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カレンダー検索:108件の記事がありました
【検索ステータス】 
2023年01月29日
1 11人の新議員決まる
 紀宝町議選  

1月29日21時30分確定【定数11】

当落得票数候補者名年齢党派現元新
1,261榎本 健治46
621川原田規泰67
535萩野 進也68
384原  章三75
360獺越 幸雄67
359奥峪 康之65
339向井 健雅68
313大倉 孝司64
278鈴木  学74
272平野美津子75
260市川  潔75
157野田 純志74


当日有権者数 8,888人

投票者数 5,205人

無効投票数 66票

投票率 58.56%


2023年01月29日
2 災害が起こりやすい地形とは
 AR砂場で土砂災害学習  (市野々小 )

 那智勝浦町立市野々小学校で27日、拡張現実(AR)の技術を応用した新しい学習コンテンツ「AR砂場」を使った土砂災害学習があった。和歌山県土砂災害啓発センター主任の筒井和男さんらが講師を務め、5、6年生12人が砂場で山や谷を作ることを通じて、災害が起こりやすい地形の見つけ方を学んだ。

 AR砂場は、砂場の山や谷を地形に見立て、その形状をリアルタイムで計測しながら等高線や標高別の配色といった視覚情報をプロジェクターで合成するもの。土砂災害学習に不可欠な地形についての理解を深める視覚補助の役割が期待される。同センターと和歌山工業高等専門学校の学生らが共同開発した。

 筒井さんは児童に向け「土砂災害の恐れがある場所は、谷の出口や川の近くの扇状地、崖や急な斜面の近くだけれど、離れた場所の地形はどうやったら分かるだろう?」と問いかけ、地形図の等高線について解説。児童はAR砂場で実際に平らな地面や山を作り、急な斜面や谷筋といった地形の見極め方を学んだ。妙法山や烏帽子山(えぼしやま)、光ヶ峰といった険しい山に囲まれた那智川流域の地形も作り、その特徴を考察した。

 那智川の支流・鳴子谷川の模型に航空写真や土石流のシミュレーション動画を投影する試みもあり、児童から「本物の山みたい」と声が上がった。筒井さんは「地形を読み取ることで、ハザードマップに表れていない危険箇所を発見することもできるかも。6年生は中学生になると少し違う地域へ通学することになるけれど、進学先周辺の地形にも関心を持ってほしい」と呼びかけた。

 小賀実樹君(6年)は「等高線について今日初めて聞いたけれど、砂場はリアルタイムで色が変わってすごく分かりやすかった。災害から身を守るためには、やっぱり早めに避難が大切だと思う」と話していた。

 AR砂場は、第1回高専防災減災コンテストのアイデア検証進出提案に選出されており、今年3月に東京都で最終審査の発表が行われる。筒井さんは「将来的には土砂災害啓発センターの常設展示として、中高生を含む多くの来館者の学習に役立てたい」と期待を寄せていた。

(2023年1月29日付紙面より)

砂場で那智川流域の地形を作る=27日、那智勝浦町立市野々小学校
2023年01月29日
3 地元の歴史や文化学ぶ 神倉小で御燈祭りの授業 (新宮市)

 新宮市立神倉小学校(藪中秀樹校長)で25日、ふるさと学習があった。6年生90人が、熊野速玉大社の濵中孝成禰宜(ねぎ)から毎年2月6日に摂社神倉神社で斎行されている「御燈祭(おとうまつ)り」の歴史などについて学んだ。

 同校運営協議会(下岡輝子会長)による「ヤタガラス子ども未来プロジェクト」の一環で実施。子どもたちに自分たちが暮らしている町の歴史や文化を学んでもらおうと、協議会メンバーを中心に有志ボランティアの協力を得て授業を設けている。

 濵中禰宜は、熊野権現が祭られている熊野神社は全国に約5000社あり、その総本宮が「熊野速玉大社」「熊野本宮大社」「熊野那智大社」の熊野三山であると説明。「熊野大神が三山に祭られる前、最初に降臨した聖地が神倉山といわれており、銅鐸などのさまざまな出土品から、弥生時代から神倉山で祭りが営まれていたとされています」と述べた。

 後半には清めやかがり御供(ごく)作り、阿須賀神社で神職・山伏・介釈(かいしゃく)たちが行う奉幣(ほうへい)神事など、一連の行程を紹介し「春を迎える季節に神様の火を頂くことが祭りの本意。コロナ禍で上(あ)がり子の皆さんは上がれませんが、地元には素晴らしい祭りがあることを誇りに思ってもらい、今後に伝えてもらえればうれしいです」と語った。

 大石蓮稀(はずき)君は「一度も上がったことはありませんが、一日の流れや白い物を食べる意味が分かりました。授業を聞いて通常の祭りができるようになったら、参加してみたい」と話していた。

(2023年1月29日付紙面より)

御燈祭りの歴史などについて学ぶ児童=25日、新宮市立神倉小学校
濵中孝成禰宜
2023年01月29日
4 「夏の甲子園目指す」
 木本、21世枠選出ならず  (センバツ高校野球 )

 3月に甲子園球場で開かれる「第95回記念選抜高校野球大会」の出場校が27日に決まり、21世紀枠の東海地区候補校だった県立木本高校は惜しくも選ばれなかった。報告を受けた選手たちは、ユニホームに着替え、夏の甲子園を目指して練習に打ち込んだ。

 校長から結果を聞いた、榎本和真主将(2年)は「正直悔しいけど、こうして注目していただいたことはいい経験になった」と振り返り「目標にしてきた県1番になって地域の方々とOBの皆さん、保護者の皆さんに恩返ししたい。甲子園は地域の方々の期待も大きく、OBの皆さんの夢でもある。僕たちの代で成し遂げたい。夏に1番を取って甲子園に行きたい」と前を向いた。

 西垣戸洋一監督は「結果は残念だが、選手たちはすでに夏に向けて意識を持った表情だった。普段から自分たちを律しながら戦っている子どもたちなので心配はない。夏に向けて攻撃力を高めていこうと生徒たちと話をしている」と話していた。

 木本高校は、部員13人で県内強豪校と互角に戦い秋季大会県ベスト4に進出したことや、140㌔近いストレートを誇る投手が2人いること、地元に愛されていることなどが高く評価され、東海推薦校に選出されていた。

 21世紀枠は全国9校から氷見高校(富山県)、城東高校(徳島県)、石橋高校(栃木県)の3校が選ばれた。

(2023年1月29日付紙面より)

校長の話を聞く部員たち=27日、熊野市の県立木本高校
2023年01月29日
5 一足早い節分で終息や平和願う
 補陀洛山寺で立春大護摩供星祭  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町浜ノ宮の補陀洛山寺(髙木智英住職)で27日、立春大護摩供星祭(りっしゅんおおごまくほしまつり)があった。おととし、昨年に引き続き、今年も新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から僧侶や職員のみが参加。コロナ終息を願い、髙木住職らが「鬼は外、福は内」と掛け声を発し、一足早い豆まきが行われた。

 この日は、同寺の国重要文化財の本尊「三貌(さんぼう)十一面千手千眼観世音菩薩(ぼさつ)」を開帳。熊野修験の山伏のほら貝が響く中、髙木住職らが入堂し、法要を営んだ。

 続いて本堂内の護摩壇で護摩木をたき上げ、家内安全、商売繁盛、身体健全などを祈願。その後、僧侶2人と山伏1人が本堂内で豆をまき、さらに回廊から境内に向けてまいた。

 例年は多くの参拝者が集まる中、かみしも姿の厄年の人たちが、境内に設置されたやぐらから豆まきや餅まきを行い、にぎわっている。

 髙木住職は「コロナ禍となって4年目。すぐには終息は難しいため、まずは共生していかなくてはならない。そして、戦争は今もなお続いている。仏教に携わる僧侶として、できることは微力だが、以前のような生活に戻ることと、世界平和を祈念し、お参りを続けていきたい」。

 今後については「もうすぐ、コロナも5類に引き下げとなる。5月の例大祭には多くの方々にお参りいただければ幸いです」と語った。

 なお、毎年和歌山県内外から、多くの人々が訪れる那智山青岸渡寺(髙木亮英住職)の「節分会」はコロナの感染拡大防止のため、今年も中止を発表している。

(2023年1月29日付紙面より)

商売繁盛やコロナ終息、世界平和などを願い護摩木をたき上げた=27日、那智勝浦町の補陀洛山寺
僧侶のみで一足早い豆まきを行った
2023年01月29日
6 災害孤立に備え訓練  無線連絡の手順確認  (那智勝浦町 )
2023年01月29日
7 73人が前期入試に臨む  初のサポートプラン入試も  (近大新宮高 )
2023年01月29日
8 平和の大切さなど学ぶ  新翔高でユネスコ講話  
2023年01月29日
9 かわいい鬼さんに変身!  よちよちくらぶに11組  (新宮市 )
2023年01月29日
10 給食にマグロカツバーガー  料理選手権入賞レシピを再現  (太地中 )
2023年01月29日
11 木本総合2.05倍、紀南2.67倍  三重県立高校前期選抜の志願状況  
2023年01月29日
12 生徒らが元気に踊る  ダンス発表会を開催  (矢渕中学校 )
2023年01月29日
13 生芋からこんにゃく作り  サロンで女性ら手際よく  (紀宝町 )
2023年01月29日
14 29日に投票、即日開票  現職、元職、新人12人が舌戦  (紀宝町議選 )
2023年01月29日
15 世古進之佑君が栄冠に  中央児童館で「こままわし大会」  (新宮市 )
2023年01月29日
16 お悔やみ情報
  
2023年01月26日
17 熊野地方も白銀の世界
  

 今季一番の非常に強い寒気が流れ込んだ24日から25日にかけて、太平洋側にも雪雲が流れ込み、熊野地方に積雪をもたらした。太平洋側では25日、天気が回復して晴れる所も多くなる見込みだが、依然として冷え込みは続く予報。路面凍結や水道管凍結などに注意が必要だ。

 気象庁によると、25日朝の最低気温は▽古座川町西川で氷点下4・1度▽熊野市新鹿で氷点下3度▽新宮市で氷点下2・5度▽串本町潮岬で氷点下2・2度―など、各地で平年を大幅に下回った。熊野市、御浜町、紀宝町では一時大雪警報が発表された。

 JR西日本と東海は25日、大雪の影響で周参見―新宮間、新宮―多気間で一時運転を見合わせた(同日正午現在)。

 和歌山県では25日午前8時現在、県内道路11路線(17区間)で通行規制を実施。那智勝浦新宮道路の市屋ランプ交差点―高森交差点間を通行止めとしている。

  □     □

■雪遊びに大喜び



 太地町立太地小学校では、1時間目の授業を変更して雪遊びに。普段、触れる機会の少ない雪の感触を楽しんだ。大石湧琉君(4年)は「こんなに積もったのを見るのは初めて! 1時間目の算数が雪遊びになってうれしい」。畑地咲音君(同)は「雪合戦と雪だるま作りをする」と笑顔で話していた。

(2023年1月26日付紙面より)

新宮市の熊野川河川敷=25日午前8時30分ごろ
JR紀伊勝浦駅=同日午前7時ごろ(読者提供)
紀宝町大里=同日午前9時30分ごろ
七里御浜海岸=同日午前9時30分ごろ
珍しい雪の感触を楽しむ児童ら=同日午前8時ごろ、太地小学校
2023年01月26日
18 3年ぶり区外参拝迎え営む
 添野川でいくさ地蔵尊例祭  (古座川町 )

 古座川町添野川(そいのがわ)にあるいくさ地蔵尊で24日、例祭が営まれた。今年は区外参拝を受け入れ、航空自衛隊串本分屯基地の鳥塚直樹司令と仲本耕士副町長も代表参列。添野川区の山崎勝好区長を筆頭に12人が信心を注いだ。

 大坂の陣に出兵した出身者・彦八が往路で野にうずもれたこの地蔵尊に気付き、里に一人残す母の元へと戻れるよう祈願。無事帰路に就くことができ、この地蔵尊を添野川へ迎え安置したとされる。

 その伝承にあやかって戦時に弾よけの護符を配り全国から参拝を集めた経緯もあり、その名残を示すように例祭には串本町須江にある同基地の歴代司令が遠路参拝するところとなっている。

 現在は添野川にある善光寺(伊藤收工住職〈兼務〉)の境外地蔵として護持し、毎年1月24日の午前10時に法要を営んでいる。今年は雨上がりで寒さが幾分和らぐ中でほこらを開帳し、同地蔵尊をじかに拝みながら順次焼香。恒例の餅まきは参列少数により餅配りへと置き換えたが、ほぼ例年通りの形で例祭を収めた。

 おととしと昨年は新型コロナウイルス感染拡大を抑えるため区外からの参拝の遠慮を呼びかけたため、受け入れは3年ぶりとなる。伴い歴代司令の慣習を受け継ぐこととなった鳥塚司令(51)は「隊員のみならず同基地一帯の皆さまの生活を守ってほしい、という思いで安全を願いに参った」とコメント。山崎区長(74)は「今年は司令や副町長をお迎えできて良かった。願うところの第一は区民の健康だが、ここはいくさ地蔵。私たちだけでなくウクライナ侵攻が終息しみんなが健康で過ごせれば」とこの地蔵尊に願うところを語った。

(2023年1月26日付紙面より)

いくさ地蔵尊をじかに拝んで信心を注ぐ参列一同=24日、古座川町添野川
2023年01月26日
19 ふるさとの歴史と文化
 熊野曼荼羅絵解きで学ぶ  (城南中学校 )

 城南中学校学校運営協議会(森本祐司会長)は24日、新宮市立城南中学校(吉田元紀校長)で、ふるさと学習として「熊野曼荼羅(まんだら)の絵解き」を行った。2年生52人が半数ずつ、組ごとで受講。生の絵解きに触れ、熊野の歴史と文化についての知見を深めた。

 昨年も2年生を対象に行っており、2回目となる。新宮市観光協会ガイドの西浦康代さんが絵解き役として、熊野比丘尼(びくに)の装束をまとい、森本会長と共に参加した。なお森本会長は、同協会の専務理事でもある。

 森本会長はあいさつで熊野比丘尼を「熊野三山を全国で紹介した女性ら。熊野詣でを全国に広めたと言えると思う」と紹介。「今日の絵解きは、人の一生の話。ぜひ最後まで楽しんで」と呼びかけた。

 西浦さんは絵解きに先立ち、熊野の歴史と文化についてスライドで説明。平安時代に京都から多くの皇族や貴族が、熊野古道を通って熊野三山に訪れ、「蟻(あり)の熊野詣」と呼ばれたこと。熊野古道には「中辺路」「大辺路」などがあること。2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産登録されたことなどを語った。

 戦国時代以降になると、だんだんと参詣者が少なくなったため、熊野比丘尼が絵解きを行い、熊野信仰を全国へ広めたことを解説。年に1度、所属寺院に寄付を納め、免許を更新して、再び全国へと旅立ったことも伝えた。

 この後、「熊野観心十界曼荼羅」の絵解きを実施。絵柄を指し示しながら、人が生まれ、人生の坂を上りやがて下ること。生前の行いによっては畜生道、餓鬼道、地獄道などに転生すること。落ちる地獄も罪状によって種類があることなどを、時折歌を交えつつ語った。「生前の心がけ次第で素晴らしい世界に行けるが、もっと大事なことは熊野にお参りすること」とまとめた。

 谷奥光輝(みつき)さん(14)は「(歴史や文化で)知らなかったこともたくさんあった。絵解きを聞くのも初めてで、自分がした悪いことの内容でどの地獄に行くかが決まっているところが興味深かった」と話した。

(2023年1月26日付紙面より)

熊野曼荼羅の絵解きを行う西浦康代さん=24日、新宮市立城南中学校
ふるさとの歴史や文化に関する知見を深めた
2023年01月26日
20 家内安全や無病息災祈り
 宝光寺で斎講営む  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町長井の宝光寺(西山十海住職)で24日、恒例行事の斎講(ときこう)が営まれた。参列した地域住民らは、大念珠とも呼ばれる大きな数珠を全員で繰りながら、家内安全や無病息災を祈った。

 斎講は元々、仏に昼食をささげる儀式で、「皆で集まって食事を取る」という意味もある。昔の人々が稲刈りを終え、農作業を休む日として、ねぎらいの意味もあったとされている。

 西山住職によると、正月や田植え、収穫など縁起の良い善月の1月、5月、9月に合わせて祈祷(きとう)を行う善月祈祷の一つでもあるという。

 例年は餅まきも盛大に行われ、厄年の住民が餅をまき、多くの人々でにぎわっている。コロナ禍となってからは、3年間中止で法要のみとなっている。

 この日は西山住職が読経し、住民らが大きな数珠を全員で持ち、百万遍数珠繰りを行った。その後、子安地蔵で厄払いの法要があり、前日に住民らが準備した餅を紙に包んだ「護符」が配られた。

 斎講を終え、西山住職は「斎講は田垣内や大野地区などでも営んでいるが、百万遍の数珠繰りがあるのはこの寺のみ。斎講と数珠繰りは元々別のものだが、時代の流れの中で一緒になったのでは。今日は1年間の家内安全や無病息災を念じて祈祷いたしました」と話した。

 尾﨑嘉彦区長は「コロナの終息や家族、皆さまの健康などを祈った。地域の高齢化で、伝統ある行事の継続も難しくなりつつある。しかし、皆さんと協力しながら今後も続けていきたい」と語った。

(2023年1月26日付紙面より)

家内安全や無病息災を祈り百万遍数珠繰りを行う住民ら=24日、那智勝浦町の宝光寺
子安地蔵でも法要が営まれた
2023年01月26日
21 寒さにひるまず咲き進む  観光協会前のヒマワリ  (串本町 )
2023年01月26日
22 松本山雅FCがキャンプ  総合運動公園多目的Gで  (串本町 )
2023年01月26日
23 地域活性化について学ぶ  紀宝町の取り組みから  (近大新宮 )
2023年01月26日
24 上野展望台の修繕が完了  宇久井ビジターセンター  (那智勝浦町 )
2023年01月26日
25 4年に1度の選挙イヤー  統一地方選で新宮市議選や県議選など  
2023年01月26日
26 「まっぷる新宮」配布中   
2023年01月26日
27 お菓子作りに挑戦  下田児童館で子ども料理教室  (新宮市 )
2023年01月26日
28 候補者12人の訴え  紀宝町議選  
2023年01月26日
29 期日前投票始まる  鵜殿地域交流センターで  (紀宝町議選 )
2023年01月26日
30 一面の星空、見上げる  紀宝町で冬の天体観望会  
2023年01月26日
31 2年ぶり、滝つぼ凍る  那智の滝も雪化粧  
2023年01月26日
32 お悔やみ情報
  
2023年01月22日
33 人手不足で給食に問題 3中学校、月2回なしに (那智勝浦町)

 那智勝浦町立の宇久井、那智、下里の3中学校の給食に、問題が生じている。調理員の不足により1月に2回、給食を提供できず生徒に「弁当持参」を求める事態に。募集は以前からかけているが人手不足で集まらず、18日現在で解消のめどは立っていない。

 3校の給食は多くの保護者の要望を受け、2020年7月に始まった。3校それぞれで調理するのではなく、下里中で3校分を調理し、他の2校へと運ぶ「親子方式」が取られている。22年12月までは問題なく給食を提供できていたが、調理員の不足は以前から生じており、休日の関係で1月に、とうとう提供できない日が生じてしまった。

 同町教育委員会によると、調理員の不足は定年も含む退職に伴うものだが、突然退職するわけではないので当然、それを見越した新規募集はかけていた。しかし応募はなく、つい最近になって、ようやく1人採用になったが、それでも不足の解消までは至らず、今も募集はかけ続けているという。

 2月以降の給食の提供に関しては、3校ともに18日現在、検討中。同町教委は「一日も早く必要数の調理員を確保し、(登校日は)毎日提供できる体制を取っていきたい」と伝えている。

 また、調理員の募集に関しても「興味がある方は、ぜひ連絡を」と呼びかけている。問い合わせは、那智勝浦町教育委員会学校教育課(電話0735・52・4686)まで。

(2023年1月22日付紙面より)

調理員の不足で給食提供に問題が生じている=18日、那智勝浦町立宇久井中学校
2023年01月22日
34 次世代に自然を残すために
 産廃車両の抜き打ち検査  (新宮市 )

 和歌山、三重両県は20日、新宮市五新の新宮自動車整備工業協同組合で産業廃棄物運搬車両に対する抜き打ち検査を実施した。警察官が車両に停止を求め、県職員らが運転手たちに積載物の内容や排出先などを聴取し、軽油の抜き取り調査も行った。悪質な事案については雇用主に対し、指導・警告などを行う。

 廃棄物処理法違反の罰則は、5年以下の懲役、1000万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金が科せられる。この検査は、産業廃棄物の不法投棄など不適正処理の未然防止と環境汚染の原因である不正軽油撲滅が狙い。

 和歌山県による抜き打ち検査は2016年度から県内各地で開始され、両県での実施は今回で6回目。21年度はコロナ禍のため、中止となった。

 県によると、19年度は新宮市で実施し11台を検査。法定書類を所持していないなどの違反が3件あった。20年度は三重県御浜町で6台を検査し、指摘事項はなかったという。

 この日は、和歌山県環境生活部環境政策局循環型社会推進課廃棄物指導室や東牟婁振興局健康福祉部衛生環境課、和歌山県税事務所、三重県環境生活部廃棄物対策局廃棄物監視・指導課、新宮警察署から約20人が参加。

 産業廃棄物積載車両が3(がれき類1、木くず2)台、その他空車6台の計9台を調査し、軽油の抜き取りも実施。結果、携帯書類や車両表示の不備などについて、3件の指導を行ったとした。

 また、抜き取った軽油に混和の嫌疑があるものは販売先など、流通経路を調査し、原因が確認された際は、課税処分が行われる。

 県環境生活部循環型社会推進課廃棄物指導室の秋月邦洋室長は「両県には優雅な自然環境がある。次世代の子どもたちに残すためにも活動を進めている。今後も不正行為の抑止のために、三重県や関係機関と連携して取り組んでいきたい」と話していた。

(2023年1月22日付紙面より)

産業廃棄物運搬車両を聴取する県職員ら=20日、新宮市五新の新宮自動車整備工業協同組合
積載物の確認も実施した
2023年01月22日
35 獣害対策=餌付けをやめること
 豊かな里山づくり講座  (紀宝町 )

 獣害研究家の「雅(まさ)ねえ」こと、井上雅央さんを招いての「豊かな里山づくり講座」が19、20日の2日間、紀宝町であった。2日とも約30人が参加し、初日は紀宝はぐくみの森で講演、2日目は阪松原地区で現地実習があり、参加者は「餌付けをやめる」といった発想の転換による獣害対策を学んだ。

 みえ森と緑の県民税市町交付金事業を活用し、町立図書館が主催。獣害研究家の井上さんは、獣害対策で目覚ましい実績を挙げ、全国各地で講座を開いている。

 講演では「獣害対策は分かれば簡単」と切り出し「動物は安心して食べられる場所に住みたいだけ。安心できる場所こそが餌付け。獣害に遭う田畑は餌付けに成功したことと一緒。対策は餌付けをやめるだけ」と伝えた。

 柵は「気休め柵」と「効く柵」があるとし、見た目は同じだが効く柵は3重構造。柵の外側は見渡しを良くし、周辺は餌なしゾーンにする。動物から届く餌や隠れるスペースがない所に挟まれた柵のみが効果を発揮する。イノシシ目線でどう見えているかが重要と説明。「動物に食べられて腹が立っても立たなくても餌には変わりない。イノシシやシカが悪いのではなく、餌付けした自分が悪い。餌付けをやめるための環境づくりを」と発想の転換を求めた。

  □     □

■〝えらいこっちゃ〟の場所は?



 2日目は、阪松原地区の協力を得て現地実習。田や畑で柔らかい緑の草、電気柵の隙間、入り口の開いた柵などの餌場を見つけ、全員で「えらいこっちゃ」と声を張った。

 井上さんは「何が起きているか理解しないと失敗する。動物の立場に立って考えると分かってくる」と強調。▽毎日食べないと生きていけない▽体験を基に行動する▽その日の餌が見つかればいい▽安心できる場所に住みたいだけ―といった動物の習性を紹介し「田んぼや畑に現れるのは餌があって安心だから。動物に住もうと思わせた自分が悪い」とした。

 「稲刈り後の田はごちそうの宝庫。柵の入り口が開いていると入りたい放題になる。『冬は入られてもいい』が間違い」と指摘し「稲刈り後も電気柵を撤去せず、24時間通電を」とアドバイス。

 「10月に草刈りすると餌がなくなる2月にごちそうの草が生えてくる。9月10日ごろまでに刈ると冬枯れして餌ではなくなる」と解説。「田んぼや畑は皆さんの宝物。みんなで気付き、教え合おう」と呼びかけた。

(2023年1月22日付紙面より)

井上雅央さんと共に餌付けにつながる場所を見つける
2023年01月22日
36 困難乗り越え新たな出発 卒業証書授与式を挙行 (近大新宮高)

 新宮・東牟婁地域のトップを切って21日、新宮市の近畿大学附属新宮高校(池上博基校長)で第58回卒業証書授与式が挙行された。3年にわたるコロナ禍で最も影響を受けた学年ともいわれる本年度の卒業生122人が、困難を乗り越えそれぞれの道へ新たなスタートを切った。

 池上校長が各クラスの代表者に卒業証書を授与。式辞では思想家ルソーの言葉を引用し「卒業生の皆さんにとって、人としてより良く生きるための誕生の場、自分ならではの価値を創造した場が本校。自ら学習し、考え、困難を克服し、素晴らしい『第二の誕生』を迎えられたであろうことを確信している」と述べ「本校で学んだ誇りを胸に、これからの時代を力強く生き抜いて」と言葉を贈った。

 卒業生を代表して小屋敷卓真さんが、入学直後の休校や近大新宮祭をはじめとする多くの行事の中止など、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた高校生活を振り返り「高校生活には密な場面がつきものなのに、いろいろな制限によって我慢を感じることも多くあったが、この3年間を過ごした私たちはより強く成長することができた。これからは、社会をつくり上げる一員となれるよう頑張っていきたい」と述べ、これまでの生活を支えた家族や教職員ら全ての人に感謝を伝えた。

(2023年1月22日付紙面より)

卒業生を代表して小屋敷卓真さんが答辞=21日、新宮市の近畿大学附属新宮高校
2023年01月22日
37 小さな実が無数に  新宮市でフユイチゴ  
2023年01月22日
38 薬物のいらない社会とは  下里中で小林仁さんが講話  (那智勝浦町 )
2023年01月22日
39 正月の遊びを満喫  丹鶴幼が「たこ揚げ大会」  (新宮市 )
2023年01月22日
40 「山のごちそう」味わう  給食に和歌山県産シカ肉  (宇久井小 )
2023年01月22日
41 地域福祉への尽力に感謝  管内の3人に表彰状を伝達  (東牟婁振興局 )
2023年01月22日
42 救急出動は過去最多に  第7、8波の影響受け  (熊野市消防管内 )
2023年01月22日
43 動き合わせてダンス練習  1、2年生が発表会に向けて  (矢渕中 )
2023年01月22日
44 広報誌朗読しCDに  しおり会に厚労大臣表彰を伝達  (御浜町 )
2023年01月22日
45 お悔やみ情報
  
2023年01月20日
46 終息願い鬼面札作り
 熊野那智大社で節分準備  (那智勝浦町 )

 2月3日(金)の節分を前に那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)では8日から「鬼面札」や福升の準備が行われている。ピークを迎えた18日は神職や巫女(みこ)が真剣な表情で鬼面札作りの作業を進めていた。

 災難よけのお札「鬼面札」と縁起の良い「福桝(ふくます)」を作っている。鬼面札はしめ縄の輪の中に赤鬼・青鬼を封じ込めた図柄で1969年に3代前となる篠原四郎元宮司が作成した木版画で翌70年から授与。独特の絵柄が人気で昨年末から予約が入るという。

 神職が縦35㌢、横45㌢の画仙紙に那智の滝の水で溶いた墨を版木に付け1枚ずつ刷り出し、巫女が「那智宮印」を押して、2000枚を仕上げる。今年からは元号の印も押されるようになった。モミの木製の福升は5合升で1升の半分であることから「繁盛(半升)升」ともいわれている。

 𠮷田遥紀権禰宜(ごんねぎ)は「今年もコロナ禍が続き、予断を許さない状況だが、社会はウィズコロナに向けて動き出している。厄災の象徴である鬼を封じ込める魔よけの札で、家内安全や病気平癒の御利益をお届けできれば。皆さまにとって、健康で穏やかな一年になることをお祈りしております」と話した。

 鬼面札はすでに社頭で授与されており、郵便授与の受け付けも行う。鬼面札は1枚800円、福升は1500円、福豆が300円。郵送授与希望時は別に送料が必要で、申し込みはFAX(0735・55・0643)かメール(nachi@kumanonachitaisha.or.jp)で受け付けている。問い合わせは同大社(電話0735・55・0321)まで。同社によると、来月3日の節分行事は新型コロナウイルス対策を万全に施し、斎行する予定だという。

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■那智山青岸渡寺では



 西国三十三所第一番札所である那智山青岸渡寺(髙木亮英住職)では例年多くの参拝者が訪れる「節分会」を新型コロナの感染拡大防止の観点から中止を決定した。

 同寺によると、今年は節分で使用する祝升(いわいます)を作成せず、3日の豆まき行事も行わないという。当日午前10時から午後3時まで、本尊の如意輪観世音菩薩の開帳のみ行う。

 髙木住職は「3年連続の中止でご迷惑をおかけしますが、参拝者さま、関係者さまの健康と安全面を第一に考慮しての判断。ご理解、ご了承いただきたくお願い申し上げます。来年こそは例年通り豆まきをしたい。切なる希望を持って、コロナの平癒と終息を願っています」と話した。

(2023年1月20日付紙面より)

鬼面札作りが進められている=18日、那智勝浦町の熊野那智大社
鬼面札
2023年01月20日
47 災害時などにドローン活用
 アドホックと協定結ぶ  (太地町 )

 太地町役場で16日、太地町と新宮市三輪崎の株式会社アドホック(喜多徳幸代表取締役社長)が「災害等発生時における無人航空機の運用に関する協定」を結ぶ調印式があった。災害発生時などに、町から要請を受けた同社がドローンと操縦士を派遣し、情報収集や被害状況の把握などを行うもの。町が民間企業とドローンを使用した災害などに関する協定を結ぶのは初。

 この日は新型コロナウイルス感染防止の観点から、事前に押印した協定書の交換が行われた。

 同社は広告やデザイン作成に加え、ドローン映像コンテンツの作成や建設業での赤外線非破壊検査などのドローン事業を幅広く展開。ドローン技術向上のために、日頃から夜間訓練にも取り組んでいるという。

 昨年4月に新宮市と、6月に那智勝浦町、7月には新宮警察署と同様の協定を締結。災害協定以外では、三重県熊野市から依頼を受け、昨年に実施された花火大会のドローン撮影も行っている。

 同社によると、災害時は4機が実働可能としており、その中でも高性能産業用ドローン「Matrice300RTK」は、操縦士から最大8㌔離れた場所まで航行でき、夜間や雨天に加え、風速22㍍までなら使用可能で3㌔ほどの物資なら運搬もできるという。

 また、建物のクラックなどの検査ができるカメラで、人の体温の感知も容易にできるため、行方不明者などの捜索活動や火災の規模などの確認にも有効であると説明した。

 喜多代表取締役は「有事の際、地域に協力したいという思い。町から依頼があれば、捜索活動などの実証実験も実施したいと考えています」と話した。

 町では1機のドローンを所有しており、課をまたいで、職員が飛行訓練に取り組んできた。捜索など実践使用はないが、訓練を兼ねて、建物の航空写真撮影などにも利用している。

 漁野洋伸副町長は「災害時の情報収集はもちろん、高齢化率の高い本町では、行方不明者が出た場合などの際に協力いただければ。ドローンによって、迅速・的確に捜索ができるとともに、職員や消防団員の人手も減らすこともできるのでは」と話していた。

(2023年1月20日付紙面より)

協定が締結された=16日、太地町役場
ドローンについて説明する喜多徳幸代表取締役社長
2023年01月20日
48 キノピー迎え森を教わる
 潮岬こども園の3~5歳児  (串本町 )

 串本町立潮岬こども園(勝山久美園長、園児31人)で18日、キノピー教室があり園児全員で森の頑張りや助け合いを教わる機会を得た。

 木の妖精として誕生した「キノピー」は現在、紀の国ふるさとづくり協議会のマスコットキャラクターとして活動中。この教室は森林の恵みと支える山村への関心を深める普及活動として、県内の幼稚園、保育所(園)、こども園を対象とし紀州・山の日(11月7日、キノピーの誕生日でもある)を軸としたおおむね秋~冬に訪問実施している。同園は毎年訪問を歓迎していて、過去に託された「キノピー」のぬいぐるみを通して園児も日々目にしてよく知っているキャラクターの訪問を楽しみにしてきたという。

 当日は小鳥の「やまびこ(青)」「こだま(黄)」と一緒に訪れた「キノピー」(着ぐるみ)を元気いっぱいに歓迎し、紙芝居「みんなで森に行こう」を鑑賞。木やその集まりである森がどのように頑張り、一緒に暮らす生き物同士でどのように助け合っているかを教わった。

 鑑賞後は桃組(3歳児クラス)、赤組(4歳児クラス)、青組(5歳児クラス)それぞれに「キノピー」と一緒に記念撮影をし、間近に並ぶ好機を逃さず握手もしてもらうなどして親しみを深めた。「キノピー」は紙芝居を見てくれたお礼に園児全員分の塗り絵などのプレゼントを先生に託し、園児に送り出されながら同園を後にした。

 この日の教室実施に当たっては、県東牟婁振興局農林水産振興部林務課と町産業課が尽力。同林務課によると、新宮・東牟婁地方では潮岬こども園が本年度最終の訪問先だという。

(2023年1月20日付紙面より)

紙芝居を鑑賞して森の頑張りや助け合いを教わる園児=18日、串本町立潮岬こども園
「キノピー」らと一緒に記念撮影する青組の園児
2023年01月20日
49 白浜から飛行機利用を
 新宮駅で利便性を周知  

 南紀白浜空港を運営する南紀白浜エアポートや、熊野御坊南海バス、JR西日本、和歌山県、新宮市の5者は18日、新宮市徐福のJR新宮駅で、飛行機の利用促進活動を行った。約10人が参加、名古屋方面の特急の利用者にチラシを手渡し、白浜と東京(羽田)を結ぶ飛行機の利便性を伝えた。

 白浜―羽田の便は、存在自体を知らない人も多く、また知っていても、他の交通機関に比べ料金が安く時間も早いことが十分に認知されているとは言えない状況にあるため、今回の活動に至った。熊野御坊南海バスは、新宮・東牟婁と南紀白浜空港を結ぶリムジンバスを運行していることから、今回の活動に参加。JR西日本も、公共交通の全体の利用促進を目指し協力した。県と市も加わった。

 配るチラシには、新宮駅からバスや自家用車で白浜空港まで行き、羽田空港へと出向いた場合、時間は3時間20分、料金は1万170円からであることが記されていた。特急列車を利用して名古屋まで出向き、新幹線利用で東京駅に向かった場合、自家用車併用なら5時間30分で1万8730円、併用なしなら5時間10分で1万6060円となることも明かしていた。

 熊野御坊南海バスは、リムジンバスを紹介するチラシを配っていた。料金はいずれも片道で白浜空港までは、新宮駅からなら3200円、紀伊勝浦駅や太地駅からは2600円。ただし3月16日(木)まではキャンペーン期間中のため、片道一律1000円となっており、これを強調していた。

 南紀白浜エアポートの岡田信一郎・代表取締役社長は「まずは、飛行機という選択肢もあることを知ってほしい。早くて、安くて、体も楽。ぜひ利用を」。熊野御坊南海バスの谷埜泰正・取締役は「白浜空港まで行くリムジンバスがあり、かつキャンペーン中であることを周知したい」などと話した。

 埼玉県さいたま市から姉夫婦に会いに訪れており、新宮駅でチラシの説明を受けた会社員の渡辺英梨さん(31)は「今回は名古屋から新幹線で帰るつもりだが、白浜から飛行機で1時間で羽田に行けるとは知らなかった。今後は飛行機も利用してみたい」と語った。

(2023年1月20日付紙面より)

白浜―羽田の飛行機の利便性を伝えた=18日、新宮市徐福のJR新宮駅
2023年01月20日
50 入浴に関する事故が増加  消防本部が注意呼びかける  (那智勝浦町 )
2023年01月20日
51 みんなの道路をきれいに  ボランティア・サポート・プログラム締結、活動を継承  (環境ファースト連合会 )
2023年01月20日
52 1位に佐古金一さん  写連紀南支部新年度例会  
2023年01月20日
53 タルトレット作りに挑戦  浮島児童館で料理教室  (新宮市 )
2023年01月20日
54 威勢よい掛け声響く  原木市場で「初市」  (新宮市 )
2023年01月20日
55 各種サービスの内容を紹介  民児協が今年最初の定例会  (紀宝町 )
2023年01月20日
56 空き家対策の推進図る  プロジェクトチームを設置  (紀宝町 )
2023年01月20日
57 団員11人に永年勤続表彰  近日中に個別で伝達予定  (古座川町消防団 )
2023年01月20日
58 主催者に上達ぶりを披露  「こども茶道教室」閉講式  (古座川町 )
2023年01月20日
59 10団体が熱いステージ  新宮市民音楽祭・ロックの部  
2023年01月20日
60 お悔やみ情報
  
2023年01月19日
61 100台を無償貸与
 戸別受信機希望者169人  (新宮市 )

 防災行政無線戸別受信機の配布を進めている新宮市は17日、戸別受信機無償貸与者を決定する抽選を市役所で行った。田岡実千年市長がパソコン上で抽選のボタンを押し、本年度の貸与者を決定した。

 近年、激甚化・頻発化している大規模災害に対して、防災情報を速やかに取得してもらうことを目的に実施。防災行政無線放送の「聞こえない」を少しでも解消するため、本年度は「防災行政無線システム改修事業」として約4742万円が計上。うち、約700万円が戸別受信機無償貸与に充てられる見込みとなっている。

 このたびの無償貸与の対象者は▽身体障害者手帳(1級・2級)の交付を受けている者▽療育手帳(A判定)の交付を受けている者▽精神障害者保健福祉手帳(1級)の交付を受けている者および自立支援医療費の支給認定を受けている者▽介護保険要介護3以上または要介護2で認知症がある者▽指定難病やその他、常時特別な医療などを必要とする在宅療養者―で1058人(2022年12月7日現在)。昨年末から1月13日にかけて貸与希望者を募り、169人から申し込みがあった。

 本年度の貸与予定数100台を超える申請があったため、このたびの抽選に至った。なお、本年度の抽選から外れた人は、優先的に来年度以降の抽選対象となる。希望台数に満たない場合は「固定電話がなく、かつ携帯電話を所有する人がいない世帯の世帯主」も条件に付し希望者を募っていくという。

 田岡市長は「希望者が貸与予定数よりオーバーしてしまい、抽選となって申し訳ない。外れてしまった人に対しては、来年度に対応させていただけると思っている」と話している。なお、抽選の結果は近日中に郵送で通知。戸別受信機の設置は2~3月にかけて実施していくという。

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■メール配信サービスなど利用を

 市では、気象条件などによって防災行政無線放送の内容が聞き取りにくい場合のために、メールや電話、FAXの配信サービスや、放送内容をツイッターで同時配信するサービスなどを展開している。各種サービスについての問い合わせは市防災対策課(電話0735・23・3333、内線4203)まで。

(2023年1月19日付紙面より)

田岡実千年市長(右から2人目)が抽選で無償貸与者を決定した=17日、新宮市役所
2023年01月19日
62 新年の集いで誓い新た
 新宮支部が安全祈願祭など  (県自動車整備振興会 )

 和歌山県自動車整備振興会新宮支部は17日、新宮市五新の新宮自動車整備工業協同組合で「新年の集い」を開いた。会員ら約25人が出席。業界の振興・発展を願うとともに安全を祈願した。

 同整備振興会は、自動車社会における整備事業の公共性と責務の重大性を認識し▽公平誠実な応接▽公正明朗な取引▽優秀なサービスの提供―などの信念と意識を持って、事業経営を行い顧客および社会に対する責任を果たすことを目的に1952年に設立。県内7協議会で2022年4月現在、会員数は944人となっている。

 開式に当たり、久保正彦理事長が、1月からスタートした電子車検証、24年10月から開始する自動車の電子的な検査(OBD検査)、今年10月からのインボイス制度などに言及し「整備業界も大きく変化し、ペーパーレス化やデジタル化が一層推進され、対応が求められている」とあいさつ。

 「今年はうさぎ年。飛躍の1年であるよう、会員一丸となって躍進したい。業界が目まぐるしく変化するがお体に気を付けていただき、ご活躍を」と呼びかけた。

 田岡実千年市長は「高い技術を持って地域住民が安全で快適に運転ができることにご貢献いただいている」と感謝。現在整備が進む紀伊半島一周高速道路の現状に触れ「早ければ令和10~12年ごろには実現いただけるのではと希望を持っている。車での長距離移動も増えると思う。引き続き技術を最大限に発揮していただければ」とあいさつした。

 田原正士新宮警察署長は「飲酒運転の横行、高齢者の交通事故防止対策も重要課題。交通事故のない安全なまちづくりのため、皆さまとの連携をさらに強化していきたい」と協力を求めた。

 交通講話では、嶝口知宏交通課長が管内の交通情勢や、同署の取り組みなどを説明した。

 閉会後、会員らは熊野速玉大社に移動し、1年の安全を祈願した。

(2023年1月19日付紙面より)

約25人の会員が出席した=17日、新宮市五新の新宮自動車整備工業協同組合
久保正彦理事長
2023年01月19日
63 落語と紙切り楽しむ
 本格公演を生徒が鑑賞  (熊野川中学校 )

 文化庁が行う事業として、本格的な「落語と紙切り」の公演が16日、新宮市立熊野川中学校(松本潤校長)であった。全校生徒25人が参加、プロによる演芸を楽しんだ。代表生徒6人による、紙切りの実践もあった。

 文化庁の「文化芸術による子供育成推進事業」として実施した。公演に先立ち昨年の12月14日に、ワークショップ(事前学習会)を開催。生徒らは落語や紙切りについての予備知識を得た上で、公演に臨んだ。新宮市立熊野川小学校(山本佳人校長)の3年生から6年生の23人も観覧に訪れた。

 公演ではまず、桂小南さんが、落語について説明。「話を聞いて想像し、頭に絵を描いて笑ってもらう」「1人で2人3人の役をやる」「手ぬぐいや扇子で物を表現する」などを語った。

 林家二楽さんが、紙切りを披露した。軽妙な小話で場をつなぎながら紙を切り、作品を見せた。生徒のリクエストにも即興で対応。見事な出来栄えに、児童生徒の歓声が湧いた。

 「紙切り大喜利」では、代表生徒6人がステージ上で、ワークショップの際に出されていた「山の物」の紙切りに挑戦した。「クマ」「サル」「キノコ」などを切って作り、称賛の拍手を浴びた。

 桂さんと林家さん2人の紙工劇落語「牛ほめ」もあった。桂さんの落語に合わせ、その場面を林家さんが紙切りで作り、スクリーンで映し出した。会場では大きな笑い声が響いていた。

 3年生の松本友惺(ゆうせい)さんは「本格的な落語は今まで見たことがなかった。落語を何年もやってきただけあって、面白かった。紙切りも本当にうまくてすごいと思った。良い経験になった」と述べた。

 同事業は、日本の一流の文化芸術団体に、小中学校などで公演してもらうもの。子どもらが優れた舞台芸術を鑑賞する機会を得ることにより、発想力やコミュニケーション能力の育成、将来の芸術家の育成や芸術鑑賞能力の向上につなげることを目的としている。

(2023年1月19日付紙面より)

代表生徒6人が紙切りに挑戦した=16日、新宮市立熊野川中学校
2023年01月19日
64 頂いた命を無駄にしない
 宇久井小でジビエ出前授業  (那智勝浦町 )

 和歌山県は現在、県内323校の小中学校や特別支援学校の給食に、「わかやまジビエ」(シカ肉、イノシシ肉、ジビエソーセージ)を提供している。那智勝浦町立宇久井小学校では17日、給食提供に先立って県による出前授業があり、5年生23人が学習やレザークラフトに取り組んだ。

 県畜産課の上田雅彦課長補佐は「ジビエは狩猟で手に入れた野生動物の肉を指すフランス語。昔の日本では猟師が食べるのに必要な分だけ捕っていたが、現代では野生動物による農作物の獣害が多く発生するようになった。和歌山県ではその対策で捕獲したシカやイノシシを食資源や観光に生かそうと取り組んでいる」と解説した。

 レザークラフトにはレタメロディア(有田川町)の中井謙次朗さんが協力。那智勝浦町を含む県内各地で生産されたシカ革(一部イノシシ革)を使い、児童とリス、ハリネズミ、ネコなどのキーホルダーを手作りした。

 中井さんは「革は猟師たちが命がけで捕獲した一頭一頭の動物の命を頂いてできている。以前は『いらないもの』として処分されていたが、僕たちがフランスのパリで展示会を開いた時には、『日本にしかないもの』と高く評価された。現在ごみになっているものも、視点を変えれば世界で通用するものになる。皆さんにはいろいろな文化や価値観に触れてほしい」と思いを伝えた。「革製品は長年使うと色が濃くなり、光沢が出てくる」と話すと、児童から「大切に育てる」と声が上がった。

 同校では20日(金)に、シカ肉を使ったベニスンシチューが提供される。亀井めぐさんは「ジビエは駆除した動物の肉を安く売っていると思っていたが、高級なものもあると知ってイメージが変わった。キーホルダーは、ランドセルに着ける。給食が楽しみ」と話していた。

(2023年1月19日付紙面より)

キーホルダーを作ったよ=17日、那智勝浦町立宇久井小学校
初めて加工したシカ革を見せる中井謙次朗さん
2023年01月19日
65 知らない人についていかない  全校児童対象に防犯教室  (神内小 )
2023年01月19日
66 新年最初の「あさなぎ市」  ぜんざいら振る舞いも好評  (熊野市 )
2023年01月19日
67 事前審査に現職、新人11人  町議選に向けて準備進む  (紀宝町 )
2023年01月19日
68 浸水被害の解消へ  日足宅地かさ上げ完了  (熊野川町 )
2023年01月19日
69 ど根性たちが季節を終える  アスファルトに咲く植物  (那智勝浦町 )
2023年01月19日
70 プレカットってなあに?  スギ材の「鏡餅」工作  (新宮市 )
2023年01月19日
71 群れで遡上し藻をつつく  池野山川下流域の「イナ」  (古座川町 )
2023年01月19日
72 講評交え入賞18作品発表  文化セで第4回短歌大会  (串本町 )
2023年01月19日
73 特賞~4等当選者決める  お年玉プレゼント抽選  (串本リリースタンプ会 )
2023年01月19日
74 お悔やみ情報
  
2023年01月17日
75 ゴトビキ岩に新しめ縄
 御燈祭りを前に青年団らが奉仕  (新宮市 )

 国の重要無形民俗文化財「御燈祭(おとうまつ)り」(2月6日)を前に新宮市の神倉神社で15日、神倉青年団ら約30人がご神体の巨岩「ゴトビキ岩」のしめ縄を張り替えた。

 「御燈祭り」は1400年以上前から続くとされており、例年、全国から多くの上(あ)がり子たちが参加し神倉山上で松明(たいまつ)に御神火を受け、山門の開閉とともに急峻(きゅうしゅん)な石段を一気に駆け下る勇壮な祭り。

 しかし、新型コロナウイルス感染症第8波の襲来を案じ、長時間の3密が避けられない状況にあり、クラスター(感染者集団)が発生する危険が高くなることを考慮し3年連続で最少人数の神職と介釈(かいしゃく)のみで営まれる。当日は正午から神倉山への入山を制限し、報道関係者や一般撮影者の入山も禁止。翌7日(火)の御燈祭り奉祝祭や餅まきも中止する。

 この日は祭りの運営を取り仕切り、介釈を務める青年団員や神倉神社奉賛会、市観光協会などが参加。曇り空の下、神倉農業実行組合(榎本晶組合長)が寄進した約200㌔(約500株)のわらで編み上げた長さ約30㍍、最大直径約20㌢の大しめ縄を青年団員たちが神倉山山頂付近まで運んで刺股や針金を使用してゴトビキ岩に巻き付けていった。

 奉賛会の猪飼三雄会長は「無事に作業を終えることができてよかった。通常の祭りとは形は違うが、やるべきことは変わらない。当日に向けて青年団と連携を図りながら準備を進めていきます」。

 青年団の中山忠吏団長は「今年も滞りなく無事に張り替えを終えられて安心しています。団員一同、気を引き締めて奉仕し上がり子たちの思いを胸に任務を遂行していければ」と話していた。

(2023年1月17日付紙面より)

協力してしめ縄を張り替える神倉青年団員たち=15日、新宮市の神倉神社
完成後にはゴトビキ岩へと運んだ
2023年01月17日
76 皇后盃駅伝で区間2位に
 潮岬中3年・久保凛さん  (串本町 )

 皇后盃第41回全国都道府県対抗女子駅伝競走大会が15日に京都市内であり、串本町立潮岬中学校3年・久保凛さん(14)が第3区を記録9分21秒で駆け抜け区間2位の成績を収めた。

 この大会は日本陸上競技連盟が選手育成を目的として年1回実施。都道府県ごとに結成する中学2年生~社会人チーム9人で42・195㌔をつなぐ内容で、和歌山チームは中学生限定区間とされる第3、8区(いずれも距離3㌔)の選手として久保さんを含む3人を選抜し本番に臨んだ。

 久保さんは第40回大会に続いての出場。昨年秋にあった選考会〈女子3000㍍種目〉で、挑戦した16人中1位となるタイム9分44秒31を記録し、本番直前で発表されたオーダーリストでは前回同様にエース区間の第3区を走る位置付けがされた。迎えた本番では暫定44位でたすきを受け取り、区間10位だった前回よりもさらに28秒縮める記録で8人を抜き暫定36位でたすきをつないだ。

 目標とした区間3位以上とチーム貢献は達成した。さらに憧れた区間1位はジュニアオリンピックカップ(JOC)第53回U―16陸上競技大会女子1000㍍で得意の先行を許し終始その背中を追う展開となった相手・岡山県のドルーリー朱瑛里さん(3年)が獲得。区間新となる記録9分02秒で駆け抜け、久保さんは改めて同世代の高みを目の当たりにする結果となった。

(2023年1月17日付紙面より)

久保凛さん
2023年01月17日
77 3年ぶりに獅子が舞う
 井関青彦神社の例大祭  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町井関の青彦神社の例大祭が15日に営まれた。関係者約40人が出席して式典を行ったほか、3年ぶりに獅子舞を奉納。同じく3年ぶりの子ども神輿(みこし)の巡行と地下舞(じげま)わしもあり、久々に地域に活気が湧いた。

 青彦神社の例大祭は例年、式典、獅子舞奉納、神輿の巡航、お弓行事などを行っている。しかし去年とおととしは、コロナ禍に伴い規模を縮小、式典のみとなっていた。今年は、お弓行事は中止となったが、式典での獅子舞奉納と地下舞わし、子ども神輿の巡航を実施した。

 式典は、午前中に実施。井関区の石井康夫区長、楠本五三生(いさお)氏子総代長、井関神楽会の桑木野徳太郎会長などが参列した。熊野那智大社から出仕した神職が祝詞を奏上、参列者が玉串をささげて祈った。獅子舞奉納は久々とあって歓声があがり、特に市野々小5年の村井芹(せり)さん(10)と楠本小眞知(こまち)さん(11)による子ども獅子舞は拍手喝采を浴びた。

 午後に、子ども神輿の巡航と地下舞わしが行われた。地元の子どもらが「わっしょい、わっしょい」のかけ声とともに地域を練り歩いた。地下舞わしでは神楽の音が響き、鑑賞した多くの住民が手をたたいて喜んだ。

 石井区長は「雨が心配だったが、無事挙行できてうれしい。特に今年は、子どもの獅子舞と神輿が頑張ってくれた。お弓も来年はやりたい。人口も減るなかで、神楽会の若い人らが頑張ってくれた」と感想。

 楠本氏子総代長は「今日は井関の発展と、地域の皆さんの家内安全を願った。人も減ってきて先行きを心配していたが、神楽会の若い人たちが頑張ってくれた。伝統を守ってくれる人が出てきて喜んでいる」と語った。

 桑木野会長は「天気が晴れてよかった。滞りなく終わった。地下舞わしも大盛況で、特に子ども獅子舞が大好評だった。子ども神輿も盛り上がった。来年からも頑張りたい」と話した。

(2023年1月17日付紙面より)

3年ぶりに獅子舞を奉納=15日、那智勝浦町井関の青彦神社
子ども神輿が地域を練り歩いた
2023年01月17日
78 命の道、希望の道 全通へ前進
 「紀宝熊野道路」中心杭打ち式  

 紀伊半島一周高速道路「近畿自動車道紀勢線」(全長335㌔)の一部となる「国道42号紀宝熊野道路」の中心杭打ち式が14日、御浜町中央公民館であった。鈴木英敬、中川康洋両衆院議員、山本佐知子参院議員、一見勝之知事、大畑覚御浜町長、河上敢二熊野市長、西田健紀宝町長、国土交通省中部地方整備局の稲田雅裕局長が杭打ちし、命の道、希望の道とも呼ばれる紀勢線の早期全線開通へ一歩前進した。

 紀勢線は全線事業化済みで、熊野市久生屋町―紀宝町神内を結ぶ紀宝熊野道路(延長15・6㌔)は、2019年度に新規事業化された。御浜町には御浜インターチェンジ(仮)が設置される予定だという。

 式典は御浜町、紀宝町、熊野市、国土交通省中部地方整備局紀勢国道事務所が主催。新宮市の田岡実千年市長、那智勝浦町の堀順一郎町長、北山村の山口賢二村長、藤根正典、谷川孝栄両県議、近隣市町の議員ら約50人が出席した。

 御浜町ジュニアバンドの演奏で開幕し、大畑町長が「紀伊半島一周高速道路最後の区間となる紀宝熊野道路の早期全線開通に向け、全力で行動したい」と式辞を述べた。

 前知事の鈴木氏は「紀勢線は東紀州の希望の光、希望の道、次世代の道。一日も早く整備する必要があり、全力で取り組んでいく」、一見知事は「紀勢線の全線開通で三重県が力強く躍進できる。早期実現したい」と決意を新たにした。

 中心杭は測量に当たり、道路計画線の中心に打つ「目印杭」。壇上で8人が早期完成を願って杭打ちした。最後は西田町長が「新たな一歩を踏み出すことができ、歴史的な一ページを皆さまと一緒に喜びたい」と謝辞した。

 紀宝熊野道路は事業化後、測量・調査、予備設計、道路計画の地元説明がすでに行われ、地元に用地関係事業の開始を広く周知する「中心杭打ち式」を経て、今後、幅杭打設、用地調査が本格化する。

 紀勢線全線開通により、災害時救助活動、救急医療活動への支援、地域連携強化、観光・地域産業への寄与などが期待される。

(2023年1月17日付紙面より)

紀宝熊野道路の早期完成を願って杭打ちを行う=14日、御浜町中央公民館
紀勢国道事務所ホームページより
2023年01月17日
79 盛り上がる、3年ぶりの音楽祭
 ロックの部、10団体が演奏に熱  (新宮市 )

 第15回新宮市民音楽祭「ロックの部」が15日、同市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で開催された。地元団体など10団体が出演し、歌と演奏で会場を盛り上げた。

 新宮市民音楽祭実行委員会、市、市教育委員会が主催。市民音楽祭は1976年3月に第1回が開催され、合併前の旧市から数えると2011年の紀伊半島大水害の年を除いて45回続いている。

 合併後15回目となった今回は、新型コロナウイルス感染症の影響で3年ぶりの開催に至った。今村義郎実行委員長は「『丹鶴ホール』建設に当たってはさまざまな問題があったが市当局の方々のご努力、市民の熱い思いが通って開館に至った。市民音楽祭はこれまで会場を渡り歩きながらなんとか今日まで継続してやってきたが、このホールでは1回目の開催。出演者の皆さんには日頃の練習の成果を十分に発揮していただきたい」とあいさつ。

 「この施設が文化の発信地として、新宮市だけではなく近隣市町村の活性化にもつながれば」と祈願した。

 ロックミュージックに合わせて舞台に登場した田岡実千年市長は「この新しいホールで音楽祭が開催されることは私にとっても喜ばしいこと。地域や世代、立場が違う人が一緒になって楽しめる音楽祭。皆さまの心が元気になることを願っています」と祝辞を述べた。

 音楽祭は「SIDE TRiP」の演奏で幕開け。10団体が持ち時間内で練習の成果を発揮し、来場者らは大きな拍手や手拍子などでステージを盛り上げた。

 同音楽祭「合唱・器楽の部」は22日(日)、同ホールで午後1時(正午開場)からを予定している。

(2023年1月17日付紙面より)

3年ぶりの開催に盛り上がる市民音楽祭「ロックの部」=15日、新宮市の「丹鶴ホール」
今村義郎実行委員長
2023年01月17日
80 親族知人で参拝迎える  峯の薬師如来堂で例祭  (古座川町 )
2023年01月17日
81 今年も規模縮小で段取り  水門神社祭礼「水門祭」  (串本町 )
2023年01月17日
82 新たな人権擁護委員に  北山村・藪本いづみさん  
2023年01月17日
83 インフルエンザ予防対策に努めて  和歌山県でも注意呼びかけ  
2023年01月17日
84 バイカオウレン  新宮市高田  
2023年01月17日
85 邪気払い、大漁など祈願  飛鳥神社でお弓神事  (太地町 )
2023年01月17日
86 感染者増を受け規模縮小  市野々王子神社例大祭  (那智勝浦町 )
2023年01月17日
87 火と煙から命を守る  火災想定して避難訓練  (井田小 )
2023年01月17日
88 今年最初の「紀の宝みなと市」  次回の2月は餅ほりを企画  (紀宝町 )
2023年01月17日
89 お悔やみ情報
  
2023年01月01日
90 「見える」「魅せる」。広がる、「熊野学」
 東京大学との協定の先に  (新宮市 )

 全国には、約4800社もの熊野神社があります。―そう聞いてぴんとくる人は一体どれだけいるだろう。東京大学の大向一輝准教授は、デジタル技術を用いて全国4800社に及ぶ熊野神社のリストから住所を緯度・経度に変換。地球儀ソフトに落とし込んで「全国には、約4800社もの熊野神社があります」と可視化し日本列島にくまなく浸透する熊野信仰の広がりを目視することができると実践してみせた。

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■「熊野」とは何か



 現在、突出した資源もなく人口減少にあえぐ新宮市が、交流人口増加や地域活性化のためにPRを進める、地域に根差す歴史と文化。市は「熊野学」について「広範で深遠な熊野の歴史・文化を人文・社会・自然科学などの各分野から学際的・総合的に研究し、熊野が持つ独自性と普遍性を解明するとともに、その個性と魅力を検証していくこと」と定義しているが、歴史的・地理的分野の広さか、その奥深さ故か「熊野学」は広く一般に浸透しているとは言い難い。

 「熊野」とは何か。「熊野学」の門戸は広すぎて狭い。歴史、信仰、文学、自然、伝統行事。現在目にすることができるもの、過去の遺物、精神世界が混在する。これまでも有識者たちがそれぞれの分野で調査・研究を進め「熊野」へのアプローチを展開してきた。「解き明かす」ことは「見える」こと。不明瞭な資源の「見える化(可視化)」が、「文化」「歴史」のPRに向けたアプローチの一つであると考える。

 2021年3月。新宮市と東京大学大学院人文社会系研究科・文学部は、相互に連携協力することにより次世代人文学の構築、市・熊野地方における学術の振興と地域活性化に資することを目的に協定を締結した。

 秋山聰文学部長が熊野に興味を持つきっかけは13年9月。台風の中、熊野古道「大雲取越」を歩いた際に、「円座石(わろうだいし)」から見上げた丸い空に感動したという。以降、数回にわたり当地域で研修会やセミナーなどを実施。当地域との結び付きを深化させてきた。

 協定締結以降、東大ではフォーラムや現地(熊野)での体験プログラムなどを通して歴史文化、自然、文化行政などを研究。冒頭の大向准教授の研究発表はその一環で、それ以外にも学術的、文化的な振興に向けてさまざまな活動が展開されている。

 協定を機に、同市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」2階の「熊野エリア」に「東京大学文学部熊野プロジェクト新宮分室」が設置され、分室には同大学次世代人文学開発センター助教の太田泉フロランスさんが着任。年に数回分室に在中し、市および熊野地方と同大学との橋渡し役を担っている。

 協定締結から約1年半が経過した22年10月15日。同大学で文学部シンポジウム「文学部による地域連携の試み―人文学応用連携の促進を目指して」が開催され、田岡実千年市長や速水盛康教育長も参加する中、同大学の取り組みが紹介された。

 秋山部長は「熊野はいにしえより外来者を寛容に受け入れてきており、当大学が目標の一つに定める『ダイバーシティー(多様性)とインクルージョン(包括)』を早くから実現していた土地。人文学の全分野にとって研究上のさまざまなアイデアを思いつくことができる、そういう可能性を秘めた場所である」と当地方を紹介。

 「外国人研究者や留学生を活動に積極的に巻き込むことによって、歴史、文化、伝統などが、広く知れ渡り、世界の人々の興味・関心を一層高めることができれば」と期待を込めた。

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■歴史は過去ではなく今に生きている



 「新宮市、熊野の歴史的風土は過去のものではなく、今に生きている景観。そこに目を付けたのが東京大学」。そう話すのは速水教育長だ。「熊野を見抜いている」とも。住民である私たちにとって「熊野・新宮」は、身近すぎてその本質を見極めることがやや困難となっているのではないだろうか。

 速水教育長は推測する。「異文化と多様性と景観。このことに鋭い感性を持っている。東京大学からすると熊野そのものが非日常の場であり、多様性を考えるフィールドである。そういった景観の中で、何を見抜くことができるかの実体験を学生に提供しているのだろうと思います」と。

 ヨーロッパ中世美術、特に金細工工芸研究が専門の太田さん。学生の頃、研究のためにスペインのサンティアゴ・デ・コンポステラ巡礼を行った際に、その体験を比較するために16年に初めて熊野古道を歩いた。「まさか将来、熊野に住む素晴らしい機会を得られるとは想像もしていませんでした」と振り返る。

 「実際に熊野で生活してみると、頭で思い描いていた『熊野』を上回る本質的な価値にしみじみと気が付かされました。古来よりこの地に住まう人々が見抜いてきた『熊野』の価値、さまざまな場所に神仏を見いだし折に触れ、それに感応する豊かな心、幾重にも連なる山並みや香り高い植生、峨々(がが)たる巨石、明らかに色彩の異なる水源などの豊かな自然と、それに対峙(たいじ)し共生してきた人々の祈りや思いが、決して過去のものだけではなく、現在と地続きであることを強く感じます」。

 「熊野は特別」。その理由を理解するのにはまだまだ時間が必要、としながらも「皆さんとの対話の中で、少しずつ本質的な『答え』に迫っていきたい」と前を向く。

 シンポジウムでは、協定締結に関して「独り善がりな形で押し付けるのではなく、しっかりと両者で対話を重ねて手を取り合って進めていくことで、相互の考えや希望が一致するのか、共に形にしていくことが必要では」と話していた。

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■「熊野・新宮」のブランド化



 改めて「熊野・新宮」のブランド化を進めるための必要材料について考えてみる。学術的な研究も一般に浸透しなければ意味がない。漠然と「地域活性化」といったところで、明確なビジョンがないと研究結果は一部の知識層のものになりかねない。資源も「宝の持ち腐れ」だ。

 協定締結に当たって、協定書にはかつて起請文(きしょうもん)として使われた「熊野牛王(ごおう)符(宝印)」にあやかり、熊野三山の牛王符が印刷された用紙が用いられた。連携事業の協働を熊野権現に誓った。

 同大学では今後、欧米や国内諸地域との連携拡大を軸とした熊野フォーラムの開催や、新宮市の中高生との交流、東大生の新宮市へのホームステイ、社寺や史跡のマッピングなどを企画し、協定のさらなる深化を目指している。

 「熊野学」の「見える化」に向けて取り組みが進む中、「熊野・新宮」に住む私たちの役割とは―。「土地に魅せられる」一番の権利を有するのは私たちに他ならない。幸運にも、同大学との協定により「知」を享受する機会を得た。「知」は活用の資材になり得るのか。それをブラッシュアップするのは、熊野の地に抱かれた私たちの使命だ。

 かつて秋山部長が見た熊野の空。大向准教授が見せた熊野信仰の広がり。そして太田さんが見つめる熊野の未来。私たちが知っているようで知らない「熊野・新宮」が、まだまだ存在する。

 漠然としたフィールドから「見える」熊野・新宮へ。新宮市と東京大学の取り組みが、いつか世界中の人々を「魅せる」舞台へ導くことを願ってやまない。

(2023年1月1日付紙面より)

全国に広がる4800社の熊野神社
秋山聰文学部長(左)と太田泉フロランスさん
市文化複合施設「丹鶴ホール」2階熊野学研究室に設けられた「熊野プロジェクト新宮分室」
2023年01月01日
91 ロケット「カイロス」初号機の打ち上げ目前!
 見物関係情報を振り返る  

 ロケット「カイロス」初号機の打ち上げを今年2月末ごろに再設定。スペースワン株式会社が昨年10月、スペースポート紀伊周辺地域協議会への報告をもって公表した。依然努力目標の域だが、地元は実現を有望視し大きな期待を寄せている。打ち上げに向け、地元で共有されている見物関係情報(2022年12月1日時点)を振り返る。

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■スペースポート紀伊とロケット「カイロス」



 スペースポート紀伊は串本町田原~那智勝浦町浦神にある国内初の民間ロケット射場で、運営者はスペースワン株式会社。打ち上げるロケット「カイロス(KAIROS)」は全長約18㍍、重量約23㌧。3段式のロケットモーター(固体燃料)と軌道調整用液体エンジンを駆使して高度500㌔に達し、先端のフェアリング内に積載した人工衛星を軌道投入する。その時点での到達速度は秒速約8㌔。投入先が太陽同期軌道(通称・SSO)の場合は、重量150㌔の打ち上げ能力を発揮する。

 将来的に年間20回の打ち上げ頻度を想定し、契約から打ち上げまで世界最短時間の宇宙輸送サービス実現を目指している。ロケットの名前はギリシャ神話に登場する時間神にあやかっていて、同社は「ii-based dvanced&nstant ROcket ystem」の略称としている。

 以上が串本町の町民や両町の小中学生向けワークショップ(WS)で紹介されている、ロケット「カイロス」の基本情報。付帯して各地の射場やロケットと飛ぶ仕組み、人工衛星の役割や打ち上げに対して地域ができることなども解説し、これら一連の情報を基盤にして機運醸成が図られている。

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■浦神半島を望める場所が良好な見学の目安



 補足すると、ロケット「カイロス」が飛ぶ方角はおおむね東~南南東の間。序盤は直上へ上昇し徐々にこの方角の範囲へ傾く航跡を描く。打ち上げ時は射点から半径1㌔圏内への立ち入りができないため、その外周から見学する形となる。

 初号機については串本町田原の田原海水浴場と那智勝浦町浦神の旧浦神小学校に設けられる入場チケット(有料)制の公式見学場〈パーク&ライド方式〉が至近。チケットの入手方法は「ロケット『カイロス』初号機打ち上げ応援サイト」(アドレスhttps://wakayama-rocket.com)を通して事前登録者にメール送信される。打ち上げ情報も発表間もなくメール送信されるため事前登録だけしておくのも便利だ。

 串本町はおととしのイベント「宇宙ウイーク」の一環で射点付近から打ち上げ方向へ向けサーチライトを照射し、視認可能な範囲をおおむね把握。遠近差は伴うが、浦神半島を望める場所であれば良好に見学できることを確認している。初号機打ち上げ前後に国道42号那智勝浦町浦神―串本町津荷間〈予定〉で見物に伴う支障回避のため交通規制が敷かれる見込み。この区間を避けて見学場所を決めると、多少の混雑はあっても難は少なくで済む。那智勝浦町側から眺めると徐々に離れる航跡となるため、射点の近場で見届けることをお勧めしたい。

(2023年1月1日付紙面より)

橋杭岩付近から眺めるロケット「カイロス」打ち上げのイメージ図〈CG〉(串本町提供)
打ち上げ事業を展開するスペースワン株式会社の総合司令棟など
実物大ロケット「カイロス」懸垂幕
射点付近からのサーチライト照射の様子。浦神半島を良好に望めることが見物場所の目安となる
2023年01月01日
92 地域住民が気軽に集える場に
 複合センターリニューアル中  (古座川町 )

 地域住民が気軽に集える場に―という思いをもって古座川町が本年度、下部区内にある複合センターの改修を進めている。イメージするのは社会福祉協議会が事業展開する巡回型サロン「ふれ愛カフェ・よりみち」の常設化。今年4月の実現を目指して目下、リニューアル工事が進んでいる。

 同センターは、山村で暮らす町民の生活改善と心身向上を図り高齢者対策も含めて豊かで明るい社会を実現するための拠点施設として1979年に設置。名称に含まれる「複合」は今でいう多目的に相当し▽生活改善講習▽一般教養講習▽結婚式場▽災害時避難▽各種団体等の集会所―といった用途が管理規定で定められている。

 建物は鉄骨構造2階建てで、1階に管理室・調理室・談話室・実技訓練室など、2階に娯楽室2室と大会議室がある。後に耐震化され現在の建築基準法にも適合する堅固さを備えたが、南海トラフ巨大地震に伴う津波浸水に対しては脆弱とされ2020年、最寄りに津波避難総合センターが新たに設置された。

 その1階部分が集会所として平時利用できることで、複合センターがこれまで果たしてきた役割は自然移行。今後の活用策を模索する中で浮上したのが町民に好評を得ている同サロンの常設化で、同町は必要な環境を整えるべく本年度一般会計で改修予算を当初計上し議会の承認を得て動き出した。

 担当課の町健康福祉課によると、同サロンを運営する社協見守り員のノウハウも踏まえて設計をし昨年10月に着工。改修の対象は1階部分で▽既存の段差を極力解消するなどしてバリアフリー化▽構造上取り除ける壁を外して開放的な居場所を確保▽土足で利用できるよう床を外す―などの構造変更をする。今年2月末に工事が完了し所要の準備を経て4月1日付でリニューアルオープンする予定だが、同課は昨今の社会情勢の影響で工期延長の可能性があり、若干のずれ込みを含み置いてほしいという。

 改修後の環境を社協見守り員の拠点とすることで常設型を形にし、従来の巡回型も職員連携により継続するという。社協見守り員の中核・久保由美子さんは「立ち寄れば必ず誰かがいるのがふれ愛カフェ・よりみち。常設型は町の端にできるが近くにオークワ古座川店があるので、日頃の買い出しの延長で気楽に立ち寄ってもらえれば」と利用の筋道を思い描いて常設型の準備を進めている。

 地域包括支援センターもこの環境を新たな相談窓口として捉え、定期的に職員が赴いて町民のニーズに対応するという。高齢化率に呼応して高齢者層の利用が主体になっている同サロンだが、地域の全世代が集い交流するのが本来の趣旨。常設型もその趣旨を受け継ぐとし、他の世代も立ち寄るようになり必要が生じれば2階部分の改修も検討するという。

 最後に町民の多くが感じるであろう疑問点として、広範な町域全体からどのように町端の常設型を利用してもらうのか。目下悩みの種となっていて今後、課枠や自治体枠を超え地域全体で良策を導き出すことが必要となりそうだ。

(2023年1月1日付紙面より)

地域住民が気軽に集える交流の場として改修中の古座川町複合センター

社協の巡回型サロン「ふれ愛カフェ・よりみち」の様子。この状況の常設をイメージして改修を進めている
2023年01月01日
93 父から子へ、子から母校へ。
 校歌の原曲を北大へ寄贈  (那智勝浦町 )

 「ある時父が、この曲は北大の校歌じゃないかと聞いてきた。それは父が趣味で集めていたSP盤レコードでした」―。

 そう話すのは那智勝浦町浦神在住の脇地式三さん(78)だ。和歌山県立新宮高校を経て、1965年に北海道大学に進学した脇地さん。父が所有していたのは「Victor製No.35844」というレコードだった。在学中のさまざまな思い出はあっても、母校には校歌がなかったのではと振り返る。

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■北海道大学について

 北海道大学の起源は1876(明治9)年に設立された札幌農学校にまでさかのぼる。「Boys,be ambitious(少年よ、大志を抱け)」で有名なマサチューセッツ農科大学長であったウィリアム・スミス・クラーク博士が、新設された同校に教頭として招かれ、学校の基礎づくりに大きな役割を果たした。

 1907(明治40)年に、東北帝国大学が設置されたことで、同校は東北帝国大学農科大学となった。その後は、18(大正7)年に北海道帝国大学設置に伴い、北海道帝国大学農科大学となり、47(昭和22)年には北海道大学に、2004(平成16)年に国立大学法人北海道大学となった。北大では教育研究に関わる基本理念として「フロンティア精神」「国際性の涵養(かんよう)」「全人教育」および「実学の重視」を掲げている。

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■校歌がない

 「多くの趣味を持っていた父が、東京の大学に通っていた頃に購入したものだと思う」と前述のレコードについて脇地さんは語る。

 北大といえば、学生寮「恵迪寮(けいてきりょう)」の寮歌「都ぞ弥生」が最も有名ではないだろうか。

 北大に関する歴史的な公文書や各種資料を収集・整理・保存し、調査研究などを行う同大学文書館に確認したところ、正式な校歌はないとの回答が返ってきた。

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■父のレコード

 ある時ふと、父のつぶやいた言葉「この曲は北大の校歌じゃないか」が脳裏に浮かんだ。父が言う曲は前述のレコードB面の「War Song(Tramp Tramp Tramp)」だった。脇地さんはすぐさま、大阪府北区の北大関西同窓会館を訪ねた。

 校歌について会員に問い合わせたところ、「北大にはないが、前身である札幌農学校にあったはず」との返答が。「校歌 永遠(とこしえ)の幸」の楽譜をコピーし、脇地さんに手渡した。

 もしやと父の言葉がよぎる。「永遠の幸」と父のレコードは同じ曲なのではないか。真相を知りたい一心で脇地さんは自宅に戻り、レコードを持って、再び同窓会館へと向かった。

  □     □

■父から子へ、子から母校へ

 持参したレコードを同窓会で確認したところ、「永遠の幸」の原曲であることが判明。文書館によると1901年、札幌農学校創立25年記念を迎えた際に作られた写真帳に「永遠の幸」が校歌として紹介されているという。

 「永遠の幸」は当時、同校に在学していた本科4年級の有島武郎氏(後に小説家として活躍)が原曲「Tramp Tramp Tramp」に「イザ イザ イザ うちつれて進むは今ぞ 豊平(とよひら)の川尽せぬながれ 友たれ永(なが)く友たれ」などと歌詞を付けたものだ。原曲の音源自体は文書館も所有していなかった。

 脇地さんは「寄贈についてはしばらく考えた。しかし、所有者の父も亡くなった。兄も北大出身なので母校には世話になっている」。

 そんな思いから、父が大切に所蔵していたレコードは時を経て、母校(文書館)へと寄贈された。

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■文書館では

 昨年6月23日、文書館がレコードを受領。その翌月7日、脇地さんと同窓会宛てに「資料受領書」が届く。担当した特定専門職の山本美穂子さんから感謝の手紙も同封されていた。

 山本さんに連絡を取ったところ、北大の入学式などの際には、学校にまつわる「永遠の幸」か「都ぞ弥生」などが流されるという。山本さんは「関係者の中では『永遠の幸』の原曲が『Tramp Tramp Tramp』であるということは知られていた。しかし、貴重なものを寄贈いただきありがたい。どのような方がお持ちであったかということも重要だと思う。レコードはデジタル化して閲覧室で聞くことができます」と話していた。

 レコードは現在、北大の軌跡が詰まった文書館に保管され、同校が紡いできた歴史の一部となった。今後は文書館1階の展示ホールにて、デジタル音源を自由に聞くことができるような機会を設けたいとしている。

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■イザ イザ イザ

 原曲「Tramp Tramp Tramp」は、ジョージ・フレデリック・ルートが1864年にリリースしたもので軍歌・行進曲だ。アメリカの南北戦争時代、人気曲の一つに数えられている。

 脇地さんは「クラークさんの影響で、この曲が農学校の校歌になったのではないだろうか。北大の資料になってうれしい」と語る。

 「♪Tramp Tramp Tramp♪」。昨年11月末の午後、那智勝浦町内の喫茶店内に勇ましいアナログ音源が流れた。脇地さんが原曲のレコードをカセットテープに録音したものだった。

 巻き戻し、再生という作業を何度か繰り返し「僕の手元にはこの音源しかない。でもね、これでじゅうぶんです」と脇地さんは笑顔で語った。

 父から子へ、子から母校へと渡ったレコードは、さまざまな思いや歴史を音楽に乗せて、クラーク氏の教えを受け継ぐ学生(子)たちへと伝わり、語り継がれていくのではないだろうか。

 「イザ イザ イザ」―。活気ある校歌の歌詞を目で追いながら原曲に耳を傾けてみる。力強い行進曲は、店内だけでなく、記者の心にも大きく響いていた。

(2023年1月1日付紙面より)

脇地式三さんが寄贈した「永久の幸」の原曲レコード(【SPレコードVictor製、No35844,1927年】北海道大学文書館所蔵)
北海道大学文書館から届いた受領書や手紙
脇地式三さん
唯一残る音源を楽しんでいるという
2023年01月01日
94 移民の子・石垣栄太郎
 足跡の一部をたどる  (太地町 )

 「少年栄太郎は命をかけた人間と鯨の格闘を見て育った」―。捕鯨の町・太地で生まれ、渡米して画家になった石垣栄太郎(1893~1958年)。1920~40年代にわたりアメリカ画壇で活躍したが、画家になるために渡米したわけではなかった。「移民の子」として、歩んだ日々や多くの人々との出会いの中で道を切り開いていった栄太郎の足跡を追ってみたい。

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■渡米、そして転機



 冒頭の一文は栄太郎の妻で評論家の綾子氏の著書「海を渡った愛の画家 石垣栄太郎の生涯」に記されていたものだ。

 海外への出稼ぎが多かった当時の太地。「村の悪童」とも呼ばれた栄太郎が、小学校に入学すると同時に船大工であった父・政次が渡米。数年後、父に呼び寄せられた栄太郎は、新宮中学校を退学し渡米した。

 父と共にソーミルを経て、カリフォルニア州ベーカーズフィールドに行き落ち着く。働きながら、夜は英語を学んだ。

 聖書や社会主義関係の書物を読みあさるようになった栄太郎は父と離れ、サンフランシスコに移り住む。夜学に通い、スクールボーイや掃除人などの仕事に就く。

 ある時、転機が訪れる。英詩人・菅野衣川とその妻で後に恋仲となった彫刻家のガートルド・ボイルと出会う。ボイルの紹介でウイリアム・ベスト美術学校に通うことに。その後はカリフォルニア州立大学美術学校で本格的に美術を学んだ。

 父は「金が貯(た)まったら帰って金物屋をしよう」と語り、叔母は美術学校を望んだことに猛反対した。しかし、栄太郎はわが道を進んだ。心には故郷や家族を思いながら。

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■移民の子



 「移民県」の一つ・和歌山県では、多くの人々が海を渡った歴史がある。その一人である栄太郎は自らを「移民の子」だと述べている。

 太地町歴史資料室学芸員でニューベッドフォード捕鯨博物館顧問学芸員の櫻井敬人さんは「移民であると同時に子どものため、半人前扱いされる。移民は多くの権利から遠ざけられる上に、子どもの彼はさらに苦労が伴ったのでは」と話す。

 在米生活の中で、日本の社会主義者の先駆者である片山潜とも出会っている。栄太郎自身も社会主義研究会に参加し、片山との交流も続いた。

 櫻井さんは「栄太郎は社会不正義に虐げられた人に目が向いた。社会の不正義を正すためには自身に何ができるかを考え続けた人だと思う」。

 さまざまな政治運動に身を置き、重要人物とも触れ合っていたことを挙げ「彼は絵を描くことで世の中に貢献しようとした。そのスタイルを最後まで貫いた」と語った。

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■ボーナスマーチ



 1929年から始まった世界恐慌で、民衆は苦しい生活を余儀なくされていた。そんな中、第1次世界大戦に従軍した兵士に約束された恩給が支払われないことからデモが発生。この時、差別の垣根は取り払われ、黒人と白人が同じ目的に向かい手を取り合ったとされる。

 和歌山県立近代美術館教育普及課長の奥村一郎さんによると、栄太郎は彼らを取材し「ボーナスマーチ」を描いたという。32年の作品で、黒人が傷ついた白人をたくましい腕で抱きかかえ、前方を見据えている力強い絵だ。現在、県立近代美術館に所蔵されている。

 その作品は2020年、米ニューヨークにあるホイットニー美術館であった壁画運動を取り入れた大規模な特別展で展示された。日本人画家では栄太郎のみだった。

 奥村さんは「石垣は差別や怒り、社会問題を描いてきた。戦後、国外追放され帰国した。日本では知られておらず、アメリカで描いた絵も生前は発表されなかった。綾子さんの努力もあって、各地に作品が所蔵された。そうして彼の評価は高まっていった」と話す。

 特別展の際に作品解説をしたカリフォルニア大学マーセド校の美術史教授・シープー・ワン(王士圃)さんは栄太郎について「真面目なアーティストで、自分の信念を持って描いている。絵の技術力も高く、自分のスタイルを持った作家」。

 特別展については「彼の存在は知られていなかったが、作品を熱心に見ている人も多かった。彼を知り、喜んでいる人もいた。太地から出ていくことが冒険。コミュニティーを移り続けたことも開拓的なことだったのでは」と評した。

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■石垣記念館設立



 1958年1月―。「あ、綾子、そばにいてくれるのか、うれしいねえ」。この言葉を最後に移民の子はこの世を去ったという。村の悪童と呼ばれた男は故郷の両親の墓の隣で眠りについた。

 91年6月、「鯨の町の小さな美術館」として、栄太郎と綾子氏の活動を顕彰する財団法人石垣記念館が開館した。

 理事長は綾子氏が務め、館内には栄太郎の遺作や遺品、綾子氏の著作などが永久保存・保管されている。開館後はさまざまな展示が催され、多くの人々でにぎわう。

 96年、綾子氏がこの世を去り、2002年に財団法人石垣記念館の残余財産と土地・建物、設立理念を継承して町立として運営がスタートした。

 21年には開館30周年を迎え、記念企画展や記念講演が開かれた。そして今年、栄太郎が生誕130周年、綾子氏が生誕120周年を迎える。

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■たどった足跡は一部



 21年6月に実施された生涯学習講座「移民の子~石垣政次と栄太郎の渡米後の足跡~」で講師の櫻井さんは「現代の人々が移民は自分と関係することとして捉えるような時代になってきた。栄太郎が移民の子であったことを掘り下げることで見えてくるものがある。さまざまな評価が存在するはず」と締めくくった。

 記念館の業務や移民に関する事業に取り組む町教育委員会の宇佐川彰男教育長は「画家になった栄太郎は珍しい移民の形。移民が多い町にとって、石垣夫妻の存在はありがたい」と語った。

 この記事で栄太郎について紹介できたのは、彼の人生のほんの一部に過ぎない。深く掘り下げるには、夫妻の思いや時間、記憶が詰まった石垣記念館に一度、足を運んでいただけたら幸いだ。

 移民の子・栄太郎は現在、故郷の大地に眠っている。その足跡や作品は現在も顕彰され、次世代へと託されるであろう。彼を育んだ太地の青い海の波紋のように、人々に伝播(でんぱ)し続けるはずだ。

(2023年1月1日付紙面より)

石垣栄太郎(右)と父政次(石垣記念館提供)
ボーナスマーチ(和歌山県立近代美術館所蔵)
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