海上自衛隊呉音楽隊「ふれあいコンサート」 (新宮市 )
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で26日、海上自衛隊呉音楽隊(指揮者=真道友樹・音楽隊長1等海尉)による「ふれあいコンサート」があった。約600人の来場者を迫力ある演奏で魅了した。
市と市教育委員会が主催した同施設オープニングイヤー事業(後期)の一環。新宮防衛協会共催、同音楽隊と自衛隊和歌山地方協力本部が協力した。開催に向けて鑑賞希望者を募ったところ、1048通(2972人)の応募が寄せられ倍率は約5倍に。和歌山地方協力本部新宮地域事務所が抽選を行い、応募者の中から601人が鑑賞の機会に恵まれた。
同音楽隊は1956年に発足。76年5月に呉地方総監直轄部隊として正式に編制が認められた。▽士気高揚のため▽儀式▽広報のため―の音楽演奏を主な任務としており、自衛隊と国民の架け橋となり、愛される音楽隊を目指して日々演奏活動を行っている。
広島県内をはじめ、近畿や中国、四国地方などの広い範囲を担当するほか、海上自衛隊が初任幹部の教育ならびに国際親善を図るため実施している遠洋練習航海にも毎年隊員を派出。世界各国の寄港地で言語を超えた交流を展開している。
開演に先立ち、田岡実千年市長が「多くの市民、周辺市町村の方々から応募があった。呉音楽隊は世界各国の寄港地を訪問されている、自衛隊でも最高峰の音楽隊。私も皆さんと一緒に、普段聞くことのできない素晴らしい演奏を楽しみたい」とあいさつ。開催に当たって関係者らの尽力に感謝を伝えた。
コンサートは、旭日旗(自衛艦旗)を掲げて航行する護衛艦の勇姿と、艦上で迎える朝の美しさを表現した「艦上の旭日」で華々しく幕開け。「熊蜂の飛行」や「吹奏楽のための第1組曲」、「カントリーロード」「鉄腕アトム」など、クラシックの名曲や吹奏楽曲、ドラマ主題歌、アニメ挿入歌、アンコール合わせて13曲を披露。観客が手拍子で音楽隊と共演する一幕もあり、大盛況のうちに幕を下ろした。
「丹鶴ホール」入り口付近では、和歌山地方協力本部による串本分屯基地の紹介などがパネルで紹介されたほか、軽装甲機動車などの展示もあった。
(2022年6月28日付紙面より)
NPO法人「七彩会」 (太地町 )
NPO法人「七彩(なないろ)会」は26日、那智勝浦町市屋の太地町地域福祉センター梛(なぎ)で初となるフリーマーケットを開催した。三重県や新宮・東牟婁地域から集まった出店者の各ブース20店舗には多くの来場客が訪れ、終始にぎわいをみせた。
フリーマーケットはコロナ禍で催しが少ない中、多くの人々が楽しく、気軽に集まれる機会の創出を目的に開催。1年前から計画されていたが、新型コロナウイルスの影響で開催が延期となっていたという。
この日、職員らはしっかりと感染症対策に取り組み、来場客にも協力を呼びかけた。オープン前から約50人の来場客が待つほど盛況で、雑貨やアクセサリー、花食器、子ども服、服、菓子などの出店に加え、メダカすくいや己書などの体験ブースも人気だった。
フリーマーケットの責任者である同法人の漁野祐子さんは「募集時は出店者さまが集まるのか、開催はできるのかと不安だった。しかし、多くの出店やたくさんのお客さまでにぎわい、本当にありがたい。今回の課題を見つけ、参考にしながら次回の開催につなげていきたい」と語った。
新宮市から訪れ、買い物を楽しんでいた50代女性は「活気があってうれしい。ほしい物が手に入った。そろそろ、こういった催しが、次々と各地域で実施されても良いのではと思います」と話していた。
(2022年6月28日付紙面より)
中央公民館で児童館七夕会 (古座川町 )
古座川町高池にある中央公民館で25日に児童館七夕会があり、子ども42人や送迎の保護者が参加して一足早く雰囲気を楽しんだ。
町内の小学生以下を対象にした風物詩行事で平年は当日受け付けの集会として開いているが、前年度に続いて本年度も感染症予防を考慮し事前申し込み制で各企画を順番に巡ってもらう形を計画。前年度にはなかった宝釣りゲームやフォトスポットといった新規企画を加えて内容を充実しつつ、参加を呼びかけた。
子どもらはあらかじめ家庭で作った飾りや願い事を書いた短冊を持って午前10時~11時に時間差で参加し、高さ約4㍍で切り出したササに結び付け新規要素を楽しみつつひこ星役や織り姫役から七夕セットや菓子が詰まったプレゼントをもらった。
短冊には勉強や今頑張っていることの上達、憧れている人との出会い、家族の幸せなどさまざまな願いが書かれていて、飾り付けた後のササは7月7日の笹流しまで館内展示するという。
会場飾りの手作りなど準備に尽力した子育て支援センターの加藤雅美保育士(児童館事業兼務)は「今もコロナ禍で外出する機会が以前より少ないと思う。家族や友達との楽しい思い出になれば」と願い、会場での短冊作りやササへの飾り付けを後押しした。
(2022年6月28日付紙面より)
セレモニーホールなちで人形供養 (那智勝浦町 )
みくまの農業協同組合(JAみくまの、漆畑繁生代表理事組合長)は26日、3年ぶりとなる「人形・ぬいぐるみ供養祭」を那智勝浦町川関のセレモニーホールなちで営んだ。新型コロナウイルスの影響で2年間中止となっており、今年で11回目。ひな人形や市松人形、こけしやぬいぐるみなどが持ち寄られ、参列者たちは心を込めて人形を供養した。
同組合は「農」と「食」と「地域」を守るという理念の下、さまざまな活動に取り組んでおり、供養祭もその一環。思い出の詰まった人形を捨てるのが忍びないという人に向け、ホールを開設後、コロナ禍までは毎年開催してきた。
この日は300人以上が約5000体の人形を持ち寄った。供養式では新宮市佐野の南珠寺の伊藤秀幸(しゅうこう)住職が「人形に対して、これまでの感謝の気持ちを持って、ご焼香お願いします」とあいさつ。読経が行われる中、参列した約70人が順に焼香して手を合わせた。
同町在住の50代男性は「妻のひな人形を持ってきました。こちらで供養祭をやっていただけるのは本当に助かります」。
新宮市在住の80代女性は「コロナで久しぶりだからか、多くのお人形さんが持ち寄られたのだと思う。大切にしていたので情や気持ちも入るので、自分では処分できない。ありがたいです」と語った。
ホールの塚文和センター長は「3年ぶりのため、お待ちいただいた方や問い合わせされる方も多かった。供養祭にご参加いただきありがたい。コロナ禍や何か事情がない限りは今後も継続していきたいと思います」と語った。
(2022年6月28日付紙面より)
全国高校野球選手権和歌山大会
第73回紀南中学校大会 (県バレーボール協会東牟婁支部 )
木質バイオマスの発電所 (新宮市 )
新宮市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店の裏手で、新宮フォレストエナジーによる木質バイオマス発電所(川畑智昭所長)が稼働している。発電量は約3200世帯分となる約1680㌔㍗。その発電の具体的な方法や、地域が得られる恩恵について尋ねた。
フォレストエナジーは、東京都に本社がある。新宮の発電所は、昨年の12月末から稼働。川畑所長(46)は新宮発電所の大きな特徴として「既存のボイラータービンではなく、ガス化による発電」を挙げる。「炭小屋で炭を作るとき、空気を絞り炭化させ、煙突からガスを出す。同様の原理でガス化し、そのガスでエンジンを燃焼させ、電気と熱を取り出す」という。
このガス化が、地域林業への大きな貢献をもたらす。「ボイラータービン型の発電所は大型でないと採算がとれず、膨大な量の木が必要。集材に県境を越え、輸入にも頼ることになる。新宮発電所はガス化のおかげで、周囲50㌔ぐらいの地域の未利用材を100%使って、地産地消で発電できる」と明かす。新宮発電所の材はほとんどがスギという。
具体的には、年間で約2万㌧を集材し、新宮発電所内で切削してチップに。これを乾燥させて、ガス化設備に送る。なお乾燥させるのに、発電で発生する熱を利用する。チップはガス化により、バイオ炭となる。熊野地方の農家が、農地用にこのバイオ炭を利用し始めている。他にもバイオ炭は固めると成形炭として利用できるほか、土壌改良材や浄水フィルター、アスファルト混入材などに使用できる。このバイオ炭は、年間で約1500㌧ができる。
発生したガスは、ガスエンジンに送られる。エンジンの回転力を発電機に送って発電する。発電機は500㌔㍗のものが4台あり、合計で2000㌔㍗の発電能力があるが、電力会社の送電容量の関係で出力を抑えている。燃焼で発生する熱は約3800㌔㍗で、約90度の温水として取り出す。
この温水はヨーロッパであれば、利用できるインフラが整っているが、日本にはなく、整備するにも高額。このため新宮フォレストエナジーでは、余剰熱を利用し乾燥チップ製造を行い、同チップの販売先として、今後周辺地域で導入が期待される超小型のガス化発電機「ボルター」向けなどに販売を予定している。ボルターのチップ使用量が年間で約500㌧(生チップベース)、約40㌔㍗(約60世帯分)の電気と約100㌔㍗の熱、年間で約10㌧のバイオ炭を産出する。使用するチップは新宮発電所から供給し、設備メンテナンスも受けられる。
川畑所長は「山をきれいにがコンセプト、それに伴って川も海もきれいになる。林業の未利用材を有効利用し、電気や熱、バイオ炭を生み、それらを活用したサービスを地域に供給することを通じて地域活性化に貢献できれば」と思いを語った。
(2022年6月26日付紙面より)
熊野カフェで意見交換 (那智勝浦町 )
那智勝浦町勝浦の「熊野カフェ」は18日、オープン10周年記念事業の一環として、勝浦観光に関する語りイベント「勝浦温泉の今昔(いまむかし)」を開催した。語り手を務めた「かつうら御苑」会長の中定俊さん(74)が、町の景気が良くにぎやかだった当時の思い出話やまちづくりについて語り、フリートークも行われた。
過去に町観光協会長なども務め、町の活性化に尽力してきた中さん。幼い頃の思い出について、「小さい頃からお蛇浦(じゃうら)海岸や千畳敷でよく遊んだ。近くには旅館があり、有名な役者も来て、時代劇の撮影もよく行われていた」と説明した。
昭和から平成の好景気だった当時を振り返り、「鳥羽・勝浦・白浜は新婚旅行のメッカ。多くの新婚旅行客を迎えた。人口も2万5000人ほどいた。マグロ船も多く、昼も夜もとにかく活気があった」。
体育文化会館やゴルフ場、グリーンピア南紀なども建設され、今後のさらなる発展に期待していたと述べた。しかし、バブルが崩壊し、東京などの大都市は大変な事態に陥っていたとし、同町では3年ほど遅れて影響がやって来たと述べた。
現在においては、コロナ禍が収束して多くの観光客が戻り、町が活気づいたとしても問題があるとし、「人口が当時から1万人ほど減少している。多くの観光客を受け入れ、サービスなどに対応できる人材がいない状態にある」と指摘した。
そのほか、ふるさと納税の利活用や民間と行政の会話・協議の場づくりの重要性を訴えた。中さんは「観光客については民間が努力する部分。しかし、従業員などの雇用の問題は行政の力が必要になる」と語った。
フリートークでは「観光でもうけることができれば、福祉にもお金が使える」「この町が潤うには観光振興しかない」「行政と民間が連携できずに役割分担ができていない」「町民と行政が交わるような基本構想が必要では」など、町の活性化や観光産業についての意見が出された。
同店オーナーの畑中卓也さんは「この町の地理的ハンディを補うのはやっぱり人だと思う。参加された皆さんは心から町を良くしたいと思っている。今後もこのような機会を持ちたい」。
中さんは「人口が減り続けるのは間違いない。常に行政や町、関係者らで対話し、意見を言い合える場が必要だと思う」と話した。
(2022年6月26日付紙面より)
紀宝町には31世帯50人が
昨年度、県外から三重県に移住した人が541人に上り、6年連続で前年を上回った。前年度から約5%増となり、集計を始めた2015年度から6年連続で前年を上回っており、7年間の累計で2460人となった。
移住者数は15年度124人、16年度205人、17年度322人、18年度371人、19年度383人、20年度514人。昨年度の541人のうち市町の補助・助成制度、空き家バンクの利用が半数以上だった。
熊野市、尾鷲市、紀北町、御浜町、紀宝町の東紀州地域には117人が移住し、全体の21・6%を占めた。
このうち、紀宝町には31世帯50人が移住。東紀州地域全体の42・7%に上り、30~40代の子育て世代の転入が目立っているという。
町では移住・定住を支援、推進する町有地分譲、空き家バンク制度をはじめ、生活体験を通して町への移住を検討してもらうお試し住宅制度などを展開。昨年度は移住後の新生活支援制度を新設するなど取り組みを進めてきた。
本年度は、国・県の補助金、交付金を活用し、若者の定住促進、婚活支援、結婚新生活支援などを拡充する。大学などを卒業したUターン、Iターン、Jターン者の奨学金返還支援などを新たに創設するほか、移住者に移住定住支援員を委嘱し、生活体験を通して感じた町の魅力を発信してもらう。
町の担当職員は「支援制度をより充実させ、積極的に移住、定住対策を推進していく」と話している。
(2022年6月26日付紙面より)
三輪崎保で梅シロップ作り (新宮市 )
新宮市の保育所型認定こども園「三輪崎保育園」(中畑元太園長)で23日、5歳児による梅シロップ作りがあった。
毎年恒例の行事で、みなべ町の農家から届いた南高梅で梅シロップを漬け、夏の終わりのウオーターパーティーなどでかき氷にかけてみんなで味わう。
黄色や赤に完熟した南高梅に触れた園児たちは「モモと同じにおいがするよ!」「いいにおい!」と笑顔になり、エプロンと三角巾姿でシロップ作りをスタート。つまようじで丁寧に「おへそ」を取って水で洗い、キッチンペーパーで優しく水を拭き取った。梅を砂糖と交互に瓶に詰めたら完成。
漬け込みを終えた園児たちは「どのくらいで完成するの?」と完成を心待ちにしていた。
(2022年6月26日付紙面より)
プロジェクトチームが発足
新宮市佐野の県立新翔高校(藤田勝範校長)では、本年度から「新翔プロジェクトチーム」が発足。学校の垣根を越えた地域交流やボランティア活動に向けて、新たな一歩を踏み出した。
昨年度末から構想を練り、新翔特別教育プログラムとして本年度から始動した。▽高校生と地域の大人が連携・協働してまちの課題や魅力アップを考える▽多世代交流を通して、地域課題解決型学習を実現▽学校で学んだことを地域(学校外)で生かす―を目的に校内で参加を募ったところ、14人が希望した。
発足してまだ日が浅いため、数回程度しか打ち合わせができていないというが、現在活動に向けて「新翔生お貸しします!」などと書かれたポスターを制作中。新宮警察署より委嘱を受けた「自転車マナーアップ推進リーダー」の活動をはじめとした、各種ボランティア活動や地域貢献活動に向け「活動部屋」で意見交換に熱を込める。
□ □
これまで、イベントやボランティアの開催ごとに参加有志を募っていた同校。窓口の一本化を図る目的でプロジェクトチームを新設した。「地域はマナーやルールを実践する場で、コミュニケーション能力、ボランティア精神を伸ばしていく場。地域の大人と関わる中で、生徒たちの成長を感じた」と藤田校長。「これまで受け身だったが、地域で何ができるかを考えたり、自主的に地域に関わったりしていけたら。地域を盛り上げるための発想が生徒から生まれてきたら最高ですね」と思いを語る。
「新しいことに挑戦したい」と参加を決めたのは、プロジェクトチームリーダーの中村美優さん(3年)。「初めてのプロジェクトだし、高校生活最後の年なのでいい機会だと思った。子どもが好きなので読み聞かせにも挑戦したい」。
鈴木希羅厘さん(同)と松本海優さん(同)は「中村さんに引っ張られて参加した」としながらも「海岸清掃したい」「自分たちで何か作ってフリーマーケットを開いて地域交流したい」と構想を聞かせてくれた。
地域防災活動や新翔ブランドのお菓子の考案などの商品開発も視野に入れている。顧問の宮井貴浩教頭は「まだ始まったばかり。新たな取り組みを活発にやっていきたい。生徒から新しい提案をしていけたら」と期待を寄せる。
中村さんは「これから入ってくる後輩のために、新翔の歴史に残るようなチームにしていきたい。このチームがあるから新翔に入りたい、そんな活動ができたら」と前を向いた。
プロジェクトチームでは「力仕事や幼稚園児・保育園児・小学生などへの読み聞かせなどに、私たち新翔プロジェクトチームが駆け付けます! 手伝えることがありましたらよろしくお願いします」と呼びかけている。
問い合わせは同校(電話0735・31・7087)の宮井教頭まで。
(2022年6月25日付紙面より)
消防本部が啓発活動 (那智勝浦町 )
那智勝浦町消防本部(湯川辰也消防長)は22日、那智勝浦町天満のAコープなち店で熱中症予防を呼びかける啓発活動を実施した。職員4人が、買い物客らに熱中症予防啓発冊子などを配布して注意喚起を行った。
気象条件が変わりやすく、気温の変化が大きいなどの理由から、近年増加傾向にある熱中症。消防庁の発表によると、先月1日から今月19日までの間で、すでに全国で5479人が熱中症により救急搬送されており、昨年同時期より683人増となっている。
屋外だけではなく室内における発生も増えており、全国の救急搬送のうち436人(32・6%)が住居で熱中症になったという。
同町では2019年が12人、20年が10人、昨年が6人、今年4月現在で2人が熱中症の疑いで搬送されている。
関谷善文消防署長は「熱中症は暑い環境の中で体温調節ができずに目まいや頭痛、意識障害などさまざまな症状を起こす疾患。運動だけでなく、室内でも起きるため注意してほしい」。
体調に異変を感じた際については「我慢せずに救急車を呼んでください。普段から小まめな水分、塩分を含んだミネラルなどの補給を心がけていただけたら」と話した。
この日の啓発では職員が買い物客に丁寧に声かけを行い、啓発物資を手渡して注意を呼びかけていた。
(2022年6月25日付紙面より)
和歌山東漁業協同組合に (新宮税務署 )
新宮税務署の山端克明(やまばな・よしあき)署長が23日、適正な申告納税の推進に努める和歌山東漁業協同組合(𠮷田俊久代表理事組合長)に感謝状を贈り取り組みを奨励した。
同組合は5月31日、同署管内でも先駆けて適正申告・キャッシュレス納付推進を宣言。その旨を伝える懸垂幕を串本本所地内から地域に向けて掲げつつ、宣言に基づく実動を始めている。
同署によると県内最大規模となる組合員数約1700人を誇る同組合の実動が他の組合や周辺地域にもたらす波及効果も大いに期待されるところで、この功績は前述した署長感謝対象事項において顕著だとして感謝状を贈るに至った。
この日は山端署長が串本町串本にある同組合串本本所を訪ねて𠮷田組合長へ感謝状を贈り、懇談を織り交ぜて互いの思いを確かめ合ったという。
この感謝状は▽適正な申告納税の推進▽納税道義の高揚▽税務行政の円滑な運営―など税務行政への多大な貢献が認められる取り組みを対象に贈呈。同町内では2017年度に校長会へ働きかけて町立小中学校全校が租税教室に参加する状況をつくり出した町教育委員会が翌18年に納税道義高揚の貢献で贈呈を受けた経緯があり、その時点から数えて今回は約3年7カ月ぶりの誉れとなっている。
(2022年6月25日付紙面より)
U15アジアレスリング選手権大会 (新宮市 )
新宮市、市教育委員会、市体育協会は24日、市庁舎にマナマ(バーレーン)で開催される「2022年U15アジアレスリング選手権大会」の男子フリースタイル48㌔級に日本代表として出場する山本情輔(じょうすけ)君(緑丘中3年)の活躍を願い、応援懸垂幕を掲げた。
山本君は3歳から競技を始め、新宮ジュニアレスリングクラブに所属。昨年11月に駒沢オリンピック公園総合運動場屋内競技場(東京都)で行われた「令和3年度東京都知事杯第12回全国中学選抜レスリング選手権大会」の同階級で4位入賞を果たし、選考基準を満たして日本代表に選ばれた。
20日には新宮市役所を表敬訪問し、田岡実千年市長から「世界大会出場は私たちにとっても楽しみ。支えてくれた大勢の人たちに感謝し、試合に臨んでほしい」と激励を受けていた。
(2022年6月25日付紙面より)
生きがい菜園で市老連会員ら (新宮市 )
新宮市老人クラブ連合会(上廣正幸会長)の会員らは8日早朝、市内の「生きがい菜園」(生きがい緑ヶ丘農園、晴耕園)で共同清掃作業を実施した。緑ヶ丘農園では約30人が参加。和気あいあいと世間話などに花を咲かせながら、草抜きや溝の泥かきなどに汗を流した。
「生きがい菜園」は、市老連主催の「生きがいと創造の事業」の一環として、会員らに同所を含む市内2カ所の農園の区画を貸与している。同所では現在31区画中29区画、同市新宮の晴耕園では47区画中34区画で会員らがキュウリやトマト、ナス、トウモロコシなどさまざまな作物を育てている。区画の契約期間は3年。
共同作業は、普段会う機会がない人同士の顔合わせや会員間交流、見守りを目的に実施している年に1度の恒例行事で、本格的な暑さを迎える夏に向けて毎年梅雨前に行っている。
この日は、区画の貸与を受ける会員らが協力し、軍手をはめてごみ袋やシャベルなどを手に、花壇の手入れや溝に詰まった泥や石を取り除くなどの作業を行った。
同所でナスビやミニトマト、ブロッコリーなどを育てている80代女性は「夫婦で交代で毎日来ています。育てるよりおしゃべりが楽しみ。励みになっています」と笑顔。
同農園世話役代表の大石實さんは「高齢化が進み、1人暮らしだとよりどころがない。ここでは皆、教え合いながらコミュニケーションを取って仲良く野菜作りに励んでいます」と話していた。
「生きがい菜園」に関する問い合わせは、市社会福祉協議会(電話0735・21・2760)まで。
(2022年6月9日付紙面より)
串本町潮岬の望楼の芝で (県宇宙教育研究会 )
和歌山県宇宙教育研究会(会長=笹井晋吾・県立桐蔭中学校・高等学校長)が4日、串本町潮岬にある望楼の芝などで同校科学部(藤木郁久顧問)の合宿の様子を視察した。
国内初の民間小型ロケット射場「スペースポート紀伊」を有する県域におけるロケットを教材とした科学教育の在り方を見いだす目的でおととし9月、教員有志(指導主事を含む)が会員となり結成した同研究会。この日は潮岬にある県立潮岬青少年の家で総会を開き、社会教育領域でモデルロケットや空気ロケットの製作・打ち上げ体験(12月3日に串本町で実施など県内各地)、東京大学大学院の中須賀真一教授を招いての缶サット体験講座(7月23日に串本町で実施)、新規でロボット教室in串本(8月16日に串本町で実施)や県南部を舞台にした全国対象の宇宙教室(全4回)の開始、前年度に試行した学校教育領域でのロケット教室継続(10~11月に串本町内の中学校2校で実施予定)、その他各種企画への共催など本年度の方向性を決めた。
モデルロケットの制作・打ち上げ体験は射点がある同町域でも重ねて実施していて、旧来は同研究会の事務局長で指導資格を持つ藤木顧問が一手に管理していたが現在は串本中に勤務する太田昇教諭も同じ資格を取得済み。同研究会として紀北と紀南を2人体制でカバーできるようになった進展を生かして体験の裾野をさらに広げるため、本年度の総会の日時と会場を同校科学部の合宿と合わせて設定し、視察の機会を持ったという。
同校科学部の今回の合宿は新入部員にモデルロケット(通称・アルファー3)の制作と打ち上げの経験をさせ、世界大会出場の実績がある缶サットへの挑戦の足掛かりをつけることが主目的。そのための場を藤木顧問監督の下で先輩部員が主体になって運営し、併せてドローンの操縦練習や電子機器を駆使して活動記録を取得するなど参加した部員はそれぞれに課題を持って取り組んだ。
これら一連の内容が総会に出席した会員の視察の対象で、太田教諭は藤木顧問が培う形や指導術を洞察しつつ流れを妨げない範囲で部員と関わり活動の一端を共にした。
藤木顧問は太田教諭の指導資格取得を「頼もしい」と喜び、この状況が串本町域にロケット教室などの体験を定着させる上での大きな力になると期待してノウハウの共有に努めていた。
(2022年6月9日付紙面より)
熊野三山協議会は6日、新宮市役所別館で総会を開き、本年度事業計画など5議案を承認。役員改選では田岡実千年新宮市長を会長に再任、副会長に熊野本宮大社の九鬼家隆宮司を選任した。
同協議会は1984年発足。熊野速玉大社、熊野本宮大社、熊野那智大社、那智山青岸渡寺と関係自治体、民間団体などで組織する。一体となって熊野地方の文化財の保護、保全、調査研究などを進めている。
熊野は日本サッカー協会のシンボルマークである「ヤタガラス(八咫烏)」と日本近代サッカーの始祖といわれる中村覚之助の古里。その縁で協会は2002年ワールドカップ日韓大会から熊野三山一寺で必勝を祈願している。
田岡市長は「新型コロナウイルスの影響で令和2、3年度は事業の見送りが続いている。本年度においてもコロナの状況を見極めながらの事業展開を余儀なくされると思うが、ご指導・ご協力いただきながら熊野信仰の高まりと地域振興に向けた取り組みを推進していきたい」とあいさつ。
オブザーバーとして出席した酒井清崇・東牟婁振興局長は「新型コロナの影響で外国の方や団体観光客の回復にはまだ遠い状況だが、以前にも勝る来訪者の回復を視野に入れる時期。さまざまな施策を打ち、来訪者増加に取り組んでいきたい」と協力を求めた。
本年度は▽歴史講座の開催▽熊野神社に関する調査研究の推進▽熊野文化調査交流の実施▽熊野に関する研究への支援―などの学術研究、そして▽「八咫烏をテーマとした調査研究や地域振興の魅力ある素材の活用▽中村覚之助のサッカー殿堂入りに向けたPR▽「ヤタガラスカップ」サッカー大会への協賛▽沖縄本土復帰50周年記念事業への協力―など顕彰事業の取り組みを計画している。
また、「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年に向け、世界遺産の保全と活用とPR、推進する諸団体との連携を図っていく予定。
監事の堀順一郎那智勝浦町長は、2010年に発行した「熊野の中村覚之助~日本サッカーのパイオニア~」(発行者=同協議会、日本サッカー史研究会など)について、昨年覚之助を名誉町民として推挙したことなどを挙げ、同資料の増刷や再編集を要望。
理事の上野顯・熊野速玉大社宮司は、沖縄復帰50周年に当たり、同県を訪問したことに触れ、平和の象徴として植樹した梛(なぎ)の生育状況や復帰に対する県民の思いを紹介。「復帰は大変な動きがある中でやっと勝ち取ったもの。日本の文化、伝統を守り、子どもたちに伝えていく願いの結集。平和の灯を絶やさずに再度、梛を植えていければ」と思いを語った。
(2022年6月9日付紙面より)
コロナワクチン4回目 (太地町 )
太地町は2日、新型コロナワクチンの4回目接種の予定について発表した。60歳以上に向けた接種の案内を10日までに発送し、6月末から集団での接種を開始する予定という。
今回の接種は、3回目から5カ月以上が経過した▽60歳以上▽18歳以上で基礎疾患がある人▽重症化リスクが高いと医師が判断した人―に限定されている。太地町多目的センターでの集団接種を予定している。
18歳以上60歳未満で、基礎疾患のある人や重症化リスクが高いと医師が判断した人については、町も把握できていない。このため、接種を希望する場合は、自己申告を求めている。連絡先は、太地町住民福祉課(電話0735・59・2335)。
なお、60歳以上に関しては、町も把握できているため、連絡は不要となっている。
(2022年6月9日付紙面より)
渚の会が地元区らと連携 (那智勝浦町 )
日本財団「海と日本PROJECT」と環境省などが実施する全国一斉清掃キャンペーン「春の海ごみゼロウイーク」にエントリーした「かつうら渚(なぎさ)の会」(猪飼伸会長、会員22人)は5日、ウミガメの産卵地としても知られる那智勝浦町下里の太田川河口(通称・大浜海岸)で清掃活動を実施した。会員や地元の高芝区、地域の各団体、一般参加者など約80人が集まり、作業に汗を流した。
清掃キャンペーンは同財団らが海洋ごみ問題の周知啓発と海洋ごみの流出を少しでも防ぐことを目的に、「ごみゼロの日」の5月30日から6月8日の「世界海洋デー」前後を「春の海ごみゼロウイーク」、9月18日の「ワールドクリーンアップデー」から26日までを「秋の海ごみゼロウイーク」と定めている。
この日は開始時刻より1時間以上早くから現地に集まり、作業に取り組む人の姿も多く見られた。キャンペーンの必須アイテムである青色のシャツや帽子、タオルなどを身に着けた参加者はごみ拾いに加え、大きな木々の切断や海藻、流木などを集めて焼却した。
清掃に参加した堀順一郎町長は「渚の会を中心に地元区の方々や県、役場、各団体、サーファーの皆さまにご参加いただけて良かった。この活動を通して、町民の皆さまにも地域の魅力や環境の大切さを再認識していただけたら」。
高芝区としても年に数回、大浜を清掃しているという伊藤善之区長は「この浜では釣り客やパラグライダーをされる方もいる。町内外からご参加いただき、感謝しています。近年では不法投棄も問題になっているため、浜をきれいにしていただくことで抑止にもつながる。また、流木が流れてこないために行う施策の検討も必要かもしれない」と話した。
猪飼会長は「多くの皆さまにお集まりいただき、本当にありがたい。ウミガメが産卵に訪れる場所が少しでもきれいになればうれしいです」と語った。
この日は高芝区民、町赤十字奉仕団、「なちかつ古道を守る会」、南紀パラグライダー、玉の浦リップルズクラブ、東牟婁振興局、町役場職員、などの各有志が参加した。
(2022年6月7日付紙面より)
潮岬小6年対象の租税教室 (串本町 )
串本町立潮岬小学校(水上茂秀校長)の6年生25人を対象にした租税教室が2日にあり、児童は講師の新宮納税協会会員と一緒に税金の大切さを考える機会を得た。
この教室は、新宮・東牟婁租税教育推進協議会(会長=山端克明(やまばな・よしあき)新宮税務署長)が学校からの依頼に応えて講師を派遣する形で実施。串本町内ではこの日が初実施で午前に串本小、午後に潮岬小でそれぞれ開講した。
潮岬小へは同協会を代表して青年部会の野中亮伸副部会長と税理士を本業とする部会員・中谷公大さんが同協会の泉晶子書記と共に来校。前半は中谷さんと一緒に身近なところでどのような税金があるかを考え、約50種類ある税金がなかったら世の中はどうなるかを映像教材「マリンとヤマトの不思議な日曜日」を鑑賞しワークシートで考える流れでイメージし、税金の大切さを実感した。
後半は野中副部会長が児童に身近な学校の建設や義務教育にどれぐらいの税金が充てられているかを説明。学校は平均15億円、義務教育は小学生1人につき平均で年間89万円(月約7万4千円)と伝え、通い事の月謝のように毎月これを払うのは大変だと児童と共感しあって中谷さんのいう大切さを後押しした。
児童は説明に出てくる額の実感を得るきっかけとして1億円(1万円札×1万枚)の重さも体験。中谷さんは「税金はみんなから集める社会の会費だとおうちの人に話し、みんなの税金でつくった学校を大切にして勉強や運動に頑張ってほしい」と呼びかけて締めくくった。
同協議会事務局によると、串本小へは新宮税務署の職員を講師として派遣。同町内では13日(月)に西向小、15日に(水)に出雲小と橋杭小で開く予定(以降の日程は未発表)という。
(2022年6月7日付紙面より)
歴探スクールで白石博則さん (新宮市 )
熊野学研究委員会歴史部会・新宮市教育委員会が主催する令和4年度熊野学講座「第37回歴史探訪スクール」が5日、同市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」であった。和歌山城郭調査研究会代表の白石博則さんが「奥熊野の城跡―その魅力と歴史を語る」をテーマに講話。約80人が聴講した。
開講式を兼ねたこの日は、講演を前に速水盛康教育長があいさつ。熊野学研究委員会の山本殖生さんが講師の白石さんを紹介した。
白石さんは、最近では天守のない城も注目されている傾向にあるとし「城跡から過去の人間や生き様など、『人との出会い』を感じているのでは」と推測した。
近世城郭や中世城郭を写真で紹介し、村やクニなど公共団体が維持管理をしていた古代から、武士の館であった平安~鎌倉時代を経て南北朝時代には山城が出現。戦国時代には山城と館がセットになった根小屋式城郭となり、その後、安土城や大坂城に代表される織豊系城郭が誕生したと説明した。
那智山麓、那智川の両岸の二大勢力(廊ノ坊塩崎氏一族らと実報院米良氏+堀内氏)による那智山内の覇権争いの際に、廊ノ坊が籠城した勝山城跡(那智勝浦町、1581年落城)について「山麓には関所もあったとされる。元々地域の政治的な場だった」。
勝山城の対岸にあった実報院の藤倉城跡の主要部分は、インターチェンジのために削減されたが多くの遺物が出土していることなどを紹介。「勝山城籠城戦は奥熊野戦国史のハイライト。堀内氏は勝山城を落とした後、さらに南に進攻していった」と説明した。
築城の名手・藤堂高虎が85~89年ごろに築城したと伝わる赤木城(熊野市紀和町)について「枡形虎口(ますがたこぐち)や横矢掛(よこやが)りなど織豊系城郭の特徴が見られる。豊臣政権にとって熊野木材の確保は喫緊の課題であり北山支配は極めて必要度が高く築城の契機となったと考えられている」。
堀内氏が築き、堀内氏善が蟄居(ちっきょ)したとされる京城跡(紀宝町大里)について「奥熊野随一の優れた縄張り。奥熊野で使われる築城技法を全て使った城だが織豊系城郭の影響は限定的」とした。
白石さんは、石垣・石積みの多用や、城内に聖地の印として大岩が残されているなど、奥熊野の魅力や特徴、登りやすい城跡を紹介。「戦国・安土桃山・江戸時代の三期の城が狭い範囲で見学できる。奥熊野は隠れた名城の宝庫」と評した。
(2022年6月7日付紙面より)
那智勝浦町の海岸沿いで発見
那智勝浦町の海岸沿いで、国指定天然記念物であるムラサキオカヤドカリを発見した。陸にすむ大型のヤドカリの一種で、日本の固有種。体長は7㌢ほどで、鮮やかな紫色の体色をしており、発見時にはサザエの殻をすみかにしていた。
世界の熱帯・亜熱帯を中心に分布するオカヤドカリ属は15種が知られており、日本にはそのうちの7種が生息。主生息地である沖縄諸島や小笠原諸島以外にも、高知県や宮崎県、東京都の八丈島や伊豆大島などで発見されている。
ムラサキオカヤドカリはその中でも最も北方に分布し、低温に適応した種であると考えられている。普段は海岸近くの林の中に住み、夏の繁殖期には夜間に海岸へ移動して波打ち際で幼生を海へ放つ。北限に近い生息地である紀伊半島へは、黒潮に乗って幼生が運ばれたものとみられる。
小型のムラサキオカヤドカリは赤や白、明褐色などさまざまな体色を持っているが、大型の個体はおおむね鮮やかな紫色になる。
国内で発見されている7種のオカヤドカリは、いずれも国指定天然記念物であり、個人での採取、飼育、販売は法律によって禁じられている。
(2022年6月7日付紙面より)
新宮市緑ヶ丘の東牟婁振興局で5月31日夜、「国道168号美化協議会」の設立総会があった。和歌山県、新宮市、市観光協会、新宮商工会議所、熊野川町ふれあい公社、新宮青年会議所、新宮ライオンズクラブ、新宮ロータリークラブなど協議会構成団体関係者ら26人が出席。協議会規約や本年度事業計画などを承認。会長に里中陽互・市観光協会長を選任した。
東牟婁地域と県内外各地域との往来のための主要道路である国道168号。沿道は住宅が少なく人目にもつきにくいことから、全域でポイ捨てによる空き缶やペットボトルなど飲料のごみが散乱しており、待避所や道の駅周辺では飲食物のごみが散乱している。沿道に捨てられたごみは熊野川に流れ込み、最終的に海に至る。
そういった状況を鑑み、東牟婁振興局健康福祉部衛生環境課は昨年秋、168号沿いの道の駅および待避所計3カ所に実験的に公衆ごみ箱を設置。ごみ箱の維持管理における問題点と沿道などにおける散乱ごみの削減効果の検証を実施してきた。
協議会の設立は、公衆ごみ箱の常設設置を行うことにより、路上などの散乱ごみ(ポイ捨てごみ)を低減させ、当地方の山・川・海の自然環境の保全に寄与することを目的として官民一体となって組織。運営母体となって情報交換や連絡調整を行いつつ、相互に連携して不法投棄対策活動を展開していく。
開会に当たり、杉本善和・東牟婁振興局健康福祉部長が設立趣意を説明。「県では2020年4月に『ごみの散乱防止条例』を施行し対策を強化してきたが完全には抑制しきれていない」と現状を明かした。
昨年、公衆ごみ箱を設置し検証を行ったところ、沿線全域でごみの種類別に25~40%程度の削減効果が認められたとし「ポイ捨て根絶を目指すためには行政だけではなく、地元住民や事業者が主体となって地域に根差した取り組みを継続していくことが重要」と協力を呼びかけた。
里中会長は関係者や賛助会員に対する感謝を示し「世界遺産にも登録されている当地域の素晴らしい景観を守り、子どもたちに残していくためにも、地域に根差した実践活動を実施していきたい」とあいさつ。オブザーバーとして参加した酒井清崇東牟婁振興局長が出席者や関係者に感謝を伝えた。
本年度は▽公衆ごみ箱の設置▽公衆ごみ箱の維持管理▽周知や啓発、関係機関との連携による清掃活動など、ごみの不法投棄防止対策に関する事業―などを予定。公衆ごみ箱は昨年設置した3カ所(相賀、熊野川町田長、同町相須)に加え、南桧杖と熊野川町日足にも設置する計画としている。
(2022年6月3日付紙面より)
「わくわく楽しいありがとう展」 (那智勝浦町 )
5月27~29日の3日間、那智勝浦町朝日で「わくわく楽しいありがとう展」を初開催した陶芸サークル「器遊」とペーパークイリング「ファミリー」、己書(おのれしょ)「紀伊のおと道場」の3団体の代表者らは30日、同町役場を訪問し、期間中に募ったウクライナ人道支援のための義援金を堀順一郎町長に手渡した。集まった6万5710円は日本赤十字社を通して寄付される。
各団体のそれぞれの力作を、多くの人に味わい、楽しんでもらいたいという思いから実施に至った同展。
会場には手作りの皿や器などの陶芸作品、色とりどりの紙を巻いて作った小さいパーツを組み合わせ、刺しゅうのような装飾を施すペーパークイリング作品、書き方や文字の書き順にとらわれることなく、自由に筆を走らせ、自分の世界観を楽しく表現する己書作品を多数展示。また、無料のプレゼントコーナーや各種体験も人気を博した。
同展事務局によると、新型コロナウイルス感染症対策を施した中で実施された催しには3日間で500人以上が訪れたという。
会場に足を運んだという堀町長は「素晴らしい器や根気のいるペーパークイリング作品、前向きな言葉などが書かれた己書を見せていただいた。文化活動や地域に根差した祭りなど、残すべきものは残していきたい」。
義援金については「このたびはありがとうございました。多くの命が絶たれてしまう状況が続く、ウクライナ問題が一刻も早く、収束してほしいと願っている」と述べた。
「器遊」代表の松本ひとみさんと、「ファミリー」の石橋久美子さん「紀伊のおと道場」の道場主・杉本博子さんらは「義援金はお困りの方々に届けていただけたらそれが一番です。国内でもコロナ禍で最高の日常が失われてしまっている。催しの名前のように、わくわく楽しい日常が取り戻されることを祈っています。タイミングがあえば、次回もぜひ開催したいです」と話していた。
(2022年6月3日付紙面より)
円柱堤防を助成受け研究 (新宮高校 )
和歌山県立新宮高校(東啓史校長)3年生の寺地航琉(わたる)君がこのほど、日本財団とリバネスが行うマリンチャレンジの認定研究に採択された。円柱の防波堤で津波被害を低減させる研究で、研究費の助成を受けて実験を繰り返し、最終的には最適な防波堤配置の提案を目指す。
マリンチャレンジとは、海洋分野の課題の研究に挑戦する中高生を対象に、研究資金の提供や助言者による支援を行う事業。対象地域は全国で、申請書での選考を経て認定研究が決まる。採択を受けた研究者は、研究費5万円などを受けて研究を行い、主に8月に全国5カ所で実施される成果発表会に臨む。さらに上位の全国大会もある。
寺地君のテーマは「津波減波に最適な防波堤形状と設置方法に関する研究」。円柱が水流に対して耐性があることから、円柱の防波堤を隣接して配置し、津波の威力を相殺することで、被害を最小限にできるとの仮説を立てた。その実証として、模型で実験した後、津波発生装置とコンピューターによるシミュレーションを行うことを考えている。環境面でも、従来型の防波堤より負荷を低減できるとする。2年生だった2月に申請し、4月に採択を受けた。
防災課題を考え始めたきっかけは、2011年の紀伊半島大水害。「当時は小1だった。新宮市に住んでいて被害はなかったが、自分の身を守るにはどうしたらいいかを考えるようになった」と振り返る。この経験が、津波被害低減の研究につながっていった。今回の採択について「これで研究できると思うとうれしい。考えているときが楽しい。研究は自分にとって最高のものだと感じている」と喜ぶ。
8月の成果発表会に向けた実験は、すでに始まっている。発泡スチロールの箱と水道を使って、簡易的な津波発生装置を製作。滑車や重りを用いて、起こる津波の威力を一定にするよう工夫した。水を入れたペットボトルで、円柱の構造物を再現。2本の円柱の距離を変えることで、津波の威力がどれぐらい低減するかを調べている。
津波により流された物の距離で、威力を数値にすることを考えている。「可視化して、グラフを活用して(最適値を)求めていきたい」と意気込む。実験は毎日、昼休みや放課後に学校内の一室で行っている。
これらで得た知見を基に、南紀熊野ジオパークセンターの津波発生装置を借りて実験を行い、大学などの関係機関にコンピューターシミュレーションを行ってもらう構想もある。「津波という地域課題の解決につながり、将来は円柱の防波堤が建つようになればうれしい。今回の研究は絶対やり遂げたい」と力を込める。
他にも、円柱の防波堤に加え、さらに沖合に円すいの防波堤を配置し、津波の威力のみならず、向きまでも変えることができないかとの発想もあるという。
(2022年6月3日付紙面より)
井田海岸でウミガメパトロール開始 (紀宝町 )
アカウミガメの産卵期を迎え、紀宝町ウミガメ保護監視員(萩野進也代表)は1日、同町の井田海岸でパトロールを開始した。萩野代表と木村一樹さん、西昌志さん、前地敏久さん、杉浦利也さん、前地正喜さんが7月末まで交代で海岸を歩き、上陸、産卵するアカウミガメを見守る。
初日は上陸がないか確かめ、毎年続けている清掃活動と海岸の定点測量も行った。今年も産卵した1匹分の卵を井田小学校のふ化場に移す。萩野代表は「3年間上陸、産卵がなかったが、いつ上陸してもいいように海岸の環境整備を続けている。毎年、最初の1匹を見るとほっとする。今年は1匹でも上陸、産卵してほしい」と話していた。
□ □
■パトロールボランティア募集
同町企画調整課は、ウミガメ保護監視員と一緒にパトロールするボランティアを募っている。7月末まで毎週土曜日午後8時から実施し、1回だけの参加も可能。中学生以下は保護者同伴。
申し込みは同課(電話0735・33・0334)まで。受け付けは平日の午前8時30分から午後5時まで。新型コロナウイルス対策としてマスク着用、検温に協力を呼びかけている。感染状況により、中止となる場合もある。
(2022年6月3日付紙面より)