海上遊歩道が供用開始 (太地町 )
太地町が取り組む「森浦湾鯨の海構想」の舞台となる森浦湾に設置された、鯨類の観察が楽しめる海上遊歩道が1日、供用開始となった。当日は悪天候のため、一般開放は中止。なお、新型コロナウイルスの感染拡大予防の観点から式典は開催しなかった。
遊歩道はクジラの学術研究都市を目指す同町の環境整備の一環で、30年のまちづくり計画の一つ。「環境の湾」として学びや観光につなげる目的も含まれているという。
2019年3月に着工し、今年2月末に完成した遊歩道。ポリエチレン製で全長158㍍。整備費用はトイレ棟など関連施設の設計や整備を含め、約3億円。
森浦湾にはハナゴンドウとバンドウイルカを4、5頭放している。遊歩道付近にはいけすを設置しており、バンドウイルカ4頭を間近で観察できる。遊歩道自体の開放は午前9時から午後5時まで。動物の展示が午前10時から午後3時までとなっている。また、動物の状態や天候によっては展示ができず、一般開放は中止となる。
遊歩道は無料で楽しめる。最初に受け付けを行い、ライフジャケットを着用してからの入場となる。50人が制限人数となっているが、コロナ対策として3密を避けるため、当面は30人前後で規制する予定。
同町によると、遊歩道の管理業務は太地町漁業協同組合(脊古輝人組合長)が行い、今後は漁協が事業主体となり、コロナ終息後には遊歩道などを生かしたモニターツアーなども検討しているという。
三軒一高町長は今回の整備事業において、「今回の整備では漁協や民間の方々に多くの協力をいただいた。感謝しています」。
今後は動物の状態を調査しながら、5年で30頭は解放したいと抱負を述べ、「小学生から大学院生までのクジラに興味のある方や、世界中の研究者たちがクジラの研究のために集まれる町にしたい」と語った。
(2020年7月2日付紙面より)
自転車マナーアップ推進リーダー (新宮警察署 )
新宮警察署(小畑博昭署長)は6月30日、新宮市佐野の県立新翔高校(東啓史校長)の吹奏楽部員16人、バスケットボール部員23人に「自転車マナーアップ推進リーダー」を、顧問の教職員にアドバイザーを委嘱した。
2015年の道路交通法の改正による自転車運転者講習制度の施行を受け県内で初めて実施し、今年で6回目。リーダーたちは交通安全活動に参画し、校内の自転車マナー向上や「自転車安全利用五則」の周知などを通じ、全ての自転車を利用する人々の交通事故防止を図る。
新宮警察署で開かれた委嘱式には吹奏楽部の木下綾子部長(2年)、西浦久博顧問、バスケットボール部の坂井幸弥部長(2年)、中野亮顧問の4人が出席し、小畑署長から委嘱状を受け取った。
生徒を代表し、木下部長が「私たちは率先して交通ルール・マナーを守り、他の自転車利用学生の模範となる運転に心掛けます」と宣言。小畑署長は「昨年、和歌山県下で1859件の人身交通事故が発生し、そのうち278件は自転車に関係する事故だった。不幸にも7人が自転車乗車中の交通事故で亡くなっており、1件は新宮警察署管内で発生した。このような悲惨な交通事故を一つでも減少させるため、皆さんの活躍を期待している」と話した。
式後、坂井部長は「自転車通学の人でイヤホンをしているのを見たことがあるので、活動を通じて交通ルールを守るよう呼び掛けたい」と目標を語った。今後は、7月中に新翔高校近くで交通安全啓発活動を実施する予定にしている。
(2020年7月2日付紙面より)
熊野三山で6月30日、「夏越大祓式(なごしおおはらえしき)」が営まれた。時折激しい雨が降る中、参拝者たちは「茅(ち)の輪くぐり」で半年間のけがれをはらい清め、夏を元気に過ごせるようにと祈った。
この儀式は12月31日(大晦日=おおみそか=の大祓)と年2回営まれている。「水無月(みなづき)の夏越のはらいする人は 千歳(ちとせ)の命のぶというなり」という古歌がある。3歳で母を亡くした俳諧師、小林一茶(1763~1828年)は「母のぶん も一つくゞる 茅の輪かな」と詠んでいる。
熊野速玉大社(上野顯宮司)では、新型コロナウイルス感染予防の観点から関係者のみへの呼び掛けとなった。参列した老若男女約30人が手渡された人形(ひとかた)と呼ばれる人の姿をかたどった紙に息を3回吹きかけてけがれを移し、神職に全国から寄せられた人形と一緒に唐櫃(からひつ)に納めてもらいおはらいを受けた。
続いて参拝者たちは、唐櫃を担いだ神職や巫女(みこ)の後に続いて境内に設けられた茅の輪(直径約2㍍)を8の字に3回くぐった。上野宮司は「コロナ禍の中において、自由と健康のありがたさを改めて感じる。小さな子どもがこうして手を合わせる姿を見ると私たちの憂いも和む。残りの半年も人間としての生き様を曲げることなく、健康に気を付けながら頑張っていただきたい」と願いを込めた。
熊野那智大社(男成洋三宮司)では職員や関係者などが出席。本殿での神事を終え、男成宮司らが1列となって茅の輪をくぐった。
茅の輪は毎年、その日のうちに片付けられるが、本年は新型コロナの影響を受け、疫病退散の意味も込めて同社の例大祭直前まで設置。また、参拝者には疫病の災いから難を免れ、家が栄えるという信仰で知られる「蘇民将来之子孫也」のお札が進呈される。
熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)では、新型コロナの影響で多くの貴い命が奪われている現状を鑑み、従来の人形と併せ命の形代(かたしろ)を調製した。茅の輪は12日(日)まで設置される。
(2020年7月2日付紙面より)