城南中と王子ヶ浜小合同で初 (新宮市 )
新宮市立城南中学校(速水盛康校長、206人)と王子ヶ浜小学校(畑下圭喜校長、364人)は8日、初の合同避難訓練を実施した。地震発生の放送を聞いた児童生徒らは身を守る行動をとった後、高台を目指して避難路を駆け上がった。
東日本大震災と同規模の地震による家屋倒壊の危険性と津波を想定し、児童生徒が安全かつ迅速に避難できるようにと取り組んだ。小学生は建物の倒壊の恐れがある場合や校外活動中に被災した場合、柔軟に判断しより高い所へ逃げるという危機意識を養う目的で、中学1年生が小学1年生の避難を補助。2、3年生は別の避難路を確認した。
震度6強の地震を想定し、揺れから身を守る行動を取った児童生徒らはそれぞれ避難を開始した。中学1年生は王子ヶ浜小付近での校外学習中に地震が起こったという設定で、小学1年生と合流。東仙寺を通り、海抜17・7㍍の近畿大学附属新宮高校・中学校のグラウンドへ避難した。中学2、3年生は中学校正門を出発し、消防署前を通る道で逃げた。
訓練には新宮警察署、新宮消防署、市役所、保護者、地域住民やボランティアなどが協力。集合した子どもたちを前に、市防災対策課職員は実際の災害発生時にはサイレンなども鳴り落ち着いて行動できなくなると話し「周りをよく見て、耳を傾けて行動を。危ないと思ったらより高い所へ逃げて。市のハザードマップを見て勉強し、また、率先して避難することで周りも避難行動をとり、多くの人を助けることにつながる」。
畑下校長は訓練で高い場所を確認すること、小学校高学年や中学生は「してもらう」立場から、人を助け、地域の中で自分に何ができるかを試すこと、小中学生が訓練することで、新宮市で犠牲者を出さないという地域の人へのメッセージを発信していると呼び掛けた。
速水校長は「高台への避難を中心に災害時の行動は子どもたちに定着してきていると感じます。今回は災害弱者といわれる人たちへの支えとして、小学生と一緒に避難する経験を通じ、これまでとは違う学びの効果があったと思います」。
小学6年生の榎本優真君(11)は「もう少しきびきび行動できたかなと思う。(災害発生時には)広い道を通り、高い所へ逃げたい」。洞口凪さん(12)は「学級委員としてみんなを引っ張っていけて良かった」。
中学1年生の小西杏奈さん(13)は「1年生を安全に誘導させられるようゆっくり歩きました」。河村伯空(はくあ)君(13)は「地域の役に立っていきたいと思います」と話していた。
新宮警察署からは自転車の盗難防止に関する注意があった。ほとんどが無施錠の自転車を狙っているため、少しでも自転車を離れる際は施錠をするよう訴えた。
(2017年2月10日付紙面より)
三輪崎幼稚園でお茶ごっこ (新宮市 )
新宮市立三輪崎幼稚園(尾﨑いづみ園長、園児4人)で7日、「お茶ごっこ」があった。園児らは茶道裏千家淡交会南紀学校茶道連絡協議会の会員から指導を受けて、今まで学んだ作法を保護者と地域の人らに披露。1年間の感謝の気持ちを込め、講師へお礼の言葉と共に手作りのプレゼントを贈った。
お茶ごっこは、あいさつや礼儀を身に付け、感謝と思いやりの気持ちを育てるのが目的。季節を大切にする心を学んでもらう狙いもある。床には太地町の東明寺、関宗健和尚作のとりと「福寿」の言葉が書かれた色紙が飾られた。茶花はスイセンで、部屋と心を清めるためのお香がたかれた。
園児らはお菓子とお茶を出し合い、成長した姿を見せた。手作りの招待状で招いた保護者や地域住民らにお菓子とお茶を運んでもてなし、1年間の成果を披露。感謝を込めて講師と地域の人たちに自分たちが育てたコスモスの種にメッセージを添えて贈った。
淡交会メンバーは「小学生になってもお茶ごっこをしたことを忘れないで。大きな声で、相手の目を見て笑顔であいさつができるようになってね」と優しく園児らに語り掛けた。
昨年同園に勤めていた坂上知穗さんは「昨年より人数は少ないですが、いい経験ができているのではないかと感じました。人数の少なさを感じさせない雰囲気で、地域の人もたくさん集まってくれていました。今後につながってくれれば」と話していた。
(2017年2月10日付紙面より)
宇久井青年会が獅子舞練習 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の宇久井青年会(柴原寛会長)は12日(日)の宇久井稲荷神社春の例大祭に向け、奉納する獅子舞の練習を積み重ねてきた。会員たちの士気は今年も高く、舞の仕上がりも上々。「一緒に感動を味わってほしい」と意気込んでいる。
練習が始まったのは約1カ月前。扇の舞とてんぐの舞を担う河野倭士君(8)と湊谷尚三君(9)は5回目の務めだが、今年が最後で後任に後を託す。忘れていた所作はすぐに思い出したという二人だが、区民の前で舞うのはこれが最後とあって、緊張は隠せず、「まだ覚えることがたくさんある」と言う。一舞いごとに汗を光らせ、息を弾ませながら先輩からの細かい指導に耳を傾けていた。河野君は「失敗したらどうしよう。恥ずかしい」。湊谷君は「やるだけ。とにかく頑張る」。やりがいを感じながら、それぞれが思いを口にする。柴原会長は「元気に踊っているし、二人には感慨深いものがある。皆さんには彼らの成長も感じ取ってもらいたい」と期待した。後任には東奏毅君(3)=てんぐ、畑葵衣ちゃん(5)=扇=の両宇久井保育園児が決まっている。
かつて村人を困らせる大蛇を白狐が退治したという言い伝えが地区にあり、書上げ帳によれば文化5年(1808年)から、漁民が旧暦1月中旬ごろ稲荷を祭って大漁を祈願してきた。練習は9日で打ち上げ、10日宵宮(金)、11日(土・祝)は獅子が町内を巡る「地下まわし」を行う。当日は午前10時に神事、午後1時から獅子舞奉納があり、福引や厄払いの餅まきと続き、にぎわいが春を呼び寄せる。
(2017年2月10日付紙面より)
「南の国の雪まつり」委員会 (那智勝浦町 )
第22回商工祭「南の国の雪まつり」の実行・運営(合同)委員会が7日、那智勝浦町商工会館で開かれた。関係団体の代表らが集まり、今年の新たな取り組みなどを確認した。
雪まつりは、太地町の姉妹都市である長野県白馬村から届いた100㌧の雪を用いた1996(平成8)年から続く地域の一大イベント。消費者、団体、ふるさとの「ふれあい」をテーマに、地域の住民や子どもを対象に思い出作りと交流の場を提供することを目的としている。今年は19日(日)の午前8時30分から午後3時にかけて開催される。
実行委員会は、南紀くろしお商工会、同商工会青年部、町の観光・漁業などの団体で構成されている。実行委員長は商工会の森川起安会長、名誉実行委員長は寺本眞一那智勝浦町長、運営委員長は商工会青年部の東理部長。
委員会では、経過報告の後、会場周辺の案内、各イベントの配置、当日の全体進行などを確認した。閉会のあいさつで東運営委員長は「いま一度、自身のブースの安全を確認して。お客さまに来年も来たいと思っていただけるようなイベントにしていきたい」と協力を求めた。
今年の新たな取り組みは次の通り。
【駐車場】
▽シャトルバス用駐車場増設
▽シャトルバス用乗降場所の廃止
▽那智漁港、木戸浦浦島両駐車場の警備員同士による情報交換
【警備】
▽補助として遊撃員1人を配置
【環境整備】
▽「トイレは商工会へ」の表示追加
【イベントなど】
▽姉妹都市PRとして太地コーナーで白馬村の産品販売
▽県たばこ商業協同組合新宮支部による啓発活動
▽どんぐりの家がコーナーイベントに参加
▽雪山付近に第2ステージ設置
▽太地コーナーにスタンプラリー設置
(2017年2月10日付紙面より)
フットサルDELFINOカップ
那智大社、青岸渡寺で節分行事
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)と青岸渡寺(高木亮享住職)で3日、節分行事があった。裃(かみしも)姿の男女が家内安全などを願い「福は内、鬼は外」と豆をまいた。
那智大社の「鬼追い追儺(ついな)式」には責任役員の塩﨑巍朗さん、佐藤春陽さん、森川起安さんをはじめ寺本眞一町長、土井敏弘・東牟婁振興局長らが参列。神職の豆まきの後、鬼の面を着けた役人役が、先の割れた竹筒(鬼やらい用具)を手に「家内安全、延命息災、家運隆昌」と唱え各門の石段をたたいた。
神職が「鬼」と朱書きされた的を狙う「お弓の儀」に続いて、男成宮司や参列者が豆やお菓子をまき、境内は参拝者の歓声に包まれた。地元の町立市野々小学校の1・2年生11人が、ふるさと学習の一環で神事に参列。1年生の村井旭君(7)は「緊張したけど、豆とお菓子が拾えて楽しかった」と喜んでいた。
青岸渡寺では本堂内に参列した信者らが本尊に向かって「福は内」、外に向かって「鬼は外」と豆をまいた。上地實徳さん(78)=御浜町=は「毎年ここに来ないと落ち着きません」と話していた。
(2017年2月4日付紙面より)
土砂災害防止会議 (県土砂災害啓発センター )
那智勝浦町市野々の県土砂災害啓発センターで2日、全国治水砂防協会和歌山県支部による土砂災害防止会議が開かれた。支部メンバーらは県の講演や各種報告を受けた。
今年で4回目の開催。開会にあたり、協会和歌山県支部長の真砂充敏田辺市長があいさつした。「平成23年に起きた台風12号の被害から5年余り経過したが、今なお爪痕が残っている。地域住民ほか観光客にも安心していただけるよう力添えいただき、早期復興できれば」と目標を掲げた。
講演では京都大学防災研究所附属流域災害研究センターの藤田正治教授が、近年の土砂災害調査から見た警戒避難について講話した。大規模土砂災害が発生する前には、いずれも長期的で強い降雨が確認されていたと説明。土砂災害は複合的な要因で起きるため、危険性の評価や早期避難などのソフト面、砂防ダムの設置などハード面の融合が重要と述べた。
国交省近畿地方整備局紀伊山地砂防事務所の吉村元吾所長は、管内で発生した土砂災害の状況について解説。那智川地区では各支流に砂防ダムや保全工事などを施工していると説明した。
一般社団法人全国治水砂防協会の岡本正男理事長は、災害から得た教訓について講話。近年発生した土砂災害や水害の被害とその後の改善策を紹介した。
国交省水管理・国土保全局砂防部の西山幸治部長は「土砂災害を防ぎ命とくらしを守る」と題して、土砂災害の被害事例と対策事業に関して話した。
(2017年2月4日付紙面より)
古座小6年生が紙すき (串本町 )
串本町立古座小学校(道本幸浩校長)の6年生6人は2日、地元産のガンピ(雁皮)を使った紙すきに挑戦した。卒業証書の用紙を自分たちで手作りする歴代6年生伝統の取り組みで、6人は3班に分かれて人数分に予備の分を加えた枚数の和紙作りに励んだ。
家庭の副収入や子どもが小遣いを稼ぐ手段として古座小周辺でも盛んだった紙すき。複数ある原料の中でもガンピは近くの山でたくさん採集でき、その恵まれた自然環境を生かして十数年前、総合的な学習の時間が学校教育に新設された頃にこの取り組みが始まった。
本年度の6人は昨年12月に学校近くの山でガンピの枝を採集。皆で取り合いだった昔と違って今は手に入れやすいが、かなりの量が必要になるため地元の猟師も枝集めに協力してくれたという。今年1月に集めた枝から紙の原料になる内皮をはいで乾かすなどした。
この日は当時の学校長から紙すきの手順を教わった元教員谷本節代さん(72)が6人に作り方を指導した。内皮を水と一緒にミキサーにかけてほぐして得た繊維を、横約45㌢、縦約30㌢、底面に簾(すだれ)を張った木型に流し入れ。軽く水を切って型から簾を外し、繊維にさらしをかぶせてスポンジで余分な水を吸い取るなどして乾燥前の紙を仕上げた。
森風香さん(12)は「ガンピを使って卒業証書(の紙)を作る難しさを知らなかったので、今日はそれが知れて良かった。スポンジで押した時にたくさん水が出てきて『こんなに?』と思った。この紙で作った卒業証書をもらうのが楽しみ」と笑顔。
谷本さんは「身近にある自然の中のものでいろいろなことができることに目を向け、自然に恵まれたふるさとを思い続ける大人へと育ってくれたら」と6人の今後に期待を込めた。
同校の卒業式は3月23日(木)実施。この日作った紙はさらにアイロンで押し固め、谷本さんと道本校長が卒業証書に仕上げて6人に授与する。
(2017年2月4日付紙面より)
クルーズ客船観光セミナー
近畿運輸局主催の「熊野エリアクルーズ客船への観光魅力向上セミナー」が2日、那智勝浦町役場であった。新宮港周辺の観光協会、自治体の関係者ら約40人が出席して意見交換した。長谷潤・同局勝浦海事事務所長は「皆さまが連携、団結すれば、熊野地域の発展の大きな力になると信じています。熊野を全国、世界にアピールできれば」と呼び掛けた。
同局の調べでは、昨年のクルーズ客船による外国人入国者数は前年比78・5%増の199万2000人。寄港回数は38・8%増の2018回(日本船社574回、外国船社1444回)で、いずれも過去最高。寄港回数が最も多かったのは博多の312回で、次いで長崎190回、那覇183回。関西で最も多かったのは神戸で32回。
新宮港は本年度9回の寄港があり、3月に2回を予定していて過去最高の11回になる見込み。来年度は上半期だけで10回近くの予定が入っていて、過去最高を更新する可能性が高い。
長谷所長は、新宮市立神倉小学校の木造体育館に感動した宮崎駿監督から手紙が届いたことを例に挙げ、「木造体育館に個人的に興味はなかったが、すばらしい建物であることに気付いた。熊野地域にはまだまだ発見されていない観光資源が眠っているのではないか」と述べた。
福西謙・同局観光部長は「クルーズ受入のための地域の取り組み~京都舞鶴港を事例として~」をテーマに講演。クルーズ誘致協議会を設立し、地元高校生による書道パフォーマンス、肉じゃがの振る舞い、座禅体験などのおもてなしを行い、2013年にはクルーズ・オブ・ザ・イヤー2013特別賞を受賞したと紹介した。
福西部長は、客船に繰り返し寄港してもらうためには乗客だけでなく乗組員にも満足してもらうことや、他の港と重ならないオリジナルのおもてなしを考えることなどをアドバイス。新宮港は客船が横浜から出港し、寝ている間に到着する恵まれた位置にあると述べ、「世界遺産など観光資源にも恵まれていて、非常にチャンスがある」と今後の展開に期待した。
熊野交通の岡嶋信行社長は「日帰りでは行く場所が限られてしまう。2日以上停泊し、温泉で1泊してもらえると、いろんな広がりができるが」と質問。福西部長は、宿泊は厳しく、リピーターになってもらうのが現実的と回答した。
(2017年2月4日付紙面より)