児童が収穫、販売も (那智勝浦町 )
那智勝浦町立勝浦小学校(山下真司校長)は28日、同町南大居の畑で、3年生43人を対象にしたナスの収穫体験を行った。児童が畑に実るナスを収穫し、袋詰め。町内商店での販売までを行い、地産地消の重要性を学んだ。
新宮周辺地場産青果物対策協議会(会長=小田三郎新宮中央青果社長)とくろしおナス組合(松本安弘会長)の協力により、社会科の授業で農業を学ぶ3年生を対象に毎年実施している。食育や地産地消の重要性、地元野菜の産地などを教えている。
今回は、前日に松本会長と新宮広域圏公設地方卸売市場の中本勝久市場長が、学校を訪問。事前学習会を行い、ナスに関する基礎知識を伝えた上で、この日の収穫に臨んだ。収穫は組ごとで2回に分けた。畑は松本会長の所有で、大ぶりのナスがいくつも実っていた。
児童らは、松本さんの指導を受け、ナスを1人5個ずつ、はさみで切り取って収穫。「大きい」などと歓声を上げ、収穫したナスを仲間と見せ合い競っていた。
収穫したナスのうち、2個は販売用に袋詰め。見た目がきれいなものを選び、事前に児童が書いておいたメッセージカードも入れた。カードには「太田の畑で作ったナスです」「朝取ってきました。新鮮です」などと書かれていた。残る3個は持ち帰り用とした。
中本市場長は「取れたてのナスは栄養たっぷり。でも日がたつと、しわしわになり、色が落ち、栄養もなくなってくる。できるだけ新鮮な地元産のナスを食べて。安心安全な地元の野菜を知っておいて」と呼びかけた。
濱新平君は「楽しかった。取れたナスはマーボーナスや漬物やみそ汁で食べたい」。豊田香菜さんは「(収穫は)初めてだったけどうまくできてよかった。ナスは栄養たっぷりでおいしい。マーボーナスで食べたい」と話した。
この後、袋詰めしたナスは、同町築地の中西商店の協力で、同店で児童が販売した。
(2022年6月29日付紙面より)
みくまの農業協同組合(JAみくまの、漆畑繁生代表理事組合長)は25日、那智勝浦町体育文化会館で第21回通常総代会を開いた。総代総数510人のうち、117人(議決権行使346人)が出席し、赤字が続くAコープこざ店の閉店などを含む9議案全てを承認した。
漆畑代表理事組合長は令和4年度は、8支所から5支所1ふれあい店体制へと統廃合したなどの拠点再編を実施したと報告。「JAが地域に貢献できる組織であるためには、持続可能な経営基盤の確立が不可欠だが、さらなる経営努力の必要がある。ご承認をお願いいたします」とあいさつ。
▽令和3年度の事業報告、剰余金処分の承認▽定款の変更▽Aコープこざ店の閉店▽第8次総合中期計画の設定▽第5次JAみくまの農業振興計画▽令和4年度事業計画の設定▽令和4年度における理事報酬の決定―などが審議された。
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3号議案は串本町西向にあるAコープこざ店の閉店についての審議。同店は、1987年にオープンし、98年8月に改装後、小規模な修繕を経て現在に至っている。
事務局は現在、老朽化で屋根、外壁、トイレの大規模修繕や、フロンガスの規制によってショーケースの入れ替えも必要であると説明した。
事業収益は2016年度が5億3407万1000円だったが、19年度は4億547万1000円と大幅に減少。18年度以降、労務管理の観点より、日曜休店が余儀なくされ、来客数にも影響を及ぼしたとした。
20年度から全日営業に戻したが18年度以降、4期連続で赤字が続く。検討を重ね、地域の人口動態・競合店の影響、収支シミュレーションを勘案し、今年9月末での閉店に至ったという。
総代からは「閉店は他店舗の影響があったのか。とくし丸の巡回は」と意見が上がった。漆畑代表理事組合長は赤字や人口減少などから苦渋の決断だったとし、「地区懇談会も開いた。全農と提携するコンビニのファミリーマートに店舗を引き継いでもらえないか打診したが、周辺350㍍圏内の人口が約500人で、平均日商までの見込みは厳しいため、出店不可との回答があった」。
今後の対応として「買い物難民のためにも、店舗周辺で移動スーパーのとくし丸を運行させ、対応する」と答弁し、賛成多数で承認された。
同店の閉店を受けて、同町在住の60代女性は「車がない高齢者の方は大変だと思う。よく買い物に行くので閉店は残念です」と話していた。
(2022年6月29日付紙面より)
人見建設、全社規模で (串本町 )
串本町の建設会社・株式会社人見建設(人見健一社長)が27、28日の2日間、串本町くじ野川にある橋杭ビーチのボランティア清掃に取り組んだ。
紀の国わかやま国体串本町会場への協賛や新型コロナウイルス感染症予防のための資材寄贈などさまざまなかたちで地域貢献を重ねている同社。この清掃は社長発起をきっかけにして全社規模でおととしから取り組むようになり、今年も町に申し入れ了解を得て計画。社員一丸で日頃の仕事の段取りをつけ、2日間の実施へとこぎ着けた。
当日は重機(パワーショベルなど)も持ち込んで奉仕。今年は人力では動かしがたい流木が無かった反面、はだしで歩くとけがをしそうな細かい流木などのごみが目立ったためまずそれらをかき出し、一冬の間に風で陸側へと寄った砂を浜へ戻してならした。
重機が使いづらい砂浜と芝地の間にたまった砂は、階段状の護岸構造を傷めないようシャベルやブロワー、ほうきなどを使い人海戦術で対処。今年は了解の一端で売店「ビーチハウス・ラパン」横の芝地に長年堆積した砂にも対処し、若干芝を剝ぐ状態となったが平らな敷地を取り戻した。
同ビーチは近年、春~秋(4~10月)の3季活用をしていて、同ウイルスの情勢に伴い最近は教育旅行によるシーカヤックなど各種アクティビティーの利用も活発。7月2日(土)から8月31日(水)までは橋杭海水浴場が感染症予防対策を講じつつ開設されることになっていて、今年はそれら用途で多用されている範囲を中心に整えた。
人見社長は「新型コロナウイルスに伴う外出自粛も和らぎ、5月の連休は多くの観光客が橋杭岩へ訪れていた。海水浴場の利用も似た感じで増えると思うし、訪れた皆さんに『海水浴場もきれいだったよ』と言ってもらえるよう今年も頑張りたい」と胸中を語り、社員と横一線で作業に励んでいた。
(2022年6月29日付紙面より)
消防署が水難救助訓練 (新宮市 )
海水浴など水辺でのレジャーシーズンを前に新宮消防署(堀切学署長)は28日、新宮市三輪崎の三輪崎漁港で水難救助訓練を行った。同署警防隊ら20人が溺者救出方法などを再確認した。
訓練は水難救助現場を安全・確実・迅速に対応できるようにすることを目的に毎年実施。現場活動に関する基本的な救助技術の再確認および個人の基礎泳力強化し、消防組織としての災害活動能力の向上を図る狙いもある。当初は21日に予定していたが、雨天により延期となっていた。
署員たちは、救命索発射銃「浮環弾」の取り扱いやスローバックと浮環の投入、水難救助用担架を使用するなど、指揮者の指示を受けながら、安全管理を徹底した上で訓練に取り組んだ。
大西聡副署長は「当地方は海や川に囲まれた水辺のレジャーが盛んな場所です。しかし毎年、全国的に水難事故が絶えない状況となっているため、今後も継続して訓練を続けていくことが重要だと思っています」と述べた。
また、海だけでなく川においての事故にも注意を促し、熊野川には多くの支流があることから、ダムの放水状況の確認や気象状況にも注意することが大切とし「自身の命を守るためにも事故防止への意識を高め、レジャーを楽しんでもらえれば」と呼びかけていた。
昨年度中に市内で発生した水難事故は4件、本年度は6月現在で3件。今年は、三輪崎海水浴場が7月10日(日)、高田自然プールは15日(金)に開設する予定となっている。
(2022年6月29日付紙面より)
県小学生バレー男女大会東牟婁地方予選
第8回王子カップ2022
王子ヶ浜にアカウミガメ上陸 (新宮市 )
新宮市の王子ヶ浜で14日早朝、アカウミガメの今期初産卵が確認された。午前5時前、ウミガメの保護活動を展開する「紀伊半島の海亀を守る会」の榎本晴光会長が卵を発見した。
同浜は絶滅危惧種・アカウミガメが訪れる世界でも数少ない海岸の一つ。同会は、波浪流失や小動物の捕食被害からアカウミガメの卵を守るための保護活動を行っている。
アカウミガメの上陸・産卵シーズンは5月中旬から8月半ばごろまで。1回の産卵で平均110~120個の卵を産み、60~80日でふ化する。卵は海岸に隣接するふ化場に移し、ふ化した子ガメは秋ごろに同会や関係者らの手によって海に戻される。
なお、昨年は例年より早めとなった5月20日に初上陸および初産卵を確認。以降、再度上陸が確認されたが産卵はなかった。初産卵で98個の卵を発見。うち、ふ化した14匹を放流した。
5月から同浜での早朝ウミガメパトロールを開始した榎本会長。この日は同浜の南端、御手洗海岸寄りの波打ち際から約60㍍付近での産卵を確認。60㌢ほどの深さの穴から、ピンポン球大の卵127個が見つかった。
風雨が吹き付ける中、一つ一つ丁寧に卵を採取した榎本会長は「今シーズンの初産卵にほっとした。シーズンはまだ続くので今後の上陸と産卵に期待したい」と話していた。
(2022年6月15日付紙面より)
串本・新宮駅で災害パネル展 (新宮警察署 )
新宮警察署は、JR串本駅と新宮駅で災害パネル展を実施している。
出水期(梅雨)を迎えるに当たり、住民の防災意識の向上を図るとともに、災害現場などでの活動に理解を深めてもらおうと実施。2011年3月に発生した東日本大震災、同年9月の紀伊半島大水害などの被災状況や、警察による災害現場での活動状況などを記録した写真、両駅合わせて約20点を展示している。
11年前の水害発生当時、勝浦幹部交番で勤務していた同署の谷英人警備課長。変わり果てた自身の生まれ故郷を目の当たりにし、その凄惨(せいさん)な状況が目に焼き付いているという。
「ここ数年でゲリラ豪雨による水害や土砂崩れ、洪水などの災害が増えており、いつどこで起こるか分からない。普段から避難場所や避難情報を確認し、有事に備えてほしい」とパネル展に託した思いを話した。
展示は両駅とも19日(日)まで。
(2022年6月15日付紙面より)
町道サンゴ台中央線が全通へ (串本町 )
串本町の田嶋勝正町長が14日、町道サンゴ台中央線の未供用区間が7月1日(金)付で開通することを明らかにした。
この区間は西の岡からサンゴ台団地南端を結ぶ延長約1242㍍の新道で、将来の町道化を見据えたすさみ串本道路の工事用道路として整備された。車道は幅3㍍強の対向2車線。沿線にくしもとこども園新園舎(建設中)や統合小新校舎(建設前、現行で串本小と橋杭小の統合校としている)の用地があり、その通学・通園路となる幅3・5㍍の自転車歩行者道(通称・自歩道)が伴う。
田嶋町長は今月14日に始まった町議会6月定例会における諸報告の中でこの区間の開通を明らかにした。2011年11月のくしもと町立病院開院以降、消防防災センターや東牟婁振興局串本建設部、串本海上保安署や現・新宮警察署官舎ならびに代替指揮所や福祉総合センター(社会福祉協議会串本事業所)、さらに喫緊で昨年7月に役場がサンゴ台地内へ移転。他方、同地内への車両出入り口は橋杭小そばとJR串本駅そば踏切の2カ所のままで、とりわけ踏切そばで深刻化している通勤時間帯の混雑の分散化を主たる理由として国土交通省とも調整しながら開通を急いできた。
町建設課によると、7月1日午前10時から未供用区間のサンゴ台側で式典と通り初めをし、以降バリケードを撤去し町道として供用を始める。以降当面は工事用車両も多く往来する点を踏まえて利用してほしいとしている。
この町道は国道42号沿いにあるコミュニティバス上浦停留所そばから橋杭小前を連絡する計画延長2815㍍の路線。新道の上浦側の一部(国道から西の岡まで)は学校給食センター運用のためすでに部分供用されていて、今後の開通により全線で供用開始となる。
(2022年6月15日付紙面より)
5年生が地震・津波学習 (勝浦小 )
那智勝浦町立勝浦小学校(山下真司校長)で13日、5年生44人を対象とした地震・津波に関する防災学習が開かれた。「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」主任研究員の河田慈人さんが来校し、近年の災害から得た知見を基に、「これからの那智勝浦の防災・減災」を演題に講話した。
兵庫県にある同センターは、阪神・淡路大震災(1995年)の教訓を後世に伝え、災害被害の軽減に貢献するために設立された防災ミュージアム。河田さんは防災教育や早期避難、地域防災を専門に研究し、和歌山県教育委員会防災教育推進委員も務める。
勝浦小学校の5年生は昨年度、土砂災害について総合的に学習し、防災冊子を作成。本年度はその学習を発展させ、30年以内に70~80%の確率で発生するといわれる南海トラフ巨大地震や津波への備えについて学ぶ。
河田さんは東日本大震災(2011年)や熊本地震(16年)、大阪府北部地震(18年)などによる被害を紹介。ハザードマップを過信することの危険性やいざというときに避難をすることの難しさを伝え、「おそらく皆さんが生きているうちに、南海トラフ巨大地震が起こる。子どものうちは自分の命を自分で守ることが第一だが、20年後には大人になって、大切な人を守る立場になる。避難所運営や防災の知識は、大人になっても絶対に役に立つ」と学習の大切さを訴えた。
講演後には、今後の総合学習について担任教職員らと協議。同校は、児童の興味関心も尊重しつつ、保護者や地域全体に学習の成果を発信できるよう取り組んでいくとしている。
(2022年6月15日付紙面より)
全日本小学生大会など東牟婁予選 (少女バレー )
県高校総体空手道競技で活躍 (近大新宮 )
消防が訓練して備え (那智勝浦町 )
那智勝浦町消防本部の同町消防署は8日、土砂災害の発生に備えた埋没者の救助訓練を、同町浜ノ宮のブルービーチ那智(那智海水浴場)で実施した。火災時の消火活動などを行う警防第一班の5人が参加。砂浜に埋めた人形を掘り出して救出し、手順を確かめた。
昨年度に続き2回目となる。同署は警防第一班から第三班まであり、交代で24時間365日、火災などの災害に備えている。埋没者救助訓練はこの日のほか、第二班が15日(水)、第三班が22日(水)に、同じ場所での実施を予定している。
この日は、要救助の埋没者として砂浜に人形を埋めて、訓練を開始。埋没者の四方に合板を立てて、打ち込むことで土留めとした。班員が中に入り、埋没者の体を傷つけないよう、小型のスコップで周囲を掘削。掘った砂はバケツに入れて他の班員に手渡し、合板の外へと出した。
掘り進めることで周囲の砂が崩れ、流れ込むのを防ぐため、合板をさらに打ち込みながら作業。埋没者の体が見え始めると、手掘りに切り替えてけがを防いだ。引っ張り出して救助した後は「もうちょっと外側を掘った方が良かったかも」「土留めの合板があまり遠いと圧がかからない」など、気付いた点を話し合っていた。
他にも、埋没者の左右に2人ずつ座り、大型のスコップを用いて、左右で同じ方向に掘り助け出す訓練も実施。手掘りも使って埋没者の上の砂を除き、途中で班員同士が位置を交代するなどもしながら、手順や注意点を確認していた。
畑下純副班長は「要救助者の呼吸を確保しながら掘り進め、迅速に救助できるようにしたい。訓練を通して、作業の流れを身に付けたい」と話した。
関谷善文署長は「台風や大雨時の災害を想定した訓練。重機が使用できない発災直後や、災害場所によっては重要な活動となる。訓練で技術を高め、災害に備えたい」と述べた。
(2022年6月10日付紙面より)
星野さんら絵本の朗読奉納 (補陀洛山寺 )
「引き波は、町からあらゆるものをうばっていく。海がまたたく間に町からうばったもので埋めつくされていった。『地獄だ』トミジは呻いた(原文ママ)」。震災体験絵本「トミジの海」の一文だ。現在、那智勝浦町の補陀洛山寺(髙木智英住職)で刺しゅう画「レジリエンス~千手観音菩薩~」の展示を実施している刺しゅう作家の星野真弓さん=東京都=と株式会社ベイエフエム=千葉県=の執行役員で東京支社長を務める小縣正幸さんが3日、同寺で絵本の朗読奉納を行った。絵本は2011年に発生した東日本大震災の大津波を乗り越えたワカメ漁師の実話を基に同社が作成したもの。星野さんは、震災を風化させないために各地で朗読を実施している。
絵本の登場人物であるトミジは、宮城県石巻市鮎川浜在住でワカメの養殖などを行う齋藤富嗣さんがモデル。小舟に乗った齋藤さんは、津波に遭遇するも生還した体験を持つ。震災後は各地で語り部としても活動しているという。
被災地支援で現地入りしていた小縣さんは、齋藤さんの話に衝撃を受け、今後に残すべき体験だと確信。同社で話を進め、ラジオ放送などでクラウドファンディングを呼びかけて資金を集め、制作に至った。また、絵は墨絵画家で絵本作家の本多豊國さんが無償で手がけている。
星野さんは震災後、作品の寄贈や刺しゅう教室を開くなど、長年にわたって東北地方の復興に尽力。自身が代表を務める一般社団法人三月のひまわりにおいて、福岡県や東京都などで絵本の朗読にも務めてきた。
奉納当日、星野さんと小縣さんが一文一文に思いを込めて朗読し、集まった地域住民は真剣な表情で聞き入っていた。
同寺の管理人である南善文さんは「当地域では南海トラフ地震がいつ起きるか分からない。各家庭でも日頃から心がけが必要になる。今回の絵本の朗読は本当にありがたい」と話した。
小縣さんは「この地域は南房総に似ていて、優しさを感じる。初朗読でしたが、ご本尊様を近くに感じながら、トミジの気持ちになってやり遂げることができた。もしも、地震が発生した際は早期の避難を行ってほしいです」。
星野さんは「この絵本は私がさまざまな活動を行うきっかけの一つとなり、全ての根幹につながっている。今後も朗読を継続して絵本を成長させながら、活動を全国に展開していきたい。そして、震災の記憶が風化しないように伝え続けていきます」と語った。
なお、絵本は書店での取り扱いはなく、同社のホームページにあるショッピングサイトから購入できる。
(2022年6月10日付紙面より)
錦江山無量寺で十七回忌法要 (串本町 )
串本町串本にある錦江山無量寺(東谷洞雲住職)で8日、歴代住職の一人・湊素堂老師の十七回忌法要が営まれ檀家(だんか)ら約70人が参列して供養し遺徳をしのぶなどした。
湊老師は1912年、徳島市生まれ。55年5月から61年11月まで同寺43代住職を務め、後に鎌倉・建長寺派管長、京都・建仁寺派管長を歴任し2006年に享年94で遷化(せんげ=高僧として亡くなること)した。
当代・東谷住職が檀家から伝え聞く湊老師の人柄は「厳しい中にも情あり、剛の中にも柔あり」で、とりわけ子どもを大切にして地域と接していたそう。他方、在寺中に檀家ら地域と力を合わせてゆかりの絵師・丸山応挙や長澤芦雪(ろせつ)の作風を伝える美術館「応挙芦雪館」を建設するなど、その人柄は今も多くの檀家らに親しく記憶されるとなっている。
その意をくんで東谷住職は、前芝雅嗣総代長ら総代会と共に、歴代住職の眞乗和尚百五十回忌、梅渓和尚百回忌も合わせて同法要を計画。湊老師の後進となる京都・建仁寺派の現管長・小堀泰巖老師を導師に迎え、護法婦人会による御詠歌を経て小堀導師や東谷住職ら僧12人が読経し参列一同で順次焼香、その後は境内にある湊老師を含む歴代住職の墓参をするなどした。
小堀老師は鎌倉・建長寺で湊老師に付き、以降亡くなるまで添った愛弟子の一人。自身から見た湊老師の厳しくも楽しく、物事を熟慮して先々を考える人柄を説き伝え、同法要について「感無量で勤めた」「私にとってありがたくうれしいこと」と話し無量寺の招きに感謝した。
この日は法要後も焼香台を本堂に据え随時参拝を受け入れ。法要に合わせて作成した湊老師の頂相(ちんぞう)を祭陣に掲げ、檀家が寄せた湊老師の小僧画複数も祭陣周りに飾り付けて披露した。
小堀老師は湊老師への寵愛を込めた漢詩を同寺へ託し、東谷住職は「私が今こうして立っていられるのは檀家をはじめ皆さまのおかげ。非力非才で恥ずかしい限りですが、これからも皆さまのために一生懸命お勤めをしていきたい」と一同に心中を明かして感謝した。
(2022年6月10日付紙面より)
交通安全教育の推進と交通事故防止に貢献した学校に贈られる本年度の「交通安全優良学校」に紀宝町立神内小学校(寺本真奈美校長、児童68人)が選ばれた。8日に伝達式があり、紀宝地区交通安全協会の出口康一会長が、子ども会の更谷なのは会長、役員の畠花菜さん、塚田新菜さんに賞状などを伝達した。
一般財団法人三重県交通安全協会、県知事、県警察本部長連名の表彰。紀宝地区交通安全協会が例年、交通安全大会の席上で優良運転者などとともに表彰しているが、本年度は新型コロナウイルスの影響で中止となり、出口会長が出向いた。
伝達式で更谷会長は「これからもみんなが交通ルールを守れるよう頑張ります」と誓った。
同校は毎年、年2回の交通安全教室を開いており、本年度は4月に1年生を対象に実施した。28日(火)には全校児童の教室を開く。
通学路では神内子ども見守りサポーター15人が毎朝、見守り活動を続けており、寺本校長は「子どもたちの安全な登校を見守っていただき感謝しています」と話していた。
(2022年6月10日付紙面より)
和歌山県道場少年剣道大会
近大新宮が準決勝進出 (県高校総体サッカー競技 )
土砂災害啓発センター (那智勝浦町 )
那智勝浦町市野々の和歌山県土砂災害啓発センター(稲田健二所長)では、国土交通省が定める土砂災害防止月間である1日から30日(木)までの間、特別企画展の開催やセンターを紹介する動画を公開中だ。県民に対し、早い避難の啓発や危険区域把握の周知を図っている。
土砂災害防止月間は住民が自分の命を守るべく、「みんなで防ごう土砂災害」をスローガンに、防災知識の普及や避難訓練などの催しを実施し、土砂災害による人命、財産を守ることを目的とした月間。
1982(昭和57)年7月に長崎県長崎市を中心に大きな被害を発生させた「昭和57年7月豪雨」(長崎大水害)が契機となった。また、1~7日はがけ崩れ防災週間になっている。
センターによる特別展は2020年から開始。展示では▽同町井関在住で紀伊半島大水害語り部の防災士・久保榮子さんの体験紙芝居(コピー)や動画公開▽土砂災害の実例など解説をしたパネル▽令和3年度の小中学校における防災学習感想文▽和歌山工業高等専門学校の学生が開発した防災ロールプレイングゲーム(RPG)の体験▽「紀伊半島大水害豪雨~平成23年台風12号、新宮市映像の記録~」などの動画公開―もある。
さらに今回は、防災RPGにおいて、日高川町にある各小学校エリアに特化して、授業で取り組んだ14校分のディスクや土砂災害防止に関する絵画・作文コンクールの作品なども展示されている。
稲田所長は「これから雨の多い梅雨時期に入るため、災害のリスクも高まる。普段から自宅の周辺の危険な箇所や避難経路を確認いただき、気象情報などに注意して、災害時は早めの避難を心がけていただけたら幸いです」と話している。
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センターでは多くの人々にセンターの役割などを知ってもらおうと、職員が同月間に合わせて紹介動画「きいちゃんと学ぶ 土砂災害啓発センターってどんなところ?」を作成。初の試みである動画は5月25日から公開している。
動画では、和歌山県PRキャラクター「きいちゃん」が観光地である同町を巡っている際に周囲にある砂防えん堤を発見。疑問を持ってセンターに入り、展示品や実験を通じて、その役割や土砂災害について学びを深め、センター紹介する内容となっている。
動画はセンターホームページや動画投稿サイト「ユーチューブ」でも配信されている。なお、センター内だけでなく、屋外の窓ガラスからも動画が見られるように、外向きにモニターを設置するなどの工夫も行っている。問い合わせは同センター(電話0735・29・7531)まで。
(2022年6月8日付紙面より)
本年度プレミアムお買物券 (串本町商工会 )
串本町商工会(須賀節夫会長)が5日、本年度第1回のプレミアムお買物券発行を始めた。発行数は3000セット(1セットは500円券22枚つづり)。文化センターそばにある商工会館(串本2410番地)で売り切れるまで販売するとしている。
この発行は、町の小売店舗等消費拡大推進事業の補助適用を受けて実施。1セット1万円で販売していて、1人につき5セットまで購入でき、購入時は家族3人分まで代理購入が認められるため、最大で20セットを入手できる。有効期限付きの商品券で、掛け金の支払いには使えず、釣り銭が出ないため購入金額を補助する形での利用が前提。今回の有効期限は8月31日(水)までで、町内の取扱参加店約140店舗で使用できる。
本年度も感染症予防を意識しながらの発行開始で、初日は役員と職員が手分けして同館と中湊コミュニティセンターに発行窓口を設置。取扱店舗を記載したチラシと合わせて希望セット数を販売した。6日以降の窓口は平日午前9時~午後5時に同館内で設け、売り切れるまで発行を続ける。
2002年に始まり20周年の節目を迎えた同券。須賀会長は「この発行は取り扱いに参加する店舗の大きな支えになっています。ご購入いただいた皆さまには有効期限もあるがお早めにご活用いただけるとありがたい」と地域経済循環の刺激になる成果を期待し、初日の同館発行窓口で円滑に購入できるよう会場整理に当たるなどしていた。
取扱参加店の情報は、同券に記載しているQRコードを通信端末で読み込むと閲覧できる案内地図「まぐトルマップ」でも確認できる。問い合わせは同商工会(電話0735・62・0044)まで。
(2022年6月8日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で6日、「梅の日記念式典」が営まれた。田辺市やみなべ町など、梅産地の各団体でつくる「紀州梅の会」(会長・真砂充敏田辺市長)の会員や関係者ら約50人が参列。豊作や業界の発展を祈願した。
梅の日は1545年6月6日、雨が降らず人々が困っていたことを知った後奈良天皇が賀茂神社の例祭(現在の葵祭)に梅を奉納し祈ったところ、大雨が降り出し五穀豊穣(ほうじょう)をもたらしたという故事にちなむ。梅が実り、収穫が本格的に始まる時季にも当たる。
同会は1969年に設立され、県内産地の首長や生産者組合らで組織。2006年に毎年6月6日を「梅の日」と定め、みなべ町の須賀神社や京都府の上賀茂神社と下鴨神社にも梅を奉納しており、東京都などでもさまざまなキャンペーンを催してPRを実施している。
式典では祝詞奏上後、九鬼宮司と参列者らが神前に置いたたるに紀州梅、塩、お神酒を入れる「梅漬けの儀」を営んだ後、巫女(みこ)が神楽「豊栄(とよさか)の舞」を奉納した。この日漬けられた梅は、紀州梅の会がいったん持ち帰り、梅干しとして完成させた後に改めて同大社に納める予定となっている。
参列した紀州田辺梅干協同組合の大谷喜則理事長は「『梅はその日の難逃れ』『番茶に梅干し、医者いらず』といったことわざもあり、梅は長い伝統と歴史に裏付けられた健康食品。梅干しにコロナウイルスの増殖を抑える効果があるとの研究成果も発表された。多くの人に紀州梅を食していただき、健康な日々を過ごしてほしい」。
九鬼宮司は「生産者の方々にはコロナ禍で試行錯誤の中、育てた梅を納めていただいた。梅ポリフェノールに新型コロナウイルスの感染を阻害する効果があるとの発表があった。梅の素晴らしさを改めて感じている。梅の力で多くの人が健康で過ごし、一日も早く新型コロナが収束することを祈念している」と話していた。
(2022年6月8日付紙面より)
新宮弓友会主催の月例射会
他3選手も近畿大会出場決める (新宮高校レスリング部 )
卓球・ソフトテニス・バレーボール
新宮市緑ヶ丘の東牟婁振興局で5月31日夜、「国道168号美化協議会」の設立総会があった。和歌山県、新宮市、市観光協会、新宮商工会議所、熊野川町ふれあい公社、新宮青年会議所、新宮ライオンズクラブ、新宮ロータリークラブなど協議会構成団体関係者ら26人が出席。協議会規約や本年度事業計画などを承認。会長に里中陽互・市観光協会長を選任した。
東牟婁地域と県内外各地域との往来のための主要道路である国道168号。沿道は住宅が少なく人目にもつきにくいことから、全域でポイ捨てによる空き缶やペットボトルなど飲料のごみが散乱しており、待避所や道の駅周辺では飲食物のごみが散乱している。沿道に捨てられたごみは熊野川に流れ込み、最終的に海に至る。
そういった状況を鑑み、東牟婁振興局健康福祉部衛生環境課は昨年秋、168号沿いの道の駅および待避所計3カ所に実験的に公衆ごみ箱を設置。ごみ箱の維持管理における問題点と沿道などにおける散乱ごみの削減効果の検証を実施してきた。
協議会の設立は、公衆ごみ箱の常設設置を行うことにより、路上などの散乱ごみ(ポイ捨てごみ)を低減させ、当地方の山・川・海の自然環境の保全に寄与することを目的として官民一体となって組織。運営母体となって情報交換や連絡調整を行いつつ、相互に連携して不法投棄対策活動を展開していく。
開会に当たり、杉本善和・東牟婁振興局健康福祉部長が設立趣意を説明。「県では2020年4月に『ごみの散乱防止条例』を施行し対策を強化してきたが完全には抑制しきれていない」と現状を明かした。
昨年、公衆ごみ箱を設置し検証を行ったところ、沿線全域でごみの種類別に25~40%程度の削減効果が認められたとし「ポイ捨て根絶を目指すためには行政だけではなく、地元住民や事業者が主体となって地域に根差した取り組みを継続していくことが重要」と協力を呼びかけた。
里中会長は関係者や賛助会員に対する感謝を示し「世界遺産にも登録されている当地域の素晴らしい景観を守り、子どもたちに残していくためにも、地域に根差した実践活動を実施していきたい」とあいさつ。オブザーバーとして参加した酒井清崇東牟婁振興局長が出席者や関係者に感謝を伝えた。
本年度は▽公衆ごみ箱の設置▽公衆ごみ箱の維持管理▽周知や啓発、関係機関との連携による清掃活動など、ごみの不法投棄防止対策に関する事業―などを予定。公衆ごみ箱は昨年設置した3カ所(相賀、熊野川町田長、同町相須)に加え、南桧杖と熊野川町日足にも設置する計画としている。
(2022年6月3日付紙面より)
「わくわく楽しいありがとう展」 (那智勝浦町 )
5月27~29日の3日間、那智勝浦町朝日で「わくわく楽しいありがとう展」を初開催した陶芸サークル「器遊」とペーパークイリング「ファミリー」、己書(おのれしょ)「紀伊のおと道場」の3団体の代表者らは30日、同町役場を訪問し、期間中に募ったウクライナ人道支援のための義援金を堀順一郎町長に手渡した。集まった6万5710円は日本赤十字社を通して寄付される。
各団体のそれぞれの力作を、多くの人に味わい、楽しんでもらいたいという思いから実施に至った同展。
会場には手作りの皿や器などの陶芸作品、色とりどりの紙を巻いて作った小さいパーツを組み合わせ、刺しゅうのような装飾を施すペーパークイリング作品、書き方や文字の書き順にとらわれることなく、自由に筆を走らせ、自分の世界観を楽しく表現する己書作品を多数展示。また、無料のプレゼントコーナーや各種体験も人気を博した。
同展事務局によると、新型コロナウイルス感染症対策を施した中で実施された催しには3日間で500人以上が訪れたという。
会場に足を運んだという堀町長は「素晴らしい器や根気のいるペーパークイリング作品、前向きな言葉などが書かれた己書を見せていただいた。文化活動や地域に根差した祭りなど、残すべきものは残していきたい」。
義援金については「このたびはありがとうございました。多くの命が絶たれてしまう状況が続く、ウクライナ問題が一刻も早く、収束してほしいと願っている」と述べた。
「器遊」代表の松本ひとみさんと、「ファミリー」の石橋久美子さん「紀伊のおと道場」の道場主・杉本博子さんらは「義援金はお困りの方々に届けていただけたらそれが一番です。国内でもコロナ禍で最高の日常が失われてしまっている。催しの名前のように、わくわく楽しい日常が取り戻されることを祈っています。タイミングがあえば、次回もぜひ開催したいです」と話していた。
(2022年6月3日付紙面より)
円柱堤防を助成受け研究 (新宮高校 )
和歌山県立新宮高校(東啓史校長)3年生の寺地航琉(わたる)君がこのほど、日本財団とリバネスが行うマリンチャレンジの認定研究に採択された。円柱の防波堤で津波被害を低減させる研究で、研究費の助成を受けて実験を繰り返し、最終的には最適な防波堤配置の提案を目指す。
マリンチャレンジとは、海洋分野の課題の研究に挑戦する中高生を対象に、研究資金の提供や助言者による支援を行う事業。対象地域は全国で、申請書での選考を経て認定研究が決まる。採択を受けた研究者は、研究費5万円などを受けて研究を行い、主に8月に全国5カ所で実施される成果発表会に臨む。さらに上位の全国大会もある。
寺地君のテーマは「津波減波に最適な防波堤形状と設置方法に関する研究」。円柱が水流に対して耐性があることから、円柱の防波堤を隣接して配置し、津波の威力を相殺することで、被害を最小限にできるとの仮説を立てた。その実証として、模型で実験した後、津波発生装置とコンピューターによるシミュレーションを行うことを考えている。環境面でも、従来型の防波堤より負荷を低減できるとする。2年生だった2月に申請し、4月に採択を受けた。
防災課題を考え始めたきっかけは、2011年の紀伊半島大水害。「当時は小1だった。新宮市に住んでいて被害はなかったが、自分の身を守るにはどうしたらいいかを考えるようになった」と振り返る。この経験が、津波被害低減の研究につながっていった。今回の採択について「これで研究できると思うとうれしい。考えているときが楽しい。研究は自分にとって最高のものだと感じている」と喜ぶ。
8月の成果発表会に向けた実験は、すでに始まっている。発泡スチロールの箱と水道を使って、簡易的な津波発生装置を製作。滑車や重りを用いて、起こる津波の威力を一定にするよう工夫した。水を入れたペットボトルで、円柱の構造物を再現。2本の円柱の距離を変えることで、津波の威力がどれぐらい低減するかを調べている。
津波により流された物の距離で、威力を数値にすることを考えている。「可視化して、グラフを活用して(最適値を)求めていきたい」と意気込む。実験は毎日、昼休みや放課後に学校内の一室で行っている。
これらで得た知見を基に、南紀熊野ジオパークセンターの津波発生装置を借りて実験を行い、大学などの関係機関にコンピューターシミュレーションを行ってもらう構想もある。「津波という地域課題の解決につながり、将来は円柱の防波堤が建つようになればうれしい。今回の研究は絶対やり遂げたい」と力を込める。
他にも、円柱の防波堤に加え、さらに沖合に円すいの防波堤を配置し、津波の威力のみならず、向きまでも変えることができないかとの発想もあるという。
(2022年6月3日付紙面より)
井田海岸でウミガメパトロール開始 (紀宝町 )
アカウミガメの産卵期を迎え、紀宝町ウミガメ保護監視員(萩野進也代表)は1日、同町の井田海岸でパトロールを開始した。萩野代表と木村一樹さん、西昌志さん、前地敏久さん、杉浦利也さん、前地正喜さんが7月末まで交代で海岸を歩き、上陸、産卵するアカウミガメを見守る。
初日は上陸がないか確かめ、毎年続けている清掃活動と海岸の定点測量も行った。今年も産卵した1匹分の卵を井田小学校のふ化場に移す。萩野代表は「3年間上陸、産卵がなかったが、いつ上陸してもいいように海岸の環境整備を続けている。毎年、最初の1匹を見るとほっとする。今年は1匹でも上陸、産卵してほしい」と話していた。
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■パトロールボランティア募集
同町企画調整課は、ウミガメ保護監視員と一緒にパトロールするボランティアを募っている。7月末まで毎週土曜日午後8時から実施し、1回だけの参加も可能。中学生以下は保護者同伴。
申し込みは同課(電話0735・33・0334)まで。受け付けは平日の午前8時30分から午後5時まで。新型コロナウイルス対策としてマスク着用、検温に協力を呼びかけている。感染状況により、中止となる場合もある。
(2022年6月3日付紙面より)
訪日観光解禁に向け
訪日観光ツアー実証事業の参加者4人が5月29日、那智勝浦町を訪れた。参加者らは熊野古道を散策するなどして、当地方の文化や歴史に触れた。
岸田文雄首相は26日、訪日外国人観光客の受け入れを6月10日(金)から再開すると表明。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため当面、旅程を管理しやすい添乗員同行のパッケージツアーに限定する。
訪日観光客の解禁は、新型コロナ感染症の世界的な流行で往来が途絶えて以降約2年ぶり。政府はコロナ禍で疲弊した地域経済を立て直す構えだ。
同実証事業は、訪日観光再開に向け、感染防止対策の順守方法や、緊急時対応などについて検証を行い、旅行会社や宿泊事業者などが留意すべき点をまとめた「ガイドライン」を策定し、関係者間に周知を図る目的で実施。▽効果的な感染防止対策の順守方法▽陽性者発生時を含む緊急時の対応▽陽性者の発生状況―などを検証する。
同事業の出発国は変異株に対する非指定国で、かつ訪日重点市場。ワクチン3回目追加接種済みの者を対象とする。受け入れ地域は緊急事態宣言などが発令されておらず、都道府県が同意した地域のみ。
同事業第1便は先月24日、米国から成田空港に到着。第14便のシンガポールを出発した4人は、27日に和歌山県に到着。4泊5日の日程で白浜町や那智勝浦町、古座川町、田辺市などを観光し31日に帰国した。
ガイドや通訳と共に大門坂を散策した一行は「夫婦杉(めおとすぎ)の樹齢が800年と聞いて驚いている。熊野地方は交流サイト(SNS)で写真を見た。実際に見ることができてうれしく思う。那智の滝が楽しみ」。
県内の感染対策に対して「飲食店などでソーシャルディスタンスの確保やマスク着用、手指消毒など、ピクトグラムで示されていて分かりやすく安心できる。人々もしっかり守っていると思った」と評価した。
国の受け入れ緩和や和歌山県への来訪について「次は公共交通を利用するかレンタカーを使うか、すでに考えているところです」と笑顔で話した。
訪日客は2018年に3000万人を突破。しかし新型コロナ流行に伴う水際対策や、各国の渡航制限で20年2月は前年同月比58・3%減少。4月以降はマイナス99・9%と記録的な落ち込みが続いた。なお、和歌山県では19年の訪日宿泊客数は最多となる約50万人を記録したが、20年には4万5000人ほどに落ち込んだ。
外務省は5月26日、感染者数が減少傾向として、米英両国や香港など36カ国・地域の感染症危険情報を不要不急の渡航自粛を求める「レベル2」から、十分な注意を促す「レベル1」に引き下げた。
(2022年6月1日付紙面より)
自主防災組織連絡協議会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町自主防災組織連絡協議会(中路進会長)は5月27日、同町体育文化会館で「令和4年度第1回自主防災組織連絡協議会」を開催した。会議では令和3年度の事業実施報告や収支決算、本年度の事業計画について協議を行い、全議案が承認された。
町内の34の自主防災組織で組織される同協議会。これまでに土砂災害防災訓練や町内統一津波避難訓練、孤立集落通信訓練などに取り組んきた。
また、防災意識向上を目的に、和歌山気象台や東日本大震災の語り部などを講師に招いて研修会も実施している。
中路会長は「新型コロナウイルス感染症終息のめどは立たないが、さまざまな工夫をしながら、協議会の運営を進めていきたい。皆さま方には一層のご支援をよろしくお願いします」。
来賓の堀順一郎町長は「皆さまには日頃から安心安全のためにご尽力いただき、感謝しております。町政において、最も重要なことは町民の命を守ること。4年間でソフト・ハードともに整備に努めてきた。しかし、防災意識を高めて、少しでも安全な場所へ避難していただくことが大事。町としても実践に即した訓練をしていきたい」とあいさつした。
本年度の事業は▽5月28日実施の土砂災害避難訓練▽11月5日(土)に実施予定の町統一津波避難訓練▽孤立集落通信訓練▽災害避難ゲームによる図上訓練▽第17回自主防災組織合同研修会▽視察研修▽防災教育▽県自主防災組織情報連絡会情報交流会―などを計画している。
事務局の町総務課防災対策室からは土砂災害から命を守るために、大雨警報の危険度分布がリアルタイムで確認できる気象庁ホームページの「土砂キキクル」の活用を呼びかけたほか、避難情報などの発表・発令される状況および住民がとるべき行動、南海トラフ地震の防災対策推進計画や感震ブレーカーの補助制度、津波注意報等発表の際の避難行動、津波避難訓練アプリ「逃げトレ」などの説明も行った。
(2022年6月1日付紙面より)
展示、公開に歩み進める (新宮市 )
新宮市下本町の劔持幸代さんは5月26日、市役所を訪れ田岡実千年市長を訪問。劔持家に伝わる「慶喜奏聞書」実物を持参し「多くの市民に見ていただければ」と奏聞書を託した。市はいったん奏聞書を預かり、市文化複合施設「丹鶴ホール」で展示公開する方向で調整を進めていく予定だ。
江戸幕府かつ日本史上最後の征夷(せいい)大将軍、徳川慶喜。江戸末期、「薩長同盟」が成立し倒幕への動きが加速する中、慶喜は1867(慶応3)年10月に政権を朝廷に返上。劔持家の「奏聞書」には大政奉還に対する慶喜の苦悩がつづられており、本人直筆ではないものの、慶喜の心情を今に伝える貴重なものとなっている。
和歌山信愛大学非常勤講師の小山譽城・歴史学博士の鑑定によると「将軍職を辞退し、天下の公議を尽くして政権を運営するようにと朝廷に政権を返上したにもかかわらず、列藩の衆議もなく、薩摩・長州の藩士らが幼い明治天皇の近くにいて勝手な振る舞いに及んでいることは嘆かわしい」とし、天皇と万民の安心できる国にしたいという慶喜の願いがつづられている。翌年1月3日、鳥羽・伏見の戦いが勃発。激戦の結果、旧幕府軍は敗退することになる。
奏聞書は新宮藩最後の藩主・水野忠幹(ただもと)に送られたもので、大政奉還後に記されたもの。慶喜の幕臣であった渋沢栄一の「徳川慶喜公伝」や「南紀徳川史」に記録は残るものの、現物が世に出るのは珍しい。
なお、「徳川慶喜公伝」には「本書は大目付戸田忠愛携へて、十二月十八日の夜、大坂より上京せるも、岩倉具視・及松平慶永・山内豐信等の抑止する所となりて、遂󠄂に呈出せず」(原文ママ)とあることから、天皇の元に届かなかったことが分かる。同奏聞書は、12月19日に大坂城で尾張と越前の大名に渡されたほか、23日に江戸城に総登城した万石以上の大名らの手に渡り諸藩へ。当時、江戸詰だった忠幹に渡されたのは26日とされている。
和歌山城郭調査研究会の小渕伸二さんによると「大政奉還を申し出る奏聞書や江戸城総攻撃をやめるよう求めた奏聞書、いわゆる天皇の元に届いたものは現存するが、同奏聞書は新政府ににらまれることを恐れてその多くが処分されたのでは」と推測する。
長州征伐では幕府軍の先鋒(せんぽう)を務めて唯一戦果を挙げ、天誅(てんちゅう)組の変で公平な裁きを見せるなど、慶喜の信頼も厚かったとされる忠幹。劔持家は1619年に水野家が新宮城領主として入部した際に側用人として浜松から入国したという家系で、忠幹が大きな信頼を寄せていたことから同奏聞書を預かる立場であったと思われる。なお、劔持家では、1946年の昭和南海地震に伴う火災により、多くの貴重な資料が焼失。同奏聞書とアルバム数冊のみが被害を免れたという。
奏聞書を手に取った田岡市長は「責任を持ってお預かりさせていただきたい。貴重な奏聞書。展示して広く見ていただければ」と劔持さんに伝えた。
(2022年6月1日付紙面より)
県宇宙教育検討会議始まる (串本古座高校 )
第1回和歌山県宇宙教育検討会議(座長=中須賀真一・東京大学大学院教授、委員7人)が5月30日に県立串本古座高校(榎本貴英校長)であり、中須賀教授によると今回は検討のベースとなる議論を進めたという。
普通科宇宙探究コースの2024年度開設に向け本年度から2カ年の準備期間に入った同校。その取り組みに対して幅広い分野の有識者から専門的知見を得るため、県教育委員会と共に有識者の協力を求めて同会議を設置した。
委員は▽伊東千尋・和歌山大学学長▽遠藤守・スペースワン株式会社最高顧問▽尾久土正己・同大学観光学部教授▽河本聡美・宇宙航空研究開発機構(JAXA)研究開発部問第二研究ユニット研究領域主幹▽富田晃彦・同大学教育学部・教職大学院教授▽永崎将利・Space BD株式会社代表取締役社長▽中須賀真一(東京大学大学院工学系研究科教授)―の7人。対し宮﨑泉教育長ら県職員4人と榎本校長ら同校教員2人が事務局として名を連ねる布陣としている。
今回は現場を確かめるため同校を会場にして実施。事務局を代表して宮﨑教育長、委員を代表して中須賀教授が同会議に懸ける思いを交わし合い、以降は非公開で約3時間の協議に臨んだ。
この日の議事は「同コースにおけるカリキュラムや開設科目等」。今回特に取り決めた事柄はなく、県教委や同校の現時点の考えを委員に伝えて各委員が自身の立ち位置から宇宙教育への期待や展望を交えた意見を注ぐ流れで、今後の検討に欠くことのできない委員―事務局間の相互理解を主に図ったという。
委員協力はコース開設までの2カ年とし、同会議は年3回の頻度で開く予定。その中でまずは本年度中にカリキュラムなど大枠、2年目はその詳細を詰める検討を進める。県教委と同校はそれら成果となる提言を取り入れて同コースのカリキュラムなどを決めていく。
初の会議を経て榎本校長は「単に物理や数学を学ぶだけでなく、宇宙を題材にして生き方やチャレンジ精神を持つ生徒を育てていきたい。委員もそのような教育を考えてくれていた」と協議の印象を語った。
(2022年6月1日付紙面より)