神倉神社で紀元祭 (新宮市 )
「建国記念の日」の11日、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社、神倉神社で「紀元祭」が営まれた。同大社役員や神倉神社奉賛会役員ら約20人が参列し、国の繁栄などを祈った。
2月11日は1872(明治5)年に、初代天皇とされる神武天皇が即位した日として「紀元節」となっていたが、第2次世界大戦後に廃止され、1966(昭和41)年の祝日法改正で「建国記念の日」として復活した。
この日の神事では、上野宮司の祝詞奏上に続いて、巫女(みこ)が「浦安の舞」を奉納、続いて鈴払いの儀。杉本義和・同大社崇敬会長、濱口太史県議、猪飼三雄・神倉神社奉賛会長ら参列者たちが神前に玉串を供え、「雲にそびゆる高千穂の」で始まる唱歌「紀元節」を斉唱した。
同神社には皇室の祖神・天照大神(あまてらすおおみかみ)と建国の功臣・高倉下命(たかくらじのみこと)が祭られている。「神武天皇紀」(日本書紀)には、紀元前3年6月に狭野(さの=佐野)を越えて「熊野神邑(くまのみわのむら、新宮の古称)に到り、旦(すなわち)天磐盾(あめのいわたて)に登りて」と記されており、この天磐盾が神倉山といわれている。同神社には90(平成2)年に、紀元2650年を奉祝し、神倉神社奉賛会が奉献した顕彰碑が建立されている。
神事を終え、上野宮司が今年は日本書紀編さんから1300年、皇紀では2680年の年であると述べ「科学技術などが最先端の時代に生まれ、流れの中で自分を見失うときもある。そんな中で節目を大事にするのが日本人の精神では」。
日本人として日本人を自覚する日としたいと話し「この国を立派にするために玉串を供え、この日を祝いたい」と呼び掛けた。
(2020年2月13日付紙面より)
活動報告会で米田惠美さんが講演 (新宮市魅力発信女子部 )
新宮市魅力発信女子部は11日、大橋通の新宮信用金庫本店で活動報告会を実施した。約60人が参加する中、同女子部による活動プレゼンテーションのほか、公認会計士で(公社)日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)理事の米田惠美さんの基調講演や、米田さんと同女子部サポーターでissue+designの小菅隆太さんとのトークセッションなどがあった。
同女子部は2015年より活動を開始。市内在住、在勤の女性と市職員が中心となり、豊かな観光資源など市の魅力を発信すべくワークショップの開催やウェブサイト「新宮人」の制作、地元事業者や団体などと連携して魅力発信のためのイベントやガイドツアーなどを企画し実施している。
報告会開催に当たり、市商工観光課の勢古口千賀子課長があいさつ。市の歴史や文化、同女子部設立の経緯などについて紹介し「これからも地域の皆さんと一緒に地域の活性化と新宮市の魅力発信のために頑張っていきたい」。小菅さんがサポーターとして市と関わってきた5年間を振り返り、「SDGs de 地方創生」公認ファシリテーターとしての立場からのJリーグとの関係性などについて説明した。
基調講演では米田さんが「ものがたりの先にあるもの」を題目に話した。米田さんは「なぜ女性が働きにくい世の中なのか。お金の流れが分かれば世の中の仕組みが分かるのでは」と会計士を目指した経緯を説明した。
監査法人勤務を経て「会計や戦略では物事は解決できない」と2013年に独立。人材開発、組織開発の会社を設立し、さらには保育士資格を取得し在宅診療所を立ち上げた。米田さんは「実験を繰り返しいろいろな学びを深めることができた」と述べ、現在は「世の中をより良いものへと願う人たちを増やし、その人たちが一歩前へ踏み出すことができる世の中をつくることに個人的に使命感を感じている」。
米田さんはJリーグフェローを経て18年より理事として社会連携(シャレン)や組織開発の分野を担っている。社会課題や教育、まちづくり、世代間交流などの共通のテーマに対し、地域住民や企業、団体、自治体、学校などとJリーグが連携して取り組む「Jリーグをつかおう!」プロジェクトについて「誰もが誰かを応援するために一歩踏み出すことができる装置をどうしたらつくれるだろうと思ってつくったのが同プロジェクト」と説明。Jリーグ理念や100年構想などについても紹介した。
会計士の立場からは、今後はパブリックセクター(公的機関)や医療の領域における情報の非対称性について研究を進めたいとし「財務には限界がある。非財務の価値の方が大きいと思う。数字だけで測れないものをどう表現するかに挑戦していきたい」。
学校生活や過去の人間関係などを振り返り「自分の人生は誰のものでもない。答えのない世界だからこそ問いを立てて信じた道を進んで。一度きりの人生を全力で」と呼び掛けた。
(2020年2月13日付紙面より)
石黒秀喜さんが講演 (まなびの郷 )
紀宝町生涯学習センターまなびの郷で10日、老い支度クリエーターの石黒秀喜さんによる「老い支度講座~上手に老いるために~」があった。62人が参加し、自らの老いや将来と向き合った。
紀南医師会、町地域包括支援センター共催。石黒さんは厚生労働省で介護保険制度などの運営を担当し、退職後は一般財団法人長寿社会開発センターで地域包括支援センターの職員研修に携わる。義母の認知症や義父のがん緩和病棟死に接したことから自らの老い支度を考えるようになった。
講演で石黒さんは長生きリスクとして▽持病の悪化▽役割喪失▽気力体力の低下▽下肢機能の低下▽認知機能の低下―を挙げた。老・病・死には亡くなる直前まで元気なケースと、要支援・要介護状態が長く続くケースがあると紹介。リスクの軽減策として社会性の維持が特に重要と話した。
「皆さんは長生きする。長生きすれば皆認知症になるかもしれない」と述べ「認知症の人は持って生まれた性格、これまでの人生で経験してきたこと、新しい情報、周囲を取り巻く人間関係などから、その人なりの状況認識をしている。間違いの指摘や命令でプライドを傷つけるのではなく、その人の思いを推定して『意思決定支援』をするという考え方が基本。エンディングノートに自分の人生や価値観、性格、誇りに思うことなどを記しておくと、『介護され上手』になれる」と締めくくった。
(2020年2月13日付紙面より)
「星に語りて」上映会 (那智勝浦町 )
和歌山県共同作業所連絡会は8日、那智勝浦町体育文化会館で東日本大震災後の障害者と支援者の物語を描いた映画「星に語りて~Starry Sky~」を上映した。昼と夜の部の2回で昼の部には約200人が訪れ、涙を流す来場者の姿も多く見られた。
同会が所属する「きょうされん」は1977年に障害者の願いをもとに16カ所の共同作業所により結成された。障害者が暮らしやすいシステムづくりなどのために活動し、現在では約1870カ所の障害者事業所が加盟している。
これまで4回の映画製作、上映活動を続けている「きょうされん」の40周年記念事業として今回の映画が制作されたという。
田中洋平・県共同作業所連絡会第5ブロック(新宮・東牟婁)長が「何かを感じていただける映画となっている。ぜひ最後まで鑑賞いただけましたら」とあいさつした。
映画は2011年3月に甚大な被害があった東日本大震災の被災地である岩手県陸前高田市と福島県南相馬市が舞台。同震災による死者・行方不明者が1万8000人を超える中、障害者の死亡率が全住民の2倍だったことが知られていない現状を踏まえ、当時の証言者たちへの取材に基づいて実情を描き出した群像劇。俳優陣に加え、障害当事者も出演している。
来場者は当時の障害者が直面する状況と、支援者の懸命な活動などが表現された人間味あふれるドラマに真剣な表情で見入っていた。
上映後、同ブロック事務局で、新宮・東牟婁障害者施設連絡協議会長を務める平澤学さんが「ルールを尊重し、存在を認め合える社会を構築し、皆さんがこの地域で生活できればうれしい。有事の際などにも支え合うことができるはず。そのためにもこの映画を届けたかった」と締めくくった。
なお、映画は4月18日(土)午後2時から串本町文化センターでも上映される。チケットは一般が1000円、中高生は800円、障害児者と子どもは500円。当日券はそれぞれ200円増しとなる。スポーツギア・アダチ、三由米穀店、山文和歌山串本SS、ファミリーマート串本町桟橋店、ワークショップゆう、いなほ作業所、エコ工房四季、通園くじらで販売している。
(2020年2月13日付紙面より)