災害ボランティアセンターを設置 (新宮市社会福祉協議会 )
新宮市社会福祉協議会(向井一雄会長)は24日、新宮市福祉センター内に「災害ボランティアセンター」を開設した。台風21号で被害を受けた一般家庭の片付けや泥出しなど市内で手伝いが必要な人の要望を受け付けている。時間は午前9時~午後5時。専用電話は090・7356・6446、080・8332・4935で、内容によっては受け付けられない場合もある。
ボランティアも募集している。市内在住の人で1日2日の短期でも可能。午前9時から市福祉センターで受け付けており、直接センターに来るよう呼び掛けている。
市内では市田川沿いの王子地区や下田地区などで家屋の浸水被害が多く見られた。24日午後7時時点、市内全域で約1000世帯の被害が確認されている。センターは一人暮らしの高齢者や障害のある人たちからのニーズを受け、設置を決定。初日は25人の市民ボランティアが駆け付けた。23件の要請があり、畳の上げ下ろしや掃除などの作業にあたった。
ボランティアに登録した緑ヶ丘在住の60代の女性は「うちは床下浸水でした。午前中は友人の所を手伝ってきました。今日は予定があるので午後は活動できませんが、登録だけでもと思いました」。清水元在住の70代女性は「王子地区があれほどつかるのは初めてのこと。氾濫と聞いて避難しましたが、家は大丈夫だったのですぐに駆け付けました」。
阿須賀地区の60代女性は「雨もですが風が怖かったです。前(紀伊半島大水害)の時は来ていただいた側なので、今回はお返しをしたいと思いました」。作業した橋本の70代男性は「ボランティアセンター立ち上げの際にいた人間なので参加しました。熊野地のあたりで畳を出したりするのに並んでいる状態。王子も相当つかっているようでした」と話していた。
紀宝町社会福祉協議会は同日、町福祉センターに災害ボランティアセンターを開設した。29日(日)まで、台風21号で被害を受け、ボランティアが必要な人の要望を受け付けている。
問い合わせは紀宝町社会福祉協議会(電話0735・32・0957)まで。時間は午前8時30分~午後5時15分。
(2017年10月26日付紙面より)
台風21号の被害状況 (新宮市 )
新宮市役所防災対策課は24日、同日までに把握した台風21号による市内の被害状況を発表した。住宅の被害調査では同日午後7時時点で、一部破損46棟、床上浸水462棟、床下浸水428棟の計936棟と店舗など192棟が被害に遭った。
市では25日も市内全域を対象に約80人体制で被害状況の調査を実施している。
□ □
市の国指定天然記念物「浮島の森」はすのこの破損や遊歩道脇の倒木などの被害があり、休園中となっている。再開の見込みは未定。
熊野古道「大雲取越」は那智勝浦町の石倉峠~地蔵茶屋跡間が倒木により通り抜けが不可となっている。熊野川町玉置口の瀞の郷は浸水によりトイレが使用不可となった。
新宮城跡では北と西の城跡斜面が崩落。西斜面は土砂が隣接する駐車場に流入したが、撤去済み。崩落が拡大する恐れがあるため、水ノ手郭への立ち入りを禁止している。
高田第1自然プールではトイレが天井まで浸水した。男・女トイレに泥が堆積し、扉が破損。屋根部分が中央で折れた。出入り口をテープで封鎖し、中に入らないよう措置を取っている。
□ □
同市三輪崎では、23日午前1時、佐野川改修工事に伴い仮設橋に取り付けられていた仮給水管が佐野川の増水により落橋。給水管が破損し、付近の15戸が断水した。午前6時ごろから応急給水用ポリタンクを各戸に配布した。7時ごろから仮復旧作業に着手、11時30分ごろに作業が完了し断水が解除された。
□ □
市消防本部では、台風21号関連で消防職員51人、消防団員111人が出動した。救助要請事案が38件、安否確認事案が3件あった。職員は市内の巡視、冠水地域からの救助要請対応にあたった。分団員は河川巡視活動と、樋門操作など、熊野川団員は河川などの巡視活動を実施した。
□ □
南谷墓地では崩土により、墓石が倒壊。離れた位置の墓石にも土が飛散するなどの被害が出ている。場所は作家、中上健次の墓の周辺。
(2017年10月26日付紙面より)
太地中3年生が町議会を模擬体験
太地町役場議場で24日、町立太地中学校(城谷真司校長)の3年生による模擬議会が開かれた。
地方自治について学ぶ社会科の学習の一環として、平成23年から毎年行われている。実際の一般質問さながらの質疑と答弁が繰り広げられた。
訪れた18人の中から、2人の生徒が議長・副議長を務め、交替で議会を進行。9人の生徒が議員役となって登壇し、事前に学年全員で話し合った内容を1人二つずつ質問した。傍聴席では、他の生徒や町会議員らが答弁に聞き入った。
初めに三軒一高町長から「30年かけて町をクジラの学術研究都市とする」という施政方針が語られ、清潔で自然豊かな町にしようと取り組んできた経過や、議会の意義などについても説明がなされた。
議員役の生徒からは、避難路の整備やカーブミラーの設置など、防災や安全面に対する要望や、「トイレにクジラの飾りをつけてはどうか」といった提案、「道の駅の駐車場はなぜあの不便な形になったのか」、「『森浦湾くじらの海計画』について知りたい」といった質問などが挙がり、答弁を受けて追加で質問を投げ掛ける場面もあった。
進行を務めた感想を、議長役の矢田真那斗君は「席に座ると、偉くなったようで緊張した」、副議長役の田中結華さんは「なかなか見られない景色で、思い出に残る経験」とそれぞれ語った。
休憩中にも町長が生徒らの疑問に答える姿などが見られ、議員役の山本源也くんは「考えた質問に真剣に答えてくれて、町長や職員の方の町に対する思いが伝わってきた」と話した。
三軒町長は「将来を背負っていく子どもたちに、町の方向性を知ってほしい。実際の議会よりも気を遣うほどです。いい質問ばかりで、理解しやすいよう考えながら答えました」と話し、中学生が町政や議会に触れたことを喜んだ。散会後、生徒らは町長室など役場内部を見学し、帰途についた。
(2017年10月26日付紙面より)
文化セで県警音楽隊公演 (串本警察署 )
串本町文化センターで24日、県警音楽隊公演「おまわりさんのハートフル・コンサートinくしもと」があり、約400人(主催者発表)が演奏鑑賞を楽しみながら交通安全や防災・防犯への意識を高めた。
串本警察署(津田健治署長)主催、串本町共催。「みんなでつくろう安全・安心のまち みんなで守ろう交通ルール」をアピールする巡回公演で、同町域での実施は昨年10月に続きほぼ1年ぶりとなる。今回は夕方のみの一回公演、当日受け付けで来場を呼び掛けた。
同隊は昭和39年に結成。同59年にカラーガード隊を導入してアピール力を増し、現在は森敏三楽長を筆頭に25人ユニットでイベント時の啓発演奏や公演などの活動を重ねている。
この日のプログラムは同署交通課による寸劇を取り入れた3部構成。同隊は第1部でメドレー2曲と往年のテーマソング、第3部で著名なシリーズ映画やドラマの楽曲や洋楽、カラーガード隊のパネル演技を交えた歌謡曲を吹奏楽基調の音色で披露し、最終は和歌山県輩出の演歌歌手・坂本冬美さんの楽曲メドレーで締めくくった。
第2部では同署の東谷潤交通課長が登壇し、この日配った靴用反射材など薄暮時の安全対策に努めるよう呼び掛けた。続く寸劇は高齢ドライバーが反応速度の低下で事故に遭い、神様と○×クイズ数題の駆け引きをして助かる内容。観客2人も駆け引きに参加し、▽シートベルト無しの致死率は有りの13倍▽シニアカーは歩道通行可▽反射材は100㍍手前から見える―といった出題に挑戦した。
公演時間は約90分。県警音楽隊はアンコールに応えてさらに歌謡曲1曲を披露し、歌「ふるさと」の合唱を観客に求めて共に音楽を楽しんだ。同署は公演日時に合わせて同センターロビーで防災パネル展を開いて平成23年の紀伊半島大水害や東日本大震災、平成28年の熊本地震の各被災地における県警の災害支援活動を紹介したほか、プログラムと一緒に特殊詐欺被害の防止や免許証自主返納の推奨、異常気象への備えなどの各種啓発物資を配って防災防犯意識を促した。
(2017年10月26日付紙面より)
川端さん、弓場さんが優勝
新宮剣友会が奉納試合
日高中津の杉浦君(宇久井中出身)
サ市訪問団フェアウェルパーティー (新宮市 )
新宮市の姉妹都市アメリカ・カリフォルニア州サンタクルーズ市(サ市)のシンシア・チェイス市長らをはじめとする12人の訪問団を見送るフェアウェル(お別れ)パーティーが18日夜、新宮市井の沢の新宮商工会議所で開かれた。来賓や市民が出席する中、料理と歓談を楽しむなど最後まで思い出を作った。
訪問団は13日に日本の文化体験、市民や関係者との触れ合いなどを通し、さらなる友好関係を築く目的で来新。熊野速玉大社例大祭の見学や茶道、座禅の体験などをした。
両市の交流は新宮市内の合気道熊野塾で修行していたサ市出身のメリー・ハイニーさんら4人の提唱で始まった。1974年に姉妹都市関係を結んでいる。
パーティーではチェイス市長がサ市についてプレゼンテーションをした。歓談では各家庭から持ち寄った料理や若手飲食店経営者らで結成する「心食会」会員らによる料理が並び、それぞれ好きなものを取って味わった。この日誕生日を迎えた出席者らを祝うサプライズもあり、会場には笑顔があふれた。
亀井寿一郎副市長は「皆さまが訪れたことで、両市の絆がさらに深まることになった。固い絆がこれからも末永く続くことを願っています」とあいさつ。
チェイス市長は「たくさんの新しいつながりができ、喜びもたくさん見た。一緒に過ごすことで互いに学び合えた」と語り、心のつながりができたと話した。
サ市姉妹都市委員会のエイドリアン・ハレル会長は「皆さんが作ってくれた時間は貴重な意味があり、ありがたく感じた」と述べた。滞在中にメンバーと43年間の姉妹都市について話し合った際に「姉妹都市という名前で交流をしていたが、奥にあるのは家族と家族、個人と個人のつながりが重なり、今に至ったと結論が出た」。
「『未来』に対し姉妹都市の関係は明るい」とし、インターンの派遣や留学生の受け入れなど、今後の交流に言及。「今回示してきた厚い友情と姉妹都市の関係で好意を寄せてしていただいたこと、心からお礼を言いたい」と感謝を込めた。
姉妹都市親善協会の岩澤卓会長は滞在中を振り返るなどし、今後ますますの交流に期待を寄せた。
(2017年10月20日付紙面より)
江戸千家宗家の川上閑雪家元
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で15日、新宮生まれの茶人・川上不白(1719―1807)を流祖とする江戸千家宗家蓮華菴の川上閑雪(かんせつ)家元(87)の献茶式があった。
地元や全国から門人が集まり、約100人が参列。厳粛な雰囲気の中、濃茶と薄茶の2椀(わん)をたてて神前に献じた。
不白は紀伊新宮藩水野家に仕える藩士の次男として生まれる。若くして茶人としての力量が認められ、32歳で江戸に出て千家流茶道を広めた。皇族、大名、旗本から町人まで階層に関わらず指導したことで知られる。2007(平成19)年12月、新宮市内で開催された「没後二百年記念 茶人川上不白を偲ぶ茶会」の際、宗家所蔵の不白寿像から「宝珠双龍紋」が見つかった。不白は龍神信仰に傾倒していたといわれていて、背景には故郷熊野の「那智の滝」への崇拝があったと考えられている。これが縁で翌年の08(平成20)年から同大社で献茶を続けている。10回目となる今年は同大社の創建1700年記念の年と重なった。
男成宮司は「大きな節目の年に献茶も10回目。昨日の式年大祭にも参列くださり、当社の神様もご感応いただいていることと思います。これからも毎年お越しください」とあいさつした。
閑雪家元は「早いものでもう10年になりました。新宮生まれの流祖も那智の滝を訪れたと考えています。今年も無事に献茶ができ、ありがたい思いです」と話した。
(2017年10月20日付紙面より)
金融機関で窓口対応訓練 (串本警察署 )
串本警察署(津田健治署長)と紀陽銀行串本支店(和田好宏支店長)は18日、特殊詐欺対応訓練に取り組み、窓口における特殊詐欺被害防止のための手順を実践した。
同署は特殊詐欺被害を未然に防止するため、管内各金融機関などと連携してさまざまな対策をしている。この訓練は被害者にとって水際となる窓口の被害防止対応をいっそう確実にするため、県警特殊詐欺被害防止アドバイザー(警察官OB)がだまされている高齢者役を演じて来店するという内容で計画した。
行員には同日に対応訓練を行うことだけ伝え、いつ誰が高額出金を申し入れてくるかは伏せた状態で実施した。高齢者役は営業時間中に来店し一般客に混ざって高額出金を窓口に申し入れ、行員は理由を尋ねつつ別の窓口へと案内。同時に他の行員が警察へ通報し最寄りの警察官が駆けつけて立ち会う中で上役がチェックシートを交えて特殊詐欺に遭っていないかを確かめた。
高齢者役は「自分はだまされていない」「閉店まで時間がない。急いでいる」と行員の確認を拒むそぶりも見せ、行員は「大切なご預金を守りたい」と思いを伝えて食い下がり確認。高齢者役に思い当たる節があるチェック項目を示して、出金を踏みとどまらせた。
訓練想定は、高齢者役が老人ホーム入所の準備金をレターパックで送るために出金を求めたという内容で、始終を見届けた同署生活安全刑事課は「今回は未然に防げたという点でよく対応できていた。実際は特殊詐欺犯人にだまされ信じ切っているので、行員の話をまともに聞かない人も多数いると思う。そういう時は遠慮なく警察に通報し、警察官が来るまで引き留めてほしい」と講評。
高齢者役を演じた更谷正人アドバイザーは「だまされている高齢者は犯人に言いくるめられてから(出金に)来る。だから事情を聞いても本当のことを言わず、行員に強く当たることも多々ある。今日はそのあたりの状況を演じた。金融機関の皆さんにはいろんな面で苦労もあろうが、自分の顧客を守るという観点で事情を聞き警察に通報してほしい」と役に込めた思いを語った。
(2017年10月20日付紙面より)
避難路ウォークとワークショップ (太地町 )
太地町赤十字奉仕団(和田千明委員長)は18日、「避難道ウォーク&ワークショップ」を催した。団員14人と町民4人が参加し、同団員で「たいジオ」ガイドの久世滋子さん案内のもと妙見山の避難路を散策した。
同ウォークは年1回開いており、今回で2回目になる。ワークショップは県支部の助成金を受けて行われており、今回は安全ピンとビーズを使ってブローチを作った。これらを通して、津波の避難場所と奉仕団の活動を知ってもらう狙い。
今回訪れた避難路は海抜41・3㍍の広場につながっており、平成16年度に県道240号線沿い(飛鳥神社付近)の階段を、同24年度に水ノ浦地区の階段を整備した。
参加者一行は飛鳥神社を出発し、道中の細かな避難路や町の史跡などの説明を受けながら、水ノ浦の避難階段へ向かった。妙見山の避難路では足場を確かめながら登り、安全性を確認した。
飛鳥神社に戻るとワークショップに取り組み、安全ピンの針に赤、白、緑などのビーズを通してオリジナルブローチを作った。
(2017年10月20日付紙面より)