「ふれあいネット」の取り組み (太地町 )
太地町社会福祉協議会は9月11日に「ふれあいネット」事業の調印式をし、24団体が高齢者の見守りに結束を強めた。平成18年の発足当初から参加している同町漁協では、特に地域住民が毎日買い物に訪れる漁協スーパーで、支援を必要とする高齢者の発見に高い効果を挙げている。その事例を紹介する。
レジ業務を担当している40代の女性に話を聞くと、異変を感じる例として▽一日に何度も来るようになる▽毎日同じ物を買う▽支払いが小銭ではなく紙幣ばかりになる―といった行動が挙げられた。特別な意識をしているわけではなく、「毎日顔を合わせるお客さんが多いので、様子がいつもと違うと心配になる」と言う。同協議会や町地域包括支援センターに連絡することもあるが、買い物に訪れたヘルパーに、会話の中で伝えることもある。
以前店長を務めていた貝良文参事によると、漁協スーパーでは15年ほど前から、個人の客からの電話注文に応じる際に、異変を感じると訪問して様子をうかがうなどしていた。同事業の発足時も、「今までにもやってきたことだから」と参加を決めた。現店長の東欣哉さんも「高齢者の多い町なので、今後も率先してやっていきたい」と意欲的だ。
調印式での事例紹介では、漁協の他にも農協職員や町営バスの運転手、地域住民などからの報告で要支援者を発見した例も紹介された。
同協議会の岡本研事務局長は、「今後は事業所だけでなく、住民の方にもふれあいネットを知ってもらえるよう努めたい」と話している。
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構成団体は次の通り。
▽太地郵便局
▽新宮警察署
▽南紀くろしお商工会
▽紀友会
▽坂野医院
▽太地歯科
▽紀陽銀行本店/太地支店
▽太地薬局(株式会社ウィーズ)
▽和穂歯科医院
▽みくまの農業協同組合/太地支所
▽太地町漁業協同組合
▽太地町消防団
▽太地町区長会
▽太地町民生児童委員協議会
▽太地町熟年会
▽太地町身体障害者連盟
▽太地町障害児者父母の会
▽太地町婦人会
▽日本赤十字奉仕団太地分区
▽太地町更生保護女性会
▽太地町地域活動連絡協議会
▽太地町議会
▽太地町
▽太地町社会福祉協議会
(2017年10月31日付紙面より)
仲之町商店街でハロウィーン (新宮市 )
新宮市の仲之町商店街振興組合(勢古啓子理事長)は28日、ハロウィーンのイベントを開催した。組合員の若手が企画した初開催の昨年に続き2回目で、雨の中仮装した大勢の人たちでにぎわった。延べ人数約5000人(主催者発表)が来場し、楽しいひとときを過ごした。
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を活用して周知や募集をした。ライブやダンスのステージは近大新宮高校吹奏楽部の演奏で開幕。マジックショーや大道芸、地域の店舗による飲食の出店などのほか、体験コーナーもあり、家族連れや友人らと訪れた人たちでにぎわった。
ホットドッグの早食い競争も行われた他、仮装フォトコンテストでは緑丘中学校美術部が制作したパネルの前で、お化けやプリンセス、アニメやゲームの登場人物などの装いをした人たちが撮影していた。
家族で訪れた垣下しのぶさんは「大道芸もありお菓子もいろいろなところでくれるようになり、子どもも喜んでいます。雨なのにすごい人で驚きました。みんなが仮装してすてきな催しだと思います」。夫の義和さんは「良かったです。仲之町の人も一生懸命盛り上げてくれています。これからも続けてほしいです」。娘のみのりちゃん(3)は「大道芸が面白かった」。息子の流輝君(6)は「全部面白かった」と話していた。
勢古理事長は「台風の影響もあり中止も考えましたが『こんな時だからこそ元気を』と開催しました。これだけ多くの人が楽しみにしていてくれ、集まってくれたのだとうれしく思います。文化複合施設プレイベント実行委員会が、施設建設の機運を盛り上げようと手作りの垂れ幕を持ちチラシを配布したり、市内の台風災害へあてる募金箱を設けました」と話していた。
(2017年10月31日付紙面より)
平井でユズの搾汁始まる (古座川町 )
古座川町平井で30日、今季収穫したユズの搾汁作業が始まった。台風22号の接近で収穫が進まず、この日の出荷量は約1・6㌧と少なめ。作業が始まると一帯にユズの芳香がにわかに漂い、収穫期の訪れを告げた。
農事組合法人古座川ゆず平井の里(羽山勤代表理事)は、会員全体で約14㌶を作付けた。今年は裏年の巡りにあたり、全体で90㌧の収穫を見込む。傷が少ないなど品質に優れた10㌧分を選別し、生果として紀ノ川農業協同組合に出荷したり皮取り用にする。残り80㌧が搾汁用で、得た果汁は約30品目ある自家商品に加工するほか、大手ファストフード店にも提供。近年は搾った後の実を堆肥の原料として活用している。
搾汁作業は一日あたり5㌧ペースで11月いっぱいまで行う予定。初日は作業員7人体制で出荷されたユズの実を洗浄、乾燥、搾汁といった工程ラインに乗せ、初物となる果汁を得た。
羽山代表理事(69)によると初夏の着花率は平年の7割程度だったそうで、実は大振りになったが全体収量は相応に下がると見越した。果汁は14㌧程度得られる見込みで、一昨年が大豊作で本来裏年になるはずだった昨年も平年以上の豊作になったことで果汁の在庫があり、今年は不足分を在庫で補い向こう一年分の需要を賄うとした。
(2017年10月31日付紙面より)
イベントなど中止相次ぐ
台風22号は29日、熊野地方に最接近した。各地で避難勧告が出され、道路冠水の被害が出た地域もあり、イベントや講演会などの延期が相次いだ。2週連続の週末の台風襲来に住民らは対策に追われた。
和歌山地方気象台によると27日夜の降り始めから29日午後7時までの雨量は新宮市佐野で216・0㍉、那智勝浦町色川では169・0㍉の雨量を記録した。新宮市内では南谷地区などの道路が冠水し、一時通行止めになった。那智勝浦町では宇久井地区の国道が冠水した。
新宮市では午前10時に市内9地域、2836世帯5457人に、那智勝浦町では正午に市野々、井関など5地域の1463世帯2978人に「避難準備・高齢者等避難開始(土砂災害)」が発令された。避難した住民らは不安な午後を過ごした。発令は夜までに解除された。
週末に襲来した台風の影響で29日に開催予定だった各地のイベントに大きな影響が出た。那智勝浦町では町教育センターで予定されていた熊野那智大社創建1700年・那智山青岸渡寺西国三十三所草創1300年の記念文化講演会が延期になった。開催日は検討中で3月ごろになる見込み。いざかた通り商店街の「ハロウィーンパーティー」、特別養護老人ホーム日好荘スマイルの「日好荘秋まつり」は中止。新宮市では蓬莱地区運動会が11月23日(木・祝)に延期、佐野区民運動会も延期(日程協議中)になった。
(2017年10月31日付紙面より)
那智勝浦町総体グラウンドゴルフ大会
台風21号、農業にも被害 (新宮市 )
台風21号の豪雨は住宅や店舗だけでなく各地の農地にも被害を及ぼしている。新宮市熊野川町能城山本では、熊野川の支流赤木川が増水したため、水田や畑に泥や流木が入り、農業者らは除去作業に追われている。
能城山本では、約35㌃の畑に設置していたイチゴのビニールハウス24棟が水没。作業員たちは24日から流木や草の撤去やイチゴの葉についた泥の洗い流し作業などに追われている。
イチゴを栽培している児玉巌さん(80)=同町能城山本=は「ビニールをまだ張っていなかったから良かったが、2~3割はだめになった。今後はイチゴの病気による被害が怖いです」。流木の撤去作業などはあと3~4日はかかりそうで、毎年12月に実施している収穫は遅れる見込みだ。
周辺の畑にも泥が入り、栽培されていたタカナ、ハクサイ、キャベツ、サツマイモなどがほぼ全滅となっている。
町内各地の川沿いでは獣害防止の電気柵が川の水でなぎ倒されている。同町神丸では赤木川沿いの柵が100㍍以上にわたって倒れ、流木や草が絡まっている。畑を所有する下阪殖保さん(71)=同町能城山本=は「ここら辺の農業者はみんな途方に暮れています。今回の台風で農業を辞めてしまった人もいます」と話していた。
(2017年10月29日付紙面より)
世耕弘成経産相が熊野地方へ (台風21号 )
世耕弘成経済産業相は28日、台風21号で被災した和歌山県内を視察した。被災地の現状や課題を、スピード感を持って把握し、早期の復旧・復興を実現させるのが目的。熊野地方では那智勝浦町と新宮市を訪れた。
那智勝浦町では浸水被害を受けたいざかた通り商店街を訪れ、各商店の被害現状などを見て回った。新宮市では同市下田の精肉店や飲食店、同市磐盾の建設機械などを扱う店などを訪れ、浸水で壊れた機械類などの惨状を見て回り、店主らの声に耳を傾けた。同市下田の下岡精肉店を訪れた世耕経産相は当時の様子を聞き、代表の下岡豊さんに「お見舞い申し上げます。全力で取り組みます」と声を掛けた。下岡さんは「周辺の店舗も大きな被害を受けた。被災の状況をじかに見てもらって良かった」と話した。
(2017年10月29日付紙面より)
なぎ看護学校で宣誓式 (新宮市 )
新宮市蜂伏の県立なぎ看護学校(脇田堅二校長)で27日、看護宣誓式があった。今年4月に入学した1年生39人(女子26人、男子13人)が点火の儀などで看護師への決意を新たにした。
1年生たちに有能な看護師を志す自覚を深めてもらうことを目的に毎年この時期に行っている儀式。厳粛な雰囲気の中、点火の儀などが行われ、キャンドルを手にした宣誓生たちが10グループに分かれ「私たちは積極的にコミュニケーションをとり、患者さんの心に寄り添う看護師になることを誓います」などと宣誓し、ナイチンゲール賛歌を斉唱した。
脇田校長は「今日誓った言葉とこの舞台に立った自分自身を思い出して、できることから始めてみてください。一緒に一歩ずつ前に進んでいくことができればと思います」と式辞。
在校生代表の松井智加さん(3年)が「今日のこの気持ちを忘れず、できることから懸命に取り組み、今日誓った看護師像に近づくことができるよう共に歩んでいきましょう」と祝いの言葉を述べた。
(2017年10月29日付紙面より)
倒木で通行止め「大雲取越」 (台風21号で )
台風21号の豪雨で発生した倒木や土砂崩れで世界遺産の熊野古道「大雲取越」が通行止めになっている。復旧のめどはたっておらず、担当者らは現在、迂回(うかい)路の設置を検討している。
被災場所は那智勝浦町内の石倉峠―地蔵茶屋跡間。町と新宮市は両入口などに日本語と英語の看板を設置して通行止めを知らせている。周囲は私有林で、町は今後の対応を検討している。
熊野古道の「大雲取越」と「小雲取越」の中継点に位置する宿泊施設「小口自然の家」(新宮市熊野川町上長井)によると、熊野那智大社方面へ行き来する観光客は現在、バスを使用している。通行止め区間手前にある「円座石(わろうだいし)」まで歩き、引き返している観光客もいるという。
自然の家の昨年度の宿泊者数は3298人(前年度比46人増)で、そのうち外国人は1721人(同393人増)だった。管理人の小河二見博さん(66)は「宿泊の予約は、1年前は当たり前で、早い人で2年前から入っています。復旧もそうですが、早く迂回路を設置してほしい」と話していた。
「大雲取越」は那智勝浦町那智山の熊野那智大社―新宮市熊野川町上長井間の約14・5㌔。雲に手が届くほど高いという意味から名付けられた。古道の中でも難所の一つで、熊野三山の神々が談笑したという伝説があり、三つの梵字(ぼんじ)が刻まれた「円座石」や舟見峠、地蔵茶屋跡がある。
(2017年10月28日付紙面より)
太地小1年生がふるさと学習
太地町立太地小学校(前田欣克校長)の1年生6人が26日、町立くじらの博物館でくじら学習を行った。全校規模で取り組んでいる、ふるさと学習の一環で、1年生の児童らにとっては今年度2回目。6月の前回はクジラやイルカの種類を、今回は大きさを学んだ。
数字ではなく実感で知るため、同館に設置されているシロナガスクジラの骨格標本のレプリカを棒やひもを使って計測。中江環学芸員の指導の下、ひもを標本に当て、色分けしながら体長、体幅、頭、胸ビレの長さと同じに切って学校に持ち帰った。
児童らは教室の黒板や体育館、自分たちの背丈と比べ、「クジラの体の幅は、体育館の入り口にギリギリ入るくらい」、「体の長さは、みんなの17人分」と口に出して大きさを確かめた。
計測前の説明では、中江学芸員の「シロナガスクジラを知っていますか」という問い掛けに、すかさず「世界で一番大きいクジラ」と答えた児童もいた。前回の学習の際に標本に興味を持って質問し、教わったことを覚えていたそうだ。
児童らは「こんなに大きいと思わなかった」「すごい」と感想を言い、中江学芸員は「お家の人にも、クジラの大きさを教えてあげてくださいね」と呼び掛けて学習を締めくくった。
(2017年10月28日付紙面より)
西向小中校区で避難所巡り (串本町 )
西向小・中コミュニティースクール(大芝英智会長)主催の一時避難場所巡りが26日に西向小中校区内であり、児童生徒合わせて82人と区民(保護者含む)73人が一緒に住んでいる区の高台や危険な場所を確かめるなどした。
将来の発生が予想される地震や津波に備える地域共育活動として年次実施していて、本年度で5年目。児童生徒は知識を増やして日ごろの防災意識を高めるとともに、地域の一員としての自覚を持ちできることを考えることを目当てにして取り組んだ。
校区内にある9区に案内の協力を求め、児童生徒は引率の教員と共に住んでいる区の住民と合流。区長らをリーダーにして一時避難場所巡りに臨んだ。岩渕区(山本進区長)では児童4人と区民12人が合流し、▽成就寺裏▽護国神社跡▽カジヤ谷―の各高台に上がり他2本の津波緊急避難路の位置と状況を確かめた。児童最年長の下村奏斗君(5年)は「知っている避難路は多い方がいい。いざという時は近くの避難路を知っておくことが大事だなと思った」と感想を述べ、山本区長は「岩渕区にとって子どもは宝。大人になってもずっと住んでいてほしいし、そのために知っておかないといけないのが今日紹介した津波から逃げるための避難路。児童を含めた区民の皆さんにしっかりと覚えておいてほしい」と願った。
9区ともそれぞれに一時避難場所巡りを行い、区民は現地解散、児童生徒は帰校。大芝会長は「9区の皆さんには子どもたちが高台に上がるということで事前の草刈りや当日も避難先だけでなく地震で崩れやすい場所や本当に危ない時は最短ルートで畑を突っ切っても構わないなど、地域ならではの知恵もいろいろと教えていただけて大変ありがたかった。児童生徒の皆さんには家にいる時に被災するとは限らないので、みんなで情報交換をして違う区の場所にも関心を持ち、校区内の率先避難者になってほしい」と参加した児童生徒や区民らの今後を期待した。
(2017年10月28日付紙面より)
台風21号で桑ノ木の滝
新宮市相賀にある日本の滝百選の「桑ノ木の滝」へ続く山道のつり橋が台風21号の影響で崩れ落ちている=写真。橋を管理する市都市建設課は、生活で頻繁に使用する市道の修復を優先的に行うため、復旧時期は未定と話している。
熊野川支流の高田川の上流にある滝で、高さ約21㍍、幅約8㍍。手軽に行けるハイキングコースとして人気があり、毎年大勢のアマチュアカメラマンが訪れている。
滝へ続く道はつり橋が落ちているほか、崩れ落ちたり、倒木でふさがれたりしていて危険な状態となっている。市商工観光課は入口に通行止めの看板を設置した。つり橋は6年前の紀伊半島大水害でも流された。
同市熊野川町田長の「鼻白の滝」へ続く林道も土砂でふさがれている。市農林水産課によると、次の台風が接近しているため復旧は週明けになる見込み。
(2017年10月28日付紙面より)
観光に影響、早急な対応求める (那智の瀧源流域環境保全の会 )
那智勝浦町の那智の滝源流域を調査する「那智の瀧源流域環境保全の会」(岡﨑吉男会長)は25日、第9回例会を開いた。緊急の問題として台風21号の豪雨で崩落した那智山を通る県道46号線の対応を協議した。
崩落箇所は那智山奥之院駐車場の手前。25㍍以上にわたって片側車線がえぐり取られたように崩れ、約20㍍下の駐車場にがれきや土砂が積もっている。応急処置として奥之院駐車場内を普通車は通れるようにしているが、大型の観光バスが通行できないため、早期復旧が望まれている。
県は土砂の撤去作業にあたっている。今後はさらなる水の浸入と崩落を防ぐため応急的にモルタルを吹き付け、本格的な復旧を計画中としている。
那智山区の高木喜三区長から対応の報告を受けた岡﨑会長は「コンクリートでふさがず、アスファルト下の水を流す構造でないといけない」と主張。熊野那智大社の男成洋三宮司は「土中の水をせき止めないよう工事をしてもらわないといけない。県にも説明会を開いてもらわねば」と話した。
寺本眞一町長は「崩落箇所は町道ではなく県道。こちらから早急に県へ対応を尋ねる」と述べた。
会員からは仮設道路を敷設するべきという声も上がった。路線バスと観光バスの仮設駐車場や運行予定についても話し合われた。
本題の那智の滝源流域の環境保全も議題にあげ、ドローンの空撮映像から環境の変化を把握し、保全方法を模索した。那智川の流れにも過去の工事の影響で一部に無理が生じていると報告があった。
(2017年10月27日付紙面より)
太地浦くじら祭実行委
太地町で11月5日(日)に開催される「太地浦くじら祭」に向けて25日、実行委員会が同町公民館で開かれた。岡本光正実行委員長ら15人が集まり、予定している内容や運営の注意点を確認。来場者に気持ちよく祭りを楽しんでもらうための意見を出し合った。
例年、振る舞いの食べ物には人気が殺到してしまうことから、混雑を避け、なるべく多くのブースを回ってもらえるよう「整理券を配ってはどうか」、「開始の時間をずらしては」といった意見が挙がった。トラブルなく運営するため、今後も事務局を主体に検討を重ねる。
同祭は午前10時ごろから、太地漁港ふれあい広場で開かれる。荒天時は旧グリーンピア南紀の多目的ホールが会場となる。
同町の姉妹都市・長野県白馬村や、近年交流を深めている大阪市浪速区によるステージパフォーマンス、「鯨踊り」などの町の伝統芸能披露、町内外の加工業者や有志による販売ブースの出店などがあり、プログラムの最後には景品付きの「もちほり」も予定されている。
例年ステージでパフォーマンスを行っている町青年会(谷口武史会長)は、今年はクイズを企画。町に関する問題などを出す予定で、上位3位まで景品がある。谷口会長は「大人から子どもまで楽しめる内容を工夫しています。皆さんでお越しください」と来場を呼び掛けている。
(2017年10月27日付紙面より)
笑福亭鶴笑さん招き人権全体鑑賞会 (新宮高校 )
新宮市神倉の県立新宮高校(畑伸憲校長)で25日、人権全体鑑賞会があった。NPO法人「国境なき芸能団」の代表で、国内外で活躍し、社会貢献に取り組む落語家の笑福亭鶴笑(かくしょう)さんが、「笑いは世界の共通語。笑顔は笑顔の連鎖を生む。一緒に笑うと仲良くなれる」と、笑いと平和の大切さを生徒たちに伝えた。
鑑賞会はさまざまな視点から人権問題を考える機会にと毎年開かれている。鶴笑さんは世界各国で毎年人形を使った「パペット落語」公演を続ける国際派落語家。「国境なき芸能団」として国際交流や国際貢献に取り組み、公演実績は世界35カ国、100都市以上に上る。アフガニスタンの病院や難民キャンプへも笑いと救援物資を届けた。
鶴笑さんは「地上に平和を 人に笑顔を~笑いは世界の共通語~」をテーマに軽妙な語り口で、笑いを交えながら自身の経験を紹介した。勉強する習慣を身に付ける必要性や、「笑いは人間だけの特権。笑ったり、笑わせたりすることで世界中の人が仲良く慣れると思う」と笑いの大切さを話した。
紛争地域などでの体験も交え、「笑いは平和な空間でしか生まれない」と語り、難民キャンプでの出来事を挙げた。戦争の悲惨さなどを訴え「情報を得て、何が正しいかを見極めなければならない。戦争は戦争を、戦いは戦いを生むだけ。何の解決にもならない」と訴えた。イラクでの活動の映像を上映し、寄席を披露。会場に笑顔があふれた。
(2017年10月27日付紙面より)
集めたキャップ窓口に託す (高池小児童会 )
古座川町立高池小学校(大畑眞校長)の児童会(後口幸宏会長)が25日、ポリオワクチンを必要とする世界の子どもたちに向けた支援として集めたペットボトルキャップ3万6960個を最寄りの窓口・毎日新聞古座販売所に託した。
この取り組みは今から9年前、当時5年生の担任だった大畑校長が道徳の授業で「燃やせばダイオキシンが出て環境を悪くする。リサイクルすれば人の命を救うこともできる」とし、リサイクル素材として集めた同キャップの売却益を開発途上国の子どもたちに対するポリオワクチン接種費用に充てる運動があることを紹介したのがきっかけ。
命を救う方がいいと考えた5年生はさっそく全校集会で他の学年や教職員に協力を呼び掛け、全校規模で収集を始めた。以降、歴代の児童会が活動を引き継ぎ今日まで続いているという。
今回託したのは、昨年4月以降に集めた分。児童が家庭から持ち寄ったほか、取り組みを知った保護者が勤務先で集めたり地域の個人団体が町教委経由で託したりした分も含まれるなど地域ぐるみの成果だという。
この日は本年度前後期の児童会役員9人が寄付の段取りを整え、支援活動の筋道を仲介する毎日新聞古座販売所が放課後に来校して同キャップを預かった。大畑校長によると児童会は今後も収集を続けるそうで「小学生でも取り組めば遠くにいる子どもの命を救える。そのように世界へと視野を広げていける子どもをこれからも育てていきたい。児童が入れ替わるたびに目的が薄れやすい面があるので、今回の寄付が今通う児童の意識の高まりに結び付けば」と今後を期待した。
支援の先になるユニセフのポリオワクチン単価は1人分20円で、同キャップ約2㌔が1人分に相当するとされている。
(2017年10月27日付紙面より)
災害ボランティアセンターを設置 (新宮市社会福祉協議会 )
新宮市社会福祉協議会(向井一雄会長)は24日、新宮市福祉センター内に「災害ボランティアセンター」を開設した。台風21号で被害を受けた一般家庭の片付けや泥出しなど市内で手伝いが必要な人の要望を受け付けている。時間は午前9時~午後5時。専用電話は090・7356・6446、080・8332・4935で、内容によっては受け付けられない場合もある。
ボランティアも募集している。市内在住の人で1日2日の短期でも可能。午前9時から市福祉センターで受け付けており、直接センターに来るよう呼び掛けている。
市内では市田川沿いの王子地区や下田地区などで家屋の浸水被害が多く見られた。24日午後7時時点、市内全域で約1000世帯の被害が確認されている。センターは一人暮らしの高齢者や障害のある人たちからのニーズを受け、設置を決定。初日は25人の市民ボランティアが駆け付けた。23件の要請があり、畳の上げ下ろしや掃除などの作業にあたった。
ボランティアに登録した緑ヶ丘在住の60代の女性は「うちは床下浸水でした。午前中は友人の所を手伝ってきました。今日は予定があるので午後は活動できませんが、登録だけでもと思いました」。清水元在住の70代女性は「王子地区があれほどつかるのは初めてのこと。氾濫と聞いて避難しましたが、家は大丈夫だったのですぐに駆け付けました」。
阿須賀地区の60代女性は「雨もですが風が怖かったです。前(紀伊半島大水害)の時は来ていただいた側なので、今回はお返しをしたいと思いました」。作業した橋本の70代男性は「ボランティアセンター立ち上げの際にいた人間なので参加しました。熊野地のあたりで畳を出したりするのに並んでいる状態。王子も相当つかっているようでした」と話していた。
紀宝町社会福祉協議会は同日、町福祉センターに災害ボランティアセンターを開設した。29日(日)まで、台風21号で被害を受け、ボランティアが必要な人の要望を受け付けている。
問い合わせは紀宝町社会福祉協議会(電話0735・32・0957)まで。時間は午前8時30分~午後5時15分。
(2017年10月26日付紙面より)
台風21号の被害状況 (新宮市 )
新宮市役所防災対策課は24日、同日までに把握した台風21号による市内の被害状況を発表した。住宅の被害調査では同日午後7時時点で、一部破損46棟、床上浸水462棟、床下浸水428棟の計936棟と店舗など192棟が被害に遭った。
市では25日も市内全域を対象に約80人体制で被害状況の調査を実施している。
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市の国指定天然記念物「浮島の森」はすのこの破損や遊歩道脇の倒木などの被害があり、休園中となっている。再開の見込みは未定。
熊野古道「大雲取越」は那智勝浦町の石倉峠~地蔵茶屋跡間が倒木により通り抜けが不可となっている。熊野川町玉置口の瀞の郷は浸水によりトイレが使用不可となった。
新宮城跡では北と西の城跡斜面が崩落。西斜面は土砂が隣接する駐車場に流入したが、撤去済み。崩落が拡大する恐れがあるため、水ノ手郭への立ち入りを禁止している。
高田第1自然プールではトイレが天井まで浸水した。男・女トイレに泥が堆積し、扉が破損。屋根部分が中央で折れた。出入り口をテープで封鎖し、中に入らないよう措置を取っている。
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同市三輪崎では、23日午前1時、佐野川改修工事に伴い仮設橋に取り付けられていた仮給水管が佐野川の増水により落橋。給水管が破損し、付近の15戸が断水した。午前6時ごろから応急給水用ポリタンクを各戸に配布した。7時ごろから仮復旧作業に着手、11時30分ごろに作業が完了し断水が解除された。
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市消防本部では、台風21号関連で消防職員51人、消防団員111人が出動した。救助要請事案が38件、安否確認事案が3件あった。職員は市内の巡視、冠水地域からの救助要請対応にあたった。分団員は河川巡視活動と、樋門操作など、熊野川団員は河川などの巡視活動を実施した。
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南谷墓地では崩土により、墓石が倒壊。離れた位置の墓石にも土が飛散するなどの被害が出ている。場所は作家、中上健次の墓の周辺。
(2017年10月26日付紙面より)
太地中3年生が町議会を模擬体験
太地町役場議場で24日、町立太地中学校(城谷真司校長)の3年生による模擬議会が開かれた。
地方自治について学ぶ社会科の学習の一環として、平成23年から毎年行われている。実際の一般質問さながらの質疑と答弁が繰り広げられた。
訪れた18人の中から、2人の生徒が議長・副議長を務め、交替で議会を進行。9人の生徒が議員役となって登壇し、事前に学年全員で話し合った内容を1人二つずつ質問した。傍聴席では、他の生徒や町会議員らが答弁に聞き入った。
初めに三軒一高町長から「30年かけて町をクジラの学術研究都市とする」という施政方針が語られ、清潔で自然豊かな町にしようと取り組んできた経過や、議会の意義などについても説明がなされた。
議員役の生徒からは、避難路の整備やカーブミラーの設置など、防災や安全面に対する要望や、「トイレにクジラの飾りをつけてはどうか」といった提案、「道の駅の駐車場はなぜあの不便な形になったのか」、「『森浦湾くじらの海計画』について知りたい」といった質問などが挙がり、答弁を受けて追加で質問を投げ掛ける場面もあった。
進行を務めた感想を、議長役の矢田真那斗君は「席に座ると、偉くなったようで緊張した」、副議長役の田中結華さんは「なかなか見られない景色で、思い出に残る経験」とそれぞれ語った。
休憩中にも町長が生徒らの疑問に答える姿などが見られ、議員役の山本源也くんは「考えた質問に真剣に答えてくれて、町長や職員の方の町に対する思いが伝わってきた」と話した。
三軒町長は「将来を背負っていく子どもたちに、町の方向性を知ってほしい。実際の議会よりも気を遣うほどです。いい質問ばかりで、理解しやすいよう考えながら答えました」と話し、中学生が町政や議会に触れたことを喜んだ。散会後、生徒らは町長室など役場内部を見学し、帰途についた。
(2017年10月26日付紙面より)
文化セで県警音楽隊公演 (串本警察署 )
串本町文化センターで24日、県警音楽隊公演「おまわりさんのハートフル・コンサートinくしもと」があり、約400人(主催者発表)が演奏鑑賞を楽しみながら交通安全や防災・防犯への意識を高めた。
串本警察署(津田健治署長)主催、串本町共催。「みんなでつくろう安全・安心のまち みんなで守ろう交通ルール」をアピールする巡回公演で、同町域での実施は昨年10月に続きほぼ1年ぶりとなる。今回は夕方のみの一回公演、当日受け付けで来場を呼び掛けた。
同隊は昭和39年に結成。同59年にカラーガード隊を導入してアピール力を増し、現在は森敏三楽長を筆頭に25人ユニットでイベント時の啓発演奏や公演などの活動を重ねている。
この日のプログラムは同署交通課による寸劇を取り入れた3部構成。同隊は第1部でメドレー2曲と往年のテーマソング、第3部で著名なシリーズ映画やドラマの楽曲や洋楽、カラーガード隊のパネル演技を交えた歌謡曲を吹奏楽基調の音色で披露し、最終は和歌山県輩出の演歌歌手・坂本冬美さんの楽曲メドレーで締めくくった。
第2部では同署の東谷潤交通課長が登壇し、この日配った靴用反射材など薄暮時の安全対策に努めるよう呼び掛けた。続く寸劇は高齢ドライバーが反応速度の低下で事故に遭い、神様と○×クイズ数題の駆け引きをして助かる内容。観客2人も駆け引きに参加し、▽シートベルト無しの致死率は有りの13倍▽シニアカーは歩道通行可▽反射材は100㍍手前から見える―といった出題に挑戦した。
公演時間は約90分。県警音楽隊はアンコールに応えてさらに歌謡曲1曲を披露し、歌「ふるさと」の合唱を観客に求めて共に音楽を楽しんだ。同署は公演日時に合わせて同センターロビーで防災パネル展を開いて平成23年の紀伊半島大水害や東日本大震災、平成28年の熊本地震の各被災地における県警の災害支援活動を紹介したほか、プログラムと一緒に特殊詐欺被害の防止や免許証自主返納の推奨、異常気象への備えなどの各種啓発物資を配って防災防犯意識を促した。
(2017年10月26日付紙面より)
川端さん、弓場さんが優勝
新宮剣友会が奉納試合
日高中津の杉浦君(宇久井中出身)
平安時代の熊野詣でを再現する「あげいん熊野詣」(同実行委員会主催)が22日、那智勝浦町立市野々小学校の体育館で催された。台風21号の影響で予定を大幅に変更し、約100人が館内で行列をつくって歩いた。
「あげいん熊野詣」は1985年から始まったイベント。34回と最も多く熊野を訪れたという平安時代末期の後白河法皇の「熊野御幸」をモデルにしている。華やかな衣装を着た女性を中心に、平重盛、平維盛など熊野詣でゆかりの武士に扮(ふん)した男性も加わって大門坂を歩くのが本来のイベント。
今年は台風の影響で熊野那智大社と那智山青岸渡寺の参拝を中止するなど大きく短縮した。参加者は記念撮影した後、行列の雰囲気を体験してもらおうと体育館内を2周歩いた。神武天皇陵がある奈良県橿原市の職員4人もゲスト参加。後白河法皇役は県商工労働部の山西毅治部長が務めた。
長雄正紘実行委員長は「台風さえなければ。いろんなことが重なったが、キャンセルは少なかった。また来年来てくれるきっかけになれば」と次回への期待を込めた。
(2017年10月25日付紙面より)
きのくに線のアート巡る (紀の国トレイナート )
JRきのくに線の駅舎を舞台に展開するアートプロジェクト「紀の国トレイナート」(同実行委員会主催)が開かれている。29日(日)は「アート鑑賞列車DAY」で、ラッピングデザイン列車が御坊駅を出発。新宮駅までを巡り、戻りは紀伊田辺駅まで運行する予定となっている。
トレイナートは「トレイン(列車)」と「アート(芸術)」を組み合わせた造語で、きのくに線の駅舎にさまざまなジャンルのアーティストが作品を展開して楽しむイベント。地域の人々とアーティストが共に生み出した作品を鉄道がつなぎ、交流を深め、全世界から人々を引きつけて多種多様なネットワークがつながる場となることを目指している。
15日は「JAZZ列車DAY」のテーマで紀の国トレイナート号が紀伊田辺駅を出発。御坊駅~新宮駅、新宮駅~紀伊田辺駅を運行した。JR新宮駅では昨年、ジャズトランペッターの唐口一之さんとコラボレーションした新宮高校吹奏楽部メンバーが乗客らを演奏で出迎えた。
大阪府のデザイナー、河合進さんによる作品「水平線から手を振って」を使ったしゃぼん玉ワークショップもあった。子どもたちが魚型の作品を手に取り、尾ひれの部分に液を付けて手を振るとしゃぼん玉が作られた。
和深駅~新宮駅間ではさまざまなアーティストによる作品が展開されている。紀の国トレイナート開催期間は29日(日)まで。
(2017年10月25日付紙面より)
11月1日から町営バス (那智勝浦町 )
交通不便地域を解消しようと那智勝浦町は、町営バス下里線の運行を11月1日(水)から開始する。新路線の停留所となる同町役場下里出張所で20日、運行開始記念式典があった。太田地区の大江清一代表区長をはじめ路線内の各地区区長、運行委託事業者の株式会社クリスタルタクシー代表取締役・田中英司さんらが出席した。
バスは浦神東から下里天満で折り返し、下里出張所で太田線と接合する。小匠方面、勝浦方面へは乗り換えが必要。浦神東~瀬田、粉白~下里西は「フリー乗降区間」となっており、国道や駐停車禁止区域などでなければ停留所以外でも合図を送ることで乗り降りができる。
式典では寺本眞一町長のあいさつに続き、浦神西の並川廣区長が「地区の高齢者が喜んでいる。利用の多い高齢者目線での運行を」と求め、大江区長は中里地区の利用例などを示し「乗客が少ない日もあるかと思うが、無くてはならないもの」と述べた。
(2017年10月25日付紙面より)
橋杭岩が日本夜景遺産に (串本町 )
串本町は20日に栃木県足利市で開かれたイベント「夜景サミット2017in足利」に出席し、橋杭岩ライトアップの日本夜景遺産認定証を受けた。これにより正式認定となり、同町は「町を代表する観光資源にさらなる箔(はく)が付いた」と喜び、称号活用に意気込んでいる。
この遺産は、一般社団法人夜景観光コンベンション・ビューローが年次的に自治体などから推薦を受け付けて選考認定している。本年度で13回目を数え、「橋杭岩ライトアップ」は同町の推薦により7月31日付で本年度の新規認定地候補として発表された。
同町は認定証の受領が正式認定の条件とし、役場産業課の担当職員1人を同イベントに派遣。イベント会場でじかに授与を受けて称号を持ち帰った。区分は「ライトアップ夜景遺産」で、認定期日は上記発表日。同ビューローによる当面のアピール効果が期待できるが、中長期的には地元が称号活用を図るべきとし、同課はこの機に観光関係者との協議を深めてアイデアを練り上げたという。認定書は原本を役場本庁で保管し、写しを同駅に掲げて啓もうに資するとしている。
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本年度の橋杭岩ライトアップは11月3日(金・祝)から5日(日)まで3日間実施。点灯時間は午後5時15分~8時となっている。小雨決行、荒天中止。
「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界文化遺産登録(平成16年)を祝って初実施され、平成17年以降は同町が単独事業として継承。当初は単色だった光源が近年は多色化されるなど演出は年々充実していて、虹色に映ろう幻想的な光景で鑑賞を集めている。
同遺産認定は本年度の同ライトアップの冠になっているが、具体的な祝賀企画は今月23日現在未定。問い合わせは役場産業課(電話0735・62・0557)まで。
(2017年10月25日付紙面より)
那智勝浦町総体ソフトバレー
田岡実千年さん3選果たす (新宮市長選 )
任期満了に伴う新宮市長選の投開票が22日にあり、無所属で現職の田岡実千年さん(56)=自民・公明推薦=が前市議会議員との一騎打ちを制し、新宮市では約46年ぶりの3選を果たした。田岡さんは、勝利を祝うため選挙事務所に集まった大勢の支持者たちを前に「市民の声を裏切ることなく、渾身の力で新宮市政を頑張っていきます」と固く誓った。
超大型の台風21号の影響で、熊野川町内の国道168号で冠水や土砂崩れが発生。同町からの投票箱が開票作業場の市立総合体育館に届かず、午後8時20分から予定していた開票作業は約3時間遅れの午後11時30分から始まった。
投票日当日は台風の影響を受けることが予想されたことから田岡さんの陣営は、JR新宮駅前に設置していた選挙事務所をアーケード内にある仲之町サンタウンホールに移し、勝利の一報を待った。当確の情報が翌23日午前1時30分に事務所に入ると集まっていた支持者たちから「よかった」との喜ぶ声と拍手がわき起こった。
市役所に設置された災害対策本部から選挙事務所に車で駆け付けた田岡さんは、集まった支持者たちと抱き合い、がっちりと握手。勝利の万歳は市内で被害があったため自粛し、しらばく仲間たちと当選の喜びを分かち合った後、すぐに災害対策本部へ戻った。
田岡さんは集まった大勢の支持者を前に「深夜にもかかわらず、このように多くの支援者の方々にお集まりいただき、ありがとうございます。今回の7日間の選挙戦は雨ばかりで運動員の皆さんに苦労をおかけしました。そんな中、皆さん一人一人が自分のこと以上に『田岡を頼む』『田岡をよろしく』と真剣に訴えていただいたおかげで、この勝利があると思います。本当にありがとうございます」
「皆さんからいただいた『田岡頑張れ』という本当の真心をどうやって返していくかと考えましたが、新宮市をしっかりと魅力的なまち、誰もが『新宮市に住んで良かった』と新宮市を自慢できるようなまちづくりをしていくことが皆さんに対する恩返しだと思います。4年間一生懸命頑張りたいと思います。『市民の誰もが元気で心豊かに暮らせるまち』が私のまちづくりの青写真ですが、これを本物にしていくため、しっかりと渾身の力で仕事をしてまいります。引き続き、皆さまには田岡にご支援をいただくこと、あらためてお願いしたいと思います。田岡実千年、一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします」と深く頭を下げた。
後援会の前田徳男会長(73)は「皆さんの支えがあってはじめて田岡が、3期目というものに風穴をあけました。この期待に応えるよう田岡もしっかり頑張るつもりでございますので、今後ともよろしくお願いします」
後援会の泉巌幹事長(58)は「この勝利は市長を応援してくれた人たちの新宮人としての誇りとプライドの結果だと思います。投票日までの残り2日間は一段と雨が厳しい中、一段と多くの人に集まっていただき、約50年ぶりの3選を果たすことができました。本当にありがとうございました。自分たちの後援会の『当選させれば市役所に預けるだけ』という基本に基づいて、後は田岡市長に、市職員の皆さんと一緒に、みんなが喜ぶ新宮市をつくってもらいたい」
娘の里野さん(27)と美季さん(24)は「お父さん、おめでとう」と花束を贈呈。妻・さゆりさん(55)は「3選の壁は怖かったです。ハラハラドキドキでした。本当に心から応援してくれた方々のおかげです」と涙を流した。
今月16日から21日までの6日間実施された期日前投票の投票者数は1万490人(男4393人、女6097人)だった。前回の市長選(2013年10月)より3727人多かった。
投票日当日は台風が接近するとの情報があり、期日前投票は大幅に増えたものの投票日の投票者は6404人と伸びず、投票率は過去最低の68・62%だった。
(2017年10月24日付紙面より)
台風21号、熊野川で土砂崩れ (開票作業3時間遅れる )
台風21号は22日午後11時ごろ、紀伊半島に最接近し、熊野地方では暴風が吹き荒れ、激しい雨が降った。21日の降り始めからの雨量が新宮市で900㍉を超えるなど記録的な大雨となった。
選挙にも影響が出た。新宮市では熊野川地域の道路冠水のため、市長選、衆院選などの投票箱が届かず、開票が約3時間10分と大幅に遅れた。熊野川地域で山間部からの増水により道路が冠水。8カ所の投票所の投票箱が開票予定の午後8時20分までに市内の市立総合体育館まで届かなかった。午後9時ごろ同市熊野川町田長地区の国道168号で土砂崩れが発生したため、三重県内の国道311号を経由して、投票箱を運んだ。同11時30分に開票作業が始まり、終了は23日午前2時50分になった。
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■新宮市
新宮市の高田地区では23日午前6時時点の累積雨量が960㍉、三輪崎地区で919㍉を観測した。22日午後7時49分に市田川の氾濫が憂慮されたため、旧市内に避難指示が出された。市防災対策課で現在被害状況を調査中。市田川沿線の王子、熊野地地区で多数の浸水が確認され、他の地区など市内の広い範囲で被害が出ている。三佐木蜂伏地区では断水があった。23日午前11時現在、人的被害は体調不良による救急搬送が1件。
熊野川町日足、熊城、志古、宮井、相須地区では22日午後11時2分に熊野川の水位が上昇し、氾濫の恐れが出たため、避難指示が出された。熊野川町田長、行政局周辺で崩土、相賀で路面決壊が確認されている。
市が設けた29カ所の避難所には午後11時時点で440人が避難し、不安な夜を過ごした。
市総務課の防災担当職員は「被害数が多く、時間がかかると思う。今回は降り始めから短時間でかなりの雨量が続いた。あけぼのの市田川の排水ポンプをフル稼働し、氾濫には至らなかったが、ギリギリまで水が上がってきた。50年に1度の大雨と言われたように、これまでに無かったような雨。今後も訓練を充実しながら対応できるよう研さんを積みたい」と話していた。
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■那智勝浦町
那智勝浦町では22日午後6時に那智山、市野々、井関、川関、天満中村の那智川流域5地区と天満地区薬師谷、太田地区全域に避難勧告を発令。対象は2027世帯4037人に上った。
午後8時35分には下里、八尺鏡野、高芝の673世帯、1424人、太田地区の564世帯、1059人に避難指示が出された。
午後8時ごろに朝日の町道が陥没した。原因は不明で現在復旧作業に取りかかっている。23日午前1時ごろに川関で土砂崩れが確認された。いざかた通り一帯やゆかし潟前、甫子(ほこ)浦など町内の多くで冠水の被害が出た。
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■太地町
太地町では落石により片側通行の箇所がある。水ノ浦地区、新屋敷地区で冠水。町内で床上浸水1軒、床下浸水1軒の被害が出ている。町役場では調査を続けている。
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■串本町、古座川町
古座川町では高瀬地区で住宅浸水が4軒、月の瀬地区で1軒となっており、その他の地域は現在調査中。串本町では有田上で床上浸水が確認された。22日午後11時10分に潮岬で最大瞬間風速33・7㍍を記録した。
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■通行規制
国道168号線、新宮市磐盾~同市熊野川町宮井大橋間は22日午後8時30分から冠水、崩土のため全面通行止めとなっている。迂回(うかい)路はない。
北山村大沼地内の国道169号では23日午前1時10分から路側決壊により通行止め。迂回路はなし。
那智勝浦町川関地内の県道那智山勝浦線では23日午前1時30分から、崩土、落石により通行止めとなっていた。同日午前7時40分から片側通行を開始している。
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■きのくに線で運転取りやめ
JRきのくに線では23日、始発列車から夕方まで運転を取りやめている。新宮駅~串本駅間は線路設備不具合のため、終日運転を見合わせる。被害状況により運転取りやめが継続する場合がある。
(2017年10月24日付紙面より)
出雲地区と合同で防災訓練 (出雲小 )
串本町立出雲小学校(山路和彦校長、児童20人)と出雲地区(濵口智道代表区長)の合同防災訓練「防災ウオークラリー」が20日、出雲集会所を拠点にしてあり、全校児童と区民約20人が、地区内の低地から高台につながる道を確かめた。
津波避難を前提とした訓練に同校はかねて取り組み、大地震後に高台へ避難する意識を高めてきたが、その内容は区民にとっても同じく大切。共育コミュニティー活動の活発化に伴い、半田瑠美子共育コーディネーターを仲介として学校と地区が結びつき、前年度から合同実施するようになった。
前回は起震車による大きな揺れの体験、津波緊急避難路の確認、避難所設営の3項目を体験し、発災から避難所生活までのイメージを考えた。今回は津波から逃げ切る点に重点を置いて「防災ウオークラリー」を計画。児童と区民がチームを組んで、低地と高台を結ぶルートを舞台に競い合う内容で区民に参加を呼び掛けたという。
当日は区民約20人が参加。濵口代表区長に続いてあいさつした山路校長は児童が▽避難場所を知る▽非常食を知る▽区民とのふれあいを広げる―といった目当てを持って臨むことを伝えて協力を求め、森博司地域共育統括コーディネーターのルール説明を経て同ラリーを開始した。
区民のラリー参加は任意。希望者は5チームのいずれかに加わり、「コマ図」を頼りにして設定されたコース(集会所~県営前~旧小学校前~墓所前~渡船前~集会所)を予測して歩いた。途中には五つのチェックポイントがあり、海抜43㍍の旧小学校前のポイントでは「現在の場所に移ったのは何年前?」という課題に挑戦。他にコース沿いの植物5種類の葉の採集など、児童と区民が話題にできる出題をこなしながらゴールを目指した。
5チームが到着後は表彰もあり、上位チームには景品、全員に参加賞が贈られた。ラリー非参加の区民は地区と防災懇談会を実施。表彰後は役場総務課防災防犯グループ提供の災害時用備蓄食(アルファ米)や懇談会参加者らが炊き出したみそ汁を試食。同グループは併せてパーティーションや簡易トイレ、簡易ベッドの設営や映像教材上映といった諸体験も行った。
6年生の浦地葵さんは「今日のコースは今まで歩いたことがなく、先にはいろいろな場所があって自然もいっぱいあるのが分かった。いざという時に逃げ切る自信が増した」とコメント。
濵口区長は「いつもの低地は見て分かるように目の前が海。大きな地震があったらとにかく高い所へ逃げるしかない。そのことだけをとにかく考えてほしい」と期待した。同地区は29日(日)実施の町内一斉津波避難訓練に参加予定。今回の成果発揮を参加した区民に呼び掛けていた。
(2017年10月24日付紙面より)
LC杯東牟婁地方少女バレーボール大会
衆院選は二階さん、三ツ矢さんが当選
当落 | 得票数 | 候補者名 | 年齢 | 党派 | 現元新 |
---|---|---|---|---|---|
当 | 9,285 | 田岡実千年 | 56 | 無 | 現 |
7,562 | 並河 哲次 | 32 | 無 | 新 |
当日有権者数 24,960人
投票者数 17,128人
無効投票数 280票
投票率 68.62%
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当落 | 得票数 | 候補者名 | 年齢 | 党派 | 現元新 |
---|---|---|---|---|---|
当 | 6,124 | 河上 敢二 | 61 | 無 | 現 |
2,270 | 中田 征治 | 74 | 無 | 新 | |
1,367 | 山本 良正 | 57 | 無 | 新 | |
690 | 峪 照行 | 63 | 無 | 新 |
当日有権者数 15,160人
投票者数 10,658人
無効投票数 203票
投票率 70.30%
□ □
当落 | 得票数 | 候補者名 | 年齢 | 党派 | 現元新 |
---|---|---|---|---|---|
当 | 109,488 | 二階 俊博 | 78 | 自 | 前 |
40,608 | 楠本 文郎 | 63 | 共 | 新 |
当日有権者数 263,656人
投票者数 157,615人
無効投票数 7,515票
投票率 59.78%
□ □
当落 | 得票数 | 候補者名 | 年齢 | 党派 | 現元新 |
---|---|---|---|---|---|
当 | 99,596 | 三ツ矢憲生 | 66 | 自 | 前 |
68,978 | 藤田 大助 | 41 | 希 | 元 | |
15,724 | 谷中 三好 | 57 | 共 | 新 |
当日有権者数 312,991人
投票者数 188,899人
無効投票数 4,591票
投票率 60.35%
戦没者追悼式で誓い新たに (新宮市 )
新宮市社会福祉協議会(向井一雄会長)主催の新宮市戦没者追悼式が21日、市福祉センターであった。市内の戦没者遺族ら110人が参列し、先の大戦で国家のために犠牲となった諸英霊に対し追悼の誠をささげ、平和への誓いを新たにした。
式典では向井会長が「戦争を知る世代が少なくなり、悲惨な戦争の記憶は時代とともに遠のいている。世界では依然としてテロや地域紛争が後を絶たず、多くの人が傷つき苦しんでおり、真の世界平和への道のりはいまだ遠い」と述べ「戦没された方の尊い犠牲と、ご遺族の皆さま方のたゆみない努力の上に築かれた今日の平和と繁栄を二度と手放してはならない」などと式辞。
市遺族連合会の池上順一会長が、遺族を代表して「愛国の至情が今日に続く豊かな日本の礎となった。功績は亡き皆さまのご遺志の表れとしてわれわれ遺族の名誉とするところで、自由と平和を謳歌(おうか)できる今日があることに感謝するばかり。悲惨な体験を忘れがちであり、私も含め、知らない世代が多くなったが、辛苦と悲哀を後の世代が負うことはあってはならない。戦争のない世の中を後世に引き継いでいくよう尽力していく」と弔辞を述べた。来賓らの追悼の辞の後、参列者全員が菊の花を供えた。
(2017年10月22日付紙面より)
西田町長が鈴木知事と意見交換 (紀宝町 )
「知事と市町長の1対1対談」が16日、紀宝町防災拠点施設であり、鈴木英敬知事と西田健町長が地域の課題解決に向けて意見交換をした。
町長が要望したのは災害時の孤立地区解消、福祉医療現物給付、地域振興や財政支援など。「浅里や北桧杖地区等県道が遮断されると孤立する地区解消のために代替道路や橋の建設を、水道整備がなされていない地区には格段の支援を」と求めた。
知事は土砂崩れで通行止めの小船紀宝線について「6月には解除したい」と約束。県道の排水改善のため側溝整備にも取り組む姿勢を示した。地方創生交付金は早期の決定や事業要件の緩和など国に提案しているという。未就学児など福祉医療費助成の窓口無料化には、県から案を示す予定。老朽化した校舎の改築には単価の引き上げなど制度の改善を「国に要望したい」と回答した。
知事は紀伊半島大水害後のタイムライン作成など町の姿勢を高く評価し、町長も新宮紀宝道路早期完成や熊野市から紀宝町間の高速道路事業化に意欲を述べた。
(2017年10月22日付紙面より)
勝浦小学校で家庭科作品展
那智勝浦町立勝浦小学校で21日から、東牟婁小学校家庭科作品展が開かれている。22日(日)まで。
東牟婁小学校家庭科教育研究会(羽山悦雄会長)が主催して年1回開催している。
今回は196人の児童による200点以上の秀作を展示。手芸が中心で、手提げやクッション、ぬいぐるみなどの他、トマトの栽培の歴史や品種の特徴を調べた資料や、身近な植物を用いた草木染め作品と、その制作方法を合わせて展示したものもある。
同会の担当者は「よく考えられた力作ぞろいで、『こんなアイデアがあるんだ』と感心させられます」と話している。
22日は午前10時から午後4時まで開く予定だが、警報が出た場合は中止となる。
(2017年10月22日付紙面より)
京都橘大と記念植樹 (那智勝浦町 )
京都橘大学(京都市山科区)との交流を目に見える形で残そうと那智勝浦町は15日、記念植樹式を開き、細川涼一学長と寺本眞一町長がタチバナの苗木を植えた。強い雨の降る中、細川学長をはじめ同大学関係者らが訪れ、町との末永いつながりを誓った。
苗は学校法人京都橘学園創立115周年、同大学開学50周年に那智勝浦町が贈った樫(かし)の木の返礼として届けられた。寺本町長は開会のあいさつで、平成13年から続くという同大学との交流を振り返り、「大切に育てて将来は町のシンボルツリーに」と期待を込めた。
植樹には、同大学、町関係者のほか、那智勝浦町観光協会、南紀くろしお商工会、南紀勝浦温泉旅館組合、那智勝浦町民宿組合、紀州勝浦漁業協同組合の職員らが出席した。
細川学長は「京都市、滋賀県とも本学は交流があるが、ここまで長く緊密な関係は、那智勝浦町が随一。パートナーに選んでいただきありがたい。今後も堅固な関係を」と感謝した。
(2017年10月22日付紙面より)
第12回新宮市展の写真の部と洋画・デザインの部の審査会が15日、市立蓬莱体育館であり、入賞者が決まった。市展は11月4日(土)と5日(日)に市立総合体育館で開かれる。時間は午前9時から午後5時まで。最終日は午後4時まで。表彰式は5日午後3時から、総合体育館で行われる。
今回の市展には362人から455点の出品があった。内訳は▽洋画55人(55点)▽デザイン7人(7点)▽書114人(114点)▽写真27人(45点)▽生け花59人(59点)▽日本画4人(5点)▽俳画ちぎり絵その他32人(53点)▽木彫1人(2点)▽陶芸47人(86点)▽粘土1人(2点)▽アートフラワー1人(1点)▽手芸・編み物2人(4点)▽刺しゅう1人(2点)▽パッチワーク10人(19点)▽レース編み1人(1点)。
(2017年10月21日付紙面より)
初の芸術鑑賞行事 (近大新宮高校 )
新宮市の近畿大学附属新宮高校・中学校(川合廣征校長、生徒580人)保護者会(瀧川久哉会長)は19日、同校体育館で初の芸術鑑賞行事を開催した。生徒、教職員と保護者らが和歌山県内で活動する落語家、桂枝曾丸さんらの演じる古典落語に親しんだ。生徒が体験する一幕もあり、会場は笑い声に包まれた。
日本の古典落語を鑑賞し、日本文化の魅力を再発見する目的。日本古来の文化や考え方に触れ、歴史に対する興味関心を深める狙いもある。行事は今後3年に1回の頻度で実施していく予定となっている。
桂さんは落語の成り立ちなどを解説。生徒10人が手拭いや扇子の使い方、太鼓、人の表現などを舞台の上で実際に体験し、観客らの笑いを誘った。露の眞さん、桂あさ吉さんらが古典落語や英語落語、太神楽曲芸師のラッキー舞さんが神楽を披露。トリは桂枝曾丸さんが『七度狐』を演じ、会場は笑いと拍手でいっぱいになった。
瀧川会長は「当地方では文化的な行事が少なく、地元でやってほしいと思いました。枝曾丸さんが中学生、高校生に落語を伝えるために来てくれて感謝しています」と話していた。
(2017年10月21日付紙面より)
潮岬中3年生が調理体験 (串本町 )
串本町立潮岬中学校(藤本弘子校長)の3年生が19日、家庭科の一環で炊き出しに挑戦した。潮岬地区自主防災会(木山誠彌会長)の協力を得て、米6升半分の塩おにぎりと7・2㍑のサツマイモのみそ汁を調理。学んだことの延長で自分たちにも炊き出しができることに気付くなど、家庭や学校ではまずできない貴重な実践経験を積んだ。
この挑戦は前年度、義務教育の中で炊き出しを経験させたいと考えた同校が同会に協力を求めて計画した。藤本校長によると、将来の発生が予測される大地震が日中に起こった場合、校区内にいるのは高齢者と中学生以下が大半。その状況で避難所生活を始めると中学生の役割は大きいと考えるさなかに同会の炊き出し訓練を見て、「これを生徒に(できることとして)経験させたい」と思い同会に相談したという。
時期的な感染症を警戒して年度中には行えなかったが、その分準備をしっかりと整えて実現にこぎつけた。今回は生徒教職員全員とこの日来校した同会会員分の塩おにぎり、3年生や教職員と同会員分のサツマイモのみそ汁を炊き出しする内容で、同会は炊き出し用として備蓄している3升炊きのガス炊飯器と容量60㍑の大鍋を貸し出し。各材料の分量計算は教員があらかじめ行い、生徒は調理を担当といった役割分担をし、同会女性会員から段取りを教わりながら目標の量を仕上げた。
生徒の石川朝香さんは「すごい量だったけど、先生が分量を計算してくれたので難しいとは感じなかった。自分たちにも炊き出しができると分かり、今後協力する自信もついた」とコメント。
材料のサツマイモを自分の畑から提供して見守った木山会長(78)は「生徒にはこれから先どの地域に行くにしても、地域のリーダーとなり何か人のお役に立つことができる人であってほしい」と期待し、今後も学校と協力して歴代生徒の炊き出しを支援するとした。併せてこの経験はどの中学生にも意義があるとし、この機に潮岬中をモデルにして他校に実施の裾野が広がればとも期待した。
挑戦の様子は役場総務課防災防犯グループも見学し、枠谷徳彦グループ長は津波緊急避難後の事を考えたよい取り組みだとたたえるなどした。
(2017年10月21日付紙面より)
新宮の名物や名所を世界に発信してもらおうと新宮市観光推進キャンペーン協議会は16、17の両日、市内で「インバウンドファムツアー~新宮の寿司を楽しむ~」を開催した。外国人ライターたちが、さんま寿司(ずし)などを試食し、市内の名所を巡った。
参加したのは台湾、オランダ、アジア系オーストラリア人ライター4人と訪日外国人向けツアーをネット販売する「Voyagin(ボヤジン)」の担当者。徐福寿司、柿乃肴、東宝茶屋、鹿六などを訪れ、昆布巻き、なれ寿司などを味わった。
市観光ガイドの会、西田晴胤会長の案内で神倉神社、阿須賀神社、新宮城跡などを訪れた他、16日には熊野速玉大社例大祭「御船祭り」「御旅所神事」を見学した。取材記事は英語と中国語でネット、SNSで発信する。
マグロの寿司にサンズと塩を振って食べたアレクサンダー・スタンコフさんは「ものすごくおいしい。この食べ方は初めて。さんま寿司や熊野牛も初めて食べました」と絶賛。「新宮はコンパクトでいい。世界に発信すればたくさん外国人が訪れると思います」と話していた。
(2017年10月21日付紙面より)
愛好者への技術指導とダブルス大会
中体連新人バレーボール大会
東牟婁地方中学校新人バスケット大会
新宮市出身の谷口暁理君(大阪・浪速高校)
サ市訪問団フェアウェルパーティー (新宮市 )
新宮市の姉妹都市アメリカ・カリフォルニア州サンタクルーズ市(サ市)のシンシア・チェイス市長らをはじめとする12人の訪問団を見送るフェアウェル(お別れ)パーティーが18日夜、新宮市井の沢の新宮商工会議所で開かれた。来賓や市民が出席する中、料理と歓談を楽しむなど最後まで思い出を作った。
訪問団は13日に日本の文化体験、市民や関係者との触れ合いなどを通し、さらなる友好関係を築く目的で来新。熊野速玉大社例大祭の見学や茶道、座禅の体験などをした。
両市の交流は新宮市内の合気道熊野塾で修行していたサ市出身のメリー・ハイニーさんら4人の提唱で始まった。1974年に姉妹都市関係を結んでいる。
パーティーではチェイス市長がサ市についてプレゼンテーションをした。歓談では各家庭から持ち寄った料理や若手飲食店経営者らで結成する「心食会」会員らによる料理が並び、それぞれ好きなものを取って味わった。この日誕生日を迎えた出席者らを祝うサプライズもあり、会場には笑顔があふれた。
亀井寿一郎副市長は「皆さまが訪れたことで、両市の絆がさらに深まることになった。固い絆がこれからも末永く続くことを願っています」とあいさつ。
チェイス市長は「たくさんの新しいつながりができ、喜びもたくさん見た。一緒に過ごすことで互いに学び合えた」と語り、心のつながりができたと話した。
サ市姉妹都市委員会のエイドリアン・ハレル会長は「皆さんが作ってくれた時間は貴重な意味があり、ありがたく感じた」と述べた。滞在中にメンバーと43年間の姉妹都市について話し合った際に「姉妹都市という名前で交流をしていたが、奥にあるのは家族と家族、個人と個人のつながりが重なり、今に至ったと結論が出た」。
「『未来』に対し姉妹都市の関係は明るい」とし、インターンの派遣や留学生の受け入れなど、今後の交流に言及。「今回示してきた厚い友情と姉妹都市の関係で好意を寄せてしていただいたこと、心からお礼を言いたい」と感謝を込めた。
姉妹都市親善協会の岩澤卓会長は滞在中を振り返るなどし、今後ますますの交流に期待を寄せた。
(2017年10月20日付紙面より)
江戸千家宗家の川上閑雪家元
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で15日、新宮生まれの茶人・川上不白(1719―1807)を流祖とする江戸千家宗家蓮華菴の川上閑雪(かんせつ)家元(87)の献茶式があった。
地元や全国から門人が集まり、約100人が参列。厳粛な雰囲気の中、濃茶と薄茶の2椀(わん)をたてて神前に献じた。
不白は紀伊新宮藩水野家に仕える藩士の次男として生まれる。若くして茶人としての力量が認められ、32歳で江戸に出て千家流茶道を広めた。皇族、大名、旗本から町人まで階層に関わらず指導したことで知られる。2007(平成19)年12月、新宮市内で開催された「没後二百年記念 茶人川上不白を偲ぶ茶会」の際、宗家所蔵の不白寿像から「宝珠双龍紋」が見つかった。不白は龍神信仰に傾倒していたといわれていて、背景には故郷熊野の「那智の滝」への崇拝があったと考えられている。これが縁で翌年の08(平成20)年から同大社で献茶を続けている。10回目となる今年は同大社の創建1700年記念の年と重なった。
男成宮司は「大きな節目の年に献茶も10回目。昨日の式年大祭にも参列くださり、当社の神様もご感応いただいていることと思います。これからも毎年お越しください」とあいさつした。
閑雪家元は「早いものでもう10年になりました。新宮生まれの流祖も那智の滝を訪れたと考えています。今年も無事に献茶ができ、ありがたい思いです」と話した。
(2017年10月20日付紙面より)
金融機関で窓口対応訓練 (串本警察署 )
串本警察署(津田健治署長)と紀陽銀行串本支店(和田好宏支店長)は18日、特殊詐欺対応訓練に取り組み、窓口における特殊詐欺被害防止のための手順を実践した。
同署は特殊詐欺被害を未然に防止するため、管内各金融機関などと連携してさまざまな対策をしている。この訓練は被害者にとって水際となる窓口の被害防止対応をいっそう確実にするため、県警特殊詐欺被害防止アドバイザー(警察官OB)がだまされている高齢者役を演じて来店するという内容で計画した。
行員には同日に対応訓練を行うことだけ伝え、いつ誰が高額出金を申し入れてくるかは伏せた状態で実施した。高齢者役は営業時間中に来店し一般客に混ざって高額出金を窓口に申し入れ、行員は理由を尋ねつつ別の窓口へと案内。同時に他の行員が警察へ通報し最寄りの警察官が駆けつけて立ち会う中で上役がチェックシートを交えて特殊詐欺に遭っていないかを確かめた。
高齢者役は「自分はだまされていない」「閉店まで時間がない。急いでいる」と行員の確認を拒むそぶりも見せ、行員は「大切なご預金を守りたい」と思いを伝えて食い下がり確認。高齢者役に思い当たる節があるチェック項目を示して、出金を踏みとどまらせた。
訓練想定は、高齢者役が老人ホーム入所の準備金をレターパックで送るために出金を求めたという内容で、始終を見届けた同署生活安全刑事課は「今回は未然に防げたという点でよく対応できていた。実際は特殊詐欺犯人にだまされ信じ切っているので、行員の話をまともに聞かない人も多数いると思う。そういう時は遠慮なく警察に通報し、警察官が来るまで引き留めてほしい」と講評。
高齢者役を演じた更谷正人アドバイザーは「だまされている高齢者は犯人に言いくるめられてから(出金に)来る。だから事情を聞いても本当のことを言わず、行員に強く当たることも多々ある。今日はそのあたりの状況を演じた。金融機関の皆さんにはいろんな面で苦労もあろうが、自分の顧客を守るという観点で事情を聞き警察に通報してほしい」と役に込めた思いを語った。
(2017年10月20日付紙面より)
避難路ウォークとワークショップ (太地町 )
太地町赤十字奉仕団(和田千明委員長)は18日、「避難道ウォーク&ワークショップ」を催した。団員14人と町民4人が参加し、同団員で「たいジオ」ガイドの久世滋子さん案内のもと妙見山の避難路を散策した。
同ウォークは年1回開いており、今回で2回目になる。ワークショップは県支部の助成金を受けて行われており、今回は安全ピンとビーズを使ってブローチを作った。これらを通して、津波の避難場所と奉仕団の活動を知ってもらう狙い。
今回訪れた避難路は海抜41・3㍍の広場につながっており、平成16年度に県道240号線沿い(飛鳥神社付近)の階段を、同24年度に水ノ浦地区の階段を整備した。
参加者一行は飛鳥神社を出発し、道中の細かな避難路や町の史跡などの説明を受けながら、水ノ浦の避難階段へ向かった。妙見山の避難路では足場を確かめながら登り、安全性を確認した。
飛鳥神社に戻るとワークショップに取り組み、安全ピンの針に赤、白、緑などのビーズを通してオリジナルブローチを作った。
(2017年10月20日付紙面より)
委員ら7人が意見や提言 (新宮警察署協議会 )
今年2回目の新宮警察署協議会が17日、同署で開かれた。橋本昭彦会長ら7人の委員らが出席し、人材確保や速度取締指針など4項目について各課長から説明を聞き意見を交換した。
同協議会は管轄区域内の地域安全や警察署の業務運営について、住民の声を代表する委員から意見を聞き、より良い運営を検討する機関。県内14署に設置されている。
優秀な人材確保に関して、警務課が県警職員全体の中で管内出身者の割合が減少していることや署で勧誘した人材の受験合格者が少ない状況を説明。小学生の訪問対応、中学生対象の「ミニ警察署協議会」、高校生への勧誘活動と業務説明会を開くなど、年代に応じた取り組みをしていると述べ「今後も警察の仕事に魅力を感じ、五感で感じて理解してもらうという活動を通じ人材確保を図っていくつもり」と紹介し、意見を求めた。
委員からは、「警察の活動、日々の生活の中で治安を守るのがすごいということなど、良い部分を発信していけばいいのではないか」「親世代に向けてのPR活動」などの提案があった。
交通課は管内の事故件数と特徴を挙げた。速度取締指針について、警察協議会で意見を確認し指針を策定したいと説明した。
来年度は国道42号(橋本地区から三輪崎地区)で時間は午前6時~午後2時と午後6時~午後10時、国道168号(相賀地区から熊野川町東敷屋地区)で午前8時~午後4時とする案と理由を話した。委員からは今年4月に運用を始めた「ゾーン30」の状況について質問が挙がった。
(2017年10月19日付紙面より)
新宮・東牟婁の対象者は約1830人 (和歌山県 )
和歌山県教委は18日、県内の公立小中学校と特別支援学校の児童生徒を対象に学習到達度調査を実施した。児童生徒の学力の定着状況をきめ細かく把握し、指導法の工夫と改善に役立てるのが目的。個に応じた指導を充実させ、学習内容の定着を図る狙いもある。
対象は国立、県立、市町立の小学校、義務教育学校前期課程と特別支援学校小学部の4・5学年239校、約1万5500人。中学校、義務教育学校後期課程、特別支援学校中学部の1・2学年124校約1万5200人。新宮東牟婁地方では小学校25校約940人、中学校18校約890人の児童生徒らが取り組んだ。
調査教科は小学校第4学年と中学校第1学年は国語・算数(中学校は数学)、小学校第5学年と中学校第2学年は、国語・算数に今年から理科が加わった。当該学年の9月末までの学習内容と、前学年の学習内容について、基礎、基本的な知識・技能を問う問題と、身につけた知識・技能を活用する力を問う問題で構成されている。調査結果は来年12月下旬に市町村の教育委員会、学校、児童生徒に返す予定。
昨年度の結果では、小学校の国語で文章の解釈などに、算数では考え方や手順を説明する問題などに課題がみられた。中学校の国語では、日常生活での使用頻度が低い言葉の読み書きや記述の問題などに、数学では必要な情報を読み取り数学的に処理する問題や、理由を説明する問題などに課題が出ていた。
県では子どもの確かな学力の向上を目指し、課題解決に向けた取り組みを学校と協力して推進している。
(2017年10月19日付紙面より)
茶道裏千家淡交会近畿第二学校茶道連絡協議会(千賀宗一委員長)の第33回研修会が15日に串本町サンゴ台にある串本ロイヤルホテルであり、会員168人が研さんに励んだ。
この研修会は、次代を担う青少年に茶道を伝える最前線に立つ会員の資質を高めるため年1回実施。会場は近畿第二管内(大阪府と和歌山県)の7支部で持ち回っていて、本年度は南紀支部(九鬼家隆支部長)の南紀学校茶道連絡協議会(関宗重委員長)が主管になって準備した。
同支部は紀伊半島東南部を管内とするが、今回は最遠の大阪北支部も日帰りできるよう串本町を会場地にし、先だって呈茶や昼食会も開いて会員が集う好機に親交を深める機会も提供した。
研修会実施にあたり、主催主管を代表して近畿第二学校茶道連絡協議会副委員長でもある九鬼支部長〈熊野本宮大社宮司〉は、大宗匠や家元の茶道継承にかける思いを振り返りつつ「茶は人に元気を与える和みであるべき。幼稚園や保育所、学校の協力を得て献身を積み重ね、笑顔が絶えない地域づくりに貢献する中で茶を話題にしてもらえるよう力を発揮してほしい」とあいさつ。
来賓を代表して和歌山支部の小関洋治副支部長は「日本文化に関心を持つ外国人観光客以上の理解を子どもに託す最前線に皆さんがいる」と位置付け、よき指導の実践を期待して盛会を祝った。永年勤続者表彰もあり、被表彰者8人の1人として南紀支部の阪口宗朝さん(県立新翔高校担当会員)が誉れを受けた
今回の研修主題は▽総本部あいさつ・報告(講師は茶道裏千家淡交会総本部総務部の吉本恵主任)▽熊野の歴史『熊野曼荼羅の絵解き』(講師は国際熊野学会の山本殖生副代表)▽事例発表『和歌山県立串本古座高等学校の活動報告』(講師は同校茶道部の濵口茉子顧問)―の三題。
吉本主任は総本部や家元の近況を報告し、併せて学校茶道連絡協議会全体の現状を報告。「一番の課題は卒業後の茶道継続をどう図るかにある。学校茶道を卒業しても青年部があり、先生について社中となって習い続けることができる。淡交会は全国組織で、学校茶道の生徒が進学や就職で他所に移っても最寄りの習える場所を紹介できる」と伝え、卒業後の事情で身に付けた茶道を断念させない働き掛けを求めるなどした。
(2017年10月19日付紙面より)
消防団分団車両更新配備 (串本町 )
串本町は17日、同町消防団田並分団(交田恵司分団長)に消防ポンプ自動車、同団古座分団(関戸啓善分団長)に小型動力ポンプ付軽積載車をそれぞれ託した。
老朽化が進んだ旧車両の更新配備。田並分団の旧車両は平成6年に導入され23年、古座分団の旧車両(小型ポンプ付普通積載車)は平成5年に導入され24年、といずれも消防車両の耐用年数の最大値(20年程度)まで運用されていた。
田並分団の新車両はベース車がRV車からトラックに代わり、ポンプ性能はほぼ同等だが時代相応に電子化が進んでいる。古座分団の新車両は狭路も多い地域性を考慮し、ベース車を普通トラックから軽トラックに変更。小型ポンプは2ストロークから4ストロークに代わり、本体重量が98㌔と可搬式としては重量級になるが低騒音で新旧同等の性能を発揮するという。
この日は同町サンゴ台にある消防防災センターで納車式があり、田嶋勝正町長は「昨年は7件、今年は5件と火災が発生している。これから冬を迎え、火を使う機会も増える。この車両に一日も早く慣れていざという時に十分活用できるよう願いたい」と両分団長に希望。代表して交田分団長は「放水の際は消火活動に無駄を生じさせないよう努力する」と述べて配備に感謝した。
式後は和歌山日野自動車株式会社新宮営業所や有限会社ワカボー=田辺市=が操作方法を説明。交田分団長は走行安定性の向上、関戸分団長は機動力の向上を新車両に期待し、車両更新に臨んだ。
同町は本年度、両分団のほか古座消防署の消防ポンプ自動車1台を来年3月に更新する予定。
(2017年10月19日付紙面より)
国重要無形民俗文化財(重文)の熊野速玉大社(上野顯宮司)例大祭は16日、雨の中、神輿(みこし)渡御式と御船祭・早船競漕(きょうそう)が営まれた。
熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)の神霊が神馬に乗った「ヒトツモノ」に先導されて市内を巡り、熊野大橋上流の「神遷(うつ)し場」で朱塗神幸船に遷されると、旧丹鶴小学校裏河川敷の下札場から9隻の早船が一斉にスタート。上流にある御船島を3周回り、上札場を目指す約1・6㌔のコースで競い、阿須賀区が15分22秒の記録で昨年に続き優勝した。阿須賀区のとも取りを務めた栗栖達也さん(43)は「スタートが悪ければ焦ってしまうこともあっただろうが、スタートが上手に決まり先頭に立つことができたのはできすぎだった。そこで優勝を確信した。勝って当たり前みたいにいわれていたので、2連覇に関してはプレッシャーもあった」と話した。
熊野川河原の乙基(おとも)の御旅所では、前日同様に御旅所神事が営まれた。
■早船競漕の結果
【上り】
①阿須賀②王子③千穂④相筋⑤丹鶴⑥堤防⑦神倉⑧明神⑨春日
【下り】
①丹鶴②王子③堤防④阿須賀⑤春日⑥神倉⑦明神⑧相筋⑨千穂
(2017年10月18日付紙面より)
自転車鍵掛けコンテストで (新宮市 )
和歌山県警察本部が今年5月8日から9月30日に掛けて実施した「きしゅう君の自転車鍵掛けコンテスト」で、新宮市の近畿大学附属新宮高校(川合廣征校長)が特別賞を受賞した。16日には同校で表彰伝達式が行われ、高校生徒会の湯﨑翔貴副会長(2年)は「一人一人が意識を持ち、取り組んでくれてうれしい。努力が無駄にならなかった」と語った。
コンテストは生徒らによる啓発活動を通じ、校内の駐輪場での施錠率を競う高校対抗の催し。高校生の鍵掛け意識の向上を図り、自転車盗を減少させようと、昨年に続いて実施された。今回は県内22校23校舎がエントリー。施錠率と啓発活動などの取り組み状況を総合的に評価され優秀校が選ばれた。11日に和歌山県民文化会館で開催された「安全・安心まちづくり県民大会」で表彰式が行われたが、近大新宮高校は出席できなかったため、伝達式が開かれた。
同校は校内だけでなく、新宮警察署と協力しての街頭啓発活動も実施した。式には県警本部の生活安全企画課犯罪抑止総合対策室の﨑口忠室長が訪れ湯﨑君に賞状を手渡した。和歌山県内では9月末現在で738件の自転車盗が発生し、うち高校生の被害は262件で全体の35・5%を占める。﨑口室長は県内の状況を紹介し「引き続き施錠をし、被害に遭わないようにしてほしい」。
湯﨑君は「警察と合同や生徒のみの啓発があり、一人一人に声が通るよう意識しました。今後も活動が広がり、つながっていけば」。川合校長は「働きかけにより防犯意識が高まり、事件事故を未然に防ぐ意識の高揚につながれば」と話していた。
(2017年10月18日付紙面より)
熊野那智大社で奉祝記念行事 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の熊野那智大社御創建1700年・那智山青岸渡寺西国三十三所草創1300年記念事業実行委員会は14日、同町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)拝殿と別宮飛瀧神社で、「~甦りの旅は、祈りの熊野から~」をテーマに記念行事「熊野の祈り」を開いた。雨天のため内容は一部変更となったが、祈りの祭典やさまざまな奉納行事があった。
飛瀧神社では同町の川上邦子舞踊研究所が、『熊野に生きる・・・祈りの道』をテーマに、創作舞踊を奉納。滝をバックに川上代表と門下生が、華やかな迫力ある踊りで参拝客らを魅了した。
午後5時から大社拝殿に会場を移し、ピアニストの中野雅子さんによるオープニング演奏の後、花井啓州実行委員長(同町観光協会会長)が「本日の『熊野の祈り』を機に、日本はもとより、世界に向けて自然の恵みに感謝する心と祈りの姿をよみがえりの聖地、熊野那智山から発信したい」とあいさつ。来賓の寺本眞一町長が祝辞を述べた。
祈りの祭典として、同大社神職が祝詞を奏上し『浦安の舞』を奉納。代表で花井委員長が玉串をささげた。続いて那智山青岸渡寺(高木亮享住職)の高木亮英副住職ら熊野修験による山伏問答などの法要があった。
最後に、元NHKキャスターで語り部の平野啓子さんが、『熊野那智大滝と日本人の心の物語』と題して、古代日本の神話など、語りの世界を繰り広げた。物語はイザナギ、イザナミ両神の出会いの場面から始まり、ユーモアを交えながらの平野さんの語りに来場者が聞き入った。
祭り見学が趣味という三重県志摩市の大城美由紀さん(37)は「平安衣装を着てみたかった。雨で残念でしたが今日のような記念の日に来れてとてもうれしい。ご縁を感じます」と笑顔で話していた。
(2017年10月18日付紙面より)
古座川町消防団実働訓練
古座川町消防団(前田稔団長、団員112人)の実働訓練が15日に町民体育館であり、団員51人が出席して礼式や自動体外式除細動器(AED)操作を含む心肺蘇生法の実践に取り組んだ。
この訓練は、消防署員指導の下で技術向上を目指す全体訓練として年1回実施。断続的に行われていた分団単位での定例訓練がない今は、出初め式と並んで団員の士気を高める好機にもなっている。
例年、蔵土多目的広場を拠点にして午前に礼式、午後に放水の各訓練項目に取り組んでいるが、本年度は当日雨天のため屋内で開く形となった。
実施にあたり駆け付けた西前啓市町長は「緊急時の対応には難しい現状もあろうが、こういった訓練で技術を身につけ町民が安心して暮らせるよう尽力を願いたい」と述べて激励。前田団長は「天候が悪くいつもより短い時間での実施なので、頑張ってよく勉強してほしい」とし、鋭意実践を促した。
指導は団と連携関係にある串本町消防本部古座消防署や同七川分駐所の署員6人が担当。訓練時間は3時間とされ、団員は2組に分かれ入れ替わる形で礼式と心肺蘇生法を署員から教わり、実践して技術の習得に努めた。
同訓練の始終を見守った前田団長は「年1回なので一度に全部を身につけるというのは難しいだろうが、ちょっとずつでも知っていけばそれが現場で役に立つものだ。団員は火事ばかりでなく、時には人命救助が必要とされる場面に遭遇することもあり得る。今日はそういう面で一人でも多くの団員に学んだことを頭の片隅に留め置いてほしい」と団員に期待するところを語った。
(2017年10月18日付紙面より)
もみじ会が10月コンペ
和歌山県中学校秋季陸上競技大会
東牟婁地方中学校新人ソフトテニス大会
国の重要無形民俗文化財(重文)の指定を受ける熊野速玉大社(上野顯宮司)の例大祭「新宮の速玉祭」が15日、午前に行われた「本殿大前ノ儀」で幕を開けた。
大勢の氏子らが参列。雨が降るあいにくの天候の中、日曜日ということもあり大勢の観光客に見守られながら、上野宮司が祝詞を奏上し、4人のみこが世界遺産登録記念御神楽の「神なぎの舞」を奉奏した。弓矢八幡(白浜町)の鎮魂放生会による神楽の奉納も行われた。
午後からは、速玉宮の祭礼で主神の速玉大神(はやたまのおおかみ)の神霊が神馬で渡る特殊神事の神馬(しんめ)渡御式が営まれた。
御霊を上野宮司が懐に抱き、弓、剣などの神宝を手にした神職や神子、稚児らとともに阿須賀神社へと向かった。阿須賀神社での神事後、御霊を神馬に奉安して速玉大社へと還御。本殿に奉安して神事が行われた後、再び神霊を神馬へと遷(うつ)し、御旅所へと渡御した。
熊野川河原の乙基(おとも)の御旅所では、「杉ノ仮宮」に神霊が遷されると、神子が「鈴剣の舞」を舞って神霊を鎮めた後、掛魚(かけうお)や「オミタマ」という特別な神饌(しんせん)などが供えられ、赤々と燃え盛るたいまつの明かりを受けて、上野宮司が祝詞を奏上。神恩感謝、皇室、国家の安泰と世界平和への祈りがささげられた。
今年の神子は、紀宝町立井田小学校6年の大江歩心(あこ)さん(12)と森倉みのりさん(11)が務めた。
(2017年10月17日付紙面より)
会場や内容変更し開催 (新宮秋まつり )
新宮市の駅前広場と中央通りで15日、「新宮秋まつり」が開催された。参加団体は雨の中、熱気あふれる創作踊りを披露した。同日開催予定だったお祭り新宮節、熊野速玉大社での子どもみこしや手踊り、新町一丁目会場での創作踊りは雨天のため中止。プログラムも一部変更しての実施となった。
新宮秋まつりは、市、新宮商工会議所、市観光協会でつくる実行委員会が主催。熊野速玉大社例大祭を盛り上げる目的で始まった商工祭を前身として、20年以上続く催し。
昼の部は新宮駅前広場、夜には中央通りで華やかな踊りが披露され、通りには雨の中多くの見物人が訪れた。各団体の踊り子が入り混じった総踊りもありにぎわった。
(2017年10月17日付紙面より)
ジュニア駅伝串本町チーム
和歌山県市町村対抗ジュニア駅伝競走大会に向けて14日、串本町チームの合同練習が同町サンゴ台にある総合運動公園で始まった。同日現在、小学5年生~中学3年生26人が選手候補として参加。久保浩子監督ら指導の下、週1回の同練習や週5回の自主練習、町内近隣の長距離走大会出場や大会コース試走などの経験を積んで出場を目指すという。
この大会は、青少年のスポーツ振興と健全育成、青少年の目標達成のための地域活性化を図る目的で年1回(2月の第3日曜日)、紀三井寺公園~県庁間10区21・1㌔コースを設定し、市町村ごとに小学5年生~中学3年生で結成したチームを参加対象にして実施。1市町村あたり1チーム(通称・選抜チーム)を順位認定対象とし、2チーム目以降はオープン扱いで記録計測のみ行う仕組みになっている。
串本町チームは近年、選抜とオープンの2チームを結成して出場。前年度の選抜チームは歴代最高となる記録1時間12分45秒で8位に入賞し、オープンチームも歴代記録をさらに縮める成績を収めて町域に大きな喜びをもたらした。同時に県内町勢の筆頭になり、選手層が厚く上位入賞の常連になっている市勢をいかに上回るかが今後の挑戦における大きな関心事になっている。
本年度の合同練習は、これまでより1カ月早いタイミングで開始。久保監督がかねて希望してきた前倒しで、より高いチームワークの醸成が狙いだという。
旧来は11月下旬に合同練習を始めていたが、間もなく度胸づけのために取り入れている町内近隣の長距離走大会出場のシーズンを迎えてしまう。今回はその前にしっかりと醸成を図るとし、継続参加を目指す選手候補が年間を通して自主的に練習に励んでいることから前倒しは可能、とチームを支える同大会串本町実行委員会も判断したことで実現した。
合同練習の開始にあたり、副団長候補の潮﨑伸彦教育長がチームを激励。久保監督は「前回よりさらに1秒短縮」を全体目標として位置づけ、そのためにどう頑張るかを選手候補個々に発表させて指導を始めた。この日は▽ウオーミングアップ(1200㍍ランニング)▽フォームトレーニング▽1000㍍記録計測▽クールダウン―に取り組み、久保監督の采配で山本人和君(串本中3年)を男子キャプテン、濱中凜さん(潮岬中3年)を女子キャプテンに指名するなどした。
本年度は将来の選手を目指す小学4年生以下の参加も受け入れ。同実行委員会事務局によると選手候補は今後も数の増減が見込まれるなど流動的なため、来年1月末ごろの結団時に選手を確定するとしている。
(2017年10月17日付紙面より)
東牟婁地方中学校新人大会野球大会
新宮市民スポ祭グラウンドゴルフ大会
新宮市民スポーツ祭典弓道競技の部
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)は14日、創建1700年式年大祭を斎行した。男成宮司、神職たちが本社拝殿で祝詞奏上など、厳かな神事を営んだ。神社本庁など神社関係者、和歌山県庁、町内から300人以上の参列があった。
神職らが参進し、祓(はらい)所で修祓(しゅばつ)の後、男成宮司が本殿御扉を開いた。
神饌(しんせん)を供し、神楽「浦安の舞」を奉納。参列者全員で国家を斉唱した。仁坂吉伸和歌山県知事、九鬼家隆熊野本宮大社宮司、上野顯熊野速玉大社宮司、寺本眞一那智勝浦町長らが代表して玉串をささげ、関係者らが一同に拝した。
午後からもさまざまな奉納行事があったが、雨天のため記念事業の一部が中止となった。
(2017年10月15日付紙面より)
サンタクルーズ市長らが来新
新宮市の姉妹都市アメリカ・カリフォルニア州サンタクルーズ市(サ市)のシンシア・チェース市長らをはじめとする12人の訪問団が13日、来新した。1週間ほど滞在し、熊野速玉大社例大祭の見学や茶道、座禅の体験などを行う予定。新宮市役所で開かれた歓迎式典では友好メッセージへの署名交換などが行われた。
両市の交流は新宮市内の合気道熊野塾で修行していたサ市出身のメリー・ハイニーさんら4人の提唱で始まった。1974(昭和49)年に姉妹都市関係を結んでいる。今回は日本の文化体験、市民や関係者との触れ合いなどを通し、さらなる友好関係を築く目的で訪れた。
市役所では一行が乗ったバスを市職員らが拍手で出迎えた。式典で田岡実千年市長は「両市民の温かく強い結び付きが培われ、43年にも及ぶ交流のあゆみへとつながり、国際交流が深まったことを大変うれしく思う。今回の皆さまの訪問で、私たちの絆がさらに深まり、両市の友好交流が末永く続いてくれれば」。
屋敷満雄・市議会議長はサ市と新宮市は人的交流だけでなく文化や価値の交流を重ね、絆がますます深まっていると述べ、姉妹都市委員会、姉妹都市親善協会に感謝。「今後もこの良好な関係が継続し、ますます交流が深まってほしい」と歓迎した。
チェース市長は「姉妹都市関係が世界のさまざまな問題を解決する一つの手段だと思う。歓迎していただきありがたい。皆さんとこれからも強く深い絆を保っていきたい」。サ市姉妹都市委員会のエイドリアン・ハレル会長は「サ市は五つの姉妹都市があるが、新宮市との交流が最も活発で古い。地球規模での関係を構築するには、近しい関係をそれぞれが持つことが大切。私たちを一つの家族として温かくお迎えしてくれてありがとう。皆さんが家族としてサ市に来てくれること希望している」とあいさつした。
贈り物を交換し、新宮市姉妹都市親善協会の岩澤卓会長が閉会あいさつ。全員で記念撮影をするなど和やかな雰囲気で式は終了した。
(2017年10月15日付紙面より)
城南中でオレンジリボン制作 (新宮市 )
新宮市立城南中学校(速水盛康校長、生徒181人)育友会人権部会(東原伸也部長)は13日、11月の児童虐待防止月間に合わせて生徒らに身に着けてもらうオレンジリボンを作った。保護者や教職員約10人が、一つ一つ思いを込めて丁寧に作業した。
同部が主催し、3年目になる取り組み。子どもたちを保護者の温かい気持ちで包み、子どもたちが守ってあげられる側の人間に成長してほしいという願いから続けている。生徒たちにはオレンジリボンを通じて保護者からの気持ちを受け取り、児童虐待防止などに関して学ぶ機会となっている。
保護者や社協が協力し、学校と地域をつなぎ、みんなが温かな気持ちになれるように進めている。11月には各学年に授業を実施し、学びを深めていく予定。生徒らは月間中、制服にオレンジリボンを着けて登校する。
この日は森浦展行教諭が社会運動に対して支援や賛同を表す「アウェアネス・リボン」の色と意味を説明してから制作を始めた。東原部長(52)は「人権というと、遠く感じるもの。児童虐待では自分たちの年齢に近い子どもたちもいる。リボンを通じ活動を知ってもらうことで人権を身近に感じ、広がっていってくれれば」と話していた。
(2017年10月15日付紙面より)
福祉委員が研修会 (新宮市 )
新宮市社会福祉協議会は12日、市福祉センターで福祉委員研修会を開いた。約40人が「サロンを通して行う見守りについて」をテーマに講話を聞き、「ワールドカフェ」形式で、グループで話し合った。
福祉委員は高齢者や障害者など福祉問題を抱えている人たちに福祉情報を提供し、問題の解決を図っていくボランティア。福祉問題の発見や情報の伝達、ネットワークづくりなどを行い、気軽に楽しく福祉のまちづくりを推進するなどの活動を行う。
この日は同協議会の生活支援コーディネーター・西典久さんが、現在は介護予防や高齢者の社会参加の促進で支え合える地域づくりが求められていると説明。組織的な見守り体制の重要性と福祉委員の役割、サロン活動も見守りの一つであると見守りの在り方について紹介した。
ワールドカフェは参加者が各テーブルに分かれて数人で話し合い、時間交代で代表者以外がテーブルを移動する。移動した人たちはその場の代表者から前の議論の要点を聞いて議論を深めることを繰り返し、最後に各代表者が全員にまとめの報告をするという討論の方法。参加者らは「サロンを通してより良い見守りをするには?」のテーマに沿って自分たちの地域での活動を交えながら話し合った。
「人とのつながりを広げ、隣近所を誘い合わせて楽しい瞬間を作る」「他地区サロンと交流」「サロンを開く場所がほしい」「イベント後に茶話会を開く」などアイデアや課題、声掛けの大切さや新しい参加者を呼び込む方法も挙がり、飲み物やお菓子を口にしながら和やかな雰囲気で意見を出し合っていた。
(2017年10月14日付紙面より)
90匹を王子幼稚園児らが放流 (王子ヶ浜を守る会 )
新宮市王子ヶ浜を守る会(速水渉会長)は13日、同市の王子ヶ浜でウミガメ放流会を開いた。市立王子幼稚園の園児ら30人が子ガメ90匹を放流し「カメさん元気でね」と見送った。
守る会は今年6月14日の初上陸、初産卵から8月10日までに10頭の上陸、7頭の産卵を確認し、860個の卵を保護した。この日は7月20日に採取した卵からかえったウミガメを放流。現時点で623個の卵から308匹がふ化しており、237個の卵が残っている。
速水会長、来賓の田岡実千年市長、紀南河川国道事務所新宮川出張所の横山孝吉所長、熊野自然保護官事務所自然保護官の金子郎さんのあいさつの後、園児らは子ガメを手に乗せてもらい「かわいい」とにっこり。優しく地面に下ろすと、子ガメはゆっくりと海に向かって歩き出した。
浅山來羽心(くうみ)さん(6)は「子ガメは泳いで入るみたいにばたばたしていて面白かった。何年後かにまた戻ってきてほしい」と笑顔を見せた。
速水会長は「毎年の事ですが、協力を頂き放流会ができた。天気が心配でしたが、滞りなく、無事に放流できうれしく思っています。これから子どもたちが成長したときに、王子ヶ浜にアカウミガメの産卵地があるというふるさとを思い出してもらえれば」と話していた。守る会は昨年、王子ヶ浜で20頭の上陸と11頭の産卵を確認。1159個の卵を保護し、約785匹がふ化した。
(2017年10月14日付紙面より)
那智勝浦町の勝浦港にある櫂(かい)伝馬保存会集会所前で7日、ギタリストの濱口祐自さんによる船上ステージライブがあった。熊野、関東、九州地方などの国内だけでなく、オランダ、アメリカ、オーストラリアから約100人のファンが集まり、情緒あふれる港町の景色とギター演奏を楽しんだ。
昨年に続く2回目のコンサートで、勝浦八幡神社例大祭の後、10月に開催。地元では恒例となった友人の林宣行さんのあいさつでスタートした。中盤には弟の濱口起年さん(櫂伝馬保存会会長)も登場し、歌を披露した。
この日は、「妙法の夕暮れ」など、30代の頃に作曲した数曲を演奏する場面もあった。近年の濱口さんのライブでは珍しい選曲で、長年のファンから歓声が上がっていた。
新宮市の松村貴代さんは「CDで何度も聞いていますが、ライブでのアレンジが毎回新鮮。音楽に対する真摯(しんし)な姿勢が感じられます」と話していた。
イギリス出身で選曲家として国内で活躍中のピーター・バラカン氏が監修する音楽祭「LIVE MAGIC!」(=21、22日・東京恵比寿ガーデンプレイス)に出演が決まっている濱口さん。新作を待つファンも多いという。当日の会場では、未発表曲のアナログEP盤を発売する。
次回地元での活動は29日(日)、同町下和田の大泰寺内で開催する野外コンサート「紀伊半島FUNKY SUMMIT」への出演を予定している。問い合わせは(電話090・3055・8734)まで。
(2017年10月14日付紙面より)
町内小学校連合運動会 (古座川町 )
古座川町一雨にある明神小学校運動場で11日、町内小学校連合運動会があり5、6年生34人が陸上各種目で自己記録に挑戦した。
この運動会は、同町教育会(濵地久夫会長)と同町教育委員会(和田充旦教育長)が主催。児童の体位、体力の向上と児童相互の親交を目的として年1回開いている陸上競技記録会で、本年度は5、6年生を対象にし3校から34人が参加した。
開会にあたり和田教育長はそれぞれの学校で練習した成果を発揮し『より早く、より高く、より遠くへ』を目指して全力を尽くすよう呼び掛けた。児童を代表して高池小6年の後口幸弘君が宣誓し、明神小6年の松林水濡君のリードでラジオ体操をこなして各種目の記録計測に移った。
児童は全員参加の100㍍走を経て、走り幅跳びや走り高跳び、ソフトボール投げや800㍍走に挑戦。終盤では34人が3校混合の4組に分かれてリレーに挑んだ。この日は家族や地域住民も観戦に詰めかけ、注目や声援で児童の挑戦を後押しした。
閉会式では各種目上位成績者の記録をみんなでたたえ合い、濵地会長は「あきらめず競技に臨む姿勢がよかった。その頑張りを明日からの学校生活にも生かしてほしい」と期待のあいさつを寄せて締めくくった。
(2017年10月14日付紙面より)
19組が参加し熱戦繰り広げる
中体連新人大会バドミントン競技
新宮・東牟婁勢の選手も大いに貢献
東牟婁地方中学校新人卓球大会
早船競漕の旗番抽選会 (新宮の速玉祭 )
国の重要無形民俗文化財(重文)の指定を受けた熊野速玉大社(上野顯宮司)の例大祭「新宮の速玉祭」の神事の一つ「御船祭・早船競漕(きょうそう)」(16日)の旗番抽選会が11日夜、同大社双鶴殿で行われた。出船する市内9地区の代表者らがくじを引き、早船のスタート位置が決定した。
上野宮司は「一番懸念されているのは、事故やけがのないようにということ。明日までは天気がいいようだが、その後は雨の日が続く。御輿(みこし)の担ぎ手、御船のこぎ手も事故やけがのないようにしないといけない」と注意を呼び掛け、「それぞれの責任を背中に背負い、速玉大社の金看板、地区の名誉も背負って、お祭りに奉仕を。立ち振る舞い、祭りを離れたところでも自分を律してこの祭りに臨んでいただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします」とあいさつ。
審判委員が競漕時の注意事項の説明と当日までの日程確認などを行った後、くじを引く順番を決める予備抽選、来年から3年間使用される本番船の船番抽選、最後に旗番抽選が行われ、各地区のスタート位置が決定した。
神迎えの喜びを表す早船競漕は16日(月)午後4時30分ごろ、旧丹鶴小学校下の熊野川河原に設けられた下札場からスタート。熊野川をさかのぼり約1・6㌔上流にある御船島を3周し、同市相筋河原の上札場(かみふだば)を目指す。昨年は阿須賀区が14分18秒のタイムで優勝した。
3年ぶりの出船となる相筋区のとも取り・平瀬公士さんは「狙い通りの旗番を引くことができた。当日は、優勝を目指して頑張りたい」と話した。
会議では、早船が下札場をスタート後、観戦者が車両で上札場方面へと移動する際は、堤防を通らず、川原を整地しているので、そこを徐行で通るようにとの通達がされ、周知の徹底が呼び掛けられた。
(2017年10月13日付紙面より)
24団体が「ふれあいネット」調印 (太地町 )
太地町社会福祉協議会(海野久夫会長)は11日、那智勝浦町市屋の旧・熊野の宿「梛(なぎ)」で小地域ネットワーク活動「ふれあいネット」事業の調印式を行った。
同事業は平成18年に発足。6団体が新たに加わり、24団体で構成される。式には20団体の代表者が出席し、三軒一高町長、海野会長、同町漁業協同組合の脊古輝人代表理事組合長が代表署名した。
同町内の団体や事業所、警察、金融機関などが日頃の活動や業務を通して高齢者を見守り、気付きを同協議会や地域包括支援センターに報告することで、異変や要援護者のニーズにいち早く気付き、対応することを目的としている。
同協議会は今年で法人化30周年を迎える。発足当時は18%だった同町の高齢化率は現在40%を超え、隣組のような従来の町の組織が担っていた高齢者の見守り機能は破綻しつつある。厚生労働省が推奨する認知症高齢者を地域で見守り、支える「地域包括ケアシステム」の構築のためにも、これまで実施要綱のみで行ってきた同事業に関し、改めて協定書を作成し調印式を行うことにした。
同協議会の海野会長は「高齢化で地域のコミュニティーが薄れ、助け合いや見守りが困難になってきた。『何かあったとき、誰かに伝えることができたらなんとかなる』と町民にも周知されれば、暮らしの安心につながる。支援と協力をお願いします」とあいさつ。岡本研事務局長からは、事業の立ち上げ経過説明と事例紹介がされた。
挙げられた事例は、漁協スーパーの店員から寄せられた「1日に何回も同じものを買いに来るようになった」などの連絡から、自宅訪問や家族との連絡を経て介護保険の適用につながった事例や、町営バスの運転手からの「乗客がいつもと違うところで降りた」という連絡から、行方不明を未然に防いだ事例など。また、デイサービスやサロンといった介護予防のための事業の充実も、町と協力しながら行うと説明し、重ねて協力を呼び掛けた。
(2017年10月13日付紙面より)
串本町田原区で本年度敬老会
串本町の田原区(西脇正吾区長)は11日、山村交流センターで敬老会を開き、会食や余興を交えて75歳以上区民の長寿を祝った。
町が各区に75歳以上町民の人口割り予算を付して委託する敬老事業の一環。手法は各区に一任していて、長寿祝い品の配布や敬老会の実施などさまざまな形で予算が活用されている。
本年度は19カ所で敬老会が計画され、田原区はその最終実施となる巡り。例年、敬老の日前後が田原地区秋季第運動会と重なるため、少し時期をずらして開いているという。
対象となる75歳以上の在宅区民は161人で、最高齢者は102歳。敬老会には最年長95歳をはじめとして47人が出席し、西脇区長は「今年も元気なお顔が見れてうれしい。いつまでも穏やかで楽しい日々を過ごされることを祈念する」、来賓として駆け付けた田嶋勝正町長は「少子高齢化と言われている。お年寄りの方が安全で安心に、楽しく暮らしていけるようまちづくりを頑張っている。区長や皆さんと協力しながら力を入れていきたい」とあいさつして出席者の長寿健勝を喜んだ。
今年も田原いきいきサロンのボランティアメンバー手作りの御膳を味わい、後半は余興を楽しんだ。出演は▽矢川尚子さん(日本舞踊)▽土井忠子さん(日本舞踊)▽哲泉流日本吟詠協会▽田原小学校全校児童▽串本マンドリンアンサンブル・マーレ▽海霧コーラス―の皆さん。田原小児童は12人一丸で校歌や歌「紅葉」など合唱、マーレは弦楽器の重奏を披露。海霧コーラスは合唱披露に加え、出席者と一体になって斉唱するなどした。
余興後は福引抽選会も実施。出席できなかった対象者には同日午前中に長寿記念品を役員らが手分けして届けた。
(2017年10月13日付紙面より)
大鳥居をライトアップ (ピンクリボン紀南 )
田辺市本宮町の熊野本宮大社の旧社地大斎原(おおゆのはら)の大鳥居が8日夜、ピンク色に染まった。ピンクリボン運動団体「ピンクリボン紀南」が、乳がん検診を呼び掛ける運動の一つとしてライトアップした。和歌山県臨床検査技術師会が共催。県、田辺市、新宮市、田辺市医師会、新宮市医師会などが後援。
女性の12人に1人が乳がんになるといわれる現代社会。乳がんで死亡する人が増加傾向にあるが、早期発見で治療すると約90%が治るとされている。このため、検診の大切さを呼び掛けようと毎年この時期にイベントを開催している。
ライトアップは夕闇が迫る午後6時から始まり、サーチライトが大鳥居を照らすと、ピンク色に染まり幻想的な光景が浮かび上がった。大鳥居に続く参道には見学者が訪れ、写真撮影するなど関心を寄せていた。
この日は、熊野本宮大社近くの熊野古道を歩くウオーキングや、世界遺産熊野本宮館でシンガーソングライターの松田陽子さんのコンサート、白浜はまゆう病院の粉川庸三医師による講演会も行われ、乳がん検診の大切さを訴えた。
(2017年10月12日付紙面より)
新宮市街地で捕獲
新宮市下田の運送会社倉庫で7日午前9時30分ごろ、イノシシが出没。連絡を受け駆け付けた鳥獣保護員の下忠文さん(69)=同市磐盾=が捕獲した。下さんは「山の近くでは頻繁に出没しているが市街地では珍しい。攻撃してくるケースもあるので、発見したら市役所農林水産課か警察に連絡してほしい」と呼び掛けている。
捕獲されたイノシシは体長約1㍍、重さ約20㌔のオス。発見者が警察に連絡。同課職員と下さんが駆け付けたところ倉庫の隅でうずくまっていた。暴れると危険なため、イノシシはその場で殺処分し、同市熊野川町の市有林に埋めた。
同課によると、今年8月から市内の相筋から五新までの千穂ヶ峰沿いでイノシシなどの出没情報が増えていて、民家の畑で被害が出ている。同課は『イノシシ・サル等が住宅地に出没したときの初動対応マニュアル』を作成していて、警察と連携し対処している。
市内の鳥獣保護員は下さんを含め2人。イノシシだけではなく、シカ、サル、アナグマなどの出没情報が毎日のように入り捕獲している。下さんは「今回のイノシシは、夜にエサを求めて鴻田付近の山から住宅地に入ったところ、人や車に遭い、逃げているうちに市街地に迷い込んだのではないか。イノシシなどを見かけてもエサだけは絶対に与えないでほしい」と話していた。
(2017年10月12日付紙面より)
那智勝浦町消防本部が合同訓練
那智勝浦町の勝浦港内の渡の島周辺海域で8日、同町消防本部(湯川辰也署長)、同町消防団本部(貝岐昌志団長)と第2分団(裏東芳樹分団長)が「消防本部、消防団合同火災水難救助対応訓練」を実施した。署員、団員25人が、船舶火災の消火、水難者の救助対応など、互いの連携強化と技術の向上を図った。
団員らは、消防艇「はくりゅう」に乗り込み渡の島東側から出動した。同西側海域で出火した船舶へ放水消火訓練、観光桟橋から転落した漂流者や船舶から海中へ転落した行方不明者を想定した救助訓練を実施。訓練後には、事後検討会を開いた。
貝岐団長は「勝浦港は、日本有数の漁港や巨大宿泊施設、紀の松島などの観光名所が集まった場所。幸い周辺での事故はないが、災害はいつ来るかわからない。両機関の連携を強化し、安心して過ごせる町に」と話していた。
(2017年10月12日付紙面より)
高瀬会明神小交流運動会 (古座川町 )
古座川町高瀬にある社会福祉法人高瀬会(切士桂理事長)の老人保健施設で6日、第17回高瀬会・明神小学校交流運動会があり、同法人利用者や児童教職員らが一丸になって各種目への挑戦で盛り上がった。
季節感豊かな日々の創出を目指して取り入れている四季折々の恒例諸行事の一つ。明神小(速水直樹校長、児童18人)は地域交流の一環で学校を挙げて、高瀬地区の高齢者有志や同地区担当の民生委員も招待を受けて参加し開会を迎えた。
例年は高瀬若者広場を会場にしているが、今年は当日雨天のため屋内で実施。利用者は約110人が参加し、主催者を代表して切士知憲施設長は「いつもよりコンパクトな分、見やすく応援もしやすくていいのかなと思う。けがだけはしないよう気をつけて楽しい運動会になればと思う」と述べて一同の奮起を促した。
プログラム数は6で、利用者と児童教職員は赤、白、青の混合3ブロックを結成。パン食い競争では利用者と児童教職員がペアで、玉入れはブロック一丸で対戦。輪投げは児童がブロックごとに一丸の応援で盛り上げる中、利用者や地域高齢者、高瀬会職員や教職員が順次挑戦した。
同法人職員も適時飛び入りで種目に挑み、にわかに高まる難度に負けず挑む姿で場を盛り上げたほか、最後は明神小児童が21日(土)の明神地区秋季大運動会に向けて練習しているダンスを先行披露し、利用者らは拍手で頑張りをたたえた。
ブロック対抗戦の結果は赤ブロックの優勝で、利用者と児童の各代表が切士施設長からトロフィーを受け取り、喜びを分かち合った。同法人から児童に文具のプレゼントが贈られ、児童を代表して宮下響君(6年)は「あいにくの雨でリレーなどはできなかったけど、皆さんと一緒に玉入れがやれたことは特に楽しかった。これからも楽しく長生きしてください」とあいさつして運動会を締めくくった。
(2017年10月12日付紙面より)
セレッソスクールコーチの教室も開催
ティム・デットマーさん講演 (新宮市 )
新宮ユネスコ協会(中谷剛会長)主催の講演会が8日、新宮市井の沢の新宮商工会議所であり、市内で英会話教室を営むティム・デットマーさん(57)が「新宮生活30年を振り返って~これからの熊野~」をテーマに熊野で暮らすようになった経緯や魅力について語った。
アメリカ・ワシントン州シアトルで生まれたティムは、1984年に合気道を学ぶため来日し、新宮の熊野塾道場に入門した。初来日した時は地平線まで建物しか見えない東京の風景にとまどったが、熊野に入り、ふるさとへ帰ってきた感覚があった。初めて食べたサンマの丸干しがおいしく、一気に3本を完食。今では新宮を訪れる外国人たちの橋渡し役として活躍している。
2017年に和歌山県の「高野・熊野特区通訳案内士」資格を取得。外国人のためのガイドブック作りに協力するようになってから熊野古道に興味を持つようになり、日本人には当たり前の単語や熊野信仰を分かりやすく紹介している。古道を歩く外国人ライターが自信を持って世界に発信できるよう、外国語看板の充実を訴えた。
熊野信仰を学ぶ中で、合気道の引土道雄先生の言葉「熊野では技ばかりではなく、合気道の心を持って帰ってほしい」の意味が分かり、「合気道は熊野信仰の結晶」と考えるようになった。
来日当初は「日本でもアメリカでも外国人」と居心地が悪かったが、新宮生活7年で、二つの文化に対応できるようになった。文化の違う国での暮らしは人間の成長を促すと、現在は若者たちのホームステイも支援している。
(2017年10月11日付紙面より)
太地町の飛鳥神社(髙橋正樹宮司)の例大祭が7日に宵宮、8日に本宮の日程で営まれた。宵宮では、顔に化粧した若者らが大小の樽を担ぐ「樽神輿(たるみこし)」が町内を威勢良く練り歩いた。
樽神輿は、江戸時代初期に新宮市の阿須賀神社から分霊を受け、樽に入れて運んだ故事に由来する。年ごとに寄水方面、東新方面に渡御する習わしがあり、今年は東新方面へ向かった。
宵宮は午後7時30分から始まり、太地水産協同組合で神事を営んだ後、参列者の行列が出発した。これに小樽神輿、大樽神輿の順で続き、寄水青年同志会と東新青年同志会の会員らが道中の店舗で商売繁盛を願って神輿を担ぎ上げた。海中みそぎでは樽神輿とともに若者が次々と太地湾に飛び込んだ。
本宮では、午前9時から氏子代表の供進使を先頭に、祭員らの列が町内を巡った。行列が神社に到着した後、神事を営み、両青年同志会が獅子舞を奉納した。
正午には道の駅たいじで屋固めが行われ、寄水青年同志会が来町者らに獅子舞の全芸を披露した。
(2017年10月11日付紙面より)
樫野雷公神社例祭宵宮 (串本町 )
串本町樫野にある雷公神社(深美芳治宮司)の例祭が8日に宵宮、9日に本祭を迎えた。宵宮は樫野祭典部(池本寿祭典委員長)による獅子舞奉納や伝統の参拝「走り参り」といった幻想的な奉仕が重ねられた。
この神社は、古く須江に鎮座していた神体が荒天で樫野の集落下にある雷公の浜に流れ着き、やや高台になる現在の場所に祭られたことに由来する。「走り参り」は、神体の漂着に気づいた寺の住職がたいまつを掲げて迎えた故事にちなむ慣習で、現在は樫野祭典部や応援参加している航空自衛隊串本分屯基地の若手らが参拝者となり伝統を守っている。
宵宮は午後7時に宵宮祭があり、同部は獅子舞を奉納。幣の舞、乱獅子、剣の舞、幣の舞の四つを納め、「走り参り」に備えて宿へ戻った。近年は午後9時に迎え火役が宮を出る流れが定着していて、今年は岩谷翔馬君(17)が長さ約4㍍の裂いたタケ十数本を束ねたたいまつの先に神火をいただいて出御した。
その先で同様のたいまつに分け火をいただいた参加者約30人は、小走りで火を振りかざし「参るぞ」と声を上げて宮登りし、深美宮司の祈とうや神酒の授与を受け本殿、八幡神社、蛭子神社を参拝。再びたいまつを持ち「参ったぞ」と声を上げて集落へ戻った。参拝後のたいまつは火災守護の利益があるとされ、後に束をほどいて希望者に小分けするという。
翌9日午前は大前の儀や獅子舞奉納などがあり、同部は正午ごろに集会所で餅まきもして祝うなどした。「とても緊張しているけど、ケガなく務めたい」と意気込んで出御した岩谷君はたいまつを使い切って大役を全う。池本祭典委員長は「秋祭りなのでまずは果物などの豊作を願う」など地場産業の隆盛を願って奉仕を積み重ねた。
(2017年10月11日付紙面より)
那智勝浦町総体バド大会
東牟婁地方中体連サッカー新人大会
塩竃神社で秋の例大祭 (那智勝浦町浦神 )
那智勝浦町浦神の塩竃(しおがま)神社(井谷正守宮司)で7日、秋の例大祭が営まれた。境内では勇義社(畑下昭一社長)が伝統の獅子舞を奉納し、豊漁や家内安全などを祈願した。
祭りは160年以上の歴史を持ち、東地区から西地区へ獅子屋台を船で運ぶ習わしがある。獅子舞は12の舞があり、中でも「とび天狗(てんぐ)」は浦神の大きな特徴とされている。昭和43年から途絶えていたが、畑下圭喜祭典部長らが中心となって平成8年に復活した。
この日は波の影響から、陸路で獅子屋台を運んだ。神社周辺では地元の女性で結成された「祭り盛り上げ隊」によるバザーが設けられ、参拝者にうどんや焼き鳥などを振る舞った。
父が笛、弟が天狗役だという獅子舞役の小川裕斗君(中3)は「獅子舞は3年目。獅子を回すのに憧れて始めました。最初は鈴が重くて大変でしたが、うまくなったと思います。今も難しいと感じるのは獅子の頭をかんで支えることです。舞は緊張もしますが、楽しさのほうが大きいです」と話した。
(2017年10月8日付紙面より)
城南中学校で学年懇談会 (新宮市 )
新宮市立城南中学校(速水盛康校長)は4日~6日、学年ごとに育友会懇談会を開いた。保護者らは担当の教職員から子どもたちの学校生活の説明を受け、情報を交換、共有した。
保護者と教職員が互いに理解を図る目的で、2014年から各学期で実施している。最終日の6日には3学年の懇談会があった。保護者、教職員ら約20人が参加し、職場体験や校内キャンプでの生徒らの様子を収めた映像を視聴した。担当の職員から学年の様子や進路について説明を受け、みんなで生徒らに関して話し合った。
学年部長の巽式子さんは「スライドを見ていると子どもの成長を感じます。今日の映像は子どもたちが作ったということで、だんだん大人になってきたなと思いました。意見交換ができることはありがたいです」と話していた。
(2017年10月8日付紙面より)
N高校生6人が熊野川体感塾で体験 (紀宝町 )
角川ドワンゴ学園=沖縄県つるま市=運営のN高等学校職場体験開校式が2日、紀宝町役場であった。昨年に続き2度目。男女各3人計6人の生徒が6日まで、主に同町北桧杖の熊野川体感塾で谷上嘉一塾長から熊野川と川舟の歴史を学び、川舟の櫂(かい)制作にも取り組んだ。
同町では地域創生事業の一環として、県内外の学生をインターンシップ生として受け入れている。
N高校は昨年4月に開講した通信制高校。東京代々木や大阪心斎橋など6カ所に通学コースを設けている。
役場での開校式で、生徒たちは「歴史のロマンを伝えたい」「船が好き」「体験の英語での情報発信に興味」など志望動機を語り、男子生徒の屋根にタッチするジャンプ力や女子生徒の歌、逆立ちなど特技を披露して和やかな雰囲気に。西田健町長は「本町もみんなで考え、まちづくりを進めている。体験が新しい考え方のきっかけになり、この町で頑張る気持ちになってもらえれば」と期待した。
谷上塾長は「ハードな作業だが、青春の思い出になれば」と歓迎。生徒たちは町内で民泊し、5日に学習成果をインターネットに英語で投稿。6日には同町役場で修了式を行った。
(2017年10月8日付紙面より)
まぐろ祭り実行委員会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の冬の一大イベント「第24回まぐろ祭り」(実行委員長・花井啓州観光協会会長)の実行委員会が5日、同町役場で開かれ、来年の開催は1月27日(土)に決まった。同委員会でイベントのプログラムなどを話し合った後、原画選考会でPR用チラシの原案を選んだ。
応募者の年齢層は9歳から82歳と幅広く、全国から集まった172点を花井実行委員長らが審査。優秀賞には福井県の神門絹代(こうど・きぬよ)さんの作品が選ばれた。福島県会津若松市の市立一箕(いっき)中学校からは130点の応募があった。同市の小中学校からは、毎年作品が送られてくるという。
優秀賞のほかに実行委員長賞1点、佳作3点が選ばれた。優秀作を表紙に、裏面にプログラムを入れて1万2000枚を印刷し全国へPRしていく。
(2017年10月8日付紙面より)
2021年の稼働を目指す (株式会社エフオン )
全国各地で木質バイオマス発電事業を展開している株式会社エフオン(島﨑知格社長、本社・東京都中央区)がこのほど、新宮市佐野の新宮港第2期工業用地に新宮発電所(仮称)を建設する計画を発表した。2021(平成33)年中の稼働運転を目指すとしている。
発電所を建設する土地は現在、国土交通省が紀伊半島大水害後、熊野川河口で実施した掘削工事で採取した土砂の置き場になっている。敷地面積は約5万3000平方㍍。発電所の定格出力は1万8000㌔㍗で、年間発電量は一般家庭約3万世帯分となる。稼働日数は年330日(24時間稼働)。燃料として県内や近隣県から調達した木質チップを年間約18万㌧使用する。総投資額は約100億円。
同社グループは、2006(平成18)年から木質バイオマス事業を実施しており、現在、大分県日田市と豊後大野市、福島県白河市の3カ所で稼働運転している。2019(平成31)年からは栃木県壬生町でも稼働を計画している。新宮発電所は豊後大野市と同規模となる予定。
同社は新宮港を選んだ理由について「わが国有数の木材産出地であったことから、森林資源の潜在性は高く、木質バイオマス発電に必要な燃料確保が十分見込まれること、また日本の『新たな木材産業のしくみ』を地域産業とともに生み出すにふさわしい地であることから、事業開発を推進することといたしました」
木質バイオマスについては「単なるエネルギー源としての目的ではなく、木質燃料の購入・消費を通じて、林業・製材事業者、運送業者など、多岐にわたること。加えて事業の継続を通じて地域経済に雇用や産業振興機会を創出する効果が期待されています。再生エネルギーとして地球環境を考慮した純国産木材で電気を供給するという本来の意義を備えた事業です」と話している。
同社は1997(平成9)年5月設立。資本金21億6400万円(6月末現在)、従業員は連結126人、単体30人(同)。
港の土地を所有する新宮市は、同社とまだ売買契約を締結しておらず、詳細は今後話し合うとしている。港内に残る他の土地でも、別会社とバイオマス発電所建設の話し合いを進めている。
田岡実千年市長は「今回の会社からは、正社員を地元優先で40人、運送や林業など関連企業を含めると100人規模の新たな雇用が生まれると聞いています。人口が減少する中、雇用の創出が大きな課題になっているので、ぜひ成功させたい」と話した。
(2017年10月7日付紙面より)
那智勝浦町の宇久井区自主防災組織(東正通会長)は1日、宇久井小学校グラウンドで同町消防団第5分団(大場英正分団長)の協力を得て放水訓練を行った。区民ら約60人が参加し、消防ホースの延長から実際に放水するまで一連の動作を実際に体験した。
同地区には火災発生時の初期消火に対応するため、区内32カ所に消防ホースやノズルなどを備えた消火栓箱を設置している。同区自主防災組織では消火活動の安全を図るため、昨年度から進めてきた可変ノズルの配備が完了したことを受けて訓練を実施した。
大場分団長は「火災が発生したら、まず周囲の人たちに声を掛けてほしい。1人では行動せず複数であたり、役割を指名しながら活動してほしい」と参加者に呼び掛けた。区民らは地区ごとの班に別れて訓練に取り組んだ。各班には消防団員が補助につき、ホースの延長、巻き方、接続金具の扱い、筒先の構え方などを丁寧に指導していた。
東会長は「基礎的な訓練だったが、いい経験になった。地域の消防団員と一緒に訓練したことでお互いに知り合うことができ、相談しやすくなったと思う」と話していた。
(2017年10月7日付紙面より)
紀の国トレイナート
那智勝浦町のJR紀伊天満駅に真っ白の待合室が出現した。駅舎を舞台とするアートプロジェクト「紀の国トレイナート2017」(同実行委員会主催)の一環で、東京都在住の鮫島慧さん(24)が制作したアート作品。
壁も床もベンチも全て白くペイントされている。鮫島さんが一晩かけて塗り上げた。この待合室に制服姿の高校生(新宮高校の吹奏楽部員3~5人)に入ってもらうことで展示は完成する。観客も含め、その場に流れる時間や空気の全てが作品となる。
観客も展示の中に入り込んで鑑賞するインスタレーションという技法で、テーマは「共有」。駅の待合室は他人同士がひとときの時間を共有する場所であることや、電車が次々にやってくる都心の駅とは違い、同駅では少人数がゆったりとした時間を過ごしていることなどに着想を得た。白い色にはその存在を際立たせる意図がある。
高校生に依頼したのは、新しい「日本らしさ」の象徴や文化の担い手として、アートやファッションの世界で注目される存在であることから。定時制高校出身で「制服を着てみたかった」という作者のあこがれも投影されているそうだ。
トレイナートの開催期間は29日(日)までで、高校生によるパフォーマンスは28日(土)、29日(日)を予定している。白い待合室は開催期間終了後もそのまま残される。
(2017年10月7日付紙面より)
勝浦小4年生がサバイバル学習 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立勝浦小学校(上浦一剛校長)で5日、那智勝浦町公民館勝浦分館(大嶽勝司分館長)によるサバイバル学習が開かれ、4年生が災害時に水道、電気などのライフラインが断たれた場合のサバイバル術を学んだ。
大嶽分館長は「災害時に取り残された時、救助が来るまで生き残るために、災害に強い精神と体を養ってください」とあいさつ。
非常時に用いる道具として、懐中電灯と水を入れたペットボトルを重ねたランタン、針金ハンガーを利用した鍋(フライパン)や金網、空き缶を用いたコンロの作り方を実演し、牛乳パックのろうそく、段ボールベッドも紹介。水のろ過方法と飲み水の作り方、火のおこし方、ランタン用の植物油の代わりに、ツバキの実から油を取る方法など、ユーモアを交えながら語り掛けるように説明し、児童らは楽しそうに話を聞いていた。
(2017年10月7日付紙面より)
北道院拳法和歌山支部
総合上位4チームは全少県大会へ
点検・整備後に各地区へ (熊野速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で5日早朝、秋の例大祭「御船祭」で使用する早船9隻が、各地区のこぎ手や関係者らにより蔵出しされた。
早船は長さ8・9㍍、幅は広いところで1・4㍍。スギ、ヒノキ、カシ、ケヤキの4種類を使用。点検・整備をした後、8日(日)、9日(月・祝)に、出船する各地区へと引き渡される。
御船祭は昨年3月に国の重要無形民俗文化財に指定された「新宮の速玉祭・御燈祭」に含まれている。早船競漕(きょうそう)は16日(月)の午後4時30分ごろ、神輿(みこし)で市内を巡幸した御神霊が熊野川河原で神幸船に遷御された後、旧丹鶴小学校下の河原に設けられた下札場(しもふだば)からスタート。熊野川をさかのぼり約1・6㌔上流にある御船島を3周し、同市相筋河原の上札場(かみふだば)を目指す。
11日(水)午後7時から、スタート位置を決める旗番抽選会が同大社双鶴殿で開かれ、同時に3年に1度行われる船番抽選(使用は平成30年から3年)も実施される。
今年の出船は、相筋、阿須賀、王子、春日、神倉、丹鶴、千穂、堤防、明神の9地区。昨年の優勝は阿須賀区で、記録は14分18秒。2位は王子区、3位は御幸区だった。
(2017年10月6日付紙面より)
全国一斉キャンペーンで呼び掛ける (新宮市 )
「里親の日」の4日、新宮市橋本のイオン新宮店で里親制度の啓発活動があった。紀南児童相談所新宮分室の職員やファミリーホームクローバーの家の職員など7人がチラシやポケットティッシュを配布し、買い物客らに呼び掛けた。
活動は特定非営利活動法人日本こども支援協会が里親制度の認知度向上、里親の担い手不足を解消しようと企画した全国一斉里親制度啓発「One Loveキャンペーン」の一環として、市内では今回初めての実施となった。
同企画は里親制度の説明と社会的養護の現状が書かれたハート型のチラシを全国で一斉配布することにより一層の相乗効果を起こす目的。社会的養護の子どもの数と同じ4万5000枚が用意され、各地区の子どもと同じ枚数が配られた。チラシには「これだけ、この地域に養護されている子どもがおり、この子たちのハートを受け取ったあなたにこの子の未来が託されている」というメッセージを込めている。
イオン新宮店では里親制度を周知するのぼり旗を立てて活動を実施した。クローバーの家の荒木博和理事長は「里親制度はあまり知られておらず、このように一斉に活動することに意味があると思います。毎年継続していきたい」。
参加した社会福祉法人和歌山県福祉事業団本部・里親支援センターの平野雅裕センター長は「里親制度について認知度が低く、知ってもらいたいです。県内では施設やファミリーホーム、里親の下で暮らす子どもたちが500人おり、みなべ町以南は70人ほど。国もファミリーホームや里親など児童養護施設の小規模化と、より家庭的な環境で育てられる子どもたちを増やしていくことを目標としています。キャンペーンを通じて受け皿となる里親を増やしていきたい」と話していた。
(2017年10月6日付紙面より)
図書館講座で山﨑泰さん講演 (新宮市 )
新宮市立図書館で4日、図書館講座があり、元同館司書の山﨑泰さんが「大逆事件の余波」をテーマに講演した。山﨑さんは、事件に直接関与しなかったが、大きな影響を受けた熊野と縁のある人々を紹介した。
明治天皇暗殺を企てたとして1911(明治44)年、12人が絞首刑、12人が無期懲役となった「大逆事件」。現在の研究では大逆罪に名を借りた社会主義者らへの弾圧で、国家によるでっち上げであったことが明らかになっている。熊野地域からは大石誠之助ら6人の犠牲者が出ている。
叔父誠之助が親代わりだった西村伊作は、国策の「良妻賢母」を徹底して嫌い、長女アヤの小学校卒業を機に、東京に日本初、男女共学の文化学院を設立した。誠之助と交流のあった与謝野晶子は、伊作の考えに共感し、学院で『源氏物語』を教えた。
誠之助が仲人した社交ダンスの草分け玉置真吉は事件後、九重小学校教員を退職に追い込まれ、のちに文化学院事務長に就任。その時ダンスに出会い、当時、上流階級で流行していたダンスを庶民に普及させた。
事件で犠牲となった古河力作が勤務していた東京・滝野川の西洋草花店『康楽園』の経営者・印東熊児は、父が新宮藩士で、母は東くめのいとこ。佐藤春夫の家(現在の佐藤春夫記念館)を設計した誠之助の末弟・大石七分や春夫が、大正時代の社会主義者のリーダー大杉栄と親しかったことなども紹介。山﨑さんは、反体制的な思想を持つ人物が熊野地域から多く出ている原因は、誠之助の影響だけではなく、風土もあると分析した。
管野須賀子や荒畑寒村が記者として活躍した『牟婁新報』の発行者、毛利柴庵は、新宮生まれ新宮育ち。誠之助の自宅が新宮支局だった。
同紙で神社合祀(ごうし)反対を訴えた南方熊楠は、「大逆事件」について「神社破滅のもっとも行われたる新宮町に、大逆徒の六名まで集まりしは、なお一層の研究を要すというも、相当の理由あり」と『和歌山新報』で書いている。
山﨑さんは、熊楠が事件の犠牲者たちに冷淡だった理由について、近所に住んでいた管野が神社合祀反対運動を冷笑したことや、海外留学時代に差別的扱いを受け、帰国後、天皇を特別視するようになったためではないかと推測した。
(2017年10月6日付紙面より)
22日まで、熊野那智大社で (那智勝浦町 )
創建1700年式年大祭(14日・土)に伴い、那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)宝物殿で4日、企画展「熊野曼荼羅(まんだら)」が始まった。鎌倉時代から室町時代制作の貴重な曼荼羅を期間限定で22日(日)まで展示する。開催中の熊野十二所権現古神像などの特別展・後期は、12月31日(日)まで。入場料は300円、小・中学生200円(未就学児は無料)。時間は午前8時30分~午後4時。
特別展後期の展示品は国指定、県指定重要文化財を含む82点。天正9(1580)年の戦火で羅災した堂舎を豊臣家が願主となり復興造営をした際に作られた古神像7体(8体は前期展示)のほか、国指定文化財の『豊臣秀頼宛書状』、秀頼奉納品、同大社の由緒を記した『熊野山略記・那智の巻』や『那智山本社末社図写し』、三十三所巡礼の中興の祖といわれる花山法皇の遺物など。
企画展「熊野曼荼羅」として、熊野信仰布教の絵説きに用いられた県指定文化財『那智山宮曼荼羅』、仏の姿の熊野権現を表す厨子(ずし)入り『熊野本地仏曼荼羅図』、『熊野垂迹神曼荼羅図』を加え展示している。
京都府京丹後市から訪れた参拝客の西山浩さん(57)は「20代のころから、いつか熊野へ行ってみたいと思っていました。歴史が好きなので、曼荼羅を見て感激しました。」と話していた。
(2017年10月6日付紙面より)
新宮警察署(谷本克也署長)と交通安全協会新宮支部(田中肇支部長)主催の平成29年度交通安全功労者・優良運転者等表彰式が3日、新宮市五新の自動車整備振興会新宮支部であった。1団体、1学校、2事業所、個人16人が賞状などを受け取った。
交通事故犠牲者に黙とうをささげた後、谷本署長、田中支部長が賞状を手渡した。田中支部長は受賞者らの日頃の交通安全活動に感謝し「本日の受賞を機に、なお一層の交通安全意識の高揚と、さらなる安全運転の実施に努めていただきたい」とあいさつ。谷本署長が「皆さんには地域のリーダーとして積極的に警察活動にご尽力いただいているが、今後ともさらに支援をよろしくお願いしたい」と求めた。
来賓祝辞では東牟婁振興局の堀順一郎・地域振興部長が「引き続き県民の模範となり、安全で安心できる住みよい社会の実現にさらなる協力を」と児玉征也・東牟婁振興局長のあいさつを代読。田岡実千年市長は「行政としても関係する皆さんと共に安心安全な事故のない町づくりを改めて頑張っていかなければならない。」と述べた。
受賞者を代表して北山村社会福祉協議会の谷口壽雄会長が、シートベルト着用、飲酒運転の根絶、子どもや高齢者への思いやりある運転などの交通安全宣言を読み上げた。
(2017年10月5日付紙面より)
嵯峨御流の献華式 (熊野那智大社 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)で1日、嵯峨御流華道総司所(岡田美和理事)による献華式があった。生徒60人が参列し、関西で活動する雅古楽会(白井陽子代表)による雅楽の演奏に合わせて、代表2人が神前で若松を生けた。
平成27年に高野山の開創1200年記念結願(けちがん)法要で献花し、高野山が県北部、那智山が県南部の世界遺産であること、同年に発行された地方自治法施行60周年記念貨幣で1000円貨幣に高野山の壇上伽藍、500円貨幣に那智の滝が採用された縁から、和歌山県在住の華道家として那智大社での献華を申し出た。
嵯峨御流は、平安時代初期に嵯峨天皇が京都府の大覚寺で「天、地、人」三才の美しさを備えて花を生けたことが始まりとされている。
那智大社本殿では、雅楽が響く厳かな空気の中、岡田理事(49)と岡田脩克副総裁(78)が若松を生け、金銀の水引を掛けて奉納した。飛瀧神社でも献華を行った。
男成宮司は「創建1700年にふさわしい花を生けていただいた。伝統ある素晴らしい流派。嵯峨天皇様から受け継ぐ慈しみの心を広げていってください」と述べ、感謝状を手渡した。
岡田理事は「高野山の仏教、那智大社の神道と宗派を超えて祈りの気持ちを捧げた。神聖な空気で、いにしえの熊野を詣でた人たちの気持ちが分かった。爽やかな気持ちになれた」と話した。
(2017年10月5日付紙面より)
平井地内でワークショップ (古座川町 )
古座川町平井で9月30日と10月1日の2日間、非営利社会貢献活動団体農村資源研究所(湯崎真梨子代表)による「むらの宝と仕事を学ぶワークショップ」があり、移住に関心がある一般4人が耕作放棄地再生や地域に根付く生業(なりわい)に触れる機会を持った。
同研究所は、農事組合法人古座川ゆず平井の里が移住支援策として和歌山大学の湯崎真梨子教授と共に設置。移住前に定住の知恵をしっかりと考え、夢だけでなく生活力(=生業技術)も持ち合わせてから移住を決める状況づくりを目指して取り組み始めた。
県事業「和みのむら支援再生モデル事業」の助成(3カ年)を受け、本年度は実践研究の年と位置づけて全4回のワークショップを計画。7月に耕作放棄地の再開墾や養蜂(採蜜など)体験をし、9月に再開墾した耕作地へ被覆材や獣害防止ネットを施して畑にしダイコンの種まきをした。3回目の今回は畑の栽培管理とユズの栽培管理を考える内容で参加を呼び掛けた。
初日は間引きをする予定だったが、種まき後に台風接近で芽吹いた苗の一部が飛ばされるなど被害を受けたため、もう一度種をまくなど手直しに取り組んだ。その後はユズのポット苗を頑丈な肥料袋を再利用して仕立てる方法を実践。紀ノ川農協理事の宇田篤弘さんを軸にして情報や材料を寄せ合い、苗2本分のポット苗を仕上げて畑の一角に据えた。
苗木はユズ園の更新植樹に必要不可欠だが、3年生以上の苗木でないと野生動物の食害でやられる。3年生の苗木を買おうとすると年数相応の育苗コストが上乗せされ高くつく。そこで1年生苗を低コストで育てて3年生苗を調達しようというのが、今回挑戦したポット苗作りの趣旨で、技術とともに目的に対する工夫も移住後の生活負担を軽くする上で大切だという点にも目を向けた。2日目はユズ園の管理技術や摘果作業、青ゆずの商品開発などを体験した。
次回は12月に実施予定で、内容はダイコンの収穫や出荷と炭焼きの調査。詳細は古座川ゆず平井の里公式フェイスブックなどで告知するという。問い合わせは同法人(電話0735・77・0123)まで。
(2017年10月5日付紙面より)
なちかつGGCクラブ大会
クルーズ客船が増加傾向 (新宮港 )
新宮港クルーズ客船受入にかかる広域的取組検討会議が2日、新宮市井の沢の新宮ユーアイホテルであり、田岡実千年市長をはじめ周辺自治体の首長ら13人が出席した。近年増加傾向にあるクルーズ客船の受け入れ体制を熊野地域全体で考え、活性化につなげていく「新宮港クルーズ振興広域協議会(仮称)」を設立することを確認した。
新宮市の調べでは、昨年度、新宮港に入港した客船は10隻(前年度比1隻増)で、乗客は4511人(同732人増)。本年度は14隻が見込まれている。来年度はすでに外国船籍のコスタ・ネオロマンチカ(乗客定員1572人)が3回、スター・レジェンド(同212人)が4回、寄港を予定している。
新宮港に着岸できる船は現在、5万㌧級(乗客約900人)までだが、和歌山県は来年夏には7万㌧級(乗客約2000人)、来年12月には11万㌧級(乗客約3000人)が着岸できるよう環境整備を進めている。
外国客船をはじめとするクルーズ船の入港が今後もさらに増加すると見込まれていることから、新宮市が周辺自治体に呼び掛け今回の会議を開いた。協議会は来年春の設立を目指していて、会員は新宮市、田辺市、那智勝浦町、太地町、古座川町、串本町、北山村、熊野市、御浜町、紀宝町、和歌山県、三重県の12団体を予定している。
田岡市長は「新宮港が熊野の海の玄関口にふさわしいにぎわいの拠点となり、熊野地域全体の観光をはじめとする産業の振興に寄与できればと考えています」と協力を呼び掛けた。
会議で和歌山県県土整備部港湾空港局の浅見尚史局長が国内外のクルーズ客船の状況を説明。クルーズ客はかつて富裕層の欧米人が主体だったが、近年は庶民のレジャーとして定着。中国を中心にアジアのクルーズ人口が伸びていて2015年では10年前の2・7倍の208万人になった。
16年のクルーズ船による外国人入国者数は199・2万人と過去最高を記録。政府は20年には500万人にすることを目指している。
昨年、日本に寄港した客船は2017回と過去最高。船は7万㌧級以上が半分以上占めるなど大型化が顕著になっている。大型クルーズ客船の経済効果は少ない場合でも一人1万円。各社ともバスで2時間以内の周遊ツアーをつくっている。浅見局長は、新宮港は、航路、世界遺産などの観光資源、税関が常駐しているなど有利な面が多いと指摘。静穏度対策の防波堤工事を含め、今後も受け入れ体制を強化していきたいと述べた。
新宮市企業立地推進課の小渕学課長は「交通の便が悪いということがクルーズでは逆にメリットになる」と述べ、リピーターの乗客も多いことから、新たな熊野観光のメニューを企画していく必要があると協力を呼び掛けた。
(2017年10月4日付紙面より)
仁坂吉伸知事が行政報告会 (太地町 )
和歌山県行政報告会が2日、太地町公民館で開かれ、仁坂吉伸知事が本年度の新施策や重点事項などを説明した。会場には約300人が訪れ、満席の状態。仁坂知事の話に熱心に耳を傾けていた。
三軒一高町長は冒頭のあいさつでこの日、誕生日を迎えた仁坂知事を祝いの言葉で歓迎した。仁坂知事は今後の人口推移に関する「まち・ひと・しごと創生総合戦略策定」、本年度から始まった県の長期総合計画(10カ年)で2060年の将来人口は70万人確保を挙げた。人口減を食い止めるため、子育て支援、女性の活躍推進などさまざまな施策を説明した。
水産業では複合経営の推進を奨励。三軒町長が進める「森浦湾くじらの海計画」にも触れ、「クジラの学術研究都市は最高の計画であり、観光と漁業も脚光を浴びる」と語った。観光面では「水の国、わかやま。」、「わかやま歴史物語」「サイクリング王国わかやま」などを売り出していくと述べ、日本遺産「鯨とともに生きる」は熊野地方の誇りであり、アピールしていく方針を示した。
防災では津波避難困難地域に指定されている太地町の状況を示し、堤防を築いて津波到達までの時間を稼ぎ、町が進める緊急避難路などについて説明。建物の倒壊による犠牲者ゼロの推進のため、耐震改修や家具固定などの補助に力を入れていると述べた。仁坂知事は「災害時の司令塔は役場。高台へ持っていくべき。助けに向かう人たちが集まる場所と考えた方がいい」とも語った。
紀伊半島一周の高速道路の整備も取り上げた。今年は県の総力を挙げて太地町までの事業化を進めたいと語った。8月に完成した「道の駅たいじ」にも触れ、「和歌山県は世界一トイレがきれいな所を目指している。それは太地をまねした。太地のトイレは世界一」とユーモアを交えて語った。教育関係では学力アップを図り、全国平均に引き上げたことを紹介。いじめ、不登校問題への取り組みも説明した。
仁坂知事は「太地町は県下で優等生。(捕鯨問題で)国際的にいじめられてきたが、県警も50人体制で警備し守ってきた。シーシェパードは、今年は太地に行かないと宣言しているが、隙を見せたら来る。力を合わせていきたい」と呼び掛けた。
(2017年10月4日付紙面より)
商工会が「まちづくり座談会」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町築地の商工会館で9月29日、寺本眞一町長や児玉征也東牟婁振興局長と町の将来について話し合う「まちづくり座談会」があった。約20人が参加し、町の将来について意見を出し合った。南紀くろしお商工会まちづくり部会が主催し、商工会全体で参加している。昨年は太地町の三軒一高町長と懇談した。
寺本町長と児玉振興局長の講演の後、参加者からは「都会へ進学した子どもらが戻ってきやすい町に」など、移住、定住を促すための施策を求める声が目立った。寺本町長は「今は仕事を選ぶ傾向が強い。観光業の労働条件を整えるのが良いのでは」と述べ、「自ら目的や意欲を持った人は支援しやすい」と話した。
I・Uターンの促進については市町村が広域で協力し合うべきとの意見を受け、児玉局長は「人口減少は全国的な問題。県内でも人口が増えたのは北山村、日高町、岩出市だけ。今年からはオール和歌山、30市町村でやっていく。都会よりも地方の方が生活は豊かで自由に使える時間が多い。自信を持ってPRしていただければ」と呼び掛けた。
(2017年10月4日付紙面より)
ぼたん荘でひだまり市 (古座川町 )
古座川町月野瀬にある南紀月の瀬温泉ぼたん荘で1日、「ひだまり市inぼたん荘いろり館」があり、開場と同時に活気づき序盤から完売続出のにぎわいを見せた。
手作りにこだわる人々が出店する市として親しまれているひだまり市。昨年までは春秋年2期(計7カ月)の毎月1日恒例で開かれていたが、今年は1回に力を入れて出店希望を多く集める代わりに、春秋年2回とする新たな開場手法を試みている。
この日は同館を会場にし、町内外から16店舗が出店。おまぜやパン類、農産物やその加工品、服飾雑貨や木工工芸品、町内で人気のこだわりかき氷などが並び、続々と訪れる人々の品定めや購入で注目を集めた。
発起人の東加世子さんによると当面は今年の形で開く方向で考えているそうで、「年2回は私たち世話役が忙しくなり運営が大変になってきたという事情もあります。その点はどうかご容赦いただき、次回は来年5月に古座街道で開く予定なのでまたのご来場をよろしくお願いいたします」と話していた。
(2017年10月4日付紙面より)
剛柔流空手道志彰会
乗船体験では揺れやスピードに驚き (御船祭を前に )
新宮早船会(上田勝之会長)は1日、御船の乗船体験とOB交流戦(後援=新宮市教育委員会)を開催した。天候にも恵まれ多くの人が参加した。
出船各地区のOBと現役の漕(こ)ぎ手が参加して行われた交流戦は、熊野速玉大社裏の河川敷をスタートし、本番さながらに競漕(きょうそう)が行われ、千穂区が優勝。2位に阿須賀区、3位に丹鶴区が入った。
上札場(相筋促進住宅下の川原)での千穂区への優勝旗授与後に、体験乗船を開始。参加者らはライフジャケットを装着して乗船し、会員らに説明を受けながら御船島を1周。御船の乗り心地やスピードなどを体験した。
OB交流戦で優勝した千穂区の艫(とも)取りの杉浦誠さんは「勝てて良かった。ほぼ現役で挑み、新人にとっては本番の雰囲気を味わうことのできる、いい経験になったと思う」と話した。
参加した、鈴木鶴大(かくたい)君(高田小1)は「楽しかった。船が進むときに揺れたけど、平気だった。大きくなったら漕いでみたいと思った」と話した。他の参加者も乗船後に船の速度や揺れなどを興奮気味に話す姿が見られた。
早船競漕(御船祭)は今月15、16の両日に営まれる熊野速玉大社例大祭の神事の一つで、神迎えの喜びを表す。16日午後4時30分ごろ、神輿(みこし)にて市内を巡った御神霊が熊野川河原で神幸船に遷御されたあと、旧丹鶴小学校下の河川敷に設けられた下札場(しもふだば)からスタート。熊野川をさかのぼり約1・6㌔上流にある御船島を3周し、同市相筋河原の上札場を目指す。
(2017年10月3日付紙面より)
宇久井中生徒らが訓練 (なちかつ防災スクール )
JR西日本は9月30日、JR紀伊勝浦駅~新宮駅区間で那智勝浦町教育委員会と連携し「なちかつ防災スクール」を実施した。緊急地震速報システムが鳴動し、電車を緊急停車させたと想定した津波避難訓練で、宇久井中学校の生徒31人を含む約90人が参加した。
訓練では、宇久井駅付近の坂口踏切を過ぎたあたりで列車が緊急停車。短く5回、長く1回の非常汽笛が鳴り、乗客全員がJRの職員や警察官の誘導で線路から宇久井中学校まで走って逃げた。
訓練に入る前には避難用はしごの設置指導や紀伊半島大水害時の那智川の橋の流出被害などについての講話もあった。同校の湊谷礼夏さん(15)と山際胡桃さん(14)は「電車から飛び降りたのは初めて。非常汽笛の音で気が引き締まった」、「とても勉強になったので、一般の人もぜひ積極的に参加してほしい」と感想を話した。
JR西日本・和歌山支社の下地正心新宮列車区長は「全員が避難するまでの所要時間は思ったよりも早く5分50秒ほどでした。地形を良く知っている乗客が多いローカル線ならでは。命を守るため訓練を積み重ねて、素早く動ける人が率先避難者となり、お年寄りや小さい子に手を貸してもらえたら」と呼び掛けていた。
(2017年10月3日付紙面より)
赤い羽根共同募金運動始まる (新宮市 )
赤い羽根共同募金運動が1日、全国一斉に始まった。新宮市内の商業施設7カ所では街頭募金運動があり、市社会福祉協議会役員、職員や民生委員児童委員らが買い物客らに募金を呼び掛けた。
赤い羽根共同募金は戦後復興の一助として1947年に始まった住民主体の活動で、今年70周年を迎える。福祉施設への支援を目的として始まり、現在は高齢者サロンの運営などさまざまな民間福祉活動の支援などに充てられている。
新宮市では「ささえ愛募金」「MACHI(まち)サポート募金」「新宮いのちの募金」の「3つの活動募金」として呼び掛けている。昨年度の実績額は計462万3555円で、今年の目標額は450万円。
新宮市共同募金委員会長の田岡実千年市長は「少しの間ですが街頭に立たせていただき、市民の皆さんが積極的に募金してくださっていると感じ、うれしく、ありがたく思っています。福祉についてはいろいろと経費がかかるので、有効に使わせていただきたい」。
社会福祉協議会の大谷康央事務局長は「集まった募金は地域ボランティアや防災活動、見守りなどに役立てています。3月まで取り組んでいきます。安心して暮らせるよう地域に還元していきたいので、協力をお願いします」と呼び掛けていた。
(2017年10月3日付紙面より)
創立60周年記念コンサート (航空自衛隊串本分屯基地 )
航空自衛隊第5警戒隊串本分屯基地(吉村雅美司令)の創立60周年記念コンサートが9月30日に串本町文化センターであり、約600人が中部航空音楽隊(佐藤哲也隊長)の演奏を鑑賞して節目を祝った。
同基地は1957(昭和32)年4月の第9082部隊展開を起点にして、現在60周年の節目を迎えている。展開当時は米軍管轄だったが2年後に航空自衛隊に完全移管され、現在は中部航空警戒管制団第5警戒隊が展開。年1回の一般開放に加え、隊員自身も地元の祭礼や諸行事に積極参加し、地域に身近な基地として歴史を刻んでいる。
周年記念コンサートの実施は55周年以来で、今回も浜松基地を拠点にし東北南部~関西の広範で活動する中部航空音楽隊を招致。観客は招待と一般申し込みで募り、同センター大ホールの収容人員いっぱいまで受け入れたという。
開演にあたり吉村司令は「皆さまの理解と協力により、串本分屯基地は創設以来素晴らしい勤務環境を築き上げてきた。これからも国防の要としての重要な役割をしっかりと果たし続けていくとともに、地域に身近で信頼される部隊となれるよう努力する」とあいさつ。公演プログラムは2部構成で、第1部は第5警戒隊隊歌など正調5曲、第2部は曲調にアレンジをつけたり観客に手拍子の参加を求めたりして共に楽しむ6曲を奏でた。
終盤の楽曲「音楽家のストライキ」では楽員が徐々に抜けて指揮者が孤立するという寸劇も披露。重厚かつ軽快な雰囲気の中で最終の楽曲「Burn」を響かせ、アンコールの手拍子に応えてさらに1曲を観客に手振りの協力を促しながら演奏し、ホール内の全員で盛り上がった。
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同基地はこの日配ったパンフレットで、今年の一般開放は11月26日(日)午前9時~午後3時実施予定と発表。定例の内容に加え、創立60周年記念に伴う要素として飛行展示の充実(T―4、F―15、UH―60J、U―125A)やPAC―3(対弾道ミサイル地対空迎撃システム)といった項目も盛り込んでいる。
(2017年10月3日付紙面より)
秋季近畿地区高校野球県二次予選
総合1位の新宮など4チームが県大会へ
速玉大社例大祭前に30人 (新宮市 )
熊野速玉大社例大祭を前に世界遺産を守る会(会長・上野顯熊野速玉大社宮司)は9月30日、新宮市相筋の乙基(おとも)河原にある御旅所(おたびしょ)を清掃した。約30人が草刈りなどで汗を流した。
御船島の対岸にある御旅所では、例大祭両日の夕刻に神事が営まれる。早船競漕(きょうそう)や神輿(みこし)などの『動』に対し、祈りを込める『静』の場所として最も重要な土地とされる。
守る会は2011年の権現山不法伐採を受け、翌年4月に地元住民を中心に発足した。御旅所は、約750平方㍍の平地の周囲をさまざまな樹木が取り囲む土地だったが、紀伊半島大水害でほとんどが流失。ナギ、マキ、サカキなどを植樹し復元を目指している。
上野宮司は「毎年皆さんの力を頂き活動しています。水害後、人の手を入れ、早く元の姿に戻る力をつけようという気持ちで奉仕してくれました。御旅所は新宮の新宮たるゆえんの第一歩の場所。祭りは国の重要無形民俗文化財に指定されており、喜びをさらに伝えていくには地道な活動が必要です」。
速水盛康事務局長は「世界遺産と関わり、自分たちの大切にしているものを確かめられる活動です。関わり、共有し、一体感を得られることに意味がある。例大祭に向け、神と人との交流の場だと感じています」。60代の女性は「神様と共にいられると実感しています。皆さんに神事を知ってもらいたい」と語った。
例大祭は「新宮の速玉祭(はやたまさい)・御燈祭(おとうまつ)り」として国の重要無形民俗文化財に指定されている。
(2017年10月1日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で9月30日、献湯祭が営まれた。熊野本宮温泉郷(川湯、湯の峯、渡瀬)の16軒の旅館・民宿などの代表者たちが一番湯をささげ、自然の恵みに感謝するとともに温泉郷の繁栄を祈った。
熊野本宮観光協会(堀克也会長)が主催で、今年39回目の神事。旅館の女将(おかみ)らが朱塗りのたるに入れた一番湯を本殿前に置かれた大たるに願いを込めて注ぎ込んだ。社務所前では、熊野本宮女将の会が参拝者たちに温泉コーヒーを振る舞った。
観光協会によると、本宮町の観光客数は、2011年は紀伊半島大水害の影響で100万人を割ったが、翌年以降回復。昨年は宿泊客13万1184人(前年比7748人減)、日帰り客136万8500人(同2万1700人増)の計149万9684人(同1万3952人増)だった。
九鬼宮司は「来年は本宮大社創建2050年。それぞれの役目を果たし、あらためて熊野を発信できれば」。堀会長は「近年増えている外国人観光客に対するおもてなしを特に充実させ、多くの方に熊野の温泉の魅力を感じてもらいたい」と話していた。
(2017年10月1日付紙面より)
風屋ダム2期工前に発表 (電源開発 )
電源開発は9月29日、11月から始まる風屋ダム(十津川村)の表面取水設備改良2期工事に伴う濁水軽減の追加対策を発表した。1期工事ではダム水位の低下が濁度上昇の主な原因になったと分析し、「できる限り水位を上げて工事する」などとした。新宮市議会が先日採択した「風屋ダム湖における堆積土砂撤去を求める決議」を重く受け止め、今後さらに対策を検討すると理解を求めた。
市福祉センターで開かれた「熊野川の総合的な治水対策協議会」の臨時連絡調整会議で、電源開発西日本支店の斉藤文彦支店長代理が説明。昨年11月から今年5月まで実施した1期工事では、ダム湖に堆積したシルト(沈泥)が流出し、熊野川流域住民に迷惑を掛けたと述べた。
2期工事では▽可能な限りダムの水位を上げる▽1期工事で効果があった濁水をろ過する沈殿池工を2基から6基に増やし、幅を約2㍍から4~5㍍に広げる▽地元の意見を参考に瀬の一部を掘削して流れの遅い部分を作り、濁質の沈降を促す▽チラシ配布などで流域住民への丁寧な説明に努める―などと報告した。
会議で国土交通省紀南河川国道事務所の冠雅之副所長は「追加対策の効果はどれだけ出るのか」と質問。斉藤支店長代理は「幅があると思うが、今後の協議会で説明していきたい」と回答した。
決議では、シルトを含む土砂撤去計画を示した上で2期工事に着手することを求めている。会議を傍聴した熊野川濁水・治水関連対策特別委員会の前田賢一委員長は「今日示された対策では効果が期待できない。さらなる努力を望みます」とコメントした。
(2017年10月1日付紙面より)