新宮市、那智勝浦町、太地町、北山村の公立小中学校で9日、一斉に入学式が行われた。新型コロナウイルス感染症予防のため、各校でマスクの着用や時間短縮などの措置が取られる中、新入生らは期待と不安を胸に新生活をスタートさせた。
新宮市立神倉小学校(藪中秀樹校長)では、59人の新1年生が歓迎を受けた。
国歌斉唱の後、藪中校長が「笑顔いっぱいの皆さんの入学を、先生たちは楽しみに待っていました」とあいさつ。「分からないことがあれば、先生や先輩のお兄さん、お姉さんたちに聞いてください。きっと優しく教えてくれると思います。自分も友達も大切にできる子になって」と呼び掛けた。
臨時休業措置に伴い入学式に参加できなかった在校生らが、前もって撮影した動画を通じて新入生を歓迎。児童会長の居軒希空(のあ)さん(6年)が「新しい友達、新しい教室。たくさんの初めてが皆さんを待っています。皆さんに会えるのを楽しみにしています」と述べ、同校合唱隊が「世界中のこどもたちが」を披露。「入学おめでとう。友達もすぐにできるよ」などと伝えた。
那智勝浦町立下里中学校(久保敏晴校長)では、真新しい制服に身を包んだ新1年生16人が校門をくぐった。
式には保護者、教職員、在校生代表、育友会長が出席し、拍手で新入生を迎えた。入学を許可した久保校長は「中学校生活を送る中で『確かな学力』を身に付けてください。学び方や学ぶ姿勢を大切にし、学ぼうとする心を育てましょう」と式辞を述べた。
前年度生徒会役員で3年生の寺地鷗(かもめ)さんと太田真由さんが在校生を代表して「皆で支え合って明るく楽しい中学校生活をつくっていきましょう」と歓迎した。
新入生代表の大下にこさんが「新しい仲間との出会いや学校行事など楽しみが多くあると期待しています。新入生一同は友達を信頼する心、感謝の心を大切にし、中学生としての責任、誇りを持って何事にも諦めず最後まで一生懸命頑張ることを誓います」と誓い、新たに始まる中学校生活に心を弾ませた。
(2020年4月10日付紙面より)
霊巌寺で法会「花まつり」 (古座川町 )
古座川町高池にある龍谷山霊巌寺(小原征雄住職)が8日、法会「花まつり」を営んだ。新型コロナウイルスを鑑み、今年は規模を縮小。日中の甘茶供養受け入れと法要を勤めるにとどめ、混雑を避けてお参りするよう呼び掛けながら参拝者を迎えた。
この法会は、仏教の開祖・釈迦(しゃか)の生誕日に徳をしのぶ機会として、宗派によらず多くの仏教寺院が営んでいる。小原住職は昨今の情勢を受けて悩んだが、この法会は別格と考え法要と甘茶供養だけは例年通りに勤めることを決断した。
開祖が生まれた時に天が甘露を降らせて喜んだという言い伝えをなぞらえるのが甘茶供養で、同寺は本堂内に花御堂(はなみどう)を据えて中に甘茶を満たした器を置き、その中央に釈迦の誕生仏を安置。時間差で訪れた参拝者は器と一緒に用意された小さなひしゃくで誕生仏に甘茶をかけ、心静かに手を合わせて信心を注いだ。
法要は午前10時に営み、般若心経や花まつり関係の御和讃を供して参列した10人が順次焼香。お砂踏みは縮小の一環で実施を見合わせ、本尊の祭陣を一周して法要を締めくくった。
お寺に足を運ぶ機会を持ってほしいという願いを持って例年、この法会を初日にして期間実施している寺宝開帳とパッチワーク展も縮小の一環で今年は中止。小原住職は「この地区で感染者が出たときにどう対応するかが大切。手洗い、マスク着用は当たり前で、隣近所で出たときの対応も考えておかないといけない。よそでは村八分や子どもの差別もあるようだがこの地区ではそういうことは絶対に許されず、互いに優しく支え合うことが必要になる。自他の命を大切にするのが花まつりの趣旨だと念頭に置き、今後の生活に生かしてほしい」と決断に込めた思いを語りつつ、参拝者を迎えていた。
(2020年4月10日付紙面より)
なぎ看護学校で入学式 (新宮市 )
新宮市蜂伏の県立なぎ看護学校(塩路喜英校長)で8日、入学式が開かれ、新入生36人が看護師の夢への一歩を踏み出した。
塩路校長は「看護の道の一歩を踏み出した皆さんを全力で応援します」と激励し▽看護師になるために学ぶという明確な目標を持つ▽相手を理解し共感するコミュニケーション能力を持つ▽自己管理をしっかり行う―の三つを求めた。
在校生代表の前山和賀子さんは「看護という字は手と目で護(まも)ると書く。病気だけを観察するのではなく、患者さんの思いに耳を傾け、寄り添うことが大切であり、その人の人間性が看護へと現れる。人とのつながり、周囲の方々への感謝の気持ちを忘れず、共に支え合い夢を実現させましょう」と呼び掛けた。
新入生を代表し松平祐佳さんが「看護師としてふさわしい優しさと思いやり、常に学び続ける姿勢を大切に何事にも全力で取り組んでいく所存です。三年後、どんな場面でも率先して行動ができ、誠実で信頼される看護師となれるよう日々努力することをここに誓います」と宣誓した。
新型コロナウイルス感染症対策で来賓の祝辞はなかったが、田岡実千年市長、濱口太史県議会議員などから多くの祝電が寄せられた。
(2020年4月10日付紙面より)