道の駅たいじオープン (太地町森浦 )
太地町森浦で建設が進められていた「道の駅たいじ」が完成し、11日正午にオープンした。古式捕鯨発祥の地である太地町の玄関口として、クジラとともに歩んできた地域の歴史・文化情報を発信し、町の「森浦湾くじらの海計画」と連携した体験型の環境学習にも利用していく。
道の駅たいじは直轄一体型道の駅として、県内31番目の道の駅として登録された。施設面積は5168平方㍍で、駐車場57台(大型車5、小型車50、身障者用2)を整備。トイレは「日本一きれいなトイレ」をコンセプトに落ち着いた色調を採用。ゆとりある共用スペースを設け、女性用には「パウダーコーナー」を設けている。子ども用、多目的トイレもある。電気自動車(EV)充電器や公衆無線LAN、町内循環バスの停留所も備える。コンシェルジュ(案内係)が常駐し、観光案内や地域の歴史文化の情報を発信する。
駅長は太地町漁協参事の貝良文さんが務める。駅内には地域産品を販売する直販エリアがあり、地域から個人団体あわせて70人が農水産物や加工品などを出品する。
クジラや地元で捕れた魚が食べられるレストランがあり、初日はクジラスタミナ丼とマグロ丼がおよそ半額の500円(税込み)で出された。12日から通常メニューが始まり、20日からイルカや地元の魚介類を使った料理も提供する。貝駅長は「直販コーナーでは、ぜひ新鮮なものをお買い求めいただきたい」と呼び掛けている。
式典で三軒一高町長は「町の玄関口に位置するこの施設は、町の食・観光の大きな起爆剤になると確信している」と完成とオープンを喜んだ。
太地町民芸保存会によるくじら太鼓が披露され、二階俊博自由民主党幹事長らが出席してテープカットが行われた。
(2017年8月12日付紙面より)
新宮市観光フォトコンテストの審査会が10日、新宮市福祉センターであった。6人の審査員が県内外の42人から応募があった作品168点を厳正に審査した。最優秀賞などの入賞者は今月下旬に発表する。
新宮市観光カレンダー製作実行委員会が主催の今年6回目の事業。入賞作品は最優秀賞1点、優秀賞4点、入賞10点、特別賞10点程度で、観光カレンダーやパンフレットなどで活用する。カレンダーは10月中の完成を目指している。
今年のコンテストのテーマは「歴史と文化のまち、しんぐう」。神倉神社、熊野川、新宮城跡、新宮花火大会、御燈祭り、熊野川、王子ヶ浜などを撮影した写真が出品された。
審査員を務めたのは実行委員会委員長の森本祐司・市観光協会専務理事、田岡実千年市長、丹羽生・市観光協会長、市展審査員の児嶋毅さんと杉本光朗さん、新宮市商工観光課の勢古口千賀子企画員。テーブルに並んだ応募作品の中で自分が気に入った作品に付箋を付けていった。
審査委員長を務めた児嶋さんは「どれもレベルが高く、甲乙付け難い。選ぶのが大変です」と話していた。
(2017年8月12日付紙面より)
交通課ら特別活動始める (串本警察署 )
串本警察署(津田健治署長)は10日、夏季特別交通事故防止活動を始めた。この日は出発式を経て、道の駅くしもと橋杭岩で街頭啓発を実施。津田署長は「観光に来て事故を起こしては楽しい思い出も台無しになる。取り締まりを強化するのはそうならないよう緊張感を持ってもらうため。皆さまの安全運転で事故を少しでも減らせるよう努めたい」としている。
県警交通事故抑止総合対策「ユニバーサル・セーフティ・パッケージ2017」の一環。行楽繁忙期に懸念される交通事故の増加をドライバーらの意識で抑止する試みで、同署は今回「みなSUMMERの力を合わせて交通事故をなくしましょう!」を独自スローガンとして掲げ、啓発や指導取り締まりの強化といった手法で同活動の推進を図るとしている。
出発式では、東谷潤交通課長ら交通課と地域課の課員15人が津田署長に同活動に従事することを報告。県警配備の大型白バイ「GL1500」を先頭に警察車両を運用し管内の警らにあたった。
啓発には串本町役場や県交通安全協会串本支部の職員も協力。今回は▽子どもと高齢者の交通事故防止▽飲酒運転根絶▽駐車場での事故防止―に重点を置き、街頭犯罪や特殊詐欺被害の防止を呼び掛ける資材も含めて啓発物資を配るなどした。啓発効果を高めるため、大型白バイとともに県警マスコットキャラクター「きしゅう君」も登場し、往来する家族らの注目集めに貢献した。
日頃の重点項目にない駐車場での事故防止は、前向き(前進)駐車ではなくバック駐車を促すことで、後進で車を出す時の事故発生を防ぐのが狙い。同署は当面、前向き駐車する車両に指導票「セーフティー・みちびきカード」を配り、バック駐車を心掛けるよう求めるとしている。
東谷交通課長によると、同署管内では8月に交通事故件数が少ない月の倍になる傾向にあるそう。行楽繁忙に伴う交通量の増加に加え、夏バテや長時間移動に伴う疲れなど事故を誘発する要因が多い月でもあり「だからこそ一件でも事故を減らしたいという思いを持って同活動に臨む」と話した。
(2017年8月12日付紙面より)
県電気工事工業組合新宮支部
「電気使用安全月間」(毎年8月)中の9日、和歌山県電気工事工業組合新宮支部(勝山康文支部長、52社)は新宮市五新の自動車会館でLEDランプを作る「LED親子工作教室」を開き、小学生24人と保護者らが参加した。
同支部では長年にわたり、学校、保育園、幼稚園などの施設の電気設備の点検や電気器具の清掃を進めてきた。今年は、協議を重ねた結果、電気に関して興味を持ってもらうことなどを目的に、関係各所の協力を得て、工作教室を開催することになった。
勝山支部長のあいさつの後、講師のパナソニック社(エコソリューションズ社)のキャリア教育コーディネーターの布谷秀嗣さんが、LEDは日本語にすると「発光ダイオード」といい、信号機、自動車のライト、スポーツ施設の大型ビジョンなどで使用されていることや白熱電球との比較などを説明した。
工作は、土台作り、LED選び、本体作り、飾り付け、和紙張りと五つの行程に分けて行われた。工程ごとに丁寧な説明を受け、親子で協力しながら作業し、完成後はできた作品を持って記念撮影した。
祖母と参加した三輪崎小学校6年の阪本英士君(11)は「夏休みの工作にと参加しました。作業も簡単で、楽しかったです」と話した。
(2017年8月12日付紙面より)
長女の紀さん「涙が出そう」 (新宮市 )
新宮市出身の芥川賞作家、中上健次(1946~92年)が千穂小学校5年生の時に書いた詩『映画』がこのほど見つかった。長女で作家の中上紀さん(46)=東京都=が4日、市立図書館が保管している小学3年生時の詩『さいふ』と2編を確認し、「没後25年の節目の年にうれしい偶然です。衝撃的で涙が出そうになりました」と話した。
全集に収められていない2編の詩は、当時の名字で「木下健次」となっている。『映画』は千穂小学校5年生全員の作品を収めた詩集『どんぐり』の中の1編で、同級生の仲憲次さん(70)=岐阜市=が実家の整理中に見つけ6月4日、図書館内にある中上健次資料収集室に寄贈した。
紀さんは「過去の扉がいきなり開かれたような感じで非常にショックを受けました。名字を見ても父の複雑な家庭環境があらわになります。当時、映画館に行くことは特別なことだったと思います。父が小説『青い朝顔』の中で書いているように当時の貧しい生活を思いました」
現在確認されている中上が書いた文章で最も古い『さいふ』は、当時の新宮市内小中学生の優秀な詩や俳句を集めた冊子『わかあゆ』に収められている。図書館に2014年7月、市民から寄贈された。中上の同級生で詩人、ラテン・アメリカ文学研究者の田村さと子さんが『中上健次発言集成1・月報①』の中で1995年に紹介している。
紀さんは「小学3年生なのに、ちゃんと韻を踏んでいて、文才があったのかなと思います。比喩もすばらしく非常に良い詩だと思います」と話していた。
(2017年8月6日付紙面より)
熊野再発見プロジェクト (那智勝浦町 )
大学生の視点で那智勝浦町の観光の魅力を探る京都橘大学の「熊野再発見プロジェクト」の発表会が4日、同町体育文化会館であり、2、3両日に熊野地方を巡った約40人の学生らがグループ単位で意見を述べた。町からは花井啓州町観光協会長、大門坂茶屋のおかみ宮本照代さん、町観光産業課職員らが出席し、学生の貴重な意見に耳を傾けた。
2015年度から実施しているプロジェクトで、京都橘大学は昨年6月、那智勝浦町と「大学のふるさと協定」を結び、地域資源の再評価や観光PRの支援に取り組んでいる。同大学の木下達文教授が担当するゼミの学生や講義の受講生らを中心に広く学内から関心のある生徒が参加している。
町や観光協会が発行する案内パンフレットを参考に自由にテーマや行き先を決め、同町の築地や湯川地区、那智山、太地町を散策した。発表では、町の良い点は「人が温かく、どの地域でも親切に声を掛けてくれた」「ビン玉通りがレトロで素敵だった。京都と比べて観光地なのにゴミが少なく海がきれい」などが上がったが、課題も多くあった。「若い人向けの土産や那智の滝をイメージしたものが少ない」「紀伊勝浦駅の近くに駐車場がない」との指摘があり「商店街がシャッターだらけで暗くて近寄りづらい。空き店舗を利用して中が見える休憩スペースを作ってはどうか」「くじらの博物館までのバスの本数が少なく待ち時間が多い。待合場所で、もっと観光情報の提供を」など、課題に対する提案もあった。
木下教授は「観光振興には頑張っている人の点と点をつなげて全体で考えるテーブルが必要。京都にいると和歌山の情報が少ない。こういった学生と皆さんとのネットワークが他の大学でも広がっていけば」と話していた。
(2017年8月6日付紙面より)
葦舟で本宮から新宮へ
田辺市本宮町の熊野本宮大社から新宮市の熊野速玉大社までの熊野川34㌔を下っている熊野葦舟プロジェクト実行委員会(高栖浩史代表)は5日、新宮市熊野川町の熊野川行政局前から2日目をスタートした。同日午後4時ごろ、速玉大社前に到着する予定だ。
ダムと山の荒廃によって流れが細くなってしまった「川の参詣道」を復活させることを願い始まった取り組みで、今年で8回目。1日目は休憩を挟みながら約20人が交代で、約7時間かけて行政局まで下った。
プロジェクトを指導している探検家の石川仁さん(50)=長崎市在住=は、サハラ砂漠をラクダで横断、南米ジャングルの丸木舟川下り、イヌイットとの捕鯨などを体験している人物。2019年には葦舟での太平洋横断を計画している。「順調に進んでいます。ゴールよりも安全に笑顔で終わることが一番です」と話していた。
(2017年8月6日付紙面より)