和歌山・三重県警が合同訓練 (新宮市 )
近い将来発生するといわれる大規模災害に備えた和歌山・三重県警察合同災害警備訓練が10日、新宮市緑ヶ丘の旧新宮警察署であった。両県警の警察本部長含む警察官ら128人が、情報収集や救出救助などの訓練に取り組んだ。
南海トラフ地震などの大規模災害発生時に、迅速、的確な災害警備活動をするため、救出救助部隊の現場対応能力を高め、部隊相互の連携強化を図ろうと両県警で初めて実施した。
この日は9日午後6時に和歌山県南西沖を震源とするマグニチュード9・1の大地震が発生したと想定。ビルや一般家屋と設定した旧庁舎や官舎では、窓を割ったりチェーンソーやエンジンカッターで壁を切るなどして現場に入っての捜索救助をはじめ、警察犬の協力、ドローンを活用した情報収集や映像伝送、検視に取り組んだ。同市新宮の三差路では信号機が表示されない事態を想定した訓練が実施された。
難波健太・三重県警本部長は「各部隊の対処能力の高さを確認でき、非常に心強く思っている。自然災害に迅速かつ的確に対処するには、広域緊急援助隊をはじめ警察災害派遣隊の対処能力の向上と、他県部隊、消防や自衛隊などとの連携強化は不可欠。訓練の成果を踏まえ引き続き実践的な訓練を続けて」。宮沢忠孝・和歌山県警本部長は「実践的で充実した内容だった。各部隊の皆さんも的確かつ迅速に行動できており、非常に良かった。災害発生時に的確に対処するには日頃の訓練による練度を高め、連携をさらに強化することが大切」と講評し、県をまたいだ連携強化の重要性を語った。
和歌山県警本部の得津卓志・緊急事態対策室長は「反省点は今後の訓練で補っていきたい。和歌山県は巨大地震発生や台風の心配もあり、力を発揮できるよう訓練していきたい」と述べた。
(2017年7月12日付紙面より)
わかやま夏の交通安全運動始まる (新宮・東牟婁 )
和歌山県、交通事故をなくする県民運動推進協議会など主催の「わかやま夏の交通安全運動」が11日から始まった。20日(木)まで、子どもと高齢者の交通事故防止、飲酒運転の根絶、歩行中・自転車乗用中の交通事故防止を重点とし、県民に注意を呼び掛ける。
県内では昨年2914件の事故が発生。死者は40人で前年より8人の減少となった。年齢別の死者数では高齢者の割合が57・5%を占めている。新宮署管内では人身事故は81件で死亡事故は1件。
運動初日には新宮市橋本のイオン新宮店で街頭啓発があった。新宮警察署、市交通事故をなくする市民運動推進協議会、交通安全母の会、交通指導員協議会などの関係団体から大勢が参加。買い物客らに物資を配布し、交通安全を呼び掛けた。
決起集会で新宮署の岡本光泰交通課長は管内での事故減少にはまさに三つの重点が大切だと述べた。今年に入り人身事故は減少傾向だったものの、7月に入り6件の人身事故、30件の物損事故が発生しているとし「自転車と車の事故がものすごく多く、自転車のほとんどが高齢者」と説明した。
「交通安全運動はドライバーが主となりがちだが、免許証を持っていない自転車利用者や歩行者の意識を高めなければ事故は減らない。そのためには皆さんの力が効果的。期間中だけではなく、色んなところで声を掛け、地道な活動をしていただきたい」とあいさつした。
この日は那智勝浦町のAコープなち付近の道路や北山村で早朝街頭啓発、太地町や熊野川町で啓発活動があった。
(2017年7月12日付紙面より)
スポーツボイスフェス開く (医療法人芳純会潮岬病院 )
串本町串本にあるサンマリン1階ラウンジで9日、医療法人芳純会潮岬病院(東芳史理事長)主催のイベント「スポーツボイスフェスティバル『音楽×健康』」があり、約200人がボイストレーニングの一種「スポーツボイス」を体験して健康寿命増進に弾みをつけるなどした。
高齢化率40%を超えた町域に今必要なのは健康寿命をいかに伸ばすかだと考えた東理事長は、遠縁のボーカリスト東哲一郎さんが発案した「スポーツボイス」を健康法として地域に取り入れる挑戦を始めている。このイベントはその足掛かりとしてまず、地域にこの健康法を紹介する機会として計画。事前配布の整理券が周知を始めた途端に出尽くすほど地域の注目も高く、大きな期待を集めて本番を迎えた。
開会にあたり東理事長と来賓の田嶋勝正・串本町長があいさつ。前半は東哲一郎さんによるレッスンの体験会で、顔の筋肉、声帯、腹筋の動きをつかむ練習を経て、それらを全て使った発声を実践紹介した。限られた時間の中で東さんは▽背伸びをした時の腹部の状態が正しい姿勢▽力を込めずに声帯を震わせるボイスストレッチ―の2点を今日の収穫として持ち帰ってほしいとも呼び掛けた。
後半はライブステージで、友情出演のサークル「HULA HAPUNA」に続いて東さんが岩戸崇さんらと結成するユニット「EastBlock」が熱唱。本州最南端串本をテーマにして作った楽曲や文豪佐藤春夫作「秋刀魚の歌」を取り入れた楽曲もあり、観客は前半の体験で滑らかになった声を上げながら盛り上がった。
来賓の寺本眞一・那智勝浦町長と東理事長が閉会あいさつを述べ、東理事長は「スポーツボイス」普及のため今後もイベントの回を重ねる意向を伝えて来場に感謝した。会場周辺では若松屋、セ・ラ・セゾン、紅葉屋本舗の各出店、串本町地域おこし協力隊のジビエケバブ提供や日本トルコ友好マスコットキャラクター「まぐトル」の出演もあった。
同法人の段取りで初めて同町域に「スポーツボイス」を届けた東哲一郎さんは「歌の練習イコール食事や呼吸など生命の源を支える筋肉のトレーニングにもつながる。高齢化社会が抱える問題(=生涯寿命と健康寿命の差)を乗り越え地域を活性化する上で大切な心と体の元気をつかんでいただくために今後も(紹介を)繰り返して進めていきたい」とコメント。前日にトレーナー養成講演もしたそうで、東理事長と共に次は11月ごろ、レッスンを受けた人を主役にした2回目のイベント実施を思い描いた。問い合わせは同病院(電話0735・62・0888)まで。
(2017年7月12日付紙面より)
太地町の海水浴場で
太地町のくじら浜海水浴場で10日から、小型クジラと一緒に泳げるイベントが始まった=写真。時間は午前11時からと午後1時からの1日2回で各15分程度。期間は8月21日(月)まで。
2008年に始まり今年で10回目の催し。一緒に泳ぐクジラはハナゴンドウのサツキ(体長280㌢、推定体重317㌔、推定8歳、雌)とセージ(体長266㌢、推定体重241㌔、推定6歳、雄)。太地町立くじらの博物館が飼育していて、今月3日、海水浴場内のいけすに移した。
海水浴場に放たれたクジラたちは、最初はなかなか人に近づかなかったが徐々になれ、海水浴客たちが手で触れられるほどまで接近していた。期間中は解放時間以外でもいけす前に設置された特設ステージからクジラを観察できる。
インターネットで催しを知り、家族4人で訪れた京都府宇治市の菅谷美心さん(5)は「大きくて、かわいかった」と話していた。
(2017年7月12日付紙面より)
和歌山県小学生陸上競技選手権大会
全国社会人クラブバドミントン大会
新宮市立佐藤春夫記念館(辻本雄一館長)には全国各地の研究者などから全集未収録のエッセー、詩、紀行文などの資料が続々と集まっている。辻本館長は「全集が出た当時、もう作品は出尽くしたと思われていましたが、もう1巻作れるくらいの作品が集まってきています」と話している。
『定本佐藤春夫全集』(臨川書店)は、1999年3月から2001年9月までに別巻2巻を含め全38巻発刊された。全集未収録の作品は、全国各地の研究者のほか、新宮市立図書館が春夫ファンなどからの情報をもとに国会図書館から取り寄せている。辻本館長は「これらの資料を将来的に本にして出版できれば」と話している。
1945年発行の『公論12月号』で春夫は「ジャーナリストと文学者との相違」「永井荷風を思う」などの文芸時評を書いている。詩人で童話作家の宮澤賢治(1896~1933年)の作品『グスコーブドリの伝記』については「荒唐無稽な物語でありながら人生の真実が哀切に織り込まれて音楽か何かのように読者に迫るのは驚くべきものがある」などと書いている。辻本館長は「長野県佐久市に疎開中に書いた文章だと思うが、まだあまり知られていなかった宮澤賢治の先駆的な評価と言える」
『山陽新聞』(1932年1月1日)には、アメリカの小説家オー・ヘンリー(1862~1910年)の作品『最後の一葉』の翻訳を掲載。辻本館長は「芥川龍之介の薦めでオー・ヘンリーを読み出したということはエッセーに書いているが、これで具体的に証明された」と話した。
写真家・木村伊兵衛(1901~74年)が撮影したタバコを吸う自身の写真については『写真雑誌アサヒカメラ正月増大号』(1934年1月)で、「目の前にふわりと煙が浮かんでいるあたりが実に面白いと気に入りました」などと書いている。
1946年発行の『公論1・2月合併号』では「自分は敗戦の第一の原因として現代日本文化の低劣を数えるものである。自分は日本の文化を必ずしも低劣とは考えない。けれども現代の日本に関する限り残念ながら甚だ低劣なるを感じた」と嘆いている。
1960年発行の『月刊週末旅行6月号』では「木の国頌」と題して、「僕は少年時代に故郷を出てしまって故郷の山川を探る暇もなく都門の悪い空気と塵(ちり)にまみれている生涯なのである。早くあの清浄秀麗な天地の中に帰って老を養いたいものだ」と書いている。
(2017年7月8日付紙面より)
日本郵便が御創建1700年記念 (那智勝浦町 )
日本郵便株式会社近畿支社(大阪市中央区・矢﨑敏幸支社長)のオリジナルフレーム切手「熊野那智大社・御創建一千七百年」の販売開始に先立ち6日、熊野那智大社(男成洋三宮司)で記念贈呈式があった。日本郵便から8人と、受贈者3人が参列した。
正式参拝の後、矢﨑支社長が切手1シートを男成宮司、寺本眞一那智勝浦町長、花井啓州那智勝浦町観光協会会長にそれぞれ手渡した。「伝統ある1700年目の年に、作成できたことは私どもの誇り。那智勝浦町の観光振興のお役に立てれば」とあいさつ。男成宮司は「多くの方にお求めいただき、信仰とご神徳が広まることを願います」と述べた。
切手は創建1700年を機に作られ、熊野那智大社や那智の滝、扇祭りなど名勝や催しを題材にしたもの。82円切手10枚が1シート(1300円・税込)になっており、那智勝浦町を中心に、簡易郵便局を除く近隣81局の郵便局で限定販売している。販売数は1050シートでうち50シートは「郵便局のネットショップ」でも購入が可能となっている。
(2017年7月8日付紙面より)
JICA研修で樫野視察など (串本町 )
国際協力機構(JICA)の国別研修に参加するトルコ共和国の行政官一行が6日、串本町を訪ね町長表敬や樫野崎の視察に臨んだ。
訪れたのはイスタンブル県のアクギュン・ジョラウ副知事ら12人。同研修「地域開発に係る地方行政官の能力開発プロジェクト」に参加していて、プログラムの一環でトルコ軍艦エルトゥールル号が遭難した地・樫野崎をじかに見届けるため来町した。
先だって表敬を受けた田嶋勝正町長は「127年前の出来事で始まった友好を誇りに思い、毎月慰霊碑に献花して亡くなられたトルコの軍人の皆さまに哀悼の意を表している。これからも守り続けるので安心してほしい」と述べ、来町を歓迎。
一行を代表してジョラウ副知事は「祖先を葬り今も守ってくれている経緯に対し、感謝を示したい。長年の見守りが友好の要になっていると、私たちも思いを共有している。今後もより強い形で継続することを願ってやまない。今日は研修の中でも特に心に残る大事な日、という思いを持って串本へ来た」と述べ、その後は各行政官が来町記念の品を贈るなどして友好を深め合った。
樫野崎では役場総務課の案内で殉難将士慰霊碑を礼拝し、樫野崎灯台やトルコ記念館などを視察。カフラマンマラシュ県エルビスタン郡のトゥンジャイ・アクコユン郡長は「私たちはこの地に眠る祖先を決して忘れない。曾祖父にあたる人々の思いをお互いに受け継ごうとする心が今、そしてこれからの日本とトルコの友好につながっていくと思う。役場で旗を振っての歓迎、また駐車場からここに来るまでごみ一つなく、串本の皆さんのその心遣いに感謝申し上げたい」と語った。
同プロジェクトの研修期間は2日から22日(土)までの21日間。6日は神戸市で日本の防災体制や復興について解説を受けたそうで、来町後は白浜町で宿泊し7日に東京都渋谷区にある在日トルコ共和国大使館を表敬、10日以降は同研修の主舞台・北海道で関係諸事の視察や表敬をこなす。トルコ共和国内務省とJICAは計4回のプロジェクト実施を計画していて、今回は3回目。次回は来年1月に行うという。
(2017年7月8日付紙面より)
熊野三山協議会(会長・田岡実千年新宮市長)の総会が6日、新宮市のステーションホテル新宮であり、一昨年6月から実施している全国熊野神社分布調査(第2次)の途中経過が報告された。残り9県を残してすでに前回を985社上回る4120社となっていて、最終的には5000社近くになりそうだ。
鈴木俊朗幹事が経過を報告した。前回の調査は1993~98年に実施。今回は平成の大合併に伴い、住所が変更している神社があるため、所在地確認を主な目的としている。現在までの結果によると、福島県が最も多く442社、次いで千葉県347社、埼玉県222社、岩手県219社となっている。寺本眞一・那智勝浦町長は「結果を本にまとめてはどうか」と提案。事務局は「成果はまとめていきたいと思っている」と回答した。
この日承認された本年度事業計画には▽八咫烏(やたがらす)と神木・梛(なぎ)のルーツ調査▽中村覚之助の日本サッカー殿堂入りに向けたPR▽熊野那智大社御創建1700年、那智山青岸渡寺西国三十三所草創1300年記念事業への協力▽熊野本宮大社御創建2050年記念事業への協力―などが盛り込まれた。
本宮大社の九鬼家隆宮司が、各社寺が記念の年を迎えるとし、「熊野三山一寺の宮司と住職が集まってパネルディスカッションをしてはどうか」と提案し、幹事会で検討することになった。
協議会は1984年発足。熊野速玉大社、熊野本宮大社、熊野那智大社、那智山青岸渡寺と関係自治体、民間団体などで組織している。
(2017年7月8日付紙面より)