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2023年01月28日
1 スマホ申告、便利です
 首長らが模擬体験し利用呼びかけ  (新宮税務署 )

 新宮市役所で26日、同市の田岡実千年市長、那智勝浦町の堀順一郎町長、太地町の三軒一高町長、古座川町の西前啓市町長、串本町の田嶋勝正町長、北山村の藪本幸一参与(山口賢二村長代理)による「スマホ申告デモンストレーション」があった。首長らはスマートフォンを利用した確定申告の模擬体験に挑戦、その利便性をPRした。

 新宮税務署、新宮納税協会、新宮納税貯蓄組合が主催。令和4年分の確定申告期に向け、より一層の国税電子申告・納税システム(e―Tax)の普及や、スマホを利用した確定申告書作成コーナーの便利さ、税務署に来署することなく、また申告期間中であれば24時間利用できるなど、多くの人にスマホ申告の良さを知ってもらう目的で開催に至った。

 地域に影響力のある管内1市4町1村の首長が同時に集まり、スマホを利用した確定申告書を利用してもらうことでさらに市民に身近に感じてもらう狙いもある。

 令和4年分からは▽青色申告決算書・収支内訳書がスマホで作成可能▽マイナンバーカードの読み取り回数が削減(過去にマイナンバーカードを使って確定申告しているなどの一定の条件を満たしている場合)―など、さらに利便性が向上。なお、スマホによる申告は3年で約12倍となっており、令和3年分では全国で154万人が自宅からスマホを使ってe―Taxで申告した。

 この日、市役所会議室に集合した首長らは、各地域のゆるキャラやマイナンバー制度のマスコットキャラクター・マイナちゃんが見守る中、手順に沿ってマイナンバーカードを利用したスマホ申告に挑戦。税務署職員や納税協会員、税理士らからアドバイスを受けながら入力を進めた。

 模擬体験を終え、田嶋町長は「われわれの年代では厳しいと感じたが、画面も大きくなるので入力ミスも少ないと感じた」、堀町長は「サクサクと動くし入力ミスや漏れを指摘してくれるのでありがたい」。

 三軒町長、西前町長、藪本参与は「高齢者も多く税務署に行くのは大変。スマホを利用すれば出向く必要がなくなるので便利」とその利便性に触れ、田岡市長は「税務署に行く必要がないので新型コロナウイルス感染予防にもつながる。申告に必要となるマイナンバーカードを持っていると便利なことも多いので取得していない人はぜひ」と呼びかけていた。

 河野武署長は「スマホを使うと24時間、土日でも、空いた時間に申告できる。質問に答えるだけで簡単に申告できるのでぜひ使ってほしい」と話している。

 令和4年分の確定申告期間は2月16日(木)から3月15日(水)まで。スマホ申告は国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」にアクセスを。

(2023年1月28日付紙面より)

管内1市4町1村の首長らがスマホ申告を模擬体験した=26日、新宮市役所
2023年01月28日
2 4部門で上位入賞
 お弁当・お惣菜大賞2023  (新宮市のハイマート )

 新宮市内でスーパーマーケット「ハイマート」(同市井の沢)、「Bハイマート」(同市下田)を展開する㈱ハイマート(神﨑竜司・代表取締役社長)の商品4品がこのたび、「お弁当・お惣菜(そうざい)大賞2023」の弁当部門と巻き寿司部門(定番商品部門)で優秀賞、惣菜部門と麺部門で入選した。

 (一社)全国スーパーマーケット協会が主催する同大賞。全国のスーパーマーケットや専門店、コンビニエンスストアなどで実際に販売している数多くの弁当や惣菜、サラダ、パンなどの中から、食の専門家で構成された審査員により、特に優れた商品を選出し表彰するもので、今回で12回目を数える。

 今回は、2021年10月1日から22年9月30日に販売された商品を対象に昨年7月から9月末にかけてエントリー期間を設け、作品を募集。▽弁当▽惣菜▽定番商品▽サラダ▽丼▽おにぎり―などの11部門に全国から1万4286件の応募があり、216件が入選以上に選出。同社は初エントリーにして、4部門で上位入賞を果たす快挙を遂げた。

 地産地消、食品ロス削減、地元PRなど、食品販売を通して地域社会に貢献できる商品作りを展開する同社。小数精鋭の料理人を中心に構成されている惣菜部門では、確かなおいしさと新規性を伴う商品開発を行っている。

 弁当部門で優秀賞に輝いた「熊野産あまごのオイル煮(コンフィ)きゅうりのサルサ弁当」(関根一正さん開発)は三重県熊野産の養殖アマゴを使用。低温で長時間かけて加熱し骨まで軟らかく調理をした。健康志向にもこだわり、米は古代米と十六穀米を使用している。

 巻き寿司部門で同じく優秀賞に選ばれたのは「めはりさんま寿司」(栗須秀行さん開発)。当地方の郷土料理「さんまずし」と「めはりずし」を一度に味わえるようにと考案。サンマが乾くのを防ぐため、白板昆布を挟んで風味をアップさせた。

 惣菜部門で入選した「紀州勝浦産まぐろのスペアリブ(醤油味)」(関根さん開発)は「通常廃棄されるマグロの腹骨とその周囲の身を、余すところなくおいしく提供を」との思いで未利用部位を活用し、ブランドマグロを比較的リーズナブルに提供。

 麺部門入選の「紀州勝浦産まぐろの塩糀と南高梅のパスタ」(堀祐輔さん開発)は紀州の食材をフル活用。こだわりの調理法でふっくら仕上げたマグロの端材に南高梅の酸味、ごまと大葉の香りをプラスしたご当地パスタに仕上げた。

 開発者の3人は、受賞の知らせを受け「社長も含めてみんなでびっくり」と笑顔。堀さんは「正直、今はまだ賞を頂いたという実感はないです」としながらも「地元の食材は絶対に使用しようと思って考案した。全国規模のコンテストなので、地元食材や地域のPR、ひいては地域活性化につながればうれしい」と喜びを語った。

 神﨑代表取締役社長は「熟練の職人さんばかりなので、この強みを生かして絶対に挑戦したいと思っていた。料理人の皆さんや広報、スタッフ。チームで分担して挑戦できたのが一番大きかったと思います」。

 「見栄えや形、食べやすさ、味付け。これからもお客さん目線で商品開発をしていければ」と話していた。

 今回入賞した商品は「ハイマート」「Bハイマート」の両店舗で取り扱い中。仕入れや仕込みの状況にもよるが、少なくても4品中2品は店舗に並ぶという。金額は「熊野産あまごのオイル煮きゅうりのサルサ弁当」702円、「めはりさんま寿司」637円、「紀州勝浦産まぐろのスペアリブ」430円、「紀州勝浦産まぐろの塩糀と南高梅のパスタ」400円で全て税込み。営業時間は午前9時~午後7時(両店舗共通)。

(2023年1月28日付紙面より)

商品を開発した(左から)堀祐輔さん、栗須秀行さん、関根一正さん
入賞した商品は「ハイマート」「Bハイマート」の両店舗で販売中
2023年01月28日
3 星空に興味を持つ一助に 串本古座高主体で観望会 (串本町)

 串本町潮岬にある県立潮岬青少年の家で25日に夜空と宇宙を楽しむ観望会があり、子どもから大人まで23人が参加して星空に興味を持つ一助にした。

 この観望会は、県青少年育成協会事業「リレー式次世代健全育成事業」の地域の育成力強化ワークショップとして串本町青少年育成町民会議と県立串本古座高校が主催。

 2024年度の普通科宇宙探究コース〈仮称〉開設に向けた準備を進める同校がその特色を生かした地域貢献として企画し、同会議と連携して小中学生やその家族と一般に事前申し込みを呼びかけたという。

 当日は同校の普通科改革コーディネーター・中田勝夫さんが講師を担当。序盤は予備知識の提供で、中田さんは星座早見盤の使い方やアプリケーションソフト「ステラナビゲーター」を用いて冬の主要な星座やこの日夜半に見ることができる惑星などを解説し、星座にまつわるお勧めの神話も1編紹介して興味を誘った。

 中盤以降は中田さんの補助として生徒有志の大西杏果さん、岡地凛さん、前春菜さん(以上3年)、松原遥希さん、清野健太郎さん、浅利海斗さん(以上2年)、計6人も参加者の活動を支援。同家集いの広場で望遠鏡や双眼鏡を使い月や木星、アンドロメダ銀河などを観望し、予備知識として紹介された惑星や星座を星空の中から探し出しじかに確かめるなどした。愛好家の櫨木(はぜのき)芳髙さんも有田市から駆け付け、愛用する反射式望遠鏡や同校が準備した望遠鏡や双眼鏡を適切に設定するなど良好な観望環境づくりに協力した。

(2023年1月28日付紙面より)

反射式望遠鏡で月などを観望する参加者=25日、県立潮岬青少年の家
実施に当たりあいさつする串本古座高校の中田勝夫さんと生徒有志
2023年01月28日
4 移動販売しつつ見守り
 岡村とうふと協定締結  (那智勝浦町 )

 移動販売「岡村とうふ」を営む三重県松阪市の有限会社岡村(西口鐵也代表取締役)と那智勝浦町は26日、「地域における見守り活動に関する協定」を締結した。販売で地域を巡りながら高齢者などの見守り活動を行い、異変があれば町や警察、消防などに知らせるというもので、和歌山県の市町村では初となる。

 岡村は三重県の全域、和歌山県、奈良県、愛知県、滋賀県の一部で、とうふやパン、買い取った地域特産品などの、車両による移動販売を行っている。見守り活動の協定は三重県ではすでに、全市町と締結しているという。那智勝浦町も岡村からの申し出を受け、締結に至った。

 西口代表取締役は「(移動販売で)決まった場所にお伺いしているので、いつも来る人が出てこないなど、違いが分かりやすい。買ってもらえなくても地域に伺うことを基本とし、地域に密着させてもらっている。何かあったら、行政のお手伝いができるかと。今後も協力させていただければ」と話した。

 堀順一郎町長は「本町の高齢化率は43%に達し、1人暮らしも多い。連絡がつかないからと行くと、亡くなっていることもある。異変を察知してもらえれば、安心安全なまちの実現につながるかと。犯罪抑止にも役立つと期待している。協定の締結に感謝を申し上げる」と述べた。

(2023年1月28日付紙面より)

協定書を持つ西口鐵也代表取締役(左)と堀順一郎町長=26日、那智勝浦町役場
2023年01月28日
5 最優秀「熊野の森で大合唱」 フォトコン入賞作品発表 (南紀熊野ジオパーク)
2023年01月28日
6 脱炭素で実証実験  新宮の企業が大阪で挑戦  (三和建設株式会社 )
2023年01月28日
7 SNS上の誹謗中傷対策は  スマイリーキクチさんが人権講話  (和歌山県 )
2023年01月28日
8 広角用地にベンチが登場  井筒建設が市に寄贈  (新宮市 )
2023年01月28日
9 人々の平穏無事や安寧願う  那智四十八滝寒行を厳修  (熊野修験 )
2023年01月28日
10 10人が受講し使用資格得る  動物追い払い用花火講習会  (古座川町 )
2023年01月28日
11 小中学生9人が競い合う  第18回年始少年剣道大会  (串本町 )
2023年01月28日
12 175人が灯室をじかに見学  潮岬灯台で特別一般公開  (串本町 )
2023年01月28日
13 3年間の集大成、力作ずらり  ピネ内で「卒業発表会」  (紀南高校 )
2023年01月28日
14 地域の防災に活用を  鮒田区にフォーク寄贈  (ハヤミ重機に感謝状 )
2023年01月28日
15 ネット被害に遭わないよう  6年生が保護者と学ぶ  (鵜殿小 )
2023年01月26日
16 熊野地方も白銀の世界
  

 今季一番の非常に強い寒気が流れ込んだ24日から25日にかけて、太平洋側にも雪雲が流れ込み、熊野地方に積雪をもたらした。太平洋側では25日、天気が回復して晴れる所も多くなる見込みだが、依然として冷え込みは続く予報。路面凍結や水道管凍結などに注意が必要だ。

 気象庁によると、25日朝の最低気温は▽古座川町西川で氷点下4・1度▽熊野市新鹿で氷点下3度▽新宮市で氷点下2・5度▽串本町潮岬で氷点下2・2度―など、各地で平年を大幅に下回った。熊野市、御浜町、紀宝町では一時大雪警報が発表された。

 JR西日本と東海は25日、大雪の影響で周参見―新宮間、新宮―多気間で一時運転を見合わせた(同日正午現在)。

 和歌山県では25日午前8時現在、県内道路11路線(17区間)で通行規制を実施。那智勝浦新宮道路の市屋ランプ交差点―高森交差点間を通行止めとしている。

  □     □

■雪遊びに大喜び



 太地町立太地小学校では、1時間目の授業を変更して雪遊びに。普段、触れる機会の少ない雪の感触を楽しんだ。大石湧琉君(4年)は「こんなに積もったのを見るのは初めて! 1時間目の算数が雪遊びになってうれしい」。畑地咲音君(同)は「雪合戦と雪だるま作りをする」と笑顔で話していた。

(2023年1月26日付紙面より)

新宮市の熊野川河川敷=25日午前8時30分ごろ
JR紀伊勝浦駅=同日午前7時ごろ(読者提供)
紀宝町大里=同日午前9時30分ごろ
七里御浜海岸=同日午前9時30分ごろ
珍しい雪の感触を楽しむ児童ら=同日午前8時ごろ、太地小学校
2023年01月26日
17 3年ぶり区外参拝迎え営む
 添野川でいくさ地蔵尊例祭  (古座川町 )

 古座川町添野川(そいのがわ)にあるいくさ地蔵尊で24日、例祭が営まれた。今年は区外参拝を受け入れ、航空自衛隊串本分屯基地の鳥塚直樹司令と仲本耕士副町長も代表参列。添野川区の山崎勝好区長を筆頭に12人が信心を注いだ。

 大坂の陣に出兵した出身者・彦八が往路で野にうずもれたこの地蔵尊に気付き、里に一人残す母の元へと戻れるよう祈願。無事帰路に就くことができ、この地蔵尊を添野川へ迎え安置したとされる。

 その伝承にあやかって戦時に弾よけの護符を配り全国から参拝を集めた経緯もあり、その名残を示すように例祭には串本町須江にある同基地の歴代司令が遠路参拝するところとなっている。

 現在は添野川にある善光寺(伊藤收工住職〈兼務〉)の境外地蔵として護持し、毎年1月24日の午前10時に法要を営んでいる。今年は雨上がりで寒さが幾分和らぐ中でほこらを開帳し、同地蔵尊をじかに拝みながら順次焼香。恒例の餅まきは参列少数により餅配りへと置き換えたが、ほぼ例年通りの形で例祭を収めた。

 おととしと昨年は新型コロナウイルス感染拡大を抑えるため区外からの参拝の遠慮を呼びかけたため、受け入れは3年ぶりとなる。伴い歴代司令の慣習を受け継ぐこととなった鳥塚司令(51)は「隊員のみならず同基地一帯の皆さまの生活を守ってほしい、という思いで安全を願いに参った」とコメント。山崎区長(74)は「今年は司令や副町長をお迎えできて良かった。願うところの第一は区民の健康だが、ここはいくさ地蔵。私たちだけでなくウクライナ侵攻が終息しみんなが健康で過ごせれば」とこの地蔵尊に願うところを語った。

(2023年1月26日付紙面より)

いくさ地蔵尊をじかに拝んで信心を注ぐ参列一同=24日、古座川町添野川
2023年01月26日
18 ふるさとの歴史と文化
 熊野曼荼羅絵解きで学ぶ  (城南中学校 )

 城南中学校学校運営協議会(森本祐司会長)は24日、新宮市立城南中学校(吉田元紀校長)で、ふるさと学習として「熊野曼荼羅(まんだら)の絵解き」を行った。2年生52人が半数ずつ、組ごとで受講。生の絵解きに触れ、熊野の歴史と文化についての知見を深めた。

 昨年も2年生を対象に行っており、2回目となる。新宮市観光協会ガイドの西浦康代さんが絵解き役として、熊野比丘尼(びくに)の装束をまとい、森本会長と共に参加した。なお森本会長は、同協会の専務理事でもある。

 森本会長はあいさつで熊野比丘尼を「熊野三山を全国で紹介した女性ら。熊野詣でを全国に広めたと言えると思う」と紹介。「今日の絵解きは、人の一生の話。ぜひ最後まで楽しんで」と呼びかけた。

 西浦さんは絵解きに先立ち、熊野の歴史と文化についてスライドで説明。平安時代に京都から多くの皇族や貴族が、熊野古道を通って熊野三山に訪れ、「蟻(あり)の熊野詣」と呼ばれたこと。熊野古道には「中辺路」「大辺路」などがあること。2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産登録されたことなどを語った。

 戦国時代以降になると、だんだんと参詣者が少なくなったため、熊野比丘尼が絵解きを行い、熊野信仰を全国へ広めたことを解説。年に1度、所属寺院に寄付を納め、免許を更新して、再び全国へと旅立ったことも伝えた。

 この後、「熊野観心十界曼荼羅」の絵解きを実施。絵柄を指し示しながら、人が生まれ、人生の坂を上りやがて下ること。生前の行いによっては畜生道、餓鬼道、地獄道などに転生すること。落ちる地獄も罪状によって種類があることなどを、時折歌を交えつつ語った。「生前の心がけ次第で素晴らしい世界に行けるが、もっと大事なことは熊野にお参りすること」とまとめた。

 谷奥光輝(みつき)さん(14)は「(歴史や文化で)知らなかったこともたくさんあった。絵解きを聞くのも初めてで、自分がした悪いことの内容でどの地獄に行くかが決まっているところが興味深かった」と話した。

(2023年1月26日付紙面より)

熊野曼荼羅の絵解きを行う西浦康代さん=24日、新宮市立城南中学校
ふるさとの歴史や文化に関する知見を深めた
2023年01月26日
19 家内安全や無病息災祈り
 宝光寺で斎講営む  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町長井の宝光寺(西山十海住職)で24日、恒例行事の斎講(ときこう)が営まれた。参列した地域住民らは、大念珠とも呼ばれる大きな数珠を全員で繰りながら、家内安全や無病息災を祈った。

 斎講は元々、仏に昼食をささげる儀式で、「皆で集まって食事を取る」という意味もある。昔の人々が稲刈りを終え、農作業を休む日として、ねぎらいの意味もあったとされている。

 西山住職によると、正月や田植え、収穫など縁起の良い善月の1月、5月、9月に合わせて祈祷(きとう)を行う善月祈祷の一つでもあるという。

 例年は餅まきも盛大に行われ、厄年の住民が餅をまき、多くの人々でにぎわっている。コロナ禍となってからは、3年間中止で法要のみとなっている。

 この日は西山住職が読経し、住民らが大きな数珠を全員で持ち、百万遍数珠繰りを行った。その後、子安地蔵で厄払いの法要があり、前日に住民らが準備した餅を紙に包んだ「護符」が配られた。

 斎講を終え、西山住職は「斎講は田垣内や大野地区などでも営んでいるが、百万遍の数珠繰りがあるのはこの寺のみ。斎講と数珠繰りは元々別のものだが、時代の流れの中で一緒になったのでは。今日は1年間の家内安全や無病息災を念じて祈祷いたしました」と話した。

 尾﨑嘉彦区長は「コロナの終息や家族、皆さまの健康などを祈った。地域の高齢化で、伝統ある行事の継続も難しくなりつつある。しかし、皆さんと協力しながら今後も続けていきたい」と語った。

(2023年1月26日付紙面より)

家内安全や無病息災を祈り百万遍数珠繰りを行う住民ら=24日、那智勝浦町の宝光寺
子安地蔵でも法要が営まれた
2023年01月26日
20 寒さにひるまず咲き進む  観光協会前のヒマワリ  (串本町 )
2023年01月26日
21 松本山雅FCがキャンプ  総合運動公園多目的Gで  (串本町 )
2023年01月26日
22 地域活性化について学ぶ  紀宝町の取り組みから  (近大新宮 )
2023年01月26日
23 上野展望台の修繕が完了  宇久井ビジターセンター  (那智勝浦町 )
2023年01月26日
24 4年に1度の選挙イヤー  統一地方選で新宮市議選や県議選など  
2023年01月26日
25 「まっぷる新宮」配布中   
2023年01月26日
26 お菓子作りに挑戦  下田児童館で子ども料理教室  (新宮市 )
2023年01月26日
27 候補者12人の訴え  紀宝町議選  
2023年01月26日
28 期日前投票始まる  鵜殿地域交流センターで  (紀宝町議選 )
2023年01月26日
29 一面の星空、見上げる  紀宝町で冬の天体観望会  
2023年01月26日
30 2年ぶり、滝つぼ凍る  那智の滝も雪化粧  
2023年01月26日
31 お悔やみ情報
  
2023年01月22日
32 人手不足で給食に問題 3中学校、月2回なしに (那智勝浦町)

 那智勝浦町立の宇久井、那智、下里の3中学校の給食に、問題が生じている。調理員の不足により1月に2回、給食を提供できず生徒に「弁当持参」を求める事態に。募集は以前からかけているが人手不足で集まらず、18日現在で解消のめどは立っていない。

 3校の給食は多くの保護者の要望を受け、2020年7月に始まった。3校それぞれで調理するのではなく、下里中で3校分を調理し、他の2校へと運ぶ「親子方式」が取られている。22年12月までは問題なく給食を提供できていたが、調理員の不足は以前から生じており、休日の関係で1月に、とうとう提供できない日が生じてしまった。

 同町教育委員会によると、調理員の不足は定年も含む退職に伴うものだが、突然退職するわけではないので当然、それを見越した新規募集はかけていた。しかし応募はなく、つい最近になって、ようやく1人採用になったが、それでも不足の解消までは至らず、今も募集はかけ続けているという。

 2月以降の給食の提供に関しては、3校ともに18日現在、検討中。同町教委は「一日も早く必要数の調理員を確保し、(登校日は)毎日提供できる体制を取っていきたい」と伝えている。

 また、調理員の募集に関しても「興味がある方は、ぜひ連絡を」と呼びかけている。問い合わせは、那智勝浦町教育委員会学校教育課(電話0735・52・4686)まで。

(2023年1月22日付紙面より)

調理員の不足で給食提供に問題が生じている=18日、那智勝浦町立宇久井中学校
2023年01月22日
33 次世代に自然を残すために
 産廃車両の抜き打ち検査  (新宮市 )

 和歌山、三重両県は20日、新宮市五新の新宮自動車整備工業協同組合で産業廃棄物運搬車両に対する抜き打ち検査を実施した。警察官が車両に停止を求め、県職員らが運転手たちに積載物の内容や排出先などを聴取し、軽油の抜き取り調査も行った。悪質な事案については雇用主に対し、指導・警告などを行う。

 廃棄物処理法違反の罰則は、5年以下の懲役、1000万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金が科せられる。この検査は、産業廃棄物の不法投棄など不適正処理の未然防止と環境汚染の原因である不正軽油撲滅が狙い。

 和歌山県による抜き打ち検査は2016年度から県内各地で開始され、両県での実施は今回で6回目。21年度はコロナ禍のため、中止となった。

 県によると、19年度は新宮市で実施し11台を検査。法定書類を所持していないなどの違反が3件あった。20年度は三重県御浜町で6台を検査し、指摘事項はなかったという。

 この日は、和歌山県環境生活部環境政策局循環型社会推進課廃棄物指導室や東牟婁振興局健康福祉部衛生環境課、和歌山県税事務所、三重県環境生活部廃棄物対策局廃棄物監視・指導課、新宮警察署から約20人が参加。

 産業廃棄物積載車両が3(がれき類1、木くず2)台、その他空車6台の計9台を調査し、軽油の抜き取りも実施。結果、携帯書類や車両表示の不備などについて、3件の指導を行ったとした。

 また、抜き取った軽油に混和の嫌疑があるものは販売先など、流通経路を調査し、原因が確認された際は、課税処分が行われる。

 県環境生活部循環型社会推進課廃棄物指導室の秋月邦洋室長は「両県には優雅な自然環境がある。次世代の子どもたちに残すためにも活動を進めている。今後も不正行為の抑止のために、三重県や関係機関と連携して取り組んでいきたい」と話していた。

(2023年1月22日付紙面より)

産業廃棄物運搬車両を聴取する県職員ら=20日、新宮市五新の新宮自動車整備工業協同組合
積載物の確認も実施した
2023年01月22日
34 獣害対策=餌付けをやめること
 豊かな里山づくり講座  (紀宝町 )

 獣害研究家の「雅(まさ)ねえ」こと、井上雅央さんを招いての「豊かな里山づくり講座」が19、20日の2日間、紀宝町であった。2日とも約30人が参加し、初日は紀宝はぐくみの森で講演、2日目は阪松原地区で現地実習があり、参加者は「餌付けをやめる」といった発想の転換による獣害対策を学んだ。

 みえ森と緑の県民税市町交付金事業を活用し、町立図書館が主催。獣害研究家の井上さんは、獣害対策で目覚ましい実績を挙げ、全国各地で講座を開いている。

 講演では「獣害対策は分かれば簡単」と切り出し「動物は安心して食べられる場所に住みたいだけ。安心できる場所こそが餌付け。獣害に遭う田畑は餌付けに成功したことと一緒。対策は餌付けをやめるだけ」と伝えた。

 柵は「気休め柵」と「効く柵」があるとし、見た目は同じだが効く柵は3重構造。柵の外側は見渡しを良くし、周辺は餌なしゾーンにする。動物から届く餌や隠れるスペースがない所に挟まれた柵のみが効果を発揮する。イノシシ目線でどう見えているかが重要と説明。「動物に食べられて腹が立っても立たなくても餌には変わりない。イノシシやシカが悪いのではなく、餌付けした自分が悪い。餌付けをやめるための環境づくりを」と発想の転換を求めた。

  □     □

■〝えらいこっちゃ〟の場所は?



 2日目は、阪松原地区の協力を得て現地実習。田や畑で柔らかい緑の草、電気柵の隙間、入り口の開いた柵などの餌場を見つけ、全員で「えらいこっちゃ」と声を張った。

 井上さんは「何が起きているか理解しないと失敗する。動物の立場に立って考えると分かってくる」と強調。▽毎日食べないと生きていけない▽体験を基に行動する▽その日の餌が見つかればいい▽安心できる場所に住みたいだけ―といった動物の習性を紹介し「田んぼや畑に現れるのは餌があって安心だから。動物に住もうと思わせた自分が悪い」とした。

 「稲刈り後の田はごちそうの宝庫。柵の入り口が開いていると入りたい放題になる。『冬は入られてもいい』が間違い」と指摘し「稲刈り後も電気柵を撤去せず、24時間通電を」とアドバイス。

 「10月に草刈りすると餌がなくなる2月にごちそうの草が生えてくる。9月10日ごろまでに刈ると冬枯れして餌ではなくなる」と解説。「田んぼや畑は皆さんの宝物。みんなで気付き、教え合おう」と呼びかけた。

(2023年1月22日付紙面より)

井上雅央さんと共に餌付けにつながる場所を見つける
2023年01月22日
35 困難乗り越え新たな出発 卒業証書授与式を挙行 (近大新宮高)

 新宮・東牟婁地域のトップを切って21日、新宮市の近畿大学附属新宮高校(池上博基校長)で第58回卒業証書授与式が挙行された。3年にわたるコロナ禍で最も影響を受けた学年ともいわれる本年度の卒業生122人が、困難を乗り越えそれぞれの道へ新たなスタートを切った。

 池上校長が各クラスの代表者に卒業証書を授与。式辞では思想家ルソーの言葉を引用し「卒業生の皆さんにとって、人としてより良く生きるための誕生の場、自分ならではの価値を創造した場が本校。自ら学習し、考え、困難を克服し、素晴らしい『第二の誕生』を迎えられたであろうことを確信している」と述べ「本校で学んだ誇りを胸に、これからの時代を力強く生き抜いて」と言葉を贈った。

 卒業生を代表して小屋敷卓真さんが、入学直後の休校や近大新宮祭をはじめとする多くの行事の中止など、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた高校生活を振り返り「高校生活には密な場面がつきものなのに、いろいろな制限によって我慢を感じることも多くあったが、この3年間を過ごした私たちはより強く成長することができた。これからは、社会をつくり上げる一員となれるよう頑張っていきたい」と述べ、これまでの生活を支えた家族や教職員ら全ての人に感謝を伝えた。

(2023年1月22日付紙面より)

卒業生を代表して小屋敷卓真さんが答辞=21日、新宮市の近畿大学附属新宮高校
2023年01月22日
36 小さな実が無数に  新宮市でフユイチゴ  
2023年01月22日
37 薬物のいらない社会とは  下里中で小林仁さんが講話  (那智勝浦町 )
2023年01月22日
38 正月の遊びを満喫  丹鶴幼が「たこ揚げ大会」  (新宮市 )
2023年01月22日
39 「山のごちそう」味わう  給食に和歌山県産シカ肉  (宇久井小 )
2023年01月22日
40 地域福祉への尽力に感謝  管内の3人に表彰状を伝達  (東牟婁振興局 )
2023年01月22日
41 救急出動は過去最多に  第7、8波の影響受け  (熊野市消防管内 )
2023年01月22日
42 動き合わせてダンス練習  1、2年生が発表会に向けて  (矢渕中 )
2023年01月22日
43 広報誌朗読しCDに  しおり会に厚労大臣表彰を伝達  (御浜町 )
2023年01月22日
44 お悔やみ情報
  
2023年01月17日
45 ゴトビキ岩に新しめ縄
 御燈祭りを前に青年団らが奉仕  (新宮市 )

 国の重要無形民俗文化財「御燈祭(おとうまつ)り」(2月6日)を前に新宮市の神倉神社で15日、神倉青年団ら約30人がご神体の巨岩「ゴトビキ岩」のしめ縄を張り替えた。

 「御燈祭り」は1400年以上前から続くとされており、例年、全国から多くの上(あ)がり子たちが参加し神倉山上で松明(たいまつ)に御神火を受け、山門の開閉とともに急峻(きゅうしゅん)な石段を一気に駆け下る勇壮な祭り。

 しかし、新型コロナウイルス感染症第8波の襲来を案じ、長時間の3密が避けられない状況にあり、クラスター(感染者集団)が発生する危険が高くなることを考慮し3年連続で最少人数の神職と介釈(かいしゃく)のみで営まれる。当日は正午から神倉山への入山を制限し、報道関係者や一般撮影者の入山も禁止。翌7日(火)の御燈祭り奉祝祭や餅まきも中止する。

 この日は祭りの運営を取り仕切り、介釈を務める青年団員や神倉神社奉賛会、市観光協会などが参加。曇り空の下、神倉農業実行組合(榎本晶組合長)が寄進した約200㌔(約500株)のわらで編み上げた長さ約30㍍、最大直径約20㌢の大しめ縄を青年団員たちが神倉山山頂付近まで運んで刺股や針金を使用してゴトビキ岩に巻き付けていった。

 奉賛会の猪飼三雄会長は「無事に作業を終えることができてよかった。通常の祭りとは形は違うが、やるべきことは変わらない。当日に向けて青年団と連携を図りながら準備を進めていきます」。

 青年団の中山忠吏団長は「今年も滞りなく無事に張り替えを終えられて安心しています。団員一同、気を引き締めて奉仕し上がり子たちの思いを胸に任務を遂行していければ」と話していた。

(2023年1月17日付紙面より)

協力してしめ縄を張り替える神倉青年団員たち=15日、新宮市の神倉神社
完成後にはゴトビキ岩へと運んだ
2023年01月17日
46 皇后盃駅伝で区間2位に
 潮岬中3年・久保凛さん  (串本町 )

 皇后盃第41回全国都道府県対抗女子駅伝競走大会が15日に京都市内であり、串本町立潮岬中学校3年・久保凛さん(14)が第3区を記録9分21秒で駆け抜け区間2位の成績を収めた。

 この大会は日本陸上競技連盟が選手育成を目的として年1回実施。都道府県ごとに結成する中学2年生~社会人チーム9人で42・195㌔をつなぐ内容で、和歌山チームは中学生限定区間とされる第3、8区(いずれも距離3㌔)の選手として久保さんを含む3人を選抜し本番に臨んだ。

 久保さんは第40回大会に続いての出場。昨年秋にあった選考会〈女子3000㍍種目〉で、挑戦した16人中1位となるタイム9分44秒31を記録し、本番直前で発表されたオーダーリストでは前回同様にエース区間の第3区を走る位置付けがされた。迎えた本番では暫定44位でたすきを受け取り、区間10位だった前回よりもさらに28秒縮める記録で8人を抜き暫定36位でたすきをつないだ。

 目標とした区間3位以上とチーム貢献は達成した。さらに憧れた区間1位はジュニアオリンピックカップ(JOC)第53回U―16陸上競技大会女子1000㍍で得意の先行を許し終始その背中を追う展開となった相手・岡山県のドルーリー朱瑛里さん(3年)が獲得。区間新となる記録9分02秒で駆け抜け、久保さんは改めて同世代の高みを目の当たりにする結果となった。

(2023年1月17日付紙面より)

久保凛さん
2023年01月17日
47 3年ぶりに獅子が舞う
 井関青彦神社の例大祭  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町井関の青彦神社の例大祭が15日に営まれた。関係者約40人が出席して式典を行ったほか、3年ぶりに獅子舞を奉納。同じく3年ぶりの子ども神輿(みこし)の巡行と地下舞(じげま)わしもあり、久々に地域に活気が湧いた。

 青彦神社の例大祭は例年、式典、獅子舞奉納、神輿の巡航、お弓行事などを行っている。しかし去年とおととしは、コロナ禍に伴い規模を縮小、式典のみとなっていた。今年は、お弓行事は中止となったが、式典での獅子舞奉納と地下舞わし、子ども神輿の巡航を実施した。

 式典は、午前中に実施。井関区の石井康夫区長、楠本五三生(いさお)氏子総代長、井関神楽会の桑木野徳太郎会長などが参列した。熊野那智大社から出仕した神職が祝詞を奏上、参列者が玉串をささげて祈った。獅子舞奉納は久々とあって歓声があがり、特に市野々小5年の村井芹(せり)さん(10)と楠本小眞知(こまち)さん(11)による子ども獅子舞は拍手喝采を浴びた。

 午後に、子ども神輿の巡航と地下舞わしが行われた。地元の子どもらが「わっしょい、わっしょい」のかけ声とともに地域を練り歩いた。地下舞わしでは神楽の音が響き、鑑賞した多くの住民が手をたたいて喜んだ。

 石井区長は「雨が心配だったが、無事挙行できてうれしい。特に今年は、子どもの獅子舞と神輿が頑張ってくれた。お弓も来年はやりたい。人口も減るなかで、神楽会の若い人らが頑張ってくれた」と感想。

 楠本氏子総代長は「今日は井関の発展と、地域の皆さんの家内安全を願った。人も減ってきて先行きを心配していたが、神楽会の若い人たちが頑張ってくれた。伝統を守ってくれる人が出てきて喜んでいる」と語った。

 桑木野会長は「天気が晴れてよかった。滞りなく終わった。地下舞わしも大盛況で、特に子ども獅子舞が大好評だった。子ども神輿も盛り上がった。来年からも頑張りたい」と話した。

(2023年1月17日付紙面より)

3年ぶりに獅子舞を奉納=15日、那智勝浦町井関の青彦神社
子ども神輿が地域を練り歩いた
2023年01月17日
48 命の道、希望の道 全通へ前進
 「紀宝熊野道路」中心杭打ち式  

 紀伊半島一周高速道路「近畿自動車道紀勢線」(全長335㌔)の一部となる「国道42号紀宝熊野道路」の中心杭打ち式が14日、御浜町中央公民館であった。鈴木英敬、中川康洋両衆院議員、山本佐知子参院議員、一見勝之知事、大畑覚御浜町長、河上敢二熊野市長、西田健紀宝町長、国土交通省中部地方整備局の稲田雅裕局長が杭打ちし、命の道、希望の道とも呼ばれる紀勢線の早期全線開通へ一歩前進した。

 紀勢線は全線事業化済みで、熊野市久生屋町―紀宝町神内を結ぶ紀宝熊野道路(延長15・6㌔)は、2019年度に新規事業化された。御浜町には御浜インターチェンジ(仮)が設置される予定だという。

 式典は御浜町、紀宝町、熊野市、国土交通省中部地方整備局紀勢国道事務所が主催。新宮市の田岡実千年市長、那智勝浦町の堀順一郎町長、北山村の山口賢二村長、藤根正典、谷川孝栄両県議、近隣市町の議員ら約50人が出席した。

 御浜町ジュニアバンドの演奏で開幕し、大畑町長が「紀伊半島一周高速道路最後の区間となる紀宝熊野道路の早期全線開通に向け、全力で行動したい」と式辞を述べた。

 前知事の鈴木氏は「紀勢線は東紀州の希望の光、希望の道、次世代の道。一日も早く整備する必要があり、全力で取り組んでいく」、一見知事は「紀勢線の全線開通で三重県が力強く躍進できる。早期実現したい」と決意を新たにした。

 中心杭は測量に当たり、道路計画線の中心に打つ「目印杭」。壇上で8人が早期完成を願って杭打ちした。最後は西田町長が「新たな一歩を踏み出すことができ、歴史的な一ページを皆さまと一緒に喜びたい」と謝辞した。

 紀宝熊野道路は事業化後、測量・調査、予備設計、道路計画の地元説明がすでに行われ、地元に用地関係事業の開始を広く周知する「中心杭打ち式」を経て、今後、幅杭打設、用地調査が本格化する。

 紀勢線全線開通により、災害時救助活動、救急医療活動への支援、地域連携強化、観光・地域産業への寄与などが期待される。

(2023年1月17日付紙面より)

紀宝熊野道路の早期完成を願って杭打ちを行う=14日、御浜町中央公民館
紀勢国道事務所ホームページより
2023年01月17日
49 盛り上がる、3年ぶりの音楽祭
 ロックの部、10団体が演奏に熱  (新宮市 )

 第15回新宮市民音楽祭「ロックの部」が15日、同市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で開催された。地元団体など10団体が出演し、歌と演奏で会場を盛り上げた。

 新宮市民音楽祭実行委員会、市、市教育委員会が主催。市民音楽祭は1976年3月に第1回が開催され、合併前の旧市から数えると2011年の紀伊半島大水害の年を除いて45回続いている。

 合併後15回目となった今回は、新型コロナウイルス感染症の影響で3年ぶりの開催に至った。今村義郎実行委員長は「『丹鶴ホール』建設に当たってはさまざまな問題があったが市当局の方々のご努力、市民の熱い思いが通って開館に至った。市民音楽祭はこれまで会場を渡り歩きながらなんとか今日まで継続してやってきたが、このホールでは1回目の開催。出演者の皆さんには日頃の練習の成果を十分に発揮していただきたい」とあいさつ。

 「この施設が文化の発信地として、新宮市だけではなく近隣市町村の活性化にもつながれば」と祈願した。

 ロックミュージックに合わせて舞台に登場した田岡実千年市長は「この新しいホールで音楽祭が開催されることは私にとっても喜ばしいこと。地域や世代、立場が違う人が一緒になって楽しめる音楽祭。皆さまの心が元気になることを願っています」と祝辞を述べた。

 音楽祭は「SIDE TRiP」の演奏で幕開け。10団体が持ち時間内で練習の成果を発揮し、来場者らは大きな拍手や手拍子などでステージを盛り上げた。

 同音楽祭「合唱・器楽の部」は22日(日)、同ホールで午後1時(正午開場)からを予定している。

(2023年1月17日付紙面より)

3年ぶりの開催に盛り上がる市民音楽祭「ロックの部」=15日、新宮市の「丹鶴ホール」
今村義郎実行委員長
2023年01月17日
50 親族知人で参拝迎える  峯の薬師如来堂で例祭  (古座川町 )
2023年01月17日
51 今年も規模縮小で段取り  水門神社祭礼「水門祭」  (串本町 )
2023年01月17日
52 新たな人権擁護委員に  北山村・藪本いづみさん  
2023年01月17日
53 インフルエンザ予防対策に努めて  和歌山県でも注意呼びかけ  
2023年01月17日
54 バイカオウレン  新宮市高田  
2023年01月17日
55 邪気払い、大漁など祈願  飛鳥神社でお弓神事  (太地町 )
2023年01月17日
56 感染者増を受け規模縮小  市野々王子神社例大祭  (那智勝浦町 )
2023年01月17日
57 火と煙から命を守る  火災想定して避難訓練  (井田小 )
2023年01月17日
58 今年最初の「紀の宝みなと市」  次回の2月は餅ほりを企画  (紀宝町 )
2023年01月17日
59 お悔やみ情報
  
2023年01月07日
60 変化し時代を乗り越える
 賀詞交歓会に40人出席  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町の南紀くろしお商工会は、一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT)、町水産振興会、南紀勝浦温泉旅館組合の協力の下に5日、町体育文化会館で「新春の集い!~賀詞交歓会~」を開いた。恒例の催しに関係者ら約40人が出席し、交流を深めた。

 賀詞交歓会は商工業、観光、水産が一体となり町の活性化に寄与することが目的。この日の司会は同商工会女性部の大林幸子部長が務めた。

 南紀くろしお商工会の森川起安会長は作家・司馬遼太郎の「疫病は社会を変える」という言葉を挙げ「まさしく現在がそのような状況。われわれに必要なことは衛生管理の行き届いた安心安全な町づくりだと思う。それを念頭に置き、周辺経済の活性化を図らなくてはならない」。

 町の主力産業観光については、本物が求められる時代になったとし「この町にもチャンスが来る。つかみ取るには行政や議会、諸団体、住民が志を一つにすることが肝要。われわれもウサギのごとく素早い動きとジャンプ力で変化し、この難しい時代を乗り越え、新時代を迎えましょう」とあいさつした。

 堀順一郎町長は、これまで町が実施してきた経済対策やさまざまな支援について報告。「町としてはそれらに加えて、子ども・子育てを支援する。さらに住民の安心安全を守るとともに、観光の目玉ともなる避難タワーを築地地区に建設したいと考えている。町が飛躍するためにも、ウサギの耳のようにアンテナを高くして声なき声に耳を傾け、町政を進めていきたい」と語った。

 式典では感染症対策のため、国歌や「一月一日」は斉唱せず、傾聴となった。恒例の鏡開きは行われた。荒尾典男町議会議長の乾杯の後、出席者は近況や新年の抱負などを歓談し、交流した。

(2023年1月7日付紙面より)

町の発展を祈り鏡開きが行われた=5日、那智勝浦町体育文化会館
「新春の集い!~賀詞交歓会~」での乾杯の様子
2023年01月07日
61 「鯨供養」が意味するものは
 歴探スクールで櫻井敬人さん  (新宮市 )

 熊野学研究委員会歴史部会・新宮市教育委員会が主催する令和4年度熊野学講座「第37回歴史探訪スクール」が5日、同市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」であった。太地町歴史資料室学芸員の櫻井敬人さんが「鯨供養」を題目に講話。約40人が聴講した。

 櫻井さんは「日本には人間以外の供養塔がたくさんある。鯨、ウナギ、フグ、牛、豚、鳥、マグロ、木。生き物だけではなくいろいろなものが供養の対象になる」。

 同町にある東明寺の「亡鯨聚霊塔」、熊野市二木島の「鯨供養塔」、那智勝浦町青岸渡寺の「魚霊供養碑」、瑞光寺(大阪市東淀川区)の「雪鯨橋」、岡山県瀬戸内市牛窓町の「大鯨供養塔」などを紹介し、龍昌院(佐賀県唐津市)の「鯨鯢(げいけい)供養塔」、海蔵院(高知県土佐清水市)の「為鯨供養」では地蔵が配置されていると説明。

 太地町・順心寺、東明寺の六地蔵との関連や「六道(地獄道、餓鬼道、畜生道、阿修羅〈あしゅら〉道、人道、天道)」・「輪廻(りんね)転生」の関係性に言及し「向岸寺(山口県長門市)の鯨墓には『業尽有情/雖放不生/故宿人天/同証仏果』と記されている。それは諏訪大社が狩猟・肉食の免罪符『鹿食免(かじきめん)』として発行してきた『諏訪の勘文』のもの。生き物を捕らえて食べる、そうすることで畜生道にさまよっていた動物はあの世にいくことができると解釈されてきた。狩猟を生業にする人にとってはありがたい言葉だったのでは」と解説した。

 東明寺の「亡鯨聚霊塔」には「懺摩一会(集まって罪を告白し赦〈ゆる〉しを乞う)妙典石経(妙法蓮華経を石に刻む)」とあるとし、新宮市三輪崎孔島(くしま)厳島(いつくしま)神社の法華塔、高野坂の金光稲荷神社にある石祠、串本町西向の「原町の小堂」にある法経塔などを紹介し「江戸時代の鯨捕りたちは法華経の力を頼りにしていたのかもしれない。亡鯨聚霊塔を建てた人々は、法華経と彼らの善行がもたらす仏の恵みが、人だけではなく今は亡き鯨にも振り向けられ、人と共に鯨も成仏することを願っていたのでは」と話していた。

(2023年1月7日付紙面より)

約40人が聴講した=5日、新宮市の「丹鶴ホール」
櫻井敬人さん
2023年01月07日
62 孫と祖父母のペアで挑戦 主催事業「グラウンドゴルフを楽しもう」 (潮岬青少年の家)

 串本町潮岬にある県立潮岬青少年の家(山口和紀所長)の主催事業「新春企画孫(子ども)とグラウンド・ゴルフ(GG)を楽しもう」が5日にあり、小学生以上の孫と祖父母のペア12組24人が試合に挑戦するなどした。

 日本GG協会認定3コースなどの競技環境を常設し、シニア層の練習や大会のみならず施設を利用する青少年層も活動の一環で挑戦するなど幅広い世代の競技愛好を得ている同家。これら利用を支える中で思いついたのがGGで家族の世代間交流を応援するこの主催事業で、敬老の日にちなんだ企画として昨年秋に初実施を目指したが台風接近に伴う荒天で実施できず、次は帰省で家族が集まりやすい正月に期日を設けて再度初実施を目指し実現へとこぎ着けた。

 当日は程よく雲が流れる晴天に恵まれ、前半は各組ごとに約1時間の練習をし昼食休憩。後半は3組ずつの4グループに分かれ、各組とも常に2人が交互に打つルールで2ラウンド計16ホールを回る試合に挑戦した。

 練習をしたことはあるが試合をするのは初めてという河田舞耶さん(12)は「坂になっているホールは難しかったけど、2打上がりもあって楽しかった」。同家を利用するGG愛好者の一人でもある祖父・一夫さん(83)は「孫と二人で挑戦できただけで十分楽しかった」と参加した印象をそれぞれコメント。

 試合終了後は成績上位ペアを発表して拍手でたたえ、山口所長は「グラウンド・ゴルフは高齢者だけではないというところを皆さんに分かっていただき、その輪をもっと広げて親子や家族でもプレーできる状態を今後つくっていきたい。次はゴールデンウイークにこの事業を仕掛けようと思っているので、また参加いただければ」と呼びかけて締めくくった。

(2023年1月7日付紙面より)

孫と祖父母のペアでGGの試合に挑戦=5日、串本町潮岬
初実施に参加したペアの皆さん
2023年01月07日
63 明確な目標持って過ごして
 オンラインで始業式  (新宮高校 )

 新宮市の県立新宮高校(東啓史校長、生徒561人)で6日、3学期の始業式が開かれた。2学期の終業式に続き、各教室をオンラインで中継する形で実施した。

 校歌静聴に続き、東校長があいさつ。携帯電話機市場でアップル社に敗北したノキア社最高経営責任者(CEO)の「何もミスはしていないのに、なぜか負けた」という言葉を引用し、「周りが成長しているときの現状維持は衰退と同じ。時代も含めて自分を取り巻く環境を把握し、明確な目標・意思とシンプルな方法の継続が重要。3学期は1年間のまとめとなる重要な時期。客観的な視点を持って自分の状況を分析し、明確な目標を持って過ごして」と呼びかけた。

 冬休み中に生徒が巻き込まれる事件・事故はなかったが、新型コロナウイルス感染症第8波の感染者数増加が続いていることから、気を抜かずに対策を継続するよう呼びかけがあった。午前中には早速課題テストなどが行われていた。

 県立新翔高校および新宮・東牟婁地方の公立小中学校は10日(火)に始業式が開かれる。

(2023年1月7日付紙面より)

オンラインで中継をつないで式を実施=6日、新宮市の県立新宮高校
2023年01月07日
64 熊野の良さを守っていきたい  熊野市二十歳を祝う会  
2023年01月07日
65 3年ぶりに一斉放水  御浜町消防出初め式  
2023年01月07日
66 元気良く野球を楽しんで  元巨人・鬼屋敷正人さんが激励  (紀宝町 )
2023年01月07日
67 前年を超える場所も 熊野三山の初詣客数 
2023年01月07日
68 「ありがとう」の思いで  勝浦ヤンキースが清掃活動  
2023年01月07日
69 心身鍛え技術向上を図る  OBも参加し伝統の寒稽古  (新宮剣友会 )
2023年01月07日
70 5周年記念曲「折鶴よありがとう」  15日に発売、那智勝浦町の加藤裕也さん  
2023年01月07日
71 宮大工が仕事始め  安全や向上願い手釿始式  (熊野那智大社 )
2023年01月07日
72 花の盛り迎え芳香漂わせる  樫野埼灯台一帯のスイセン  (串本町 )
2023年01月07日
73 制度概要踏まえ対応考える  インボイス制度のセミナー  (串本町商工会 )
2023年01月07日
74 212人が新たな門出  誇りと感謝胸に「二十歳の集い」  (新宮市 )
2023年01月07日
75 熊野・南郡で計21人
 県内で1883人感染  (三重県内の新型コロナ感染者状況 )
2023年01月06日
76 大人の自覚と責任胸に
 「二十歳の集い」に212人  (新宮市 )

 新宮市の「令和5年二十歳の集い」が4日、同市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」であった。振り袖やはかま、スーツ姿の新成人212人が出席。田岡実千年市長や来賓らに見守られながら大人への第一歩を踏み出した。

 昨年4月からの成年年齢の引き下げに伴い、市ではこれまでの「成人式」を「二十歳の集い」に変更。20歳を人生の重要な節目の年齢であるとの考えを基に、対象年齢や式典開催日を例年同様とし、実施するに至った。

 新型コロナウイルス感染対策が講じられた式典では、国歌・市歌静聴に続き速水盛康教育長が「これまでの20年間の生活を振り返り今日の日を一つの節目とし、社会人としての自覚と責任、そしてふるさと新宮に誇りを持ち、自分自身の人生をたくましく切り開いて」と開式の辞。

 田岡市長は「20年間、この素晴らしい新宮市に生まれ育ったことを誇りに思っていただき、つらい時も支えてくれた保護者や友達、地域の方々への感謝の気持ちも感じてほしい。これからが人生の本番。真面目に一生懸命取り組む心、他人のことを思いやる心を大事に頑張ってください」とあいさつした。

 来賓の榎本鉄也市議会議長は「失敗を恐れず、何事にもチャレンジしいろいろな体験をしてください」と祝辞。濱口太史県議が「皆さんには熊野の魂が宿っている。ふるさと発展のためにも力を注いで」とメッセージを寄せた。

 新成人を代表して、中上連さんが仲間や両親、恩師、地域住民らに感謝を述べ「新宮市で生まれて良かった、新宮市で育って良かったと誇りに思っている」。

 バスケットボールで高校インターハイを目指すためにふるさとを離れるまでに経験した社会体験活動や人権学習会などが大きな糧になったとし「社会人としてはまだまだ未熟。一人一人置かれている立場は違うが、それぞれが自身の目標に向けて歩み続けている最中。これからも人との関わりを大切にし、誰かの支えになるような社会人になれるよう、日々精進するとともに、これまでお世話になった方々に少しでも恩返しできれば」と誓いを新たにした。

 市教育委員の中村八十八さんのあいさつで閉式。市内中学校の校舎などがスクリーンに映し出され、お笑いコンビ「横山ポンスケ・ゆうすけ」の2人がコントを披露し、二十歳のはなむけとした。

(2023年1月6日付紙面より)

新成人を代表し、中上連さんが両親やふるさとへ感謝を伝えた=4日、新宮市の「丹鶴ホール」
212人が新たな一歩を踏み出した
2023年01月06日
77 住民の学習活動に貢献
 公民館が文科省より表彰  (太地町 )

 太地町公民館(江﨑隆司館長)はこのほど、文部科学省が実施する第75回「優良公民館表彰」において、優良公民館表彰館に選ばれた。事業内容などが他の模範と認められる公民館に対して表彰されるもので、和歌山県では太地町のみとなった。

 優良公民館表彰は、公民館やその他公民館と同等の社会教育活動を行う施設(社会教育センター、生涯学習センターなど)のうち、特に事業内容や方法などに工夫を凝らし、地域住民の学習活動に大きく貢献している施設を表彰するもの。

 今年は岡山県の岡山市立京山公民館が最優秀館に輝いた。最優秀館1館、優秀館4館含む合計72館が表彰館に選ばれた。太地町公民館は県からの推薦を受け、「過去・現在・未来 くじらと関わり続ける公民館」のキャッチフレーズとして応募。優良公民館表彰審査委員会が審査を行い、今回の表彰に至った。

 町公民館は1949年に発足され、翌年に公民館報創刊号(現在は「鯨波」)を発行。82年に新築開館し、2016年に館内エレベーターを設置した。

 町公民館は町の社会教育基本方針にのっとり、「豊かな生活を支援する」「公民館報の内容充実」「幅広い年齢層が参加できる各種事業の企画」を目標に活動。

 地域資源を活用したまちづくりとして、「太地の歴史に関する講座」や「博物館・美術館と連携した講座」を開催するとともに、在米太地人系クラブや関東太地会、関西太地会などの組織の事務局も担っている。

 さらには2カ月に1回発行する「鯨波」では、関東・関西太地会だよりのコーナーを設け、県外に住む町出身者の近況も紹介。町民と町出身者のつながりを深めることにも寄与している。

 町教育委員会によると今後は、町が進める「福祉の町づくり」や「子どもたちを学校と地域が一体となって育てる町」に重きを置き、同館を高齢者が集える場所にするとともに、誇れる子どもたちを育成するために、引き続き学校や地域と連携しながら取り組んでいくという。

 江﨑館長は「合併せずに一町で取り組んできた活動がずっと引き継がれている。ますます、町づくりの中での公民館の役割は大きくなる。3年間、コロナ禍の中でもできることはやってきた。来年はそれらに幅を持たせていきたい」。

 宇佐川彰男教育長は「これまでの歴代の担当者や館長にも感謝したい。事業充実のために、各分野に専門職員を配置するとともに、皆さまに喜んでいただけるように各職員が懸命に頑張ってくれている。今後も努力したい」と語った。

 表彰式は2月3日(金)に、東京都千代田区にある文部科学省第1講堂で開催され、同町も出席予定だという。

(2023年1月6日付紙面より)

優良公民館表彰館に選ばれた太地町公民館
2023年01月06日
78 大漁や海上安全を祈願
 「初競りマグロ」奉納  (和歌山県漁連 )

 和歌山県漁業協同組合連合会(木下吉雄代表理事会長)による「初競りマグロ」の奉納が4日、那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)であった。紀州勝浦漁業協同組合の片谷匡代表理事組合長や、同連合会の額田浩事務局長など6人が参加。勝浦地方卸売市場の初市に揚がったビンチョウマグロを神前に供え、大漁や海上安全を祈った。

 勝浦市場の初競りマグロの同大社への奉納は、同連合会により毎年行われている。今年は全長1・5㍍、重さ21㌔のビンチョウマグロが持ち込まれた。神事では、神職が祝詞を、巫女(みこ)が神楽を奉納。一同を代表して片谷組合長が玉串をささげた。

 男成宮司はあいさつで「水産業を取り巻く環境は厳しいと聞くが、今年一年、神様の加護の中で、少しでも良い方向に進むことを願う。私らの食卓に、おいしいマグロが並ぶことを期待している。皆さんのますますの発展と、海上安全を祈念する」と語った。

 片谷組合長は「大漁や海上安全を祈願した。マグロの価格が安定することを願うとともに、水揚げを受け入れる体制もしっかりとしてあげたい。衛生管理もしっかりとしたマグロを届けられるようにしていきたい」と話した。

 勝浦地方卸売市場の初市は、奉納と同日の4日に開かれた。今年は水揚げ量が約69㌧、水揚げ金額が税込み約6037万円だった。

(2023年1月6日付紙面より)

初競りマグロの奉納に訪れた皆さん=4日、那智勝浦町那智山の熊野那智大社
2023年01月06日
79 活気ある掛け声響く
 新宮公設市場で初市  

 新宮市佐野の新宮広域圏公設地方卸売市場で5日、同市場協力会(小田三郎会長)主催の「令和5年初市」があった。午前7時過ぎから初競りが始まり、威勢のいい掛け声が市場内に響く中、イチゴやトマト、ダイコン、白菜、かんきつ類などが次々と競り落とされた。

 同市場は生鮮食料品の円滑な流通と安定供給を図り、周辺広域住民の食生活の安定に貢献することを目的に、1985年5月に県内の公設市場第1号として設置された。

 初競り前の式典で小田会長は、4年目に入ったコロナ禍や10月から始まるインボイス制度などに言及。「昨年は少子高齢化や人口減少に加えて、長引く新型コロナウイルス感染症、ウクライナ情勢や円安などを背景としたエネルギー、食料品などの原材料の価格上昇の影響などもあり、一段と厳しい年となった。今年はうさぎ年。国内外のさまざまな困難な状況が少しでも明るい方向に向かうことで飛躍する1年となることを願っています」とあいさつした。

 市場管理者の田岡実千年市長は「市場を取り巻く状況は、特にここ2、3年はコロナ禍の影響によりかなり厳しい時期が続いたが、ここにきてようやく有効なワクチンや新薬も開発され明るい兆しも見えてきた。広域行政としても、青果・水産の両卸売会社にご協力いただきながら、新鮮な食材を安定的に提供できるよう、市場機能の充実・活性化に向け取り組んでいきたい」と誓いを新たにし、一層の市場利用に向け協力を呼びかけた。

(2023年1月6日付紙面より)

威勢のいい掛け声が響いた=5日、新宮広域圏公設地方卸売市場
小田三郎会長(右)があいさつした
2023年01月06日
80 野尻和利さんが優勝
 令和5年初射会  (新宮弓友会 )
2023年01月06日
81 各部門で熱戦繰り広げる
 新宮信用金庫理事長杯卓球大会  
2023年01月06日
82 実力アップを図る期間に
 レスリング「近畿ブロックNTS研修会」  
2023年01月06日
83 業界の発展を願って  新宮建築組合が釿始式  (熊野速玉大社 )
2023年01月06日
84 自覚持って心と形を一つに  飛鳥神社で「新成人のご祈祷」  (太地町 )
2023年01月06日
85 例年に増して人々集まる  初日の出で人気の串本町  
2023年01月06日
86 役割を意識して集団行動 潮岬でリーダーキャンプ (県青少年育成協会など)
2023年01月06日
87 弓頭2人必中目指し稽古  9日の「御的祭」に向け  (潮﨑本之宮神社 )
2023年01月06日
88 新園舎で保育始まる  ピカピカの室内で楽しく過ごす  (鵜殿保育所 )
2023年01月06日
89 「魅力ある町づくりを」  仕事始めで年頭訓示  (紀宝町 )
2023年01月06日
90 ぺったんぺったんと  子どもたちが餅つきを体験  (紀宝町 )
2023年01月06日
91 防災意識の誓い、新たに  出初め式で3年ぶり放水披露  (紀宝町 )
2023年01月06日
92 新成人の門出を祝福  華やかに「二十歳のつどい」  (那智勝浦町 )
2023年01月06日
93 お悔やみ情報
  
2023年01月01日
94 「見える」「魅せる」。広がる、「熊野学」
 東京大学との協定の先に  (新宮市 )

 全国には、約4800社もの熊野神社があります。―そう聞いてぴんとくる人は一体どれだけいるだろう。東京大学の大向一輝准教授は、デジタル技術を用いて全国4800社に及ぶ熊野神社のリストから住所を緯度・経度に変換。地球儀ソフトに落とし込んで「全国には、約4800社もの熊野神社があります」と可視化し日本列島にくまなく浸透する熊野信仰の広がりを目視することができると実践してみせた。

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■「熊野」とは何か



 現在、突出した資源もなく人口減少にあえぐ新宮市が、交流人口増加や地域活性化のためにPRを進める、地域に根差す歴史と文化。市は「熊野学」について「広範で深遠な熊野の歴史・文化を人文・社会・自然科学などの各分野から学際的・総合的に研究し、熊野が持つ独自性と普遍性を解明するとともに、その個性と魅力を検証していくこと」と定義しているが、歴史的・地理的分野の広さか、その奥深さ故か「熊野学」は広く一般に浸透しているとは言い難い。

 「熊野」とは何か。「熊野学」の門戸は広すぎて狭い。歴史、信仰、文学、自然、伝統行事。現在目にすることができるもの、過去の遺物、精神世界が混在する。これまでも有識者たちがそれぞれの分野で調査・研究を進め「熊野」へのアプローチを展開してきた。「解き明かす」ことは「見える」こと。不明瞭な資源の「見える化(可視化)」が、「文化」「歴史」のPRに向けたアプローチの一つであると考える。

 2021年3月。新宮市と東京大学大学院人文社会系研究科・文学部は、相互に連携協力することにより次世代人文学の構築、市・熊野地方における学術の振興と地域活性化に資することを目的に協定を締結した。

 秋山聰文学部長が熊野に興味を持つきっかけは13年9月。台風の中、熊野古道「大雲取越」を歩いた際に、「円座石(わろうだいし)」から見上げた丸い空に感動したという。以降、数回にわたり当地域で研修会やセミナーなどを実施。当地域との結び付きを深化させてきた。

 協定締結以降、東大ではフォーラムや現地(熊野)での体験プログラムなどを通して歴史文化、自然、文化行政などを研究。冒頭の大向准教授の研究発表はその一環で、それ以外にも学術的、文化的な振興に向けてさまざまな活動が展開されている。

 協定を機に、同市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」2階の「熊野エリア」に「東京大学文学部熊野プロジェクト新宮分室」が設置され、分室には同大学次世代人文学開発センター助教の太田泉フロランスさんが着任。年に数回分室に在中し、市および熊野地方と同大学との橋渡し役を担っている。

 協定締結から約1年半が経過した22年10月15日。同大学で文学部シンポジウム「文学部による地域連携の試み―人文学応用連携の促進を目指して」が開催され、田岡実千年市長や速水盛康教育長も参加する中、同大学の取り組みが紹介された。

 秋山部長は「熊野はいにしえより外来者を寛容に受け入れてきており、当大学が目標の一つに定める『ダイバーシティー(多様性)とインクルージョン(包括)』を早くから実現していた土地。人文学の全分野にとって研究上のさまざまなアイデアを思いつくことができる、そういう可能性を秘めた場所である」と当地方を紹介。

 「外国人研究者や留学生を活動に積極的に巻き込むことによって、歴史、文化、伝統などが、広く知れ渡り、世界の人々の興味・関心を一層高めることができれば」と期待を込めた。

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■歴史は過去ではなく今に生きている



 「新宮市、熊野の歴史的風土は過去のものではなく、今に生きている景観。そこに目を付けたのが東京大学」。そう話すのは速水教育長だ。「熊野を見抜いている」とも。住民である私たちにとって「熊野・新宮」は、身近すぎてその本質を見極めることがやや困難となっているのではないだろうか。

 速水教育長は推測する。「異文化と多様性と景観。このことに鋭い感性を持っている。東京大学からすると熊野そのものが非日常の場であり、多様性を考えるフィールドである。そういった景観の中で、何を見抜くことができるかの実体験を学生に提供しているのだろうと思います」と。

 ヨーロッパ中世美術、特に金細工工芸研究が専門の太田さん。学生の頃、研究のためにスペインのサンティアゴ・デ・コンポステラ巡礼を行った際に、その体験を比較するために16年に初めて熊野古道を歩いた。「まさか将来、熊野に住む素晴らしい機会を得られるとは想像もしていませんでした」と振り返る。

 「実際に熊野で生活してみると、頭で思い描いていた『熊野』を上回る本質的な価値にしみじみと気が付かされました。古来よりこの地に住まう人々が見抜いてきた『熊野』の価値、さまざまな場所に神仏を見いだし折に触れ、それに感応する豊かな心、幾重にも連なる山並みや香り高い植生、峨々(がが)たる巨石、明らかに色彩の異なる水源などの豊かな自然と、それに対峙(たいじ)し共生してきた人々の祈りや思いが、決して過去のものだけではなく、現在と地続きであることを強く感じます」。

 「熊野は特別」。その理由を理解するのにはまだまだ時間が必要、としながらも「皆さんとの対話の中で、少しずつ本質的な『答え』に迫っていきたい」と前を向く。

 シンポジウムでは、協定締結に関して「独り善がりな形で押し付けるのではなく、しっかりと両者で対話を重ねて手を取り合って進めていくことで、相互の考えや希望が一致するのか、共に形にしていくことが必要では」と話していた。

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■「熊野・新宮」のブランド化



 改めて「熊野・新宮」のブランド化を進めるための必要材料について考えてみる。学術的な研究も一般に浸透しなければ意味がない。漠然と「地域活性化」といったところで、明確なビジョンがないと研究結果は一部の知識層のものになりかねない。資源も「宝の持ち腐れ」だ。

 協定締結に当たって、協定書にはかつて起請文(きしょうもん)として使われた「熊野牛王(ごおう)符(宝印)」にあやかり、熊野三山の牛王符が印刷された用紙が用いられた。連携事業の協働を熊野権現に誓った。

 同大学では今後、欧米や国内諸地域との連携拡大を軸とした熊野フォーラムの開催や、新宮市の中高生との交流、東大生の新宮市へのホームステイ、社寺や史跡のマッピングなどを企画し、協定のさらなる深化を目指している。

 「熊野学」の「見える化」に向けて取り組みが進む中、「熊野・新宮」に住む私たちの役割とは―。「土地に魅せられる」一番の権利を有するのは私たちに他ならない。幸運にも、同大学との協定により「知」を享受する機会を得た。「知」は活用の資材になり得るのか。それをブラッシュアップするのは、熊野の地に抱かれた私たちの使命だ。

 かつて秋山部長が見た熊野の空。大向准教授が見せた熊野信仰の広がり。そして太田さんが見つめる熊野の未来。私たちが知っているようで知らない「熊野・新宮」が、まだまだ存在する。

 漠然としたフィールドから「見える」熊野・新宮へ。新宮市と東京大学の取り組みが、いつか世界中の人々を「魅せる」舞台へ導くことを願ってやまない。

(2023年1月1日付紙面より)

全国に広がる4800社の熊野神社
秋山聰文学部長(左)と太田泉フロランスさん
市文化複合施設「丹鶴ホール」2階熊野学研究室に設けられた「熊野プロジェクト新宮分室」
2023年01月01日
95 ロケット「カイロス」初号機の打ち上げ目前!
 見物関係情報を振り返る  

 ロケット「カイロス」初号機の打ち上げを今年2月末ごろに再設定。スペースワン株式会社が昨年10月、スペースポート紀伊周辺地域協議会への報告をもって公表した。依然努力目標の域だが、地元は実現を有望視し大きな期待を寄せている。打ち上げに向け、地元で共有されている見物関係情報(2022年12月1日時点)を振り返る。

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■スペースポート紀伊とロケット「カイロス」



 スペースポート紀伊は串本町田原~那智勝浦町浦神にある国内初の民間ロケット射場で、運営者はスペースワン株式会社。打ち上げるロケット「カイロス(KAIROS)」は全長約18㍍、重量約23㌧。3段式のロケットモーター(固体燃料)と軌道調整用液体エンジンを駆使して高度500㌔に達し、先端のフェアリング内に積載した人工衛星を軌道投入する。その時点での到達速度は秒速約8㌔。投入先が太陽同期軌道(通称・SSO)の場合は、重量150㌔の打ち上げ能力を発揮する。

 将来的に年間20回の打ち上げ頻度を想定し、契約から打ち上げまで世界最短時間の宇宙輸送サービス実現を目指している。ロケットの名前はギリシャ神話に登場する時間神にあやかっていて、同社は「ii-based dvanced&nstant ROcket ystem」の略称としている。

 以上が串本町の町民や両町の小中学生向けワークショップ(WS)で紹介されている、ロケット「カイロス」の基本情報。付帯して各地の射場やロケットと飛ぶ仕組み、人工衛星の役割や打ち上げに対して地域ができることなども解説し、これら一連の情報を基盤にして機運醸成が図られている。

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■浦神半島を望める場所が良好な見学の目安



 補足すると、ロケット「カイロス」が飛ぶ方角はおおむね東~南南東の間。序盤は直上へ上昇し徐々にこの方角の範囲へ傾く航跡を描く。打ち上げ時は射点から半径1㌔圏内への立ち入りができないため、その外周から見学する形となる。

 初号機については串本町田原の田原海水浴場と那智勝浦町浦神の旧浦神小学校に設けられる入場チケット(有料)制の公式見学場〈パーク&ライド方式〉が至近。チケットの入手方法は「ロケット『カイロス』初号機打ち上げ応援サイト」(アドレスhttps://wakayama-rocket.com)を通して事前登録者にメール送信される。打ち上げ情報も発表間もなくメール送信されるため事前登録だけしておくのも便利だ。

 串本町はおととしのイベント「宇宙ウイーク」の一環で射点付近から打ち上げ方向へ向けサーチライトを照射し、視認可能な範囲をおおむね把握。遠近差は伴うが、浦神半島を望める場所であれば良好に見学できることを確認している。初号機打ち上げ前後に国道42号那智勝浦町浦神―串本町津荷間〈予定〉で見物に伴う支障回避のため交通規制が敷かれる見込み。この区間を避けて見学場所を決めると、多少の混雑はあっても難は少なくで済む。那智勝浦町側から眺めると徐々に離れる航跡となるため、射点の近場で見届けることをお勧めしたい。

(2023年1月1日付紙面より)

橋杭岩付近から眺めるロケット「カイロス」打ち上げのイメージ図〈CG〉(串本町提供)
打ち上げ事業を展開するスペースワン株式会社の総合司令棟など
実物大ロケット「カイロス」懸垂幕
射点付近からのサーチライト照射の様子。浦神半島を良好に望めることが見物場所の目安となる
2023年01月01日
96 地域住民が気軽に集える場に
 複合センターリニューアル中  (古座川町 )

 地域住民が気軽に集える場に―という思いをもって古座川町が本年度、下部区内にある複合センターの改修を進めている。イメージするのは社会福祉協議会が事業展開する巡回型サロン「ふれ愛カフェ・よりみち」の常設化。今年4月の実現を目指して目下、リニューアル工事が進んでいる。

 同センターは、山村で暮らす町民の生活改善と心身向上を図り高齢者対策も含めて豊かで明るい社会を実現するための拠点施設として1979年に設置。名称に含まれる「複合」は今でいう多目的に相当し▽生活改善講習▽一般教養講習▽結婚式場▽災害時避難▽各種団体等の集会所―といった用途が管理規定で定められている。

 建物は鉄骨構造2階建てで、1階に管理室・調理室・談話室・実技訓練室など、2階に娯楽室2室と大会議室がある。後に耐震化され現在の建築基準法にも適合する堅固さを備えたが、南海トラフ巨大地震に伴う津波浸水に対しては脆弱とされ2020年、最寄りに津波避難総合センターが新たに設置された。

 その1階部分が集会所として平時利用できることで、複合センターがこれまで果たしてきた役割は自然移行。今後の活用策を模索する中で浮上したのが町民に好評を得ている同サロンの常設化で、同町は必要な環境を整えるべく本年度一般会計で改修予算を当初計上し議会の承認を得て動き出した。

 担当課の町健康福祉課によると、同サロンを運営する社協見守り員のノウハウも踏まえて設計をし昨年10月に着工。改修の対象は1階部分で▽既存の段差を極力解消するなどしてバリアフリー化▽構造上取り除ける壁を外して開放的な居場所を確保▽土足で利用できるよう床を外す―などの構造変更をする。今年2月末に工事が完了し所要の準備を経て4月1日付でリニューアルオープンする予定だが、同課は昨今の社会情勢の影響で工期延長の可能性があり、若干のずれ込みを含み置いてほしいという。

 改修後の環境を社協見守り員の拠点とすることで常設型を形にし、従来の巡回型も職員連携により継続するという。社協見守り員の中核・久保由美子さんは「立ち寄れば必ず誰かがいるのがふれ愛カフェ・よりみち。常設型は町の端にできるが近くにオークワ古座川店があるので、日頃の買い出しの延長で気楽に立ち寄ってもらえれば」と利用の筋道を思い描いて常設型の準備を進めている。

 地域包括支援センターもこの環境を新たな相談窓口として捉え、定期的に職員が赴いて町民のニーズに対応するという。高齢化率に呼応して高齢者層の利用が主体になっている同サロンだが、地域の全世代が集い交流するのが本来の趣旨。常設型もその趣旨を受け継ぐとし、他の世代も立ち寄るようになり必要が生じれば2階部分の改修も検討するという。

 最後に町民の多くが感じるであろう疑問点として、広範な町域全体からどのように町端の常設型を利用してもらうのか。目下悩みの種となっていて今後、課枠や自治体枠を超え地域全体で良策を導き出すことが必要となりそうだ。

(2023年1月1日付紙面より)

地域住民が気軽に集える交流の場として改修中の古座川町複合センター

社協の巡回型サロン「ふれ愛カフェ・よりみち」の様子。この状況の常設をイメージして改修を進めている
2023年01月01日
97 父から子へ、子から母校へ。
 校歌の原曲を北大へ寄贈  (那智勝浦町 )

 「ある時父が、この曲は北大の校歌じゃないかと聞いてきた。それは父が趣味で集めていたSP盤レコードでした」―。

 そう話すのは那智勝浦町浦神在住の脇地式三さん(78)だ。和歌山県立新宮高校を経て、1965年に北海道大学に進学した脇地さん。父が所有していたのは「Victor製No.35844」というレコードだった。在学中のさまざまな思い出はあっても、母校には校歌がなかったのではと振り返る。

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■北海道大学について

 北海道大学の起源は1876(明治9)年に設立された札幌農学校にまでさかのぼる。「Boys,be ambitious(少年よ、大志を抱け)」で有名なマサチューセッツ農科大学長であったウィリアム・スミス・クラーク博士が、新設された同校に教頭として招かれ、学校の基礎づくりに大きな役割を果たした。

 1907(明治40)年に、東北帝国大学が設置されたことで、同校は東北帝国大学農科大学となった。その後は、18(大正7)年に北海道帝国大学設置に伴い、北海道帝国大学農科大学となり、47(昭和22)年には北海道大学に、2004(平成16)年に国立大学法人北海道大学となった。北大では教育研究に関わる基本理念として「フロンティア精神」「国際性の涵養(かんよう)」「全人教育」および「実学の重視」を掲げている。

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■校歌がない

 「多くの趣味を持っていた父が、東京の大学に通っていた頃に購入したものだと思う」と前述のレコードについて脇地さんは語る。

 北大といえば、学生寮「恵迪寮(けいてきりょう)」の寮歌「都ぞ弥生」が最も有名ではないだろうか。

 北大に関する歴史的な公文書や各種資料を収集・整理・保存し、調査研究などを行う同大学文書館に確認したところ、正式な校歌はないとの回答が返ってきた。

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■父のレコード

 ある時ふと、父のつぶやいた言葉「この曲は北大の校歌じゃないか」が脳裏に浮かんだ。父が言う曲は前述のレコードB面の「War Song(Tramp Tramp Tramp)」だった。脇地さんはすぐさま、大阪府北区の北大関西同窓会館を訪ねた。

 校歌について会員に問い合わせたところ、「北大にはないが、前身である札幌農学校にあったはず」との返答が。「校歌 永遠(とこしえ)の幸」の楽譜をコピーし、脇地さんに手渡した。

 もしやと父の言葉がよぎる。「永遠の幸」と父のレコードは同じ曲なのではないか。真相を知りたい一心で脇地さんは自宅に戻り、レコードを持って、再び同窓会館へと向かった。

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■父から子へ、子から母校へ

 持参したレコードを同窓会で確認したところ、「永遠の幸」の原曲であることが判明。文書館によると1901年、札幌農学校創立25年記念を迎えた際に作られた写真帳に「永遠の幸」が校歌として紹介されているという。

 「永遠の幸」は当時、同校に在学していた本科4年級の有島武郎氏(後に小説家として活躍)が原曲「Tramp Tramp Tramp」に「イザ イザ イザ うちつれて進むは今ぞ 豊平(とよひら)の川尽せぬながれ 友たれ永(なが)く友たれ」などと歌詞を付けたものだ。原曲の音源自体は文書館も所有していなかった。

 脇地さんは「寄贈についてはしばらく考えた。しかし、所有者の父も亡くなった。兄も北大出身なので母校には世話になっている」。

 そんな思いから、父が大切に所蔵していたレコードは時を経て、母校(文書館)へと寄贈された。

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■文書館では

 昨年6月23日、文書館がレコードを受領。その翌月7日、脇地さんと同窓会宛てに「資料受領書」が届く。担当した特定専門職の山本美穂子さんから感謝の手紙も同封されていた。

 山本さんに連絡を取ったところ、北大の入学式などの際には、学校にまつわる「永遠の幸」か「都ぞ弥生」などが流されるという。山本さんは「関係者の中では『永遠の幸』の原曲が『Tramp Tramp Tramp』であるということは知られていた。しかし、貴重なものを寄贈いただきありがたい。どのような方がお持ちであったかということも重要だと思う。レコードはデジタル化して閲覧室で聞くことができます」と話していた。

 レコードは現在、北大の軌跡が詰まった文書館に保管され、同校が紡いできた歴史の一部となった。今後は文書館1階の展示ホールにて、デジタル音源を自由に聞くことができるような機会を設けたいとしている。

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■イザ イザ イザ

 原曲「Tramp Tramp Tramp」は、ジョージ・フレデリック・ルートが1864年にリリースしたもので軍歌・行進曲だ。アメリカの南北戦争時代、人気曲の一つに数えられている。

 脇地さんは「クラークさんの影響で、この曲が農学校の校歌になったのではないだろうか。北大の資料になってうれしい」と語る。

 「♪Tramp Tramp Tramp♪」。昨年11月末の午後、那智勝浦町内の喫茶店内に勇ましいアナログ音源が流れた。脇地さんが原曲のレコードをカセットテープに録音したものだった。

 巻き戻し、再生という作業を何度か繰り返し「僕の手元にはこの音源しかない。でもね、これでじゅうぶんです」と脇地さんは笑顔で語った。

 父から子へ、子から母校へと渡ったレコードは、さまざまな思いや歴史を音楽に乗せて、クラーク氏の教えを受け継ぐ学生(子)たちへと伝わり、語り継がれていくのではないだろうか。

 「イザ イザ イザ」―。活気ある校歌の歌詞を目で追いながら原曲に耳を傾けてみる。力強い行進曲は、店内だけでなく、記者の心にも大きく響いていた。

(2023年1月1日付紙面より)

脇地式三さんが寄贈した「永久の幸」の原曲レコード(【SPレコードVictor製、No35844,1927年】北海道大学文書館所蔵)
北海道大学文書館から届いた受領書や手紙
脇地式三さん
唯一残る音源を楽しんでいるという
2023年01月01日
98 移民の子・石垣栄太郎
 足跡の一部をたどる  (太地町 )

 「少年栄太郎は命をかけた人間と鯨の格闘を見て育った」―。捕鯨の町・太地で生まれ、渡米して画家になった石垣栄太郎(1893~1958年)。1920~40年代にわたりアメリカ画壇で活躍したが、画家になるために渡米したわけではなかった。「移民の子」として、歩んだ日々や多くの人々との出会いの中で道を切り開いていった栄太郎の足跡を追ってみたい。

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■渡米、そして転機



 冒頭の一文は栄太郎の妻で評論家の綾子氏の著書「海を渡った愛の画家 石垣栄太郎の生涯」に記されていたものだ。

 海外への出稼ぎが多かった当時の太地。「村の悪童」とも呼ばれた栄太郎が、小学校に入学すると同時に船大工であった父・政次が渡米。数年後、父に呼び寄せられた栄太郎は、新宮中学校を退学し渡米した。

 父と共にソーミルを経て、カリフォルニア州ベーカーズフィールドに行き落ち着く。働きながら、夜は英語を学んだ。

 聖書や社会主義関係の書物を読みあさるようになった栄太郎は父と離れ、サンフランシスコに移り住む。夜学に通い、スクールボーイや掃除人などの仕事に就く。

 ある時、転機が訪れる。英詩人・菅野衣川とその妻で後に恋仲となった彫刻家のガートルド・ボイルと出会う。ボイルの紹介でウイリアム・ベスト美術学校に通うことに。その後はカリフォルニア州立大学美術学校で本格的に美術を学んだ。

 父は「金が貯(た)まったら帰って金物屋をしよう」と語り、叔母は美術学校を望んだことに猛反対した。しかし、栄太郎はわが道を進んだ。心には故郷や家族を思いながら。

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■移民の子



 「移民県」の一つ・和歌山県では、多くの人々が海を渡った歴史がある。その一人である栄太郎は自らを「移民の子」だと述べている。

 太地町歴史資料室学芸員でニューベッドフォード捕鯨博物館顧問学芸員の櫻井敬人さんは「移民であると同時に子どものため、半人前扱いされる。移民は多くの権利から遠ざけられる上に、子どもの彼はさらに苦労が伴ったのでは」と話す。

 在米生活の中で、日本の社会主義者の先駆者である片山潜とも出会っている。栄太郎自身も社会主義研究会に参加し、片山との交流も続いた。

 櫻井さんは「栄太郎は社会不正義に虐げられた人に目が向いた。社会の不正義を正すためには自身に何ができるかを考え続けた人だと思う」。

 さまざまな政治運動に身を置き、重要人物とも触れ合っていたことを挙げ「彼は絵を描くことで世の中に貢献しようとした。そのスタイルを最後まで貫いた」と語った。

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■ボーナスマーチ



 1929年から始まった世界恐慌で、民衆は苦しい生活を余儀なくされていた。そんな中、第1次世界大戦に従軍した兵士に約束された恩給が支払われないことからデモが発生。この時、差別の垣根は取り払われ、黒人と白人が同じ目的に向かい手を取り合ったとされる。

 和歌山県立近代美術館教育普及課長の奥村一郎さんによると、栄太郎は彼らを取材し「ボーナスマーチ」を描いたという。32年の作品で、黒人が傷ついた白人をたくましい腕で抱きかかえ、前方を見据えている力強い絵だ。現在、県立近代美術館に所蔵されている。

 その作品は2020年、米ニューヨークにあるホイットニー美術館であった壁画運動を取り入れた大規模な特別展で展示された。日本人画家では栄太郎のみだった。

 奥村さんは「石垣は差別や怒り、社会問題を描いてきた。戦後、国外追放され帰国した。日本では知られておらず、アメリカで描いた絵も生前は発表されなかった。綾子さんの努力もあって、各地に作品が所蔵された。そうして彼の評価は高まっていった」と話す。

 特別展の際に作品解説をしたカリフォルニア大学マーセド校の美術史教授・シープー・ワン(王士圃)さんは栄太郎について「真面目なアーティストで、自分の信念を持って描いている。絵の技術力も高く、自分のスタイルを持った作家」。

 特別展については「彼の存在は知られていなかったが、作品を熱心に見ている人も多かった。彼を知り、喜んでいる人もいた。太地から出ていくことが冒険。コミュニティーを移り続けたことも開拓的なことだったのでは」と評した。

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■石垣記念館設立



 1958年1月―。「あ、綾子、そばにいてくれるのか、うれしいねえ」。この言葉を最後に移民の子はこの世を去ったという。村の悪童と呼ばれた男は故郷の両親の墓の隣で眠りについた。

 91年6月、「鯨の町の小さな美術館」として、栄太郎と綾子氏の活動を顕彰する財団法人石垣記念館が開館した。

 理事長は綾子氏が務め、館内には栄太郎の遺作や遺品、綾子氏の著作などが永久保存・保管されている。開館後はさまざまな展示が催され、多くの人々でにぎわう。

 96年、綾子氏がこの世を去り、2002年に財団法人石垣記念館の残余財産と土地・建物、設立理念を継承して町立として運営がスタートした。

 21年には開館30周年を迎え、記念企画展や記念講演が開かれた。そして今年、栄太郎が生誕130周年、綾子氏が生誕120周年を迎える。

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■たどった足跡は一部



 21年6月に実施された生涯学習講座「移民の子~石垣政次と栄太郎の渡米後の足跡~」で講師の櫻井さんは「現代の人々が移民は自分と関係することとして捉えるような時代になってきた。栄太郎が移民の子であったことを掘り下げることで見えてくるものがある。さまざまな評価が存在するはず」と締めくくった。

 記念館の業務や移民に関する事業に取り組む町教育委員会の宇佐川彰男教育長は「画家になった栄太郎は珍しい移民の形。移民が多い町にとって、石垣夫妻の存在はありがたい」と語った。

 この記事で栄太郎について紹介できたのは、彼の人生のほんの一部に過ぎない。深く掘り下げるには、夫妻の思いや時間、記憶が詰まった石垣記念館に一度、足を運んでいただけたら幸いだ。

 移民の子・栄太郎は現在、故郷の大地に眠っている。その足跡や作品は現在も顕彰され、次世代へと託されるであろう。彼を育んだ太地の青い海の波紋のように、人々に伝播(でんぱ)し続けるはずだ。

(2023年1月1日付紙面より)

石垣栄太郎(右)と父政次(石垣記念館提供)
ボーナスマーチ(和歌山県立近代美術館所蔵)
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