新宮信用金庫経営者塾100人会(野中亮伸会長)は28日、新宮市佐野のやたがらすサッカー場と市民グラウンドで「紀蹴(きしゅう)カップ」を開いた。会場には、さまざまなブースが並び、12チームが熱戦を繰り広げたサッカー大会が行われるなど、大勢の家族連れでにぎわった。
「子どもたちの今のために、みんなの未来のために」をテーマに地域の企業が協力。大人たちが力を合わせて地域のために一つになり子どもたちの今や未来のために願いを込めて3年前に企画したが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から中止となっていた。
開会に当たり野中会長が、開催に協力した関係者らに感謝を伝え「大会を通じて各チームとの交流を図り、今後につなげていってください」とあいさつした。
会場ではサッカー体験ブースの他、地元店舗の弁当や地元名産品の販売ブース、バルーン遊具や輪投げ、射的などのアトラクションが楽しめる催事ブースが設けられ、クラブハウス前では車やドローンの展示コーナーもあった。
来場者は各ブースを回ってさまざまなゲームに挑戦し、楽しいひとときを過ごした。サッカー大会では、各チームがリーグ戦やトーナメントを行い、熱戦を展開した。
市内から訪れた藤野満さん(37)は「サッカーをしているおいっ子の応援に来ました。子どもたちが遊べるコーナーがたくさんあって、満喫することができた。コロナ禍ではあるが、少しでもイベントを開けるような日が訪れてくれれば」と笑顔を見せていた。
(2023年1月31日付紙面より)
在名古屋トルコ総領事来校 (串本古座高校 )
在名古屋トルコ共和国総領事館のウムット・リュトフィ・オズテュルク総領事(45)が27日、県立串本古座高校を訪問し図書の寄贈や生徒との交流に臨んだ。
トルコ共和国のイスタンブール高校と2017年度に姉妹校提携をし、本年度も新たに2校とオンラインによる生徒交流を重ねた同校。オズテュルク総領事はその姿に感銘を覚え、生徒とじかに話しいっそうの交流促進を図りたいという思いで同校訪問を決め自身の外交日程に組み込んだ。
同校からは榎本貴英校長と生徒交流に臨んだ雑賀和さんら2年生7人が来校を歓迎。オズテュルク総領事は日本トルコ文化協会が日本トルコ友好120周年記念で発行した冊子「絆」(A4判83㌻)100冊の寄贈を申し出て友好にかける思いや交流の良さを伝え、以降はトルコのお勧めの場所や文化面で気を付けるべきこと、樫野のように地域単位で日本と強く結び付いているまちはあるかなど生徒一人一人の質問に気さくに答えるなどして親交を深めた。
生徒との交流を経てオズテュルク総領事は「互いの先祖がつくった友好を次の世代につなげることは私たちの義務」と語り、今回の温かい雰囲気での交流に感謝。榎本校長も「総領事から優しい人柄で温かいお言葉を頂き、生徒も良い時間を過ごせた」と感謝し、両国の生徒同士のつながりの継続を願って締めくくった。
代表して冊子を受け取った雑賀さんは「読みやすいので、弟や妹など小さい子にも渡してトルコと串本の絆が深まったらいいなと思う」とコメント。冊子は両国の友好をマンガや記述で伝える内容で、同校は数があるため串本町内の小中学校とも共有するという。
今回の寄贈と親交についてオズテュルク総領事は「生徒は私たちにとっての未来。冊子は両国友好120周年で少年のために発行され、少年に興味を持たせる本として贈りたいと思った。両国の絆がより強まり、少年同士の交流がこれから増えていくことを望む」と話した。
(2023年1月31日付紙面より)
加寿地蔵尊「はつじぞう」 (那智勝浦町 )
加寿(かす)地蔵尊世話人会(中田勝康代表)は28日、熊野古道駿田峠の中腹にある、那智勝浦町湯川の加寿地蔵尊で、「はつじぞう」を営んだ。地域住民など多数が参拝、良い年となるよう願った。
加寿地蔵尊はおよそ千年前、熊野詣での途中に駿田峠で命を落としたといわれる姫を祭っている。名前は歌子姫と伝わっていたが、酒かすを供える風習があったことから、「粕(かす)地蔵」が転じて「加寿地蔵」と呼ばれるようになった。
「はつじぞう」では、加寿地蔵尊が納められたほこらの前で、神事が行われた。約20人が参列する中で、中田代表や修験者の富岡秀清さんが般若心経を読経、地蔵尊の真言も唱えた。同世話人会の平野恵子さんによる、横笛の奉納もあった。参列者は線香を供え、熱心に祈っていた。ほこらは谷を下り山を登った先にあるため、そこまで行けない高齢者などは手前の拝社(おがみやしろ)に参列していた。
神事の後は、おみくじが配られた。中田代表は「自分の知らないこと、気付かないことを神仏に教えてもらうもの」と説明。参列者はおみくじを開き、メッセージ調の内容をかみしめていた。ぜんざいや茶がゆの振る舞い、餅つきもあり、にぎわいを見せていた。
中田代表は「新年になり、新しい展開になるかも。良い方向に向かっていけばうれしい。今日は有田市からのお客さんもあるなど、たくさん来てくれてありがたい」と話した。
なお、拝社などが置かれた加寿地蔵尊の広場の周囲には、多くのサクラが植樹されている。このため、地域住民が花見を楽しめるようにと、普段は施錠されている広場を3月から1カ月、開放するという。
また、3月18日(土)の午前10時からは、桜まつりの開催を予定。餅つきや踊り奉納、植樹祭などの実施を考えている。このため、歌や踊り、演奏の奉納を希望する個人や団体、出店希望者を募集する。問い合わせは、加寿地蔵尊世話人会(電話0735・52・3071)。
(2023年1月31日付紙面より)
投票率は新町発足後最低に (紀宝町議選 )
任期満了に伴う紀宝町議会議員選挙は29日、投開票が行われ、新議員11人の顔ぶれが決まった。前回(2019年)の無投票を受けて、今回から2減の定数11になり、立候補した12人のうち、現職9人、元職1人、新人1人が当選した。
当日有権者数は8888人で、投票率は新町発足後、過去最低の58・56%だった。町議選投票率は07年が84・12%、11年が79・90%、前々回の15年は73・41%。今回は、前々回を14・85㌽下回った。
8年ぶりの今回は現職10人、元職1人、新人1人が舌戦を展開。大雪に見舞われた日もあったが、少子高齢化、地域経済の活性化、教育、福祉など諸問題解決に向けた激しい選挙戦を繰り広げた。
開票は各陣営の関係者が見守る中、午後8時10分から町生涯学習センターまなびの郷で始まり、9時30分に終了。当選した候補者の事務所では大きな拍手が起こった。
トップ当選した現職の榎本健治氏(46)は「予想以上の得票を頂き、身の引き締まる思いがしています。選挙戦で各世代から頂いたさまざまな声をしっかりと形にして、仕事で恩返しをしたい」と述べた。
(2023年1月31日付紙面より)
今季一番の非常に強い寒気が流れ込んだ24日から25日にかけて、太平洋側にも雪雲が流れ込み、熊野地方に積雪をもたらした。太平洋側では25日、天気が回復して晴れる所も多くなる見込みだが、依然として冷え込みは続く予報。路面凍結や水道管凍結などに注意が必要だ。
気象庁によると、25日朝の最低気温は▽古座川町西川で氷点下4・1度▽熊野市新鹿で氷点下3度▽新宮市で氷点下2・5度▽串本町潮岬で氷点下2・2度―など、各地で平年を大幅に下回った。熊野市、御浜町、紀宝町では一時大雪警報が発表された。
JR西日本と東海は25日、大雪の影響で周参見―新宮間、新宮―多気間で一時運転を見合わせた(同日正午現在)。
和歌山県では25日午前8時現在、県内道路11路線(17区間)で通行規制を実施。那智勝浦新宮道路の市屋ランプ交差点―高森交差点間を通行止めとしている。
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太地町立太地小学校では、1時間目の授業を変更して雪遊びに。普段、触れる機会の少ない雪の感触を楽しんだ。大石湧琉君(4年)は「こんなに積もったのを見るのは初めて! 1時間目の算数が雪遊びになってうれしい」。畑地咲音君(同)は「雪合戦と雪だるま作りをする」と笑顔で話していた。
(2023年1月26日付紙面より)
添野川でいくさ地蔵尊例祭 (古座川町 )
古座川町添野川(そいのがわ)にあるいくさ地蔵尊で24日、例祭が営まれた。今年は区外参拝を受け入れ、航空自衛隊串本分屯基地の鳥塚直樹司令と仲本耕士副町長も代表参列。添野川区の山崎勝好区長を筆頭に12人が信心を注いだ。
大坂の陣に出兵した出身者・彦八が往路で野にうずもれたこの地蔵尊に気付き、里に一人残す母の元へと戻れるよう祈願。無事帰路に就くことができ、この地蔵尊を添野川へ迎え安置したとされる。
その伝承にあやかって戦時に弾よけの護符を配り全国から参拝を集めた経緯もあり、その名残を示すように例祭には串本町須江にある同基地の歴代司令が遠路参拝するところとなっている。
現在は添野川にある善光寺(伊藤收工住職〈兼務〉)の境外地蔵として護持し、毎年1月24日の午前10時に法要を営んでいる。今年は雨上がりで寒さが幾分和らぐ中でほこらを開帳し、同地蔵尊をじかに拝みながら順次焼香。恒例の餅まきは参列少数により餅配りへと置き換えたが、ほぼ例年通りの形で例祭を収めた。
おととしと昨年は新型コロナウイルス感染拡大を抑えるため区外からの参拝の遠慮を呼びかけたため、受け入れは3年ぶりとなる。伴い歴代司令の慣習を受け継ぐこととなった鳥塚司令(51)は「隊員のみならず同基地一帯の皆さまの生活を守ってほしい、という思いで安全を願いに参った」とコメント。山崎区長(74)は「今年は司令や副町長をお迎えできて良かった。願うところの第一は区民の健康だが、ここはいくさ地蔵。私たちだけでなくウクライナ侵攻が終息しみんなが健康で過ごせれば」とこの地蔵尊に願うところを語った。
(2023年1月26日付紙面より)
熊野曼荼羅絵解きで学ぶ (城南中学校 )
城南中学校学校運営協議会(森本祐司会長)は24日、新宮市立城南中学校(吉田元紀校長)で、ふるさと学習として「熊野曼荼羅(まんだら)の絵解き」を行った。2年生52人が半数ずつ、組ごとで受講。生の絵解きに触れ、熊野の歴史と文化についての知見を深めた。
昨年も2年生を対象に行っており、2回目となる。新宮市観光協会ガイドの西浦康代さんが絵解き役として、熊野比丘尼(びくに)の装束をまとい、森本会長と共に参加した。なお森本会長は、同協会の専務理事でもある。
森本会長はあいさつで熊野比丘尼を「熊野三山を全国で紹介した女性ら。熊野詣でを全国に広めたと言えると思う」と紹介。「今日の絵解きは、人の一生の話。ぜひ最後まで楽しんで」と呼びかけた。
西浦さんは絵解きに先立ち、熊野の歴史と文化についてスライドで説明。平安時代に京都から多くの皇族や貴族が、熊野古道を通って熊野三山に訪れ、「蟻(あり)の熊野詣」と呼ばれたこと。熊野古道には「中辺路」「大辺路」などがあること。2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産登録されたことなどを語った。
戦国時代以降になると、だんだんと参詣者が少なくなったため、熊野比丘尼が絵解きを行い、熊野信仰を全国へ広めたことを解説。年に1度、所属寺院に寄付を納め、免許を更新して、再び全国へと旅立ったことも伝えた。
この後、「熊野観心十界曼荼羅」の絵解きを実施。絵柄を指し示しながら、人が生まれ、人生の坂を上りやがて下ること。生前の行いによっては畜生道、餓鬼道、地獄道などに転生すること。落ちる地獄も罪状によって種類があることなどを、時折歌を交えつつ語った。「生前の心がけ次第で素晴らしい世界に行けるが、もっと大事なことは熊野にお参りすること」とまとめた。
谷奥光輝(みつき)さん(14)は「(歴史や文化で)知らなかったこともたくさんあった。絵解きを聞くのも初めてで、自分がした悪いことの内容でどの地獄に行くかが決まっているところが興味深かった」と話した。
(2023年1月26日付紙面より)
宝光寺で斎講営む (那智勝浦町 )
那智勝浦町長井の宝光寺(西山十海住職)で24日、恒例行事の斎講(ときこう)が営まれた。参列した地域住民らは、大念珠とも呼ばれる大きな数珠を全員で繰りながら、家内安全や無病息災を祈った。
斎講は元々、仏に昼食をささげる儀式で、「皆で集まって食事を取る」という意味もある。昔の人々が稲刈りを終え、農作業を休む日として、ねぎらいの意味もあったとされている。
西山住職によると、正月や田植え、収穫など縁起の良い善月の1月、5月、9月に合わせて祈祷(きとう)を行う善月祈祷の一つでもあるという。
例年は餅まきも盛大に行われ、厄年の住民が餅をまき、多くの人々でにぎわっている。コロナ禍となってからは、3年間中止で法要のみとなっている。
この日は西山住職が読経し、住民らが大きな数珠を全員で持ち、百万遍数珠繰りを行った。その後、子安地蔵で厄払いの法要があり、前日に住民らが準備した餅を紙に包んだ「護符」が配られた。
斎講を終え、西山住職は「斎講は田垣内や大野地区などでも営んでいるが、百万遍の数珠繰りがあるのはこの寺のみ。斎講と数珠繰りは元々別のものだが、時代の流れの中で一緒になったのでは。今日は1年間の家内安全や無病息災を念じて祈祷いたしました」と話した。
尾﨑嘉彦区長は「コロナの終息や家族、皆さまの健康などを祈った。地域の高齢化で、伝統ある行事の継続も難しくなりつつある。しかし、皆さんと協力しながら今後も続けていきたい」と語った。
(2023年1月26日付紙面より)