県警と海保が共同訓練 (太地町 )
太地町で9月から始まる小型鯨類追い込み漁を前に和歌山県警察本部と第五管区海上保安本部は18日、太地港で反捕鯨団体による違法行為を想定した合同警備訓練を実施した。警察官約50人、海上保安官約80人が参加し、陸上と海上で訓練した。
町には平成22年以降過激な環境保護団体が多く訪れ、漁の無許可撮影など嫌がらせ行為を続けている。過去にイルカを飼育するいけす網が2度切断され、今年の1月にも地元企業が所有するいけす網が切られる事案が起きている。昨年は約80人の活動家が来町しており、今年はイルカ漁で新たに2種類が捕獲対象に加わったことなどもあり、県警も情勢を注視している。
県警の宮沢忠孝本部長は「この数年で活動家の来町が大幅減少している。9月から始まる漁期に向けて万全の体制で臨めるよう訓練に取り組んでほしい」と一層の連携を求めた。
現地警戒本部長を兼任する田辺海上保安部の川上誠部長は「訓練を通じて連携の一層強化に期待。参加者は違法行為は断じて許さないという毅然(きぜん)とした態度を強く示すことで地域住民の安心安全に大きく寄与できる」と激励した。
訓練は陸上と海上での違法行為を想定して展開した。陸上では、イルカ肉を搬送するトラックの前に活動家が立ちふさがり、県警が活動家の1人を道路交通法違反で逮捕した。海上では小型ゴムボートに乗った活動家3人が漁船に発火物を投げ、海上保安庁のゴムボート2隻がこれを取り囲み、威力業務妨害で逮捕した。
太地町いさな組合の小畑充規組合長(51)は「創意工夫して訓練してくれるのでありがたい。考え方の違いがあるのは分かっており、私たちも仕事である以上覚悟している。捕獲対象が増えたことで商売的にもプラスになると思うので、自分たちも事故やけがのないよう操業したい」と話した。
(2017年8月20日付紙面より)
骨髄バンクを考える集い
白血病など血液の病気を治すのに有効な治療法である骨髄移植への関心を高め、骨髄バンクへの登録を呼び掛ける「骨髄バンクを考える集い」が11日、御浜町阿田和の紀南高校視聴覚教室で開催され、木本高校のJRC(青少年赤十字)部の部員はじめ住民ら約40人が参加した。三重県骨髄バンク推進連絡協議会「勇気の会」主催。
協議会の理事長、南信行医師や移植治療で助かった息子を持つ母親ら会員4人が登壇し、バンクへの登録を呼び掛けた。骨髄移植は患者と提供者(ドナー)の白血球の型が一致することが大前提だが、適合する確率は兄弟姉妹で4人に1人、それ以外だと数百人から数万人に1人の割合といわれている。日本の公的骨髄バンクは平成3年に設立され、今年5月末でドナー登録者数は47万2856人いるが、累計患者登録数は5万1097人、移植例数は2万747人。希望する患者の約6割が移植できていない。
南医師はドナーが見つかっても移植までの準備期間は少なくとも約3カ月はかかるため、スムーズに移植を実現するためにもドナー数を増やすことが必要と話し、高校生には献血の協力も呼び掛けた。白血病の患者はがんに侵された造血幹細胞を放射線などで壊してから移植を受けるため、治療の間は輸血で耐えていかなければならない。
伊勢市の女性は18歳で急性リンパ性白血病を発症した息子の移植の経過を話した。幸いドナーが見つかったが、提供まで進まないケースもあり、同意が得られるまでの間は祈るようにして待ったという。「会ったこともない見ず知らずの人が、入院までして骨髄を提供してくれました。今、息子は普通に近い生活を送っています。前を向いて元気に生きています。骨髄バンクがあったからこそ、ボランティアがいたからこそです」と涙ぐみながら感謝した。
同協議会紀州支部の二村昭医師は熊野保健所を中心に東紀州地方で活動する紀州支部の設立経過を話した。紀州支部は、健康診断で白血病が分かった男性が一生を骨髄バンクの運動にささげたいという思いから25年前に設立。二村医師は亡くなった男性の無念さを涙ながらに語り、骨髄バンクの必要性と課題を話した。バンクの登録は55歳が上限と決められている。二村医師は登録者の約55%が40歳以上の高齢世代で、数年たつと人が減少していくと話し、若い人たちの理解が必要と訴えた。会場の参加者からは、入院時のドナーへの助成制度を自治体が設ける必要があるなどの意見が出た。
紀州支部は21日(月)午後0時30分から同4時までイオン熊野店前で登録会を開く。登録できる人は18歳から54歳以下で男性は45㌔以上、女性は40㌔以上の人。問い合わせは紀州支部(電話090・5107・0640)まで。
(2017年8月20日付紙面より)
ぱしふぃっくびいなすが出港 (新宮港 )
豪華客船「ぱしふぃっくびいなす」(2万6518㌧、全長183㍍)が18日午後5時30分ごろ、「新宮港梛(なぎ)の木見送り隊」や地元太鼓グループ「紀宝楽」に見送られ、新宮市三輪崎の新宮港から神奈川県の横浜港に向け出港した。
客船は同日午前8時ごろ、新宮港へ入った。前夜に船上から熊野大花火大会を鑑賞した乗客約450人は、当地方で観光などを楽しんだ。岸壁では近隣の観光協会が地元物産を販売するなどした。
丹羽生・市観光協会長は「この熊野という観光フィールドは広く、到底1日では回りきれなかったのではないかと思う。また、ぱしふぃっくびいなすと共に皆さんが来るのをお待ちしたい。その時は『おかえりなさい』とお迎えしたいと思います」とあいさつ。
紀宝楽が演奏で船を見送った。乗客らがカラーテープを投げ、見送りに来た人たちと「また来てよ」「また来るよ」と互いに声を上げながら手を振り合った。
見送り隊は近年入港が増えているクルーズ船の乗客たちを温かく見送ろうと結成された。会員特典として特別船内見学会への参加、一定回数以上の入出港イベントでの参加で記念品贈呈などがある。問い合わせは新宮市企業立地推進課(電話0735・23・3333)まで。
(2017年8月20日付紙面より)
第53回和歌山県吹奏楽コンクールが4日から6日にかけ、県民文化会館ホールで開催された。当地方からは6校が出場。新宮市神倉の県立新宮高校(畑伸憲校長)吹奏楽部(亀谷覚史顧問)が4年連続の金賞、3年ぶりの県代表に選ばれた。立溝まい部長は「真剣に楽器と向き合って練習に取り組み、関西大会では120%の力が出せるようにしたい」と意気込んでいる。
新宮高校は『リンコドンティプス―蒼き海の守り神―』で、小編成26人で出場した。立溝部長は「場面転換が多く、景色や色合いなどが分かりやすく描かれている曲。壮大な雰囲気の所が何カ所かあり、吹いていて楽しいです。拍子を変えるところが難しく、和音のずれも気になります」。
県コンクールでは初日のトップバッターを務めた。「緊張や不安がありました。練習通りの力は出し切れませんでしたが、それでもできる限りの演奏ができたと思います。部員のみんなも金賞の発表を受けられることを楽しみにしており、とてもうれしかったです」と語った。
関西コンクールには、これまで悔しい思いをしてきた先輩の気持ちも持って行きたいとし「自分たちの限界を超えられるくらいのいい演奏をしたいです」と話していた。
コンクール前には長年使っている楽器の一部に不具合が生じ、急きょ代替品をレンタルしての出場となった。「例年以上にチームの状態も不安定で、トップバッターという絶対的に不利な状況だった」と亀谷顧問。「結果は求めず新高らしい演奏をしたいと思っていました。発表では『ゴールド』の言葉に例年落ち着いている生徒らも泣き崩れており、僕自身も驚きました」。
関西に向け「年々少しずつ成長していますが、当地方では他校と対抗してコンテストに出場したり、演奏を聞いたりする機会もなく、本番で緊張し、萎縮してしまいます。伸び伸びと演奏してほしく、本来発揮できる力は別次元なので、本番でその力を出し切りたい。課題は多いです。県代表として他のバンドの思いも背負っている。まずは自分に負けず、練習したことを発揮できるよう内面を磨き上げてほしい。それができれば、もっといい形で現れると思うし、苦労をはじき返す音楽を作ってくれると信じています」と話していた。
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各校の結果は次の通り。
■金賞
▽県立新宮高校(県代表・県知事賞)
■銀賞
▽新宮市立緑丘中学校
▽那智勝浦町立那智中学校
■銅賞
▽県立串本古座高校
▽新宮市立光洋中学校
▽近畿大学附属新宮高校・中学校
(2017年8月10日付紙面より)
和歌山とスペインの合唱団が奉納演奏 (那智勝浦町那智山 )
和歌山市を拠点に活動する和歌山児童合唱団(岩橋延直育成会会長)とスペイン・バルセロナのアミクス・デ・ラ・ウニオ(アミクス)児童合唱団は8日、那智大社創建1700年・青岸渡寺西国三十三所草創1300年を記念して那智勝浦町那智山の両社寺で奉納演奏を催した。境内に和歌山の中高生団員41人とアミクスの中高生団員38人の清らかな歌声が響いた。
2016年5月にブルガリアで開かれた第37回May国際合唱コンクールをきっかけに両団は知り合い、アミクスから「日本でコンサートを行いたい」という希望を受けて、創建草創記念の年と重なることもあって今回の演奏が実現した。アミクスが日本で公演するのは初めてだという。合唱団一行は那智大社本殿前、青岸渡寺の那智の滝展望地、飛瀧神社で「ふるさと」や「Song of hope」など複数曲を合同合唱、奉納した。
和歌山児童合唱団員で私立開智高校2年の西川千尋さん(17)は「ブルガリアで会った時から今日が楽しみでした。このような神聖な場所で生の歌が聴けて、共演もできてうれしい。観客の皆さんもしっかり聴いてくれて、歌が届けられたと思う」。
アミクス児童合唱団のパウラ・コロナド・ソリアーノさん(17)は「那智の滝がすごくすてきで、神様が宿る自然と私たちの歌を一緒に楽しんでいただけるのは、とても光栄なこと。自然と観客がつながる感覚があった」と奉納時の印象を語った。
アミクスの講師で指揮者のジュゼップ・ヴィラ・ジョベルさん(46)は「観光だと信仰など深いところまで知ることができない。この場所で演奏できたのは、幸せなこと。自然と芸術が融合できたのは素晴らしい」と話した。
この日は奉納演奏のほか、町立市野々小学校でコンサートが開かれ、地域住民と同校児童に日本とスペインの合唱曲全10曲を披露した。市野々小児童会の中村悠寿副会長(5年)は「コンサートを開いてくれてありがとうございました。歌声がとてもきれいで、スペインの楽曲は日本のものと違っていて良かったです」と感謝を述べた。
(2017年8月10日付紙面より)
KAK第2弾第2回活動 (古座川町 )
古座川町教育委員会(和田充旦教育長)主催事業「KozagawaAdventureKids(KAK)」の本年度第2弾第2回活動が5日、古座川町民体育館であり町内の小学1~6年生35人が古座川の伝統漁法「ウナギ石漁」の仕組みを教わるなどした。
同町子ども教育15年プランに掲げられた3大重点活動の一つ、体験活動「古座川アドベンチャープログラム(KAP)」を社会教育領域で展開する同事業。本年度第2弾のテーマは「みんなで古座川天然うなぎをとろう!~伝統漁法うなぎ石漁を学ぼう!~」で、事前の申し込みでは37人が参加を希望したという。
第1回活動は7月21日にあり、ウナギ取り名人の細井孝哲さんと一緒にウナギ石漁の仕掛けを、少女峰前の古座川の瀬に五つ作った。第2回活動は漁に臨む計画だったが、台風5号に伴う雨を警戒した七川ダムの事前放流で水位が上がり、仕掛けが水没したためやむなく中止。会場を同館に変更し、環境学習や天然ウナギの調理実演見学と試食のみ実施した。
活動冒頭、ウナギを捕る感覚だけでも伝えたいとして、細井さんが体長80㌢の天然ウナギをたらいに入れて捕り方を紹介。代表3人にウナギばさみで捕まえ方を実践指導してこつを伝えた。
環境学習では県環境学習アドバイザーの瀧野秀二さん(=熊野自然保護連絡協議会副会長)が、ウナギ石漁の仕組みを解説した。仕掛け「ウナギ石」はウナギのエサになるハゼの仲間やエビ類なども隠れ家にするので、ウナギにとっては天敵のカワウやサギから身を守ると同時にエサを探す手間もない快適な居場所。それをウナギが好むきれいな状態(隙間が詰まっていない状態)で作り出して誘い込むのがこの漁の仕組みで、同じ理屈でしば束を沈めて捕る方法もあると紹介した。
併せてウナギ以外に川で観察できる生き物や川石の裏に張り付いている虫の種類と数を調べると川のきれいさがわかる(=スコア法)ことにも触れ、「古座川はスコア法で10点満点中8~9点が取れるきれいな川。だからこそ大切にしてほしい」と呼び掛けた。
学習後は南紀月の瀬温泉ぼたん荘の深海政也料理長らによるさばき方や調理を見学。焼き上がった古座川産天然ウナギのかば焼きをうな丼にし、命をいただくことへの感謝を胸に抱きながらみんなで味わって活動を締めくくった。
(2017年8月10日付紙面より)
熊野マウンテンビルディング
新宮市熊野川町上長井の熊野マウンテンビルディング(南方商店前)のギャラリースペースで若手作家たちの作品展『健康』が開催されている。9月上旬まで。不定休で、開場時間は午前10時ごろから午後4時ごろまで。入場無料。
作品を展示している作家は、ジュエリー作家の高瀬大輔さん、折り紙職人の太田弘昭さん、プログラマーの齋藤雄介さん、写真家の秦雅則さんら。拾った石を乗せる指輪、フイルムを腐敗させた写真など計約20点を並べている。
現在、ビルを管理しているのは写真家の芹川由起子さん(33)=東京都。自らも作品を制作中で、近く展示する。
芹川さんは「健全な考え方、健康的なものを応援するプロジェクトです。日常でないことが考えられる場所になればと思っています」と来場を呼び掛けている。
(2017年8月10日付紙面より)
紀南十高校リーグ秋季リーグ戦
新宮弓友会主催の月例射会
トルベリーノカップキッズ大会