姉妹都市・名取市が復興達成宣言
新宮市の姉妹都市である宮城県名取市の山田司郎市長は30日、東日本大震災の被害から基盤整備を伴う復旧・復興事業がおおむね完了したとして「東日本大震災に関連する次の施策に引き続き取り組んでいくことを表明し、名取市が震災からの復興を達成したことを宣言する」と復興達成宣言をした。未曽有の大震災から9年。同市は市政運営を新たなステージへと進めていく。
2011(平成23)年3月11日午後2時46分。三陸沖を震源とする巨大地震が発生。東日本を中心に日本全土を揺るがした。宮城県北部の栗原市で最大震度7、4県37市町で震度6強を観測した。
名取市においても震度6強を観測し、その後に発生した大津波が沿岸地域を中心に未曽有の被害をもたらした。名取市の死者は関連死を含めて964人(14年3月31日現在)。5000棟以上が半壊以上の被害を受け、最大で1万1000人を超える人が避難を余儀なくされた。
名取市は「心からの笑顔を求めて、新たな未来へ」を復興への思いとして掲げ、震災発生同年10月に震災復興計画を策定。互いに支え合い、強い絆で結ばれた暮らしやそれを支える生業の再生、多様な世代が安全で安心に暮らせるまちを目標に、9年間にわたり復旧と復興に取り組んできた。
復興沿岸地域においては今後も取り組むべき課題はあるものの、住まいや被災事業者の再建、インフラ整備や公共施設の災害復旧など、まちの再生に必要な機能が整いつつあるとし、同市はこのたびの宣言をもって一つの節目とする。
山田市長は「令和2年度を初年度とする新たな第六次長期総合計画のもと、『愛されるふるさと なとり』を共に創り、未来へつなぐ、次のステージに進んでいきたい」と宣言している。
名取市の復興達成宣言を受け、田岡実千年新宮市長は「未曽有の災害を受けたわれわれだからこそ未来に目を向け、市民の安心安全な生活と地域の活性化のため、これからの市政運営に誠心誠意取り組んでいかなければならない。ともに自然の驚異を目の当たりにした私たちは、未来永劫(えいごう)有事の際には助け合い、心温まる交流をもって今後さらに姉妹都市としての絆を深めていきたい」とコメントを寄せ、名取市の復興への取り組みに敬意を表した。
両市は08(平成20)年、熊野信仰を通じた縁をきっかけに姉妹都市協定を提携。東日本大震災、同年に起こった紀伊半島大水害の際には、給水車や人員派遣などの支援が相互に行われた。
(2020年3月31日付紙面より)
16人が清掃奉仕 (新宮ユネスコ協会 )
新宮市の新宮ユネスコ協会(中谷剛会長)は28日、世界遺産の熊野古道・高野坂で清掃奉仕した。会員12人とボランティア4人の16人が参加。古道に落ちたごみや空き缶などを拾い集めた。
同協会は毎年この時期に身近な世界遺産や市の史跡を清掃奉仕している。昨年は新宮ロータリークラブと協力し神倉山(千穂ヶ峰)周辺の清掃奉仕活動に取り組んだ。
今年は春の古道歩きシーズンに世界遺産の景観を守ろうと高野坂を活動場所に選んだ。JR三輪崎駅に集合した会員らはごみ袋と火ばさみを手に、王子ヶ浜海岸を目指して出発。陶器の食器やトタンの破片などの廃棄物もあり、参加者らを驚かせていた。
清掃奉仕を終えた中谷会長は「サクラやツバキなどが美しく花を付けており、季節の花々を楽しみながら清掃活動できた。雨の心配がある中、参加していただきありがたい。新型コロナウイルス感染症が及ぼす混乱の中、野外でこういった活動をすることができてよかった」と話していた。
(2020年3月31日付紙面より)
楽しむ人集まりにぎわう (古座川町 )
古座川町内各地のソメイヨシノが順次花盛りに差し掛かり、華やかさを楽しむ人々が集まりにぎわいを見せている。
町内では先駆けて開花が進んでいる一枚岩一帯は29日現在、木によってばらつきがあるが五分咲き~散り始めの状態。特に遅れていたどんどろの森連絡道沿いもようやく五分咲き程度の花が見て取れるようになり、両岸の桜に囲まれた一枚岩の眺望や歩道に迫る枝の花盛りを楽しむ人々の車両で主だった駐車場の満車が続いた。
地元佐田区のちょうちん飾りが定着している七川ダム湖畔は同日現在でおおむね七分咲き前後。花見客の車両が断続的に国道を往来し、おおじゃの森の駐車場や桜の広場横の駐車場で降りて間近に花盛りを観賞する人々の姿も目立った。
これら場所の間にある蔵土(くろづ)、三尾川(みとがわ)、長追(ながおい)の各見どころは、木によってばらつきがあるが同日現在でおおむね五分咲き前後。新型コロナウイルス感染拡大抑止機運が色濃い中、一枚岩、七川ダム湖畔とも宴を開くグループの姿は例年に比べごく少なく、大半が散策的に観賞を楽しんでいた。
(2020年3月31日付紙面より)
「竹の子ウオッチング」スタート (宇久井海と森の自然塾 )
休暇村南紀勝浦の温泉入浴とタケノコ料理がセットの「竹の子ウオッチング&温泉入浴」が29日、那智勝浦町宇久井半島の宇久井ビジターセンター園地で始まった。参加者20人がシーズンを先取りし、春の味覚を味わった。期間は6月14日(日)までの毎週日曜日を予定している。
半島の自然保護活動を展開する「宇久井海と森の自然塾」が主催する体験プログラムで、休暇村南紀勝浦が協力し例年人気を集めている。この日は早朝からの雨も上がり、同塾のスタッフが下見をした現地に着くと、数え切れないほどの竹が立ち並ぶ林に参加者から感嘆の声が上がった。
新宮市蜂伏から祖母と参加した上地凉さん(15)は「何度か参加しています。疲れたけど楽しかった。タケノコ料理が楽しみです」と話した。センターに戻った参加者はタケノコを分け合い休暇村に移動して、温泉や料理を楽しんだ。
4月中はモウソウダケ、5月になればハチク、同月下旬から6月にかけてはマダケが収穫できる見込み。参加申し込みは2日前まで電話で受け付ける。作業しやすい服装で、持ち帰り用の袋と入浴セットは各自持参する。
申し込み、問い合わせはビジターセンター内の自然塾運営協議会(電話0735・54・2510)まで。受付時間は午前9時~午後5時。水曜日休館。
(2020年3月31日付紙面より)
王子地区住民らが市長、議長を訪問 (新宮市 )
新宮市王子町にこのほど、住民の悲願であった避難路が完成した。王子権現親睦会・自主防災の会(古川重民会長)の歴代会長や地域住民らが約20年にわたり要望を続けていたもの。27日には同会有志10人と濵田雅美市議会議員が新宮市役所を訪れ、田岡実千年市長と前田賢一議長、東原伸也副議長に悲願達成に対する感謝を伝えた。
王子町1丁目付近では、近くに避難所である王子ヶ浜小学校がありながらも、最短距離であるNHK新宮ラジオ中継放送所横の道は人1人が通れる幅員しかなく、避難路として機能していなかった。住民や同会は道の拡幅を求めて十数年にわたり市に対して要望活動を行っており、並行して避難訓練を重ねて検証を続けてきたという。
同町出身である濵田議員の後押しもあり、同会は平成26年、市議会に陳情書を提出。議員改選に伴い翌年に再度提出した陳情書が平成28年9月定例会において採択され、晴れて事業化。3カ年で事業は進み、27日に工事が終了した。総事業費は約6000万円。交付税算入率が70%の緊急防災・減災事業債制度を活用している。
避難路は4月1日(水)から使用開始。避難路としてだけではなく、消防車や救急車などの往来にも利用される。古川会長は「住民の要望や濵田議員の協力もあり立派なものができました。緊急車両も入れるようになった。避難路を使わないことにこしたことはないが、20年近く諦めずに活動を続けてきて良かった」と感謝を示し「新型コロナ感染症が終息すれば、完成セレモニーを兼ねた避難訓練を実施したい」。
濵田議員は「避難訓練を重ねて拡幅の必要性を理論づけてくれたので声を上げやすかった。今まで避難を諦めていた地域の高齢者の方が『これなら避難できそう』と話してくれた」と安堵(あんど)の表情を浮かべ「これを機に、他の海岸沿いの危険地域にも対策を。命を守る施策を諦めるわけにはいかない」と決意を新たにした。
(2020年3月29日付紙面より)
紀宝町ウミガメ公園に隣接 (国交省 )
国土交通省紀勢国道事務所は、紀宝町井田の道の駅「紀宝町ウミガメ公園」に隣接する防風林で防災拠点施設の整備を進めている。伐採と整地作業が進み、来年度、国の予算が付けば防災備蓄倉庫の発注に取り掛かる。
2011年3月11日に発生した東日本大震災で震度7の地震と巨大津波により東日本一帯が甚大な被害を受けた。近い将来、中部地方でも東海・東南海・南海地震など南海トラフを震源とする巨大地震の発生が予測されている。
このことから、同事務所では津波による甚大な被害が想定される太平洋沿岸部(熊野灘地域)での救援・救護活動、緊急物資の輸送などを迅速に行うため、復旧・復興を見据えた地震防災に関する道路啓開を実行するため防災拠点を計画した。
施設は防風林の一部で約9000平方㍍。防災備蓄倉庫、災害時の避難場所を整備する。地域の防災拠点として非常電源を確保し、道路の規制情報や被災情報などの提供も行う。
施設の地盤高は10・43~13・26㍍で、三重県が発表した津波浸水予測によると町の最高津波高が12・46㍍に及ぶことから、約1~3㍍の盛り土を行う。また、町では飲料水や貯水槽、避難タワーなど安全安心な道の駅となるよう整備の検討を進めていく。
(2020年3月29日付紙面より)
設備充実の観光案内所が開所 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は28日、JR紀伊勝浦駅前の旧キヨスク跡に設置した観光案内所を開所した。デザイン性のある施設内には充実した設備が整い、観光や商店街の総合案内、まち歩きの拠点として国内外の観光客に対応する。営業は午前9時から午後6時までで年中無休。
案内所は空き店舗だった旧キヨスク跡をJR西日本和歌山支社の協力を得て、ジェイアール西日本デイリーサービスネットから無償譲渡されたもので、土地も無償貸与。その後、観光庁の補助制度を活用しリニューアルした。
同町によると、改修床面積は66・90平方㍍で建設費が1414万2700円。内訳は設計管理業務委託費が192万5000円、工事請負費が1221万7700円となっている。設計管理業務を株式会社建築工房くまのが、施工は有限会社紀宝工業が実施した。
全国で駐車場事業を展開するタイムズのコインパーキングが町内3カ所に順次整備される。利用者にはポイントが発行され、同案内所で商品券に変換できる仕組みも進めていくという。
施設内はヒノキや町の朝日や夕日などをイメージした暖色系の壁紙を利用し、親しみやすい空間を演出している。町の観光をPRする動画を映し出すデジタルサイネージや、英語や中国語に対応した2基の観光案内ロボット、約100種類のパンフレット類を充実させた。
案内所には町観光協会と南紀勝浦温泉旅館組合の職員が常駐する。インバウンド対策としては国際交流員を増員し、2人体制で外国人観光客に対応する。
この日は新型コロナウイルス感染予防のため、開所式典は中止となった。堀順一郎町長は「現在はコロナウイルスの感染拡大により、町も経済的に疲弊しており、早期の終息を切に願っています。案内所についてはJRさんや各関係者さまのご協力に感謝している。終息後は那智勝浦観光機構が中心となり、町を挙げてお客さまをお出迎えしていきたい」と語った。
(2020年3月29日付紙面より)
10月から熊野川町で導入 (新宮市地域公共交通会議 )
新宮市役所別館で26日、「令和元年度第1回新宮市地域公共交通会議」(会長・向井雅男副市長)が開かれた。市、和歌山県、国土交通省近畿運輸局和歌山運輸支局、バス・タクシー事業者、労働団体、地域住民ら約40人が出席し、熊野川町地域における公共交通の再編案について審議。全会一致で可決した。
同会議は、道路運送法施行規則(昭和26年運輸省令第75号)の規定に基づき、地域における住民の生活に必要なバスなどの旅客輸送の確保や、旅客の利便の増進を図り、地域の実情に即した輸送サービスの実現に必要となる事項を審議するためのもの。
コミュニティーバスや乗合タクシーなど、地域の実情に応じた乗合旅客運送の態様や運賃、料金などに関する事項などを議論する。交通事業者以外が有償運送を行う場合は、会議で審議・合意を得る必要がある。
高齢化率が高く、面積の広い同市熊野川町では、「運賃が高い」「便数が少ない」「バス停まで遠い」「車で移動できる」などの理由から、民間事業者の路線バス、行政バスのいずれも利用実績が少なくなっている。実情を鑑み、市は昨年住民アンケートを実施。住民ヒアリングや交通事業者など関係機関と協議を進めてきた。
再編案は、二つの路線バス(玉置口線、篠尾線)と行政バス、敷屋方面の診療所送迎車を統合し、デマンドタクシー(事前予約制乗り合いタクシー)を導入するというもの。小口線については、熊野古道を歩く観光客が多く訪れるため、ダイヤを調整した上で継
続して運行する。スクールバスに関しては、小口方面同様、敷屋・篠尾方面も登下校の運行となる。
デマンドタクシーの運行エリアは町内全域。出発時間の1時間前まで(早朝の便は前日まで)に予約があった場合、1日8便が運行する。熊野川行政局を出発し、「自宅または自宅周辺」と、町内の公的施設や医療機関、商業施設、バス停、各集会所などの「目的地」を送迎する。運賃は片道100円(保護者同乗の場合、未就学児は無料)。決まったルートはなく、予約者の状況により効率性や緊急性を考慮し毎回設定する。
敷屋、篠尾地区、嶋津地区住民の生活を考慮し、田辺市本宮町の高津橋バス停、熊野市紀和町の同市役所紀和庁舎といった町外にも運行する。また、福祉タクシー(タクシー券補助事業)の要件を緩和し、町内の移動を全て対象とする。
委員からは「住民に対する説明会では、パンフレットなどを利用し丁寧な説明を」「ヘルパーや福祉員に対して、高齢者の方にも予約方法を教えられるような説明を」などといった意見があった。事務局は「町内だけではなく、市街地でもポスターを掲示するなどして周知を図っていきたい」などと説明した。
幅員の狭い道における落石や、道の凍結などで運行が遅れた場合の対応を危惧する事業者に対しては「やむを得ず運行できない場合があることも併せて住民に説明していけたら」と回答した。
今後は住民説明会や運輸支局への事業申請、区長への再編内容の説明などを経て、10月1日から新交通体系での運行を開始する予定。
(2020年3月28日付紙面より)
新入学児らにランドセルカバー贈呈 (交通安全協会新宮支部 )
和歌山県交通安全協会新宮支部の田中肇支部長らは26日、新宮市役所を訪れ、市教育委員会の速水盛康教育長に新入学児童209人(小学校5校194人、支援学校1校15人)分の交通安全ランドセルカバーを、子育て推進課の辻本美恵課長に市内13の保育所や保育園(所)などの新入園児249人分の巾着袋を贈った。
毎年、春の全国交通安全運動期間を前に実施している事業で、新生活を迎える児童・園児や保護者、ドライバーの交通安全意識の高揚を図ることを目的としている。
田中支部長は「毎年贈らせていただいているが、ランドセルカバーは交通安全の意識付けに有効だと思う。ドライバーから見ても、登校に慣れていない新入学児ということが一目で分かる。より気を付けて運転していただけると思います」。
目録を受けた速水教育長は「毎年、子どもたちを地域で守り、育てていくということを、ランドセルカバーという見える形として頂いている。地域、保護者、学校の三者の交通安全意識の高揚を図るための重要な啓発グッズだと考えています」と感謝を示した。
(2020年3月28日付紙面より)
古座川漁業協同組合(大屋敏治代表理事組合長)が27日、管内流域に海産の稚アユ1㌧を放流した。
県内水面漁業協同組合連合会の事業委託による取り組みで、資源増強が目的。古座川漁協は今年、同日現在で1・5㌧を2回に分けて放流するとしていて、この日はそのうちの3分の2を小川など支流域も含む複数の場所へ分散する形で放った。
仕入れ先の日高川漁協から届いた稚アユの1匹の平均重量は約8㌘。体長は5~10㌢幅でばらつきがあるという。古座川漁協の理事約10人が3組に分かれて運搬車両3台につき、理事会で申し合わせた場所へ移動し指定量を放つ作業を重ねた。中崎では大屋組合長が見守る中、理事の段取りで150㌔を放流し、川面で群れる稚アユの姿を見届けながら無事に育つことを願った。
昨今の新型コロナウイルスの感染予防対策次第だが、同日時点で残り500㌔分は例年通り子どもの手で4月中に放流する内容で町内の小学校に協力を求めるという。
古座川漁協は先月19日に支流池野山川でアユの天然遡上(そじょう)を初確認。始まりの時期は平年並みだったがその後の勢いが確認できておらず、「昨年ほどではないが、今年も(川面に見える群れの影が)薄い」と状況を語った。
(2020年3月28日付紙面より)
大勝浦で「弁天祭」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の大勝浦地区にある弁天島で26日、弁天祭が営まれ、参列者が商売繁盛や大漁、芸能の上達などを祈願した。祭りを守り継ぐ弁天島保存会(猪飼延(ひさし)会長)は「天気に恵まれ、無事に祭りができて良かった」と話した。
弁天島は古くから「勝浦三景」の一つに数えられる景勝地。島には「白蛇弁天」が祭られており、近年では金運アップなどのパワースポットとしても注目を集めている。
弁天祭は一年で最も潮が引く旧暦の3月3日に合わせて実施。干潮時には磯伝いに歩いて島へ渡ることができる。勝浦八幡神社の髙橋正樹宮司が神事を執り行い、にぎやかな餅まきもあった。磯遊びも兼ねて毎年参拝するという新宮市からの参加者もいた。
弁天島や周辺のお蛇浦(じゃうら)海岸は、大勝浦地区の住民や保存会のメンバー、町内の団体などが熱心に清掃活動を展開しており、町の景勝地の美観維持に努めている。
(2020年3月28日付紙面より)
三輪崎会館で布マスク教室 (新宮市 )
新宮市の三輪崎会館で25日、布マスク教室が開かれた。三輪崎地区(屋敷満雄区長)主催。ボランティアグループ「タウンガーデン」(平田裕子代表)の5人が講師を務め、区の老人会、婦人会、光洋中学校の教職員らがハンカチなどから布マスクを作った。
「タウンガーデン」は平田代表が同市別当屋敷町の「花布(かふ)」でマスク作りを教わったことがきっかけで、今月9日に保健センター横のタウンガーデンで「青空布マスク作り教室」を開催。以来、顔の形に沿うよう顎下の部分を長くし、女性の口紅が付かないよう口周りの膨らみを大きくするなど改良を重ねている。
参加者は型紙に合わせて布を切り抜き、ガーゼの裏地を付けて縫っていった。ガーゼやゴムひもも全国的に欠品となっているため、バスタオルやナイロンストッキングを活用するなどの工夫もあった。光洋中の教職員は「4月からもマスクの着用が必要だが、生徒も含め全員が用意するのは難しいかもしれない。布マスクも活用していけたら」。屋敷区長は「区民からマスクがないと相談の電話を受けたことがきっかけ。洗濯して使うとしても1人2、3枚、一家族10枚程度は必要になる。非常事態こそ昔の人の知恵を借り、各団体のリーダーなどを通じて他の地域にも命をつなぐ輪が広がっていけば」と語った。
同区は4月5日(日)午後1時30分から3時まで、同館で布マスク教室を開催する。今回参加した老人会、婦人会のメンバーが講師を務める。持ち物は目の詰まった布とガーゼ、裁縫道具、ナイロンストッキング、筆記用具など。「次のリーダーとなり、活動を広めてくれる方にぜひ参加してほしい」と呼び掛けている。問い合わせは同館(電話0735・31・6690)まで。
(2020年3月27日付紙面より)
消防団協力事業所に表示証交付 (新宮市 )
新宮市消防本部(内野井愼搾(しんさく)消防長)は25日、消防団協力事業所に認定した熊野観光開発(奥村夏男取締役社長、同市熊野川町日足)と、南紀プロパンガス株式会社(市川榮一郎社長、同市清水元)に表示証を交付した。認定は熊野観光開発で3事業所目。南紀プロパンガスは2019年に続き継続認定となった。
消防団協力事業所表示は、消防団活動に協力している事業所に対し、社会的貢献の証しとして表示証を交付する制度。事業所の活動を広く社会にアピールするとともに、消防団員の活動に対しより理解を深めてもらうことなどを目的に17年6月に導入した。表示証の表示有効期間は原則2年間。
消防本部で開かれた表示証交付式には、熊野観光開発の堀芳生・志古営業所長、南紀プロパンガスの市川浩一郎・常務取締役総務部長と、各事業所に所属する消防団員らが出席した。表示証を手渡した内野井消防長は「消防団員の6割が被雇用者となる中、入団しやすく活動しやすい環境をつくるための制度。市民の生命、体、財産を災害から保護し、地域防災の中核として重要な役割を担っている消防団員の存在を企業として認めていただいていることは大変ありがたい限り」と感謝。
「これを機に消防団への入団促進や組織強化など、さらなる発展に向け取り組んでいく所存。今後も消防団活動や防災活動への一層のご尽力を」と協力を求めた。
認定を受け、堀営業所長は「熊野川町では初めてということで光栄。地域の力になれることがあれば積極的にやっていきたい。名誉に感じています」。市川常務取締役総務部長は「これからも、市内のライフラインを担う中で、会社として地域の皆さまの役に立てる活動に取り組んでいきたい。社内の消防団員には、有事の際には優先的に活動に当たるよう伝えています」と話していた。
同制度の認定基準は従業員2人以上が入団していることなど。問い合わせは同本部庶務課(電話0735・21・0119)まで。
(2020年3月27日付紙面より)
矢渕中、相野谷中で再開 (紀宝町 )
新型コロナウイルスの拡大防止策として、約3週間休止となっていた部活動が春休み初日の26日、紀宝町の矢渕中学校と相野谷中学校で再開された。グラウンドや体育館には生徒たちの元気な声が戻り、各クラブの部員たちは仲間と活動できる喜びをかみ締めていた。
県教育委員会から、密閉空間や人の密集など感染拡大を高める条件を徹底的に回避する対策を取った上で実施する―との通知を受けて、同町教育委員会が生徒の体力回復、健康管理などを目的に再開を決めた。春休み中の4月5日(日)までの措置。1日1時間程度で、基本練習が中心となる。手洗い、うがい、屋内練習場所の換気など対策を徹底する。
相野谷中では卓球、軟式野球、ソフトテニス、矢渕中はバスケットボール、バレーボール、卓球、軟式野球、サッカー、陸上、ソフトテニス、柔道、剣道、生活文化、美術、吹奏楽の各クラブが再開した。
初日は矢渕中で陸上、サッカー、軟式野球が順番にグラウンドを使用した。野球部はランニングやキャッチボールで汗を流した。主将の榎本和真君(2年)は「仲間と野球ができてうれしい。5月に延期となっている南勢大会や夏の中体連で勝てるよう頑張りたい」と話していた。
(2020年3月27日付紙面より)
安倍晴明紹介の看板設置 (那智勝浦町 )
南紀くろしお商工会の観光振興部会(明慶勝義部会長)と那智山防災道路委員会は那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)別宮、飛瀧(ひろう)神社の駐車場付近で安倍晴明を紹介する看板を設置した。
25日に開かれた設置式には同商工会の森川起安会長や向井正樹事務局長、男成宮司、町職員らが出席。花山法皇ゆかりの名刹(めいさつ)である青岸渡寺からは髙木亮英副住職も参加し、那智大社の神職によって神事が営まれ序幕された。
看板は昨年4月に開かれた観光振興部会会議で明慶部会長が発案したもの。那智山には、花山法皇が同所で修行していた際に悪霊の妨害を受けたため、陰陽師(おんみょうじ)の安倍晴明を呼び寄せたという逸話がある。その逸話を記した看板を設置することで那智山の観光誘客につなげることが目的だという。
看板には安倍晴明をイメージしたイラストも掲載されている。同商工会の野上めぐみさんのめいで、女子美術大学に通う後藤午(まひる)さん(20)が描いたという。
男成宮司は「近年、安倍晴明が映画などに取り上げられているため、看板によって若い方々にも興味を持ってもらえるのでは。これを通じて熊野信仰にも関心を深めていただけたら」。
同委員会の塩﨑巍朗(たかお)さんは「那智山には案内表示が少ないと思う。看板設置は本当に良かった」と話した。
森川会長は関係者に感謝を述べ、「安倍晴明が那智山にゆかりがあることは地元や観光客にもあまり知られていない。今回の看板のように、小さなところから見直して周知していくことで、現在減少しているインバウンドも戻ってきていただけると思う」と語った。
(2020年3月27日付紙面より)
新宮ガスと協定締結 (新宮市消防本部 )
住宅防火の推進を目的に、新宮市の新宮ガス株式会社(永井健一代表取締役社長)と市消防本部(内野井愼搾消防長)は25日、「火災予防啓発の連携に関する協定」を締結した。ガス会社と消防による官民一体の協定は県内初。共同で作製したリーフレットを市民に広く配布するなどして、住宅用火災警報器の普及や取り換え促進の啓発などに取り組む。
市消防本部によると、建物火災による死者のうち、約9割が住宅火災によるもので、約6割を占める一番の要因は「逃げ遅れ」。住宅用火災警報器は煙や熱を関知して警報音などで知らせ、早期の消火や逃げ遅れ防止に役立つことから、2006年に新築住宅、11年に既存住宅への設置が義務付けられた。
設置から約10年での取り換えが推奨されていることから、交換間近、または交換期限を過ぎた機器の更新が課題となっている。設置率は全国82・3%に対し、新宮市は75・0%と大きく下回っている(昨年6月1日現在)。
新宮ガスでは2010年から住宅用火災警報器を販売し、交換期限の管理や交換時期の案内などに取り組んでいる。親会社である大阪ガス株式会社が各自治体と協定を結んでいることから、このたびの締結に至った。
協定調印式は新宮ガス本社で行われた。永井社長は「地域と共に歩むガス会社として、地域の方々の安心安全を守ることは一つのミッション。火災予防は大きな柱だと考えます。高齢化が進む中、より良いサービスを提供していきたい」。
内野井消防長は「新宮ガスさんの申し入れはありがたい。連携して設置率を上げ、死亡率の低下に取り組んでいきたい」と意気込みを語った。
協定締結により、新宮ガスでは火災警報器が適切に作動するよう、維持管理や取り換えの必要性を広く市民に呼び掛ける活動を展開していく。他にも、設置状況に係る情報交換や火災予防啓発にも取り組む。ポスターも作製し、市内の掲示板などに掲示する。
(2020年3月26日付紙面より)
ツイッターキャンペーンも (紀宝町ウミガメ公園 )
紀宝町井田の道の駅「紀宝町ウミガメ公園」内にあるウミガメ飼育棟の改修工事が完了し、25日にリニューアルオープンした。現在、営業時間を短縮中だが26日からは午前9時から午後5時までの通常営業に戻る。
約1カ月かけて大・小プール内をペンキ塗装し、水温を調節するチリングユニットを交換する工事を行った。24日には新しく生まれ変わったプールにアカウミガメ、アオウミガメ、タイマイなど6頭を仮設プールから移動させた。
リニューアルを記念しツイッターの「フォロー&リツイートキャンペーン」を始めた。4月10日(金)までにツイッターでウミガメ公園をフォローかリツイートすると抽選でウミガメ人形が10人に当たる。
飼育員の伊藤柊也さんは「新型コロナウイルスが落ち着いたら、ぜひ遊びに来てください」と呼び掛けている。
(2020年3月26日付紙面より)
ランドセルカバーなどを贈呈 (交通安全協会新宮支部 )
和歌山県交通安全協会新宮支部(田中肇支部長)の清水重延副支部長は24日、那智勝浦と太地の町教育委員会や役場を訪れ、新年度に入学する児童に贈る交通安全用のランドセルカバーや新入園児への巾着袋を贈呈した。
毎年、春の交通安全運動期間を前に実施している事業で、新生活を迎える児童・園児や保護者の交通安全意識の高揚を図るのが目的。管内16校と支援学校1校の新入学児童322人、幼稚園・保育所(園)など25カ所の新入園児368人分を用意した。
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那智勝浦町では小学校6校81人、保育所(園)・子ども園8カ所96人分を配布した。
贈呈を受けた岡田秀洋教育長は「願いが込められた寄贈に感謝しています。黄色いカバーを見掛けたときには慣れない1年生がいると認識していただき、温かく見守ってほしい」。清水副支部長は「運転者に新入児童や園児だということを認識してもらうのが目的。カバーを着けていることで、子どもたちや保護者の方々にも改めて交通安全への意識を高めてもらえれば」と語った。
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太地町では、町教育委員長室で清水副支部長が宇佐川彰男教育長に、児童16人分のランドセルカバーと園児10人分のミニ巾着を手渡した。
宇佐川教育長は「子どもたち皆が喜んでくれるでしょう。交通安全を意識し、楽しく通園、通学してくれたらうれしい」と感謝した。清水副支部長は「不慣れな新しい通学路で、これを付けていれば新入生ということが一目で分かり、周囲の注意を促せる。今後も事故のないことを願い活動を続けていく」と話していた。
(2020年3月26日付紙面より)
花てまりの会が花壇整備 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の花づくりボランティアで構成される「花てまりの会」(おお木博子会長、会員26人)は24日、同町浜ノ宮のシンボルパーク跡地(那智勝浦町海浜公園)にある花壇の整備を実施した。今週いっぱいまでピンクパンサー(シレネ・カロリニアナ)が見頃だという。そのほかにもクリサンセマムやチューリップがきれいな花を咲かせている。
同会は観光客や住民らに花を楽しんでもらい、町のPRや活性化に寄与するために町内8カ所の花壇整備に取り組んでいる。
この日は参加した9人が、草むしりや花がら摘みに汗を流した。同会によると、にぎわい市場前や足湯周辺の花壇のピンクパンサーやフリージア、シバザクラ、斑入りニチニチソウも見頃とのこと。シンボルパーク跡地では5月にメランポジウムやセンニチコウの植え付けを行う予定。
おお木会長は「『花がきれい』とお褒めの言葉や声掛けをしていただくことが増えたので励みになっている。主役の花に目がいくように整備をしています。今後も会員の皆さんと共にいろいろなことに挑戦したい」と語った。
(2020年3月26日付紙面より)
※ おお木博子会長の「おお」は、左側が「羽」の下に「令」、右側が「寛」
王子幼稚園で卒園式 (新宮市 )
今月末で休園が決定している新宮市立王子幼稚園(山本眞也園長)で24日、卒園式が開かれた。園児11人(男8、女3)は職員や保護者から祝福され通い慣れた学舎を巣立ち、新たな一歩を踏み出した。園児らは保護者に対し、「お父さん、お母さん、今まで育ててくれてありがとうございました。1年生になっても頑張ります」と感謝を述べ、手作りのメッセージカードと歌を贈った。
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1958(昭和33)年に誕生した王子幼稚園。ピーク時の79年には138人もの園児が在園し、子どもたちの元気な声が周辺地域を明るくしていた。
83(昭和58)年に初めて入園者が100人を切り、微増微減が続いた。その後も少子化や保護者の働き方、生活環境などの変化もあり、入園児数は減少傾向へ。新年度の入園希望者がおらず、休園する運びとなった。
同園所蔵の資料から主な行事を振り返ると▽69(昭和44)年9月の始業式ではプレハブ園舎を使用▽74(昭和49)年、王子小学校のマラソン大会に初参加▽同年8月プレハブ園舎取り壊し作業が開始され、王子青年会が奉仕で備品類を小学校へ運搬▽80(昭和55)年3月、太地町のくじらの博物館と植物園への卒園遠足▽93(平成5)年3月に新園舎竣工(しゅんこう)式、園児も出席▽2009(平成21)年6月、お茶ごっこ▽15(平成27)年3月、国体選手のなぎなた演技を見学▽18(平成30)年11月、焼き芋パーティー―など。
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同園では17(平成29)年度から同小の校長が園長を兼任することとなり、畑下圭喜・元校長が園長を務め、18(平成30)年度から山本園長が引き継いだ。
山本園長は「児童にとっても、園児と交流することは多くのことを学ぶ良い機会になっていた。休園は大きな損失の一つ。遊びの中で学習していく幼稚園の姿は小学校にはない学びであり、私も勉強になった」。
「卒園生の方々やご家族が幼稚園の良さを地域に伝えていただけたらありがたい。園児が増え、再園することを強く願っています」と話した。
卒園する園児たちに対しては「素直に喜び、積極的な姿に元気をたくさんもらった。幼稚園で学んだことを小学校でも生かして、何事にも興味を持って取り組む姿勢を続けてほしい」と語った。
(2020年3月25日付紙面より)
「宇久井海と森の自然塾」が地玉の浜清掃 (那智勝浦町 )
那智勝浦町宇久井半島の自然保全活動を続ける宇久井海と森の自然塾運営協議会(玉置之一会長)は22日、同半島の地玉(じごく)の浜海岸で漂着物を取り除く清掃活動を実施し、会員ら45人が汗を流した。
毎年この時期に実施する恒例作業。宇久井ビジターセンターから徒歩約20分の磯場には、台風など高波で打ち上げられた多くの漂着物があり、ごみの種別もペットボトル、空き缶、空き瓶、スプレー缶、ロープ、漁の浮きに使われた発泡スチロールなどさまざま。町指定ごみ袋で分別回収し、大きな流木は、のこぎりやチェーンソーで小さく切断して処分した。タイヤ4本も回収した。自然塾会員の西垣内茂さんは「大きなごみや外国製のペットボトルは昨年より減ったが、細かなごみやプラスチックごみがこんなに多いとは」と驚いていた。
作業にはNPO大杉谷自然学校、休暇村南紀勝浦、那智宇久井郵便局からも応援に駆け付け、地道な手作業ながら海岸は見違えるほどきれいになった。
ボランティア参加の40代女性=同町天満=は「時々ここへ遊びに来るが、ごみの量は気になっていた。これだけの人数だと片付くのも早い」と感心していた。ボランティアには中学生と高校生の2人も参加した。
昼食時にはこの海岸でとれたフノリのみそ汁と、海岸で花開くハマダイコンが作業の疲れを癒やした。
(2020年3月25日付紙面より)
田並のさくら遠足2020 (串本町 )
串本町田並にある田並劇場が20日、イベント「田並のさくら遠足2020」を開き事前に申し込んだ24人をクマノザクラ眺望の名所「ちのと」へといざなった。
同劇場を営む林憲昭さん・澄蓮さん家族が地元住民から教わり、毎年訪れて愛(め)でている「ちのと」の山桜。その眺望場所一帯は山が深く切れ込み、山腹にある山桜の花盛りが一望できる景観に親しむ事ができる。
今時期に咲いているのはクマノザクラではないかと直感した澄蓮さんは、基本野生種としてにわかな話題になった2年前に古座川町長追在住の樹木医・矢倉寛之さんに相談。期待通りの答えを得て、以降「ちのと」を広く紹介したいという思いで前年度からこのイベントに取り組むようになった。
当日は同劇場へ集合し、案内役の矢倉さんも合流。田並川沿いの田並上集落奥まで車で移動し、その先は歩いて約1・4㌔先にある「ちのと」の眺望場所を目指した。道中に点々と自生するクマノザクラを間近に観察し、矢倉さんは自身の研究の経緯や分類学の視点、クマノザクラの花序の特色や同定時に注目する部分などを解説。お気に入りの一本を見つけてよく観察しほかのクマノザクラなどとの違いを確かめながら理解を深める筋道を立てて関心を促した。
眺望場所に到着後は、古田にある農家カフェ「つくる」の仕出し弁当を味わいながら小休憩。林夫妻によるワークショップも体験して折り返し、同劇場へ戻って解散した。
(2020年3月25日付紙面より)
社会福祉法人美熊野福祉会(森常夫理事長)は19日、各事業所(杉の郷、杉の郷えぼし寮、虹、ゆず、ワークランドそら、法人本部)の職員らに手作りマスクを配布した。職員や地域ボランティアが新型コロナウイルスなどの感染症予防のために308枚を制作。色とりどりの手作りマスクが、各事業所に明るい風を吹き込んでいる。
同法人では現在、マスクやアルコール消毒液を全体に供給しており、業者にも発注済みとのことだが、今後のマスク不足に備え、このほど職員と10人の地域ボランティアにマスクの制作を依頼した。マスクの着用徹底により、利用者や来客の健康や不安払拭(ふっしょく)に最大限の注意を払っている。
手作りマスクの利用は「待っているより自分たちにできることをやろう」という思いによるもの。橋上慶一・本部事務局長は「手作りマスクは職員やボランティアの皆さんが、善意で1枚1枚一生懸命縫い上げてくださったもの。大切に使わせていただいています」と感謝を示す。
同法人の障害者自立支援施設「ワークランドそら」が運営する「cafeそら」(新宮市佐野)では、玄関に消毒液を設置。手作りマスクを着けた職員、利用者らが調理や接客に当たっている。橋上事務局長は「最善の策を取っています。ぜひ、多くの方々に安心してご来店いただき、楽しい食事の時間を過ごしてほしい」と願いを込めた。
(2020年3月25日付紙面より)
世界遺産についての作文 (新宮ユネスコ協会 )
新宮ユネスコ協会の中谷剛会長らが19日、新宮市神倉の県立新宮高校(前田成穂校長)と、同市佐野の県立新翔高校(東啓史校長)を訪れ、世界遺産についての作文の優秀賞表彰式を開いた。中谷会長が一人一人に対して講評を行い、表彰状を手渡した。世界遺産の保全などを目的に活動している同協会は、高校生を対象とした講演会などを開き、感想文を募っている。
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新宮高校では佳作17作品から、泉乃杏さん(1年)、大西ひなたさん(同)、横嶋翔さん(同)、仲美咲さん(同)の4人が優秀賞に選ばれた。同校の1年生は毎年、地域の世界遺産や歴史を感じ、連帯感を深めることを目的に、熊野古道で「ロングハイキング」を実施しており、2月に中谷会長の講話を聞き事前学習を行っている。生徒は講演で学んだ内容や、実際にロングハイキングで小雲取を歩いた感想などを作文にまとめた。
中谷会長は「今年は実際に熊野古道を歩いた経験に基づいた作文が多かった。体験を文章化する場合、行動や感情を時系列に従い記述していくので、作品の優劣の差が生じにくい。ほんの少しの出来具合が、佳作作品との違いになった」と講評。個々に対しては「初めて熊野古道を歩いた経験が、平明で素直な文章でつづられている」「小雲取で触れた自然や歴史、出会った人たちについて、明るく前向きで楽しい筆致で書かれている」などと感想を伝えた。
表彰状を受け取った泉さんは「今後の自分の自信に結びついた。多くの人に作文を読んでもらうことによって、自分の意識を伝えることができてうれしいです」と話していた。
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新翔高校では、中谷会長が1年生を対象に昨年12月に講演を行い、ユネスコの理念や平和に向けた活動、世界遺産、自身の体験に基づく危機遺産や負の遺産の紹介などを行った。佳作9作品の中から優秀賞に選ばれたのは、月ノ井花佳さん(1年)、新宅藍さん(同)、松本伊芙稀さん(同)、須川珠々さん(同)の4人。中谷会長は「講演内容をしっかり受け止め、誠実に取り組んでいただいた。講演と作文によって平和の意味や世界遺産の意義や深さがつかめたのでは」などと講評した。
個々に対しては「戦争を必要悪と捉えており、意義深い平和論となっている」「世のため、人のために働くことの大切さを述べている」などと感想を述べた。東校長は生徒に対し「名誉なことだとかみしめて、今後の学校生活に生かしてほしい」とねぎらいの言葉をかけた。
(2020年3月24日付紙面より)
お盆の贈答用に毎年人気 (紀宝町 )
紀宝町大里で23日、早くも田植えがあった。同町神内の中西和益さん(72)所有の30㌃に早場米のアキタコマチを植えた。
同町は東海地方有数の早場米の産地で、毎年お盆前に新米が食べられるよう、他の地域に先駆けて、3月下旬に田植えを実施している。
中西さんは7年前まで4軒の農家で組織した早場米部会で生産していたが、部会員の減少により解散。中西さんら2人が個人で約1・25㌶の田んぼで栽培を続けている。例年5・4㌧ほどをJA伊勢三重南紀地区本部へ出荷している。
田植えは昨年より2日早く行い、のどかな田園風景に苗を植える機械の音だけが鳴り響いていた。中西さんは「今日のような暖かい日が続き、順調に苗が育ってくれることを願っている」と期待を込めていた。
稲刈りは7月下旬を予定しており、昨年並みの約1・5㌧の収穫を目指す。お盆前の8月上旬には新米がJA伊勢三重南紀の各店舗などで販売される予定だという。
(2020年3月24日付紙面より)
ソメイヨシノの開花に向け (古座川町 )
古座川町佐田で19日、ソメイヨシノの開花に向けたちょうちんの飾り付け作業があった。設置期間は4月5日(日)までで、今月20日から夜間点灯も始めている。
ソメイヨシノの段階的な植樹により3000本規模の桜の名所となっている七川ダム一帯。このちょうちんは訪れる花見客に楽しんでもらおうと考えた佐田区が毎年取り組んでいる趣向で、近年は高齢化に伴う担い手不足を補うため役場職員らの協力を得ながら飾り付けている。
今年は新型コロナウイルス感染予防のためイベント「桜まつり」が中止となったが、ちょうちんの飾り付けは例年通りに行うとし19日午前に区民有志と役場や七川ふるさとづくり協議会、同町観光協会の職員らが手分けして作業に励んだ。
設置場所は串本町消防本部七川分駐所前~桜の広場とおおじゃの森駐車場一帯。支柱に親ひもを張り、絡ませた電線の所々に付いている電球ソケットに約300個のちょうちんを飾り付けた。期間中は毎日午後6時~9時に夜間点灯(電球数はちょうちんの約半分程度)するそうで、今年も昼夜両面で桜とちょうちんのにぎやかな共演を楽しんでもらえればとしている。
19日現在のソメイヨシノは芽が膨らんでいる段階で、役場地域振興課は29日(日)から4月5日までの間に満開を迎えそうだと予想。平日の開花状況を同町公式ホームページのトップページ左上にあるリンク「古座川町内さくら開花状況」先で発信しているので、訪ねる前に確かめてもらえればとしている。
(2020年3月24日付紙面より)
デジタル掛け軸と音楽奉納 (那智勝浦町 )
映像作家の長谷川章さんと天女座を主宰する音楽家の矢吹紫帆さんが22日、那智勝浦町の那智山青岸渡寺(髙木亮享住職)の三重の塔で「一隅を照らす―一期一会の映像アートと音楽―」と題し、デジタル掛け軸と音楽を奉納した。投影された無数の映像が三重の塔を幻想的に照らし、歌や演奏が山中に響き渡った。
デジタル掛け軸とは、テレビ業界で活躍してきた長谷川さんが作成した100万枚に及ぶ絵にデジタル処理を施し、マルチプロジェクターで建物や自然風景に投影する映像アート。長谷川さんはこれまでアテネのパルテノン神殿や伊勢神宮、ノーベル賞晩餐(ばんさん)会でも披露している。
映像が投影される中、森水沙さん、池田小夜さんが舞を、原美音さん、矢中鷹光さんが歌を奉納。矢吹さんも「スメラノミコト」「祈り天空に満ちて」などをシンセサイザーで演奏した。和歌山市から訪れた40代女性は「催しを知って駆け付けた。とても美しかった」と話した。
長谷川さんは「世界400カ所以上でやってきたが、青岸渡寺で奉納できて感激した。今後は那智の滝でもやってみたい」とコメント。矢吹さんは「30年前に髙木亮英副住職にお会いしたご縁などがきっかけで熊野地方に移住した。髙木さんや青岸渡寺、熊野への恩返しの気持ちでご奉納させていただいた。感無量です」と笑顔で話した。
髙木副住職は「30年前のご縁がこんな形に展開するとは思わなかった。矢吹さんの音楽や長谷川さんの映像が素晴らしかった。懸念されるコロナウイルスだが、熊野那智から観音聖地の力で国内外が病を克服していただけたら幸いです」と語った。
(2020年3月24日付紙面より)
もみじ会3月月例杯
第34回勝浦バドミントン大会
旧チャップマン邸、国登録有形文化財登録へ (新宮市 )
国の文化審議会(佐藤信会長)は19日、文化財分科会を開き、審議・議決を経て、文部科学大臣に新宮市新宮の旧チャップマン邸を含む133件の建造物を国登録有形文化財にするよう答申した。官報告示を経て正式に登録される予定。登録後、市内における国登録有形文化財は同市三輪崎の三輪崎青年会館と合わせて2件となる。
文化財登録制度は1996(平成8)年に誕生。50年を経過した歴史的建造物のうち、一定の評価を得たものを文化財として登録し、緩やかな規制を通じて保存が図られ活用が促されている。
今回、国登録有形文化財(建造物)として登録されるのは、「旧チャップマン邸主屋」と「旧チャップマン邸石段および石垣」。主屋と石段および石垣は26(大正15)年に、宣教師チャップマンとその家族のために、市名誉市民の西村伊作(1884~1963年)が設計し、伊作が創設した西村建築事務所が施工した。伊作の作品は、ほかにも同市の旧西村家住宅(国重要文化財)や那智勝浦町の紀南教会(国登録有形文化財)など、全国で十数棟残されている。
木造2階建て、スレート葺きで、南面東半は2階をやや張り出して切妻を見せ、1階は半八角形平面の出窓が突出するなど、変化に富んだ外観を見せる。間取りは1階にガラス扉で仕切ることのできる食堂と居間、2階に寝室や学習室などを配置するなど、伊作の作風の一端を示している。
市出身の芥川賞作家・中上健次(1946~92年)が執筆活動をした建物としても知られている。2015(平成27)年に同市に無償譲渡されたが、築90年以上が経過していたことから老朽化が激しく、18(平成30)年に耐震補強改修工事を行った。なお、同所は、新型コロナウイルス感染症の影響により31日(火)まで休館となっている。
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■田岡実千年市長のコメント
旧チャップマン邸は、新宮市名誉市民である西村伊作氏の設計により、アメリカの宣教師チャップマンの居宅として大正15年に建築された歴史ある建物です。市としては、この旧チャップマン邸を新たな観光交流施設として活用するため、可能な限り建築当時の面影に近づけるような形で改修・耐震補強工事を行い、昨年4月に供用を開始しました。5月にはアメリカからお招きしたチャップマン氏のご親族をはじめ、多くの関係者の皆さまにご出席いただくなか、オープニングセレモニーを実施しました。
以来、単なる建物の観覧だけでなく、大正の雰囲気を感じられる交流の場として市民や観光客の皆さまにご利用いただいております。
このたびの答申にあたりまして、活用計画段階から供用開始、そして今回の登録まで多大なるご尽力を賜りました、西村記念館・旧チャップマン邸の会の皆さまをはじめ、多くの関係者の皆さまに、心より厚くお礼を申し上げます。
今後も、市民の皆さまのご理解とご協力のもと、保存・管理に努めるとともに、地域の宝として末永く活用してまいります。
(2020年3月22日付紙面より)
王子ヶ浜少年消防クラブ (新宮市 )
地域や家庭での防火防災を図るため、新宮市立王子ヶ浜小学校6年生で結成し活動を行っている「王子ヶ浜少年消防クラブ」がこのほど、「令和元年度優良少年消防クラブ・指導者表彰」において総務大臣賞を受賞した。なお、消防庁主催による表彰式典は新型コロナウイルス感染予防を考慮し、中止となった。
少年消防クラブとは、小学生から高校生までの少年少女が防火および防災について学習するための組織。防火パトロールや防火・防災に関する研究発表会の実施などの活動を行っている。令和元年5月1日現在のクラブ数は全国で4442あり、クラブ員は約41万人、指導者は約1万4000人。
同表彰は、少年消防クラブ員や指導者の意識高揚とクラブ活動の活性化を図り、少年消防クラブの育成発展に寄与することを目的として、昭和29年度より継続して実施している。今回は全国から、特に優良な少年消防クラブ(総務大臣賞)28クラブ、優良な少年消防クラブ指導者(総務大臣賞)14人、優良な少年消防クラブ(消防庁長官賞)40クラブが選ばれた。王子ヶ浜少年消防クラブは県内で唯一選出された。
(2020年3月22日付紙面より)
タイムラインを策定 (紀宝町 )
新型コロナウイルスの感染が国内外で広がっていることを受け、紀宝町は19日、町内や近隣市町での発生など不測の事態に備えて新型コロナに対応した事前行動計画(タイムライン)を策定した。タイムラインに沿った現在と今後の取り組みを取材した。
事前準備や行動の目安、行動のもれをなくすため、各課の役割を明確にすることが目的で、担当職員は「不測の事態が起きた際にもタイムラインによってすぐに行動できる体制を構築した。感染予防のため職員の健康管理の徹底、マスクの着用、アルコール消毒液の設置など感染予防マニュアルに沿った対策を取っている」と話している。
タイムラインは1~5のステージを設定。この計画を基に各課がそれぞれ行動する。近隣諸国で発生した1(準備)、国内発生の2(警戒)、県内や近隣県で感染者が確認された3(感染予防)、近隣市町で確認された4(緊急事態)、町内での感染や感染拡大が想定される場合の5(非常事態)に分類した。
21日現在、県内で9例の感染が確認され、町ではステージ3を実行中だ。役場内に対策本部を設置し、情報収集、県との情報共有、役場や幼稚園、小学校、中学校、子育て支援事業の体制を検討し、町民への注意喚起、町内での感染予防対策などに当たっている。
ステージ4に移行した場合、町長が緊急事態を宣言し、救護体制の検討、感染地域や感染者数などの情報収集、ステージ5では非常事態宣言を発令し、感染者への対応などに取り組む。
(2020年3月22日付紙面より)
ブリの水揚げで活気づく (宇久井漁協 )
那智勝浦町宇久井の宇久井漁業協同組合(亀井睦弘組合長)の構内で19日、定置網漁(通称・大敷)で丸々と太ったブリが水揚げされ、大漁となった。漁協施設屋上には大漁旗が掲げられ、付近の住民らも活気づいた漁港を笑顔で見つめていた。
亀井組合長によると、この日は数日間で最も大漁だったといい、3隻分の水揚げは午前中でも終わらないほど。その様子を見ていた住民は「最近はコロナウイルスなど暗い話題ばかり。それを吹き飛ばしてくれるような大漁。町が活気づいてうれしい」と話した。
同漁協と取り引きしている三重県尾鷲市の定置網・養殖漁業資材制作業者の50代男性は「昨日、おとといと漁が好調だったと聞いていたのでお神酒を持ってこさせてもらったら大漁でびっくりした。活気があって良い」と話した。
亀井組合長は「若い人たちやみんなが本当によく頑張ってくれた。海の恵みを頂きありがたい」と語った。
(2020年3月22日付紙面より)
新宮市や那智勝浦町などの小学校で (卒業式 )
新宮市と那智勝浦町の各小学校で19日、卒業式が行われた。児童たちは校長から卒業証書を受け取り、思い出が詰まった母校を巣立っていった。北山村では北山小学校の3人が卒業した。今年は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から各校ではマスク着用の上、規模を縮小するなどして実施した。
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新宮市では神倉99人、王子ヶ浜48人、三輪崎72人、高田3人、熊野川14人の計236人が卒業した。三輪崎小では芝﨑勝善校長が一人一人に卒業証書を手渡して、最上級生として自覚ある行動とパワーで下級生をリードしてくれたと語り、「人と人が共に生きる社会で大切なものの一つがあいさつです。これから進むそれぞれの中学校で不安なこともあると思いますが、『笑顔であいさつ』を忘れず、夢に向かって進んでください」と送り出した。
全員で「旅立ちの日に」を合唱した後、卒業生代表の福田美心(みこ)さんが教職員や学校関係者、保護者らに感謝の気持ちを伝え、「これから私たちは夢に向かって歩んでいきます。小学校で学んだことを胸に刻み、力強く生きていきます」と別れの言葉を述べた。
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那智勝浦町では勝浦45人、宇久井33人、下里12人、市野々4人、色川3人の計97人が卒業。宇久井小では山本健策校長が卒業証書を手渡し、卒業生の頑張りをたたえた。課題に対する集中力の高さ、下級生への素晴らしい接し方など担任教職員の言葉を紹介し、「つらいことがあっても、おなかいっぱいご飯を食べて、寝て、力をためて、何度でも挑戦する。君たちならできるはず。活躍を祈っています」とエールを送った。
卒業生は全員で答辞を読み、教職員や給食調理員、子ども見守り隊、保護者など、学校生活を支えてくれた多くの人に感謝した。「真っすぐ前を向き、希望を胸に夢に向かって一歩一歩歩んでいきます」と結び、「旅立ちの日に」を合唱。保護者たちはわが子の姿をカメラに収め、涙を浮かべていた。
23日(月)には太田小学校(尾﨑卓子校長)の6年生5人が卒業式を迎える。
(2020年3月20日付紙面より)
勝浦漁港公衆トイレ供用開始 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は今年2月末に同町築地の勝浦漁港に完成した勝浦漁港公衆トイレなどの利用を19日正午に開始した。船員専用浴室など、設備が充実したトイレ施設は同漁港に寄港するマグロ漁船の乗組員(船員)や、観光客らの利用に向けて建設された。
町によると、これまでは同漁港に隣接するにぎわい市場にはトイレはなく、その近くにある足湯施設「海の湯」のトイレのみだった。また、乗組員用のシャワー室も新冷蔵庫施設建設のため撤去。浴場を無料開放していた勝浦シーハウス熊野灘も営業時間帯のみの利用だったため、深夜や早朝に寄港する乗組員にとっては利用しづらい状況にあったという。
トイレ施設の建設は、観光客の利便性向上とマグロ漁船乗組員へのサービスの一環。建築面積は68・14平方㍍。▽男子トイレ(大便器1基、小便器2基)▽女子トイレ(大便器2基)▽多目的トイレ(大便器1基、オストメイト、ベビーチェア、おむつ替えシート)―が設置されており、5台分の専用駐車場もある。
水揚げなど同漁港に寄港した乗組員が24時間利用できる浴室にはシャワー室が3室、浴室が1室あり、ドライヤーやロッカー、シャンプー、リンス、ボディソープも完備。最も多いインドネシアの乗組員に対応した看板も設置している。設計監理費含め建設費は約4260万円。隣接のにぎわい市場や足湯施設らと統一感を持たせたデザインとなっている。
担当する農林水産課は「多くの乗組員の皆さまが那智勝浦町へ来ていただけるようにシャワーなどを整備させていただいた。トイレについても観光客や一般の方々に利用していただけたら」と語った。
(2020年3月20日付紙面より)
串本町や古座川町の小学校が19日、新型コロナウイルスの感染防止策を講じて一斉に卒業式を営んだ。串本町では119人(男子67、女子52)、古座川町では14人(男子9、女子5)が卒業証書の授与を受け、感謝や決意を掲げて巣立ちの時を迎えた。
古座川町立高池小学校(大畑眞校長)は同町中央公民館で同式を営み、在校生代表の5年生と教職員、家族が見守る中で6年生11人(男子7、女子4)が卒業証書の授与を受けた。大畑校長は将来の夢やこれから取り組みたいことにコツコツと努力して頑張ること、そして詩「赤い花白い花」を紹介して自分らしく周りの人の事も考えられる人になってほしいと11人の今後に願った。
5年生は11人への憧れの思いを明かしつつ「友達を大切にして勉強や運動に頑張ってほしい」と送る言葉を寄せ、11人は在校生への思いや先生ら学校職員や家族への感謝を示して「中学校に行っても小学校での学びを忘れず新しい友達とも仲良くして頑張る」と決意を掲げた。児童はそれぞれの思いを歌に乗せて交わし合って、別れの節目をつけた。
他の小学校の卒業生数は▽明神小1人▽三尾川小2人▽串本小27人▽橋杭小5人▽潮岬小37人▽出雲小4人▽串本西小16人▽大島小7人▽西向小8人▽古座小12人▽田原小3人―となっている。
(2020年3月20日付紙面より)
熊野速玉大社
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)はこのほど、熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ、イザナギノミコト)、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ、イザナミノミコト)をはじめとした十二柱のご祭神の拝殿に案内板を設置した=写真。
案内板の設置は昨年の暮れ。社務所に「どこにどの神様が祭られているのか」といった質問が多く寄せられていたことから設置に至ったという。案内板には神々の名前のほかにも、簡単な説明文も添えられている。
同大社によると、新型コロナウイルス感染症の影響で3月上旬をピークに参拝客が激減したとしながらも「最近では少しずつ参拝者数も増え、意識的には次の段階に来たと感じます」。「よみがえりの地・熊野」をPRすることによって、地域活性化に寄与することができればと話していた。
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■4月3日にさくら祭り
同大社境内で4月3日(金)午前11時から、「新宮神社例祭・さくら祭り」を斎行する。例年は祭典終了後に餅まきを実施していたが、今年は新型コロナウイルス感染症予防の観点から、正午より餅を配布する。
(2020年3月20日付紙面より)
県立高校で合格発表 (和歌山県 )
和歌山県の県立高校で18日、一般入学試験の合格発表があった。新宮・東牟婁地方では新宮、新翔、串本古座高校で337人が合格した。
発表は午前10時、一斉に各校内の掲示板などに張り出されるとともに、新型コロナウイルス感染拡大予防として、受験者や中学校関係者用に設けられた県ホームページにも掲載された。緊張した面持ちで待っていた受験生たちは、自分の受験番号を見つけると友人と抱き合うなどして合格を喜んだ。
各校の合格者数は新宮高校全日制173(定員200)人、定時制7(同40)人、新翔高校96(同120)人、串本古座高校61(同120)人だった。
新宮高校に合格した女子生徒は「合格は信じていましたが、不安だったのでとてもうれしく安心しました。サッカー部に入ってクラブ活動と勉強を両立させて頑張りたい」。新翔高校に合格した生徒は「掲示板を見るまで緊張しました。理科は得意ですが、英語が苦手でたくさん勉強した。部活ややりたいことは、これから探そうと思います」と期待を込めて話していた。
定員に満たなかった高校の追加募集は24日(火)に出願受け付け、26日(木)に学力検査、30日(月)に合格発表を行う予定。
(2020年3月19日付紙面より)
小中学校午前の授業再開 (古座川町 )
古座川町立の5小中学校が18日、午前の授業を再開した。先月28日以降、19日ぶりに登校した児童生徒は新型コロナウイルス感染症予防対策をこなしつつ、3学期に節目をつける学校生活に臨んでいる。
同町教育委員会は国の要請を受けて今月2日以降、学校を当面休みとしつつ再開のめどを模索。校長会の考えや保護者の声、学校医3人の意見を総合的に勘案し、今回の対応を16日付で児童生徒の保護者に通知した。
その内容は18日、19日(木)、23日(月)、24日(火)と期日未定だが春季休業期間中の離任式がある日の計5日間を3月の登校日とするもの。今後の状況により変わる場合があるとしつつ、午前のみ授業を行うとしている。学校給食やクラブ活動は引き続き休止となっている。
同町立明神小学校(速水和美校長、児童12人)の児童は事前に学校が配ったマスクをして登校。げた箱前で先生に迎えられ、互いに元気かどうかを確かめ合いながら手をアルコールで消毒しそれぞれの教室へ入った。その後は集会を開いて今回の対応中の過ごし方について説明を受け、授業に臨んだ。
19日は卒業証書授与式で4年生以下は自宅待機となり、24日は修了式、期日未定の日は離任式があるため、授業に臨める回数には上限が伴うのが実情。速水校長は中道悟教育長の意に準じ、児童が3学期の節目をしっかりとつけ、進級して迎える新しい年度を意識できるよう努めるとしている。
(2020年3月19日付紙面より)
令和元年観光入込客総数 (和歌山県 )
和歌山県は、令和元年観光客動態調査で、総数・日帰り客数・宿泊客数とも前年より増加し、うち、総数・日帰り客数が史上最高を記録した平成28年を上回ったと発表した。また、外国人宿泊客数も過去最高となった。
県が発表した観光入込客総数は約3543万3000人(前年比102・4%)で日帰り客数は約2993万1000人(同102・5%)、宿泊客数は550万2000人(同101・7%)。うち外国人宿泊客数は約50万2000人(同104・7%)だった。
昨年は7、8月の天候不順や台風の接近などで、夏季の観光入込客総数が前年に比べ減少したものの、例年にない長期間のゴールデンウイークや、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録15周年記念キャンペーン、ねんりんピック紀の国わかやま2019の開催などが奏功し、年間の総数・日帰り客数は史上最高に、宿泊客数も前年を上回る結果となった。
10月からの羽田―南紀白浜線の航空機材大型化や改元に伴う各地での記念イベントの実施、1年を通じて高野山・熊野地域をはじめ、県内各地が多くのメディアに取り上げられたことも影響したと分析する。
宿泊客数は田辺市本宮町(前年比121・7%)、旧串本町(同115・8%)などが好調。那智勝浦町は大型宿泊施設のリニューアル工事の影響で、前年比72・9%となった。
外国人宿泊客数に関しては、中国市場が白浜町などで好調に宿泊客数を伸ばし、前年比31・5%増と過去最高を記録。欧米豪市場も引き続き好調で、高野山・熊野の世界遺産エリアを中心に、前年比16・6%増と堅調に推移。韓国市場においては、日韓関係の悪化の影響を受け、前年比43・7%減と宿泊客数が大幅に減少した。
観光地別では、世界遺産エリアの高野町や田辺市、新宮市、そして白浜町などで過去最高を記録した。一方で、耐震工事の影響や団体ツアーの減少により、那智勝浦町などで宿泊客数が減少した。
県では、世界的メディア(CNN、BBC、ロンリープラネットなど)との共同キャンペーンや海外プロモーション、メディア取材・エージェント下見支援などの継続的な誘客対策に加え、東京五輪やワールドマスターズゲーム2021関西など、多くの外国人観光客の訪日が見込まれる機会を捉え、引き続き海外からの観光客の誘客を進めるとしている。
(2020年3月19日付紙面より)
レッスンバッグを寄贈 (JAみくまの )
みくまの農業協同組合(JAみくまの、村上幸弘組合長)は17日、太地町公民館にある教育委員会を訪れ、反射板付きレッスンバッグの寄贈式を開いた。村上組合長が宇佐川彰男教育長に対し、今春町立太地小学校に入学する新1年生14人分のバッグを贈った。同町含む管内22校342人の児童らに対し、各教育委員会を通じて届けられる。
JA共済の交通事故対策活動の一環として、毎年実施している。児童を交通事故から守り、安心して暮らせる地域社会づくりに貢献することを目的に交通事故対策事業費を活用している。おととしは那智勝浦町、昨年は新宮市で寄贈式があった。
この日は村上組合長のほか、共済部の向井和央部長、内田和宏課長、岡本光正太地支所長が同席した。
村上組合長は「地域の宝である子どもたちの交通安全に役立てていただけたら幸いです」と語った。
バッグを受け取った宇佐川教育長は「JAみくまのさんにはいつもお世話になっている。有効に使わせていただきます」と感謝を述べた。
(2020年3月19日付紙面より)
6年目の満開まであと少し (那智勝浦町 )
6年前に鳥と人が運び、偶然が重なって育ったクマノザクラが満開を迎えようとしている。桜は那智勝浦町勝浦で左官業を営む熊代眞春さん(68)が同町南大居にある会社倉庫敷地内に植えたもの。詳しいいきさつを熊代さんに聞いた。
熊代さんが6年前、同町築地にある妻・生美(なるみ)さんの実家の雨どい(とゆ)掃除をしていた際、堆積していた土から小さな葉のある芽を発見した。木が好きな熊代さんは「ひょっとすると桜では」と持ち帰り、前述の敷地に植えたという。植えた芽は予想通り桜で、年々成長して3年後にはきれいな花を咲かせた。
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毎年満開を楽しみにしているものの、桜の種類については気に留めていなかった熊代さん。ある時、いとこの寺地恒文さん(79)が桜の標本を採り、クマノザクラの第一人者で国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所(東京都)の勝木俊雄さんに鑑定を依頼。昨年6月に結果が届き、クマノザクラであることが正式に判明した。
寺地さんによると、「クマノザクラが発見されて約4年。各地で地域活性化のためにクマノザクラを増やそうと努力されている。おそらく、桜は鳥が運んできた種が雨どいで育ったものだと思う。人間の手で植えたクマノザクラの中では一番最初に花をつけたものになるのでは」と話した。
熊代さんは「クマノザクラと分かってうれしかった。6年前に持ち帰ったことは桜にとって良いことをしたんだなと実感した。桜もきっと多くの方に見に来ていただければ喜ぶはず。そのためにベンチを設置しようと思う」と笑顔で話した。
2人によると満開は2~3日以内だという。場所は同町南大居の寺地酒屋向かい付近にある熊代さん所有の会社倉庫敷地内。
(2020年3月18日付紙面より)
国皇神社本殿前で例祭 (古座川町 )
古座川町池野山の山中にある国皇(こくおう)神社の例祭が15日にあり、関係する7区の区民約110人が参列して礼を尽くした。
この神社は、中世の南北朝の内乱を経て南朝最後の天皇となった後亀山天皇の5代目子孫・朝里重太夫が1616年に月野瀬の牛蒡(ごぼう)谷の一角で創建。1828年に13代の朝里利平が現・国王山の一角へ遷(うつ)し、例祭は麓にある旧七カ村の奉仕も得て積み重ねてきた。
近年、長寿化に伴う区役員の高齢化で尾根伝いの徒歩参拝が難しくなったため、1991年に自家用車で行ける林道沿いの池野山区有地へ遷座。旧七カ村につながる高池上部、同下部、池野山、宇津木、月野瀬、直見と串本町にある古田の7区が持ち回りで例祭を続けている。
今年は創建の地である月野瀬区(大屋敏治区長)が当番。前日の雨も上がりほどよく雲の流れる晴天の下で式典を迎え、古座神社の石田保宮司の出仕を得て7区の区役員らが本殿前に参列。代表して各区長が石田宮司に続いて順次玉串をささげ、区ごとに二礼二拍手一礼をして礼を尽くした。
式典後は本殿周囲で餅まきや各区の直会(なおらい)もあり、活気が余韻を引いた。その全体を取り仕切った大屋区長は「昨日の雨の影響を心配したが、(未舗装の)林道の状態もそれほど悪くなく、良い天気の下で無事に営めてほっとしている。7区の皆さんの向こう一年の健康をこの機会に願いたい」と話した。
(2020年3月18日付紙面より)
木本、紀南高校で合格発表
県立木本、紀南高校で17日、入学試験の合格発表があった。10日に行われた後期選抜と、すでに内定が通知されている前期選抜の合格者が発表された。合格を決めた受験生たちは4月から始まる高校生活に胸を躍らせていた。
木本高校では、後期選抜のみ実施した普通科(定員120人)に120人が受験して118人が合格した。総合学科(定員40人)は前期選抜合格者22人を除く後期選抜募集人数18人に22人が受験し、18人が合格した。
紀南高校普通科(定員80人)は、前期選抜で27人が合格。募集人数53人の後期選抜に26人が受験し、25人が合格した。
両校では、午前9時30分に合格者の受験番号が掲示された。新型コロナウイルスの感染拡大に伴いマスク姿で訪れた受験生が多く、自分の受験番号を見つけると「あった、あった」と喜んだ。
木本高校普通科に合格した男子生徒は「勉強はもちろんですが、自分に合った部活動を探し、そちらの面でも頑張りたい」と笑顔を見せていた。
(2020年3月18日付紙面より)
平嶋於俊稲荷神社で例大祭 (那智勝浦町 )
那智勝浦町狗子ノ川の平嶋於俊(おしゅん)稲荷神社で15日、春の例大祭が営まれた。国内外で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響で規模縮小し、区役員のみが参加して神事が行われた。
平嶋於俊稲荷はいつ勧請(かんじょう)されたのかは不明だが、社の山の斜面には「狐(きつね)の穴」と呼ばれる小さい穴が三つあり、信心深い人々が、油揚げや餅を供えて祈願し、節分には豆と餅を供えているという。
例大祭は海上安全や大漁、商売繁盛などを祈願し毎年、町内や太地町から大勢の人々が参列するという。餅まきも行われ、親子連れなども多い。
石田守区長によると、役員会で新型コロナの影響を検討した結果、餅まきもやめ、役員のみの小規模な実施となった。「新型コロナのこともあるが役員だけでもやりたい。神事だけでも行うべきではと話し合った」と述べた。
神事は熊野那智大社(男成洋三宮司)の花薗龍人権禰宜(ごんねぎ)が執り行った。花薗権禰宜は「氏子さんの健康や日々の生活が豊かに暮らしていけるように祈願した。また、皆さまから新型コロナウイルスの終息もお願いされていたため、祝詞に入れさせていただきました」と話した。
宮総代の弓場一矢さんは「新型コロナを含めこういうご時世のため、規模縮小は仕方がないこと。来年には皆さんにお集まりいただき、例大祭ができることを期待している」と語った。
なお、この日は古くなった社の鈴緒に代わり、宮総代から新しい鈴緒の奉納があった。
(2020年3月18日付紙面より)
休園前最後のお別れ会 (新宮市立王子幼稚園 )
本年度を最後に休園となる新宮市立王子幼稚園(山本眞也園長)で16日、お別れ会があった。卒園を迎える園児11人がダンスやゲームで楽しいひとときを過ごし、園生活での思い出をつくった。
同園は園児数の減少と、応募者が少なかったことから本年度で休園措置となった。お別れ会は園児の思い出づくりの機会にと、卒園式前に毎年行われていた催し。
子どもたちは「椅子取りゲーム」「ジャンケン列車」「腕相撲」「コマ回し大会」など、さまざまなゲームに挑戦。○×ゲームでは園にちなんだ問題が出され、「どっちかな?」と迷いながら移動して正解を発表するたびに歓声を上げ盛り上がった。
お菓子バイキングもあり、園児は籠に用意されたお菓子を一人ずつ袋に入れていき、職員や友達と会話を弾ませて仲良く味わった。会の後は園庭でドッジボールをしてにぎやかに過ごした。
丸山紗生(さき)ちゃん(6)は「ドッジボールが楽しかったです。幼稚園でみんなと会えなくなるのは少し寂しい。1年生では、鉄棒が上手になりたい」。
山邉智也君(6)は「みんなで話をしながらお菓子を食べてうれしかった。小学生になったら、友達をいっぱいつくって勉強を頑張りたい」と話していた。
同園は1958(昭和33)年1月9日に開園。開園式には51人の園児が出席した。ピーク時の79(昭和54)年には、138人の園児がいたという。
(2020年3月17日付紙面より)
町内の海岸の環境守る (那智勝浦町 )
那智勝浦町の住民有志によって発足された「かつうら渚(なぎさ)の会」(猪飼伸会長、会員35人)が15日、同町勝浦のお蛇浦(じゃうら)周辺の海岸で初の清掃活動を実施した。20人が集まり、町の名所である同所で発泡スチロールやプラスチックごみなどの回収に汗を流した。
同会は町内の海などを定期的に清掃活動することで、景観や環境を保持し、啓発していくことを目的に発足された。今後も2カ月に1回は活動を行うという。
この日はお蛇浦や26日(木)に営まれる弁天祭を控えた弁天島周辺の範囲で作業。両所は町民や観光客にも人気の名所であり、外国人もよく訪れているという。
地形的にもごみが漂着しやすいことから、これまでも近隣住民や町内のボランティア団体「なちかつ古道を守る会」(太田耕二代表)などが長年、有志で清掃に取り組んでいる。
猪飼会長は「勝浦の良い魚も釣れ、景観も良い。できるだけそのきれいな海を子どもから孫、子孫へとつなげていけたら」。
今後については「同町の各所の海で活動していきたい。要請があればほかの団体の方々のご協力もしていきたい」と語った。
(2020年3月17日付紙面より)
タイプ木ガイドツアー (古座川町観光協会 )
古座川町観光協会(須川陽介会長)主催のクマノザクラのタイプ木ガイドツアーが14日にあり、約60人が満開を迎えたタイプ木などに親しむ一助として参加した。
同協会が展開する帯企画「古座川桜フェア」=29日(日)まで=の一環。新型コロナウイルス感染症の拡大予防機運が広まる一方、タイプ木は開花が進むにつれ断続的ながらも町内外からの観賞を集めている状況で、その後押しとして計画通り取り組むこととした。
樹木医・矢倉寛之さんをガイドとして迎え、午後1時30分と3時の2回、同協会事務所がある道の駅虫喰岩を拠点にして実施。前半は38人が参加し、矢倉さんは分類の考え方や町域にはヤマザクラとクマノザクラの2種類が野生種としてあり両者が開花時期をずらして共存していることが異なる種と考えるきっかけになったこと、その両者の交雑は起こり得る仕方のないことだがソメイヨシノやオオシマザクラなどよそから持ち込んだ品種との交雑は絶滅に追い込む危険があるとし植樹の責任の重さを参加者と一緒に実感する機会も持った。
道中の山腹には時間差や色彩の濃淡もさまざまなクマノザクラが開花し、クローンのソメイヨシノが一斉に咲き出すのに対し野生種のクマノザクラは1本1本に個性があると説明。お気に入りの1本を決めてよく観察し、他の木はどう違うのだろうと比較して個性への理解を深めてもらえればとした。また陽樹のクマノザクラはたき木を得るための伐採後に新天地を得て種をつないできたが、最近はその機会がなく植林ではない場所は極相林に向け遷移が進んでいる。クマノザクラの多くが窮屈そうに生えているのは他の木との競争に負けているからだとし、今後どう残していくかが考えるべき課題の一つであることも示唆した。
この日のタイプ木は、多少雨に打たれたもののほぼ満開。利用した人は木の全体や花を手持ちのカメラで撮影するなどしながら観賞した。
矢倉さんは「生態系のことを考えて植樹をすることをきちんと認識するためには、ペットを山に捨てないのと同じように理解することが必要」と今回の案内に込めた思いをコメント。「きれいだと思うのはもちろん、プラスアルファでじゃあそのきれいさを守っていくには何が必要かをそれぞれの言葉で話してもらえたら、今日の観察会は有意義になると思う」と参加者の今後を期待した。
同フェアにおける同協会主催行事はこの日のツアーで終了。同協会事務所内では関係企画として、同協会カレンダーの原画を担当したフォトグラファー・濵口恵美さんによるクマノザクラの写真展を引き続き開いている。その他取り組みとして、同町小川にあるKii Gardenのスイセンの広報や案内に協力している。問い合わせは同協会(電話0735・70・1275)まで。
(2020年3月17日付紙面より)
YouTubeチャンネル開設 (紀宝町ウミガメ公園 )
国内外で新型コロナウイルス感染症の影響が広がる中、紀宝町井田の道の駅「紀宝町ウミガメ公園」も25日(水)まで営業時間を短縮した。一方、臨時休校で自宅学習中の子どもたちにウミガメの魅力や知識を伝えようとYouTube(ユーチューブ)公式チャンネル「紀宝町ウミガメ公園」を開設し、新たな取り組みにも挑戦している=写真。
動画を見た子どもたちにウミガメや環境問題に興味を持ってもらおうと、地域おこし協力隊で飼育員の伊藤柊也さんと本紙が合同で企画した。
16日現在、「ぶくぶくするアカウミガメ」「世界一可愛い餌の取り合い」「呼ぶと来るスッポンモドキ」など、伊藤さんが撮りためていた動画がアップロードされている。
伊藤さんは「ずっと観察していないと見られない瞬間や啓発授業の様子も紹介していくつもり。ぜひチャンネルを見てください。新型コロナ終息後にはウミガメ公園に足を運んでほしい」と話している。
チャンネルは、YouTubeで「紀宝町ウミガメ公園」と検索する。
同公園の飼育プールは24日(火)まで改装工事中だが、園内の屋外プールでウミガメと触れ合うことができる。飼育プールでは、普段アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイを観察できる他、ネコザメなどの海洋生物や数種類の淡水ガメを展示している。ウミガメの保護啓発、ストランディング(死亡漂着)個体調査、混獲個体の保護、上陸・産卵調査にも力を入れている。
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■営業時間短縮
紀宝町ウミガメ公園は25日まで、全館の閉館時間を午後3時とする。1階の情報共有コーナーは午後5時まで開放する。
これまでもアルコール消毒液の設置や接客時のマスク着用などの対策をして業務に当たっていたが、10日に三重県内で新たな感染者5人が確認されたことにより、今回の措置に踏み切った。
23日(月)時点で状況の改善が見られない場合は、町役場と協議の上、期間を延長する可能性もある。
(2020年3月17日付紙面より)
那智勝浦町教育委員会は和歌山大学と連携し、文豪・佐藤春夫の父・豊太郎(とよたろう)の生家である同町八尺鏡野(やたがの)の下里懸泉堂(けんせんどう)に残された文書などをまとめた冊子「文豪 佐藤春夫のルーツ『下里懸泉堂 懸泉堂文書への誘(いざな)い』」をこのほど発行した。
下里の視点から当時の日本やその歴史などを捉えた内容となっており、4月末までは同町役場下里出張所で、5月以降は町教育センターで配布する。
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代々、医者の家系であった佐藤家。春夫の曽祖父の百樹が私塾を開いていた懸泉堂は谷川瓦が用いられた主屋と大正期に建築されたといわれる洋館とで成立し、建築的価値は高いとされる。
室内にはさまざまな貴重な文書・史料が存在することから、同委員会では下里の歴史文化に触れることのできる小冊子の作成を検討。所有者や関係者の協力の下、和大と県立文書館、県立博物館などに依頼して2015年7月に一次調査を実施した。
さらに詳細な調査を進めるために17年1月に文書を和大に運んでくん蒸処理を行い、整理作業を開始。江戸時代に書かれた文字も含め、一つ一つ文書を開いて内容を確認し、目録を作成したという。全12箱2273点の興味深い史料の一部が小冊子に掲載されている。
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出来上がった小冊子は▽佐藤家の家系図▽懸泉堂立面図・平面図▽春夫の自筆原稿▽豊太郎の作品▽春夫の書簡▽「鉄道問題」▽春夫作品「環境」▽三好達治の懸泉堂滞在▽谷崎潤一郎「厠(かわや)のいろいろ」▽黒船の噂(うわさ)▽ポサドニック号事件▽鳥羽伏見の戦い▽維新後の京都▽鯨の肉のフシギ▽下里の学び舎―など、豊富な内容となっている。700部を作製した。
執筆者は新宮市立佐藤春夫記念館館長の辻本雄一さん、和束町史編さん室専門員の渡邉久仁太さん、和大クロスカル教育機構・教養協働教育部門准教授の橋本唯子さん。
同委員会の里際聖さんは「町民の方々に佐藤春夫のルーツや、当時の文化を知っていただけたら」。
岡田秀洋教育長は「地元以外の情勢に関心を寄せていた佐藤家の人々の様子が見られると同時に東牟婁の豊かな歴史を感じる。地方の点と都市の点が線となり、面になっていく様子を表している資料。大きな価値があると思う」と語った。
(2020年3月15日付紙面より)
太地町議会3月定例会
太地町議会(塩崎伸一議長、10人)の3月定例会が13日、一般質問終了後に閉会した。12日は一般会計や同町国民健康保険事業予算など特別会計の予算審議があった。追加議案はなく、令和2年度一般会計予算含む17議案全てが可決された。
議員からは今年4月から施行される会計年度任用職員制度や、防災機能を備え観光振興にも寄与する駅舎防災複合施設建設、令和2年度から稼働する「くじらの海事業」の森浦湾海上遊歩道においての保険や安全管理業務などの運営費用と予備網の購入費用などについて質疑を行った。
一般会計予算案では漁野尚登議員が評価できる予算としながらも、「私が反対した副町長と教育長の給料や期末手当が入っている。くじらの海事業の安全管理業務費用に毎年700万円発生すること、駅舎より役場を建て替えるほうが優先であるため、原案に反対」と反対の立場で討論。
三原勝利議員が新型コロナウイルスの町の対応や人事評価をどのような形で行うか、共通した考え方が必要と一言述べた上で「一般会計はかなり苦労されて出来上がっていると思う。一部に疑義があったとしても私は積極的に推進していただきたい」と賛成討論を行い、賛成多数で可決された。
なお、現行の「過疎地域自立促進特別措置法」が令和3年3月末で失効することから「新たな過疎対策法の制定に関する意見書(案)」を花村計議員(賛成者は三原勝利、水谷育生、山本真一郎の各議員)が提出した。同案は可決となり、意見書は内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、農林水産大臣、国土交通大臣に提出される。
(2020年3月15日付紙面より)
丹鶴幼・蓬莱保でお別れ会 (新宮市 )
新宮市立丹鶴幼稚園(下岡容子園長、園児66人)と蓬莱保育所(上路三四所長、園児89人)で13日、卒園を迎える5歳児とのお別れ会があった。春の陽気の中、園児たちは歌やゲームで楽しく過ごし、園生活での思い出をつくった。
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丹鶴幼稚園では、○×ゲームに挑戦。4歳児が司会進行をして園にちなんだ問題を出した。園児たちは「どっちかな?」と迷いながら移動し、正解を発表するたびに歓声を上げ盛り上がった。
在園児が「おひさまになりたい」「あしたははれる」を歌い、「いっぱい遊んでくれてありがとう。大好きだよ」と思いを伝えた。5歳児は歌「ゆうきをだして」を元気いっぱい披露。3、4歳児から手作りのメッセージ付きネックレスのプレゼントもあった。
在園児の大家爽智(さち)ちゃん(5)は「ほし組のみんなはたくさん遊んでくれて優しかった。小学校になっても頑張ってほしい」。卒園を控えた射場俊成(しゅんせい)君(6)は「みんなと一緒に遊べてうれしかった。小学校では勉強を頑張りたい」と語った。
下岡園長は「子どもたちの楽しそうな姿が見られました。進級し成長していくことを感じてもらえれば」と話していた。
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蓬莱保育所は、新型コロナウイルス感染症対策のため屋外で実施。在園児がライオン組(年長児)20人に「バスごっこの手遊び」や合奏「ドレミの歌」などを披露し、一緒に○×クイズを楽しんだ。
卒園遠足で太地町立くじらの博物館を訪れたことにちなみ、5歳児へのプレゼントとしてクジラを描いた写真入れを手渡し、感謝の気持ちを伝えた。5歳児たちは「ありがとう」と応えた。
会の後は、ソーセージピラフやエビフライ、パリパリサラダなど特別メニューの給食を食べ、4、5歳児対教職員でドッジボール大会をした。
上路所長は「いい天気で良かった。保育所生活の最後に、たくさん遊んで思い出をつくってほしい」と話していた。
(2020年3月15日付紙面より)
恒例演奏会、中止の判断 (新宮高校吹奏楽部 )
和歌山県立新宮高校(前田成穂校長)吹奏楽部(亀谷覚史顧問、山門由奈部長)は、世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、22日(日)に同校体育館で開催を予定していた「第39回定期演奏会」を中止すると決定した。
同校吹奏楽部は、コンクールやコンテストに出場するほか、イベントへの参加や小学校訪問演奏などを通して演奏活動を行っている。この時季恒例の定期演奏会は、趣向を凝らしたステージを一目見ようと保護者や地域住民、吹奏楽ファンなどが多数訪れる人気の催し。卒業生の引退セレモニーとしても位置付けられている。
感染症拡大防止に向け、各地の小・中・高等学校で臨時休校措置が取られる中、同校では2月28日に急きょ卒業証書授与式を実施。見送る在校生、巣立ちを祝う保護者や来賓がいないばかりか、入場曲もない、校歌斉唱もない、「音のない」卒業式となった。
亀谷顧問や部員らは、世界的な社会混乱の中、「少しでも明るい話題を提供できれば」との思いから状況が好転することを期待し準備を進めてきた。臨時休校に入り、クラブ活動が休止になってからは「卒業生を送り出したい」との思いから、山門部長や副部長らと電話やメールで連絡を取り合い「規模の縮小はやむを得ない。しかし開催を目標に、前向きに準備を」と打ち合わせを続けたという。
中止の判断は、今月11日に決定した春の選抜高校野球中止と、世界保健機関(WHO)のパンデミック宣言を受けたもの。亀谷顧問は、決定は人命を最優先に判断したもので仕方がないとしながらも「みんな頑張って練習してきた。卒業生に最後の見せ場をつくってあげられなかったことが悔やまれる」と苦しい胸の内を明かす。
卒業生や各パートの紹介、演奏会の曲目や演目などを盛り込んだ自信作のパンフレットと消化しきれない思い出だけが残った。パンフレットに関しては、状況の改善が見込まれる4月以降に希望者に配布するという。
亀谷顧問は「いつの日か笑顔で演奏会を開催することができれば」と、感染症の終息と社会的混乱の収束に期待を寄せた。
(2020年3月14日付紙面より)
図書館が来年度に仮移転 (串本町 )
串本町図書館が今年の秋に地域保健福祉センターへ仮移転する。同町は来年度当初予算で移転改修事業費3840万円を計上し、同町議会3月定例会は12日の本会議で承認。所管する同町教育委員会教育課は来年度早々に同センター内の改修工事の入札をし、年末の現施設敷地返還を間に合わせるとしている。
同館は現在、串本小学校の北隣にある旧園舎を利用する形で開館している。敷地は借地で年末に返還期限を迎えるため、同町はかねて適した本移転先を模索してきたが現時点でめどが立たず。南海トラフを震源とする大地震に伴う津波の到達が懸念されるものの、利便性を過度に損なうことがなく、すでにバリアフリー済みで改修経費も抑えられる同センターに仮移転して返還を間に合わせることとした。
本年度中に仕上がる設計では、同センター1階のロビーと食堂を図書館フロアとして確保しているそう。年末の返還期限から逆算して4月に改修工事の入札をして着手。9月ごろに引っ越しを始め、完了次第現施設を解体撤去して敷地を所有者に返す流れで進める。引っ越しは1カ月前後を要するとし、この間は休業とし利用者に理解と協力を呼び掛けるという。
南海トラフ巨大地震を前提にした同町津波ハザードマップにおける地域保健福祉センターの津波浸水深は5~10㍍。同じく県津波災害警戒区域図における同センターの津波浸水深は約6㍍で、現施設も約3㍍となっている。今回の仮移転では浸水の懸念が拭い去れないため、被災による損失が許されない貴重な蔵書は仮移転を機に高台にある空き施設で一時保管し、その他の蔵書を同センター内に並べて閲覧や貸し出しに資することを考えているという。
同課は「新庁舎、こども園、統合小と大きな事業が続く中、図書館もと言い出しにくいのが実情。移転後は町立体育館や文化センターなどと共用する駐車場が使えて、今以上に利用しやすくなる」と話し、仮移転後の利用の活発化を期待しながら来年度の仮移転を見据えている。
(2020年3月14日付紙面より)
紀宝町でボラコ養成講座
2011年の紀伊半島大水害の際、2週間にわたり紀宝町で災害ボランティアセンターの活動に携わった県社会福祉協議会の山口訓広さんが12日、町福祉センターで講演した。昨年10月の台風19号で被害を受けた栃木市での活動を振り返り「社協は地域とのつながりが強み。被害を知ってもらうことも大切」と伝えた。
14人が参加した第6期災害ボランティアコーディネーター(ボラコ)養成講座の第4回講座で、山口さんは台風被害の概要を説明。12日に関東地方を通過し、全国で死者約100人、負傷者約400人、全壊家屋約3300棟などの被害があった。
栃木市では床上・床下浸水が計7583棟あり、山口さんは23日から1週間、市災害ボランティアセンターで運営支援に取り組んだ。「受付や現地調査など、その地域に応じたルールで活動した」などと話し、泥出し作業や運営支援など活動の様子を写真で紹介した。
「運営支援を通してスピード感や柔軟性、地域とのつながり、情報発信などの課題が見つかった」と問題提起。支援現場を想定し、参加者は「ボランティアが来ない、連絡が取れない」など住民の声にどう対応するかグループで考えた。
各グループからは「災害範囲が広く、ニーズが多くて優先順位をつけてしまうと思う」「被災者にニーズが変わっていないか確認する必要がある」などの意見があった。
(2020年3月14日付紙面より)
第1回Kスポーツカップ
JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN関西和歌山県大会
4月から原則屋内禁煙へ
健康増進法の改正に伴い、4月1日から全国で原則屋内禁煙が義務化となる。昨年7月に病院や学校、行政機関を対象に原則敷地内は禁煙となっていたが、4月からは飲食店や職場、事業所などでも屋内禁煙となるほか、喫煙室の標識掲示の義務や未成年の喫煙エリアへの立ち入り禁止などが施行されるなど、受動喫煙を防止するための対策が一層強化される見通しだ。
東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、2018年7月に健康増進法の一部を改正する法律が成立。同法律により原則屋内施設の全面禁煙が初めて法制化された。
4月から、飲食店に対して①店内禁煙②喫煙専用室設置(飲食不可)③加熱式たばこ専用の喫煙室設置(飲食可能)④店内一部に喫煙可能室を設置(飲食可能)⑤店内の全てで喫煙可能(飲食可能)―の五つの分類が生じ、喫煙可能とする場合には標識を掲示するほか、喫煙可能室の設置に当たり、最寄りの保健所への届け出が必要となる。違反すると指導や命令、罰則などが適用される場合もある。
店舗ごとの対応条件としては▽2020年4月1日時点で営業している店舗である▽資本金または出資の総額が5000万円以下▽客席面積が100平方㍍以下―の条件のうち、一つでも当てはまらない店舗については原則①となり、一定の基準を満たした場合には②、③の設置も可能。
前述の条件全てに当てはまる、既存の経営規模の小さな飲食店(既存特定飲食提供施設)に対しては、経過措置として①~③に加え④、⑤も可能。しかし⑤では従業員を含む20歳未満の入店や立ち入りが不可となる。
また、喫煙専用室などの基準については「出入り口において室外から室内に流入する空気の気流が毎秒0・2㍍以上である」「たばこの煙が室内から室外に流出しないよう、壁、天井などによって区画されている」「たばこの煙が屋外または外部の場所に排気されている」ことが設けられており、加熱式たばこ専用喫煙室、シガーバー、換気装置などの設置、改修など受動喫煙防止対策に取り組む店舗などに対する助成金制度もある。
和歌山県では、新型コロナウイルス感染症の対応などにより、店舗や県民に対する周知に遅れが出ている状況だという。東牟婁振興局保健福祉課は「対応は各店舗で異なるので確認を」と呼び掛けている。届け出や喫煙可能を示す標識などは県ホームページからダウンロードできる。
問い合わせや相談は同振興局(電話0735・22・8551)の保健福祉課へ。
(2020年3月13日付紙面より)
議会中に黙とうささげる (新宮市議会 )
新宮市議会(前田賢一議長、15人)3月定例会期中の11日、議員や市職員ら出席者は議場において約1分間の黙とうをささげ、東日本大震災の犠牲者を追悼した。
震災から今年で9年。一般質問を中断した上、午後2時46分に前田議長の呼び掛けで黙とうが行われた。新宮市は震災で甚大な被害を受け多大な犠牲者が出た宮城県名取市と姉妹都市提携を、気仙沼市と交流都市協定を締結している。
名取市では死者911人、行方不明者65人(2011年当時)。気仙沼市では死者1143人(うち関連死109)、行方不明者214人(18年現在)。両市とも震災に伴う津波や火災などで壊滅的な被害を受けた。
(2020年3月13日付紙面より)
東日本大震災から9年 (新宮市 )
2011年の東日本大震災から9年を迎えた11日、新宮市立丹鶴幼稚園(下岡容子園長、園児66人)で地震と津波を想定した避難訓練があった。全園児が市保健センター横のタウンガーデンまで逃げ、絵本を通じて災害から身を守る方法を学んだ。
同園では毎月1、2回、地震や火災、不審者などを想定した避難訓練を実施している。急な災害に対応できるよう、事前に予告せずに訓練を行うなど、徐々に難易度を高くして取り組んできた。
この日は午前10時に地震を知らせる放送が鳴った。外で遊んでいた園児は園庭中央に集まり、室内では机の下に入って頭を守った。園庭で人数を確認した後、急いでタウンガーデンまで逃げた。園舎に戻ると、東日本大震災の被災経験を基に描かれた絵本「つなみのえほん ぼくのふるさと」を教職員が読み聞かせた。ライフジャケットの着用練習もあった。
下岡園長は「食事中や幼稚園から帰るときなど、地震がいつ起こるかは誰も教えてくれない。震災のとき、釜石市では諦めずに少しでも高いところに逃げた人の命が助かった」と紹介し、命と体を守るよう呼び掛けた。
(2020年3月13日付紙面より)
コロナ影響で卓球合宿中止 (那智勝浦町 )
国内外で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響で、3月中に那智勝浦町に滞在予定だった大学卓球部の合宿が相次いで中止となった。経済的効果や町の周知、今後の来町にもつながる合宿の中止は同町にとっても大きな痛手となる。現状の詳細や今後について、合宿誘致に携わる同町在住の中西毅さん(66)に話を聞いた。
中西さんによると、合宿誘致は地域活性化や卓球競技の振興を目的に11年前から始まった。京都、大阪などを中心に大学卓球部を回り同町のPRを行ってきたという。
南紀くろしお商工会や町、町観光協会、南紀勝浦温泉旅館組合らが協力し、来町の際は歓迎セレモニーを開き、選手たちにも好評だという。
「他県と比較して気候的にも良い。体育文化会館には24台の立派な卓球台もあるため、50人までの規模の合宿なら受け入れが可能」。
選手たちが練習後に体を癒やす町内の旅館や民宿などの宿泊施設に触れ、「各宿泊施設の皆さんが、食事にも気を使い献立を考えてくれている。この町ではマグロが食べられ、温泉で体を休めることができるのも大きなポイント」と中西さんは話す。
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合宿は春と夏に実施されており、今季は5~8日に大阪経済法科大学、10~15日に佛教大学、25~29日に近畿大学がそれぞれ来町する予定だったが、新型コロナウイルスの影響を受け、全て中止になったという。「合宿はバスの移動などが主となるので、感染の可能性も上がってしまう。さらにクラブ活動も自粛となっているので今回は残念な結果となった。早期の終息を願っています」と話した。
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夏の合宿には龍谷大学、大阪商業大学、同志社大学、佛教大学が例年訪れている。
卓球合宿について中西さんは「合宿に来てもらい、技術などを向上していただくのはもちろんだが、若い世代の方々にこの町の良さを知っていただき、再び訪れていただけたらありがたい。町の活性化にもつながる」。「今後は卓球だけでなく、そのほかのインドアスポーツの誘致にも広がっていけばうれしい」と語った。
(2020年3月12日付紙面より)
クマノザクラ花の時期に (古座川町 )
古座川町池野山にあるクマノザクラのタイプ木の開花がこのほど始まり、日に日にその度合いが進んでいる。同町発表によると11日現在で「五分咲き」の段階。他方、峯の優良木、蔵土(くろづ)や中崎の群生地の一部でほぼ満開に達する木もあるなど、町全体では時間差を伴いながら開花が進む状況にあるという。
クマノザクラは2018年3月、日本植物分類学会が国内10種目の基本野生種とする森林総合研究所の研究論文を受理したことが新種として判断する節目となった。タイプ木はその過程で必要となった標本を採取した木。同町は判断の節目以降速やかにクマノザクラを町の花として制定し、節目の半年後に発足した同町観光協会も帯企画「古座川桜フェア」を展開して適切な振興に努めるさなかにある。
道の駅虫喰岩前の県道を串本町佐部方向へ約850㍍進んだ先の民有地にあり、地元の高池小児童が手作りした看板が目印。今年は3日ごろから花が見られるようになり、同町は昨年に引き続いて公式ホームページのトップページ左上のリンク先で開花の様子を平日に更新しながら情報発信している。併せて町内の観賞に適した優良木や群生地を伝える「クマノザクラMAP」も公開し、観賞時の利便を図っている。
このリンク先は従来からあるソメイヨシノの主な観賞先の開花状況を伝えるリンク先と並列で運用していて、更新を担う役場地域振興課は「現地を訪ねるときの目安として参考にしてもらえれば」としている。
(2020年3月12日付紙面より)
9682人の卒業生を輩出 (矢渕中学校 )
これまで9682人の卒業生を輩出してきた紀宝町立矢渕中学校。1974(昭和49)年に建設された現校舎の老朽化が進み、町では大規模改修工事を計画した。令和2年度内に本工事の詳細設計をし、早期に工事着工できるよう進めていく。
72回目を数えた本年度の卒業式では70人が学びやを巣立った。学校の歴史は長く、47(昭和22)年4月4日、当時の鵜殿村立鵜殿中学校として設立された。翌年、鵜殿・御船・井田三組合立中学校を創設。10月1日に開校式を行い、以降この日が創立記念日となった。
50(昭和25)年3月1日、校名が鵜殿村・御船村・井田村三ヶ村組合立矢渕中学校に決まった。51(昭和26)年10月13日には木造の旧校舎が竣工(しゅんこう)した。
71(昭和46)年2月5日、この2階建て校舎は一夜にして焼失した。「鵜殿村九十年史」にはこう記している。
「矢渕だ!中学校が火事だ」村人は取るものも取りあえず矢渕へ走った。寒い夜空をこがして、真紅の炎が大きな二階建校舎に燃え狂っている。火事場は驚きと悲しみの騒ぎが続いた。校舎の東にあった体育館と、その隣りにあった図書館だけが焼失を免れたが、焼け残った校舎は全く使い物にならなかった。(一部中略)
火災から20日後にはプレハブ7教室が完成し、授業再開となった。その後、校舎再建に取り掛かり、井田中学校との統合が実現。74(昭和49年)6月22日、現在の校舎と体育館の新築落成式が執り行われた。
2006(平成18)年1月10日、町村合併により、現在の紀宝町立矢渕中学校となった。苦難を乗り越え47年を迎えた現校舎。大規模改修では照明のLED化や防災機能の強化、床、壁の張り替えなどに取り組む。
(2020年3月12日付紙面より)
会員のみで実施 (なちかつ古道を守る会 )
那智勝浦町のボランティア団体「なちかつ古道を守る会」(太田耕二代表)は11日、同町湯川で「ゆかし潟クリーン作戦」を実施した。新型コロナウイルス感染拡大に配慮し、今年は一般参加の呼び掛けを行わず会員のみで実施した。
汽水湖のゆかし潟周辺は熊野古道大辺路が通っており、妙法山も見ることができる。湖にはさまざまな魚や生物が生息している。この景観をきれいに保つため毎年クリーン作戦を行っている。
午前10時に会員16人が喫茶きよもん駐車場に集合。太田代表は「例年より少ない人数ですが、できるだけきれいにしましょう。ごみが捨てられている所へは、廃棄が続きます。道路から目立つごみにも気を付けてください」と呼び掛けた。
参加した会員は2人組になるなどして、夏山(なっさ)トンネル付近や、ゆかし潟周辺のごみを分別しながら拾い集めた。
(2020年3月12日付紙面より)
国内外で感染が広がる新型コロナウイルスの終息を願う祈願祭が10日、田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で営まれた。一日も早い終息とともに感染者の回復を祈って神事を執り行い、疫病の平癒に効果があると伝わるお札「熊野牛王神符(くまのごおうしんぷ)」を頒布した。
雨の中、熊野本宮観光協会、同町商工会、田辺市熊野ツーリズムビューローなどをはじめとした行政観光関係者らや同大社氏子総代会、敬神婦人会、氏子青年会ら計27人が参列。ご神体に息が掛からないよう神職が着用する奉書紙(ほうしょし)と麻緒(あさお)のマスクを着けて神事に臨んだ。
厳粛な雰囲気の中、大祓(おおはらえ)太鼓による祈とうに続き、九鬼宮司が祝詞を奏上。参列者が玉串をささげた。
熊野本宮観光協会の名渕敬会長は「町内の観光宿泊施設では、1~3月で4、5割がキャンセルになった。4、5月も平年の2、3割の予約しかない。一番つらいのは、いつまでこの状態が続くか分からないこと。一刻も早く普通の生活に戻りたい」と苦しい心情を語った。
九鬼宮司は「平安時代に疫病がはやり、浄土信仰が大きく興って熊野詣でへという流れができた。お渡しした牛王神符は古来よりさまざまな病をはらいのけるといわれている。願いを書き入れ、神棚もしくは目線の高い位置に納めて、終息に向け皆さんの心を一つにしてほしい」と呼び掛けた。
(2020年3月11日付紙面より)
合格発表は18日 (和歌山県 )
和歌山県内の公立高校で10日、一般選抜入学試験とスポーツ推薦の学力検査があった。スポーツ推薦の実技検査、一般推薦の面接は11日(水)に実施される。
県立新宮高校では、各教室に集まった受験生たちが点呼や諸注意を受け、午前9時25分から試験が始まった。午前は国語、社会、数学の3科目、昼食を挟んで午後は理科、外国語(英語)の順で試験に挑んだ。
合格発表は18日(水)午前10時に各校で一斉に掲示されるが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、可能な限り受験者や中学校関係者用に設けられた県ホームページでの確認を呼び掛けている。追募集の出願受け付けは24日(火)で学力検査は26日(木)。
(2020年3月11日付紙面より)
にしき園本館改築完了 (串本福祉会 )
串本町二色にある社会福祉法人串本福祉会(和田利文理事長)の特別養護老人ホームにしき園(和田𠮷男施設長)本館の改築工事が2月末に完了した。
園名を掲げる塔屋が印象的な本館は1986年10月に運用が始まり、現在34年目。鉄筋コンクリート造2階建てで50床を有するが、県が近年に発表した南海トラフを震源とする大地震に伴う最大の津波浸水想定で2階までつかることが懸案事項となり、利用者を確実に守るという観点から今回の改築に踏み切るに至った。
工事はおととしの12月21日、現施設の隣に追加分の建設用地を確保して始まった。現本館を部分的に解体して建設用地を広げつつ、約14カ月越しで鉄筋コンクリート造4階建ての改築部分が形となった。2階と3階を入所フロア(現本館の50床を許容)とし、2階のフロア高を津波が届かない高さにしているのが特色。1階は入所者全員を許容できる大ホールなど日常活動や事務の機能、4階はフロア全面でなく部分的に建屋を設けて浸水が許されない発電機などを配置し、屋外となっている部分も利用できる構成になっている。万が一津波が敷地に達しても入所者の命を守り、後に孤立しても当面の機能維持ができる環境が今回の改築で整ったという。
当初は今月4日に新施設の竣工(しゅんこう)式を営んで祝う計画だったが、時期的な感染予防の観点で急きょ規模を縮小し施工業者と工事の節目をつけるにとどめた。和田施設長は「敷地近隣の道路など被災に伴う孤立をどう乗り切るかなど考えるべき課題は山積しているが、まずは想定される最悪の状況でも入所する皆さまと職員の命を守る状況が整ったと一安心している。特養として若干手直ししておきたい部分もあるので急ぎその作業を進め、4月上旬をめどに入所者に移ってもらえるようにしたい」と話している。
現本館の残った部分は経過年数的にまだ使える点も踏まえ、同園新館~在宅福祉総合センターにしき園と改築部分を連絡するため当面残す考え。現本館の主要機能を改築部分に移した後に空く部分の活用も、今後検討していくという。
(2020年3月11日付紙面より)
那智勝浦ゴルフ倶楽部
空手道・拳武館新宮道場
新型コロナウイルスの影響で (日本赤十字社 )
新型コロナウイルスの感染拡大による大規模イベントの自粛などの影響で献血車派遣の中止が相次ぎ、全国的に献血協力者が減少している。日本赤十字社によると、輸血用血液の在庫量が不足し始めている地域が発生しており、この状況で推移すると必要な輸血用血液の供給に支障が出る可能性もあるとしている。
国が新型コロナウイルス対策の基本方針を打ち出した2月25日以降、献血計画に対して献血血液(赤血球)は87・7%に減少し、献血者数は29日までの5日間で5793人が不足した。日赤は公式サイトで「尊い命を救うために、皆様のご理解とご協力をお願いいたします」と呼び掛けている。
血液の不足を巡って、白血病であることを公表していた競泳女子の池江璃花子選手が会員制交流サイト(SNS)で「1人でも多くの命を救えるように」と協力を訴えているほか、加藤勝信厚生労働相は今月5日の参院予算委員会で、献血の呼び掛け強化など対応を検討すると答弁している。
和歌山県赤十字血液センター紀南出張所の担当者は「管内でも(移動採血を)見合わせたいなどといった相談があった。急きょ大型スーパーなどに掛け合い、街頭での献血で対応している」と現状を話す。
安全かつ安心な献血環境を保持するため、献血会場に入場する際には、入り口での検温や手指消毒の協力を呼び掛けるなど、感染予防対策も講じているという。また、検温の結果、発熱が認められた場合には入場を制限している。
同出張所では「イベントの中止や延期のほか、企業の在宅勤務などの感染防止措置が強化され、 予定していた献血会場の実施が困難な状況となっている。献血協力者が減少することで、血液製剤の在庫量を安定的に維持することが困難になる」と危機感を示し、「こうした状況の中でも、成分献血を含め、毎日約1万3000人の献血協力が必要。ぜひ献血へのご協力を」と呼び掛けている。
新宮市~串本町間の移動採血の日程は次の通り。
■12日(木)
▽串本町=午後2時~4時(串本警察署・串本ライオンズクラブ)
■13日(金)
▽新宮市=午前9時~正午、午後1時~4時(市福祉センター・新宮ライオンズクラブ)
■22日(日)
▽新宮市=午前10時~正午、午後1時~4時(スーパーセンターオークワ南紀店)
■23日(月)
▽太地町=午前9時30分~正午(太地漁業協同組合・勝浦ライオンズクラブ)、午後1時30分~4時(町公民館・勝浦ライオンズクラブ)
(2020年3月10日付紙面より)
古座川漁協が総代会開く (古座川町 )
古座川漁業協同組合が8日、古座川町中央公民館で総代会を開き令和2年度の方向性を確かめるなどした。
同漁協は七川ダムより下流の古座川水系を管内とし、主力のアユをはじめとする漁対象資源の適正管理に資する諸事業を展開している。現在の組合員数は正准合わせて510人で、年次の事業概要は代表100人を立てて開く総代会で決めている。
この日の総代会は本人出席28人、文書決議書29人、委任状1人、計58人で総代100人の過半数を占めて成立した。橋本尚視組合長は「昨年度の厳しい自然環境で天然遡上(そじょう)が少なく、思うような釣果が上がらず売り上げマイナスの決算となった。よい漁場づくりとして産卵や遡上を促すことに力を入れなければならないというのが理事全員の希望。総代や組合員の協力をいただいて取り組みたい」とあいさつし、井口一副組合長が西前啓市町長や鶴保庸介参議院議員のメッセージを代読するなどした。
続く議事では本年度と来年度の事業関連諸議案を審議し承認。任期満了に伴う役員選任もあり、各地区の代表を得る形で正組合員から理事11人を選出する案を承認した。組合長などの次期役員は後に開く理事会内で互選するという。
来年度の事業計画では▽支流小川流域から下流域へ流出する砂利の採取を河川管理者に働き掛けるとともに、河床整備を進めて良質な産卵場の確保に努める▽動物追い払い煙火や猟友会との連携によるカワウの食害対策を推進する▽冷水病などの要因を見据え内水面漁業協同組合連合会と協力してアユ資源の確保に尽力する▽降雨後の河川状況をホームページで頻繁に伝えて入川客との信頼関係に努め組合員にも情報発信する▽アマゴモやクズガニのさらなる増殖保護に努める▽鑑札監視は10月を期限として取り組む―といった事業指針と展開する業務項目を一通り確かめるなどした。
(2020年3月10日付紙面より)
100年ぶりの新種美しく (紀宝町 )
2018年に約100年ぶりに新種と確認された野生種の「クマノザクラ」が紀宝町の北桧杖や鮒田地区などで咲き、淡いピンクの花が見頃を迎えている。
国内にはヤマザクラ、オオシマザクラ、カスミザクラなど9種が自生し、熊野地方で発見されたクマノザクラは野生の種では10番目の新種。まさに〝世紀の大発見〟につながった。
紀伊半島南部の三重、和歌山、奈良の3県に分布。早咲きで花が美しいことから、観賞用として各地で植樹されている。
北桧杖地区は県内でも開花が早いことで知られ、林道北桧杖浅里沿いで自生する数本が確認されている。シダが生い茂る斜面の上でひっそりと花を咲かせている。
同地区の莊司健さんによると、2月下旬ごろから咲き始め、今が見頃。今後は桐原地区の子ノ泊山(ねのとまりやま)登り口付近や、御浜町、熊野市でも咲き始めるという。
(2020年3月10日付紙面より)
新宮市保健センター横のタウンガーデンで9日、同所の花壇を管理するボランティアグループ「タウンガーデン」(平田裕子代表)が「青空布マスク作り教室」を開いた。同グループ会員10人が参加し、持ち寄ったハンカチやガーゼタオル、端切れなどで布マスク作りに挑戦した。
青空教室は、平田代表が先週、同市別当屋敷町で手作り雑貨などを取り扱う「花布(かふ)」でマスク作りを教わったことがきっかけ。新型コロナウイルス感染予防対策で市販のマスクが品薄となっている状況を鑑み、また、使い捨てマスクの使用軽減による環境保全を図る目的などもある。密室感染が危険視されるコロナウイルス対策として屋外での実施に至った。
平田代表が事前にマスクの型紙やゴムひも、ガーゼなどを用意。会員らは使わなくなったハンカチや布を型紙に合わせて裁断し、会話を楽しみながら制作を進めていった。平田代表は「使い捨てマスクよりも何回も洗って使える布マスクは、今の時代に合っているのでは」。
会員の70代女性は「みんなで和気あいあいと楽しくおしゃべりしながら作業をしているので、あっという間に時間が過ぎてしまいます。家でも作って、知り合いなど周りの人に贈りたい」と話していた。
毎年、同グループが主催し、3月末~4月上旬ごろに同所で実施している「花祭り&バザー」は、今年は中止が決定している。
(2020年3月10日付紙面より)
春季近畿地区高校野球大会県予選
新宮ジュニアレスリングクラブ
高木1043本にナンバリング (新宮市 )
新宮市の国指定天然記念物「新宮藺沢(いのそ)浮島植物群落」(浮島の森)で10年ごとに行われている植生調査が進んでいる。熊野学研究委員会の瀧野秀二さんらが島内の高木1043本のナンバリングと樹種の特定を終え、島本体から分離した四つの「離れ島」部分にも着手している。
調査は京都大学の四手井(しでい)綱英名誉教授を中心とする専門家により、1989年にスタート。周囲の宅地開発や水質悪化により希少なオオミズゴケの減少や植生の変化が見られたためで、天然記念物指定当時への原状回復を最高目標とする保全策の基本方針がまとめられた。
第4回となる現在の調査は昨年11月に始まり、島上を一辺10㍍の方形枠に分割してB2~H6の調査区を設定。胸高(地上1・3㍍)直径5㌢以上の樹木を高木とし、作業を進めてきた。今後は正確な幹周り・樹高を測定し、胸高断面積の合計を基準に各種の優占順位を算出。ミズゴケ類、シダ類、種子植物などの下草類についても全種類を記録し、重要なものは分布位置を記録する。
特にかつて浮島の森の主林木であったスギは、老木の枯死による本数の減少や島中央部での後継樹の不在が憂慮されており、湿地内に残存する母樹からの採種と移植が行われてきた。それらの育成状況も注目されている。
瀧野さんは「浮島上に胸高直径5㌢以上の樹木が1000本以上あるというのは、改めてすごいこと。暑くなるまでには直径や樹高測定の作業を終えたい」と話していた。
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■浮島の森
浮島の森は、沼地に浮かぶ泥炭でできた島で、面積は約5000平方㍍。寒地の植物であるオオミズゴケやヤマドリゼンマイと、暖地のテツホシダなどが島上に混在していることが特徴で、1927に天然記念物指定を受けた。現在、沼底への座礁により島の移動は確認できなくなったが、ボーリング調査で下部に水の層が確認されている。浮力の発生原理や泥炭を形成する植物体については現在も謎が残っている。
(2020年3月8日付紙面より)
各中学校で卒業証書授与式 (串本町・古座川町 )
串本町、古座川町の町立中学校が6日、一斉に卒業証書授与式を挙行した。串本町は65人(男子32、女子33)、古座川町は26人(男子13、女子13)が感染症予防の制約がかかる中、それぞれに感謝と決意を掲げて卒業の節目をつけた。
串本町立串本中学校(濱﨑和司校長)は3年生37人(男子15、女子22)とその保護者、教職員がマスクを着用し席を1㍍間隔に置いて同式を営んだ。
3年生一人一人に卒業証書を授与した濱﨑校長は「為(な)せば成る為さねばならぬ何事も」という言葉を贈り、「自分を信じ、目標を掲げ、たゆまぬ努力を続けてその先にある輝く未来を自分の手でつかみ取ってほしい。皆さんならまだまだ成長できると信じている」と述べて前途を祈念した。
梁村詩都さんが学校から、堀音和(おとわ)さんが育友会から記念品を受け、在校生を代表して生徒会執行部の前田美波(みな)会長(2年)が録音して託した送辞を放送。芝真珠(まこと)さんが3年間の思い出を振り返り、友達や在校生、先生や両親など成長を支えてくれた人々への感謝を掲げて「常に明るく、常に全力で。それが私たち37人が大切にし続けてきたこと。これからもこの言葉を思い出し、前を向いて進んでいきたい」と答辞を述べた。
在校生が録音して託した歌「ありがとう」を聞き、3年生は自分たちを象徴する歌詞を含む歌「YELL」を歌って「こんなふうな卒業式は受け入れたくなかったけれど、自分たちらしい最高の卒業式が今ここにいない後輩を含む多くの人に届いていくことを願っています」と胸中を明かしながら会場を後にした。
他校の卒業生数は▽串本西中6人▽潮岬中14人▽西向中8人▽古座中19人▽明神中7人。
(2020年3月8日付紙面より)
雪まつりスタンプラリー抽選会 (那智勝浦町 )
商工祭「南の国の雪まつり」実行委員会(委員長=森川起安・南紀くろしお商工会長)は5日、那智勝浦町商工会館でシャトルバス利用者のプレゼント企画であるスタンプラリーのオリジナル賞品抽選会を開いた。2月16日に開催した今年の雪まつりは暖冬の影響で、長野県白馬村からの雪が調達できず、「雪のない」催しとなった。当日は雨天で、悪条件が重なったが1万525人(主催者発表)が来場しにぎわった。
雪まつりの会場周辺には駐車場が少ないことから、那智漁港や旧北マリンホテル跡地の駐車場などに臨時駐車場を設け、無料シャトルバスが運行した。
スタンプラリーはシャトルバスの利用促進とバスに乗車することを催しの一つとして楽しめるようにと2013年から開始。乗車時に配布された台紙に会場内にあるスタンプを集めると商品の抽選に参加できるもの。
今年は午前8時~11時、午後1時~3時にピストン運行による運営を実施。利用人数は延べ347人(前年対比2223人減)で、スタンプラリーには58人(同179人減)が参加。当日の雨天の影響などによる利用者や参加者の減も見られた。
賞品はオリンピックキーホルダーや自衛隊Tシャツ、千葉県勝浦市と長野県上松町、徳島県勝浦町の産品、消防非常時セットなど。森川委員長と名誉実行委員長である堀順一郎町長が抽選した。
スタンプラリーのメッセージには▽マグロ汁おいしかった▽スケートできなくて残念でした▽楽しませてもらってありがとう▽来年は雪を期待しています▽毎年、楽しみにしています―など、町内外から多くの感想が寄せられていた。
堀町長は「雪がなかったのは残念。大雨も降ったがたくさんの方に来ていただきありがたい」。
森川委員長は「雪がないことや悪天候も残念だったが、多くのメッセージも頂き励みになる。今後は予算の関係もある中、地域で認めていただいている雪まつりを継続できる方向で考えていきたい」と語った。
(2020年3月8日付紙面より)
年度末の「早春3月大会」 (新宮GG同好会 )
規模縮小し卒業式 (新宮市・那智勝浦町 )
新宮市と那智勝浦町の公立中学校で6日、卒業式があった。新型コロナウイルス感染症拡大予防の観点から、各校ではマスク着用の上、規模を縮小して実施。生徒たちは校長から卒業証書を受け取り、思い出の詰まった母校を巣立った。那智勝浦町立色川中学校、北山村立北山中学校では今年度の卒業生はなし。太地中学校は4日に卒業式を行った。
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新宮市内では、緑丘66人、城南54人、光洋71人、高田2人、熊野川13人の計206人が卒業した。城南中学校では、保護者と職員が見守る中、中田善夫校長が生徒一人一人に卒業証書を手渡し、「当校で仲間と一緒に汗と涙と笑顔で学んだことを土台にし、これからの人生をたくましく生き抜いてくれると強く信じています」と式辞を述べた。
保護者の同意を得て、在校生代表として参列した仮谷心さん(2年)が「先輩方が残してくれた思いを受け継いで、城南中学校をさらに良い学校にしていくことを誓います」。
卒業生代表の玉置七彩さんが「私たちの学校生活の最後の1週間は突然なくなってしまいました」と臨時休校措置に言及。「例年とは違い、在校生がいないのは残念ですがこのような状況の中でも卒業式を迎えることができたことをとてもうれしく思います」と語った。
保護者や教職員らに感謝を述べ、同窓の友に対し「時にはけんかをし、感動で涙し、共に笑い合った日々を忘れることはありません」と3年間の学校生活に思いをはせた。
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那智勝浦町では、那智52人、宇久井29人、下里20人が卒業の日を迎えた。
宇久井中学校は在校生の出席はなく、保護者と職員、来賓が出席。それぞれの思いを胸に、生徒は坊信次校長から卒業証書を受け取った。
坊校長は「卒業おめでとう。世の中はとても多様でたくさんの価値観があり、数限りない学びがある。自分自身を育て、逃げないで学び続けてほしい。これからの未来をより良く切り開いてくれることを信じています」と祝いの言葉を贈った。
卒業生代表の横山倫さんが「たくさんの人に支えられ、今日を迎えることができたことを卒業生一同、お礼申し上げます」と教職員や在校生、保護者に対し感謝を述べた。
同じく卒業する仲間へは「中学校生活最後に異例の臨時休校となり、みんなと過ごせる大切な3日間がなくなってしまったが、今回の出来事でクラスの絆を感じることができた。いつかみんなで笑い合える日までお互いに頑張りましょう」と語り、最後は拍手で温かく送り出された。
(2020年3月7日付紙面より)
来年度当初予算案を発表 (串本町 )
串本町が5日、来年度当初予算案を報道発表した。一般会計の規模は123億8100万円で、対本年度比19・7%増。特別会計などを合わせた同予算案総額は212億2704万2千円で対本年度比11・3%増となっている。
現串本町において過去最大規模の編成となっている一般会計の大幅増の要因は、年度末完成予定の新庁舎建設事業16億7290万円に加え、▽有田残土処分場整備事業▽宝嶋クリーンセンター大規模改修事業▽くしもとこども園新設事業▽田並地区地域防災拠点施設整備事業▽救助資機材整備事業▽動鳴気(どめき)漁港災害復旧工事―といった9桁台の予算を伴う事業を含むことによる。額にして対本年度比20億3500万円増。歳入と歳出(性質別)の内訳は別図の通りで、歳入の町税収入は917万8千円増と見込んでいる。
今回の予算編成について田嶋勝正町長は「合併算定替え縮減5年目となる点を踏まえ、安易に前年度事業を踏襲することなく持続可能な財政構造確立を実現するため、事業や経費、事務の無駄を省き、多岐にわたる予算を計上した」という。
特別会計などの規模は▽後期高齢者医療特別会計5億8144万2千円▽国民健康保険事業特別会計26億4658万円▽介護保険事業特別会計25億5248万2千円▽病院事業会計収益的収入19億9474万9千円・収益的支出21億5633万2千円▽水道事業特別会計収益的収入5億7033万8千円・収益的支出6億2192万9千円▽下水道事業特別会計4806万4千円▽住宅資金貸付事業特別会計2166万7千円。
▽串本財産区特別会計1346万円▽潮岬財産区特別会計6442万4千円▽出雲財産区特別会計2771万6千円▽田並財産区特別会計2156万4千円▽和深財産区特別会計2700万3千円▽古座地区財産区特別会計820万3千円▽西向地区財産区特別会計4613万9千円▽田原地区財産区特別会計903万7千円―で、歳出と収益的支出の合計は88億4604万2千円となっている。
当初予算案総額の11・3%増は額にして21億5893万7千円増で、一般会計の増額分が大半を占める形となっている。
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当局発表の一般会計における主な歳出事業は次の通り。かっこ内は1万円未満の端数を四捨五入し概数記載とした。
■住吉集会所建設事業(4344万円)
■田並地区地域防災拠点施設整備事業(1億3427万円)
■日本トルコ友好130周年事業(1968万円)
■新庁舎建設事業(16億7290万円)
■ロケット推進事業(160万円)
■宝嶋クリーンセンター大規模改修分担金(3億6207万円)
■起業チャレンジ支援事業補助金(120万円)
■有田残土処分場整備事業(3億7776万円)
■串本IC周辺地域活性化施設基本構想策定業務委託料(597万円)
■空家等対策事業(591万円)
■救助資機材整備事業(1億2815万円)
■図書館移転改修事業(3849万円)
■聖火リレー実施事業(152万円)
■くしもとこども園新設事業(1億7517万円)
(2020年3月7日付紙面より)
新年度当初予算案を発表 (太地町 )
太地町は5日、町公民館で三軒一高町長や幹部職員らが会見を開き、令和2年度当初予算案を発表した。新年度の一般会計は27億2453万4000円で前年度より6億4042万5000円(19%)減となった。主要事業については後日、掲載する。
三軒町長は、7月1日(水)にオープンを予定している放流されたクジラを間近で見ることができる森浦湾と鯨類研究所に触れ、「町には133頭の鯨類がいる。放流する鯨類の数は動物の健康状態を見ながら徐々に進めていきたい」と話した。鯨類研究所については「100人規模の研修施設も備えている。古式や現在の捕鯨、鯨類の調査など、この町に来れば研究できるため、研究所は町が目指すクジラの学術研究都市として重要な点になると思う」と語った。
予算案は11日(水)開会の町議会に上程する。
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町税は前年度より166万7000円(0・8%)減の2億760万3000円。国庫支出金は駅舎防災複合施設建設に係る補助金などの計上により1億6721万5000円(117・9%)増の3億900万円。繰入金は前年度と比較し243万5000円(0・7%)減の3億5714万1000円。町債は駅舎防災複合施設整備事業(観光設備分)の過疎対策事業債や、暖海地区避難路整備工事の緊急防災・減災事業債などで、前年度より5億7840万円(48・5%)減の6億1360万円となった。町税などの自主財源は23・7%(6億4789万5000円)、地方交付税などの依存財源は76・3%(20億7663万9000円)。
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投資的経費の普通建設事業は6億3774万1000円(44・4%)減で7億9820万9000円となり、歳出全体の29・3%を占める。主な事業としてまちの防災力強化に係る駅舎防災複合施設整備事業(4億8900万円)などを計上、そのほか2地区の避難路整備も行う。総務関係では紀南大規模跡地整備、森浦湾予備仕切り網購入事業、民生関係では太地こども園の施設整備、衛生関係では令和3年度に大規模改修を予定する清掃センターの改修に係る設計などを実施する。
(2020年3月7日付紙面より)
【第8回】ウイルスに勝つ食事とは?
世間はコロナウイルス一色ですね。店頭からマスクや除菌商品がなくなって、不安な空気に覆われています。子どもたちの学校が一斉休校になるなど、お母さんたちも心配ですよね。そこで、こんなときこそ毎日の食卓に意識を向けてみてはいかがでしょうか? ウイルスに負けない免疫力をつける、一押しの食品を幾つかご紹介したいと思います。
まず一つ目は「乳酸菌」です。やはり乳酸菌は腸内環境を整える最高のアイテムですし、腸内環境は、免疫力と密接に関係しています。免疫細胞の70%は腸内にあるといわれているんです。まず、「乳酸菌」と聞いて、思い浮かべるのは「ヨーグルト」ですよね? でも、実は乳酸菌は、「納豆」や「みそ」などの発酵食品にも含まれています。発酵食品ということは「ぬか漬け」などのお漬け物も含まれます。乳酸菌は長い時間腸内にとどまることができないんです。だから、たくさんを一度に取るのではなくて、毎日少しずつ取るのがベストです。「ヨーグルト」に限定すると毎日食べたり飲んだりするのは、なかなか大変ですが、いろいろな食材から取ることで毎日無理なく続けてください。また、乳酸菌は胃酸に弱いとされています。乳酸菌を取るのは、胃酸が薄まった食後が良いことも覚えておいてください。
免疫力を上げる食品、二つ目は「きのこ」です。これもまた腸にいい食材といわれていますよね。さらに、「きのこ」は食物繊維がすごく豊富なので、「乳酸菌」の効果も高めてくれます。乳酸菌は、食物繊維を餌として善玉菌を増やすのです。さらにきのこにはβグルカンという栄養があるのですが、このβグルカンは、体内で吸収されず、直接腸内の免疫細胞に働き掛けてくれるんです!
ビタミンやミネラルも豊富で栄養満点のきのこですが、お料理のときに気を付けてほしいのは、包丁で細かく切りすぎないこと。せっかくの食物繊維を壊さないように、「きのこは手で割く」というのを心掛けてください。
そして、最後にお薦めの食材は「根菜」です。体を温めてくれる根菜は、体温を上げてくれるだけでも、免疫力アップに貢献してくれます。例えばニンジンはビタミンAの宝庫! 皮膚や粘膜を強くして免疫力をアップしてくれます。
レンコン・ジャガイモ・ブロッコリーにはビタミンCが多く含まれていて、白血球の働きを強化し免疫力を高めてくれます。また、カボチャのβカロテンも粘膜系を強くしてくれますよ! 根菜はカレーやおみそ汁などアレンジもしやすい食材ですよね。ぜひ取り入れてください。
インターネットなどでは、不安な情報があふれていますが、何より大切なのはウイルスに負けない体です! しっかり食べて栄養を取り、十分な睡眠と、笑顔のあふれる食卓。これが、誰にでも今すぐできる一番身近な対策だと思います。
(2020年3月7日付紙面より)
駅とターミナルに飾り付け (那智勝浦町 )
南紀勝浦ひなめぐり実行委員会(中照策委員長)は4日、JR勝浦駅と那智勝浦町築地のバスターミナルにひな人形を設置した。国内外で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症の影響で中止となった「第8回南紀勝浦ひなめぐり」に代わり、町の活性化やにぎわいを図ろうと委員会のほか、町、町観光協会、南紀勝浦温泉旅館組合、南紀くろしお商工会らが協力。多くの人が行き交う町内二カ所で飾り付けに取り組んだ。展示は4月3日(金)まで。
NPO法人ACT勝動のメンバーを中心に結成された委員会は2011年の紀伊半島大水害による被害からの復興を願い、催しを開始。落差133㍍の那智の滝にちなみ、1万3300体のひな人形を飾り付け、毎回多くの来場者でにぎわってきた。
この日は委員会の瀧川久哉さん、加藤康高さん、中西太さん、塩崎友美さんらが参加。各団体と共にバスターミナルの二つのショーウインドーに人形を飾った。駅改札口にはひな壇を設置した。
中委員長は「コロナウイルスの影響で小規模になったが、少しでも町の活性につながればうれしい」。
人形は熊野曼荼羅(まんだら)の絵解きをする姿や、木製の舟に乗ったものなど、同町ならではの飾り付けとなっている。「ターミナルに飾った人形は木製の『木目込み人形』をメインにしている。その中には淡嶋神社から頂いた歴史ある人形もあるので、ぜひ見に来ていただけたら」と呼び掛けている。
なお、委員会によると、今後の催しは委員会を含む町や町観光協会、南紀勝浦温泉旅館組合、南紀くろしお商工会などで実行委員会を新たに組織し、運営していく方針だという。4月以降、さらに協議を進めていく予定。
(2020年3月6日付紙面より)
笠島遺跡の企画展始まる (串本町 )
串本町文化センターで5日、企画展「笠島遺跡から徐福、高塚の森に繋(つな)がる歴史検証ロマン」が始まった。期間は4月5日(日)までで、感染症予防のため当面は開館中の随時公開のみ行うとしている。
この企画展は、研究集積拠点を目指して先月発足した南紀文化クラスター推進協議会の南紀串本笠島遺跡・徐福・高塚の森研究部会(木村正治部会長)が主催。主な展示物は▽京都府立丹後郷土資料館から借りた艫太船(ともふとぶね、全長約7・7㍍)▽木村部会長の30余年来の個人研究の成果からまとめた徐福―笠島遺跡―高塚の森の相関を伝えるバナー幕(全長約7㍍)▽日中国交正常化30周年記念製作映画「徐福さん」―で、同展の趣意文書やアンケートも準備して期間中の鑑賞を促している。
昭和30年代半ばの笠島遺跡発掘調査で出土した遺物の中で特筆の存在となっているのが、約1800年前の構造船の一部と思われる船底材や舷側板などの構造材。艫太船は昭和44年発行の同調査報告において構造材から構造船の全長を推定する上での目安とされた船で、実物を見ることで構造材からの構造船のイメージを具体的に膨らませ、さまざまな意見を動かす成果を狙っている。
同協議会の須賀事務局長は「艫太船に酷似する、という当時の結論から先へ進むには、現にある構造材からさらにイメージを膨らませて意見を交える必要がある。その足掛かりとするのが今回の展示。この機会に町民の皆さんも一緒にイメージを湧かせて、地元の遺跡への関心を高めてほしい」と反響を期待。
約1800年前の日本は弥生時代。笠島遺跡の構造材はさらに数百年前に渡来した徐福らがもたらした高度な技術の影響を受けた可能性を想像させるとし、今回の展示がその検証を進めて串本古代史の新たな一ページを開くことにつながればと思い描いている。
その影響の先で高塚の森の検証も進めて二つの遺跡を文化財として仕上げるのが同協議会の目標で、その世界観の基軸が木村部会長のバナー幕となっている。展示内容の解説を希望する人は事前に木村部会長(電話090・3161・6801)へ連絡してほしいという。
(2020年3月6日付紙面より)
受講者に資格修了証 (紀宝町 )
次世代型ホームヘルパー講座の最終講座が4日、紀宝町福祉センターであった。全3回を受講した15人に紀南介護保険広域連合が「紀南地域訪問型サービスA」に従事できる資格修了証を発行した。
訪問型サービスAは身体介護を必要としない生活援助のみのサービスで、調理、掃除、ごみ出し、買い物代行などを行う。介護保険法一部改正により2015年にスタートした「介護予防・日常生活支援総合事業」の一環で、17年に全国の事業所で開始された。
2月21日の初回講座では町地域包括支援センター長の岡本こずえさんが高齢者の身体的・心理的特徴、高齢者に多い病気、支援の心得などを説明した。「家族間での声掛け、近所、友人とのつながりを大切にすることが精神的機能の低下防止につながる」と述べた。
28日の第2回講座は傾聴同好会代表の開発道代さんが傾聴について講話。「大切なのは表情とうなずき」とし、「傾聴は対応者の心に入ること。『おじゃまします』との気持ちを持ってほしい。謙虚な心で聞くと人生観が広がると傾聴力が伸びていく」と語った。参加者は2人一組で向き合い、互いの話を聞き合った。
最終講座は町社協の中野大さんがアルツハイマー病やレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、脳血管性認知症など認知症を引き起こす主な病気や具体的な症状を紹介。認知症患者の尊厳にも触れ、障害を補いながら、さりげなく支援する方法を話した。
(2020年3月6日付紙面より)
小中学校で卒業式 (太地町 )
太地町立太地小学校(宮本礼子校長)と太地中学校(山田貴也校長)で4日、卒業証書授与式が行われた。両校共に在校生と教職員が出席し、小学校では16人、中学校20人の新たな一歩を祝福した。
式典は新型コロナウイルス感染予防のため、国の指標に基づき規模を縮小した。児童一人一人に卒業証書を手渡した宮本校長は「本来であれば保護者の皆さんに門出を祝い見守っていただきたかった。申し訳ない。来賓の方々にも自粛をお願いした」と経緯を述べ、「急な事態でしたが、子どもたちは変わらぬ笑顔で式に挑み、堂々と卒業証書を受け取ってくれました」と感謝した。
出席した教員も「力強く夢や希望を語る様子が誇らしかった」と賛辞を送った。この日は、在校生の修了式も行った。
同町では臨時休校に係る保護者の準備や、児童・生徒と教員の心情などに配慮し、政府から要請のあった日から3日間の猶予を設けた。
5日から春休みまでを臨時休校とし、小・中学校の始業式は4月8日(水)実施の見込み。
(2020年3月6日付紙面より)
キナンサイクリングが市長表敬 (新宮市 )
新宮市浮島の株式会社キナン(角口賀敏会長)をメインスポンサーに、国際自転車競技連合(UCI)に登録する自転車ロードレースチーム「キナンサイクリングチーム」が4日、市役所を訪れ、田岡実千年市長に今シーズンの活躍を誓うとともに、5月に熊野地方を舞台に開催されるUCI公認国際自転車ロードレース「ツール・ド・熊野」への協力を呼び掛けた。
第22回目を迎える今年の「ツール・ド・熊野」は、5月28日(木)の開会式を皮切りに、▽29日(金)赤木川清流コース▽30日(土)熊野山岳コース▽31日(日)太地半島周回コース―の日程で開催される。国内外から全18チームが参加(3月4日現在)し、当地方を舞台に熱戦を繰り広げる。
この日市役所を訪れたのは山本元喜、山本大喜、椿大志、新城雄大、トマ・ルバ選手の6人。加藤康則ゼネラルマネジャーの選手紹介を受け、田岡市長は「国際レースが新宮の地を中心に開催されることをうれしく思う」とキナンに感謝を示し、選手らに対し「新宮のチームだと思っている。チームのユニホームがかっこよく、走っている姿も頼もしく思っています。優勝目指して頑張って」と激励した。
加藤ゼネラルマネジャーは「自分たちのホームと言えるためにもコースを熟知することは大事」とし、市長訪問後に熊野川町で練習を開始すると報告した。
石田哲也監督は「最大の目標は総合優勝。新宮のステージは大事なポイント。日本人選手の強化を図り、外国人選手との相乗効果を狙っていければ」。
仕上がりについては「現在は最終的な仕上げに入るベースづくり。4月、5月とレースが続く中、コンディションを上げて『ツール・ド・熊野』に挑みたい」と話していた。
(2020年3月5日付紙面より)
池野山で稲荷神社の例祭 (古座川町 )
古座川町池野山で1日、稲荷神社の例祭があった。今年は歳の節目を迎えた17人が式典と併せて営まれる厄よけ祈とうを希望。式典後は餅まきや菓子まきをするなどして地域に大きな活気を誘った。
式典は午前10時から本殿前であり、池野山区の橋本和士区長ら役員代表と共に同祈とうの対象となる本人または代理人とその家族ら約40人が後にまく餅や菓子の一部を神前にささげつつ参列。古座神社の石田保宮司が祝詞を奏上し、橋本区長に続いて本人やその代理人が玉串をささげて祭神への礼を尽くした。
餅まきや菓子まきは池野山集会所横の広場であり、拾う側の区民らは大きなレジ袋いっぱいの餅や菓子を集めて嬉しそうに持ち帰った。
同祈とうを希望した17人中の最高齢者は、26日(木)に満百歳の誕生日を迎える淡佐口三好さん(99)。腹八分を心掛け野菜をしっかりと食べるのが長生きの秘訣(ひけつ)だそうで、「健康で長生きするのはいいこと。今は皆の笑顔を見て過ごすのが何よりの楽しみだ」と話し、区民が次々に笑顔で長寿を祝ってくれるひとときを喜んでいた。
(2020年3月5日付紙面より)
不知火を完熟させた高級ミカン (紀宝町 )
紀宝町井田の石本果樹園(石本慶紀代表)のハウス園地で「不知火(しらぬひ)」を2カ月間、木に実った状態で完熟させる高級ミカン「はるぽん」の収穫が始まった。
不知火は清見とポンカンの交配種。「デコポン」の名で知られるが、石本さんは春に食べられるおいしいミカンとして「はるぽん」と命名した。
13年前から10㌃のハウスで約300本の不知火を栽培。通常、1月末に収穫が終わるが、樹上完熟させることで濃厚な甘さと酸味、新鮮な食感が出るという。これまで春に収穫、出荷するミカンは少なく、3年前から本格的に取り組んできた。
横に伸びる枝と葉の剪定を繰り返して上に伸ばす「垣根仕立て」の方法を用い、甘さや酸味、食感を向上させた。口いっぱいに広がる爽やかさが魅力で、皮も手でむきやすく手軽に食べられることも特徴だという。
「今ではすごい人気。春のミカンをぜひ味わってほしい」と話す石本さん。収穫は4月下旬まで続く。約3㌧を出荷する計画だ。
石本果樹園直売店(電話0735・32・1403)、ウミガメ公園ウェブページ(https://umigamekouen.com)で受け付けている。
(2020年3月5日付紙面より)
川の参詣道で集客狙う (新宮市 )
川の参詣道として世界遺産に登録されている「熊野川」を巡る川舟下りの定期乗合便が始まっている。新型コロナウイルス感染症予防対策で2月29日に予定していた運航開始式は中止となったが、1日には6号艇と7号艇が出船。4日には3号艇が初出船し、イギリス、スイス、オーストラリアからの外国人旅行客4人が乗船。塩やお神酒で船を清める式典に参加し、世界遺産の熊野川を堪能した。
川舟下り事業は平成17年9月にスタート。最も乗客が多かったのは19年度の5670人。紀伊半島大水害で9月から翌年3月末まで休航した23年度が2426人と最も少なく、その後2千人台が続いていたが、26年度3243人、27年度3932人、28年度には4127人と徐々に回復してきている。昨年は3261人が乗船した。
外国人乗客は、集計を開始した平成26年度は512人だったが、27年度は1055人と倍増した。本年度はアメリカ、オーストラリア人が最も多く、イギリス、ドイツと続く。
同センターの職員によると、国内外で猛威を振るうコロナウイルスの影響で3月中の予約が3割ほどキャンセルになっているという。「川舟は不特定多数の方が屋内に密集するような環境ではないが、早く事態が収束してほしい」と話した。
乗船料金は大人4300円、4歳~小学生が2000円で団体割引、貸し切りもある。4歳未満は乗船不可。定期乗合便は12~2月を除き、午前10時からと午後2時30分から運航している。
問い合わせや申し込みは、熊野川町田長の熊野川川舟センター(電話0735・44・0987)まで。
(2020年3月5日付紙面より)
新宮ジュニアレスリングクラブ
新年度案を3月議会に上程 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は2日、堀順一郎町長や幹部職員らが会見を開き、一般会計87億1900万円の令和2年度当初予算案を発表した。前年度より6億8720万円(8・6%)増となった。予算案は9日(月)開会の町議会に上程する。
現・消防本部の老朽化などに伴い、町内の駿田山に建設を予定する消防・防災センターの整備に向けた用地造成工事や同施設建設整備、町立勝浦小学校の第二グラウンドに高台造成を行うための測量設計業務委託、観光地域づくり法人(DMO)体制の推進、ロケット見学場整備基本計画の策定業務委託などに力を入れる。
堀町長は外国人向け情報サイト「ガイジンポット」で2020年に訪れるべき観光地として、同町含む熊野地域が東京を抑えて1位になったこと、「温泉総選挙2019」の歴史・文化部門で南紀勝浦温泉が1位となったことに触れ、「誘客に弾みがつくと考えていたが新型コロナウイルス感染症の終息時期によっては影響は避けられない」と懸念した。
本年度予算については「課題解決に主眼を置いた予算。より安心・安全なまちづくりを推進するため、今後の交通インフラの進捗(しんちょく)や人口の推移を見ながら、3年5年10年先を見据えて事業を実施し、『住んでよかった、住み続けたい、住んでみたい』と言っていただけるよう、事業を推進していく」と述べた。
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町税収入は336万円(0・2%)増の13億9223万円を計上。入湯税の増加と町民税、固定資産税の減少を見込んでいる。歳入の3分の1を占める地方交付税は1億4000万円(4・9%)増の30億円。国県支出金は6092万円(5・4%)増の11億8962万円。借り入れに当たる町債は2億8364万円(26・5%)増の13億5450万円となった。歳入の不足を補う基金繰入金では財政調整基金、減債基金合わせて6億円となった。
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民生費が9117万3000円増の25億9946万円で全体の29・8%を占め、続いて消防費が5億6496万円増の13億9382万円となった。消防費の主な増加要因は消防・防災センター整備に係る用地造成や防災行政無線デジタル化整備工事の費用によるもの。大きく減少したのは教育費で、1億3810万円減となった。中学校給食整備事業に係る費用が減少したことが主な要因。
(2020年3月4日付紙面より)
早大地域連携ワークショップ最終報告 (串本町 )
早稲田大学地域連携ワークショップ(WS)の最終報告会が2月28日に串本町文化センターであり、取り組んだ学生12人が集大成となるワーケーションプランを地域に示すなどした。
同大学教育連携課が地域活性化事業の一環で自治体と連携し展開する同WS。同町との連携は2年目で、今回は「地域活性化策の一環として串本町での3泊4日のワーケーションのプログラムを提案」をテーマに掲げて学生の参加を募り活動を進めてきた。
12人はA、Bの2班に分かれて事前調査に取り組み、そのプログラム案に基づいて2月24~27日に現地フィールドワークを実施した。その集大成を提案するため、地域の関係者らに参加を求めてこの報告会を開くに至った。
提案の主題はA班が「『食』を通じた社員研修」、B班が「親孝行ワーケーション」。事前調査で前提した事項とフィールドワークの概要を示し、それらから導き出したワーケーションプランを発表。学生の活動を支援した役場産業課職員を含め地域からの出席者10人余りが受け止めた。
A班は企業研修を想定した内容で行政と企業の両視点から見た期待効果、B班は社会人の子どもと退職した親を想定した内容で他地域に勝る要素を体感する視点をそれぞれ織り交ぜてアピール。それら内容への質疑応答を経て、同課の枠谷德彦副課長が講評。開会のあいさつをした同大学教務部の大前研二マネジャーが総括をして締めくくった。
(2020年3月4日付紙面より)
各種催し繰り広げる (紀宝町 )
3月3日は「ひなまつり」。桃の節句として古くから伝わる伝統行事で、ひな人形を飾ったり、行事を楽しむ姿が各地で見受けられる。
紀宝町鵜殿の老人憩の家讃寿(さんじゅ)荘で活動する「かわりない会」(牧戸光彦会長)は2日、利用者と世話人約30人がひなまつりの催しを楽しんだ。
新型コロナウイルス対策として全員がマスクを着用し、童謡「うれしいひなまつり」を歌い、お内裏さまとおひなさまのイラストにクレヨンで色を塗った。
塗り絵の最中、「孫やひ孫に見せてあげてね」「髪は今どきの色にしよう」などと会話も弾んだ。昼食時には全員で弁当とデザートの紅白桜餅を食べた。
かわりない会は毎週月曜日に開催しているが、新型コロナの措置として9日(月)から30日(月)まで活動自粛を決めた。牧戸会長は「利用者の皆さんに相談して、休止を決めた。4月以降は状況を見ながら判断したい。毎週、楽しみにしている利用者も多く、『早く再開してほしい』との声もあった」と話していた。
町内の各保育所では3日にひなまつりの集いがあり、鵜殿保育所(福島智子所長、園児93人)では、全園児が教職員によるブラックシアターを鑑賞した。園児の歌に合わせ光るひな人形が登場。ひし餅やサクラとタチバナの飾りも貼り付けた。
(2020年3月4日付紙面より)
丹鶴幼で「ひなまつり会」 (新宮市 )
新宮市立丹鶴幼稚園(下岡容子園長、園児66人)で3日、「ひなまつり会」があった。園児らは歌やクイズなどで楽しいひとときを過ごした。
子どもたちに日本の伝統文化を知り、季節感などを味わってもらおうと毎年開いている。園児は音楽に合わせて手遊びをした後、「うれしいひなまつり」を合唱。クイズでは職員から「誰の祭りですか?」「食べるお菓子は何ですか?」などひな祭りにちなんだ問題が出され、子どもたちは元気よく答えていた。
ひな祭りの由来などを表した「おひなさまになったにんぎょう」の紙芝居もあり、園児たちは物語の世界に夢中で耳を傾けた。
下岡園長は「新型コロナウイルスの対策として、時間を短縮せざるを得なかったですが、子どもたちの楽しそうな姿が見られて良かったです。催しを通して日本に伝わる文化や由来などを少しでも知ってもらえれば」と話していた。
(2020年3月4日付紙面より)
第1回ミラノ酒チャレンジ2019 (尾﨑酒造 )
新宮市船町の尾﨑酒造株式会社(尾﨑征朗社長)の「本醸造太平洋」が、イタリアのミラノで昨年11月に開催された酒品評会「第1回ミラノ酒チャレンジ2019」(イタリア酒ソムリエ協会主催)の本醸造部門で、最高賞であるプラチナ賞を受賞した。
現在、イタリアでは、日本酒をベースにしたカクテルや、イタリア料理と日本酒を合わせるなど、日本酒がイタリア食文化に急速に取り入れられているという。同品評会は、今後イタリアでの日本酒市場のさらなる開拓や、日本国内での販売PRやブランディングにも役立ててほしいとの思いから発足した。
審査員は、同協会認定の酒ソムリエ資格を持つレストランオーナーやシェフ、バーテンダーなど、イタリア在住でイタリアの飲食に強く関わる人を中心に構成。試飲審査とデザイン審査が同時に行われ、本醸造部門や純米大吟醸部門など8部門で味、香り、後味、印象などのポイントが集計された。
品評会後には試飲会も行われ、飲食店・バー経営者や販売業関係者、メディア関係者、ジャーナリスト、一般人など約700人が参加。フードペアリングによる酒の飲み方や、酒ソムリエによる説明などが行われ、熱心に利き酒を楽しむイタリア人の姿が見られたという。
2月7日に東京都港区の東京青山リーデルショールームで開かれた結果報告と受賞酒試飲会に出席した尾﨑社長(76)は「当社の本醸造がイタリア料理に合うと改めて証明された。業界が日本酒に注目していることを感じました」。
同社は熊野地方唯一かつ本州最南端の蔵元。熊野川の伏流水、地元産の米を使用するなど地元「熊野」にこだわった酒造りを続けている。南国・熊野地方の地酒が世界に通用すると再認識したと述べ「昔から地域の恩恵を頂いている。イタリアでの第1回目の品評会で最高賞を頂けたのは非常にありがたいこと」と喜びを語った。
「本醸造太平洋」は、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」で2017年、18年と2年連続の最高金賞を受賞するなど、数々の栄冠に輝いている。
(2020年3月3日付紙面より)
県立木本高校(大森雅彦校長)と紀南高校(森典英校長)で1日、卒業証書授与式があり、計283人が巣立った。例年、在校生が見送っているが、今年は新型コロナウイルスの感染予防のため規模を縮小した。
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木本高校は第72回卒業式を開催し、190人(普通科114、総合学科76)が未来への一歩を踏み出した。新型コロナウイルスの影響もあって、在校生や来賓の出席がない式典となったが、保護者と教職員たちは前途ある旅立ちを心から祝福した。
卒業証書を授与後、大森校長は「自分に何が求められ、何ができるかを考えて言動を。木高の卒業生としての誇りを胸に、感謝と思いやりを忘れず自分らしい人生を」と式辞を述べた。在校生を代表して速水唯斗君が、「高校での経験や仲間たちとの思い出は、先輩たちを育んでくれたと信じています。私たちも建学の精神に磨きをかけ、本校をさらに発展させます」と力強く約束した。
答辞は硎屋孝也君が読み上げた。友と一緒に学んだ高校生活を振り返りながら、「短い期間でもできることはたくさんあり、新しいこと、やりたいことが見えてくる。悔いのないように」と後輩を激励し、「さまざまな困難に出会ったときは、木高で培った力を信じて前に進みたい」と誓って母校に別れを告げた。
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紀南高校は、同校体育館で卒業式を挙行。卒業生93人(男子54、女子39)は夢や目標を胸に、3年間を過ごした学びやに別れを告げた。
保護者と生徒会長の平山歩夢君(2年)、旗手を務めた平瀬博翔君(2年)、来賓の藤根正典県議、大畑覚御浜町長、西田健紀宝町長らと教職員が拍手で卒業生を迎えた。国歌、校歌の演奏に続き、森校長が卒業証書を授与し、各クラスを代表して平山瑠夏さん、上西琴さん、島田慎平君が受け取った。
式辞を述べた森校長は「多くの方々に感謝の気持ちを持ち、自分自身の幸せを求めて豊かな人生を送ってほしい」とエールを送った。
皆勤賞9人を表彰し、在校生を代表して平山君が「紀南高校で学んだことを礎にご活躍ください」と送辞を述べた。卒業生を代表して西美咲さんが答辞を読み上げ、「毎日の心の支えになってくれたクラスメートへ。あなたたちと高校生活を過ごすことができて、私はとても幸せでした」と振り返り、涙を浮かべながら家族、教職員に感謝の気持ちを伝えた。
(2020年3月3日付紙面より)
那智勝浦町で地域猫対策セミナー (和歌山県 )
和歌山県は2月29日、那智勝浦町福祉健康センターで「地域猫対策セミナー」を開いた。NPO法人ワンニャン会理事長の中本宣子さんが「地域猫対策の進め方」を演題に講話。野良猫に困っている人や自治会、今後地域猫対策を考えている人など約20人が聴講し、不幸な猫を増やさないための取り組みなどを学んだ。
同法人は1996年に活動を開始。県内において不幸な動物を減らし、人と動物との絆の重要性を社会に発信、行動し、動物を通じて思いやりのある地域社会づくりに尽力している。
中本さんは地域猫対策を行うに当たり、必要な心構えやポイントなどを紹介。「野良猫問題は地域の問題として、住民、ボランティア、行政の三者協同で進めることが重要」などと述べた。
対策を進めるポイントとして▽地域の人々に積極的にあいさつを行う▽現場に足を運び、できれば地域の人々に猫に関して困っていることがないかなど声掛けをする―を挙げた。「猫も命あるもの」「猫が毒殺された」「あの人は猫が嫌い」など、ボランティアを行う上での禁句についても言及した。
野良猫からの被害軽減対策や猫トイレの作り方なども紹介。「野良猫問題」に関して「餌をあげる人が悪い、我慢できない人が悪い、行政が悪いと誰かを責めても解決しない。できることをできる人から始めましょう」と呼び掛けた。
講演に先立ち、県食品・生活衛生課の担当者が、県が取り組む「不幸な猫をなくすプロジェクト」の進捗(しんちょく)状況などについて説明した。
保健所や動物愛護センターに収容される犬の数は年々大幅に減少しているが、猫に関してはほぼ横ばいとなっている。そういった現状を受け、県では野良猫による生活環境への被害を減らし、殺処分される猫をなくすための取り組みを進めている。「地域猫対策」は猫を排除するのではなく、今いる野良猫と上手に付き合いながら数と被害を減らしていく方法として考案された。
担当者は地域猫対策の成果について、取り組み前の2015年度から18年度までの各指標の推移を報告。殺処分数は2478匹から30%減の1753匹、苦情数は1752件から25%減の1311件などと説明した。収容数や死体回収数も共に減少しているとした。
(2020年3月3日付紙面より)
古座川町観光協会(須川陽介会長)の帯企画「古座川桜フェア」が1日から始まった。この日は町民約30人の協力を得てクマノザクラのタイプ木から得た実生苗3本を池野山公園に植え、同協会の思いを伝えるなどした。
このフェアは、同町が誇るクマノザクラや七川ダム湖畔を彩るソメイヨシノの開花を広く町内外に宣伝するのが目的。本年度は新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため規模を縮小しているが、今回の植樹には同協会の特別な思い入れがあり実施する選択をした。
この日植樹したのはオープニングイベント用の1本と、高池小6年生卒業記念植樹用の2本。同町洞尾在住の樹木医・矢倉寛之さんが2年生で樹高約80㌢まで育った実生苗を提供し、町民として参加した同6年生11人が男女に分かれて各1本、西前啓市町長や池野山区の橋本和士区長ら他の町民が1本を植えた。
矢倉さんは植樹先が造成地で将来的に何らかの課題が出るかもしれないとし、それも含めて見守り育てるよう呼び掛け。森武志副会長は「本物のクマノザクラを少しずつでも増やしたい。いろいろと課題もあるだろうが、そのように未来に向かっていきたい」と述べて締めくくった。
今回の植樹について須川会長は「クマノザクラが注目される一方で、失われつつある植物や祭事もあるのが今の古座川町の状況。だからこそ本協会は受け継ぐ自然や文化を未来へつなげるという思いの象徴として、この植樹だけは今しておきたかった」とコメント。
周囲にあるシダレザクラは交雑防止のため、同協会の責任において今後他所へ移植する方向で植樹者の了解を得ているという。
(2020年3月3日付紙面より)
新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、2日(月)の卒業式を中止にした県立新宮高校(前田成穂校長)と新翔高校(東啓史校長)は2月28日、3年生に卒業証書を授与した。27日に県教育委員会から卒業式中止の通達を受けて、急きょ予行演習日に実施した。
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新宮高校は3年生197人(男子80、女子117)が出席。各クラスを代表して髙岡麗さん、尾鷲丈君、東口紀之君、久司侑佳さん、久保慎之介君が卒業証書を受け取った。
前田校長は「入学以来、多くの仲間と共に心の底から喜び合ったこと、涙を流して悔しがったことなど、さまざまなことを体験しながら成長してきました。皆さんの軌跡に心から敬意と賛辞を送ります」と式辞を述べ、新たな門出に際し「力必達」「豊かな共生社会を創造する」の二つの言葉を贈った。
3年生を代表して竹内裕賀さんが答辞を読み上げた。「令和最初の卒業生として、私たちがこれから新たな時代をつくっていかなければなりません。新宮高校で互いに高め合ったことを忘れず、誇らしく進もう」と高らかに告げ、感謝の気持ちを伝えて母校・新宮高校の発展を祈念した。
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新翔高校では147人(男子72、女子75)と在校生が出席した。東校長は失敗を恐れず、さまざまなことに挑戦してほしいと呼び掛け、「失敗はマイナスなことと捉えがちだが、発想を転換すれば価値を生み出して新たな意味を持つことがある。世界の熊野にある、この高校で学んだ誇りを胸に、新たな目標に向かって頑張ってください」とエールを送った。
校歌斉唱後、各クラスの代表生徒が卒業証書を受け取った。皆勤・精勤や和歌山県知事、全国総合学科高等学校長協会優秀者、県産業教育振興会会長などの各賞の表彰も行われた。
(2020年3月1日付紙面より)
下里小6年生の12人が (指導室学習会 )
東牟婁地方教育委員会連絡協議会は2月27日、那智勝浦町教育センターで「第7回指導室学習会(ふるさと学習編)」を開いた。東牟婁郡内の教職員、教育委員ら約20人を前に町立下里小学校の6年生12人が10カ月にわたるウミガメ保護活動を発表した。
15日に東京大学で開催された「第7回海洋教育サミット」で活動を発表する予定だったが、直前で断念したことから、学習会で紹介する運びとなった。
同小は海岸線に面し、漁港、海水浴場、磯場、ウミガメが産卵する浜辺が近くにあり、20年ほど前から玉の浦リップルズクラブの協力を得て保護活動を続けている。児童たちは「黒潮の海をフィールドに~小さな生命が大海原へいく~」をテーマに全員で発表し、「ウミガメの保護と飼育、海の学習を下級生に引き継いでいくことが大切だと感じた」などと伝えた。
2018年4月にウミガメ事前学習で保護活動や環境保全を学び、5月には全校児童で下里大浜の清掃活動に取り組んだ。6月にふ化場で砂の入れ替え作業をし、7月2日に産卵があったアカウミガメの卵をふ化場に移した。8月24日に76匹がふ化し、9月上旬に70匹を放流した。
10月から6匹のアカウミガメを飼育し、児童たちは「カメが元気に泳ぐとうれしくなった」「貴重な経験ができた」と語った。
ふ化してから10カ月後の19年6月に放流し「今まで育ててきたので寂しかったけど、大人になったら帰ってきてほしいと思った」と振り返り、「これからも地域の人たちと一緒に身近な環境を守っていきたい」と述べた。
発表を聞いた東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センターの川上真哉・特任研究員は「皆さんの訴えが大人の心に響いていく。歴史がある取り組みは磨くことで素晴らしい伝統になる。ぜひ下級生に伝えていってほしい」と話し掛けた。
この後、学習会で「那智勝浦町ふるさと読本」について作成の意図や活用方法、今後の展望などを共有した。ふるさと読本は小中学校の教諭が各地域を取材して作成したもので、小中学校の社会科や総合的な学習で活用する。また、情報をデジタル化して随時、更新するという。
(2020年3月1日付紙面より)
三重大東紀州サテライトが協力 (うどの幼稚園 )
紀宝町立うどの幼稚園(岩本小百合園長、園児32人)で2月25日、「プログラミング教室」があった。園児たちはタブレットを操作し、夢中でキャラクターを動かして遊んだ。
プログラミングとは、コンピューターに人間の意思に沿った動きを指示するプログラムを作成することで、2020年度から小学校での必修化が決まっている。
同幼稚園では、プログラミングに親しもうと昨年度から教室を開いている。教育活動支援の一環として、三重大学東紀州サテライトの大野恵理准教授らが指導した。
昨年11月に続く2回目の教室で、園児が2グループに分かれて、1人1台のタブレットを使ってアプリケーションソフト「スクラッチジュニア」で学習した。
基本操作を教わった園児たちは、画面に登場した男の子や女の子がサッカーボールを蹴るようコンピューターに指示した。ボールを蹴る前は「今からボールを蹴ります」、ゴールが決まると「おめでとう」「やったぜ」などの音声も録音した。
シュートが決まり、自分の声が流れると「やったー。できた」と喜んだ。同サテライト東紀州教育学舎特任教授の榎本和能さんは「前回よりランクアップしたプログラムで、子どもたちは集中して取り組んでくれた。考えながらプログラミングできたと思う」と話していた。
(2020年3月1日付紙面より)