新宮市の神倉神社で6日夜に営まれる「御燈祭り」に向け、上がり子有志16人が同日早朝、市内の王子ヶ浜で古式にのっとった「海中みそぎ」に臨んだ。水平線から上る朝日に向かって一心に祈り、心身を清めた。
早朝の海中みそぎは同市下本町の自営業、水野晴夫さん(67)らが中心になって始め今年で9年目になる。同日正午ごろにも行われている。
薄暗い空の下、白ふんどしに着替えた上がり子たちは、砂利浜に設けられた祭壇を前に神倉神社に向かって遥拝(ようはい)。準備運動を兼ねた神事「鳥船(とりふね)」の後、海に入り、神職の福井鉄(まかね)さん(58)の祝詞の下、朝日に向かって手を合わせた。
上がり子たちは海中みそぎの後、塩むすび、豆腐、白かまぼこなど白いものを食べ、白装束に着替えて熊野速玉大社、阿須賀神社、妙心寺の三社を巡り、神倉神社へ向かった。
海中みそぎを終え、水野さんは「今年は風がなく、去年よりは暖かかったです。本当に気持ち良いですね。やった人じゃないと分からないと思います。すがすがしさが寒さに勝ります」。
東京都から参加した石井賢治さん(35)=飲食業=は「新宮出身のお客さまと出会ったのがきっかけで、祭りには6年前から参加しています。朝の海中みそぎは初めてでしたが、清められました。海に入るまでは寒かったですが、海の中は暖かかったです。夜に向けて気合が入りました」と話していた。
(2018年2月7日付紙面より)
税務署に誘導看板設置 (新宮市 )
新宮市伊佐田町の新宮税務署(堀井明署長)に津波一時避難場所と海抜を示す看板が設置されている=写真。地域住民からも好評で堀井署長は「市のハザードマップでは、ここは海面から約6・1㍍あり、安全といわれています。しかし災害時には想定外のことが起こる。安全は絶対ではないので少しでも高い所へ案内する方がいいと設置した」と語った。
地域貢献の一環として署内で検討し、協力団体である新宮納税協会、模範法人新優会の賛同を得て設置した。職員の防災意識の向上を図る狙いもある。看板は税務署周辺の海抜を示すものと、最寄りの津波一時避難場所である天理教南海大教会駐車場、丹鶴城公園鐘ノ丸広場の海抜と距離を示すものの2種類。庁舎壁面と道路に面したフェンスの2カ所に掲げている。
近隣住民からは「ありがたい」「災害が発生した際は忘れてしまうので、看板はあったほうがいい」などの声もあり「喜んでもらえている様子だ」と職員は話す。
堀井署長は「昨年9月に警察と消防、市役所防災課を招き、災害発生時の初動が大切だと教わりました。職員にできることは限られていますが、庁舎に来た人を安全に誘導する必要があります。税務署も公共的機関で、新宮、東牟婁の管轄地域の納税者が税務署においでになる。遠方からでは地理的なことを知らない人もいるかもしれないので、災害発生時には近くの避難場所を表示し、地域の人の安全を図ることが大切かと考えました」と話していた。
(2018年2月7日付紙面より)
教科書つくる会主催ツアー (串本町 )
一般社団法人新しい歴史教科書をつくる会主催ツアー「串本町・エルトゥールル号歴史探索ツアー」が4、5日の2日間にわたって串本町であり、約50人が日本とトルコの友好発祥地や宿る思いにじかに触れて、史実を知り伝えるための素地を強めるなどした。
同会は平成13年、日本の教科書では初となるエ号遭難救助の史実記載を提案した団体。このツアーは理事であり女性部共同代表のノンフィクション作家・河添恵子さんの強い思いを軸にして催行され、初日は講演会など、2日目は現地見学といった流れで進められた。
講演会は和歌山東漁業協同組合串本本所の集会室であり、協力者の和歌山市議会有志ら一行も参加。来賓として駐日トルコ共和国大使館職員4人も同席する中で始まった。序盤は河添さんの基調講演で、テーマは「真実の歴史から分かる日本人の美しい心」。▽真実の歴史を記録し記憶する▽歴史にきずなと呼べる価値感がある▽教育的、文化的つながりがある―といった点でトルコこそ日本と相性がいいとし、その背景にある考え方を独自の視点で語り託した。
中盤以降はシンポジウムで、田嶋勝正町長、エ号海底遺品発掘調査団長のトゥファン・トゥランルさん、同調査に同行した水中カメラマンの赤木正和さんが河添さんと共に登壇した。トゥランルさんは調査の発端と経過を説明し、「128年前の友好をさらに深めることが私のミッションだ」と主張。田嶋町長は無量寺で見つかった文書から始まった日ト合作映画『海難1890』制作の経緯を語り、この作品をツールとしながら今後も先人が垣間見せた心意気を世に伝えたいとした。
赤木さんは同調査に関わった一人として発掘の状況や印象などを紹介し、「これら遺品の保存により、両国の友好はさらに広がると思う」と期待を掲げた。インタビュワーを務めた河添さんは「エ号の歴史は今も未来志向で続いている」と総括し、3人の思いはその一端だと位置付けた。
2日目は同町地域おこし協力隊として活動するトルコ人女性アイシェギュル・アルカンさんの案内でトルコ記念館や殉難将士慰霊碑、樫野埼灯台や日米修交記念館などを見学。同調査の保存拠点・エルトゥールルリサーチセンターへも立ち寄り、トゥランルさんや妻のベルダ・リエドさん、同センター管理者の枠谷かおりさんから改めて思いを聞き、保存処理中の遺品や作業の様子を見学するなどした。
(2018年2月7日付紙面より)
神事で供える特殊な餅 (御燈祭り )
新宮市の熊野速玉大社双鶴殿で6日午前、夜の御燈祭りで神倉神社神殿に供える特殊な餅「かがり御供(ごく)」作りがあった。祭りで介釈(かいしゃく)を務める神倉青年団員たちが、祭りで使用するヒノキの介釈棒で回りながらついた。
中山忠吏団長(48)をはじめとする団員たちと上野顯宮司(65)、猪飼三雄・神倉神社奉賛会会長(75)ら約15人が参加。ふかしたもち米を石臼の中に入れ、6升分ついた。出来上がった餅は、細長く伸ばしてはさみで約3㌢の正方形に切り、3枚合わせてからワラひもで十文字に縛り、上がり子たちが胴に巻く荒縄と同じ男結びにした。
中山団長は「今日は天気にも恵まれ良かったです。大たいまつの御神火を無事に上がり子に分け、ケガのないよう一生懸命、任務を務めたい」。
今月1日から6日間、毎朝みそぎを行い満願でこの日を迎えた上野宮司は「10月から始まった祭りは今日で一つの締めくくり。やっとこの日を迎えることができました。上がり子の皆さんには、下る速さを競い合ったりせず、飲酒やケンカを慎み、神妙な気持ちで喜びの火を迎えてもらいたい」と話していた。
(2018年2月7日付紙面より)
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