新宮信用金庫経営者塾100人会(野中亮伸会長)は28日、新宮市佐野のやたがらすサッカー場と市民グラウンドで「紀蹴(きしゅう)カップ」を開いた。会場には、さまざまなブースが並び、12チームが熱戦を繰り広げたサッカー大会が行われるなど、大勢の家族連れでにぎわった。
「子どもたちの今のために、みんなの未来のために」をテーマに地域の企業が協力。大人たちが力を合わせて地域のために一つになり子どもたちの今や未来のために願いを込めて3年前に企画したが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から中止となっていた。
開会に当たり野中会長が、開催に協力した関係者らに感謝を伝え「大会を通じて各チームとの交流を図り、今後につなげていってください」とあいさつした。
会場ではサッカー体験ブースの他、地元店舗の弁当や地元名産品の販売ブース、バルーン遊具や輪投げ、射的などのアトラクションが楽しめる催事ブースが設けられ、クラブハウス前では車やドローンの展示コーナーもあった。
来場者は各ブースを回ってさまざまなゲームに挑戦し、楽しいひとときを過ごした。サッカー大会では、各チームがリーグ戦やトーナメントを行い、熱戦を展開した。
市内から訪れた藤野満さん(37)は「サッカーをしているおいっ子の応援に来ました。子どもたちが遊べるコーナーがたくさんあって、満喫することができた。コロナ禍ではあるが、少しでもイベントを開けるような日が訪れてくれれば」と笑顔を見せていた。
(2023年1月31日付紙面より)
在名古屋トルコ総領事来校 (串本古座高校 )
在名古屋トルコ共和国総領事館のウムット・リュトフィ・オズテュルク総領事(45)が27日、県立串本古座高校を訪問し図書の寄贈や生徒との交流に臨んだ。
トルコ共和国のイスタンブール高校と2017年度に姉妹校提携をし、本年度も新たに2校とオンラインによる生徒交流を重ねた同校。オズテュルク総領事はその姿に感銘を覚え、生徒とじかに話しいっそうの交流促進を図りたいという思いで同校訪問を決め自身の外交日程に組み込んだ。
同校からは榎本貴英校長と生徒交流に臨んだ雑賀和さんら2年生7人が来校を歓迎。オズテュルク総領事は日本トルコ文化協会が日本トルコ友好120周年記念で発行した冊子「絆」(A4判83㌻)100冊の寄贈を申し出て友好にかける思いや交流の良さを伝え、以降はトルコのお勧めの場所や文化面で気を付けるべきこと、樫野のように地域単位で日本と強く結び付いているまちはあるかなど生徒一人一人の質問に気さくに答えるなどして親交を深めた。
生徒との交流を経てオズテュルク総領事は「互いの先祖がつくった友好を次の世代につなげることは私たちの義務」と語り、今回の温かい雰囲気での交流に感謝。榎本校長も「総領事から優しい人柄で温かいお言葉を頂き、生徒も良い時間を過ごせた」と感謝し、両国の生徒同士のつながりの継続を願って締めくくった。
代表して冊子を受け取った雑賀さんは「読みやすいので、弟や妹など小さい子にも渡してトルコと串本の絆が深まったらいいなと思う」とコメント。冊子は両国の友好をマンガや記述で伝える内容で、同校は数があるため串本町内の小中学校とも共有するという。
今回の寄贈と親交についてオズテュルク総領事は「生徒は私たちにとっての未来。冊子は両国友好120周年で少年のために発行され、少年に興味を持たせる本として贈りたいと思った。両国の絆がより強まり、少年同士の交流がこれから増えていくことを望む」と話した。
(2023年1月31日付紙面より)
加寿地蔵尊「はつじぞう」 (那智勝浦町 )
加寿(かす)地蔵尊世話人会(中田勝康代表)は28日、熊野古道駿田峠の中腹にある、那智勝浦町湯川の加寿地蔵尊で、「はつじぞう」を営んだ。地域住民など多数が参拝、良い年となるよう願った。
加寿地蔵尊はおよそ千年前、熊野詣での途中に駿田峠で命を落としたといわれる姫を祭っている。名前は歌子姫と伝わっていたが、酒かすを供える風習があったことから、「粕(かす)地蔵」が転じて「加寿地蔵」と呼ばれるようになった。
「はつじぞう」では、加寿地蔵尊が納められたほこらの前で、神事が行われた。約20人が参列する中で、中田代表や修験者の富岡秀清さんが般若心経を読経、地蔵尊の真言も唱えた。同世話人会の平野恵子さんによる、横笛の奉納もあった。参列者は線香を供え、熱心に祈っていた。ほこらは谷を下り山を登った先にあるため、そこまで行けない高齢者などは手前の拝社(おがみやしろ)に参列していた。
神事の後は、おみくじが配られた。中田代表は「自分の知らないこと、気付かないことを神仏に教えてもらうもの」と説明。参列者はおみくじを開き、メッセージ調の内容をかみしめていた。ぜんざいや茶がゆの振る舞い、餅つきもあり、にぎわいを見せていた。
中田代表は「新年になり、新しい展開になるかも。良い方向に向かっていけばうれしい。今日は有田市からのお客さんもあるなど、たくさん来てくれてありがたい」と話した。
なお、拝社などが置かれた加寿地蔵尊の広場の周囲には、多くのサクラが植樹されている。このため、地域住民が花見を楽しめるようにと、普段は施錠されている広場を3月から1カ月、開放するという。
また、3月18日(土)の午前10時からは、桜まつりの開催を予定。餅つきや踊り奉納、植樹祭などの実施を考えている。このため、歌や踊り、演奏の奉納を希望する個人や団体、出店希望者を募集する。問い合わせは、加寿地蔵尊世話人会(電話0735・52・3071)。
(2023年1月31日付紙面より)
投票率は新町発足後最低に (紀宝町議選 )
任期満了に伴う紀宝町議会議員選挙は29日、投開票が行われ、新議員11人の顔ぶれが決まった。前回(2019年)の無投票を受けて、今回から2減の定数11になり、立候補した12人のうち、現職9人、元職1人、新人1人が当選した。
当日有権者数は8888人で、投票率は新町発足後、過去最低の58・56%だった。町議選投票率は07年が84・12%、11年が79・90%、前々回の15年は73・41%。今回は、前々回を14・85㌽下回った。
8年ぶりの今回は現職10人、元職1人、新人1人が舌戦を展開。大雪に見舞われた日もあったが、少子高齢化、地域経済の活性化、教育、福祉など諸問題解決に向けた激しい選挙戦を繰り広げた。
開票は各陣営の関係者が見守る中、午後8時10分から町生涯学習センターまなびの郷で始まり、9時30分に終了。当選した候補者の事務所では大きな拍手が起こった。
トップ当選した現職の榎本健治氏(46)は「予想以上の得票を頂き、身の引き締まる思いがしています。選挙戦で各世代から頂いたさまざまな声をしっかりと形にして、仕事で恩返しをしたい」と述べた。
(2023年1月31日付紙面より)
今季一番の非常に強い寒気が流れ込んだ24日から25日にかけて、太平洋側にも雪雲が流れ込み、熊野地方に積雪をもたらした。太平洋側では25日、天気が回復して晴れる所も多くなる見込みだが、依然として冷え込みは続く予報。路面凍結や水道管凍結などに注意が必要だ。
気象庁によると、25日朝の最低気温は▽古座川町西川で氷点下4・1度▽熊野市新鹿で氷点下3度▽新宮市で氷点下2・5度▽串本町潮岬で氷点下2・2度―など、各地で平年を大幅に下回った。熊野市、御浜町、紀宝町では一時大雪警報が発表された。
JR西日本と東海は25日、大雪の影響で周参見―新宮間、新宮―多気間で一時運転を見合わせた(同日正午現在)。
和歌山県では25日午前8時現在、県内道路11路線(17区間)で通行規制を実施。那智勝浦新宮道路の市屋ランプ交差点―高森交差点間を通行止めとしている。
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太地町立太地小学校では、1時間目の授業を変更して雪遊びに。普段、触れる機会の少ない雪の感触を楽しんだ。大石湧琉君(4年)は「こんなに積もったのを見るのは初めて! 1時間目の算数が雪遊びになってうれしい」。畑地咲音君(同)は「雪合戦と雪だるま作りをする」と笑顔で話していた。
(2023年1月26日付紙面より)
添野川でいくさ地蔵尊例祭 (古座川町 )
古座川町添野川(そいのがわ)にあるいくさ地蔵尊で24日、例祭が営まれた。今年は区外参拝を受け入れ、航空自衛隊串本分屯基地の鳥塚直樹司令と仲本耕士副町長も代表参列。添野川区の山崎勝好区長を筆頭に12人が信心を注いだ。
大坂の陣に出兵した出身者・彦八が往路で野にうずもれたこの地蔵尊に気付き、里に一人残す母の元へと戻れるよう祈願。無事帰路に就くことができ、この地蔵尊を添野川へ迎え安置したとされる。
その伝承にあやかって戦時に弾よけの護符を配り全国から参拝を集めた経緯もあり、その名残を示すように例祭には串本町須江にある同基地の歴代司令が遠路参拝するところとなっている。
現在は添野川にある善光寺(伊藤收工住職〈兼務〉)の境外地蔵として護持し、毎年1月24日の午前10時に法要を営んでいる。今年は雨上がりで寒さが幾分和らぐ中でほこらを開帳し、同地蔵尊をじかに拝みながら順次焼香。恒例の餅まきは参列少数により餅配りへと置き換えたが、ほぼ例年通りの形で例祭を収めた。
おととしと昨年は新型コロナウイルス感染拡大を抑えるため区外からの参拝の遠慮を呼びかけたため、受け入れは3年ぶりとなる。伴い歴代司令の慣習を受け継ぐこととなった鳥塚司令(51)は「隊員のみならず同基地一帯の皆さまの生活を守ってほしい、という思いで安全を願いに参った」とコメント。山崎区長(74)は「今年は司令や副町長をお迎えできて良かった。願うところの第一は区民の健康だが、ここはいくさ地蔵。私たちだけでなくウクライナ侵攻が終息しみんなが健康で過ごせれば」とこの地蔵尊に願うところを語った。
(2023年1月26日付紙面より)
熊野曼荼羅絵解きで学ぶ (城南中学校 )
城南中学校学校運営協議会(森本祐司会長)は24日、新宮市立城南中学校(吉田元紀校長)で、ふるさと学習として「熊野曼荼羅(まんだら)の絵解き」を行った。2年生52人が半数ずつ、組ごとで受講。生の絵解きに触れ、熊野の歴史と文化についての知見を深めた。
昨年も2年生を対象に行っており、2回目となる。新宮市観光協会ガイドの西浦康代さんが絵解き役として、熊野比丘尼(びくに)の装束をまとい、森本会長と共に参加した。なお森本会長は、同協会の専務理事でもある。
森本会長はあいさつで熊野比丘尼を「熊野三山を全国で紹介した女性ら。熊野詣でを全国に広めたと言えると思う」と紹介。「今日の絵解きは、人の一生の話。ぜひ最後まで楽しんで」と呼びかけた。
西浦さんは絵解きに先立ち、熊野の歴史と文化についてスライドで説明。平安時代に京都から多くの皇族や貴族が、熊野古道を通って熊野三山に訪れ、「蟻(あり)の熊野詣」と呼ばれたこと。熊野古道には「中辺路」「大辺路」などがあること。2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産登録されたことなどを語った。
戦国時代以降になると、だんだんと参詣者が少なくなったため、熊野比丘尼が絵解きを行い、熊野信仰を全国へ広めたことを解説。年に1度、所属寺院に寄付を納め、免許を更新して、再び全国へと旅立ったことも伝えた。
この後、「熊野観心十界曼荼羅」の絵解きを実施。絵柄を指し示しながら、人が生まれ、人生の坂を上りやがて下ること。生前の行いによっては畜生道、餓鬼道、地獄道などに転生すること。落ちる地獄も罪状によって種類があることなどを、時折歌を交えつつ語った。「生前の心がけ次第で素晴らしい世界に行けるが、もっと大事なことは熊野にお参りすること」とまとめた。
谷奥光輝(みつき)さん(14)は「(歴史や文化で)知らなかったこともたくさんあった。絵解きを聞くのも初めてで、自分がした悪いことの内容でどの地獄に行くかが決まっているところが興味深かった」と話した。
(2023年1月26日付紙面より)
宝光寺で斎講営む (那智勝浦町 )
那智勝浦町長井の宝光寺(西山十海住職)で24日、恒例行事の斎講(ときこう)が営まれた。参列した地域住民らは、大念珠とも呼ばれる大きな数珠を全員で繰りながら、家内安全や無病息災を祈った。
斎講は元々、仏に昼食をささげる儀式で、「皆で集まって食事を取る」という意味もある。昔の人々が稲刈りを終え、農作業を休む日として、ねぎらいの意味もあったとされている。
西山住職によると、正月や田植え、収穫など縁起の良い善月の1月、5月、9月に合わせて祈祷(きとう)を行う善月祈祷の一つでもあるという。
例年は餅まきも盛大に行われ、厄年の住民が餅をまき、多くの人々でにぎわっている。コロナ禍となってからは、3年間中止で法要のみとなっている。
この日は西山住職が読経し、住民らが大きな数珠を全員で持ち、百万遍数珠繰りを行った。その後、子安地蔵で厄払いの法要があり、前日に住民らが準備した餅を紙に包んだ「護符」が配られた。
斎講を終え、西山住職は「斎講は田垣内や大野地区などでも営んでいるが、百万遍の数珠繰りがあるのはこの寺のみ。斎講と数珠繰りは元々別のものだが、時代の流れの中で一緒になったのでは。今日は1年間の家内安全や無病息災を念じて祈祷いたしました」と話した。
尾﨑嘉彦区長は「コロナの終息や家族、皆さまの健康などを祈った。地域の高齢化で、伝統ある行事の継続も難しくなりつつある。しかし、皆さんと協力しながら今後も続けていきたい」と語った。
(2023年1月26日付紙面より)
戸別受信機希望者169人 (新宮市 )
防災行政無線戸別受信機の配布を進めている新宮市は17日、戸別受信機無償貸与者を決定する抽選を市役所で行った。田岡実千年市長がパソコン上で抽選のボタンを押し、本年度の貸与者を決定した。
近年、激甚化・頻発化している大規模災害に対して、防災情報を速やかに取得してもらうことを目的に実施。防災行政無線放送の「聞こえない」を少しでも解消するため、本年度は「防災行政無線システム改修事業」として約4742万円が計上。うち、約700万円が戸別受信機無償貸与に充てられる見込みとなっている。
このたびの無償貸与の対象者は▽身体障害者手帳(1級・2級)の交付を受けている者▽療育手帳(A判定)の交付を受けている者▽精神障害者保健福祉手帳(1級)の交付を受けている者および自立支援医療費の支給認定を受けている者▽介護保険要介護3以上または要介護2で認知症がある者▽指定難病やその他、常時特別な医療などを必要とする在宅療養者―で1058人(2022年12月7日現在)。昨年末から1月13日にかけて貸与希望者を募り、169人から申し込みがあった。
本年度の貸与予定数100台を超える申請があったため、このたびの抽選に至った。なお、本年度の抽選から外れた人は、優先的に来年度以降の抽選対象となる。希望台数に満たない場合は「固定電話がなく、かつ携帯電話を所有する人がいない世帯の世帯主」も条件に付し希望者を募っていくという。
田岡市長は「希望者が貸与予定数よりオーバーしてしまい、抽選となって申し訳ない。外れてしまった人に対しては、来年度に対応させていただけると思っている」と話している。なお、抽選の結果は近日中に郵送で通知。戸別受信機の設置は2~3月にかけて実施していくという。
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■メール配信サービスなど利用を
市では、気象条件などによって防災行政無線放送の内容が聞き取りにくい場合のために、メールや電話、FAXの配信サービスや、放送内容をツイッターで同時配信するサービスなどを展開している。各種サービスについての問い合わせは市防災対策課(電話0735・23・3333、内線4203)まで。
(2023年1月19日付紙面より)
新宮支部が安全祈願祭など (県自動車整備振興会 )
和歌山県自動車整備振興会新宮支部は17日、新宮市五新の新宮自動車整備工業協同組合で「新年の集い」を開いた。会員ら約25人が出席。業界の振興・発展を願うとともに安全を祈願した。
同整備振興会は、自動車社会における整備事業の公共性と責務の重大性を認識し▽公平誠実な応接▽公正明朗な取引▽優秀なサービスの提供―などの信念と意識を持って、事業経営を行い顧客および社会に対する責任を果たすことを目的に1952年に設立。県内7協議会で2022年4月現在、会員数は944人となっている。
開式に当たり、久保正彦理事長が、1月からスタートした電子車検証、24年10月から開始する自動車の電子的な検査(OBD検査)、今年10月からのインボイス制度などに言及し「整備業界も大きく変化し、ペーパーレス化やデジタル化が一層推進され、対応が求められている」とあいさつ。
「今年はうさぎ年。飛躍の1年であるよう、会員一丸となって躍進したい。業界が目まぐるしく変化するがお体に気を付けていただき、ご活躍を」と呼びかけた。
田岡実千年市長は「高い技術を持って地域住民が安全で快適に運転ができることにご貢献いただいている」と感謝。現在整備が進む紀伊半島一周高速道路の現状に触れ「早ければ令和10~12年ごろには実現いただけるのではと希望を持っている。車での長距離移動も増えると思う。引き続き技術を最大限に発揮していただければ」とあいさつした。
田原正士新宮警察署長は「飲酒運転の横行、高齢者の交通事故防止対策も重要課題。交通事故のない安全なまちづくりのため、皆さまとの連携をさらに強化していきたい」と協力を求めた。
交通講話では、嶝口知宏交通課長が管内の交通情勢や、同署の取り組みなどを説明した。
閉会後、会員らは熊野速玉大社に移動し、1年の安全を祈願した。
(2023年1月19日付紙面より)
本格公演を生徒が鑑賞 (熊野川中学校 )
文化庁が行う事業として、本格的な「落語と紙切り」の公演が16日、新宮市立熊野川中学校(松本潤校長)であった。全校生徒25人が参加、プロによる演芸を楽しんだ。代表生徒6人による、紙切りの実践もあった。
文化庁の「文化芸術による子供育成推進事業」として実施した。公演に先立ち昨年の12月14日に、ワークショップ(事前学習会)を開催。生徒らは落語や紙切りについての予備知識を得た上で、公演に臨んだ。新宮市立熊野川小学校(山本佳人校長)の3年生から6年生の23人も観覧に訪れた。
公演ではまず、桂小南さんが、落語について説明。「話を聞いて想像し、頭に絵を描いて笑ってもらう」「1人で2人3人の役をやる」「手ぬぐいや扇子で物を表現する」などを語った。
林家二楽さんが、紙切りを披露した。軽妙な小話で場をつなぎながら紙を切り、作品を見せた。生徒のリクエストにも即興で対応。見事な出来栄えに、児童生徒の歓声が湧いた。
「紙切り大喜利」では、代表生徒6人がステージ上で、ワークショップの際に出されていた「山の物」の紙切りに挑戦した。「クマ」「サル」「キノコ」などを切って作り、称賛の拍手を浴びた。
桂さんと林家さん2人の紙工劇落語「牛ほめ」もあった。桂さんの落語に合わせ、その場面を林家さんが紙切りで作り、スクリーンで映し出した。会場では大きな笑い声が響いていた。
3年生の松本友惺(ゆうせい)さんは「本格的な落語は今まで見たことがなかった。落語を何年もやってきただけあって、面白かった。紙切りも本当にうまくてすごいと思った。良い経験になった」と述べた。
同事業は、日本の一流の文化芸術団体に、小中学校などで公演してもらうもの。子どもらが優れた舞台芸術を鑑賞する機会を得ることにより、発想力やコミュニケーション能力の育成、将来の芸術家の育成や芸術鑑賞能力の向上につなげることを目的としている。
(2023年1月19日付紙面より)
宇久井小でジビエ出前授業 (那智勝浦町 )
和歌山県は現在、県内323校の小中学校や特別支援学校の給食に、「わかやまジビエ」(シカ肉、イノシシ肉、ジビエソーセージ)を提供している。那智勝浦町立宇久井小学校では17日、給食提供に先立って県による出前授業があり、5年生23人が学習やレザークラフトに取り組んだ。
県畜産課の上田雅彦課長補佐は「ジビエは狩猟で手に入れた野生動物の肉を指すフランス語。昔の日本では猟師が食べるのに必要な分だけ捕っていたが、現代では野生動物による農作物の獣害が多く発生するようになった。和歌山県ではその対策で捕獲したシカやイノシシを食資源や観光に生かそうと取り組んでいる」と解説した。
レザークラフトにはレタメロディア(有田川町)の中井謙次朗さんが協力。那智勝浦町を含む県内各地で生産されたシカ革(一部イノシシ革)を使い、児童とリス、ハリネズミ、ネコなどのキーホルダーを手作りした。
中井さんは「革は猟師たちが命がけで捕獲した一頭一頭の動物の命を頂いてできている。以前は『いらないもの』として処分されていたが、僕たちがフランスのパリで展示会を開いた時には、『日本にしかないもの』と高く評価された。現在ごみになっているものも、視点を変えれば世界で通用するものになる。皆さんにはいろいろな文化や価値観に触れてほしい」と思いを伝えた。「革製品は長年使うと色が濃くなり、光沢が出てくる」と話すと、児童から「大切に育てる」と声が上がった。
同校では20日(金)に、シカ肉を使ったベニスンシチューが提供される。亀井めぐさんは「ジビエは駆除した動物の肉を安く売っていると思っていたが、高級なものもあると知ってイメージが変わった。キーホルダーは、ランドセルに着ける。給食が楽しみ」と話していた。
(2023年1月19日付紙面より)
市長訪問し受賞報告 (新宮市 )
近畿大学附属新宮中学校(池上博基校長)の寺地優太さん(2年)がこのほど、中高生を対象にした科学コンクール「第66回日本学生科学賞」中学の部で、内閣総理大臣賞を受賞した。12日、寺地さんは市役所を訪れ田岡実千年市長に受賞報告。「これからも研究を進めていきたい」と展望を語った。
1957(昭和32)年にスタートした同科学賞は、中学生、高校生を対象とした歴史と伝統ある日本最高峰の科学コンクール。
毎年9~10月に身の回りの小さな疑問や不思議の解明、教科書に書かれている学説に対する疑問の解決などについて、個人や生徒が共同で取り組んだ実験・研究・調査作品を募集し、専門家により書類審査とプレゼンテーション審査を行い、優秀な作品を表彰するもの。
今回、寺地さんは「ウミホタルは血の匂いを感じて餌をみつける」をテーマに研究し、最高賞である同賞を受賞。昨年12月24日に東京都江東区の日本科学未来館で表彰式が行われ、式典後には臨席された秋篠宮さまから興味を持ったきっかけや今後の展望などについて質問を受けたという。
なお、寺地さんは昨年、「令和3年度わかやまネイチャー・アワード」個人部門において、「ウミホタルの嗅覚について」をテーマに研究し入選を果たしている。
ウミホタルに興味を持ったのは、小学生の時に参加した新宮市少年少女発明クラブ(瀧野秀二会長)でウミホタルを採取したことがきっかけ。以降、刺激を受けると発光物質を分泌する神秘的な生態に魅せられ、小学5年の時から研究を続けている。研究には妹の絢星さん(神倉小5)も協力。飼育を担当するなど、実験を後押しした。
また、研究や実験に当たっては、三重大学の「ジュニアドクター育成塾」や瀧野会長らの支援も受けている。
学校では、スーパーサイエンス部に所属する寺地さん。池上校長は「他のメンバーにとっていい刺激になっていると思います」。田岡市長は「中学生のレベルではなく、専門家並みの研究をされている。将来、研究者として活躍してくれることを期待しています」と激励した。
寺地さんは「ウミホタルは2、3㍉の大きさだけど、餌を食べているところを見ると一生懸命生きていていとおしく思う。ウミホタルの生態についてはまだ分からないところがあるので研究を続けたい。甲殻類の養殖に役立てることができれば」。
「室内・屋外での実験を組み合わせられたのは、新宮というまちの環境だからこそだと思います」と話していた。
(2023年1月14日付紙面より)
きのくに建築賞で高評価 (新宮市 )
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」がこのほど、「第6回きのくに建築賞~ワカヤマの魅力ある建築~」において最優秀賞と和歌山県知事賞を受賞した。12日、設計者の山下設計・金嶋設計共同企業体の金嶋正人さん、施工者の村本・三和特定建設工事共同企業体の大前智裕さんが市役所を訪れ、建築主の田岡実千年市長と喜びを分かち合った。
「丹鶴ホール」は、地上鉄筋コンクリート造(4階図書館は鉄骨造)。敷地面積約9248平方㍍、建築面積約2959平方㍍、延べ床面積は約6444平方㍍。
文化ホール(1~3階)・熊野学コーナー(2階)・図書館(4階)で構成され▽一人一人がまちづくりの担い手▽人が中心となる施設▽生き生きとしたまちへ 人輝き文化奏でる都市―を基本理念に、市民を中心とした文化創造活動を通した熊野地方の価値の創出を目指して2021年10月にオープンした。デッキからは熊野速玉大社や神倉神社、新宮城跡、熊野川などを眺望することができる。
なお、敷地内では施設建設に当たって2015年に縄文~江戸時代にいたる遺構や遺物が発見。昨年11月に「新宮市下本町遺跡」として国史跡に指定されている。
きのくに建築賞は、県建築士協会、県建築士事務所協会、日本建設家協会近畿支部和歌山地域会の3団体によるまちづくり協議会が主催し、郷土の美しい景観に寄与する優れた建築者を地域資産と捉え、それを見いだす場として創設したもの。
和歌山の建築文化の向上と、活気ある魅力的で美しいまちづくりに寄与することを目的としている。
今回は12年以降に完成した建築物が対象。昨年11月20日に県立近代美術館で開催された最終審査では、書類選考を通過した紀三井寺ケーブル山麓駅や有田市民水泳場「えみくるARIDA」、和歌山城ホールなどを抑え、歴史的背景や景観との調和、眺望などが審査員から高評価を受け最高賞を受賞するに至った。
このたびの受賞を受け、金嶋さんは「プロポーザルから完成まで足かけ7年。ずっと携わらせていただき、いろいろな問題もあったが最終的にこういう賞を頂きうれしく思っている。基本設計の段階から歴史から形を発想するという考え方はあったが、大変勉強になりました」。
大前さんは「これから50年、60年残る建物の施工に携われたことは光栄なこと。三和建設としても大きなチャレンジだった。実際に施設を使用されている方々を拝見すると施工させていただけて本当に良かったと感じます」と笑顔。
田岡市長は「建設に当たってはいろいろなことがあったが、結果的に大変貴重な遺跡の発見にもつながった。遺跡も国史跡に指定され、二重の喜び」と思いを語った。
なお、同施設は(公社)日本サインデザイン協会が主催する日本サインデザイン賞においても入選を果たしている。
(2023年1月14日付紙面より)
南紀串本観光協会(島野利之会長)と串本町消防本部(寺島正彦消防長)が12日、潮岬にある望楼の芝でイベント「本州最南端の火祭り」の準備に取り組んだ。
この準備は、21日(土)午後1時~6時30分ごろ実施予定のイベントで行う芝焼きの延焼を止める緩衝帯を東側の芝地外周に設ける内容。同協会職員15人が手分けして幅約3㍍を意識しながら外周に火を入れて枯れ芝を焼き、必要以上に延焼しないよう同本部職員15人が散水で火勢を調整する形で進めた。
引き続いて芝地西側一面にも火を入れたが、昨年終盤の刈り込みで枯れ草が少ないため焼けるところだけ焼いた段階で作業を終了した。
このイベントは同芝の管理手法として取り入れている芝焼きを日没直後から営み、夕闇深まる中で広がる炎の幻想的な光景で観光誘客を図る内容。実施前には物産販売、しょらさん鍋(トビウオのつみれ汁)振る舞い、芋餅販売、舞踊披露、式典、県立串本古座高校弓道部による火矢射式(点火式)、演出花火といった趣向もある。新型コロナウイルスの情勢でおととしと昨年は中止したため、本年度は3年ぶりの実施予定。感染症予防の一環で餅まきと串本節がないが、本州四端の市町長が視察する予定で同協会によるモデルロケット打ち上げ体験会(事前申込者対象、午後3時ごろ打ち上げ予定)や田辺海上保安部と紀の国灯台利活用推進委員会による潮岬灯台特別一般公開(午後2時~4時30分、当日受け付け)が連動する予定で、例年に増して見どころは多い。
これら状況を踏まえて島野会長は「もちろん新型コロナウイルスの状況も直前まで注視するが、気持ちとしてはやりきりたいという思い。実施にこぎ着けたときには、各自の感染症予防を呼びかけて大勢の皆さんに楽しんでいただきたい」とコメントした。
当日のイベント実施の有無などの問い合わせは同協会(電話0735・62・3171)まで。
(2023年1月14日付紙面より)
神倉神社の石段検分 (新宮市 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社、神倉神社で13日、石段検分が行われた。2月6日(月)の「御燈祭(おとうまつ)り」に向け、関係者が石段の安全を点検。ひび割れなどが73カ所見つかり、祭り当日までに修繕していく。
「御燈祭り」は1400年以上前から続いているとされており、熊野速玉大社例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」と合わせて国の重要無形民俗文化財(重文)に指定されている。白装束に荒縄を巻いた「上(あ)がり子」と称する参拝者が神倉山で松明(たいまつ)に御神火を受け、山門の開閉とともに急峻(きゅうしゅん)な石段を一気に駆け下る勇壮な祭りとして例年、全国から大勢の人が訪れている。
今年は前向きな検討が行われていたものの、新型コロナウイルス感染症第8波の襲来を案じ、約2000人の上がり子が山門内に集結することによって長時間の3密が避けられない状況にあることを考慮。クラスター(感染者集団)が発生する危険が高くなると予想されることから、3年連続となる上がり子の参加中止の判断に至った。
当日は正午から神倉山への入山を制限し、報道関係者や一般撮影者の入山も禁止。最少人数の神職と介釈(かいしゃく)のみで営まれ、翌7日(火)の御燈祭り奉祝祭、餅まきも中止する。
点検には同大社や神倉神社奉賛会(猪飼三雄会長)、神倉青年団(中山忠吏団長)などから13人が参加。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝(1147~99年)が寄進したと伝わる自然石を積み上げた538段の石段を一段ずつチェックし、石が動くなどの問題箇所にチョークで印を付けていった。猪飼会長は「3年連続の規模縮小は残念だが、現状を考えると仕方ない。『来年こそ』の思いを諦めず、本来の祭りができることを信じています」と話していた。
(2023年1月14日付紙面より)