森崇さん大差で初当選 (那智勝浦町長選 )
任期満了(2018年1月16日)に伴う那智勝浦町長選が24日投開票され、新人で前町教育長の森崇さん(67)=無所属=が現職の寺本眞一さん(64)=無所属=を破り、初当選した。森さんは5997票を獲得し、寺本さんの3240票に2757票差をつけての勝利だった。森さんは祝福に駆け付けた大勢の支持者たちを前に感謝を述べ、「これからが本番。那智勝浦町を良くするため頑張っていきたい」と意気込みを語った。
前町教育長と現職の一騎打ちとなった選挙戦は役場改革や町財政、観光の活性化などを争点に激しい選挙戦を展開してきた。
開票所の同町体育文化会館では同日午後8時から作業が始まった。日暮れから荒れ模様の天気が続く中、森陣営の事務所には結果を待つ多くの支持者が集まった。午後9時5分に確定した得票数が発表され、拍手と歓声が沸き起こった。
森さんは集まった支持者を前に「皆さん、圧勝です。ありがとうございました。おかげさまで町民の皆さんの理解を得まして、このようにたくさんの票をいただきました」と感謝を伝えた。「今の町政が、パイプが詰まっている、交通渋滞を起こしているということで立候補しました。よそ者であるとの攻撃も受けましたが、那智勝浦町を元気に明るくできる人はどっちなんだということを訴えてきました」と選挙戦を振り返り、「当選したこと、本当にうれしいです。しかしここからが本番。ちょっとやそっとで解決できない難問もたくさんあります。大いに考え、大いに話し合い、大いに行動する。那智勝浦町を良くするために頑張っていきたいと思います」と決意を述べた。
笠松昭紀後援会長は「心からお礼申し上げます。明るい、風通しのいい、活気のある那智勝浦町が出来上がると思います。本当にありがとうございました」とあいさつした。
湊谷幸三選対本部長は「皆さん方のおかげで大方6000票いただきました。森さんがお伝えしてきたことが町民の皆さんの心に響いたことと思います。これから町長として手腕を発揮していく森さんに、温かいご支援をお願いします」と話した。
妻の芳子さん(66)は何度も頭を下げ、森さんとともに花束贈呈を受けた。神奈川県横浜市から駆け付けた長女の中村はるかさん(36)、孫の知樹君(5)、峻君(3)が手渡した。芳子さんは「うれしいです。皆さんにご尽力いただいて。事務所の中に居て、一緒に働けることが幸せでした」と喜びを語った。
(2017年12月26日付紙面より)
小口おもしろプレイランド (新宮市 )
小口文化振興会議は23日、新宮市熊野川町上長井の小口自然の家広場で「第27回小口おもしろプレイランド」を開催した。イルミネーションで飾った高さ約50㍍の巨大ツリーの下、歌や踊りで盛り上がった。
小口地域を活性化しようと地元住民たちが手作りで毎年開催しているイベント。特設ステージでは熊野川小学校音楽隊や地元のダンスチームがにぎやかにパフォーマンスを披露。特別ゲスト・ウインズ平阪さんのライブの後、サンタクロースが登場し子どもたちにプレゼントを配った。
会場ではシシ鍋、アユの塩焼き、クレープなどの出店もあり、行列になっていた。約2万球の電飾を取り付けている巨大ツリーは来年1月15日(月)まで点灯させる。時間は午後5時から9時まで。
(2017年12月26日付紙面より)
新宮紀宝道路起工式に300人
一般国道42号新宮紀宝道路起工式が23日、新宮市王子町の市立総合体育館であった。和歌山、三重両県の首長や議員ら約300人が出席し、鍬(くわ)入れ式や万歳三唱で道路の一日も早い完成を祈った。
新宮紀宝道路は新宮市あけぼの―紀宝町神内間の熊野川河口大橋を含む2・4㌔の自動車専用道路。2013年度に事業化、15年度に事業着手。防災、医療、地域活性化などの面での活躍が期待されている。国交省はあけぼのに設置する「新宮北インター(仮称)」の工事に来月から着手する予定。用地買収率は17%で、完成時期は未定となっている。事業費は約210億円。
式典で国交省の石川雄一道路局長は「皆さま方の協力をいただき地域の期待に応えられるよう、道路の早期完成を目指して事業を推進していきます」と式辞。仁坂吉伸和歌山県知事は「この道路がいつ完成するかによって、この地域の発展に著しく影響が出てくると思います」。鈴木英敬三重県知事は「三重県側でも工事着手してもらえるよう地元の皆さんと一緒にしっかり頑張ってまいりたい」とあいさつした。
来賓の二階俊博自民党幹事長は「ようやくここまできました。あとはみんなで早期完成に向け頑張っていこうではありませんか」。足立敏之参議院議員は「まだまだスタートライン。これから皆さんと力を結集して一歩一歩着実に工事を進めていく必要があります」と祝辞を述べた。
田岡実千年市長は「一日も早い完成に向け、新宮市、紀宝町一体となって頑張ってまいりたい」。西田健紀宝町長は「この道路はまさに命の道。100年に一度の大事業」と協力を呼び掛けた。
式典は国土交通省近畿地方整備局、和歌山県、三重県、新宮市、紀宝町が主催した。式典前には熊野水軍太鼓と鯨踊りが披露された。地元のゆるキャラたちが登場したほか、式典後には餅まきもあった。
(2017年12月26日付紙面より)
第31回中学校体力づくりコン
第31回中学校体力づくりコンテストの受賞校がこのほど発表され、串本町立串本中学校(岡田正伸校長、生徒149人)と古座川町立明神中学校(中島良範校長、生徒14人)の取り組みが努力賞に選ばれた。
このコンテストは毎日新聞社が主催、文部科学省が後援する全国規模の奨励企画。同省が実施する新・体力テスト(体力・運動能力調査)の成果向上の一助として実施していて、今回は全国約1万1000校のうち4166校が応募した。
主催者は各校の実践報告を審査し、文部科学大臣表彰をはじめとする各上位賞7校、優秀賞9校、優良賞27校、次いで努力賞は133校を選出。県内からは田辺市立上秋津中学校を含めた3校が努力賞に選ばれた。
串本中の取り組みは特殊で、生徒自身のモチベーションの高さを長所としてとらえ何事にも一生懸命に取り組む雰囲気を教職員が一致団結して支持している。その一端で体力づくりの要であるクラブ活動が活発化し、その勢いは2大行事の体育祭や合唱コンクールに対する姿勢にも大きく発揮されているところだ。
「体育と文化の違いはあるが、根っこの部分は一緒。現実本校のクラブ活動は厳しい面もあるが、生徒も全体として手を抜きたくないという思いが強いことでうまく回っている」と岡田校長は当代生徒を分析。当然生徒の間には温度差があり、全体が高まればついていくのが大変になる生徒も出てくる。ここを教職員がフォローし仲間の雰囲気が引っ張り上げる、という好循環が大きな力になっているという。
受賞報告は22日の終業式内であり、岡田校長は教職員の中でも特に生徒のムードメーカー的存在になっている熊代多賀志教諭に表彰状を伝達し「皆さんがコツコツと積み重ねている一生懸命がこうして評価された」と伝えて日頃の努力をたたえた。
明神中の体力づくりの取り組みは平成25年度から始まった。発起人は当時明神中の校長を務めていた岡田校長。生徒の新・体力テストの成績を高めようと考えて教職員の共通理解を図り、活動を立ち上げた。
生徒は定期テスト前を除く毎日(月~金曜日)のクラブ活動前に20分、ランニングやサーキットトレーニング、ストレッチ運動や筋力トレーニング、体づくり運動などを実践。現在の中島校長も取り組みを継承し、5年来の取り組みとして歴代生徒に受け継がれている。
メニューの一端にはヒップホップ系のダンスもあり、過日明神小と合同で開いた学習発表会の終盤で披露し当代生徒のエネルギッシュな姿を地域に示したところでもある。
受賞報告は22日の終業式の中であり、中島校長は生徒会の栗林享志会長(2年)に表彰状を伝達して5年目の初評価を喜んだ。栗林会長は「日頃の行いは評価されるんだなと思い、うれしかったし励みにもなった。今後も体力づくりに頑張りたいし、生徒会長なのでそのような思いでみんなを引っ張っていきたい」と話した。
(2017年12月26日付紙面より)
第12回和歌山県中学校空手道新人大会
社協と民児協が高齢者訪問 (新宮市 )
新宮市民生委員児童委員協議会と市社会福祉協議会(向井一雄会長)は15日、「高齢者激励訪問事業」を実施した。委員ら約90人が市内の対象者374人を訪問し、記念品を手渡した。
対象者は75歳以上で近くに身内がいない一人暮らし高齢者と65歳以上の寝たきりの人で、年齢の基準日は12月1日。民生委員らが一人暮らしをしている市民の家を回る一斉調査を実施して把握した。対象者の孤独感の解消や介護者への支援を図るとともに実態を把握し、地域の見守り活動や介護者の支援など小地域のネットワークの構築を目的としている。
同市相筋の芝﨑とみ子さん(94)宅へは向井会長と丹鶴地区民生委員児童委員協議会の草加成子さんらが訪問した。元保育園長の芝﨑さんは「おかげさまで地域や近所の人に支えられ毎日楽しく暮らさせてもらっています。ありがとうございます」と話した。
自分で買い物に行き、家事なども行うという言葉を受け、向井会長は「とても生き生きとしており、感心します。同じくらいの年の人にも励みになることでしょう。立派だと思います」。草加さんは「お元気な方とお会いでき、自分も元気でいなければと励まされる思いです」と話していた。
(2017年12月17日付紙面より)
那智勝浦町宇久井にある医療法人北斗大洋会の介護老人保健施設ルピナスに15日、結成33年を迎えた勝浦グリーンコーラス(大林幸子代表・27人)の会員18人が、そろいの衣装で慰問した。通所リハビリの利用者、職員ら約30人が美しい歌声に聞き入った。
大林代表は「皆さんのにこやかで明るいお顔を見て、居心地の良い施設なのだなと思いました。今日はお会いできてうれしいです」と感謝した。山縣弘明さんの指揮の下、青い山脈、もみじ、ふるさとなど数曲を披露。利用者らも参加し、懐かしの曲を歌い、同グループが得意とするふるさと賛歌の中の曲、那智賛歌では「美しい那智」のフレーズをメンバーと練習するなど楽しんでいた。
この後21日(木)は、くろしお会、23日(土・祝)はマンドリンアンサンブル・トレモロが慰問を予定している。
(2017年12月17日付紙面より)
宇久井ビジターで麦踏み
那智勝浦町立宇久井小学校(山本健策校長)の3年生児童21人が14日、同町の宇久井ビジターセンターで麦踏みと花炭焼きを体験した。
同校では宇久井半島でかつて行われていた麦栽培を、種まきから収穫まで体験することで次世代に伝える授業を実践している。11月10日に園地内の畑に種をまき、約15㌢に成長した苗を丁寧に踏み固めた。
作業には「宇久井海と森の自然塾協議会」のスタッフ9人が指導。泉紀二スタッフ長は「踏めば踏むほど、苗に粘りも出て倒れにくく、株の本数も増える」と説明した。
成長した麦は5月下旬に刈り入れし、主に麦茶として児童の喉を潤す。参加した前川直輝君は「頑張れば麦が強くなるし、僕の体も強くなる」と張り切っていた。
麦踏み前後の空き時間を利用して「花炭焼き」も経験した。自然塾が用意した材料はまつぼっくり、クリのイガ、ツバキの実、ヤシャブシの4種。初めての火吹き竹を使い、煙にむせながら釜戸の火を起こし、原型を留めて出来上がった炭は大切に持ち帰った。
(2017年12月17日付紙面より)
赤い羽根チャリティーコンサート (太地町 )
太地町社会福祉協議会(海野久夫会長)は13日、同町多目的センターで赤い羽根共同募金のチャリティークリスマスコンサートを開いた。事務局長の岡本研さん率いるバンド「笑音風(しょうおんぷ)」のメンバー6人が出演し、懐かしの歌謡曲などを中心に11曲を演奏した。
来場者が飛び入りで歌ったり、踊ったり、イベントの告知をしたりと、コンサートは自由な雰囲気で進行。「Love is Over」「どうにもとまらない」「伊勢佐木町ブルース」などを披露した。全員で歌うパートでは那智勝浦町の敷地廉人君(12)がマイクを渡され「上を向いて歩こう」を歌った。
会場の入り口に募金箱が設置され、来場者が思い思いの金額を入れた。収益は同町内の4カ所で毎月開かれる「ふれあいサロンいっぷく亭」の運営に使われる。
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出演者は次の皆さん。
▽岡本 研(ギター・ボーカル)
▽吉川 功(サックス・ボーカル)
▽小畑章子(キーボード・ボーカル)
▽畠 博(ギター・ボーカル)
▽浦木 平(パーカッション)
▽小畑りか(ベース・コーラス)
▽岡本光正(ボーカル)
(2017年12月17日付紙面より)
県少年サッカー大会東西ブロック対抗戦
地元と健康にこだわり開発 (新宮港埠頭 )
新宮市三輪崎の新宮港埠頭株式会社食品部(シングウポートフーズ)はこのほど、地元にこだわった食材で作ったブリ商品を開発した=写真。今月9日(土)午前10時から正午まで、港内の株式会社食縁本社工場前で初めて地元販売する。
近畿大学技術の養殖プレミアムブリ「におわないブリ」を使用した商品。168時間かけて製造している薫製は、生ハム風と照り焼き風の2種類。切り身はプレーン、照り焼き、みそ漬け、酒かす漬けの4種類。刺身用ブロック、しゃぶしゃぶ用などもある。
安全、安心をモットーに、いずれの商品も化学調味料や食品添加物を一切使用しておらず、しょうゆは新宮醤油、酒かすは尾﨑酒造など、地元産を使用している。
同社は1978(昭和53)年9月30日に設立された新宮市の第三セクター。これまで新宮港を中心とした港湾運送、船舶代理店、貨物運送を主たる事業としてきたが、日本の「食」の多様性に注目し、食品部を設置。稚魚生産から加工販売までの「なまず養殖事業」もスタートしていて、来年の夏ごろの販売開始を予定している。
小池けん二社長は「私のモットーは、常に先を見据え新しい視点を持つこと。人口減少・少子高齢化の波がこの地方でも大きな社会問題となり、産業の衰退は地方都市の活力を疲弊させています。この地域の新たな活力と産業の振興を図り、雇用の場を作ることが必要。地域の特産を目指した事業を興し、全国展開を図りながら、さらに地域社会に貢献する会社を育てたいと考えています」と話している。
(2017年12月6日付紙面より)
※ 小池けん二社長の「けん」は、「濕」のさんずいを取り除いた字
新宮税務署が説明・相談会 (新宮市 )
新宮税務署は4日、新宮市の新宮商工会議所で「雑損控除等説明会」を開いた。台風21号などで被害を受けた人を対象とする説明会で、同市などで多くの被害があったことから開催した。被災した場合の所得税の減免制度や、住宅や家財の損失額の計算方法などについて説明した。
災害などで住宅や家財に被害があった場合、雑損控除か災害減免法によって所得税の軽減免除を受けられる場合がある。どちらか有利な方を選ぶことができ、確定申告の際に必要書類を添付して申請する。インターネットで申告書が作成できる国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を使う際にも、被害のあった家財などの損失額を入力することで、条件に合わせて雑損控除か災害減免法の有利な方を選択できる。
説明会では全般的な説明の他に、個別相談の時間も設けられ、申告会場に持参できる損失額計算個票の用紙も配られた。確定申告の期間は2月16日(金)からとなるが、同署では被災者を対象に事前対応も予定している。
担当の同署個人課税部門の統括国税調査官・山田耕士さんは、「申告の時期には混雑も予想されます。まずは説明会にお越しください」と話した。
この説明会・個別相談会は今後、5日と7日(木)に同所で、14日(木)に那智勝浦町築地の南紀くろしお商工会で開かれる予定。時間は説明会が午後1時30分~2時30分、個別相談会が午後2時30分~5時。夜間の説明会が午後6時~7時。
(2017年12月6日付紙面より)
来年、創建2050年を迎える田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)の式年大祭を盛り上げようと組織された「熊野本宮大社御創建二千五十年奉祝式年大祭推進協議会」(榎本長治会長)は2日、大社瑞鳳殿で総会を開き、来年の主なイベントの事業計画案などを承認した。
協議会は今年9月に組織。熊野本宮観光協会、田辺市熊野ツリーズムビューローなどさまざまな団体、企業など30を超える団体で組織。奉祝期間を誘客の絶好の機会として捉え、さまざまなイベントを展開し、熊野の魅力を発信しようと事業に取り組んでいる。
本宮大社の例大祭は例年4月13日から15日に行われているが、来年は11日(水)から15日(日)までを日程として奉祝式年大祭として営む。期間中には歌手の山川豊さんや水森かおりさんらの歌唱奉納などがある。
例年8月に行われる「八咫(やた)の火祭り」は10月13日(土)に日程を変更し、式年大祭とは別に公募した稚児による湯登神事を行う。
3月には博物学者、小説家の荒俣宏さん、5月には演出家の宮本亜門さん、秋には作詩家の及川眠子さんの講演を計画。宝物殿の特別拝観なども予定している。
協議会では大祭記念ロゴを製作し、ピンバッジやのぼり、記念ポロシャツの製作も進めており、さまざまなPR活動を展開していく。
総会で協議会顧問の九鬼宮司は「地元の高校生も祭りに参加したいという声もあり、うれしい。皆さんと新たな祭りができればと考えている。何かが生まれてくると確信している」とあいさつ。榎本会長は「2050年のお祝いだけでなく、熊野の良さを発信する大きな機会と捉え、地域の観光振興につなげられたらと思う」と話し、「参加していただける団体、企業を募集している。本宮大社へ問い合わせてほしい。いろいろな方々に参加してもらい、一緒に盛り上げていきたい」と呼び掛けた。
(2017年12月6日付紙面より)
町長らに感謝届け親交深める (串本町 )
駐日トルコ共和国大使館のハサン・ムラット・メルジャン特命全権大使(58)一行が4日、串本町の田嶋勝正町長や同町立大島小学校(山本隆介校長、児童36人)を表敬訪問し、トルコ軍艦エルトゥールル号殉難将士慰霊碑に献花するなどした。
メルジャン大使は先月17日に着任した新任の特命全権大使。今回の訪問は公務に就くにあたって慣例になっているあいさつ回りを兼ねた視察の一環で、インジ・メルジャン夫人と通訳者としてボアチ・ウリケル専門官を連れ3人で来町した。
南紀白浜空港で役場総務課職員と合流し、公用車で同町入り。役場本庁で表敬を受けた田嶋町長は「町民を代表して歓迎する。エ号の遭難は悲しい事故だったが、当時の救難活動が今の日本とトルコの友好を築いた柱と言ってもらえることを私たちはうれしく、誇りに思っている。今も清掃や献花をしながら587人の殉難将士をお守りしているので安心してほしい。これからいいお付き合いをさせていただきたい」と述べ、メルジャン大使は「何よりもまず将士を大切にしてくれていることに感謝する。われわれも祖先への思いを胸に友好を作る努力をし、町長ともよい機会を作りたい」と応えた。
「次の来町時には町長と一緒にダイビングに挑戦したい」など後の懇談も弾む中、田嶋町長は歓迎の一端で記念楯や日本トルコ友好マスコットキャラクター「まぐトル」のぬいぐるみ、町独自の友好のあかしとしている同碑レリーフをかたどったピンバッジなどを贈って親交を深めた。
同町立大島小学校では、山本校長と6年生の造隼瑠菜さんがあいさつし、6年生の伊勢谷連さんと中西基樹君が花束を贈って来校を歓迎。一同で同碑とともに受け継がれる追悼歌を披露した。
メルジャン大使は「皆さんや役場の方々が両国の国旗を振って迎えてくれたことが、串本に来て何より感動していることだ」と歓喜。同碑の清掃などを通して殉難将士を大切に守ってくれている児童を『もっとも美しい花で飾られたような友好の架け橋』とたたえて感謝し、交流の記念にと文具を贈るなどした。
表敬後は樫野崎を訪ね、田嶋町長夫妻や樫野区の岩谷知道区長の代理で高山カヤ子さんとともに同碑に献花。メルジャン大使夫妻は樫野崎園地にある建国の父・アタテュルク像への献花を来町にあたって希望したそうで、同町も応えて段取りし実現した。併せて樫野埼灯台やトルコ記念館、遭難地点とされる岩礁(通称・船甲羅)を視察し現地説明を受けるなどした。
夜は田嶋町長主催の歓迎夕食会に出席。町内に宿泊し翌5日に串本海中公園センターを視察するなどして同大使館がある東京へ戻った。
(2017年12月6日付紙面より)