ティム・デットマーさん講演 (新宮市 )
新宮ユネスコ協会(中谷剛会長)主催の講演会が8日、新宮市井の沢の新宮商工会議所であり、市内で英会話教室を営むティム・デットマーさん(57)が「新宮生活30年を振り返って~これからの熊野~」をテーマに熊野で暮らすようになった経緯や魅力について語った。
アメリカ・ワシントン州シアトルで生まれたティムは、1984年に合気道を学ぶため来日し、新宮の熊野塾道場に入門した。初来日した時は地平線まで建物しか見えない東京の風景にとまどったが、熊野に入り、ふるさとへ帰ってきた感覚があった。初めて食べたサンマの丸干しがおいしく、一気に3本を完食。今では新宮を訪れる外国人たちの橋渡し役として活躍している。
2017年に和歌山県の「高野・熊野特区通訳案内士」資格を取得。外国人のためのガイドブック作りに協力するようになってから熊野古道に興味を持つようになり、日本人には当たり前の単語や熊野信仰を分かりやすく紹介している。古道を歩く外国人ライターが自信を持って世界に発信できるよう、外国語看板の充実を訴えた。
熊野信仰を学ぶ中で、合気道の引土道雄先生の言葉「熊野では技ばかりではなく、合気道の心を持って帰ってほしい」の意味が分かり、「合気道は熊野信仰の結晶」と考えるようになった。
来日当初は「日本でもアメリカでも外国人」と居心地が悪かったが、新宮生活7年で、二つの文化に対応できるようになった。文化の違う国での暮らしは人間の成長を促すと、現在は若者たちのホームステイも支援している。
(2017年10月11日付紙面より)
太地町の飛鳥神社(髙橋正樹宮司)の例大祭が7日に宵宮、8日に本宮の日程で営まれた。宵宮では、顔に化粧した若者らが大小の樽を担ぐ「樽神輿(たるみこし)」が町内を威勢良く練り歩いた。
樽神輿は、江戸時代初期に新宮市の阿須賀神社から分霊を受け、樽に入れて運んだ故事に由来する。年ごとに寄水方面、東新方面に渡御する習わしがあり、今年は東新方面へ向かった。
宵宮は午後7時30分から始まり、太地水産協同組合で神事を営んだ後、参列者の行列が出発した。これに小樽神輿、大樽神輿の順で続き、寄水青年同志会と東新青年同志会の会員らが道中の店舗で商売繁盛を願って神輿を担ぎ上げた。海中みそぎでは樽神輿とともに若者が次々と太地湾に飛び込んだ。
本宮では、午前9時から氏子代表の供進使を先頭に、祭員らの列が町内を巡った。行列が神社に到着した後、神事を営み、両青年同志会が獅子舞を奉納した。
正午には道の駅たいじで屋固めが行われ、寄水青年同志会が来町者らに獅子舞の全芸を披露した。
(2017年10月11日付紙面より)
樫野雷公神社例祭宵宮 (串本町 )
串本町樫野にある雷公神社(深美芳治宮司)の例祭が8日に宵宮、9日に本祭を迎えた。宵宮は樫野祭典部(池本寿祭典委員長)による獅子舞奉納や伝統の参拝「走り参り」といった幻想的な奉仕が重ねられた。
この神社は、古く須江に鎮座していた神体が荒天で樫野の集落下にある雷公の浜に流れ着き、やや高台になる現在の場所に祭られたことに由来する。「走り参り」は、神体の漂着に気づいた寺の住職がたいまつを掲げて迎えた故事にちなむ慣習で、現在は樫野祭典部や応援参加している航空自衛隊串本分屯基地の若手らが参拝者となり伝統を守っている。
宵宮は午後7時に宵宮祭があり、同部は獅子舞を奉納。幣の舞、乱獅子、剣の舞、幣の舞の四つを納め、「走り参り」に備えて宿へ戻った。近年は午後9時に迎え火役が宮を出る流れが定着していて、今年は岩谷翔馬君(17)が長さ約4㍍の裂いたタケ十数本を束ねたたいまつの先に神火をいただいて出御した。
その先で同様のたいまつに分け火をいただいた参加者約30人は、小走りで火を振りかざし「参るぞ」と声を上げて宮登りし、深美宮司の祈とうや神酒の授与を受け本殿、八幡神社、蛭子神社を参拝。再びたいまつを持ち「参ったぞ」と声を上げて集落へ戻った。参拝後のたいまつは火災守護の利益があるとされ、後に束をほどいて希望者に小分けするという。
翌9日午前は大前の儀や獅子舞奉納などがあり、同部は正午ごろに集会所で餅まきもして祝うなどした。「とても緊張しているけど、ケガなく務めたい」と意気込んで出御した岩谷君はたいまつを使い切って大役を全う。池本祭典委員長は「秋祭りなのでまずは果物などの豊作を願う」など地場産業の隆盛を願って奉仕を積み重ねた。
(2017年10月11日付紙面より)
那智勝浦町総体バド大会
東牟婁地方中体連サッカー新人大会
乗船体験では揺れやスピードに驚き (御船祭を前に )
新宮早船会(上田勝之会長)は1日、御船の乗船体験とOB交流戦(後援=新宮市教育委員会)を開催した。天候にも恵まれ多くの人が参加した。
出船各地区のOBと現役の漕(こ)ぎ手が参加して行われた交流戦は、熊野速玉大社裏の河川敷をスタートし、本番さながらに競漕(きょうそう)が行われ、千穂区が優勝。2位に阿須賀区、3位に丹鶴区が入った。
上札場(相筋促進住宅下の川原)での千穂区への優勝旗授与後に、体験乗船を開始。参加者らはライフジャケットを装着して乗船し、会員らに説明を受けながら御船島を1周。御船の乗り心地やスピードなどを体験した。
OB交流戦で優勝した千穂区の艫(とも)取りの杉浦誠さんは「勝てて良かった。ほぼ現役で挑み、新人にとっては本番の雰囲気を味わうことのできる、いい経験になったと思う」と話した。
参加した、鈴木鶴大(かくたい)君(高田小1)は「楽しかった。船が進むときに揺れたけど、平気だった。大きくなったら漕いでみたいと思った」と話した。他の参加者も乗船後に船の速度や揺れなどを興奮気味に話す姿が見られた。
早船競漕(御船祭)は今月15、16の両日に営まれる熊野速玉大社例大祭の神事の一つで、神迎えの喜びを表す。16日午後4時30分ごろ、神輿(みこし)にて市内を巡った御神霊が熊野川河原で神幸船に遷御されたあと、旧丹鶴小学校下の河川敷に設けられた下札場(しもふだば)からスタート。熊野川をさかのぼり約1・6㌔上流にある御船島を3周し、同市相筋河原の上札場を目指す。
(2017年10月3日付紙面より)
宇久井中生徒らが訓練 (なちかつ防災スクール )
JR西日本は9月30日、JR紀伊勝浦駅~新宮駅区間で那智勝浦町教育委員会と連携し「なちかつ防災スクール」を実施した。緊急地震速報システムが鳴動し、電車を緊急停車させたと想定した津波避難訓練で、宇久井中学校の生徒31人を含む約90人が参加した。
訓練では、宇久井駅付近の坂口踏切を過ぎたあたりで列車が緊急停車。短く5回、長く1回の非常汽笛が鳴り、乗客全員がJRの職員や警察官の誘導で線路から宇久井中学校まで走って逃げた。
訓練に入る前には避難用はしごの設置指導や紀伊半島大水害時の那智川の橋の流出被害などについての講話もあった。同校の湊谷礼夏さん(15)と山際胡桃さん(14)は「電車から飛び降りたのは初めて。非常汽笛の音で気が引き締まった」、「とても勉強になったので、一般の人もぜひ積極的に参加してほしい」と感想を話した。
JR西日本・和歌山支社の下地正心新宮列車区長は「全員が避難するまでの所要時間は思ったよりも早く5分50秒ほどでした。地形を良く知っている乗客が多いローカル線ならでは。命を守るため訓練を積み重ねて、素早く動ける人が率先避難者となり、お年寄りや小さい子に手を貸してもらえたら」と呼び掛けていた。
(2017年10月3日付紙面より)
赤い羽根共同募金運動始まる (新宮市 )
赤い羽根共同募金運動が1日、全国一斉に始まった。新宮市内の商業施設7カ所では街頭募金運動があり、市社会福祉協議会役員、職員や民生委員児童委員らが買い物客らに募金を呼び掛けた。
赤い羽根共同募金は戦後復興の一助として1947年に始まった住民主体の活動で、今年70周年を迎える。福祉施設への支援を目的として始まり、現在は高齢者サロンの運営などさまざまな民間福祉活動の支援などに充てられている。
新宮市では「ささえ愛募金」「MACHI(まち)サポート募金」「新宮いのちの募金」の「3つの活動募金」として呼び掛けている。昨年度の実績額は計462万3555円で、今年の目標額は450万円。
新宮市共同募金委員会長の田岡実千年市長は「少しの間ですが街頭に立たせていただき、市民の皆さんが積極的に募金してくださっていると感じ、うれしく、ありがたく思っています。福祉についてはいろいろと経費がかかるので、有効に使わせていただきたい」。
社会福祉協議会の大谷康央事務局長は「集まった募金は地域ボランティアや防災活動、見守りなどに役立てています。3月まで取り組んでいきます。安心して暮らせるよう地域に還元していきたいので、協力をお願いします」と呼び掛けていた。
(2017年10月3日付紙面より)
創立60周年記念コンサート (航空自衛隊串本分屯基地 )
航空自衛隊第5警戒隊串本分屯基地(吉村雅美司令)の創立60周年記念コンサートが9月30日に串本町文化センターであり、約600人が中部航空音楽隊(佐藤哲也隊長)の演奏を鑑賞して節目を祝った。
同基地は1957(昭和32)年4月の第9082部隊展開を起点にして、現在60周年の節目を迎えている。展開当時は米軍管轄だったが2年後に航空自衛隊に完全移管され、現在は中部航空警戒管制団第5警戒隊が展開。年1回の一般開放に加え、隊員自身も地元の祭礼や諸行事に積極参加し、地域に身近な基地として歴史を刻んでいる。
周年記念コンサートの実施は55周年以来で、今回も浜松基地を拠点にし東北南部~関西の広範で活動する中部航空音楽隊を招致。観客は招待と一般申し込みで募り、同センター大ホールの収容人員いっぱいまで受け入れたという。
開演にあたり吉村司令は「皆さまの理解と協力により、串本分屯基地は創設以来素晴らしい勤務環境を築き上げてきた。これからも国防の要としての重要な役割をしっかりと果たし続けていくとともに、地域に身近で信頼される部隊となれるよう努力する」とあいさつ。公演プログラムは2部構成で、第1部は第5警戒隊隊歌など正調5曲、第2部は曲調にアレンジをつけたり観客に手拍子の参加を求めたりして共に楽しむ6曲を奏でた。
終盤の楽曲「音楽家のストライキ」では楽員が徐々に抜けて指揮者が孤立するという寸劇も披露。重厚かつ軽快な雰囲気の中で最終の楽曲「Burn」を響かせ、アンコールの手拍子に応えてさらに1曲を観客に手振りの協力を促しながら演奏し、ホール内の全員で盛り上がった。
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同基地はこの日配ったパンフレットで、今年の一般開放は11月26日(日)午前9時~午後3時実施予定と発表。定例の内容に加え、創立60周年記念に伴う要素として飛行展示の充実(T―4、F―15、UH―60J、U―125A)やPAC―3(対弾道ミサイル地対空迎撃システム)といった項目も盛り込んでいる。
(2017年10月3日付紙面より)
秋季近畿地区高校野球県二次予選
総合1位の新宮など4チームが県大会へ