研究協議や記念講演など (和歌山県教育委員会 )
和歌山県教育委員会主催の「第7回和歌山教育実践研究大会」が28日、那智勝浦町体育文化会館などで開催された。「和歌山の未来を切り拓く教育を実現するために~自ら学び、考え、行動する力を育てる~」をテーマに約900人の学校教育関係者らが学びを深めた。
県内の幼稚園、小中高校や特別支援学校で取り組んだ教育実践の成果を発表して交流し、今後の教職員の教育実践の向上を図ろうと開いている。全体会で宮下和己・県教育長は「公開授業では、魅力的で特色ある授業実践が行われ、研究協議では視点を定め、活発に交流していた。県が培ってきた教育の根幹を大切にし、県内全ての学校や子どもを輝かせ、ふるさと和歌山に愛着心を持たせる教育を共に力を合わせながら進めてほしい」。来賓の寺本眞一・那智勝浦町長は「互いによい刺激となり、明日からの教育実践への意欲が高まる実り多い大会になるように」と祝辞。
この日は午前中に那智勝浦町立勝浦小、古座川町立明神小、新宮市立城南中、串本町立串本中、県立新宮高校で公開授業などがあった。
午後からの全体会では新宮高校吹奏楽部が演奏を披露。記念講演では大阪市立大空小学校初代校長の木村泰子さんが「みんながつくるみんなの学校~全ての子どもの学習権を保障する学校をつくる~」を演題に話した。
大空小は全ての子どもを多方面から見つめ、全教職員のチーム力で全ての子どもの学習権を保障する学校をつくることに情熱を注いでいる。木村さんは、「学びの場で子どもたちが存分に学ぶために必要な条件は人と人との関係が対等であること」とし、同小での取り組みを語った。
子が安心して子ども同士学べる事実を作るために、教員に必要なのは「人の力を活用する力」だと述べ、子ども、保護者、地域住民、教職員が学校をつくることが、全ての人と人が対等な関係で学びを生み出す場をつくることだと話した。「みんなで学校をつくることは全ての子どもが自分の学びを居場所にしていくことにつながる」と締めくくった。
(2017年1月31日付紙面より)
新宮市伝統芸能大会
第8回新宮市伝統芸能大会(同実行委員会、新宮市主催)が29日、熊野川総合開発センターで開かれた。地域7団体は熱の入った芸で来場者約350人を魅了した。
文化複合施設建設により28年度から市民会館が使用できなくなったため、今年は同センターに会場を移した。出演団体は、井谷豊優扇会、(公・社)関西吟詩文化協会華城会、香扇会、紫海流詩吟会、藤紀和会、西川流友千恵会、若柳流若吉会。開催にあたり、近畿大学附属新宮高校・中学校の有志4人が準備と運営に協力した。
プログラムは、全17演目。各団体が優美かつ力強く伝統舞踊や詩吟を披露した。客席から時折掛け声が上がり、演目が終わると盛大な拍手が送られた。
来賓の田岡実千年市長は「今年で大会も8年目。新宮は文化レベルが高い街という声もある。日頃の練習成果を見ていただくことで、レベルをさらに高めることができる」とさらなる芸能の発展を願った。
三重県熊野市紀和町から来場した男性(63)は「楽しかった。熊野川小唄の子どもたちの踊りも感動した」と称賛した。
(2017年1月31日付紙面より)
串本観光協会(島野利之会長)主催のイベント「本州最南端の火祭り」が28日、串本町潮岬にある望楼の芝で開かれた。今回もさまざまな趣向を交えて日没後に火が放たれ、夕闇深まる広大な芝地を焼く光景が約5000人(主催者発表)の注目を集めた。
広さ10万平方㍍ある芝地の管理手法として取り入れている芝焼きを軸にした1月最終土曜日恒例のイベントで、2001(平成13)年に旧来のイベントを再編する形で始った。17回目となった今回はほぼ例年並みの内容で、花火を打ち上げから噴き出しに改めるなど若干の変更をした形で本番を迎えた。
当日は午後1時から芝地での物産販売が始まり、一足早く訪れた観客らの利用を集めた。午後4時30分から名物の漁師鍋「しょらさん鍋(トビウオのつみれ汁)」800食が振る舞われ、潮風の休憩所前で潮岬節保存会、串本節保存会、串本町トルコ文化協会の3団体が順々に踊りを披露。午後5時には芋餅2個入り300パックの販売もあり、いずれも長蛇の列や鑑賞の輪を誘った。
日没ごろの午後5時20分から式典や餅まき菓子まきがあり、その後は県立串本古座高校弓道部の部員14人が2組に分かれて火矢を放ち、演出花火で祝った後にスタッフが火のついたたいまつをひきずって芝全体に炎を広げた。
今年は若干強めの風が吹き抜けたが、ほぼ快晴の好条件に恵まれた。焼く範囲は東半分とされ、芝焼きは約30分で完了。観客はその外周や潮岬観光タワー上から夕暮れ時に広がる炎の帯を鑑賞した。
実施にあたり島野会長は「予定通りの実施を迎えてうれしく思う。高速が伸びて県外からもたくさんお越しいただいていると思うが、これからも町民と観光協会で力を合わせて楽しいイベントを開催していきたいと思うのでどんどん串本に遊びに来てほしい」とあいさつし、来賓を代表して前芝雅嗣県議会議員と寺町忠町議会議長が祝辞を寄せイベントの実施を祝った。
(2017年1月31日付紙面より)
クローバーの家でこども食堂 (新宮市 )
NPO法人熊野は29日、新宮市千穂のファミリーホーム「クローバーの家」(荒木博和理事長)で「こども食堂」を開いた。44人がハヤシライスとフルーツヨーグルトを味わった。
ファミリーホームは児童相談所などの関係機関と連携し、家族と離れて生活しなければならない子どもを迎え育てる施設で、県内には5カ所ある。クローバーの家は昨年4月に開設した。
こども食堂は、地域の子どもと大人の居場所づくりや、地域交流などを目的にしている。新宮市の共同募金会の「MACHIサポート事業」の助成を受けている。
この日出されたハヤシライスの調理は地域に住む瀧内将さんが行うなど、町内会の協力もある。荒木理事長は「月1回の頻度で継続していきたいと思っています。地域の子どもたちを中心に、信頼し、安心してもらえる場所になっていければ」と話していた。
(2017年1月31日付紙面より)
メジャーキャンプ前に中後悠平投手
バンビカップ小学生バレーボール大会
155人が参加し新宮マラソン大会
「まぐろ祭り」にぎわう (那智勝浦町 )
生鮮マグロの水揚げが日本有数の那智勝浦町築地の勝浦地方卸売市場で28日、第23回まぐろ祭りが開かれた。今年は熊野那智大社御創建1700年、那智山青岸渡寺が一番札所の西国三十三所巡り草創1300年を記念して、1700食の刺し身、1300杯の色川茶が振る舞われ、約1万3000人(主催者発表)の人出でにぎわった。
「マグロの町勝浦」をアピールする恒例のイベント。町観光協会(花井啓州会長)が主催者となり、町内の多くの団体が協力する形で開催した。熊野那智大社の神職らによる祈願祭の後、午前9時に「Team雅龍」による活気あふれる踊りでステージイベントが幕開け。寺本眞一町長と花井会長があいさつし、関係者らによる酒だるの鏡開きで盛況を祝った。日本舞踊の藤紀和会の華やかな踊りも披露された。
生マグロ即売では旬を迎えたキハダ、メバチ、ビンチョウの各マグロ計約3㌧が用意され、午前9時の開店前から長蛇の列ができた。
恒例のまぐろ汁や中落ちの振る舞いもあり、マグロの重量当てクイズや抽選付きアンケート、宿泊者対象の抽選などの催しも人気を集めた。
南紀くろしお商工会主催の「生まぐろ料理コンテストの表彰式」もあり、最後はにぎやかな餅まきでイベントを締めくくった。
静岡県浜松市から訪れた齋藤安弘さん(70)は「有名なまぐろ祭りに来られてうれしい。2回目です。冷凍物が多い中、生マグロは新鮮でとてもおいしい」と喜んでいた。
(2017年1月29日付紙面より)
総務建設委員会で質問 (新宮市 )
新宮市議会総務建設委員会(福田讓委員長、8人)が27日、新宮市井の沢のセンタービルであった。市に共同で新しいクリーンセンターの建設を提案していた那智勝浦町が単独建設に方向転換した報道を受けて委員から質問があり、田岡実千年市長は「まだ町長から報告をいただいていない。来週説明してくれるとうかがっている」と述べた。
新宮市のクリーンセンターは平成14年に完成。地域住民との協定は平成34年度までとなっている。市は同じ敷地での建て替え、もしくは改修を考えていて、今後、地域住民と話し合う予定。
大西強委員は「広域でやって得したことは一度もない」と述べ、現在地は将来、建設地探しで苦労しないために選んだ土地と説明。久保智敬委員は「今回はだめでも、次に建設するときは串本町も含めての建設を考えて」と提案。田岡市長は「現時点では明確に答えられないが、人口減少のことも考えると、将来的には新宮東牟婁地域に一つを視野に入れて議論していくべき」と述べた。
広角(ひろつの)用地で建設を予定している「道の駅」の進ちょくについて久保委員が質問。新谷嘉敏・企画調整課長は「国と協議しているところ。多角的に調査している」と述べた。
大西委員は「道の駅を造るなというわけではないが、財政がもたない」。北村奈七海委員は「維持管理費を負担していく余裕がない」。前田賢一委員は「民間にやってもらえれば、固定資産税も入ってくる。もう少し知恵を出して。知恵がないならやめればいい」と述べた。
向井雅男・企画政策部長は「今、慎重に検討しています」。田岡市長は「少しでも財政負担のかからない方法を考えていきたい」と理解を求めた。
(2017年1月29日付紙面より)
出前授業で魚と漁業学ぶ (太地小学校 )
太地町立太地小学校(東哲弘校長)で26日、魚の出前授業があった。東牟婁振興局農林水産振興部の向野幹生さんが、5年生21人に魚の骨の構造や食べ方、県内漁業について教えた。
この出前授業は骨付きの魚の食べ方を知ってもらって魚食普及につなげようと、平成26年度から県内の給食調理室を備えた小学校を対象に取り組んでいる。実施校では、県内でも多く取れる身近な魚として昨年の夏ごろに御坊沖で捕れたアジの塩焼きを振る舞う。太地小は今回が初。
向野さんは、魚にはタンパク質やカルシウム、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれていて体にもよいと説明。今回給食で出されるアジの食べ方も解説し、骨の構造を見せて「肉間骨はよく喉に刺さる小骨なので気を付けて」とアドバイスした。骨を取り除く手順を動画で紹介すると、児童たちは「すごい」、「こんなきれいに取れるんや」と驚きの声を上げ、食い入るように画面を見ていた。
県内漁業の規模と漁法についても教え、全国でもタチウオと鯨類が2番、伊勢エビは3番目に多く捕れていると話した。
給食にアジが出ると、早速骨の取り除きに挑戦。うまく皮がはがれると「できた」と喜びの声を上げ、柔らかな身に「めっちゃおいしい」と舌鼓を打っていた。
水産庁が発表する平成27年度水産白書によると、国内の魚介類消費量は平成13年度の1人あたり40・2㌔をピークに減少している。向野さんは「魚好きという子どもでも刺し身やすしなど食べやすいものを好む傾向がある」と話す。この日、授業の初めに「魚が好きな人は」と質問があった際も、刺し身とすしを挙げる子どもが多く見られた。
(2017年1月29日付紙面より)
運転時は気温や速度に注意を (新宮・東牟婁地方 )
新宮市や串本町の山間部で27日早朝から路面凍結が原因の交通事故が相次いで発生した。新宮警察署の岡本光泰・交通課長は「温度差に気を付けて。山間部は日陰や橋の上、早朝は特に凍りやすいので、速度を落として運転し、気象情報に敏感になってほしい。特に山間部を通る人はスタッドレスタイヤなどで備えていただく必要がある」と注意を促している。
同署管内では午前6時台から9時台にかけ、救急搬送2件、物損6件の計8件の事故が起きた。国道168号の高田相賀地区から熊野川町間など、広範囲で数カ所が凍結。氷が張り、歩行が困難な場所もあった。特に県道168号と311号は路面凍結に注意が必要となる。
串本警察署管内では午前5時台から8時台に、山間部の県道で8件の単独事故が発生した。県道田原古座線では二輪自動車の転倒が2件、四輪自動車では県道すさみ古座線でスリップして横転、その他県道串本古座川線や上富田すさみ線などでのり面やガードレールに衝突する事故が6件あった。
和歌山地方気象台のデータによると古座川町西川では26日、午後7時で氷点下を観測。徐々に気温が下がり、日付が変わった27日午前1時32分には氷点下3・3度を記録した。この日は午前8時時点まで氷点下の気温が続いていた。
(2017年1月29日付紙面より)
補陀洛山寺で豆まき
世界遺産に登録されている那智勝浦町浜ノ宮の熊野山補陀洛山寺(高木亮享住職)で27日、「立春大護摩祈祷会(きとうえ)」があり、一足早く豆がまかれた。境内は「福は内、鬼は外」の声が響き、約200人の信者らでにぎわった。
同寺が年3回行う本尊の国重要無形文化財「三貌(ぼう)十一面千手千眼観音像」開帳法要の一つ。高木住職が護摩壇に火を付け、「家内安全」「商売繁盛」などを祈願した後、厄年の人らと境内の中央に設置されたやぐらから豆や餅をまいた。
高木住職は「皆さんが無事に一年を送られるようにとお祈りしました」。参列した同町勝浦の湯川千代子さん(80)は「毎年来ています。先祖の供養と自分の健康をお祈りしました」と話していた。
(2017年1月28日付紙面より)
こころの健康づくり講演会 (紀宝町 )
紀宝町保健センターは22日、がん患者とその家族の心のケアを専門とする医師、齋藤暢是(のぶよし)さんを講師に迎えてこころの健康づくり講演会『いのちについて考える~家族で話し合うことの難しさ・大切さ~』を開き、約50人が聴講した。齋藤さんはNPO「こころっコロ」所属で自治医科大学付属病院精神腫瘍部の医師。
齋藤さんは「より良い最期を過ごすには何が大切か」についてがんを中心に話した。がん患者の家族はその負担の重さから「第2の患者」と呼ばれるが、その家族(遺族)に「より良い終末期に大切だと思うことは何か」をアンケート調査したところ、患者本人の精神的苦痛の有無と家族が患者本人の希望を知っていたかが重要なことが分かった。
齋藤さんは「自分が治らないがんと分かった場合、家族で話し合うことは死ぬまでの生き方に関わるのでとても大切」と語り、話し合うために必要なのは話すタイミングと場所や何を伝えるかを考える「準備する心」と「コミュニケーション力」と説明した。話し合いには医師やソーシャルワーカーの協力を仰げる。
齋藤さんは、余命宣告された母親が宣告時点で小学4年生だった娘が20歳になるまでのバースデーカードを書き上げて亡くなった患者を例にとり、患者がやり遂げたいことを終えて最期を迎えることは家族にとっても重要と話した。自分の最後について伝えることは、死後に家族を不要な罪悪感やもめ事から守るための家族へのプレゼントとなり得ると考えることも大事と解説した。
最終ページがエンディングノートになった「もしもカレンダー」を紹介して講座を終了した。エンディングノートには自分が死を迎えたい場所や延命措置を希望するかなどが書き込める。
講演を聞いた同町鵜殿の中谷美鈴さんは「自分の最後のための準備について考えることはあったけれど、今日の講座で何について考え、どう始めたら良いかが分かった」と話した。
(2017年1月28日付紙面より)
外国人観光客おもてなしセミナー (新宮商工会議所 )
新宮市の「訪新外国人いらっしゃい商店街づくり推進協議会」は24日、新宮商工会議所で「外国人観光客おもてなしセミナー」を開いた。兵庫県尼崎市にある尼崎えびす神社の太田垣亘世宮司が、受講者60人に外国人観光客の迎え方や海外から見た日本について講話した。
かつて、オーストラリア航空に客室乗務員として約6年間務めた太田垣さん。職場で日本の宗教について答えられなかったことから改めて日本文化に興味を持ち、宮司の資格を得た。尼崎では「飲みニケーション」で住民との交流を深め、地域発展に貢献した。国外でも、ニューヨークで行った「七五三企画」などの祭儀で神道と日本文化の情報発信に努めた。
近年は地方に注目が集まっており、ガイドブックに載っていない体験が人気だという。食文化などその土地にしかないものの意味を伝えると喜んでくれると話した。尼崎神社では巫女(みこ)装束の着装体験が人気を呼び、体験者がネットで情報を拡散したことによって神社のWEBサイトのアクセス数が大きく伸びたと話した。
海外観光客の国籍によっては、トイレの利用方法や時間に対する考え方など日本とは文化が違うことも説明。「グローバルなまなざしでローカルな行動を取ることが今の時代にとても合っている」と話し、国際化で地域を盛り上げるには、地元愛を持つとともに国や地域をしっかり理解しなければならないと語った。そのためには寛容になり、異文化ストレスを表に出さないことが大切だとコツを教えた。
講演の終わりには、協議会が製作した「歓迎コミュニケーションポイント&トーク」の使い方を実演。外国人役の太田垣さんに向けて記入されているピクトグラムや例文を指さし、簡易的に意思疎通が取れることを示した。
(2017年1月28日付紙面より)
2月から新時刻表で運行 (串本町コミュニティバス )
串本町コミュニティバスが2月1日(水)付で新しい時刻表に基づく運行に切り替わる。和深線と大島・出雲線で往復各一便の増便やJRきのくに線との連絡に合わせて運行時間が変わるなど各路線とも発着時刻の一部変更があり、同町は広報くしもと2月号と併せて新しい時刻表を各戸配布し周知を図る。
このバスは平成27年10月、旧民間路線と切り替わる町民の足として運行が始まった。現在は和深線、潮岬線、大島・出雲線、佐部・上田原線の4路線があり、一乗車基本200円(中学生以下町民無料、JR串本駅~くしもと町立病院間100円、潮岬線と上田原・佐部線は乗り継ぎ可、他各種割引などの設定がある)で利用できる。
日本トルコ友好125周年に伴う臨時便が期間限定で運行されたが、正式に増便されるのは今回が初。和深線は住民の買い出しなどの利便を図るため、大島・出雲線は上記の臨時便を定時便とする形で運行本数が増え、増便に伴い他の便の発着時刻も支障が出ない形で変更されている。
JRきのくに線との連絡は近く発表される新ダイヤを考慮した設定になっていて、少なくとも来年のダイヤ改正までは不都合が生じないという。今回の時刻表改正は町民の利便性を高めるための年次見直しによる。事前に開かれた住民説明会で上がった意見のうち、取り組める部分について改善を進めた状況だ。同バスの運行を委託する役場企画課は新しい時刻表の内容確認を呼び掛けている。
同バスは当初、年間5万人の利用を想定して運行を始めた。平成27年度(10~3月)の利用者数は5万9085人、平成28年度は昨年11月末で8万人を突破し、おおむね月1万人前後で推移している状況にある。問い合わせは同町企画課(電話0735・62・0556)まで。
(2017年1月28日付紙面より)
那智大社、青岸渡寺で訓練
「第63回文化財防火デー」の26日、那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)と青岸渡寺(高木亮享住職)で消防訓練があった。消防や住民が各約40人参加し、国の宝を守る意識を高めた。
熊野那智大社の訓練は午前9時に宝物殿裏の山林から出火したと想定。自衛消防隊が初期消火し、消防署、消防団が駆け付け一斉に放水。訓練後、署員らが消火器の使い方を神職に指導した。
峯幸生・町消防本部消防長は「きびきびとしていて、適格な訓練でした。いざという時は1700年の歴史がある神域を協力して守っていただきたい」と講評。
男成宮司は「大社は山の中腹に位置するため、消防署や消防団が駆け付けるまでの時間の自衛消防隊の活動が大変重要。いつ火災が起きるかもしれませんので、消火栓や消火器の使い方を熟知し、初期消火ができるように訓練を続けていきたい」と話した。
青岸渡寺の訓練は午前10時に本堂床下から出火したと想定。高木亮英副住職の指揮の下、自衛消防隊が境内の放水銃で初期消火した後、消防署と団員たちが駆け付け一斉放水した。訓練後、貝岐昌志・町消防団長が「地域のみんなで貴重な文化財を守っていきたい」と協力を呼び掛けた。
文化財防火デーの1月26日は1949(昭和24)年に奈良県の法隆寺金堂壁画が焼損した日。1955(昭和30)年からこの日を中心として消防と地域が連携し、全国的に防火運動が展開されている。
(2017年1月27日付紙面より)
蓬莱公民館の和菓子教室 (新宮市 )
イベントを通じて地域の交流を深めようと、新宮市の蓬莱公民館(大石熊野館長)文化部(大前美和部長)は25日、蓬莱体育館横の会議室で和菓子教室を開いた。市内外から23人が、柏堂切畑屋の切畑屋伊和男さんから教わり、季節感のある紅梅とうぐいすをモチーフにした和菓子を作った。
この日は硬めに炊いた白あんと蒸して裏ごししたイモを混ぜて作る「練り切り」を使って形の違う2種類を作った。「練り切りが手に付きやすいので、よく拭きながら作ってください」などとポイントを伝えた。
切畑屋さんはユーモアを交えつつ丁寧に説明。参加者らは近くの人とおしゃべりをしながら楽しく作業を進め、会場には笑顔があふれていた。
大石館長は「楽しくやっていきたいと思います」とあいさつ。一緒に取り組んだ大前部長は「布巾を使って形を作るところや色づけは少しの違いで変化してしまうところなど、とても難しかったです。和菓子屋さんはすごいと思いました。皆さん『難しい』と言いながら楽しそうにしてくれていて良かった」。
切畑屋さんは「苦戦しつつも楽しそうにしてくれていて良かった」と話していた。
(2017年1月27日付紙面より)
商工会館で地場産品研修会 (串本町 )
串本町商工会館で25日夜、地場産品研修会があり商工、観光、漁業、農業の各関係者40人が尾鷲市梶賀町の地場産品「梶賀のあぶり」振興の経緯を見る機会を持った。
高速延伸に伴う流動人口の増加が将来的にも期待される中、町が平成27年に実施した観光動態調査では、道の駅くしもと橋杭岩におけるお土産の売り上げ1位は梅加工品、2位は「何も買っていない」という地域経済に直結しない結果も明らかになっている。
昨年末に開かれた観光関係者の会合においても「(注目される)地場産品を作る必要がある」という声が多数上がったことを受け、その取り組みの足掛かりになればと役場産業課がこの研修会を計画し、各関係者の参加を呼び掛けた。
開会にあたり濵地弘貴課長は研修会実施に至った上記の背景を伝え、「今後の串本の地場産品開発について皆さんと一緒に考えていくきっかけにしたい」とあいさつ。講師として振興を担う住民団体「梶賀まちおこし会」で中心的な役割を担う尾鷲市地域おこし協力隊隊員の中川美佳子さんと浅田克哉さんを迎えた。
「梶賀のあぶり」は梶賀地域で100年以上にわたって作られている保存食で、住民の「売りたい」という思いが地場産品としての成長を支えている。講師2人は昨年2~3月からこの挑戦に関わるようになり、浅田さんはプロモーション面、中川さんは経営やセールス面で支援している。
浅田さんは梶賀町の地域柄、中川さんは「梶賀のあぶり」振興の経緯を紹介した。梶賀町は近年唯一の店舗を失い移動販売に依存する高齢化の進んだ漁師町。「梶賀のあぶり」は定置網漁で得た鮮魚を塩で味付けし煙であぶった薫製で、製造する女性が「売りたい」という思いを持ったことで地場産品としての成長が始まった。地域の和尚が熊野市二木島方面の販路を開くなど、利用できる機会はためらわず利用して販売促進の輪を広め、その輪に触れる中で従来の素朴な袋詰めを改め真空パック化やラベル貼り付け、薫煙の元となる木の種類にもこだわるなど、好まれる商材としての磨き上げも進んだ。
徐々に需要が高まり、婦人会から生産者グループ「梶賀まちおこし会」が派生的に発足。行政とも相談して補助や助成の制度を見つけては設備を増強し、アピールにつながるイベントにも積極的に参加して地場産品「梶賀のあぶり」を育てている。その状況に支援を注ぎ始めたのが中川さんや浅田さんで、それぞれの得手によりさらなる販路拡大や魅力向上が進んでいる。
中川さんは各局面で住民が直面した課題も含めて報告。梶賀町の挑戦に触れて気付いた事柄として中川さんは▽何があるかではなく誰がどう動くかが必要▽100人集まるより本気の一人が必要▽運がいいではなく運を引き寄せる努力が大切▽あちこち顔を出していればひょんかことから(販路が)開ける―などと伝えて講話を締めくくった。
(2017年1月27日付紙面より)
外国人観光客対応用 (新宮市 )
増加する外国人観光客に対応しようと訪新外国人いらっしゃい商店街づくり推進協議会(会長=丹羽生・新宮市観光協会長)はこのほど、「歓迎コミュニケーションポイント&トーク」と題した冊子を1000部作製した=写真。市商工観光課(電話0735・23・3333)、JR新宮駅構内の新宮市観光協会(電話0735・22・2840)で配布している。
冊子はA4サイズのカラーで、表裏の表紙を合わせて6㌻。「席は空いていますか」「今夜宿泊できる部屋は空いていますか」「たばこは吸いますか」など飲食、買い物、宿泊で頻繁に使用する簡単な会話を英語、スペイン語、中国語(簡体字、繁体字)で掲載している。
数字、食材、交通機関、トイレ、病院などの単語を絵と共に記載していて、外国語が苦手な人が、指をさしながら会話することができるようになっている。
(2017年1月27日付紙面より)
速玉で「吉兆」作り
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)でみこたちが縁起物「吉兆(きっちょう)」を作っている=写真。大(約80㌢)100本、小(約50㌢)約800本は同社で販売していて、希望者には郵送している。
境内の山林で採ったヤナギの小枝に大福帳、小判、お守り、タイなどの小物をくくり付け、仕上げに直径約3㌢の赤、白、青、黄などの「もち花」を付けた縁起物。節分に飾ると商売繁盛、家内安全などの幸福が訪れるとされている。大が3000円、小が1500円。
2月3日(金)の節分祭でも販売しているが、人気があり売り切れてしまうこともある。祭りは午後2時から9時まで「お焚き上げ」、午後7時から「追儺(ついな)式」が営まれる。厄よけ祈とうは午前9時から午後9時まで。
(2017年1月26日付紙面より)
串本幼保合同津波避難訓練 (串本町 )
串本町立串本幼稚園(濱口芳美園長、園児34人)と同串本保育所(矢野久美所長、園児148人)は24日、合同で津波避難訓練に取り組んだ。安倍昭恵首相夫人も視察する予定だったが、寒波に伴う交通の乱れで来町できず。園児は参観で集まった家族にしっかりと高台に避難する姿を示し、避難のお約束3項目を元気に復唱して意識を高めるなどした。
この訓練は同幼稚園が基本的に毎日取り組んでいて、近年は隣の同保育所も月1回から5回程度取り組んでいる防災防犯訓練を連動させる形で参加している。年長児は同幼稚園の年長児と同じ園舎で過ごしている関係上、幼稚園年長児と一緒に日々同訓練をこなしているという。
安倍夫人の視察は昨秋、田嶋勝正町長の紹介に関心を示して決まった。併せて安倍夫人自ら防災講話をしたいとの申し出もあり、両園所はこの日を参観日として保護者にわが子の生活の様子の見学と併せての受講を呼び掛け、本番を迎えたといった状況だ。
安倍夫人は同日早朝の便で南紀白浜空港を目指したが、風雪のため着陸できず関西空港へのう回を余儀なくされた。園児も手作りのプレゼントを用意してギリギリまで来町を待ったが、間に合わないとの連絡があり両園所は午前11時に同訓練を決行。非常ベル後の放送による指示通りに身を守り、幼児らは防災頭巾をかぶって自分の足で、乳児らはカートに乗り込み先生が数人がかりで押し、皆で最寄りの高台・西の岡まで駆け上がった。
園児と同じルートで保護者も西の岡へ移動。人員確認後、濱口園長は「大事な頭はちゃんと隠せたか。上手にできましたか」と問い掛けて達成感を確かめさせ、園児は日頃から教わっている避難のお約束「自分の命は自分で守る」「早く高いところへ逃げる」「安全になるまで戻らない」―を大きな声で復唱して訓練を締めくくった。
この訓練は串本幼稚園を軸にして回を重ねているが、「地震即高台避難」の意識と園児の体位体力の向上を兼ねた取り組みとして次年度以降、くしもとこども園に引き継ぐ方向で調整が進んでいるという。
(2017年1月26日付紙面より)
文化財愛護思想の高揚を目的に制定された「文化財防火デー」(26日)を前に田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で24日、防火訓練があった。消防関係者や神職、地域住民ら約40人が参加し、連携体制を確認した。
訓練は午後3時30分に宝物館から出火し、神職たちによる懸命な消火活動にもかかわらず本殿に延焼する恐れがあると想定。初期消火の後、駆け付けた消防署員や団員たちが放水した。
訓練の後、整列した参加者たちを前に松葉幸保・田辺消防署本宮分署長は「訓練は迅速にできたと思います。本宮町内には本宮大社をはじめ、熊野古道、温泉街など貴重な文化財が数多くあります。関係機関と住民が連携して大切な財産を守り抜いていくことが私たちの使命」と講評。
九鬼宮司は「昨年は田辺市内では闘鶏神社が世界遺産に追加登録されるなど、世界遺産がクローズアップされ、海外の観光客も増えています。関係者と住民が一丸となって、火事がないよう取り組んでいきたい」と協力を呼び掛けた。
文化財防火デーの1月26日は1949(昭和24)年に法隆寺金堂壁画が焼損した日。1955(昭和30)年からこの日を中心として全国的に防火運動が展開されていて、今年63回目。
(2017年1月26日付紙面より)
那智勝浦町議会の全議員で構成する新クリーンセンター建設調査特別委員会(曽根和仁委員長)が24日、一部非公開で行われ、町単独での建設候補地に同町庄を選んだ。町は新宮市と共同で施設建設を模索してきたが、平成33年度末に迫った天満区との期限協定を守るためには来年度予算に調査費を計上する必要があり、タイムリミットを迎えた。町単独もやむなしの状況になっている。
町当局の報告によると、10日に開いた臨時議会で井関(二河)候補地の調査費が可決した翌11日、寺本眞一町長らが新宮市の田岡実千年市長を訪問したが、即答は難しい状況だったという。太地町との建設に関しては、太地町が示したとされる建設費の負担割合、一部事務組合の運営に際する議員定数に関して委員会で採決を取った。現状では受けられないが多数を占めたことにより、太地町との建設は事実上白紙となる見込みだ。
城本和男総務課長は「1月中に用地を決め、2月の当初予算に生活環境衛生調査費などを盛り込まないと天満区との期限協定は守れない。やむを得ない状況」と話した。
単独建設の第1候補地は庄用地(※1)、第2候補地は井関(二河)用地、大浦用地、井関用地(※2)、第3候補地は浦神用地。町は、地元説明会や測量調査を早急に実施し、当初予算に関連予算を計上する。
※1・庄用地=太田庄地区、県道235号線から那智勝浦町デイサービスセンター「ゆうゆう」から南に入る山林。
※2・井関用地=色川への県道43号線沿い、井関から西山への中間地点。
(2017年1月26日付紙面より)
第10回新宮ジュニアレスリング大会
文化財防火デーで訓練 (熊野速玉大社 )
文化財愛護思想の高揚を目的に制定された「文化財防火デー」(26日)を前に新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で24日、消防訓練があった。消防関係者や神職、地域住民ら約50人が参加し、連携体制を確認した。
訓練は午前9時に大社裏の雑木林から出火し、大社自衛消防隊による懸命な消火活動にもかかわらず拝殿側に延焼する恐れがあると想定。神職たちが放水銃で初期消火した後、駆け付けた消防署員や団員たちが放水し、丹鶴婦人防火クラブ会員が文化財を運び出した。
訓練後、整列した参加者たちを前に片山道弘・市教育委員会教育部長が「文化財は地域の皆さまの守り伝える、という強い思いと努力で継承されています。行政としてもできる限りの支援をさせていただく」。日浦規行消防本部次長が「日頃の備えを十分に行い、文化財保護に取り組んでまいります」と講評。上野宮司は「文化財は一社だけで守っていけるものではありません」と協力を呼び掛けた。
文化財防火デーの1月26日は1949(昭和24)年に法隆寺金堂壁画が焼損した日。1955(昭和30)年からこの日を中心として全国的に防火運動が展開されている。今年63回目。
(2017年1月25日付紙面より)
加寿地蔵尊で初地蔵祭 (那智勝浦町 )
那智勝浦町天満の加寿地蔵尊で22日、初地蔵祭が営まれた。加寿地蔵尊世話人会(中田勝康代表)が奉仕し、大勢の参拝者が訪れた。
毎月24日は地蔵菩薩の縁日とされ、1月は初地蔵祭。昨年10月に熊野古道大辺路の駿田峠が世界遺産に追加登録となり、祝いも兼ねて開催した。この日は午前10時から法要を行い、参列者らは修験道者の冨岡秀清さんの錫杖(しゃくじょう)で悪いものを取り除く「加持(かじ)」を受けた。
その後、広場で江戸芸かっぽれ勝浦芳紀会のかっぽれや子どもたちによる日本舞踊「姫組」の奉納舞踊があり、ぜんざいやマグロのかぶと焼きが振る舞われた。当たりくじ付きの餅ほりもあった。中田代表は「初地蔵祭なので当たりは福袋にしました。当たりくじは、おかげ参りに頂いたお赤飯を、多くの参拝者に分けられず、お餅ほりの中に入れたのが始まり。体の治癒や子宝に恵まれたなどたくさんの朗報を聞き、うれしことです」と話し、参拝者一人一人に声を掛けていた。
(2017年1月25日付紙面より)
串本保育所で合同観劇会 (串本町 )
串本町立串本保育所(矢野久美所長)ホールで19日に合同観劇会があり、同所と串本幼、潮岬幼、和深へき地保の園児がそろってプロの演じる人形劇を楽しんだ。
この観劇会は同所と同所保護者会(和田俊一会長)が予算を折半する形で定期的に開いている文化行事。同所は町内屈指の園児規模だからできる劇団招致の機会を小規模で単独招致が難しい他園所と分かち合うため、園児数に応じた予算案分を条件にして合同観賞を受け入れている。
同日同ホールで定例イベント「げんきっきひろば」を開く計画をしていた子育て支援センターあったカフェの未就園児とその家族も特別に加わり、今回は200人を超える観客がプロの演劇に注目した。
招いたのは人形劇場クアパパ。棒人形のプロフェッショナル集団で、数ある作品の中から「そらまめくんのベッド」と「三びきのこぶた」を上演した。園児の興味や感心を自然体で受け止めつつ、物語の筋書きもしっかりと伝える。プロならではの絶妙なかけひきと子どもウケのよい愛きょうに満ちた人形さばきで園児を夢中にさせ、上演後は大きな拍手を浴びた。
(2017年1月25日付紙面より)
土砂災害の仕組みと対策学ぶ (市野々小学校 )
那智勝浦町立市野々小学校(西田好孝校長)の5、6年生9人は19日、県土砂災害啓発センターで土砂災害学習を受けた。
この学習は、国土交通省近畿地方整備局の大規模土砂災害対策技術センターが5月中旬から取り組んでいる「那智川流域警戒避難支援手法効果検証業務」の一環で行われている。同業務では教育として災害の何を伝えていくかを主題に、防災教育コンテンツの作成と活用の検討を進めている。平成23年の紀伊半島大水害以降防災に力を入れてきた市野々小に協力の声が掛かった。
コンテンツであるビデオは国立和歌山大学災害科学教育研究センターの此松昌彦センター長協力の下、NPO法人土砂災害防止広報センターが制作している。土砂災害のメカニズム紹介を中心とした内容で今回の授業風景も盛り込まれ、全国で普遍的に使用できるよう編集される。映像は2月に市野々地区住民に公開され、同月末に国交省に納品。那智勝浦町には、3月に納められる。
授業では、国土交通省近畿地方整備局大規模土砂災害対策技術センターの田中健貴さんが土砂災害の種類や仕組みを解説した。那智川水域の砂防ダムについて説明した後、実験でその効果を確認。流れる土砂をダムがしっかりせき止めると、子どもたちは感嘆の声を上げた。グループディスカッションもあり、児童らは2グループに分かれて災害から身を守る方法を話し合った。
授業を終えて児童代表の十河りつさん(6年)は講師陣に感謝を述べ、「ダムの重要性がよく分かりました。自分たちが災害に対して身近にできることを考えていきたいです」と話した。
(2017年1月25日付紙面より)
3月26日に講演会企画 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)は現在の場所に社殿を創建してから今年で1700年を迎え、那智山青岸渡寺(高木亮享住職)を第一番札所とする西国三十三所巡りは来年1300年となる。記念の年をアピールしようと同町、町観光協会などで組織する記念事業実行委員会は3月26日(日)午後2時から町体育文化会館で講演会などの開催を決めた。
記念事業は男成宮司と高木亮英副住職の基調講演をメインに那智参詣曼荼羅(まんだら)図を使って熊野比丘尼(びくに)役に熊野参詣道の様子などを語ってもらう。新しい視点から町の魅力を発信するため、勝浦天満座の演劇も予定。
寺本眞一町長は「多くの人に町を訪れてもらう100年に1度の千載一遇のチャンス。まずは町民の皆さんにわれわれの町には誇れる歴史、文化があることを、基調講演を通じて知ってもらいたい」と話す。花井啓州町観光協会長は「『甦(よみがえ)りの旅は、祈りの熊野から』として熊野への旅を全国へ発信したい。熊野那智大社、那智山青岸渡寺は世界遺産に登録された地域の伝統文化。インバウンドの増加にも期待できる」と意気込む。町観光産業課の在仲靖二課長も「町の観光PRの絶好の機会として取り組みたい」と語る。
JR西日本も実行委員会の一員となり、県もPR活動をバックアップする。記念事業実行委員会では町全体で連携しながら記念の年を盛り上げていく方針。寺本町長は「全力投球で取り組んでいく。町民の皆さんにおもてなしの心でお客さまを迎えてほしい。記念事業を通じて温かみのある町づくりをしていきたい」と呼び掛けた。
(2017年1月24日付紙面より)
顕彰する会が墓参り (新宮市 )
『大逆事件』の犠牲者を顕彰する会(二河通夫会長)の会員約20人が22日、新宮市の南谷墓地にある峯尾節堂(みねお・せつどう)=1885―1919年=の墓を参った。来年3月6日は峯尾の100回忌。二河会長(86)は「今年は峯尾の歩んだ道をたどって勉強し、100回忌を迎えたい」と話した。
新宮生まれの峯尾は、京都の妙心寺で修学して臨済宗妙心寺派の僧侶となった。大石誠之助や高木顕明らと出会い交流を重ね、「大逆事件」に連坐。死刑判決を受け、その翌日特赦で無期懲役に減刑されたが、獄中で病死した。事件後、妙心寺派は峯尾をひんせき処分としたが、1996年に取り消した。
妙心寺派は来年3月6日に峯尾の100回忌法要を営む計画。それに合わせて「大逆事件の犠牲者たちの人権回復を求める連絡会」が新宮市内で「第4回大逆事件サミット」を開催する予定。
この日の墓参に参加した峯尾の親類、正木義子さん(81)=同市千穂=は「墓じまいも考えていましたが、名誉を回復してもらい、このように毎年お墓にも参ってもらい、節堂さんもありがたいと思っていると思います」と話していた。
明治天皇暗殺を企てたとして1911(明治44)年、12人が絞首刑、12人が無期懲役となった「大逆事件」。現在の研究では大逆罪に名を借りた社会主義者、無政府主義者への弾圧で、国家によるフレームアップであったことが明らかになっている。
顕彰する会は新宮市出身の医師、大石誠之助(1867~1911年)の命日1月24日前後に毎年、熊野地方の犠牲者6人の墓を参っている。
(2017年1月24日付紙面より)
串本町の大島港で22日早朝、水門(みなと)神社例祭「水門祭」の当船が倉庫から引き出された。今年は慣習と合致する2月11日(土・祝)に本祭を迎える日程で、しばらくは中に水を張った状態で目詰めを促し、その後に進水させるという。
東牟婁地方随一の奉仕の数を誇る同神社の例祭。その一つに通夜島(現在は苗我島)でのお弓行事があり、当船は神社を出発した祭員を海路で運ぶ役割を担う。併せて港外までの警護役を担い、当船帰港までの間に大島~串本間で競漕を繰り広げる櫂(かい)伝馬「鶽」「鳳」があり、本祭ではこれら3隻の木造船が奉仕する。
普段は大島港の船降ろし場そばにある倉庫で雨風をしのぎ大切に保管されていて、この日は水門神社祭礼保存会(吉田隆会長)と大同会(入沢啓司会長)が奉仕し重機(フォークリフト)の力も借りて当船を引き出し、水辺へ移して張った水を吸わせて木を膨張させて隙間を詰める準備に取り掛かった。
櫂伝馬「鶽」「鳳」の2隻は『化粧直し』のため、一足早く16日に船出し。翌17日から船底に黒、船倉に朱の防水塗料を塗り直すなどの作業を重ねてこの日、来る稽古に向けた目詰めのため、人の手で海へ降ろした。
吉田会長は「今はリフトがあるので人の手で引き出していた昔ほど船を傷めることはないが、木の船自体が50年、60年も持つものではない。木の船を造れる大工がいなくなり、何とかして造るにしても何百万円もかかるがそこまでの余裕もない。祭員確保も大変だが、船の管理も大変。当船は25年ほど前に作り替えた櫂伝馬よりも古いので、やれるところまで大事にしていかないといけない」と思うところを談話。
入沢会長は「会員18人に串本分屯基地の皆さん15人を加えたメンバーで櫂伝馬をこぐ。今年は塗装を塗り替える作業があったが準備は順調に進んでいるので、天気にもよるが好天なら予定通り事前稽古に取り掛かれると思う」と話した。
例祭は近年、祭員を確保しやすくし負担を軽減するために2月第2土曜日を例祭日としている。本来の例祭日は2月11日(建国記念の日)で、今年は久しぶりに慣習通りの例祭を迎える。
(2017年1月24日付紙面より)
熊野三山観光協会
熊野三山観光協会(会長・丹羽生新宮市観光協会長)は23日、新宮市緑ヶ丘の東牟婁振興局で第2回会長会議を開き、改定するパンフレットの内容など本年度事業や来年度事業計画について審議した。観光客増加を目指し、さらに連携を深めて各種事業に取り組むことを確認した。
会議には丹羽会長、那智勝浦町観光協会の花井啓州会長、熊野本宮観光協会の菊池博子会長、東牟婁振興局の土井敏弘局長らが出席した。本年度予算は156万円で、9月に和みわかやま東京レセプション(東京)とツーリズムEXPOジャパン(同)に参加。熊野三山パンフレット英語版を改定し、12月には熊野三山巡拝スタンプラリーをスタートした。
30代主婦層向けの雑誌『レタスクラブ』(12月22日発刊)に協賛し、コミックエッセイ作家・水谷緑さんの漫画『熊野で素の自分に還る旅』が掲載された。本誌に紹介しきれなかった情報はホームページで公開されている。
三山一寺でスタンプを集めると先着1500人に「熊野三山特製手ぬぐい」を贈呈するスタンプラリー。期間は7月末までとなっているが、応募者が44人と少ないことから、さらに周知することを確認した。
丹羽会長は「昨年は世界遺産の追加登録があった。今年は那智大社創建1700年、来年は青岸渡寺西国三十三所草創1300年といろいろな攻める材料がある」と会員たちに協力を呼び掛けた。
(2017年1月24日付紙面より)
和歌山県高校サッカー新人大会
近大新宮高で卒業式 (新宮市 )
新宮市の近畿大学附属新宮高校(川合廣征校長)で21日、熊野地方のトップを切って平成28年度(第52回)卒業証書授与式があった。卒業生127(男子70、女子57)人が通い慣れた学びやを巣立った。
土井敏弘・東牟婁振興局長、田岡実千年・新宮市長ら大勢の来賓が出席する中、川合校長が4クラスの代表者たちに卒業証書、各賞受賞者に表彰状を授与した。
卒業生を代表して森本陽菜さんが思い出を振り返り、保護者と教職員、在校生、同級生に感謝を述べた。「すばらしい先生、優しい後輩、分かり合える同級生に出会えたのは、みなさんと自分との間に何かしらのご縁があったからでしょう」。
「袖すりあうも他生の縁。縁とは面白く、偶然であるかのように必然で、やをら形を成していきます。今から、またどんな縁に出会えるのだろう。私たちの未来はまだ誰も知らない物語」と語り「近大新宮ありがとう。いってきます」と答辞を述べた。
(2017年1月22日付紙面より)
同宗連が第71回研修会
『同和問題』にとりくむ宗教教団連帯会議(同宗連)は19、20の両日、新宮市内で「新宮から日本の近代の歴史を学ぶ―人間の尊厳を求めた人々―」をテーマに第71回研修会を開いた。臨済宗、曹洞宗、天理教など全国の各教団から約40人が出席し、『大逆事件』などについて学んだ。
初日は部落解放同盟新宮支部の三鬼典親さんが講師となり「新宮市の歴史と部落差別解消の取り組み」と題したフィールドワークを実施。『大逆事件』で犠牲になった大石誠之助、高木顕明、峯尾節堂のゆかりの地などを案内した。真宗大谷派淨泉寺の山口範之住職は『故高木顕明師の事績に学ぶ』をテーマに講演した。
2日目は和歌山県同宗連の赤松明秀さんと津村清信さんが『和歌山県同宗連の取り組み』をテーマに講義した。津村さんは寺の過去帳の取り扱いで問題になった例があったことなどを紹介。現在は差別が見えにくくなっていることから、差別問題を各教団で共有していくべきと述べ、▽差別はなくなると確信を持つ▽差別を見抜く力を付ける▽自分も差別する可能性があることに気付く―の三つを訴えた。
開会式では田岡実千年市長があいさつ。昨年12月に「部落差別の解消の推進に関する法律」が国会で可決し部落差別は絶対に許さないという方針があらためて示されたことや、新宮市では差別事件が相次いで発生したことを受け平成27年3月に「新宮市部落差別をはじめあらゆる差別に関する条例」を制定したことを紹介した。
(2017年1月22日付紙面より)
写真や絵はがきで講演 (よみがえれ脇仲倶楽部 )
那智勝浦町勝浦の町おこしグループ「よみがえれ脇仲倶楽部」(山縣弘明代表)は15日、同町商工会館で郷土史家の中瀬古友夫さんを招き、「おはなし会『歴史散歩・私たちの勝浦』~いにしえの写真と絵はがきから~」を開いた。中瀬古さんは収集した古い絵はがきや写真などをスクリーンに映し出し、明治以降の勝浦の発展の様子を興味深く語った。
明治初期の写真には現在の築地地区辺りに家はなく、塩田が広がっていた。港には外洋船が停泊し、海に材木が浮かんだ写真もある。中瀬古さんはいかだを海路、新宮から運び、台湾へ搬出していた当時の様子を説明した。これが1913(大正2)年の新宮鉄道開通により、鉄路で木材を運んだ。現在の町役場近くに機関庫があり、港へ向けて引き込み線があった様子も古い地図で示した。
新宮鉄道は積極的な経営をし、木材搬送から観光面にも進出。三輪崎、那智の海水浴場を開いた。勝浦から新宮女学校へ学生が通い、新宮の人たちも海水浴場へ遊びに出掛ける習慣ができたという。
各旅館の絵はがきなどを映し出しながら、有名旅館の変遷なども紹介。海路では大阪商船の1800㌧ディーゼル船「那智丸」「牟婁丸」の雄姿を描いた絵はがきなども紹介した。
昭和の初めには現在の観光コースの原型ができていた資料も紹介した。戦後は1965(昭和40)年に運行が始まった特急「くろしお」の開通前に中瀬古さんが撮影した勝浦駅の写真を映し出した。新婚旅行のカップルが映し出され、にぎわった勝浦駅前の写真を紹介しながら、中瀬古さんは「熊野が再び元気を取り戻せたらと思う」と語った。
参加者らは古い写真などを指さし、昔の思い出を語りながら講話を聞き、ユーモアを交えた中瀬古さんの講話も相まって和やかな「おはなし会」を楽しんでいた。
(2017年1月22日付紙面より)
新宮市と郵便局が協力
新宮市は20日、郵便局と「地域における協力に関する協定」を締結した。局員が業務中に住民の何らかの異変や道路の異常、不法投棄などに気付いたら市に通報する。
調印式には日本郵便株式会社から齋藤忠史・近畿支社金融営業部みまもりサービス担当部長、立場貴雄・近畿支社郵便物流営業部物販担当係長、佐田和久・新宮郵便局長、田中律・新宮初野地郵便局長が出席。田岡実千年市長と田中局長が協定書にサインした。
同協定は新宮市と熊野川町の合併前に締結していたが、合併と郵便局の民営化に伴い消滅していた。田岡市長は「地域全体が支え合う思いやりのあるまちづくりの実現への第一歩となるもの」。佐田局長は「今後とも安心して暮らせるまちづくりに向けて一生懸命取り組んでまいります」とあいさつした。
(2017年1月22日付紙面より)
和歌山県剣道連盟新東支部
U―14、13ともにYMCAが優勝
全国ホープス選抜卓球大会県予選 (新宮卓球スポーツ少年団 )
熊野灘沿岸の港町の冬の風物詩「サンマの丸干し」が近年少なくなっている。那智勝浦町の勝浦漁港ではサンマの水揚げは平成27年12月に約2・5㌧あったが、28年は79㌔に激減。今年1月はまだ1匹も揚がっていない(17日現在)。太地町の干物加工店でも「全く揚がらない。こんなことは今までになかった」と話している。
和歌山県水産試験場の調査ではサンマの不漁は全国的に起きており、熊野地方でも2年連続で漁獲量が減少している。水産試験場の武田保幸資源海洋部長は「最も大きな原因は、来遊量(日本近海まで回遊してくる量)が減ってしまったこと。ここ数年は温かい黒潮が、房総半島に接岸傾向にあるため、冷水性のサンマが沿岸部を南下できなくなっている」と話す。
熊野灘でとれるサンマは太平洋を南下するにつれ脂が落ちて引き締まるので、丸干しに最適とされている。三重県でも不漁が続いている。熊野市で行われている恒例行事「熊野きのもとさんま祭り」(22日開催)では他県産のサンマを使うことになった。
武田部長によるとサンマは暖流を避け、沖合へと回遊してしまうため、沿岸で操業する日本の漁船では漁獲が難しいという。台湾・中国の大型漁船による公海での漁獲が資源量に影響しているとの指摘もあるが、漁獲量の自然増減が従来からあり、公海上での漁獲量について両国が参入する前の記録がないことなどから評価が困難という。武田部長は「漁期は3月までだが、この状況では期待できないだろう。来年も厳しいと思う」と話していた。
(2017年1月21日付紙面より)
文化遺産シンポに60人 (新宮市 )
和歌山県文化遺産活性化委員会と熊野歴史研究会は15日、新宮市福祉センターで「熊野の旅と宗教の文化遺産再発見」をテーマにしたシンポジウムを開催した。旅の文化研究所長の神崎宣武さん、元奈良教育大学教授の永池健二さん、県立紀伊風土記の丘学芸員の藤森寛志さん、熊野歴史研究会事務局長の山本殖生さん、県教育庁文化遺産課の蘇理剛志さんの5人が話し、約60人が聴講した。
蘇理さんは「和歌山には旅、巡礼の文化財が非常に多いので、県の文化財の特色付けができるのではと思った」などとシンポジウムの趣旨を説明。伊勢やお遍路と違い、熊野は廃仏毀釈(きしゃく)や神仏分離でいったん巡礼の旅が途絶えてしまったと説明した。
蘇理さんは「熊野の神様はインドなど外から来た神。高野山の弘法大師も讃岐から旅をして高野山に来た」。神崎さんは「神様が旅をする話は非常に日本的だと思う。神様にとって旅は苦行だった。旅と旅行は違う。娯楽化して旅行になった。伊勢参りは、江戸時代に宿場、街道が整備され、歓楽街化、娯楽化した」
山本さんは「山伏の修行として始まったのが熊野。北条政子もちゃんと紀伊路を使って来ている。東北からの根強い熊野信仰がある」。永池さんは「熊野参詣は日本人の旅の原形を残している。結界としてあった境界を越えることで、より深く浄土へ入ったという意識が高くなる。また、旅の行きと帰りは違ったものだった」と述べた。
蘇理さんは「ここ数年、熊野にも外国人が来るようになり、日常の風景になった。熊野を外国人にどう伝えればいいと思っているのか」と質問。山本さんは「豊かな自然そのものが宗教というところが熊野。多神教の世界の場所。あの世とこの世の境界が熊野というところも知ってもらえれば」
神崎さんは「西洋の人にはあえて説明しなくても文化度がある。キリスト教、イスラム教の前にも原始信仰があった。そういうものへの回帰は、彼らは絶えず持っている。自国ではたどれないところとして、熊野を選んでいるのだと思う。寛容に迎えることが大切だと思う」と述べた。
(2017年1月21日付紙面より)
町議会、協定締結認める (串本町 )
串本町は紀勢本線和深構内和深こ線橋撤去工事について西日本旅客鉄道株式会社(以下JR西日本)と協定を締結する。協定金額は1億745万5千円で、工事は平成29年度中に完了の見込み。18日にあった町議会第1回臨時会で締結が認められ、同町からJR西日本に同工事が委託される。
このこ線橋は字東地と現JR和深駅駅舎の往来利便を図るため1979(昭和54)年3月に設置された。全長58㍍の長大な鉄製歩道橋で、後に町道となり同町建設課が管理していた経緯がある。
鉄道敷設により途絶えた熊野古道大辺路の代替路としても活用されていたが、老朽化が進み橋の一部が腐食脱落するなど強度的にも難が生じたため、役場建設課は昨年4月末で全面通行止めとし鉄パイプなどで仮補強。軌道敷内の工事はJRしか行えない決まりがあり、同町は撤去工事をJR西日本に委託する協定の準備を進めて町条例に基づき同臨時会で議決を求めた。
協定締結以降は、JRが設計~施工業務を進める。協定金額は同撤去工事に要する事業費で、工事設計に要する経費はJR西日本が負担する。同町建設課はこの協定準備と並行して2回の地元説明会を開き、和深構内の余地を取得し同駅南側への往来利便を高める代替道路を新設する方向で理解を得ているという。
(2017年1月21日付紙面より)
那智勝浦町立下里中学校(前正則校長)の1年生24人は18日、町立太田小学校(尾﨑卓子校長)と下里小学校(上浦一剛校長)で絵本の読み聞かせをした。低学年児童を対象に、気持ちを込めて絵本を読んだ。
この読み聞かせは総合的な学習の時間を利用して本年度から始められた取り組み。読み聞かせの経験を通して表現力やコミュニケーション能力、自己表現力を育成する狙いがある。
生徒たちは絵本、大型絵本、紙芝居を1作品ずつ選択。11日に絵本読み聞かせサークル「ブックスマイル」指導のもと練習を行った。
太田小には生徒8人が訪れ、1年から3年児童19人を前に紙芝居「おだんごころころ」と「つるの恩返し」、大型絵本の「きんぎょがにげた」、絵本の「だるまさんが」を読み聞かせた。ゆっくりと落ち着いた語り口調に、子どもたちは絵本の世界に引き込まれていた。
杉本彩華さん(2年)は「『おだんごころころ』で鬼がおじいさんに反応したところが面白かった」。
山田健太くん(2年)は「初めて聞いたお話もあって、楽しかった」と喜んでいた。
読後は反省会も開かれ、生徒たちは「聞き手の笑い声が聞こえて緊張がほぐれた」、「一人2役で声のトーンを変えるのが大変だった」と語り合っていた。
(2017年1月21日付紙面より)
災害弱者の津波避難を考える (みくまの支援学校 )
みくまの支援学校育友会(三原いつこ会長)は19日、新宮市蜂伏の同校で防災講演会を開き、愛知県立大学看護学部医学博士の清水宣明教授が「紀南の子どもたちを地震津波から守る考え方と実際―災害弱者の視点から―」をテーマに話した。新宮東牟婁地域では住民の半数以上が災害弱者にあたると説明し「とにかく逃げろは虐待になる」と訴えた。
災害弱者とは▽乳幼児▽妊婦▽高齢者▽障がい者▽病人▽けが人―など。65歳以上の住民が21%を超えると超高齢化社会といわれるが、平成27年度でみると、新宮市33・4%、那智勝浦町37・8%、太地町40・3%となっている。
清水教授は、これらの人を合わせると当地方では、半分以上が災害弱者にあたると説明。「災害弱者は最悪でもまず命だけは守ることが優先。『とにかく逃げろ』という精神論ではなく、余分なリスクを冒さないようにすべき」と話した。
東日本大震災の犠牲者を分析すると、避難場所に逃げる途中に地上で津波に遭遇して亡くなった人が多い。「10㍍の距離が生死を分ける」と災害弱者にとって避難はバクチと説明。「正しい知識と行動が大切。逃げるなという意味ではなく、逃げるべき局面と逃げてはいけない局面がある。とにかく逃げるでは、死ななくてよかったのに死ぬことになるケースがある」
「孤立して死ぬことはない」と逃げ遅れて孤立することは想定内の戦術と説明。訓練で十分、避難場所まで間に合っていても、本番ではさまざまなアクシデントが発生し遅れるとし「とくかく逃げろ、では助かるべくして助かる人しか助からない」と訴えた。
(2017年1月20日付紙面より)
「ツナ・カップ」に68チーム (那智勝浦町 )
シニアの卓球大会「南紀勝浦温泉ツナ・カップ」が18日、那智勝浦町体育文化会館で開幕した。全日本選手権(マスターズの部)60歳以上の現役チャンピオン持田惠子さん、船ヶ山昌子さんらも参加し、約140人が試合を楽しんだ。大会は20日まで。同町観光協会主催。同町と卓球クラブの名古屋サクセス、大阪悠遊会、京都悠遊会が後援。
ツナ・カップは、卓球を通じて町おこしの活動を続けてきた同町築地の中西毅さんと大阪府のシニア卓球クラブ「悠遊会」の安部實代表らとの縁で2012年にスタートし、5回目。体育文化会館の広いアリーナで卓球の試合に汗を流し、勝浦温泉、マグロ料理などを楽しんでもらおうと企画。今年も長野、愛知、岐阜、三重、大阪などから団体戦では68チームが参加した。
開会式は大会実行委員長で和歌山県卓球協会理事の梶ヶ山繁さんの開会通告で始まった。名誉会長の寺本眞一那智勝浦町長は「昨年、同町で合宿した同志社大学が全日本シングルスで優勝しました。地域で卓球を楽しみ、卓球を推奨している町としてこのような大会を開くことができて感謝しています」とあいさつ。花井啓州町観光協会長は「皆さんを歓迎します。温かい気持ちで3日間、戦ってください。今年は熊野那智大社創建1700年、那智山青岸渡寺西国三十三カ所巡礼草創1300年の年でもあります。いろいろなイベントが開かれますので、ぜひご来町ください」と呼び掛けた。中西毅審判長の競技上の注意の後、寺本町長がラケットを手にチャンピンの持田さんと始球式。見学の選手から歓声が上がった。
地元からは、協賛の南紀勝浦温泉旅館組合の中定俊組合長、南紀くろしお商工会の森川起安会長、町民宿組合の小阪三喜子組合長、第三銀行勝浦支店の湯浅健一支店長、新宮信用金庫勝浦支店の横川英之支店長らも開会式に出席し、参加者を歓迎した。会館ロビーでは町観光協会のスタッフらが平安衣装姿で出迎え、地元産品の販売などもあり、大会を盛り上げた。
(2017年1月20日付紙面より)
日ト友好ピアノリサイタル (串本町 )
串本町サンゴ台にある旧ヒルトップ和田金で17日、演奏会「日本・トルコ友好ピアノリサイタル」があった。トルコ共和国ボドゥルム在住の日本人ピアニスト永井浩子さんによる公演で、昼夜2回実施で計80人が鑑賞し、両国友好がもたらすひとときに親しんだ。
串本町地域おこし協力隊とトルコBOSAV(ボドゥルム文化社会基金センター)主催、トルコ航空協賛によるイベントで、キーパーソンはトルコBOSAVのメンバーでトルコ軍艦エルトゥールル号(以下エ号)遺品発掘調査団団長でも知られるトゥファン・トゥランルさん。母国で永井浩子さんと出会い同調査とは違った形での文化的交流の第一歩として同町総務課に勤務する同隊隊員アイシェギュル・アルカンさんと連携し、日ト友好の懸け橋となるこの機会を形作った。実施にあたっては同センターが運営面、トルコ航空が永井さん夫妻の渡航面で多大な協賛を寄せているという。
永井さんは国立音楽大学音楽学部器楽学科を卒業。以降、ポーランド国立ワルシャワショパン音楽院へ留学し研究科を最優秀の成績で修めプロピアニストとしての活動を始めた。昨年春にトルコ人男性ウズギュル・チャルクさんと結婚し、ボドゥルムに移住。同地を拠点にして後進の指導や自身の演奏活動に打ち込む中、トゥファンさんを通して日本とトルコの友好の深さを知り、自身も音楽で友好を深める貢献をしたいという思いで今回の演奏会出演を決めたという。
この日はボドゥルムなどに響かせている音色をクラシックや現代の楽曲全9曲に乗せて立て続けに披露。終盤ではエルトゥールル号追悼歌も奏でて観客も歌詞を口ずさんで一体感を楽しみ、チャルクさんと共に2人の出会いの経緯と在住地ボドゥルムの町並みなどを紹介するなどした。
演奏会実施にあたりトゥランルさんは、この日が自分にとって10年前にエ号遺品発掘調査のため串本に訪れた大切な日であると観客に説明。今回の演奏会を実現できたことを喜ぶとともに串本内外の同調査や演奏会実現に対する各方面からの協力に感謝して開演を飾った。
(2017年1月20日付紙面より)
神倉小で不審者対応訓練 (新宮市 )
新宮市立神倉小学校(山本眞也校長)で18日、新宮警察署の警察官を招いた不審者対応訓練があった。授業中の教室に警察官演じる不審者が侵入し、教職員が対応した。体育館では児童らを対象に不審者と遭遇した際の対応の講話と、教職員の防犯研修があった。
訓練を通して不審者対応と身の守り方を学ぶことや、安全教育、安全管理の確認などが目的。模造刃物を持った不審者役の警察官が1年生の教室へ侵入。異常を知らせる放送が流れ、児童らは速やかに避難した。担任教諭が机などで距離をとりながら威嚇し、男性教諭らが刺股を使って取り押さえた。
実際に110番通報し、パトカーが到着するまでを体験した。同署生活安全刑事課の大井敬悟さんは児童らに「実際に不審者が来たときは先生の話を聞いてちゃんと逃げてください」。
同課の山畑德奈生さんが、不審者に遭った時の防犯標語「いかのおすし」(ついて『いか』ない。車に『の』らない。『お』おきな声を出す。『す』ぐ逃げる。『し』らせる)を説明した。児童らは実際に不審者に声を掛けられた際の対処方法を学んだ。
職員対象の研修では、警察官らが不審者への声掛けの仕方、間合いのとり方などを指導した。可能であれば職員が二人で対応し、不審な点や危険だと判断した場合はすぐに通報するよう呼び掛けた。教職員らは手をつかまれたときの離脱方法や刺股の使い方を、実践を交えて学んでいた。
大井さんは「昨年も訓練しており、上手にできていました。繰り返し訓練をしてもらうのはいいこと。避難も上手でした」と話した。
(2017年1月20日付紙面より)
小・中学生男女の部の結果
わかば園作業所で利用者ら (「御燈祭り」に向け )
新宮市木ノ川の社会福祉法人わかば福祉会「わかば園第二作業所」では、利用者たちが2月6日(月)の「御燈祭り」に向け、上がり子たちが使うたいまつを懸命に作っている。代参、小、大、特大の4種類を合わせて約500本作る。
障がい福祉サービス事業施設の同作業所は、2006(平成18)年から御燈祭り用のたいまつと白装束を製作している。利用者14人が作業していて、年々スピードアップしている。材料のヒノキは年間通じて集め、組み立ては毎年10月下旬から本格的に開始。作業所が所有する紀宝町神内など水田のワラを使って荒縄も作っている。
祭りに参加した経験があるという利用者の大浦晃士さん(31)は、主にたいまつの先端に「ハナ」を付ける作業に取り組んでいる。「自分で作ったたいまつで参加できたのがうれしかった。作業はだいぶ慣れてきました」
製作を指導しているサービス管理責任者の瀬田幸司さん(44)は生まれも育ちも新宮。「地元の祭りに関われることを誇りに思っています。この時季になると利用者も私もみんなワクワクしています」と話していた。
作業所では、わらじ、巾着なども取り扱っていて、市内大型スーパーで今週末ぐらいから販売。売上金は利用者たちの給料に反映される。問い合わせは同所(電話0735・31・5735/FAX0735・29・7638)まで。
(2017年1月19日付紙面より)
災害復興願いチャリティー (新宮市 )
新宮市佐野の佐野会館で15日、インド式ヨガ教室のギリ・ガネーシュ代表(44)と親交のある新宮高校2年の藏本梨奈さん(17)によるチャリティー「インド式ヨガ&フラ新宮」が開催された。約30人が参加し、体を動かしてリフレッシュした。
平成23年9月に起きた紀伊半島大水害を忘れないためのチャリティー。近畿南部に訪れたときに、まだ工事や災害復興に皆の力が必要だと思い企画された。
2人は昨年5月に海南市で開かれたイベントで知り合った。今回新宮でチャリティーを開くにあたり、ギリさんから協力を呼び掛けた。
ギリさんは「ヨガは5000年以上前に、ヒマラヤ山脈の仏教僧が修行場所の寒さに打ち勝つために始めた」と述べ、ヨガの効果や健康法などを話しながら体の動かし方を指導した。
藏本さんは「少しでもフラを知っていただいて、楽しさを知ってもらえたら」とあいさつし、踊りのコツを教えた。
昼食会もあり、ギリさんが前日から準備していたカレーとチャイティーが振る舞われた。来賓に田岡実千年市長を招き、チャリティーで集まった5万円を手渡した。
ギリさんは、和歌山市在住のインド式ヨガ代表。2015紀の国わかやま国体PR大使も務め、平成25年に新宮で国体PRの無料ヨガ体験を開いた。
(2017年1月19日付紙面より)
宇久井小で防煙教室
那智勝浦町立宇久井小学校(山本健策校長)で17日、防煙教室が開かれた。東牟婁振興局健康福祉部の藤田まなみさんが、4年生16人にたばこの危険性を説いた。
この授業は新宮保健所管内の小中高校を対象に、健康増進事業の一環で行われている。平成14年に新宮市内の中学生の喫煙経験率が30・6%と高かったことを受け、活動を活発化させた。以降、経験率は下がり、平成25年には3・1%まで低下している。
たばこの毒性を訴えるビデオを鑑賞した後、藤田さんは「たばこは毒の缶詰とも呼ばれている」と講話。たばこの3大有害物質であるニコチン、タール、一酸化炭素の危険性を話した。妊婦の喫煙は胎児に悪影響があるとし、フィルター越しに吸い込む主流煙より副流煙の方が体に悪いと教えた。
(2017年1月19日付紙面より)
鍋グランプリへ出品 (古座川町商工会全国展開事業委 )
古座川町商工会(小原周作会長)の第6回調査研究事業全国展開事業委員会(高橋太一郎委員長)が13日、同町の南紀月の瀬温泉「ぼたん荘」で開かれ、委員らが「ニッポン全国鍋グランプリ」へ出品するオリジナル鍋料理「うずみ鍋」を試食した。鍋グランプリは28日(土)、29日(日)に埼玉県和光市で開かれる。委員らは古座川の「食」を全国へアピールしようと料理の改善点などについて意見を出し合った。
うずみ鍋は同町平井の郷土料理「うずみ膳」を元に同委員会の委員でぼたん荘の深海政也料理長を中心に作った。アユの骨から出汁を取り、アユのつみれ、シカのつみれ、シイタケなどが入った古座川町の山の幸、川の幸を味わえる鍋。委員の県トップブランド創出事業アドバイザーの早﨑昭夫さんらが試食した。
委員会ではアユとニホンミツバチの蜂蜜のアンケート調査の内容も検討した。料理の写真を添付し、食べたいかどうかなど五つの選択枝を選ぶもの。近畿地方の1年以内に国内旅行をした人を調査対象に200人から取る予定。
観光素材についても話し合った。早﨑さんは「現代の日本人が捨ててしまったものを古座川では守っているなど、ここにしかないものが旅行客を感動させる」とアドバイスし、観光客のターゲットを絞り、実現可能なプランを立てていく方向性を示した。増加する外国人旅行客(インバウンド)の取り込みについても早﨑さんは「日本の食文化が古座川で食べられるとなれば来る」と話した。ツアーの具体的な例として「一枚岩」や「虫喰(むしくい)岩」などを巡る「岩巡り」、滝の拝やまぼろしの滝を巡る「滝巡り」などが挙がった。
同町商工会が全国商工会連合会の補助を受けて認証制度の整備を進める全国展開事業の委員会も16日に開かれた。同委員会が作成したロゴマークとニホンミツバチの「熊野和蜜」などの商標登録へ向け、一般社団法人和歌山県発明協会から担当者を招き、アドバイスを受けた。
同協会から窓口支援担当者の佐薙(さなぎ)英明さん、普及啓発等業務担当の平松久典さんが訪れた。佐薙さんらは特許庁のホームページを使って商標登録を細かく検索する方法などを解説した。
委員会が進めてきた同町の天然アユとニホンミツバチをPRするホームページも紹介された。日本養蜂学会誌で同町産の蜂蜜は農薬が不検出で安全性と品質の高い蜂蜜である研究成果が掲載されることの報告もあった。
蜂蜜については、古座川ブランドを認証する基準などを紹介したチラシが完成。2月2日に大阪市で開かれる「第11回和歌山産品商談会in大阪」、同月15日から17日にかけて開かれる「スーパーマーケット・トレードショー2017」でPRする。
(2017年1月19日付紙面より)
伝統芸能大会実行委員会 (新宮市 )
新宮市伝統芸能大会実行委員会(海野千鶴子委員長)は16日、市役所西別館で29日(日)開催の「新宮市伝統芸能大会」6回目の会を開いた。参加団体の代表者らが出席し、当日の役割分担や動きなどを確認した。市民会館が文化複合施設の建設に伴い取り壊されたことを受け、今年は熊野川町の熊野川総合開発センターで開催する。
大会は伝統芸能に関わる団体の相互交流と継承、普及のために日頃の活動を発表することで、広く一般の人が鑑賞する機会を設け、市や周辺地域の文化振興に役立てようとするもの。
海野委員長が市文化協会所属団体で何かできないかと呼び掛け、2010年から始まった。本年度で8回目を迎える。4回目からは、市が所属団体らでつくる実行委に運営を委託している。
この日は会場準備やリハーサルと当日の進行確認、必要な道具や作業割り当てなどを話し合った。海野委員長は「昨年から会議をしてきた。28日のリハーサル、29日の本番に向けて詰めていきたい」とあいさつ。
「熊野川町での開催となりましたが、団体も機嫌よく参加してくれてありがたい。市民会館が使えないからといって絶やすわけにはいかない。熊野川町、佐野区や三輪崎区などの会館を利用しながら市民会館の落成まで頑張りたい。市内や近隣住民の皆さんに喜んでもらいたい」と話した。
当日は午後1時、熊野川総合開発センターで開演。入場無料。▽井谷豊優扇会▽(公・社)関西吟詩文化協会・華城会▽香扇会▽紫海流詩吟会▽藤紀和会▽西川流友千恵会▽若柳流若吉会―の7団体が出演する。
(2017年1月18日付紙面より)
仲之町商店街に登場 (「御燈祭り」を前に )
新宮市の神倉神社で2月6日(月)に営まれる「御燈祭り」を前に仲之町商店街振興組合(勢古啓子理事長)が、長さ約370㍍のアーケードに長さ1・8㍍のジャンボたいまつを6本設置した=写真。
祭りを盛り上げようと20年以上前から毎年この時季に取り付けている。組合員たちが傷みを補修しながらつるしていて、側面には「世界平和」「商売繁盛」「天下泰平」などと書いている。
勢古理事長は「今年は東京の知り合いが祭りに参加する予定です。遠いところから来た人が新宮の良さを体験してくれることは非常にうれしいです。商店街のにぎわいにもつながればありがたいと思います」
JR新宮駅構内の市観光協会事務局には祭りが近づくにつれ、県内外から祭りに関する問い合わせの電話が増えている。「たいまつや白装束はどこで買うのか」「どこから見学できるのか」「宿泊施設はあるのか」などが多いという。
(2017年1月18日付紙面より)
創建1700年祝い生産組合 (熊野那智大社 )
那智勝浦町苺(いちご)生産組合(杉浦仁組合長)、みくまの農業協同組合(村上幸弘代表理事組合長)は15日、創建1700年を迎えた熊野那智大社(男成洋三宮司)にイチゴのオリジナル品種「まりひめ」を奉納した。苺生産組合のマスコットキャラクター「まりりん」と平安衣装姿の町観光協会の女性スタッフらも参加し、イチゴにちなみ参拝客150人にまりひめをプレゼントした。
新宮・東牟婁地域のイチゴ栽培は昭和38年から始まり、最盛期には生産者45人、栽培面積4・5㌶に達するほどだったが、近年の生産者の高齢化などにより栽培が減少し、平成23年の紀伊半島大水害で農家が大きな被害を受けた。しかし、災害復旧支援事業の導入などにより若い人たちを中心に再建されている。まりひめは紀州の伝統工芸品「紀州てまり」にちなみ、かわいらしく皆に愛されるよう命名された。紅色が鮮やかで、酸味が少ない品種。
奉納には杉浦組合長、村上組合長、町観光協会の花井啓州会長ら約20人が参列した。男成宮司は「創建1700年を迎え、イチゴを奉納いただきありがたい。五穀豊穣(ほうじょう)を祈願した」と感謝。杉浦組合長は「現在イチゴ農家は少なく8軒で栽培面積も約80㌃だが、昨年12月から今年5月の連休ごろまで約20㌧を精算する見込み。まずは地元の方々に広く知ってもらい、栽培面積を広げていきたい」と豊富を語った。
(2017年1月18日付紙面より)
町内各地で防災の取り組み (串本町 )
阪神淡路大震災から22年―。防災とボランティアの日の17日、串本町内でも複数の防災の取り組みがあり、日頃の意識を高める契機とされた。
串本警察署(久保隆作署長)は抜き打ちの非常参集訓練を実施。南海トラフを震源とするマグニチュード8・7の地震発生を想定し、午前7時30分に県警緊急連絡システムメールで自主参集を指示した。
署員は自身や家族など身近な情報を同メールの投稿フォームで返信して行動を開始。早い者で5分、15分前後にピークに達し30分で署長以下訓練参加署員45人がほぼ参集を完了した。署員は参集報告後、来る途中のまちの状況を津波ハザードマップ上に書き込み、初期対応に向けた被災状況の把握にも努めた。
同署は海抜約3㍍に立地。津波による浸水に備えて同町サンゴ台に代替指揮所を有するが、いずれに参集するかの判断も含めての自主参集。署員にはケース・バイ・ケースの対応マニュアルが配られていて、これを指針にして取るべき行動を判断するという。
訓練を終えて久保署長は、自主参集にあたっては自身の安否や住民の避難誘導が優先的に必要になるなどさまざまなケースが考えられることを示唆し「組織、部隊の一員として臨機応変かつ自主的に現場を想定して真摯に取り組んでほしい」と呼び掛けた。
同署は非常参集訓練の他、代替指揮所において装備資機材取り扱い習熟訓練やすさみ幹部交番、江住警察官駐在所、佐田警察官駐在所の勤務員を対象にした被害情報収集訓練にも取り組んだ。
NPO法人あったカフェ(岩﨑ひろみ代表)は旧養春小学校で防災学習会「ママの防災」に取り組み、未就園児とその家族11組24人が役立つ知識の習得に努めた。
この日は講師3人を招き、役場総務課防災・防犯グループの枠谷徳彦グループ長から南海トラフを震源とする大地震の概要や各種補助制度など、新宮保健所串本支所の西之坊純子主査から熊本地震後の被災地派遣で見た福祉避難所運営の状況など、串本警察署の磯博文警備課長から非常持ち出し袋の内容や災害種別の避難行動時のポイントなどを教わり、身近に感じる疑問について質問を寄せるなどした。
終盤では岩﨑代表自ら簡易オムツの作り方や少量の水で炊飯する方法、哺乳瓶がない時の授乳の知恵、子どものために入れておくべき非常持ち出し品などを紹介。乾パンや簡易スープの試食や同小学校そばの津波避難場所の確認などにも取り組んだ。
今回の学習について岩﨑代表は「日頃の防災意識に加えて、母親として知っておきたいことを伝えるために計画した。いろいろな話をお伺いして勉強になったし、私たちスタッフも意識がいっそう高まった」と話した。
この日午後は同町立潮岬幼稚園(南君子園長)も高台への避難訓練に取り組み、その後は同署協力により県警マスコットキャラクター「きしゅう君」を交えた園児参加型の防災啓発にも参加した。
(2017年1月18日付紙面より)
那智勝浦FCの畑下葵君
青年団ら40人で張り替え (「御燈祭り」を前に )
「御燈祭り」を間近に控えた新宮市の神倉神社で15日、神倉青年団員ら約40人がご神体の巨岩「ゴトビキ岩」のしめ縄を張り替えた。国の重要無形民俗文化財に指定されてから初の祭りに向け中山忠吏団長(47)は「上がり子にけが人が出ないよう、特に開門の時に十分注意して任務を遂行したい」と気を引き締めた。
張り替え作業は毎年この時季実施している。作業には神倉青年団をはじめ、神倉神社奉賛会、市観光協会、新宮商工会議所青年部、新宮青年会議所などが参加。神倉農業実行組合が寄進した約200㌔(約500株)のワラを機械などでやわらかくした後、境内の木に縛り付けた針金に沿って編み上げた。約3時間で長さ約30㍍、最大直径約30㌢のしめ縄を完成させた。
熊野速玉大社神職のお払いを受けた大しめ縄を青年団員らが神倉山山頂付近まで運び、刺股や針金を使ってゴトビキ岩に巻き付けた。
神倉神社奉賛会の猪飼三雄会長(74)は「今年の祭りは月曜日なので上がり子の数が昨年より少ないかもしれませんが、上がり子や見学者の皆さんは、けがのないよう十分注意してもらいたい」と話した。
(2017年1月17日付紙面より)
那智山で鬼面札や祝升 (那智勝浦町 )
2月3日(金)の節分を前に那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)と那智山青岸渡寺(高木亮享住職)では「鬼面札」や「祝升」などの準備が急ピッチで進んでいる。
熊野那智大社では災難よけのお札「鬼面札」と縁起の良い「福升(ふくます)」を作っている。鬼面札は縦35㌢、横45㌢。しめ縄の輪の中に赤鬼・青鬼を封じ込めた図柄で昭和44年に篠原四郎元宮司が描いた絵を元にした版木で神職が那智の滝の水で溶いた墨を使って一枚一枚丁寧に刷っている。2000枚仕上げる。
福升はモミの木製の5合升で1升の半分であることから「繁盛(半升)升」ともいわれる。鬼面札は1枚500円。福升は1500円。2月3日の節分祭で祈とう者らに授与する。18日(水)から社頭で一般参拝者にも授与する。
郵便やFAX、インターネットでも受け付けている。問い合わせは同大社(電話0735・55・0321)まで。
那智山青岸渡寺では「節分会豆まき会式」で使われる祝升(いわいます)の準備に追われている。祝升は底板にスギ、側面にヒノキが使われている。いずれも熊野地方産。「那智山」の焼き印があり、升の内側には「七難即滅七福即生」の印が押され、高木亮英副住職らが平成29年の文字を書き入れ仕上げている。今月末までに1300個用意する。
祝升は節分当日、本堂で豆まきをする厄年の人や祈とう希望者に授与する。祈とう料は3500円で祝升に札、縁起物、弁当などがつく。高木副住職は「魔(ま)を滅(め)することから豆まき。世の平安を祈りながら仕上げています」と話した。同寺(電話0735・55・0404)まで。
(2017年1月17日付紙面より)
串本町の主要柑橘キンカンの収穫が樫野で始まった。生産者の東三夫さん(84)、和歌子さん(75)夫妻は15日に初収穫を迎え、ムラなく色づいた実から順に切り集める作業に励んでいる。
樫野のキンカン栽培は明治末期、樫野文左衛門が苗木を持ち込んだのが始まりとされる。第二次世界大戦後に小規模ながら産地として急成長してよく知られるようになったが、近年は高齢化と後継者不足で生産者が年々減少。現在は8世帯で100年以上続く栽培の歴史を支えている。
紀南農業協同組合(JA紀南)の今季の初集荷日は17日(火)で、集荷は3月半ばまで続く見込み。生産者は各集荷日の2~3日前から出荷の準備を始めるそうで、東さん夫妻は初物を出すため今冬一番の冷え込みとなった15日朝から収穫を始めた。
和歌子さんによると、実はM寸以上の大きさで黒点や傷がなく、青みが抜けて均一に色づいていなければ集荷してもらえないそう。この日は日当たりがいい場所から集荷条件に適う実をハサミで摘み、実が互いに傷つけあわないようその場でヘタを切り詰める「二段切り」の手間を掛けて数を集めた。
JA紀南によると、今季は全般的に小粒傾向で夏場の雨が少なかったことなどが要因と見ている。東さん夫妻は2L~3Lを目指した栽培をしているため粒ぞろいで、今季は甘みも乗っていい出来だが全体的に色づきが遅いという。大粒で色づきのいい実は生果として、それ以外の実は集荷場所のJA紀南樫野金柑加工場でジャムやシロップ漬けなどに加工して市場投入される。
(2017年1月17日付紙面より)
第16回仙人風呂かるた大会
田辺市本宮町川湯温泉の大露天風呂「仙人風呂」で15日、熊野本宮観光協会(菊池博子会長)と仙人風呂実行委員会(小淵誠委員長)が「第16回新春!仙人風呂かるた大会」を開いた。県内外から19チーム76人と小学生15人が参加し、かるたを取り合った。
仙人風呂は、横幅約40㍍、奥行き約15㍍、深さ約60㌢。詠み上げる札は、「和歌山県市町村おはなしかるた」から選ばれる。浮かべるかるたははがきサイズの杉板で、約1000枚にひらがなが1文字書かれている。一般の部は20回、小学生の部は8回のうちで取得枚数を競い合った。
一般の部では田辺市のチーム「旅尻」が45枚獲得し、優勝した。代表の同市公務員、向井大嗣さんは「初出場で初タイトル取れて感極まっている。結成10年目の団結力がカギになった」と喜びを語った。小学生の部は熊野川小3年の福垣然くんが20枚拾い上げ、1位に輝いた。「初参加で初優勝できてうれしい。かるたを見つけるのが難しかったけど楽しかった」と話した。
(2017年1月17日付紙面より)
ロータリー杯ジュニアバドミントン大会
平成28年度県高校剣道新人大会
にっぽん丸の乗客と児童 (新宮市 )
大型客船「にっぽん丸」の乗客17人が13日、新宮市立王子ヶ浜小学校を訪れ、5年生児童29人と一緒に同市出身の作詞家、東くめ(1877~1969年)の『お正月』『鳩ぽっぽ』などを歌い交流を深めた。
『ようこそ文学と童謡のふるさと新宮へ~児童と一緒に童謡を唄おう!~』をテーマにしたオプショナルツアーの参加者たち。一行は熊野速玉大社、佐藤春夫記念館、徐福公園などを見学した後、小学校を訪問した。
児童たちはふるさと学習の一環で観光誘致について勉強していて、田岡実千年市長に対し「おいしい食べ物を開発する」「インターネットで広く新宮を知ってもらう」などと書いた提案書を出している。
交流イベントに参加した田岡市長は「新宮にはまだまだ見るところがたくさんありますので、再訪してくれれば」。畑下圭喜校長、児童代表の廣里波琉君と逢野渚さんが歓迎のあいさつを述べた。
名誉市民でもある東くめは、作曲家・滝廉太郎とのコンビで『鳩ぽっぽ』『お正月』『雪やこんこ』などの口語唱歌を世に送り出した人物。交流イベントでは、一般的に知られている「ぽっぽっぽー」で始まる『鳩』を一緒に歌った後、児童たちが最初に東作詞の『鳩ぽっぽ』の手本を示し、一緒に歌った。
千葉県松戸市からツアーに参加した豊田忠さん(67)は「新宮へ来たのは4回目。地元の子どもたちと接する機会はなかなかないので一番印象に残りました。また来ると思います」。
新宮市企業立地推進課の山本茂博課長は「まちなか観光を進めるためにも新宮の文化を盛り込んだ新メニューを今後も考えていきたい」と話していた。
観光客360人を乗せた「にっぽん丸」(全長166・6㍍、2万2472㌧)は、この日午前11時ごろ、新宮港4号岸壁に入港。同日午後6時ごろ、太鼓演奏や大勢の市民に見送られ、神奈川県の横浜港へ帰港した。
(2017年1月15日付紙面より)
草創1300年記念事業
日本最古の巡礼所33寺院で構成する西国三十三所札所会(会長・鷲尾遍隆石山寺座主)は、西国三十三所草創1300年を記念し、今年1月から2020年の事業終了日まで、特別な御朱印「特別印」を三十三寺院で授与する。
期間中、第一番札所から第三十三番札所の各寺院で、納経時間中なら終日押印ができる。御朱印は納経帳(御朱印帳)に押印する。お軸や白衣などには押印できない。
「特別印」は三十三寺院がそれぞれ独自に作成。寺院の境内やゆかりの人物、花、風景をデザインしたものや文字のみのものなど多種多様な内容で、全ての印に「西国三十三所草創1300年」の文字があしらわれている。
■西国三十三所草創1300年記念事業
同会では2016年から20年までの5年間、「草創1300年記念事業」と題し、特別印授与をはじめさまざまな行事を展開する。
▽特別拝観
各札所で、普段は非公開のお堂や宝物などを特別に公開する。
▽月参り巡礼
各札所において毎月持ち回りで法要を行い、災害復興と世の安定を願う。平成28年4月から毎月1回1札所で開催しており、法要当日は納経帳に特別な印を押印する。
▽「西国札所古道徒歩巡礼」
車やバスを使って巡礼することが一般的になった現代に、1300年前の徒歩での巡礼を再現する。徒歩巡礼で持つ「法灯」は、「西国三十三所巡礼」の創始者であり長谷寺を開基した徳道上人ゆかりの灯明。
▽スイーツ巡礼
各札所にある長年愛される“お寺スイーツ”を食べ歩く楽しみを巡礼にプラス。女性やファミリー、カップルなどにも楽しんでもらう新しい巡礼の形。
▽アメリカ人僧侶、巡礼の旅をSNSで発信
アメリカ合衆国出身のジェシー・ロバート・ラフィーバーさんが、長期休暇を利用して来日し西国三十三所巡礼を行い、フェイスブックで国内外にその魅力を発信している。
この他にも各寺院でさまざまな行事を行う予定。
■西国三十三所とは
718年(養老2年)、観音菩薩(ぼさつ)が人々を救うために示したと伝わる観音霊場のルーツ。その後「観音菩薩は33の姿に身を変えて人々を救う」という教えのもと「西国三十三所」と総称され、各寺院は「札所」となって順番に参拝する巡礼文化を生んだ。総距離は約1000㌔で、和歌山県、大阪府、奈良県、京都府、滋賀県、兵庫県、岐阜県の2府5県を包括するように伸びている。その三分の一が中世日本の首都・京都に集中していることを背景に、「西国三十三所」が生んだ観音信仰と巡礼文化は全国に広がった。現在、観音菩薩の美しさは海外の注目も集め、多くの外国人が訪れる巡礼道になっている。
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問い合わせは西国三十三所1300年PR事務局(株式会社TMオフィス内・電話06・6231・4426、FAX06・6231・4440、Eメールsaikoku33PR@tm-office.co.jp、公式サイトhttp://www.saikoku33.gr.jp/、草創1300年特設サイトhttp://www.saikoku33-1300years.jp/)まで。
(2017年1月15日付紙面より)
「お弓祭り」でせみ取り合う (太地町飛鳥神社 )
太地町の飛鳥神社(髙橋正樹宮司)で13日、「お弓祭り」が営まれた。災いよけの儀礼「お弓式」を中心に行われ、式後は参列者らが境内につるされた的めがけて突っ込み、的の留め具である「せみ」を取り合った。
邪気を払い、航海の安全と大漁を祈願する神事。直径1・2㍍の的の留め具「せみ」に木彫りの鯨人形3体が取り付けられているのが特色。
髙橋宮司が弓を放った後、参拝者らは三つしかないせみを取り合った。的は薄い木の板を網目状に貼り合わせた枠組みに和紙を貼って作られていて、玄関に飾ると「鬼よけのお守り」になるとして持ち帰る慣習が定着している。参拝者らは、式後に的を小さく切り分けて持ち帰っていた。
(2017年1月15日付紙面より)
元鍛治町の堅田裕見子さん (御燈祭りに向け )
新宮市元鍛治町の堅田裕見子さん(48)は自宅近くの作業所で、御燈祭りで上がり子たちが履く草鞋(わらじ)を作っている。本業の理容業の合間をぬって毎年80足ほど編んでいる。
近年、地下足袋を履く上がり子が目立っていたが、祭り関係者らによると「石段で滑る」と正装の草鞋に戻る人が増えている。上がり子の数は2000人前後と50年前の約3倍に増える一方で、草鞋を作る人は高齢化で年々減っており、関係者たちを悩ませている。
新宮で生まれ育った堅田さんは、草鞋の確保が難しくなっていることを知り、同市熊野川町の女性たちから直接学び、一昨年から本格的に作り始めた。作っているサイズは15~30㌢。
草鞋作りは力仕事で、指、腰、腕などを痛めることもある。堅田さんは「手は離せませんが、耳と口は大丈夫」とラジオや音楽、訪れる近所の人たちとの会話を楽しみながら作業している。年々、スピードは上がっていて、25㌢サイズなら約2時間で編めるようになった。
「損得を考えていたらできない仕事ですね。地元の祭りに協力しているという気持ちがないとできない。宿命だと思って作っています」と話していた。
(2017年1月15日付紙面より)
新宮港に「にっぽん丸」
大型客船「にっぽん丸」(全長166・6㍍、2万2472㌧)が13日午前11時ごろ、新宮市の新宮港4号岸壁に入港した。広島県の鞆の浦港から乗船してきた観光客360人は、バスやタクシーに乗り込み、熊野三山などへ向かった。同日午後6時出港する。
今回のクルーズ名は「にっぽん丸で航く初春の宝船瀬戸内海クルーズ」(4泊5日自主クルーズ)。次は横浜港。熊野地方で用意されたオプショナルツアーは▽ようこそ文学と童謡のふるさと新宮へ~児童と一緒に童謡を唄おう!~▽熊野本宮大社で正式参拝と新宮の銘店「かわゐ」での昼食▽世界遺産花の窟・熊野古道と高級魚クエ鍋・熊野の食材料理▽世界遺産・熊野那智大社と海に浮かぶホテル「ホテル中の島」でくつろぎのひと時。
船内で開かれた歓迎セレモニーで田岡実千年市長は「新宮は世界遺産・熊野の玄関口。魂の古里、よみがえりの地として知られている熊野を出港までの間、堪能していただければ」。久保滋弘船長は「満員のお客を連れて『にっぽん丸』が帰ってきました。短い時間ですが、観光、グルメと存分に楽しめると期待しています。今後何度も寄港すると思いますので、よろしくお願いします」とあいさつした。
(2017年1月14日付紙面より)
新高、近大生徒らが出発 (新宮市 )
14日(土)、15日(日)に行われる平成29年度大学入試センター試験に向けて、新宮市の二つの高校の生徒らは13日、試験会場の和歌山市へ出発した。
和歌山県立新宮高校(畑伸憲校長)は3年生240人中68人が受験。バス2台で出発した。正門玄関前には「新高生の健闘を祈って起これり我等雄叫び挙げて」と書かれた立て看板が立てられた。教職員や保護者らに見送られ、生徒たちは校舎を後にした。
宇戸博一教頭は「土日は寒いので体調に気を付けてほしい。会場が遠く、バスで移動しなければならないなどのハンディもあるが、普段の力を発揮できるように頑張ってほしい。健闘を期待している」と話していた。
近畿大学附属新宮高校(川合廣征校長)は、3年生128人中78人が受験。JR新宮駅前では川合校長が「『受験は楽しむ、力を出し切る、最後まで諦めない』の三つを覚えておいてほしい」と激励し、生徒らの健康を気遣った。宮本俊子・進路指導部長はJR新宮駅に書かれた応援メッセージなどに触れ「皆さんの気持ちがありがたい。その気持ちが生徒の支えになってくれればと思う」と話し「試験に関しては今までやってきたことを発揮してほしい」とエールを送った。
今年のセンター試験志願者数は、前年より1万2198人増の57万5966人。和歌山県の試験場では3725人が受験する。初日は「公民」「地理歴史」「国語」「外国語」、2日目は「理科」「数学」が行われる。
(2017年1月14日付紙面より)
宇久井保育所の保育参観 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立宇久井保育所(八木隆子所長)は11、12の両日、4、5歳児の保育参観を実施した。
保育参観は、年5回行われている。今回は、日本に古くから伝わる遊びを親子で体験し、楽しむことを目的としている。11日は5歳児、12日は4歳児が対象。3歳児の参観は18日(水)に、1、2歳児は20日(金)に行われる。
11日は5歳児25人が、保護者と一緒にオリジナルかるたを作った。自作することで、文字や言葉を覚えてもらう狙いがある。園児たちは保護者と一緒に考えた言葉を書き込み、それに合わせた絵も描いた。
12日は4歳児21人がブンブンごま(こまに輪っか状のひもを通し、ひもをねじって引っ張ることで回すこま)を作った。親子でこまに色を塗り、回して色や模様の変化を楽しんだ。
(2017年1月14日付紙面より)
埼玉県和光市で28日(土)、29日(日)に開かれる大会「ニッポン全国鍋グランプリ2017」に串本町のご当地鍋「しょらさん鍋」と古座川町の同「郷土料理うずみ鍋」が出品される。いずれも地元商工会関係の挑戦で、それぞれに準備を進めている。
この大会は和光市商工会を軸に年1回開かれているご当地鍋日本一決定戦。来場者投票でグランプリをはじめとする各賞を決める内容で、前年度は約14万人の来場を集めた実績がある。本年度も60種類の鍋が出品される計画で、和歌山県からは上記2種類の鍋が選ばれている状況だ。
串本町のしょらさん鍋は「本州最南端の火祭り」の振る舞い鍋としても知られる漁師鍋で、特産のトビウオを主体にした魚肉つみれと白菜やネギのみそ汁という素朴な味わいを特色とする。ご当地に根付いた食文化で一定の認知度も得ているという点で応募が認められた。
会場に赴くのは職員の中西啓滋さん(31)と宮本歩さん(27)、青年部部員の松下修也さん(41)の3人。会場では500杯を大会規定最下限額の一杯300円で販売するそうで、振る舞われることの多い鍋を販売に見合う形にするため、潮岬観光タワーレストラン料理長大橋究未さんの協力を得て内容を検討している。
中西さんは「過去に日高川町商工会さんがクエ鍋で優勝した経緯があり、大会があるのは知っていた。今回は古座川町商工会さんも挑戦すると聞き、串本町商工会も商業振興部会内で振興の必要性を話し合うさなかなので、まずは自分らの力だけでどこまでできるのかを試すつもりで申し込んだ」と出品のいきさつを語り、「何分初めての挑戦なのでどうなるか見当もつかないが、全国の皆さんの反響を見ていい意見があれば大橋さんに伝え、しょらさん鍋の形を崩すことなくさらに良くして振興する方法を次の段階として考えたい」と先々の展開を見通した。
鈴木和夫事務局長は「若い職員が持ち込んだ挑戦。しょらさん鍋は素朴な味わいなので全国の名だたるご当地鍋には到底かなわないだろうが、出品により何かしらの糸口は得られると思う。若い世代が育ついいきっかけになることを願って見守りたい」と話した。
古座川町の郷土料理うずみ鍋は同町商工会全国展開事業の一環で出品される。
(2017年1月14日付紙面より)
速玉大社で御燈祭り事故防止協議会
御燈祭り事故防止協議会が11日、新宮市の熊野速玉大社であった。上野顯宮司をはじめ、新宮警察署、市消防本部などから関係者約20人が出席し、祭り当日に上がり子(祈願者)や見学者にけが人が出ないよう連携して取り組むことを確認した。上野宮司は「昨年3月に国の重要無形民俗文化財に指定されてから初めての祭り。立派な祭りにしていきたいと思いますのでよろしくお願いします」と協力を呼び掛けた。
毎年問題となっている上がり子の飲酒については太鼓橋でチェックしているが、酒類所持者や泥酔者を見つけるのが難しい状況が続いている。猪飼三雄・神倉神社奉賛会長は「楽しく祭りに参加してもらいたいので、ひどい泥酔者は上がらせないようにしたい」。
上野宮司は、御燈祭りは本来、酒を慎んで神倉山へ上がり、下山してから初めて祝い酒をいただく「酒迎え(さかむかえ)の神事」であることを強調。「国からは神道の祈りの形が一番残っている祭りとして評価され、世界的にも注目されている祭り。早く下山することが本義ではないことも啓もうしていく必要がある」と述べた。
その他、事故防止対策として▽子ども連れの上がり子は午後6時30分までに入山させ、山門奥の安全な場所に待機させる▽ビデオカメラなどの撮影機器を所持していた場合は没収する▽マナーや注意事項を掲載したチラシをたいまつや白装束の販売店で配布する―などを確認した。
祭り当日の一般参拝者の入山は午後3時まで。ゴトビキ岩のしめ縄張り替えは15日(日)で、予備日は29日(日)となった。
(2017年1月13日付紙面より)
那智勝浦町立下里中学校(前正則校長)で11日、絵本読み聞かせのスキル学習があった。1年生24人が、話し、聞かせる技術を学んだ。
この読み聞かせは、総合的な画集の時間を利用して本年度から始められた取り組み。読み聞かせの経験を通して表現力やコミュニケーション能力、自己表現力を育成する狙いがある。生徒たちは絵本、大型絵本、紙芝居の3グループに分かれて発表する作品を選び、18日に町立下里小学校の1・2年生と町立太田小学校の1~3年生を対象に読み聞かせを披露する。
絵本と紙芝居の提供と指導は、地域で活動する絵本の読み聞かせサークル「ブックスマイル」(草下千秋代表)が担当している。昨年12月14日に第1回出前授業が実施され、絵本と読み聞かせについて説明。続く2回目となるこの日は、リハーサルと技術指導が行われた。
生徒たちは、絵本と紙芝居の読み方を思い返しながら、グループメンバーらの前で作品を読み上げた。発表が終わると、それぞれの良かった点や反省点を話し合った。
草下代表は「みんなの発表を聞いていて、心が温かくなった。緊張して焦らず、みんなに絵が見えるよう、ゆっくりページをめくって」と伝え、生徒一人一人に細かなアドバイスを送った。
(2017年1月13日付紙面より)
峯の薬師如来堂で例祭 (古座川町 )
古座川町峯にある薬師如来堂の例祭が12日に営まれた。本尊・薬師瑠璃光如来をはじめとする仏像群を収めた厨子(ずし)が開帳される年に一度の機会で、今年も区内外から多くの参拝があり、信心や例祭を機会にした知人との再会などで活気を見せた。
この例祭は近年まで、峯区の住民が世話役を立てて継承。現在は4年前に峯の旧家に戻った同堂守護職水本家の子孫水本一男さん(83)が世話役筆頭として奉仕している。
近隣に薬師堂がないため峯の薬師如来堂は田子や田並など沿岸部からも信心を得ている状況。水本さんは今年も一雨で仕入れた青竹などを加工して菓子台を作り、お下がりの菓子を詰めて参拝者を迎えた。
本尊として安置されている厨子は江戸時代にインドから伝わった3組の一つとされ、中には薬師瑠璃光如来と日光菩薩、月光菩薩からなる薬師三尊像が収められている。さらに扉内側には仏法を守護する十二神将像が配置され、開帳すると曼荼羅(まんだら)状に仏像群が並ぶ構造になっている。峯で育ち今は区外で暮らす初老の女性は「子どもの頃に見たのと比べて少しも色あせていない」と述べ、今も大切に護持されている状況を喜びながら、懐かしい知人との再会も楽しんでいた。
山腹にあるため寒波の到来を心配していたが、当日は肌寒くも穏やかな日差しに恵まれた。午前中は古座川街道やどやの会や南紀月の瀬温泉ぼたん荘の主催ウオーク参加者も含め約100人が参拝したという。
水本さんは「薬師様の御利益があるのか、今年も大勢の皆さんにお参りいただけてありがたい。休日なら子どもさんも来てくれるが、今年は平日でそれがなく少し残念」と今年の例祭の印象を語りつつ、参拝者を温かく迎えて接待に励んでいた。
(2017年1月13日付紙面より)
本宮町の川湯温泉で
田辺市本宮町の川湯温泉に12日から「揚げ物」が登場した=写真。温泉の繁栄と一年の無病息災を祈願する川湯十二薬師例祭の日から毎年、地元の温泉旅館や民宿、観光協会が川幅約80㍍の大塔川をまたいで設置している。来月下旬までつるされる。
近くに祭られている川湯十二薬師如来は約700年の歴史があり、神経痛や内臓病などの平癒に御利益があるといわれている。元々は対岸にあったが、温泉街の発展に伴い江戸時代中期に現在地に移ったとされ、その労をねぎらって対岸まで綱を張り、供え物として 「揚げ物」が飾られるようになった。
「揚げ物」とは、竹に紙をはった張り子で、かつては野菜をかたどったものがほとんどだったが、近年はえとや話題になったキャラクターなどが多くなっている。今年はヤタガラス、プーチン、ポケットモンスターなど8点がつるされている。
川湯自治会の小渕昇会長(71)は「しっかりと心を込めて作らせていただきました。ぜひ多くの人に見に来ていただきたいと思います」と話していた。
(2017年1月13日付紙面より)
15日、午前9時50分号砲
文化複合施設管理運営検討委 (新宮市 )
新宮市文化複合施設管理運営検討委員会(委員長=堀内秀雄・和歌山大学名誉教授、12人)は10日、「直営で運営しながらできるだけ早い段階で指定管理に受け継ぐ」などと提案した提言書を田岡実千年市長に渡した。田岡市長は「平成32年度中の完成を目指したい」と述べ、委員たちに感謝した。
有識者や一般公募で選ばれた委員たちは1年間で9回にわたって話し合い、先進地視察を経て提言書をまとめた。運営主体については▽職員だけでの運営ではなく専門家を招いてより高度な運営を目指す▽開館までの期間を有効に利用し指定管理を担う運営組織を立ち上げる―などと提案している。
市民が参画する方向性として▽自主事業の企画段階から市民が関わる機会を設ける▽図書館の選書から市民が関わる▽開館前から運営や技術の研修機会を設け、市民スタッフを育成する▽事業だけではなく広報や情報収集にも積極的に関わる―などとしている。
堀内委員長は「本提言の趣旨を最大限取り入れた市としての管理運営基本計画を策定するよう強く希望します」。建設予定地から遺跡が出土し工事が遅れていることについては「この期間こそ、本提言書の内容が活用され適否が検証される有用な場としなければなりません。市民の意見を取り入れながら施設運営について十分議論し、市総合計画で掲げる『人輝き文化奏でる都市』を目指した活動の拠点となる施設づくりを進めていきましょう」と呼び掛けた。
同席した副委員長の勢古啓子さん(新宮市商店街振興組合連合会副理事長)は「確実にまちづくりの拠点となる施設。今は大事な時期。行政と市民が一緒になって事業実施に向け力を入れていきたい」と話した。
田岡市長は「紀伊半島大水害で3年、遺跡出土で2年遅れ、本来ならとっくに完成していた施設。すでに市民会館が解体されており、これ以上文化の活動拠点がない状態はいけませんので、平成32年度中の完成を目指したい」と協力を求めた。
文化複合施設の建設スケジュールは平成29~30年度で基本設計・実施設計策定と遺跡発掘調査、31~32年度で建設工事、33年3月完成、引っ越しなどを経て33年6月ごろのオープンを目指している。運営主体は30年に決める予定。
(2017年1月12日付紙面より)
ニューイヤーコンサート (近大附属新宮高校・中学校 )
新宮市の近畿大学附属新宮高校・中学校吹奏楽部(東可奈子顧問、部員20人)は8日、御浜町中央公民館で「ニューイヤーコンサート2017」を開催した。地域住民や部員の家族らが多く来場し、軽快な演奏に耳を傾けた。
同コンサートは部活動を応援する人に演奏を楽しんでもらうとともに、共催する御浜町ジュニアバンドとの交流も兼ねて実施している。この日のために各自で練習し、7日には共同リハーサルに取り組んだ。共同開催は1月のコンサートのみで、学校独自で開催するものとしては、3月に定期演奏会が控えている。
プログラムは3部構成で、1部に「君の名は。」コレクションなど3曲、2部に地区コンテスト入賞者によるアンサンブル3曲、3部に「愛を叫べ」など4曲が組まれた。生徒たちはジュニアバンドメンバー40人、引退した3年生2人と共に一体感ある演奏を披露。ソロパートの演奏やジュニアバンドの小学生たちによるダンスもあり、客席から拍手が送られた。
子どもが同吹奏楽部に所属しているという太地町から来た男性(46)は「素晴らしい演奏で、どの曲も良かった。アンコール演奏では、立って演奏するといったパフォーマンスもあり、楽しめた」と話した。
谷口音律部長(高2)は「メンバーみんな楽しく演奏できたと思う。来場者も『演奏良かった』と言ってくれた」とコンサートの成功を喜んでいた。
(2017年1月12日付紙面より)
保護者企画の親子行事で (串本保・串本幼 )
串本町立串本保育所で10日、親子行事「スペシャルファミリーコンサート」があった。同所保護者会(和田俊一会長)と串本幼稚園育友会(國分雄一会長)が合同で企画した行事で、日本の乳幼児教育番組をけん引する創作あそび作家たにぞう(本名・谷口國博)さんらを迎えて大いに盛り上がった。
くしもとこども園の次年度開園に伴い、本年度末で閉所閉園となる両園所。最後の運動会や発表会を華々しく飾る職員に呼応して、両会も最後に最高の体験を園児に届けようと奮起してこの行事を計画した。
たにぞうさんは乳幼児対象の教育番組「おかあさんといっしょ」の楽曲を数多く手掛けるアーティスト。乳幼児やその保護者から絶大な人気を得ていて、今回は那智勝浦町や田辺市の保育所と合同で招致したという。
この日は両園所の園児や家族、保育士や幼稚園教諭約300人が参加し、たにぞうさんは振り付け担当のりか(本名・榎沢りか)さんと共に来所。和田会長は「保護者会と育友会が連携する最後の行事なので、最高の思い出を残そう」と呼び掛けて開演を飾り、たにぞうさんはテレビを通して全国の子どもが見聞きしている楽曲の数々を生演奏で披露した。
いつもはテレビの向こうにいるたにぞうさんが目の前に現れて、両園所の園児は終始大興奮。たにぞうさんは園児を楽しませるだけでなく、「リズム感のいい子は運動能力も高い」「子どもが喜ぶと大人は疲れる、子どもが疲れると大人は楽になる(効果的な睡眠導入遊びの工夫)」「三つのS(すごい、さすが、素晴らしい)で子どもは育つ」など、番組に関わる中で学んだ育児の知恵を保護者向けに楽しく紹介した。
終盤では両会がリクエストし園児も5日からしっかり練習してきた話題の体操楽曲「ブンバ・ボーン!」を皆で乱舞し、たにぞうさんはアンコールに応えて東日本大震災で被災した大槌町を支援する中で生まれた楽曲「きょうからスタート!」を披露して締めくくった。育友会の山嵜由美副会長がお礼のあいさつを述べ、皆で「また来てねー」とお願いしながら感謝した。
(2017年1月12日付紙面より)
神倉神社の石段検分
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社、神倉神社で2月6日(月)に営まれる御燈祭りに備え、関係者らが11日、石段の安全を点検した。ひび割れなど90カ所が見つかり、祭り当日までに修繕する。
点検には猪飼三雄・神倉神社奉賛会長、中山忠吏・神倉青年団長をはじめ、消防団、市観光協会などから計12人参加。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝(1147~99)が寄進したと伝わる自然石を積み上げた538段の石段を一段ずつチェックし、石が動くなど問題箇所にチョークで印を付けた。
祭り関係者たちは点検終了後、熊野速玉大社で開かれた「御燈祭り事故防止協議会」に出席。参加者や見学者にけが人が出ないよう各関係団体が協力し、安全確保に努めることを確認した。
御燈祭りは1400年以上前から続くと伝わる祭りで、昨年3月に国の重要無形民俗文化財に指定された。白装束に荒縄を巻いた上(あ)がり子と称する参拝者が神倉山上で松明(たいまつ)に御神火を受け、山門の開扉とともに急峻(きゅうしゅん)な石段を一気に駆け下りる。
猪飼会長(74)は「今年は国の重要文化財に指定されてから初めての祭りなので、例年より責任の重さを感じています。今年は月曜日なので昨年よりは上がり子の数は少ないと思いますが、事故のないよう気を引き締めて取り組みたい」と話していた。
(2017年1月12日付紙面より)
地元勢2チーム初戦突破ならず
速玉大社で「十日えびす」 (新宮市 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)境内の熊野恵比寿神社で10日、「十日えびす」があり、商売繁盛や家内安全を祈る人々でにぎわった。残りえびすは11日正午ごろまで行われる。
境内には前日夜の宵宮から、縁起物の福笹(ふくざさ)や熊手を買い求める人が訪れ、ぜんざいが振る舞われた。10日午前に熊野恵比寿神社で例大祭があり、午後から餅がまかれた。着物姿の女性3人が、かごに乗って大橋通や駅前本通りを巡行する宝恵駕籠(ほえかご)は人が確保できず今年は中止となった。
福の神として崇敬されているえびすは、西宮の漁師が祭っていた漁業の神で、現在は商売繁盛などの神として知られている。熊野恵比寿神社は、地元商店街の店主らが昭和30年代に兵庫県西宮市の西宮神社から勧請した。「熊野ゑびす講」3代目会長の星谷千学さん(90)は「今年は世界的には激動の年になり、日本も影響を受けると思いますが、われわれ庶民は、えびすさんのご加護で、家庭が平和で、商売が繁盛することを願いたい」。
福笹を毎年購入しているという布団販売業の上道りつ子さん=紀宝町=と徳田恵美さん=同=は「家族が一年間、健康で過ごせることと商売繁盛を祈っています」と話していた。
(2017年1月11日付紙面より)
新宮市徐福のJR新宮駅(川本保彦駅長)で、センター試験受験のために同駅を利用する受験生などに先着で「すべらない砂」をプレゼントしている=写真。砂は列車が急勾配の坂を上る際に車輪が滑らないようまくためのもので、「頑張れ受験生」とエールを送っている。
受験生を応援し、駅として地域を元気づけ、利用者に喜んでもらおうと昨年から実施している。受験に成功し花が咲くイメージを持ってもらえるようにと社員の石野恵美さんがパッケージを作り、社員で協力して砂を入れた。
改札付近には「合格祈願」の文字とだるまの絵があしらわれた籠が置かれている。「自分を信じて悔いのない1日にしてください」などと激励の言葉を手書きしたポスターも制作。時間により電光掲示板下部にもメッセージが流れている。
川本駅長は「昨年に続き2回目。センター試験を受ける受験生を新宮駅全員で応援しているという気持ちで砂を作りました。ぜひ頑張っていただきたい」と話していた。
(2017年1月11日付紙面より)
串本町串本にある潮崎本之宮神社(深美芳治宮司)で9日、祭礼「お的祭り」があり総代会(吉村健三総代長)奉仕によるお弓式が注目を集めるなどした。
この祭礼は、成人の日に合わせて営んでいる小正月由来の行事。お弓式の弓頭は各氏子区の持ち回りで人選していて、今年は矢の熊区(大水崎区とサンゴ台区を含む)から廣瀬海斗君(高1)が正弓頭、潮﨑智洋君(高1)が副弓頭として奉仕し、前虎之朗君(年長)と瓜田凛君(年長)が矢拾い、付き添いは杉本隆晴総代と名田倍也総代が務めた。
式典を経て境内の弓場に入った弓頭2人は直径2・7㍍の的めがけて2巡8射し、全てを的中させて拍手喝采を浴びた。その後、的は皆で引きちぎり門先の魔よけとして配布。弓頭は3巡目として空に向けて4射し、吉村総代長からねぎらいを受けてお弓式を締めくくった。
この日は還暦や厄年など歳の節目を迎えた氏子らの祈とうもあり、最後は境内に据えたやぐらから餅をまいて祭礼に活気を添えた。
奉仕を経て廣瀬君は「緊張して心臓がバクバクしたけれど、全部当たってとても満足した。健康に、そして皆が笑顔で過ごせる一年を願いたい」、潮﨑君は「当たるかなと不安だったけれど、全部当たってうれしかった。今年一年、平和な地域を願い僕もその中で楽しく過ごしたい」とコメント。
吉村総代長は「天気はいいし矢は全部当たるし、今年はとにかく素晴らしかった。願うところは家内安全。皆が事故無く元気にやってくれれば」と願った。
(2017年1月11日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で7日、厄よけの護符を清めて宝印を押し始める「八咫烏(やたがらす)神事」が営まれた。神社関係者や参拝者約200人が参加した。
神門前に飾られた門松で熊野午王宝印(くまのごおうほういん)を調整し、火と水ではらい清め、祭神の魂が吹き込まれる神事で、県民俗文化財に指定されている。通常は熊野午王神符の中央に押される宝印だが、この神事では白紙に宝印だけが押された「白玉牛王(しらたまごおう)」が授与される。
午後5時から拝殿で営まれ、神職が水おけの上にたいまつを待ち構える中で、別の神職が護符をかざして清めた。その後「えーい」という掛け声とともに拝殿の柱に宝印を押した。
神事終了後は参拝者らが、配られた半紙を手に神職から宝印を授かった。九鬼宮司は「今年は丁酉(ひのととり)。時を告げる、取り込むということで、今年は個人的にも、企業的にもいろんなものを取り込む中で自分の立つ位置を確認し、飛躍の年であろうと思っている」と述べた。恒例の一文字揮毫(きごう)で自身が書いた「励」に関し、多くの人の関わりで、自分や企業が生かされていることに気付ける年であってほしいとあいさつ。
大阪から来た山中恭人さん(44)は「今日来たのはたまたま。(宝印を授かる際は)すごい力ですね。押し倒されました。気持ちがいいです。御利益があれば」。吉田弘子さん(40)は「帰ろうとしていたところ、神事のことを教えていただきました。宝印の受け方まで、皆さんが教えてくれました。親切な気持ちまでいただけてうれしい」と話していた。
(2017年1月11日付紙面より)
2017年くまの駅伝大会
新宮市と那智勝浦町で8日、消防出初め式があった。地域の防災活動に尽力した署員や団員たちを表彰し、住民の安全、安心に全力を注ぐ決意を新たにした。
市立総合体育館で式典があり、消防関係者281人と来賓や一般が出席。竹内由定消防団長の開会宣言に続いて、功労者たちに賞状と記念品を手渡した田岡実千年市長は「今年完成する新庁舎を防災拠点として、その機能を最大限生かし、一人の犠牲者も出さないという覚悟を持って職員総力で防災への取り組みを進めてまいりたい」と式辞。
榎本鉄也市議会議長は「新宮市議会といたしましても、市民の安全・安心を願い、災害に強いまちづくりのために、今後も市当局との連携を図り、より一層の防災体制の充実を推進する所存」。
海野裕二消防長は「各種災害に立ち向かうべく、消防本部、消防団、婦人防火クラブ員が一丸となって、市民の安心、安全の確保に全力で取り組んでいく決意」などとあいさつした。
式典後、あけぼのプロムナードで予定していた一斉放水は雨のため中止された。
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平成28年中の出動件数は次の通り。かっこ内は前年比。▽火災15(8増)▽救急1571(64減)▽救助20(6増)▽消防事故12(5増)▽捜索活動6(5増)▽水防活動6(同)▽警戒・その他19(9増)▽防災ヘリ要請8(1増)▽Drヘリ要請5(3増)▽その他のヘリ要請0(同)。
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那智勝浦町では8日、町体育文化会館で消防出初め式の式典が営まれ、8分団167人が参加した。雨天のため分列行進と勝浦港での一斉放水は中止した。
式典では優良消防職団員の表彰などに続いて寺本眞一町長は「近い将来起こるであろう、3連動地震や南海トラフ地震の脅威に備え、今後も防災意識の向上に努め、災害に強い町づくりへ懸命に努力することを改めて決意する。地域防災の中核である消防団員の皆さんには平素からそれぞれの地域で災害に備えて日々精励、錬磨されていることは誠に頼もしい限り」と述べ、「紀伊半島大水害から5年がすぎたが、皆さんが最初の救助活動や行方不明者の捜索活動に奮闘してくれたことを忘れはしない」と式辞を述べた。峯幸生消防長、来賓の中岩和子町議会議長、土井敏弘・東牟婁振興局長、﨑口忠・新宮警察署副署長があいさつした。
貝岐昌志団長は昨年の消防団活動を振り返り、第26回県ポンプ操法大会で8分団が準優勝の輝かしい成績を収めたことに触れ「万が一災害が発生した場合は地域の皆さんと消防職団員が一丸となって消火活動、水防活動、避難誘導などに対応していかなくてはならないと考えている。消防団が担う役割はますます重要になっている。住民が安心で安全に暮らせる町を目指し、より一層のご尽力をお願いする」と訓示した。
(2017年1月10日付紙面より)
月野瀬で七草がゆのつどい (古座川町 )
古座川町月野瀬にある鮎のたなみやで7日、七草がゆのつどいがあり昔ながらの慣習に関心のある人々が参加してにぎわった。
七草がゆは1月7日に口にする大陸伝来の菜食習慣。日本では▽セリ▽ナズナ▽ハコベラ(=コハコベ)▽ゴギョウ(=ハハコグザ)▽ホトケノザ(=コオニタビラコ)▽スズナ(=カブ)▽スズシロ(=ダイコン)―を春の七草とし、一年の無病息災を願って粥(かゆ)に刻み入れて食べる形が広く定着している。
このつどいは古座川街道やどやの会が主催で、鮎のたなみやを営む会員東英子さん(78)が新宮市熊野川町小口の取り組みに刺激を得ながら毎年取り組んでいる。今年も有志と共に粥を炊き、子どもの手を借り「七日七草唐土の鳥が 日本の空に渡らぬうちに コケコッコー バタバタバタ」と歌いながら七草を刻み入れて訪れた人々に振る舞った。
併せて芋餅や漬物、なれずしなど郷土食の販売や焼き芋の振る舞いがあり、鮎のたなみやも七草がゆに合わせた里山料理(炊き込みご飯、ふろふき大根、漬物など)を提供。訪れた人々は正月の飽食で疲れた胃腸を七草がゆなどで休めながら東さんら有志との新春話を楽しんだ。
今年で9年目の同つどい。「昔の行事やしきたりなどを伝えたい一念で始めた」といきさつを語る東さんは「特に子どもに伝えたいという思いがあって、今年は手伝ってくれた子どもに前もって七草がゆの意味を調べてもらい発表してもらった。皆さんに喜んでもらえれば何よりですし、私たちも一人でも多くの皆さんと『昔はこうやった』と会話をするのが大事だと思っています。来年は前宣伝もしっかりとしてこのつどいを開きたい」と話した。
(2017年1月10日付紙面より)
塩竃神社で雨中の「脊美祭り」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町浦神の塩竃(しおがま)神社(井谷正守宮司)で8日、文化庁の日本遺産に認定された「脊美(せみ)祭り」が営まれ、漁業の町・浦神の大漁と安全操業を祈願した。かつては漁業関係者の子弟が中心となって行っていた地区の祭典行事だが、現在は脊美祭り保存会(会長・並川廣浦神西区長)が継承している。
同神社で神事が行われた後、井谷宮司が境内に据えた、もち米のわらでセミクジラを摸した3体の「脊美」を差し込んだ直径約1・7㍍の的の中心、「鬼」の字を射抜いて邪気を断ち、それを合図にせみ子の西春樹君(下里小5年)、谷唯央君(同4年)、徳村奏磨君(同3年)ら3人が脊美を引き抜いて抱きかかえ、近くの西区民会館まで一気に駆けた。
この日は雨のため、大幅にスケジュールを変更。みこし、だんじり、手踊り行列は中止し、区民会館では、この3人をねぎらう直会(なおらい)が持たれた。大役を終えた3人は「緊張した。夢中だった」、「こけないように一生懸命走った」と口をそろえ、並川区長は「この地の伝統文化を発信したい。祭りを継続し、活性化にもつなげたい」と思いを述べた。
神事に次いで、勇義社(畑下昭一社長)が勇壮な獅子舞を神社社務所で奉納し、西区民会館でも披露した。女性有志の手踊りも区民会館であり、50年ほど前には地区で歌われていた「せみ音頭」も並川区長の歌声で再現され、約40人が踊りの輪となって盛り上げた。
(2017年1月10日付紙面より)
新宮弓友会主催初射会
串本町中学生サッカーフェスティバル
2017年くまの駅伝大会
那智四十八滝で寒行 (熊野修験 )
那智勝浦町那智山を拠点とする「熊野修験」(大導師・高木亮英那智山青岸渡寺副住職)の那智四十八滝回峯修行が7日、始まった。地域の発展などを願い、1月中に那智山地区にある48の滝を巡る。
寒行は毎年二十四節季の小寒(6日)から大寒(21日)ごろまでの時季に行っている。修験者は各滝で九字の呪(じゅ)を唱えて指で空を切る護身を行い、般若心経や熊野十二社大権現の本地仏の真言を唱え、勤行後に碑伝(ひで)と呼ばれる供養の木札を供える。
7日の寒行には、修験者13人が参加した。まだ日が昇らない午前6時に青岸渡寺にある修験道の開祖とされている役行者(えんのぎょうじゃ)の像の前でほら貝を鳴らし、読経した。一の滝である那智の滝でも経とほら貝の音を納めた後、陰陽(いんよう)の滝方面へと向かった。
道中は2011年の紀伊半島大水害で崩落した箇所が点在しており、一行はライトを手に足元に気を配りながら歩を進めた。
高木大導師は「皆さまの多幸と地域の発展、安寧を祈念して巡らせていただきます。熊野修験も、おかげさまで再興30周年を迎えた。いっそうの精進に励みます」と話した。
(2017年1月8日付紙面より)
南紀くろしお商工会「新春の集い」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の町体育文化会館で5日、南紀くろしお商工会(森川起安会長)主催の「2017年新春の集い・こけ枝のほのぼの健康噺(ばなし)~初笑い演芸会~」が開かれ、約100人が来場した。落語家の桂こけ枝さんが、約2時間にわたり「笑いと健康」についてのトークと落語「鹿政談」を披露した。
こけ枝さんは登場するや「怪しい者ではございません。お寺から来たのでもございません。桂こけ枝と申します。本名は杉良太郎です」と薄くなった頭を逆手に取って自己紹介し会場の笑いを誘った。
トークは健康法、ストレス、長寿、老化など多岐にわたっており、最新の医学情報にも触れながら笑いによって免疫力が高まり健康になることを“笑いを交えて”紹介した。こけ枝さん自身も笑顔で生きることが一番健康に良いと思っていると話し、笑顔で生きる秘訣は「気にせんでいいことは気にせんでいい」というこけ枝さんの自説を紹介し会場を和ませた。
終盤に近付くにつれて来場者もリラックスし笑い声が大きくなっていった。最後は人情味にあふれた落語で、会場をしっとりとした笑いで包んだ。
(2017年1月8日付紙面より)
一乗寺「開運だるま市」 (熊野市 )
七福神の主神で知恵と開運の守り神・毘沙門天を祭る一乗寺(浜田龍乗住職)=熊野市井戸町=で6、7の両日、新春恒例の毘沙門天大祭「開運だるま市祈祷(きとう)」が営まれた。今年一年の開運を祈る行事で、県内外から大勢の信者が訪れてにぎわった。
本堂には、10㌢大から40㌢大までのさまざまなだるまがずらりと並び、参拝者たちはその中から気に入ったものを選んで左目と、「開運招福」「心願成就」「合格祈願」など思い思いの願い事を背中に記入してもらい、住職から祈とうを受けた。
だるま市を開くのは、東紀州地域では同寺が唯一という。100年以上の歴史があり、尾鷲市や串本町からも善男善女が集まる。祈願後は福銭と火よけの三宝荒神札が渡され、境内ではぜんざいの振る舞いもあり、参拝者から喜ばれた。今年で3回目のお参りという市内飛鳥町の70代夫婦は「家内安全」「ぼけ防止」と、それぞれの願いを語った。
(2017年1月8日付紙面より)
新宮市農業委員会
新宮市農業委員会(福本久雄会長)は6日、同市春日の人権教育センターで総会を開き、許可申請などを承認した。
会には19人が出席。開会にあたり福本会長は「旧年中は農業委員会の運営に何かとご協力をいただきありがとうございました。本年もよろしくお願いします」と述べ、田岡実千年市長に対し「委員一同、農地行政の執行、地域農業の振興に努めていく所存。今年もよろしくお願いします」とあいさつした。
田岡市長は「農業はなりわいとしてのみならず、良好な農村景観や文化の伝承、自然環境の保全など、地域を形成する上で大きな役割を担ってきた。次の世代に継承し、地域を元気にするような明るい農業の話題を提供できるよう、皆さまのお力添えをいただきながらより一層農業施策を推進しなければならない」と協力を求めた。
この日は4件の許可申請が上がり、委員らが現地調査の結果などを説明。全て承認された。施行された改正農業委員会法による新体制の説明もあった。
同委員会は地域農業の代表者らで構成されており、適正な農地行政、農業の担い手育成、確保などに努めている。
(2017年1月8日付紙面より)
新宮市の上道益大さん宅 (「御燈祭り」に向け )
新宮市の熊野速玉大社の摂社、神倉神社で営まれる「御燈祭り」(2月6日)が1カ月後に迫り、同市千穂の上道益大(ますお)さん(83)宅の作業場では、祭りに欠かせない上り子のたいまつ作りが追い込み期を迎えている。
神倉山の麓にある作業場で製作されているたいまつは、長さ85㌢の特大から当日参加できない上り子に代わってご神火をもらう31㌢の代参(だいさん)まで7種類。和歌山県から名匠表彰を受けている上道さんは、20代後半から50年以上、奉仕の精神で作り続けている。「ええ加減な仕事をするのは嫌なんでね」と朝6時から夜10時まで、ほぼ年中無休で働いている。
たいまつの材料は純国産の熊野ヒノキ、タケなど。一年かけて乾燥させた5枚のヒノキ板を五角すいの形に組み合わせ、タケや針金で固定するなど、ほとんどが手作業。柄の部分に「神倉神社」の印を押し、先端に“ハナ”と呼ばれるヒノキを薄く削ったフサを80枚ほど取り付けて完成させる。
「今年の祭りは月曜日やから上り子の数は少ないんとちゃうか。雨が降らんことと、上り子たちがケガせんと無事に帰ってくることを祈ります」と話していた。
(2017年1月7日付紙面より)
賀詞交歓会で結束固める (那智勝浦町 )
那智勝浦町の南紀くろしお商工会(森川起安会長)、町観光協会(花井啓州会長)、町水産振興会(片谷匡会長会長)の3団体は5日、町体育文化会館で「2017年新春の集い~賀詞交歓会~」を開いた。
商工業、観光、水産が一体となって町の活性化に寄与する目的で毎年1月に催されており、今年で11回目となる。
森川会長はあいさつで「今年は熊野那智大社御創建1700年、那智山青岸渡寺西国三十三所草創1300年を迎えた。100年に1度しかない地域PRの機会。観光協会長はさまざまな施策を考えている。地方版総合戦略の取り組みと経営発達支援計画の具体化も進んでいる。相互理解と連携を持って進んでいきたい」と述べた。
来賓の寺本眞一町長は「昨年は、水産についての町営、新温泉病院の起工式などがあり、節目の年だった。活気ある産業で雇用がどう生まれるかという町づくりを進めていかなければならない。一つの政策として、勝浦漁港魚市場の朝市を作り替える事業を進めている。地域の経済が活性化すれば、盛り返す機会になる。これからは、知恵を出し合って連携することが重要になる」と話した。
熊野那智大社から提供された奉献酒で今年から初となる鏡開きも行った。寺本町長、中岩和子町議会議長、森川商工会長、花井観光協会長、JF和歌山漁連勝浦市場の丸山一郎参事がたるの鏡を割り、景気よく一年のスタートを切った。
(2017年1月7日付紙面より)
熊野三山で元始祭
熊野三山で3日、国家の安寧などを祈る元始祭が営まれた。新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)では厳粛な雰囲気の中、上野宮司が祝詞を奏上し、みこたちが世界平和を願う「浦安の舞」を奉納した。
日本の国を生成したといわれるイザナギノミコトとイザナミノミコトに始まり、神武天皇を経て今上陛下に受け継がれている皇室の繁栄と国家の安寧を祈るもので、毎年この日に営まれている。
当日は初詣で大社を訪れていた大勢の参拝客たちが、みこの舞をカメラに収めるなど、熱心に見物していた。
(2017年1月7日付紙面より)
宮大工ら「手釿始式」 (熊野那智大社 )
一年間の作業の安全と技術の向上を願い、那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で6日、宮大工の仕事始めの儀式「手釿始式(ちょんなはじめしき)」が営まれた。
棟梁(とうりょう)の嶌﨑和真さん(35)と技手(ぎて)の3人が伝統衣装を身に着けて出席。男成宮司が祝詞をささげた後、嶌﨑さんが神前に置かれた約2㍍の木材にちょんなを打ち込んだ。技手が墨付け、のこぎり、かんなの順に道具を使う所作を古式にのっとって奉納した。
嶌﨑さんは「創建1700年の記念の年。神社のますますの発展を願い、仕事が無事こなせるように願いました。初心を忘れず仕事に取り組みたい」と話した。同大社の例大祭「那智の扇祭り(火祭)」で使われる12体の大たいまつは3月中旬から作り始めるという。
同大社は社殿によると317(仁徳天皇5)年、現在の山の中腹に社殿を設け、那智の滝で祭っていた熊野の神々をここに遷(うつ)した。今年は社殿が創建されてから1700年を迎え、さまざまな行事が予定されている。
(2017年1月7日付紙面より)
上野山さん『災害史誌』出版 (新宮市 )
元新宮市防災担当理事の上野山巳喜彦さん(63)=御浜町=がこのほど、『新宮市災害史誌』を200部自主出版した。市、市消防本部をはじめ、東牟婁・南牟婁郡の市町村、各高校図書館などに寄贈する。上野山さんは「本書を少しでも減災に役立ててもらえれば」と話している。
新宮における過去2000年の地震・風水害・大火・戦災など災害の歴史▽新宮に大きな被害をもたらした災害の解説▽昭和・平成の大災害の被災者の体験記―の3部構成。古文書や先人の研究、新聞記事、200人以上からの聴き取り調査などを集約し、過去2000年の災害概要が一通り把握できるようになっている。B5判428㌻。
上野山さんは市職員として約40年勤務。防災担当時に災害の過去を知る材料の少なさを痛感し、定年退職後、市の嘱託職員として防災アドバイザーを務めながら、約3年かけて完成させた。
市役所を4日に訪れ田岡実千年市長に寄贈した上野山さんは「新宮市で約40年勤めさせていただいた感謝の気持ちを込めて出版しました。防災関係者だけでなく、一般の市民、特に若い方に読んでいただきたいと思い、できる限り分かりやすく書きました」。
田岡市長は「新宮市にとって大変貴重な資料になることは間違いない。紀伊半島大水害を体験された上野山さんが作成した大変値打ちのある冊子だと思います。一人でも多くの人に見てもらえるよう市としてもPRしていきます」と感謝した。
上野山さんは「過去に学ばなければ、対策が的外れであったり、場当たり的なものになる危険性があります。できる限り多くの方と当地方の災害の歴史を共有し、地域の力を結集することで次なる巨大災害の被害を最小限に抑え込む、減災に本書が少しでも役立てれば幸いです。今後は新宮市のみならず、広く熊野における災害も視野に入れ研究したいと考えています」と話した。
(2017年1月6日付紙面より)
串本ふるさと大使会議 (串本町 )
串本ふるさと大使会議が3日、串本町サンゴ台にある串本ロイヤルホテルで開かれた。本年度は同大使6人が出席し、これからのまちづくりについて田嶋勝正町長らと意見交換に臨むなどした。
同大使は秀でた社会影響力で串本をPRできる人材を対象に町長が任命していて、同日現在14人が活躍している。同会議は行政関係者と同大使が串本を自由に語り合い、今後のまちづくりに寄与する目的で年1回、1月3日を期日にして開いている。
出席したのは▽赤木正和大使(エコロケーション代表取締役)▽清水康生大使(セ・ラ・セゾン代表取締役)▽中谷和夫大使(立命館大学客員教授)▽濵野晃吉大使(経営センター取締役社長)▽平野啓子大使(語り部・かたりすと)▽石垣績大使(富士写真フイルム)―の6人。地元からは田嶋勝正町長、清野武志副町長、寺町忠町議会議長、前芝雅嗣県議会議員、役場企画課職員3人が出席し、代表して田嶋町長、寺町議長、前芝議員が歓迎のあいさつを述べた。
併せて田嶋町長は昨今の観光情勢を伝え、世界文化遺産に追加登録された大辺路4区間など潜在する資源の売り出し知恵を、寺町議長は順風にあぐらをかかず自ら前へ進む方向でまちが動くことへの協力を、前芝議員は観光客増に呼応する個人消費の伸びを促しながら流動人口を増やすのが策だと意見しつつ串本の盛り上げを各大使に要請した。
6人は個々に自己紹介や串本への提言を含めて近況報告をし、その後は会食を交えて町長らと自由に歓談。近況報告では▽プラネタリウム施設の汎用(はんよう)化を目指す大阪芸術大学と和歌山大学の共同研究において、大辺路4区間を歩いている気分になれる仕掛けを提案してみたい▽地元が元気でなければ観光客も喜べない。生活に根差した写真で情報発信をしてはどうか▽串本町や古座川町の特産柑橘を用いた商品を開発しアピールを始めている。今後も深化させていきたい▽古道が世界遺産登録により注目されているように、不易(=不変的な価値)と流行を両立する長期的な取り組みではじける地域資源を生み出してはどうか▽日本トルコ友好を全国にPRするキャラバン隊の結成を考えるなら助成先を紹介できる。高速延伸と話題性があれば企業も進出すると思う。津波が来ても大丈夫な土地を作ってはどうか▽トルコ軍艦エルトゥールル号遭難救助の話は助け合いの在り方を指し示す点で全ての防災の原点にもなると感じている―などの意見があった。
(2017年1月6日付紙面より)
新宮公設市場で初市
新宮市佐野の新宮広域圏公設地方卸売市場で5日、市場協力会(小田三郎会長)主催の「平成29年初市」があった=写真。
生鮮食料品の円滑な流通と安定供給を図り、周辺広域住民の食生活の安定に貢献することを目的に1985(昭和60)年5月に県下の公設市場第1号として設置された市場。初競り前の式典で小田会長は、市場を取り巻く環境は依然として厳しいが、責任感を持って市場の使命を果たしていきたいと協力を呼び掛けた。市場管理者の田岡実千年市長は関係者たちの日頃の協力に感謝し、「安心して利用できる市場を目指していきたい」とあいさつした。
寺本眞一那智勝浦町長ら多数の来賓が出席する中、中西太・買受人組合会長の音頭で万歳三唱。午前7時30分から初競りが始まり、ダイコン、イチゴなどが次々と競り落とされた。くろしおいちご生産組合のマスコットキャラクター「まりりん」も来場した。
(2017年1月6日付紙面より)
官公庁で仕事始め式
和歌山県庁や市町村など官公庁で4日、仕事始め式があった。6日間の休業を終えた職員たちは、首長らの訓示の下、気を引き締めて新しい一年のスタートを切った。
市福祉センターで開かれた仕事始め式には職員約90人が出席。全員で市歌を斉唱した後、田岡実千年市長があいさつ。今年は54年ぶりに新庁舎が完成すると述べ、「仏作って魂入れず。素晴らしいものができても肝心の魂が入っていなければ、台無しになってしまう。新しい庁舎の中でしっかりと仕事をすることで初めて立派な庁舎が完成する。それぞれ自分の役割を全うするとともに、訪れる市民には人間味を持った温かい接客をお願いしたい」と呼び掛けた。
続いて榎本鉄也市議会議長が「今年の新宮市は相変わらずの一年であってはならない。新庁舎の完成で職場は劇的に良くなるが、どれだけの市民が完成を喜んでくれているのか、少し疑問を感じてしまいます。文化複合施設の建設も迷走していると言っても過言ではない状況。この一年は新宮市にとって勝負の一年。議会も改革に取り組んでいく決意です。本当の意味での『市政は市民のために』を実現していこうではありませんか」と祝辞を述べた。
亀井寿一郎副市長の音頭で乾杯した後、楠本秀一教育長の音頭で万歳三唱し閉式した。
那智勝浦町は4日午前9時30分から庁舎2階の大会議室で仕事始め式を開いた。出席した町職員全員で町歌を斉唱し、新年の職務に向けて気を引き締めた。
寺本眞一町長は「初心を忘れてはいけない」と職員を前にあいさつ。仕事を料理に例え、「見た目は同じでも一手間、一工夫を入れると味は変わってくる」と語り、「役場も外見は同じだが、職員一人一人が工夫を凝らすことで仕事の中身は違ってくる。どうやればベストな仕事ができるのか、常に考えながら業務に精励してほしい」と職員を激励した。
(2017年1月5日付紙面より)
有田神社祭礼「お的祭」 (串本町 )
新年を迎え串本町や古座川町の各地で新春の祭礼が営まれている。串本町有田にある有田神社(深美芳治宮司)では3日に祭礼「お的祭」があり、今年は女子学生2人が弓頭として奉仕し地区住民ら約20人の注目を集めた。
同神社では元日朝の歳旦祭に続く祭礼。弓頭は男子学生が務めるのが近年の慣例だが、今年はその候補が諸事情で奉仕できなくなり、他に人材が得られず女子学生を起用するに至った。
奉仕したのは中谷友香さん(18)と中谷公香さん(18)。有田上出身の双子で、通う串本古座高校では吹奏楽部や美術部に所属していたため矢を射るのは初めて。昨年末に時間の許す範囲で稽古を積んで奉仕に備えてきた。
当日は午前8時30分すぎに式典があり、2人は白い羽織を着て玉串をささげるなど礼を尽くして同神社近くの耕作地に設けた的場へ出発。鳥居前で湯立ての儀によるお清めを受け、的場到着後は深美宮司ら後見の下でお弓式に臨んだ。
直径約180㌢のお的を狙う奉射に続いて清めの矢を各3本放った後、社務所に戻って魚の切り身の振る舞いを受け黒い羽織に着替え。的場に戻って再び清めの3射に臨み、社務所で餅のふるまいを受けるといった独特の慣習をこなした。
深美宮司によると、他の神社のお弓行事にはない白黒の羽織の着替えは素人から玄人への成長を意味し、新たに購入した白黒の胸当てには女性と男性の象徴という意味を込めたという。
奉仕を経て2人は「昨年は良くない事も多い一年だったように思うので、今年はいい方向にいってほしいと思う。有田地区も子どもが減り年寄りが増えて、祭りも厳しくなってきている。せめて私らの世代までもってほしいし、もっとにぎやかになってくれたら」と自身や地域の今後を期待。
深美宮司は「昔は有田と吐生(はぶ)でお的祭があったが、今は有田地区全体のお的祭という思い。今年も平和な一年であってほしい」と願った。
(2017年1月5日付紙面より)
勝浦地方卸売市場 (那智勝浦町 )
生鮮マグロの水揚げ量が国内有数の那智勝浦町の勝浦地方卸売市場で4日、初市があり、近海で操業していた沖縄や高知、宮崎のはえ縄漁船5隻がメバチ、キハダ、ビンチョウの各マグロを水揚げした。50社約150人の仲買人が集まり、市場は活気づいた。121㌔のクロマグロも1本揚がった。
勝浦地方卸売市場は昨年10月に解散した勝浦漁協の後を受け、那智勝浦町が管理者となり、和歌山県漁業協同組合連合会(県漁連)が運営している。初市が始まる午前7時前に開かれた式典で、寺本眞一町長は「水産業は町の基幹産業。屋台骨をどう支えていくか考えていく」とあいさつ。昨年暮れに新冷蔵庫の補助金が認められたことに触れ「計画を進め、建設にかかりたい」と述べた。県漁連勝浦市場の片谷匡代表、勝浦魚商組合の木下勝之代表も祝辞を述べた。この後、中岩和子町議会議長の音頭で乾杯した。県漁連の参事役丸山一郎さん(60)は「初市としてはまずまず。昨年から値段が上昇傾向にあり、今年も期待できると思う。クロマグロが揚がったのは幸先がいい」と喜んでいた。初市の水揚げは43㌧、金額は3442万6000円だった。
(2017年1月5日付紙面より)
3月から一部供用開始へ (新宮市 )
新宮市の新庁舎本体が1月末に完成する。引っ越しなどを経て3月末から一部で供用を開始する予定だ。現在、都市建設課などが入っている第2別館を解体して駐車場など外構を整備し、6月末の工事完了を目指している。
旧庁舎を解体して跡地に建設している新庁舎は、茶と銀のツートンカラー。鉄筋コンクリート造、地下1階、地上7階建て。延べ床面積は約6824平方㍍。駐車場は約100台分。大地震に備えた基礎免震構造を採用している。一昨年4月から旧庁舎の解体工事を始め、9月から建物の建築工事に着手した。
市は当初、新庁舎建設の総事業費を28億5600万円としていたが、建設資材の高騰などの影響で34億8500万円にまで増加。その後、入札無効を経て、さらに2億3300万円増額の37億1800万円に見直した。
新庁舎建設財源の内訳は▽合併特例債24億6900万円▽庁舎建設基金9億400万円▽補助金1億4450万円▽一般財源2億50万円。
補助金の内訳は▽市町村合併推進体制整備費補助金2500万円▽地中熱等利用補助金3700万円▽社会資本整備総合交付金・耐震化8250万円―となっている。
使用期限が2020(平成32)年となっている合併特例債は66・5%が地方交付税交付金として返ってくる。
現在、仮庁舎として使用している旧職業訓練センター(同市春日)は、鉄筋で地下1階、地上2階建て。1981(昭和56)年の完成で築35年。耐震診断は実施していない。地下は倉庫として使うことが決まっているが、1階、2階の活用方法は決まっていない。
選挙管理委員会や商工観光課が入っている中央通り沿いの第4別館(同市井の沢)は、鉄筋2階建てで築50年以上。老朽化が進み耐震性が低いことから、解体し跡地を駐車場として利用する計画もあったが、現在は未定となっている。
教育委員会が入る西別館(同市井の沢)は鉄筋3階建て。1982(昭和57)年の完成で、築34年。耐震基準を満たしており、活用方法は決まっていない。
第1別館と第3別館はすでに解体されている。
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■新庁舎の各フロア
【7階】機械室
【6階】議会事務局▽正副議長室▽議場▽委員会室
【5階】都市建設課▽農林水産課▽農業委員会▽管理課▽情報管理課
【4階】市長室▽副市長室▽秘書課▽総務課▽防災対策課
【3階】商工観光課▽企業立地推進課▽人権啓発課▽会議室▽財政課▽企画調整課
【2階】生活環境課▽文化振興課▽選挙管理委員会▽監査事務局▽生涯学習課▽学校教育課▽教育総務課▽教育長室
【1階】総合案内▽健康長寿課▽福祉課▽市民窓口課▽税務課▽会計課▽銀行
(2017年1月1日付紙面より)
七川総合センター(仮称) (古座川町 )
古座川町下露、七川中学校跡地で建設中の七川総合センター(仮称)が今春、待望の完成を迎える。下露公会堂の後身として設計された新施設で、昨年11月末に建物部分が完成。外構部分の工事も大詰めに差し掛かり、当初予定の今年3月24日(金)よりも早い段階での完成が見込まれている。
旧体育館施設を解体撤去した跡地で建設されている同センターは木造平屋建てで建築面積374・72平方㍍、延べ床面積349・65㍍。施設種別は多目的集会所だが、下露公会堂を会場とする地区文化祭「七川まつり」の新会場を担えるよう内部設計がされているため、町内の一般的な地区集会所とは一線を画す巨大な外観が印象的な新施設でもある。
主な内容は公会堂、トイレ、給湯室など。発光ダイオード(LED)照明設備54基を内部光源とし、公会堂相応の機能を発揮するためアリーナ音響設備や相応の空調設備も導入されている。事業費は1億4500万円強という。
外構は七川中学校跡地を丸々同センター敷地とする形で工事が進んでいる。駐車場区画は普通乗用自動車33台分相当の広さを想定。他に20㍍角のヘリポートと吹きおろし風対策としての周辺緩衝地、多目的広場があり、同センターの総敷地面積は7541平方㍍となる。外構部分の事業費は2350万円強で、建物を含めた総事業費は約1億7000万円となっている。
多目的の内容について、一つは地区行事の活用があり、他に各種健診拠点としても活用する。完成後の話になるが、地区と役場の災害時通信手段として下露公会堂に据えられている集落間無線機が移設されるため、将来的には避難所兼地域防災拠点としての用途も帯びる見込み。
同町産業建設課によると、昨年は台風などの荒天日が少なかった事もあってか、屋外の外構工事は当初計画より早く進んでいる。工期終了よりも早い段階での全体完成を見込んでいて、その節目に区民内覧会を開いて祝う予定。名称案として七川保郷会から「七川総合センターふるさと」が示されているという。
(2017年1月1日付紙面より)
認定こども園2施設開園 (串本町 )
串本町では次年度、保育や幼児教育の新たな選択肢となる認定こども園2施設が開園する。一つは町立くしもとこども園、もう一つは私立上野山こども園。いずれも幼保連携型で運営を始める。
認定こども園は親の就労の有無によらず、乳幼児の誰もが入園できる施設で、幼保連携型は保育士資格と幼稚園教諭免許を併有(開園5年目まで移行措置あり)する職員が保育と幼児教育を一体的に提供し、併せて地域子育て支援も行う。
子ども・子育て支援新制度に基づき、園児は▽1号認定児(満3歳以上、教育標準時間認定)▽2号認定児(同、保育認定〈標準時間・短時間〉)▽3号認定児(満3歳未満、同)と区分され、号ごとに利用料が規定されている。
1号と2号は区分によらず年齢でクラス編成され、教育標準時間の午前9時~午後3時をみんなで過ごして以降は1号、2号(短時間)、2号(標準時間)と順次降園するのが日々の流れとなる。
くしもとこども園は現串本保育所と現串本幼稚園の統合施設として開園する。園舎は当面串本保園舎(0~3歳児園舎)と串本幼園舎(4~5歳児園舎)を流用するが、町の将来構想ではJR串本駅西に造成する用地への高台移転が描かれている。定員は195人で、3号認定児の下限は生後8カ月としている。
上野山こども園は、現上野山保育園に1号認定児枠を新設する形で開園する。併せて社会福祉法人上野山保育園は「社会福祉法人杉の子会」と改称する。
当初は新園舎が完成し旧上野山保育所と旧西向保育所を統合した平成26年度に開園する計画だったが、情勢を見て本年度までの3年間は保育園の形態を取った。養育にとどまらない保育を目指す過程で幼児教育要素を有資格者の起用も含めて取り入れているため、こども園に移行しても園児の環境はほぼ変わらないという。
定員は160人で、3号認定児の下限は生後2カ月。1号認定児枠は10人前後を想定している。
次年度の町域の保育・幼児教育施設は上記2園と町立の潮岬幼稚園、和深・田並・大島の3へき地保育所の6施設。昨年11~12月に次年度新規入所希望の受け付けもあり、現在は入所先の調整が行われている状況だ。
(2017年1月1日付紙面より)
太地こども園の新園舎建設着手 (太地町 )
「『子どもは宝物』これが基本的な太地町の考えだ。子どもたちのための政策を実現していく、第一歩の年になる」。太地町の三軒一高町長はこう語る。計画を進めてきた同町平見、老人ホーム南紀園に隣接する場所への「新太地こども園」の建設がいよいよ新年度に着工となる。
三軒町長は平成16年の初当選以来、町づくりの30年計画を着々と実現してきた。高齢者の対策がほぼ実現し、次は子育て世代への支援がクローズアップされる年になりそうだ。新子ども園の建設を中心に三軒町長と宇佐川彰男教育長に伺った。
三軒町長は平成16年に初当選。当初からまち全体を「鯨の学術研究都市」とする30年計画を語ってきた。短期10年、中期10年、長期10年に分けて町のビジョン実現に取り組んでいる。「今、中期に入った。保育園と駅をまず建て替える。駅は防災複合施設として計画している。そして小学校を高台に移す。その後に小学校の場所へ役場庁舎を移設する。防災は町づくりの基本だ」と語る。
どの施設にも給食施設を残し、避難所としても活用できるようにするという。
「昨年4月から小・中学校の教材を無料にした。中学校までは町で徹底して面倒を見たい。苦しい財源の中でやるのが政治だ」と語る。その財源は「クジラの恵み」。くじらの博物館で利益を生み出し、これを町のために使う。
「『健康・勉強・思いやり』の三本柱だけをお願いして、教育の中身は全て宇佐川教育長に任せている。町の考え方の基本は『子どもは宝物』。将来を担う子どものためには死に物狂いでやる。人口を増やせというが、まずは子育ての環境を整えなければならない」。
「津波の心配がなく、太陽がさんさんと輝く環境の中で子どもたちが成長できればと計画を練ってきた」と宇佐川教育長は語る。
新園舎は28年度で基本設計を済ませ、新年度の当初予算に建築費を盛り込み29年度中に着工、来年春に開園予定だ。
建築予定地は南紀園から海側の桜の木が植えられている平見台園地付近。鉄骨平屋建て、延べ床面積約1200平方㍍。
0歳から5歳児までの保育室を設け、遊戯室のスペースもたっぷりとるという。100人の子どもたちが受け入れ可能な施設になる。
真南に向けて建て、ランチルーム、3歳から5歳児までの保育室は一番日当たりのよい場所に設置する。小さな0歳から2歳児までは奥の静かな場所に部屋を設ける計画。
プールを部屋の中に作るのも大きな特徴だ。室内プールは天候に関係なく使え、利用しない冬場の管理もしやすい。
園庭は公園の木をそのまま生かし、森の中に遊具を置く。自然の中で子どもたちが遊べるようにする。
宇佐川教育長は「これまでさまざまな地域を視察し、先生方の意見も取り入れて施設を計画してきた」と語る。
太地町の28年11月末現在の0歳児は13人、前年の27年生まれは21人だった。23年~28年生まれの合計は106人。
宇佐川教育長によると町内で平均1年に17~18人が生まれているという。新園舎の設計が100人となっているのはこの数字からだ。
若い世代の高台への移転が進んでいて、子育て世代の6~7割は平見地区という。
こども園の開園の翌年31年春には現在の中学校の近くに小学校を移設する計画だ。これが完成すると0歳から中学生まで平見地区での教育環境が整うことになる。
昨年4月に町は小・中学校の学用品費を無償にした。「3年がかりで取り組んだ成果だ。保護者から非常に喜ばれている」と宇佐川教育長は語る。「今後は一気には無理だが、給食費、修学旅行費も無料にしたい。段階を踏んで何とか実現させたい」と意気込む。
「きちんとした食習慣を身に付けさせるため、朝食も給食にするという構想も抱いている。これは反対意見も多いね。賛成は私と町長だけかもしれない」と笑う。
「子どもは太地で育てよう。そんな町にしていきたい」。30年のビジョンを持つ町の取り組みに注目したい。
(2017年1月1日付紙面より)
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)は現在の場所に社殿を創建されてから今年で1700年を迎える。那智山青岸渡寺(高木亮享住職)を第一番札所とする西国三十三所巡礼は来年2018年、草創1300年の記念の年になるため、前後5年間にわたり奉祝行事が営まれている。世界遺産の社寺が脚光を浴びる。観光を基幹産業とする同町にとっては注目の年だ。観光協会などでは「那智山両詣」のポスターやのぼりを作製し、PRに力を入れている。社寺で奉祝行事の内容などを聞いた。
社伝によると317(仁徳天皇5)年、現在の山の中腹に社殿を設け、那智の滝で祭っていた熊野の神々をここに遷(うつ)した。これが熊野那智大社の始まりとされている。今年は創建1700年の記念の年を迎える。100年に1度の機会とあって、大社ではさまざまな奉祝の行事を企画している。
■7月に民俗芸能大会と10月に御創建大祭
計画中の奉祝行事を大社で伺った。
7月14日(金)の例大祭「那智の扇祭り」は御創建1700年例大祭として営む。
翌15日(土)と16日(日)は記念の民俗芸能大会を計画している。熊野地域の獅子舞、太鼓などが出演。ユネスコの無形文化遺産「那智の田楽」が奉納される特設舞台で記念の年を祝って華やかな舞台を展開する計画だ。16日には大阪から雅楽団体も招く。
10月14日(土)は御創建1700年大祭を営む。翌15日(日)には江戸千家の献茶式も計画。日程は未定だが、和歌山県出身のピアニスト松尾泰伸さん、ハーモニカ奏者の山下伶さん、日本舞踊藤間流の藤間恵都子さん、みこ舞の「玉澤会」など豪華な顔ぶれが奉納する予定だ。同社では「ホームページで奉納を呼び掛けていきます。ぜひお問い合わせください」と話している。
観光面ではJR西日本の依頼を受け、4月から12月まで第3土曜日に那智の滝をライトアップする計画。
■境内施設の整備も進める
大社は2011(平成23)年の紀伊半島大水害で大きな被害を受けた。国の重要文化財の本殿の修復は果たしたが、国の史跡の「拝殿」(礼殿)の銅板屋根などの老朽が目立っていて、早急な改修が必要となっている。
境内建物の丹塗(にぬ)りの劣化や別宮の祈願所や社務所も老朽が目立っている。
大社では将来に向けた祭祀(さいし)を厳かに執り行っていくため、また、世界遺産としての景観維持を図るため、創建1700年を記念して境内の施設整備事業も行っていく。大社では「皆さまには事業の趣旨をご理解いただき、ご支援ご協力をお願いします」と呼び掛けている。
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■日本の巡礼路の元祖
西国三十三所は日本最古の巡礼路。718(養老2)年、大和国長谷寺を開いた徳道(とくどう)上人が閻魔(えんま)大王から観音菩薩(ぼさつ)の慈悲の心を説くようにとのお告げを受けて始めたとされる。一番札所の那智勝浦町那智山の那智山青岸渡寺から三十三番の岐阜県揖斐川(いびがわ)町の谷汲山華厳寺まで総距離は1000㌔に及び、和歌山、大阪、兵庫、奈良、滋賀、岐阜に渡っている。
2018(平成30)年が草創1300年を迎える。三十三所の寺院などでつくる「西国三十三所札所会」はこの2018年を中心とする前後5年間にわたり、「草創1300年 いまこそ慈悲の心を」と題してさまざまな事業を催している。
■那智山青岸渡寺本堂で秘仏の公開も
奉祝行事として3月25日(土)から5月7日(日)まで、那智経塚出土品の仏像を一般公開する。通常は収蔵庫に保管された「秘仏」だが、この期間だけ、本堂に展示する計画。同寺の通年の行事、節分祭や開山祭などは慶祝行事として営む。
草創1300年の行事は昨年3月25日、滋賀県大津市の石山寺で営まれた「開白法要」で始まった。この時に徳道上人ゆかりの長谷寺から法灯が運ばれ、これを歩いて運ぶ記念行事「徒歩巡礼法灯リレー」がスタート。
法灯は5月21日、第一番札所の青岸渡寺から1000㌔の道のりへ踏み出した。3年かけて満願を迎える。一番から二番は250㌔もある。
青岸渡寺の髙木亮英副住職はわらじ履きで足に血をにじませながら巡礼したこともあると話す。「山を越え、谷を渡り、人との出会いを重ねながら歩いた。観音様の慈しみ、やさしさの御心に触れる思いでした」と語り、1300年続く巡礼は時代に応じて意義があると話す。「世界で紛争が起きています。これは人へのやさしさがないからと思います。世界平和を祈りたい」。
1300年をアピールすることは観光振興につながる。「御朱印帳を集める若い人が多いと聞いています。一人でも多くの人に熊野那智大社と“両詣で”をしていただきたい。ここに詣でてもらい、熊野を体感していただきたい」。
西国三十三所札所会では年明け早々に各地の行政や観光協会などと連絡協議会を立ち上げて、観光振興につなげる行事も企画していくという。「日本遺産」への登録の動きもある。
(2017年1月1日付紙面より)