老朽化改善望む声 (新宮市 )
新宮市新宮にある、和歌山県で唯一の食肉処理施設「新宮市食肉処理場」が供用開始から48年を経過し、施設の老朽化が懸念されている。施設利用業者は市に対して、大規模改修を含めた抜本的な改善を求めており、市は県に改修や修繕の必要性を訴え続けている。
同施設は、1974年7月に供用を開始。以降、冷蔵庫増設や配水管移設工事、汚水処理施設脱水機増設工事などの大規模改修工事を行っており、2015年には汚水排水処理施設改修を実施した。ほか、施設内床の整備や浄化槽設備内ポンプ修繕など、必要箇所の改修や修繕に随時対応している。施設の運営は市の特別会計で賄われており、本年度は約1766万円が計上されている。
国からHACCP(ハサップ=※)の導入が求められる中、品質、衛生管理の向上に向けた取り組みも重要視されている。長年の要望活動が実り、県はHACCP対応の推進を目的に、令和5年度までを期限として令和3年度から畜産施設衛生管理強化支援事業補助金を交付。来年度には供用開始以降、一度も交換できていなかった分離機の交換など設備面の改善を行っていく予定としているが、市単独での維持、管理運営は依然として厳しい状況が続いている。
同施設では現在、御坊市から三重県熊野市までの8社が利用している。仮に同施設が閉鎖した場合には大阪府や三重県松阪市まで牛を運搬する必要があり、畜産農家や食肉業社に費用面などで大きな負担を強いることにより和歌山県特産の黒毛和種「熊野牛」の値段高騰を招く恐れもある。
市では「熊野牛推進のためにも施設は存続していかないといけない」とし、引き続き県に対して継続的な支援を要望していくとしている。
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※HACCP=食中毒汚染や異物混入などの危害要因(ハザード)を把握し、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、危害要因の除去および低減のため、重要な工程を管理し安全性を確保する衛生管理の手法。
(2022年6月30日付紙面より)
那智の扇祭り関係者らが協議会 (熊野那智大社 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)社務所で28日、7月14日に営まれる例大祭「那智の扇祭り(火祭)」に向け、「令和4年例大祭斎行に関する協議会」が開かれた。今年は人数制限や斎行時間の変更はあるが、3年ぶりに諸祭儀が例年通り執り行われる。
協議会は扇祭りを安全、円滑に執り行うため、毎年開かれている。協議会には、保存会役員、一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT)、新宮警察署、交通指導員協議会、消防本部、消防団、奉仕者らが出席。
斎行概要や警備、救護、参列者受け付けなどについて確認した後、新型コロナウイルス感染症などの対策、直会(なおらい)の中止、駐車場の確保、交通整理について協議した。
祭り当日は那智山の那智黒亭みむろの駐車場が満車になる午前10時から正午ごろまで一般車両の車両整理を行う。臨時駐車場の大門坂駐車場から、熊野交通がシャトルバスを運行する。午前10時20分より滝前駐車場の使用を中止し、大型バス含む一般車両の駐車および車両の出入りも禁止となる。
午前10時40分から午前11時、正午から午後0時30分までの時間帯は扇神輿(みこし)の渡御ならびに還御が執り行われるため、滝前駐車場での全ての車両に関して駐停車および車両の出入りは厳禁となっている。
別宮域の一部には南紀勝浦温泉旅館組合が特別拝観席を100席設ける。また、お瀧本での諸行事などはライブ配信される予定。
男成宮司は「2年間、お祭りの縮小が余儀なくされた。今年は3年ぶりに扇神輿と大たいまつを全て繰り出し、感染症対策に努めながら斎行する。例年通りとはいかないが、別宮にお参りの方にも見ていただける。お祭りは五穀豊穣(ほうじょう)を祈願するが、疫病退散や氏子崇敬者の発展、世界平和を祈りたい」と話した。
扇指奉仕者は、市野々氏子中に加え、南紀くろしお商工会青年部、南紀勝浦温泉旅館組合、紀州勝浦漁業協同組合、熊野第一交通株式会社・那智ねぼけ堂、熊野御坊南海バス㈱・熊野観光開発㈱、JAみくまの農業協同組合。
組頭顧問は松本太一さんで、組頭は片山徹さん、地庵晋司さん、裏敏行さん、山田智也さんの4人が務める。
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■当日のスケジュール
14日の例大祭当日は午前9時から本殿で、本社大前の儀を営み、終了後に御田植式を行う。続いて、10時10分より渡御祭を斎行。扇神輿12体、大たいまつ12本、子の使い、馬扇が出立する。
11時30分に別宮大前の儀を営み、御田刈式、那瀑(なばく)の舞を終えて還幸。午後0時30分に本社還御祭を実施し、同50分には終了予定。
(2022年6月30日付紙面より)
アカウミガメ、熊野川河口に (紀宝町鵜殿 )
紀宝町鵜殿の熊野川河口付近で28日、4年ぶりにアカウミガメの上陸が確認された。2カ所で上陸跡も見つかり、町ウミガメ公園で保護監視員の萩野進也代表は「これまで上陸がなかった場所なので、これからの調査地に追加したい。町内の上陸第1号でうれしく思う。今後の産卵に期待したい」と話していた。
28日早朝、釣りをしていた人が上陸するウミガメを発見し、同町役場に連絡した。職員とウミガメ公園の飼育員・伊藤柊也さんが調査したところ、2カ所のうち1カ所で産卵のために掘った穴を確認した。
紀宝町は1988年に「ウミガメ保護条例」を制定し、上陸・産卵シーズンに保護監視員が保護活動を続けている。今年は1日から開始し、7月末まで毎日パトロールする。
調査を開始した88年には37匹が上陸、20匹が産卵。その後、ほぼ毎年、確認されてきたが、2013年以降、上陸数が減り、18年に1匹が産卵して以来、上陸がなかった。
伊藤さんは「今回確認された2カ所は同じ個体と思われるが、産卵はなかった。ウミガメは失敗しても数日後、近辺に再度産卵に来る可能性が高いのでは」と話している。
(2022年6月30日付紙面より)
7月から介護医療院を設置 (くしもと町立病院 )
くしもと町立病院(竹村司・病院事業管理者、阪本繁院長)が7月から、院内に介護医療院〈Ⅰ型〉を設置する。自治体病院としては県内初設置で、竹村管理者は「病院が目指す形の一つになると考える」と自負する。
介護医療院は、長期療養が必要な要介護者に日常生活上の支援も含めて提供する施設。同病院は今後の増加が見込まれる慢性期の医療・介護ニーズに対応するため、医療スタッフ配置による重度の医学管理や看取(みと)り期のターミナルケアに対応可能な介護医療院〈Ⅰ型〉を7月1日付で設置する。
現行の療養病床40床のうち16床を廃止して規模10床の介護医療院〈Ⅰ形〉に転換するとし、10床の利用を満たした状態で運営を始める。阪本院長は要介護1~5で日常的に重度の医学管理を必要とするが在宅ではサービスを得難い町民に生活をしてもらう場と位置付け、開設後も地域に潜在しているニーズを探り規模の増強や受け入れ幅の拡張(町外対応)などを検討するとしている。
竹村管理者は4年余り地域と向き合う中で医療と介護のシームレス化が求められる実情を感じ、そのために同病院は医療だけでなく介護にも関わらなければならないと思い至り介護医療院〈Ⅰ型〉の設置を目指した、といきさつを語る。
介護医療院〈Ⅰ型〉は4階病棟の一角に設置。仕切りでプライバシーを確保する多床室〈2床〉4室と個室2室があり、老健施設相当以上の生活の場(1床当たり15平方㍍)を提供する。利用者とスタッフ双方に安全安心な介護実現のため、ノーリフティングケアを取り入れている点も特色。当面の入所対象とする町民には同病院広報誌「うみつばめ」第16号(令和4年6月号)などで紹介済み。入所の検討や自宅介護で困っていることなどの相談は入所相談担当(介護支援専門員)に尋ねてほしいとしている。
問い合わせは同担当(電話0735・62・7111〈代表番号から呼び出し〉)まで。
(2022年6月30日付紙面より)
木質バイオマスの発電所 (新宮市 )
新宮市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店の裏手で、新宮フォレストエナジーによる木質バイオマス発電所(川畑智昭所長)が稼働している。発電量は約3200世帯分となる約1680㌔㍗。その発電の具体的な方法や、地域が得られる恩恵について尋ねた。
フォレストエナジーは、東京都に本社がある。新宮の発電所は、昨年の12月末から稼働。川畑所長(46)は新宮発電所の大きな特徴として「既存のボイラータービンではなく、ガス化による発電」を挙げる。「炭小屋で炭を作るとき、空気を絞り炭化させ、煙突からガスを出す。同様の原理でガス化し、そのガスでエンジンを燃焼させ、電気と熱を取り出す」という。
このガス化が、地域林業への大きな貢献をもたらす。「ボイラータービン型の発電所は大型でないと採算がとれず、膨大な量の木が必要。集材に県境を越え、輸入にも頼ることになる。新宮発電所はガス化のおかげで、周囲50㌔ぐらいの地域の未利用材を100%使って、地産地消で発電できる」と明かす。新宮発電所の材はほとんどがスギという。
具体的には、年間で約2万㌧を集材し、新宮発電所内で切削してチップに。これを乾燥させて、ガス化設備に送る。なお乾燥させるのに、発電で発生する熱を利用する。チップはガス化により、バイオ炭となる。熊野地方の農家が、農地用にこのバイオ炭を利用し始めている。他にもバイオ炭は固めると成形炭として利用できるほか、土壌改良材や浄水フィルター、アスファルト混入材などに使用できる。このバイオ炭は、年間で約1500㌧ができる。
発生したガスは、ガスエンジンに送られる。エンジンの回転力を発電機に送って発電する。発電機は500㌔㍗のものが4台あり、合計で2000㌔㍗の発電能力があるが、電力会社の送電容量の関係で出力を抑えている。燃焼で発生する熱は約3800㌔㍗で、約90度の温水として取り出す。
この温水はヨーロッパであれば、利用できるインフラが整っているが、日本にはなく、整備するにも高額。このため新宮フォレストエナジーでは、余剰熱を利用し乾燥チップ製造を行い、同チップの販売先として、今後周辺地域で導入が期待される超小型のガス化発電機「ボルター」向けなどに販売を予定している。ボルターのチップ使用量が年間で約500㌧(生チップベース)、約40㌔㍗(約60世帯分)の電気と約100㌔㍗の熱、年間で約10㌧のバイオ炭を産出する。使用するチップは新宮発電所から供給し、設備メンテナンスも受けられる。
川畑所長は「山をきれいにがコンセプト、それに伴って川も海もきれいになる。林業の未利用材を有効利用し、電気や熱、バイオ炭を生み、それらを活用したサービスを地域に供給することを通じて地域活性化に貢献できれば」と思いを語った。
(2022年6月26日付紙面より)
熊野カフェで意見交換 (那智勝浦町 )
那智勝浦町勝浦の「熊野カフェ」は18日、オープン10周年記念事業の一環として、勝浦観光に関する語りイベント「勝浦温泉の今昔(いまむかし)」を開催した。語り手を務めた「かつうら御苑」会長の中定俊さん(74)が、町の景気が良くにぎやかだった当時の思い出話やまちづくりについて語り、フリートークも行われた。
過去に町観光協会長なども務め、町の活性化に尽力してきた中さん。幼い頃の思い出について、「小さい頃からお蛇浦(じゃうら)海岸や千畳敷でよく遊んだ。近くには旅館があり、有名な役者も来て、時代劇の撮影もよく行われていた」と説明した。
昭和から平成の好景気だった当時を振り返り、「鳥羽・勝浦・白浜は新婚旅行のメッカ。多くの新婚旅行客を迎えた。人口も2万5000人ほどいた。マグロ船も多く、昼も夜もとにかく活気があった」。
体育文化会館やゴルフ場、グリーンピア南紀なども建設され、今後のさらなる発展に期待していたと述べた。しかし、バブルが崩壊し、東京などの大都市は大変な事態に陥っていたとし、同町では3年ほど遅れて影響がやって来たと述べた。
現在においては、コロナ禍が収束して多くの観光客が戻り、町が活気づいたとしても問題があるとし、「人口が当時から1万人ほど減少している。多くの観光客を受け入れ、サービスなどに対応できる人材がいない状態にある」と指摘した。
そのほか、ふるさと納税の利活用や民間と行政の会話・協議の場づくりの重要性を訴えた。中さんは「観光客については民間が努力する部分。しかし、従業員などの雇用の問題は行政の力が必要になる」と語った。
フリートークでは「観光でもうけることができれば、福祉にもお金が使える」「この町が潤うには観光振興しかない」「行政と民間が連携できずに役割分担ができていない」「町民と行政が交わるような基本構想が必要では」など、町の活性化や観光産業についての意見が出された。
同店オーナーの畑中卓也さんは「この町の地理的ハンディを補うのはやっぱり人だと思う。参加された皆さんは心から町を良くしたいと思っている。今後もこのような機会を持ちたい」。
中さんは「人口が減り続けるのは間違いない。常に行政や町、関係者らで対話し、意見を言い合える場が必要だと思う」と話した。
(2022年6月26日付紙面より)
紀宝町には31世帯50人が
昨年度、県外から三重県に移住した人が541人に上り、6年連続で前年を上回った。前年度から約5%増となり、集計を始めた2015年度から6年連続で前年を上回っており、7年間の累計で2460人となった。
移住者数は15年度124人、16年度205人、17年度322人、18年度371人、19年度383人、20年度514人。昨年度の541人のうち市町の補助・助成制度、空き家バンクの利用が半数以上だった。
熊野市、尾鷲市、紀北町、御浜町、紀宝町の東紀州地域には117人が移住し、全体の21・6%を占めた。
このうち、紀宝町には31世帯50人が移住。東紀州地域全体の42・7%に上り、30~40代の子育て世代の転入が目立っているという。
町では移住・定住を支援、推進する町有地分譲、空き家バンク制度をはじめ、生活体験を通して町への移住を検討してもらうお試し住宅制度などを展開。昨年度は移住後の新生活支援制度を新設するなど取り組みを進めてきた。
本年度は、国・県の補助金、交付金を活用し、若者の定住促進、婚活支援、結婚新生活支援などを拡充する。大学などを卒業したUターン、Iターン、Jターン者の奨学金返還支援などを新たに創設するほか、移住者に移住定住支援員を委嘱し、生活体験を通して感じた町の魅力を発信してもらう。
町の担当職員は「支援制度をより充実させ、積極的に移住、定住対策を推進していく」と話している。
(2022年6月26日付紙面より)
三輪崎保で梅シロップ作り (新宮市 )
新宮市の保育所型認定こども園「三輪崎保育園」(中畑元太園長)で23日、5歳児による梅シロップ作りがあった。
毎年恒例の行事で、みなべ町の農家から届いた南高梅で梅シロップを漬け、夏の終わりのウオーターパーティーなどでかき氷にかけてみんなで味わう。
黄色や赤に完熟した南高梅に触れた園児たちは「モモと同じにおいがするよ!」「いいにおい!」と笑顔になり、エプロンと三角巾姿でシロップ作りをスタート。つまようじで丁寧に「おへそ」を取って水で洗い、キッチンペーパーで優しく水を拭き取った。梅を砂糖と交互に瓶に詰めたら完成。
漬け込みを終えた園児たちは「どのくらいで完成するの?」と完成を心待ちにしていた。
(2022年6月26日付紙面より)
プロジェクトチームが発足
新宮市佐野の県立新翔高校(藤田勝範校長)では、本年度から「新翔プロジェクトチーム」が発足。学校の垣根を越えた地域交流やボランティア活動に向けて、新たな一歩を踏み出した。
昨年度末から構想を練り、新翔特別教育プログラムとして本年度から始動した。▽高校生と地域の大人が連携・協働してまちの課題や魅力アップを考える▽多世代交流を通して、地域課題解決型学習を実現▽学校で学んだことを地域(学校外)で生かす―を目的に校内で参加を募ったところ、14人が希望した。
発足してまだ日が浅いため、数回程度しか打ち合わせができていないというが、現在活動に向けて「新翔生お貸しします!」などと書かれたポスターを制作中。新宮警察署より委嘱を受けた「自転車マナーアップ推進リーダー」の活動をはじめとした、各種ボランティア活動や地域貢献活動に向け「活動部屋」で意見交換に熱を込める。
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これまで、イベントやボランティアの開催ごとに参加有志を募っていた同校。窓口の一本化を図る目的でプロジェクトチームを新設した。「地域はマナーやルールを実践する場で、コミュニケーション能力、ボランティア精神を伸ばしていく場。地域の大人と関わる中で、生徒たちの成長を感じた」と藤田校長。「これまで受け身だったが、地域で何ができるかを考えたり、自主的に地域に関わったりしていけたら。地域を盛り上げるための発想が生徒から生まれてきたら最高ですね」と思いを語る。
「新しいことに挑戦したい」と参加を決めたのは、プロジェクトチームリーダーの中村美優さん(3年)。「初めてのプロジェクトだし、高校生活最後の年なのでいい機会だと思った。子どもが好きなので読み聞かせにも挑戦したい」。
鈴木希羅厘さん(同)と松本海優さん(同)は「中村さんに引っ張られて参加した」としながらも「海岸清掃したい」「自分たちで何か作ってフリーマーケットを開いて地域交流したい」と構想を聞かせてくれた。
地域防災活動や新翔ブランドのお菓子の考案などの商品開発も視野に入れている。顧問の宮井貴浩教頭は「まだ始まったばかり。新たな取り組みを活発にやっていきたい。生徒から新しい提案をしていけたら」と期待を寄せる。
中村さんは「これから入ってくる後輩のために、新翔の歴史に残るようなチームにしていきたい。このチームがあるから新翔に入りたい、そんな活動ができたら」と前を向いた。
プロジェクトチームでは「力仕事や幼稚園児・保育園児・小学生などへの読み聞かせなどに、私たち新翔プロジェクトチームが駆け付けます! 手伝えることがありましたらよろしくお願いします」と呼びかけている。
問い合わせは同校(電話0735・31・7087)の宮井教頭まで。
(2022年6月25日付紙面より)
消防本部が啓発活動 (那智勝浦町 )
那智勝浦町消防本部(湯川辰也消防長)は22日、那智勝浦町天満のAコープなち店で熱中症予防を呼びかける啓発活動を実施した。職員4人が、買い物客らに熱中症予防啓発冊子などを配布して注意喚起を行った。
気象条件が変わりやすく、気温の変化が大きいなどの理由から、近年増加傾向にある熱中症。消防庁の発表によると、先月1日から今月19日までの間で、すでに全国で5479人が熱中症により救急搬送されており、昨年同時期より683人増となっている。
屋外だけではなく室内における発生も増えており、全国の救急搬送のうち436人(32・6%)が住居で熱中症になったという。
同町では2019年が12人、20年が10人、昨年が6人、今年4月現在で2人が熱中症の疑いで搬送されている。
関谷善文消防署長は「熱中症は暑い環境の中で体温調節ができずに目まいや頭痛、意識障害などさまざまな症状を起こす疾患。運動だけでなく、室内でも起きるため注意してほしい」。
体調に異変を感じた際については「我慢せずに救急車を呼んでください。普段から小まめな水分、塩分を含んだミネラルなどの補給を心がけていただけたら」と話した。
この日の啓発では職員が買い物客に丁寧に声かけを行い、啓発物資を手渡して注意を呼びかけていた。
(2022年6月25日付紙面より)
和歌山東漁業協同組合に (新宮税務署 )
新宮税務署の山端克明(やまばな・よしあき)署長が23日、適正な申告納税の推進に努める和歌山東漁業協同組合(𠮷田俊久代表理事組合長)に感謝状を贈り取り組みを奨励した。
同組合は5月31日、同署管内でも先駆けて適正申告・キャッシュレス納付推進を宣言。その旨を伝える懸垂幕を串本本所地内から地域に向けて掲げつつ、宣言に基づく実動を始めている。
同署によると県内最大規模となる組合員数約1700人を誇る同組合の実動が他の組合や周辺地域にもたらす波及効果も大いに期待されるところで、この功績は前述した署長感謝対象事項において顕著だとして感謝状を贈るに至った。
この日は山端署長が串本町串本にある同組合串本本所を訪ねて𠮷田組合長へ感謝状を贈り、懇談を織り交ぜて互いの思いを確かめ合ったという。
この感謝状は▽適正な申告納税の推進▽納税道義の高揚▽税務行政の円滑な運営―など税務行政への多大な貢献が認められる取り組みを対象に贈呈。同町内では2017年度に校長会へ働きかけて町立小中学校全校が租税教室に参加する状況をつくり出した町教育委員会が翌18年に納税道義高揚の貢献で贈呈を受けた経緯があり、その時点から数えて今回は約3年7カ月ぶりの誉れとなっている。
(2022年6月25日付紙面より)
U15アジアレスリング選手権大会 (新宮市 )
新宮市、市教育委員会、市体育協会は24日、市庁舎にマナマ(バーレーン)で開催される「2022年U15アジアレスリング選手権大会」の男子フリースタイル48㌔級に日本代表として出場する山本情輔(じょうすけ)君(緑丘中3年)の活躍を願い、応援懸垂幕を掲げた。
山本君は3歳から競技を始め、新宮ジュニアレスリングクラブに所属。昨年11月に駒沢オリンピック公園総合運動場屋内競技場(東京都)で行われた「令和3年度東京都知事杯第12回全国中学選抜レスリング選手権大会」の同階級で4位入賞を果たし、選考基準を満たして日本代表に選ばれた。
20日には新宮市役所を表敬訪問し、田岡実千年市長から「世界大会出場は私たちにとっても楽しみ。支えてくれた大勢の人たちに感謝し、試合に臨んでほしい」と激励を受けていた。
(2022年6月25日付紙面より)
文化審議会が文科大臣に答申 (新宮市 )
国の文化審議会(佐藤信会長)は17日、文化審議会文化財分科会の審議・議決を経て、文部科学大臣に新宮市下本町の「新宮下本町遺跡」(指定予定面積5796・37平方㍍)を国史跡に新規指定するよう答申する。官報告示を経て正式に登録される予定。市内では2003年に新宮城跡附水野家墓所が指定を受けて以降19年ぶりとなる。
国指定史跡は、文化財保護法または文化財保護条例によって歴史上、学術上価値の高いものとして指定された遺跡。現在、全国で1872件が指定されている。市では新宮城跡附水野家墓所のほか、熊野三山(熊野速玉大社他)、熊野参詣道中辺路・伊勢路(新宮市他)、大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)(同)が史跡指定を受けている。
「新宮下本町遺跡」は、熊野川の河口から約2㌔、史跡新宮城跡の西麗の熊野川に面した自然堤防上に立地する中世の港湾関係遺跡。新宮は太平洋航路における重要な港湾としても知られ、平安時代末期以降、主に熊野三山による太平洋航路を利用した各地との交流・交易の記録が残る。
このたびの答申を受け、田岡実千年市長は同遺跡の調査を指導した調査委員会委員や国、県の関係者らの尽力に感謝。
「貴重な文化財を後世に保存・継承する責任の重さを改めて感じている。同遺跡は、丹鶴ホールの敷地で発見された中世の港に関係する重要な遺跡で、市ではその性格や価値の解明を目的として調査に取り組んできた。今後も市民の皆さまのご理解とご協力のもと、保存・管理に努めるとともに地域の宝として活用していきたい」。
速水盛康教育長は「丹鶴ホールの建設に先立ち、同遺跡の発掘調査を実施したが中世の地下式倉庫など港町に関係する貴重な遺構が見つかった。遺跡の保存と施設の建設の両立を目指し、施設設計の変更を行うなどして事業を進めてきた。今回の答申により、取り組みが実を結んだことに安堵(あんど)するとともに、遺跡を保存・継承していくことについて責任を感じている。今後も遺跡の保存に努めるとともに、多くの皆さまにその価値を享受いただけるよう活用していきたい」とコメントを出している。
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■新宮下本町遺跡
2015年以降の市教育委員会による発掘調査によって、12世紀後葉から16世紀中ごろにかけての港湾に深く関係すると考えられる遺跡が確認された。
遺跡は14世紀末ごろから15世紀にかけて最盛期を迎え、熊野川に面した自然堤防の斜面地を石垣に用いて段状に造成した面から地下式倉庫群や鍛冶遺構が検出されるとともに、それに直交して石段を伴う通路が設けられている。また、この時期には出土遺物から交易範囲の拡大が想定されるなど、港湾都市として機能したことが分かる。
同遺跡は中世以降、太平洋航路の重要な拠点であった新宮における港湾や海を介した交流の実態を知る上で重要なだけでなく、中世の海上交通と宗教勢力との関係、平安時代末ごろ以降から全国へ信仰が拡大する熊野三山の経済基盤などについて考える上でも重要となる。
(2022年6月19日付紙面より)
子育て環境充実の一助に (那智勝浦町 )
那智勝浦町は今年4月から、分娩施設を退院した産後1年未満の母子に、助産師ら看護職が中心となって専門的な身体ケアやサポートを行う「産後ケア事業」を拡充させた。町子育て世代包括支援センターへの取材を基に、以後の利用動向を追った。
産後ケア事業とは、母子とその家族が健やかな育児ができるよう、助産師らが▽母親の体調管理やカウンセリング▽母乳育児に関する相談や乳房ケア▽新生児・乳児の状況に応じた育児相談▽育児に必要な社会的資源の紹介―などを行うもの。
2019年に公布された改正母子保健法において、産後ケア事業実施が市町村の努力義務として法定化され、新宮・東牟婁地域でも昨年度までに全市町村が事業化。那智勝浦町では19年度に事業化したものの、20、21年度の利用実績は0回と、活用が進んでいなかった。
この状況を受け、今年4月からは「家族等から育児支援が受けられない」という利用条件を緩和し、1歳未満の子を育てる保護者全員を対象に。従来の母乳相談事業も廃止・統合し、母乳育児に関する相談も同事業で対応する。また、外出が難しい利用者のため居宅訪問型も利用できるよう改善し、利用料金も従来の1回2400円から800円に引き下げた。
6月11日現在の本年度の利用者は8人(通所〈デイサービス〉型9回、訪問〈アウトリーチ〉型1回)と、短期間で利用者増につながっていることがうかがえる。
同センターの保健師は「ぜひ多くの方に利用していただき、子育て環境の充実につなげていきたい」と話し、今後も妊娠届や出生届の提出などで来庁した保護者らへ積極的に周知を図っていくとしている。
近隣市町村の昨年度の利用実績を調べると、新宮市51人(通所型148回、訪問型4回)、串本町7人(通所型12回、宿泊型2回)、古座川町4人(通所型11回)、太地町0人、北山村0人、紀宝町0人。出生数や料金、利用可能回数、母乳相談を統合して運用しているか否かという違いを考慮しても、大きくばらつきがある状況で、今後も動向を追っていく。
(2022年6月19日付紙面より)
非戦、平和願い遠松忌 (新宮市 )
新宮市大橋通の淨泉寺(山口範之住職)で18日、真宗大谷派主催の「遠松忌(えんしょうき)法要」が営まれた。参列した関係者らが雨の中、非戦・平和を唱え、差別と闘った同寺12代住職・高木顕明(けんみょう)師(1864~1914年)の遺徳をしのんだ。
「前(さき)を訪(とぶら)う 今、この時代に聞く非戦・平等の願い」をテーマに毎年営まれている法要。1998(平成10)年に滋賀県大津市の本證寺で有志らが第1回を営み、翌年から新宮市で開かれている。今年25回目で、2000(平成12)年から同派が主催している。
関係者らは、市内の南谷墓地にある顕明師顕彰碑での勤行後、淨泉寺本堂での法要に参列。法要の様子は、動画投稿サイト「ユーチューブ」でライブ配信された。
顕明師は新宮出身の医師・大石誠之助(1867~1911年)らと共に非戦、平和を唱えて活動していたが、明治天皇暗殺を企てたとして1910(明治43)年に連座(「大逆事件」)。死刑判決に処されたが後に無期懲役となった。
事件を受け、同派から除籍の処分を付された顕明師は、無念の中、14(大正3)年6月24日に秋田監獄で自ら命を絶った。96(平成8)年に同派から処分が取り消され、名誉が回復されている。
同所の顕彰碑には顕明師の著作「余が社会主義」の一節「南無阿弥陀仏は真に御仏の救済の声である。闇夜の光明である。絶対的平等の保護である」が刻まれている。
(2022年6月19日付紙面より)
土砂災害啓発センター (那智勝浦町 )
那智勝浦町市野々の和歌山県土砂災害啓発センター(稲田健二所長)では、国土交通省が定める土砂災害防止月間である1日から30日(木)までの間、特別企画展の開催やセンターを紹介する動画を公開中だ。県民に対し、早い避難の啓発や危険区域把握の周知を図っている。
土砂災害防止月間は住民が自分の命を守るべく、「みんなで防ごう土砂災害」をスローガンに、防災知識の普及や避難訓練などの催しを実施し、土砂災害による人命、財産を守ることを目的とした月間。
1982(昭和57)年7月に長崎県長崎市を中心に大きな被害を発生させた「昭和57年7月豪雨」(長崎大水害)が契機となった。また、1~7日はがけ崩れ防災週間になっている。
センターによる特別展は2020年から開始。展示では▽同町井関在住で紀伊半島大水害語り部の防災士・久保榮子さんの体験紙芝居(コピー)や動画公開▽土砂災害の実例など解説をしたパネル▽令和3年度の小中学校における防災学習感想文▽和歌山工業高等専門学校の学生が開発した防災ロールプレイングゲーム(RPG)の体験▽「紀伊半島大水害豪雨~平成23年台風12号、新宮市映像の記録~」などの動画公開―もある。
さらに今回は、防災RPGにおいて、日高川町にある各小学校エリアに特化して、授業で取り組んだ14校分のディスクや土砂災害防止に関する絵画・作文コンクールの作品なども展示されている。
稲田所長は「これから雨の多い梅雨時期に入るため、災害のリスクも高まる。普段から自宅の周辺の危険な箇所や避難経路を確認いただき、気象情報などに注意して、災害時は早めの避難を心がけていただけたら幸いです」と話している。
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センターでは多くの人々にセンターの役割などを知ってもらおうと、職員が同月間に合わせて紹介動画「きいちゃんと学ぶ 土砂災害啓発センターってどんなところ?」を作成。初の試みである動画は5月25日から公開している。
動画では、和歌山県PRキャラクター「きいちゃん」が観光地である同町を巡っている際に周囲にある砂防えん堤を発見。疑問を持ってセンターに入り、展示品や実験を通じて、その役割や土砂災害について学びを深め、センター紹介する内容となっている。
動画はセンターホームページや動画投稿サイト「ユーチューブ」でも配信されている。なお、センター内だけでなく、屋外の窓ガラスからも動画が見られるように、外向きにモニターを設置するなどの工夫も行っている。問い合わせは同センター(電話0735・29・7531)まで。
(2022年6月8日付紙面より)
本年度プレミアムお買物券 (串本町商工会 )
串本町商工会(須賀節夫会長)が5日、本年度第1回のプレミアムお買物券発行を始めた。発行数は3000セット(1セットは500円券22枚つづり)。文化センターそばにある商工会館(串本2410番地)で売り切れるまで販売するとしている。
この発行は、町の小売店舗等消費拡大推進事業の補助適用を受けて実施。1セット1万円で販売していて、1人につき5セットまで購入でき、購入時は家族3人分まで代理購入が認められるため、最大で20セットを入手できる。有効期限付きの商品券で、掛け金の支払いには使えず、釣り銭が出ないため購入金額を補助する形での利用が前提。今回の有効期限は8月31日(水)までで、町内の取扱参加店約140店舗で使用できる。
本年度も感染症予防を意識しながらの発行開始で、初日は役員と職員が手分けして同館と中湊コミュニティセンターに発行窓口を設置。取扱店舗を記載したチラシと合わせて希望セット数を販売した。6日以降の窓口は平日午前9時~午後5時に同館内で設け、売り切れるまで発行を続ける。
2002年に始まり20周年の節目を迎えた同券。須賀会長は「この発行は取り扱いに参加する店舗の大きな支えになっています。ご購入いただいた皆さまには有効期限もあるがお早めにご活用いただけるとありがたい」と地域経済循環の刺激になる成果を期待し、初日の同館発行窓口で円滑に購入できるよう会場整理に当たるなどしていた。
取扱参加店の情報は、同券に記載しているQRコードを通信端末で読み込むと閲覧できる案内地図「まぐトルマップ」でも確認できる。問い合わせは同商工会(電話0735・62・0044)まで。
(2022年6月8日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で6日、「梅の日記念式典」が営まれた。田辺市やみなべ町など、梅産地の各団体でつくる「紀州梅の会」(会長・真砂充敏田辺市長)の会員や関係者ら約50人が参列。豊作や業界の発展を祈願した。
梅の日は1545年6月6日、雨が降らず人々が困っていたことを知った後奈良天皇が賀茂神社の例祭(現在の葵祭)に梅を奉納し祈ったところ、大雨が降り出し五穀豊穣(ほうじょう)をもたらしたという故事にちなむ。梅が実り、収穫が本格的に始まる時季にも当たる。
同会は1969年に設立され、県内産地の首長や生産者組合らで組織。2006年に毎年6月6日を「梅の日」と定め、みなべ町の須賀神社や京都府の上賀茂神社と下鴨神社にも梅を奉納しており、東京都などでもさまざまなキャンペーンを催してPRを実施している。
式典では祝詞奏上後、九鬼宮司と参列者らが神前に置いたたるに紀州梅、塩、お神酒を入れる「梅漬けの儀」を営んだ後、巫女(みこ)が神楽「豊栄(とよさか)の舞」を奉納した。この日漬けられた梅は、紀州梅の会がいったん持ち帰り、梅干しとして完成させた後に改めて同大社に納める予定となっている。
参列した紀州田辺梅干協同組合の大谷喜則理事長は「『梅はその日の難逃れ』『番茶に梅干し、医者いらず』といったことわざもあり、梅は長い伝統と歴史に裏付けられた健康食品。梅干しにコロナウイルスの増殖を抑える効果があるとの研究成果も発表された。多くの人に紀州梅を食していただき、健康な日々を過ごしてほしい」。
九鬼宮司は「生産者の方々にはコロナ禍で試行錯誤の中、育てた梅を納めていただいた。梅ポリフェノールに新型コロナウイルスの感染を阻害する効果があるとの発表があった。梅の素晴らしさを改めて感じている。梅の力で多くの人が健康で過ごし、一日も早く新型コロナが収束することを祈念している」と話していた。
(2022年6月8日付紙面より)
新宮弓友会主催の月例射会
他3選手も近畿大会出場決める (新宮高校レスリング部 )
卓球・ソフトテニス・バレーボール
県内行進、新宮市で最終日 (国民平和大行進 )
原水爆禁止和歌山県平和行進実行委員会は、核兵器廃絶を訴えながら被爆地広島・長崎を目指す「国民平和大行進2022」を実施している。5月6日に橋本市から始まった県内の日程は2日をもって終了。今後は三重県に引き継がれ、8月4日(木)に終結地の広島県の広島平和記念公園に到着する予定。
広島と長崎に原爆が投下されて77年目。2017年7月、国連総会で賛成122、反対1の大差で核兵器禁止条約が採択され昨年1月22日、50カ国を超える国々の参加で国際法となった。なお、唯一の被爆国である日本は参加も批准もしていない。
平和大行進は1958年6月、たった1人の行動から始まった。現在では全都道府県および8割以上の自治体を通過し、毎年10万人の人々が参加する国民的行動となった。
条約発効後2回目となった今年の平和行進。新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、昨年に引き続き従来通りの集会と行進を中止。核兵器のない平和な世界への願いを署名とペナントに託し、各自治体を宣伝カーでつないだ。
和歌山県最終日の2日、新宮市では、市役所駐車場で出発集会があった。紀南地区労働組合協議会の岸本芳明事務局長は、ロシアによるウクライナ侵攻、日本で米国の核兵器を配備して共同運用する「核共有」の議論を求める声が上がっていることなどに言及。「今やるべきことはウクライナからのロシア軍の撤退、国連憲章に基づく平和と核兵器の禁止・廃絶を求めていくこと。唯一の被爆国である日本が一日も早く核兵器禁止条約に署名し批准するように求めていきたい」とあいさつした。
田岡実千年市長は「ロシアによるウクライナ侵攻により国際社会の平和と安全が脅かされており、地球上には人類を絶滅させるほどの大量の核兵器が蓄積・配備されている。こうした状況の中にあって唯一の被爆国であるわが国の果たすべき役割は極めて重要」。
「平和行進にご参加の皆さんの行動を支持し、共に力を合わせて核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向かって前進したい」と激励した。
原水爆禁止和歌山県協議会の里崎正事務局長が諸報告を行い、和歌山市民生協の杉岡龍一さんが「2022原水爆禁止広島大会の成功を目指して共に頑張りましょう」と決意表明。参加者らは核のない世界恒久平和の実現に向けて行進を開始。三重県に宣伝カーをつないだ。
(2022年6月4日付紙面より)
神倉小4年生がふるさと学習 (新宮市 )
新宮市立神倉小学校(藪中秀樹校長)の4年生71人は5月31日、市内各所でふるさと学習のフィールドワークを実施した。児童は各クラス2班に分かれ、新宮城跡、浮島の森、神倉山、徐福公園へと赴き、地域の歴史や文化について学びを深めた。
学習は同校運営協議会(下岡輝子会長)による「ヤタガラス子ども未来プロジェクト」の一環。まちの歴史や文化を学び、愛着を持ってもらおうと、同協議会メンバーを中心に有志ボランティアの協力を得ながら取り組んでいる。4月18日には、下岡会長をはじめコーディネーター5人が来校し、事前授業が行われた。現地で学んだ内容や感想は後日、壁新聞などで発表する予定となっている。
児童らはガイドブックや取材用紙を手に同校を出発。各班にはコーディネーターなどのボランティアも同行した。1組の「おいの伝説班」17人は東くめ生家跡を訪れた後、「新宮藺沢(いのそ)浮島植物群落」(浮島の森)で学習。市観光ガイドの会の赤嶋恵子さんから浮島の森の成り立ちや同所で見られる動植物について教わった。
旧千穂小学校時代の図工クラブの児童たちが1986(昭和61)年度に卒業記念として制作した紙芝居「浮島の森」で伝説の復習もした。
赤嶋さんは「昔、この場所は海の中にあった」「寒い所と暖かい場所に生息する植物が混じり合うように生えています」などと説明。子どもたちは熱心にメモを取り、敷地内の珍しい植物や昆虫を観察して回った。
森岡源氏君は「『お正月』などの有名な歌が、新宮出身の東くめさんが作ったのが印象に残った。楽しかったです」。米良晄君は「昨年、新宮市に引っ越してきたので、勉強になった。世界遺産のある町で、これからもいろんなことを調べたい」と話していた。
(2022年6月4日付紙面より)
ジオ興しチームと橋杭小 (串本町 )
串本町域を枠組みにして地質資源活用の在り方を考える集まり「ジオ興しチーム」が2日、町立橋杭小学校(溝内聡子校長)の6年生12人と連携して橋杭岩保全活動に取り組んだ。
町産業課や町教育委員会教育課、同町商工会や南紀串本観光協会の各職員と町内で活動する南紀熊野ジオパークガイドで結成する同チーム。会議を開いて前述した在り方を模索する中で町域へさらに考える裾野を広げる必要があると気づき、その足掛かりとして町域でも特に象徴的なジオサイト「橋杭岩」を架け橋にして同校と連携することを考えた。
同パークの学びを通して地域への愛着を深め、その精神で保全活動に取り組んで考えるきっかけを託すという筋道をこの活動の狙いとし、連携の誘いを受けた同校は総合的な学習の時間の成果としてこの狙いを組み込み。その達成のための内容を準備してこの日の実動へとこぎ着けた。
当日は潮岬にある同パークセンターで合流し、同チームの上野一夫さん(同ガイド)をリーダーに立てて活動を始めた。序盤は上野さんが橋杭岩の成り立ちの背景にある大地や人の営みなどを解説して理解と愛着を深め、中盤は橋杭岩前へと移動し本来はそこにないはずの石類(コンクリートや陶器、ガラスなど)を判断して拾い集める保全活動に両者一丸で取り組んだ。昼食休憩を経て終盤は活動の振り返りをして締めくくったという。
中盤までの内容を経て橋杭小の中海琴さんは「このごつごつとした岩が地震とかで動いているという話が印象に残った。橋杭岩はすごいし日本一だと思うけど、何がいいのかもっと知りたいなと思った」と印象を語った。
今回の活動は橋杭小との連携を前提にして考えた内容で、同チームは学校だけでなく町内のいろいろな集まりと互いにできる内容で連携して町域全体に活用の考えを広めていきたいとしている。問い合わせは同チームの事務局がある町産業課(電話0735・62・0557)まで。
(2022年6月4日付紙面より)
細密鉛筆画家・篠田さん (熊野那智大社 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で2日、神奈川県出身で細密鉛筆画家の篠田教夫さんが手がけた「那智瀧図Ⅱ―夜―」「那智瀧図Ⅲ―霧―」2作品の奉納があった。篠田さんは那智勝浦ロータリークラブ(那智勝浦RC)の後誠介会長と共に同大社を訪れ、奉納参拝を行った。
篠田さんは鉛筆による細密描写、迫真表現で自然の造形の社寺などをテーマに作品を発表している作家で、「高野山・熊野を愛する百人の会」メンバー。2017年に那智勝浦RCの招きで、初めて同大社に「那智瀧図」を奉納しており、今回で3作目となった。
「那智瀧図Ⅱ―夜―」は4年前に、「那智瀧図Ⅲ―霧―」は昨年4月ごろに完成した作品。
昨年11月には那智勝浦RCの創立60周年記念事業で、「紀の国わかやま文化祭2021(第36回国民文化祭・わかやま2021、第21回全国障害者芸術・文化祭わかやま大会)」応援事業の一環として「細密鉛筆画家 篠田教夫展―神仏宿る細密画の世界 那智瀧図にはじまる―」を町内で開催している。
奉納を受け、男成宮司は「以前に奉納いただいた分も含め、素晴らしい作品。大社にとって滝は神様。精神的で、宗教的な印象も感じます」。
後会長は「本来なら昨年に奉納する予定だった。コロナ禍で半年、遅れることになり残念。しかし、このような形で篠田先生と熊野に関わりができ、深まっていただけてありがたい。次の作品も楽しみにしています」と話した。
現在4作目の作画に挑んでいるという篠田さんは「那智の滝は、風や水量の作用などで印象が変化する。さまざまな表現形態を考えた際、那智の滝一つだけでその全てが可能になる。追求する間に一生を終えてしまうほど。今後も表情の違う那智の滝を描いていきたい」と語った。
なお、篠田さんは11日(土)から25日(土)までの間、水墨画家の山口英紀さんと共に東京都の日本橋茅場町の「Gallery Suchi」で「篠田教夫・山口英紀 二人展」を開催する。
(2022年6月4日付紙面より)
訪日観光解禁に向け
訪日観光ツアー実証事業の参加者4人が5月29日、那智勝浦町を訪れた。参加者らは熊野古道を散策するなどして、当地方の文化や歴史に触れた。
岸田文雄首相は26日、訪日外国人観光客の受け入れを6月10日(金)から再開すると表明。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため当面、旅程を管理しやすい添乗員同行のパッケージツアーに限定する。
訪日観光客の解禁は、新型コロナ感染症の世界的な流行で往来が途絶えて以降約2年ぶり。政府はコロナ禍で疲弊した地域経済を立て直す構えだ。
同実証事業は、訪日観光再開に向け、感染防止対策の順守方法や、緊急時対応などについて検証を行い、旅行会社や宿泊事業者などが留意すべき点をまとめた「ガイドライン」を策定し、関係者間に周知を図る目的で実施。▽効果的な感染防止対策の順守方法▽陽性者発生時を含む緊急時の対応▽陽性者の発生状況―などを検証する。
同事業の出発国は変異株に対する非指定国で、かつ訪日重点市場。ワクチン3回目追加接種済みの者を対象とする。受け入れ地域は緊急事態宣言などが発令されておらず、都道府県が同意した地域のみ。
同事業第1便は先月24日、米国から成田空港に到着。第14便のシンガポールを出発した4人は、27日に和歌山県に到着。4泊5日の日程で白浜町や那智勝浦町、古座川町、田辺市などを観光し31日に帰国した。
ガイドや通訳と共に大門坂を散策した一行は「夫婦杉(めおとすぎ)の樹齢が800年と聞いて驚いている。熊野地方は交流サイト(SNS)で写真を見た。実際に見ることができてうれしく思う。那智の滝が楽しみ」。
県内の感染対策に対して「飲食店などでソーシャルディスタンスの確保やマスク着用、手指消毒など、ピクトグラムで示されていて分かりやすく安心できる。人々もしっかり守っていると思った」と評価した。
国の受け入れ緩和や和歌山県への来訪について「次は公共交通を利用するかレンタカーを使うか、すでに考えているところです」と笑顔で話した。
訪日客は2018年に3000万人を突破。しかし新型コロナ流行に伴う水際対策や、各国の渡航制限で20年2月は前年同月比58・3%減少。4月以降はマイナス99・9%と記録的な落ち込みが続いた。なお、和歌山県では19年の訪日宿泊客数は最多となる約50万人を記録したが、20年には4万5000人ほどに落ち込んだ。
外務省は5月26日、感染者数が減少傾向として、米英両国や香港など36カ国・地域の感染症危険情報を不要不急の渡航自粛を求める「レベル2」から、十分な注意を促す「レベル1」に引き下げた。
(2022年6月1日付紙面より)
自主防災組織連絡協議会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町自主防災組織連絡協議会(中路進会長)は5月27日、同町体育文化会館で「令和4年度第1回自主防災組織連絡協議会」を開催した。会議では令和3年度の事業実施報告や収支決算、本年度の事業計画について協議を行い、全議案が承認された。
町内の34の自主防災組織で組織される同協議会。これまでに土砂災害防災訓練や町内統一津波避難訓練、孤立集落通信訓練などに取り組んきた。
また、防災意識向上を目的に、和歌山気象台や東日本大震災の語り部などを講師に招いて研修会も実施している。
中路会長は「新型コロナウイルス感染症終息のめどは立たないが、さまざまな工夫をしながら、協議会の運営を進めていきたい。皆さま方には一層のご支援をよろしくお願いします」。
来賓の堀順一郎町長は「皆さまには日頃から安心安全のためにご尽力いただき、感謝しております。町政において、最も重要なことは町民の命を守ること。4年間でソフト・ハードともに整備に努めてきた。しかし、防災意識を高めて、少しでも安全な場所へ避難していただくことが大事。町としても実践に即した訓練をしていきたい」とあいさつした。
本年度の事業は▽5月28日実施の土砂災害避難訓練▽11月5日(土)に実施予定の町統一津波避難訓練▽孤立集落通信訓練▽災害避難ゲームによる図上訓練▽第17回自主防災組織合同研修会▽視察研修▽防災教育▽県自主防災組織情報連絡会情報交流会―などを計画している。
事務局の町総務課防災対策室からは土砂災害から命を守るために、大雨警報の危険度分布がリアルタイムで確認できる気象庁ホームページの「土砂キキクル」の活用を呼びかけたほか、避難情報などの発表・発令される状況および住民がとるべき行動、南海トラフ地震の防災対策推進計画や感震ブレーカーの補助制度、津波注意報等発表の際の避難行動、津波避難訓練アプリ「逃げトレ」などの説明も行った。
(2022年6月1日付紙面より)
展示、公開に歩み進める (新宮市 )
新宮市下本町の劔持幸代さんは5月26日、市役所を訪れ田岡実千年市長を訪問。劔持家に伝わる「慶喜奏聞書」実物を持参し「多くの市民に見ていただければ」と奏聞書を託した。市はいったん奏聞書を預かり、市文化複合施設「丹鶴ホール」で展示公開する方向で調整を進めていく予定だ。
江戸幕府かつ日本史上最後の征夷(せいい)大将軍、徳川慶喜。江戸末期、「薩長同盟」が成立し倒幕への動きが加速する中、慶喜は1867(慶応3)年10月に政権を朝廷に返上。劔持家の「奏聞書」には大政奉還に対する慶喜の苦悩がつづられており、本人直筆ではないものの、慶喜の心情を今に伝える貴重なものとなっている。
和歌山信愛大学非常勤講師の小山譽城・歴史学博士の鑑定によると「将軍職を辞退し、天下の公議を尽くして政権を運営するようにと朝廷に政権を返上したにもかかわらず、列藩の衆議もなく、薩摩・長州の藩士らが幼い明治天皇の近くにいて勝手な振る舞いに及んでいることは嘆かわしい」とし、天皇と万民の安心できる国にしたいという慶喜の願いがつづられている。翌年1月3日、鳥羽・伏見の戦いが勃発。激戦の結果、旧幕府軍は敗退することになる。
奏聞書は新宮藩最後の藩主・水野忠幹(ただもと)に送られたもので、大政奉還後に記されたもの。慶喜の幕臣であった渋沢栄一の「徳川慶喜公伝」や「南紀徳川史」に記録は残るものの、現物が世に出るのは珍しい。
なお、「徳川慶喜公伝」には「本書は大目付戸田忠愛携へて、十二月十八日の夜、大坂より上京せるも、岩倉具視・及松平慶永・山内豐信等の抑止する所となりて、遂󠄂に呈出せず」(原文ママ)とあることから、天皇の元に届かなかったことが分かる。同奏聞書は、12月19日に大坂城で尾張と越前の大名に渡されたほか、23日に江戸城に総登城した万石以上の大名らの手に渡り諸藩へ。当時、江戸詰だった忠幹に渡されたのは26日とされている。
和歌山城郭調査研究会の小渕伸二さんによると「大政奉還を申し出る奏聞書や江戸城総攻撃をやめるよう求めた奏聞書、いわゆる天皇の元に届いたものは現存するが、同奏聞書は新政府ににらまれることを恐れてその多くが処分されたのでは」と推測する。
長州征伐では幕府軍の先鋒(せんぽう)を務めて唯一戦果を挙げ、天誅(てんちゅう)組の変で公平な裁きを見せるなど、慶喜の信頼も厚かったとされる忠幹。劔持家は1619年に水野家が新宮城領主として入部した際に側用人として浜松から入国したという家系で、忠幹が大きな信頼を寄せていたことから同奏聞書を預かる立場であったと思われる。なお、劔持家では、1946年の昭和南海地震に伴う火災により、多くの貴重な資料が焼失。同奏聞書とアルバム数冊のみが被害を免れたという。
奏聞書を手に取った田岡市長は「責任を持ってお預かりさせていただきたい。貴重な奏聞書。展示して広く見ていただければ」と劔持さんに伝えた。
(2022年6月1日付紙面より)
県宇宙教育検討会議始まる (串本古座高校 )
第1回和歌山県宇宙教育検討会議(座長=中須賀真一・東京大学大学院教授、委員7人)が5月30日に県立串本古座高校(榎本貴英校長)であり、中須賀教授によると今回は検討のベースとなる議論を進めたという。
普通科宇宙探究コースの2024年度開設に向け本年度から2カ年の準備期間に入った同校。その取り組みに対して幅広い分野の有識者から専門的知見を得るため、県教育委員会と共に有識者の協力を求めて同会議を設置した。
委員は▽伊東千尋・和歌山大学学長▽遠藤守・スペースワン株式会社最高顧問▽尾久土正己・同大学観光学部教授▽河本聡美・宇宙航空研究開発機構(JAXA)研究開発部問第二研究ユニット研究領域主幹▽富田晃彦・同大学教育学部・教職大学院教授▽永崎将利・Space BD株式会社代表取締役社長▽中須賀真一(東京大学大学院工学系研究科教授)―の7人。対し宮﨑泉教育長ら県職員4人と榎本校長ら同校教員2人が事務局として名を連ねる布陣としている。
今回は現場を確かめるため同校を会場にして実施。事務局を代表して宮﨑教育長、委員を代表して中須賀教授が同会議に懸ける思いを交わし合い、以降は非公開で約3時間の協議に臨んだ。
この日の議事は「同コースにおけるカリキュラムや開設科目等」。今回特に取り決めた事柄はなく、県教委や同校の現時点の考えを委員に伝えて各委員が自身の立ち位置から宇宙教育への期待や展望を交えた意見を注ぐ流れで、今後の検討に欠くことのできない委員―事務局間の相互理解を主に図ったという。
委員協力はコース開設までの2カ年とし、同会議は年3回の頻度で開く予定。その中でまずは本年度中にカリキュラムなど大枠、2年目はその詳細を詰める検討を進める。県教委と同校はそれら成果となる提言を取り入れて同コースのカリキュラムなどを決めていく。
初の会議を経て榎本校長は「単に物理や数学を学ぶだけでなく、宇宙を題材にして生き方やチャレンジ精神を持つ生徒を育てていきたい。委員もそのような教育を考えてくれていた」と協議の印象を語った。
(2022年6月1日付紙面より)