「ありがとう」を伝えた。
キノピーとゴン太と記念撮影した園児たちは「森のことを勉強した。森にはカブトムシとかバッタ、鳥がいる」「前に森に遊びに行った時には、タケノコを掘ったよ」と話していた。
(2021年2月6日付紙面より)
久保さんの紙芝居が英語訳に (和歌山県土砂災害啓発センター )
「As I looked around,I saw an unbelievable sight in the dusk.(うす暗がりの周りをよく見ると、何という光景だろうか。)」
上記の一文は那智勝浦町井関の防災士で2011(平成23)年の紀伊半島大水害で夫を失い、自身も九死に一生を得た久保榮子さんが当時の体験を記した紙芝居の一部の抜粋だ。この紙芝居が英訳され、先月末より同町市野々の和歌山県土砂災害啓発センター(坂口隆紀所長)で展示されている。
同センターによると、新型コロナウイルス感染症流行以前はこの地を訪れる訪日外国人(インバウンド)が多かったことから、コロナ終息後の回復を見込み、世界各地の人々に同水害の詳細や災害の脅威を広く知ってもらうツールとして紙芝居の英訳を検討。県国際交流課の職員らが昨年英訳に取り掛かり、年明けに完成したという。
さらに各所で防災講話を行う久保さんの様子を収めた動画にも英語字幕を付け、現在公開している。
坂口所長は「大門坂は世界遺産なので毎年、海外の方も多くセンターに足を運んでくれている。観光客や日本に滞在する外国人の方々にも紀伊半島大水害があったことや、久保さんがいつも呼び掛けている『早めの避難』を知ってもらえたら」。
久保さんの紙芝居を用いた防災講話については「講話に興味のある方や聴講したい方はセンターまでご連絡ください」と話している。
久保さんは発生から今年9月で10年を迎える同水害に触れ、「近年発生している各地の災害から見れば紀伊半島大水害の規模は小さいかもしれないが人の命の尊さは変わらず大きい。早く避難すれば助かる命だったが当時は知る由もなかった。なくして初めてその大切さに気付く」と当時を回顧。
英訳については「本当にありがたいこと。地球温暖化による災害も大きな問題となっている。この土地でこういった災害があったことを世界に発信していただくことは重要な意味があると思う」。
13(平成25)年から始まった講話は昨年11月で65回を数えた。現在78歳の久保さんは「一人でも多くの犠牲者を出さないためにもあと10年を自分の最終章としてぼけずに、けがや病気なく100回目の講話を目指します」と笑顔で語った。
(2021年2月3日付紙面より)
津波想定して避難場所も確認 (津本自主防 )
今年は紀伊半島大水害と東日本大震災から10年の節目を迎える。「あれから10年」。今後は、当時の記憶や災害から得た教訓を後世に伝え、風化させないための取り組みが重要だ。
紀宝町では紀伊半島大水害で1人が亡くなり、1人が行方不明となった。床上・床下浸水は2845棟に上るなど、甚大な被害があった。
2011(平成23)年に発生した二つの大災害を教訓にしようと、紀宝町大里の津本地区自主防災会(谷口昌宏会長)は1月31日、大水害の記録を改めて確認し、津波に備える防災訓練を行った。
同地区の深田運動場近くには、これまでの水害の最高(痕跡)水位を色分けして記録ポールに記している。ただ、数値が記入されていないことから、訓練の一つとして水没した高さを測った。
保育園児から高齢者まで50人近くが参加。竹ざおで大水害時の水位を計測した結果、道路から7・71㍍まで浸水したことが分かった。台風や豪雨などで浸水被害が発生しそうな際は、その高さ以上に避難することを一つの目標にした。
また、児童生徒の登下校時に地震が発生したと想定し、津波から逃げる避難場所を確認した。参加者は町防災マップ(津波編)を手に地区内を歩き、海抜20㍍以上で避難できそうな場所には目印として赤い旗を掲げた。
防災マップによると、海抜6・8㍍の同運動場付近も津波の浸水が予測されている。
谷口会長は「過去の事例から南海トラフを震源とする巨大地震は、いつか必ず発生する。地震が発生したら、子どもたちもいち早く逃げられるよう、安全な高台を見つけた。自分の命を守るために、自分の目で地区内を確かめてもらった」と話していた。
(2021年2月3日付紙面より)
集会開いて節分に親しむ (くしもとこども園 )
豆まきなどをして邪気を払う慣習が根強く親しまれている立春前の節分。今年は2日がその期日に当たり、串本町や古座川町の多くのこども園や保育所で「鬼は外、福は内」の元気な声が響き渡った。
近年は2月3日で続いてきた節分だが、今年は暦の加減で立春が1日早まったため、連動して節分も2日にずれ込んだ。国立天文台の発表によると、3日でなくなったのは1984(昭和59)年以来37年ぶりで前倒しになったのは1897(明治30)年以来124年ぶりという。
串本町立くしもとこども園(美代取初美園長)は0~2歳児は各教室で、3~5歳児はさくら園舎のホールで節分の集会を実施。手作りした鬼の面をかぶって集まった3~5歳児は先生から節分のお話を聞き、鬼が嫌いな物としてヒイラギ・イワシの頭・豆があることや豆は年齢に1を足した数を食べること、恵方巻きは節分の神様がいる方を向いて食べることなどを教わった。
その後は裃(かみしも)を羽織った美代取園長による豆まきを「鬼は外、福は内」の掛け声で応援。折り紙で作った豆を投げて鬼の人形を倒すミニゲームで気持ちを高めている時に鬼が乱入し、102人一丸で捕まらないよう逃げ回りつつ折り紙の豆を投げつけて追い払った。鬼がいなくなったところへ福娘が登場し、鬼退治を頑張った3~5歳児にお菓子を分けてたたえた。
美代取園長は「今日はみんなの心の中の鬼も払って福ももらった。明日からも元気にこども園に来てね」とすがすがしい気持ちを後押しして締めくくった。
(2021年2月3日付紙面より)
神倉小で福祉体験講座 (新宮市 )
新宮市立神倉小学校(藪中秀樹校長)で1日、同市社会福祉協議会による「福祉体験講座」があった。6年生83人が市民ボランティアの宮本実さん(65)から車いすの使用方法などの説明を受けたほか、乗車体験を通して福祉を考える一助とした。
車いす利用者の気持ちを理解し「自分たちにできることは何か」といった思考を醸成するとともに、体験を通して普段の生活における気付きや福祉に対する意識付けを目的に市内の小・中・高等学校を中心に講座を開いている。
宮本さんは児童らに「車いすは足の不自由な人のほか、体全体に障害のある人、体幹障害のある人、そしてお年寄りの方も使用します」と話し、車いすの開き方や閉じ方をはじめとした使い方を紹介。段差の降り方や溝の越え方、方向転換の方法やスロープの降り方などを細かく説明した。
3人組になった児童らは、「押す人」「乗る人」を交代しながら車いす体験。宮本さんの指導を受けながら体育館内に設置されたポールや段差に挑み「怖い」「(車いすが)重たい」などと感想を口にしながらその困難さを実感した。
1組の小笠原煌貴(こうき)君(12)は「最初は不安で怖かったけど、最後は押してくれる人に対して信頼感が出てきた。車いすに乗る人も押す人も大変だと改めて感じました」。
講座を終え、宮本さんは「困難を抱えている人に会ったときは声を掛けてあげてほしい。本当に大変だということを知ってもらえたら」と話していた。
(2021年2月3日付紙面より)