市野々小が現場体験学習 (那智勝浦町 )
国土交通省近畿地方整備局紀伊山系砂防事務所は20日、那智勝浦町の「那智川本川上流帯工(左岸)他工事」の現場に同町立市野々小学校(中西健校長)の児童を招き、砂防工事についての現場体験学習を実施した。全校児童29人がミニショベルカーの操作や砂防えん堤への石積みを体験し、土砂災害からまちを守る仕事に触れた。
紀伊半島大水害(2011年)において土石流などで大きな被害を受けた那智川流域では、現在までに8支川に15基の砂防えん堤の建設が完了。那智川本川上流帯工(左岸)他工事は井筒建設株式会社が施工し、発生した土石流の流れを緩和して堆積させる遊砂地の造成などを行っている。
学習には同事務所那智勝浦監督官詰所・建設専門官の追鳥裕樹さんや井筒建設の瀬古幸信さんらが協力。追鳥さんは現在進んでいる砂防工事の意義を解説し、「砂防施設は造って終わりではなく、たまった土砂をショベルカーなどで運び出す作業が必要。今日は、皆さんにその工事をしてもらいます」と説明。児童は重さ1㌧弱のミニショベルカーに乗り込み、プールに浮かぶゴムボールを土砂に見立てて運び出していった。
3~6年生の体験では、県内有数の観光地である那智川流域の景観を保全するため、砂防えん堤などに職人が一つ一つ手作業で石積みを施していることを説明。井筒建設の職員が製作した模型に石を貼り付け、その構造を学んだ。
大谷英吉君(1年)は「ショベルカーを動かしてボールがいっぱい取れたのが楽しかった。またやりたい」。米川愛琉(あいる)さん(4年)は「ショベルカーが動いているのを見たことはあるけれど、動かしたのは初めて。楽しかった」と話していた。
(2022年6月21日付紙面より)
太地小4年が福祉学習
太地町立太地小学校(海野文宏校長)で16日、福祉学習があった。4年生20人が美熊野福祉会事務局長の橋上慶一さんと同福祉会利用者で全盲の溝本和彦さんから視覚障害を持つ人の見え方や生活などについて教わった。
同校は町社会福祉協議会(岡本研会長)によって「福祉教育推進校」に指定にされている。学習は、児童がさまざまな人の立場や人生を体験することで、自分たちに何ができるのかを考えて福祉への学びを深めることを目的に行われている。この日は同協議会や民生委員、地域包括支援センターなどの職員も来校した。
冒頭で岡本会長は「これから皆さんが、どのように成長してくれるかと思い企画しています。今日、学んでもらうことを忘れず今後に生かしてもらいたいと思います」とあいさつした。
橋上さんと溝本さんは子どもたちを前に「見えない人のことを知ろう」をテーマに講話。視覚障害の症状には▽全く見えない▽物が半分しか見えない▽望遠鏡を通しているようにしか見えない―など、人によって違いがあると説明。生活の中でさまざまな状況を把握しているとし「私たちと同じように毎日を安心して暮らし、いろんな場所に行って楽しんだりする権利があります。みんなが思いやりの心を持って、お互いに助け合うことを忘れてはいけません」と述べた。
橋上さんは溝本さんの日常生活を交えながら白杖や盲導犬、点字ブロック、音響信号機、ガイドヘルパーの重要性を語った。その後、児童は溝本さんの手を引いて声をかけながら4年生の教室や階段の上り下りの誘導を実践。アイマスクを着用し全盲の体験や点字学習にも取り組んだ。
授業を終え、筋師令那(すじし・れな)さんは「アイマスクを着けて目が見えない体験をして怖かったけど、少しでも気持ちが知れてよかった。これから困っている人を見かけたら進んで手伝いができるようになりたいと思った」。
海野校長は「幼い頃から福祉を学習することによって障害を持った方が、どのような生活や困り事、上手な活動しているかを知る貴重な経験になると思います。授業を通じて困っている人に自然とサポートができる思いやりのある大人に成長していってもらえれば」と話していた。
(2022年6月21日付紙面より)
潮岬分団第3部器具置場開所 (串本町消防団 )
串本町潮岬、望楼の芝西端の道向かいで17日、串本町消防団潮岬分団(稲田賢団長、芝山克分団長)の第3部器具置場の開所式があった。
住民の高台移転に伴い世帯数が急増傾向にある同分団管内。同分団はとりわけ新築住宅が増えている芝古地地区の消防力強化を目的として第3部の新設(増設)へと動き出し、団本部経由でその思いを知った町も潮岬地区財産区所有地の無償貸与を受けて器具置場を新設し可搬式小型動力ポンプ軽積載車を配備。互いに出動可能な状況を整えて、この日の開所式へとこぎ着けた。
同分団からは芝山分団長以下6人が代表出席。田嶋勝正町長は「この施設で防災力も高まると思う。潮岬分団の皆さん方におかれては、地域の皆さん方の安全安心のため尽力いただくことを心からお願いしたい」と述べて器具置場と車両の鍵を託し、芝山分団長は「潮岬区民、並びに広めては串本町民の生命と財産を守るため大切に活用していきたい」と応えて預かった。
来賓の町議会・鈴木幸夫議長と潮岬地区・西敏幸代表区長が見届け、立ち会った稲田団長は「芝山分団長を中心に、潮岬の区民方が安心して暮らせるよう警戒に当たってほしい」と述べて団員を鼓舞し、併せて土地を提供している同財産区への感謝も掲げた。
器具置場は木造平屋で延べ床面積は24・8平方㍍。配置する器具などの屋外整備を想定し前面に5㍍せり出すコンクリート舗装が付帯するが、詰め所となる待機室はなく形状としては倉庫となっている。
(2022年6月21日付紙面より)
丹鶴幼で火災避難訓練 (新宮市 )
新宮市立丹鶴幼稚園(尾﨑卓子園長、園児39人)で17日、火災避難訓練が行われた。園児らは避難経路をたどり防災への意識を高めた。
同園では定期的に火災や地震、不審者などの各訓練を実施し、日頃から防災・防犯意識を高めている。
この日は、職員室から火災が発生したと想定。午前10時30分ごろに放送が流れると、子どもたちは教職員の指示に従って避難を開始し、手を口と鼻に当て、落ち着いて近隣にある市保健センター隣の花壇・タウンガーデンへと逃げた。
尾﨑園長は「今日は皆さん、上手に逃げることができました」と講評。「絶対に火事が起きないということはなく、おうちでも発生することもあるかもしれません。その時は訓練したことを忘れず、安全に避難しましょうね」と呼びかけていた。
(2022年6月21日付紙面より)
新宮ライオンズクラブ(新宮LC、金嶋正人会長)はこのたび、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」敷地内の佐藤春夫筆塚に「佐藤春夫筆塚石碑」を寄贈した。16日には同所で除幕式があり、同LC会員や田岡実千年市長、速水盛康教育長、辻本雄一・佐藤春夫記念館長、(公財)佐藤春夫記念会の舩上光次代表理事ら約50人が出席。佐藤春夫(1892~1964年)の遺徳を再確認し、顕彰への思いを高める機会とした。
「筆塚」は春夫没2年後の1966年、新宮LCが認証5周年を記念して旧市民会館前に建立。揮毫(きごう)は春夫の親友だった詩人の堀口大學が行い、佐藤千代夫人と堀口夫妻らが除幕した。塚の中には春夫愛用の毛筆と万年筆が納められている。
「丹鶴ホール」の建設中に一時撤去していたが、施設完成に伴い同所に設置される運びとなった。
このたびの寄贈は、同LCの認証60周年記念事業の一環。びょうぶ型の石に春夫が作詞した「新宮市歌」が刻まれている。
金嶋会長は「市歌にある『人朗らかに情けあり』。この一節のような人でありたい。60周年を一つの契機に今後へのステップとして、地域の社会奉仕を大きな柱としてまい進していきたい」とあいさつ。
目録を受け取った田岡市長は「市歌を刻んだ大変立派な石碑。昨年11月の筆供養の際に筆塚の後ろが殺風景という声もあった。今後はさらに雰囲気良く供養ができると思う」。
辻本館長は春夫と堀口大學との生涯を通じた友情に触れ「市民として、2人の友情をさらに伝えていけたら」と述べた。
同LCの前田良造・認証60周年大会委員長は、春夫の「望郷五月歌」に触れ「ふるさとを思い、愛する心はわれわれも同じ。これからもふるさとのために活動を行っていきたい」と誓いを新たにした。
(2022年6月17日付紙面より)
6月定例会で16議案審議 (太地町議会 )
太地町議会(水谷育生議長、10人)の6月定例会が15日、同町役場議場で開会した。令和4年度町一般会計補正予算や条例の一部改正など16議案を承認・可決し一般質問に入った。
開会に当たり、三軒一高町長が提案理由を説明。議案審議では専決処分として承認を求めた追加後の総額が44億4943万2000円となる令和3年度町一般会計補正予算などを承認した。
町税条例の一部改正や、学童保育の保育料を無料とすると改めた町学童保育所設置条例の一部改正を可決。町学童保育所設置条例は7月1日から施行、平成30年6月1日から適用する。
令和4年度町一般会計補正予算は既定の歳入歳出予算の総額にそれぞれ1億2248万4000円を追加し、歳入歳出予算の総額をそれぞれ35億7542万7000円とするもの。
▽町有林及び町有地伐採下刈等委託料▽産婦人科医師緊急確保対策事業分担金、妊産婦交通費・宿泊費用助成金(母子対策費)▽町が文化庁から特色ある食文化の継承・振興に取り組むモデル地域として指定されたことを受け、食文化ストーリー創出・発信事業(文化財保護費)―などが盛り込まれている。
町によると、妊産婦交通費・宿泊費用助成金は、新宮市立医療センターの分娩(ぶんべん)休止期間に遠方の医療機関を受診した該当者に助成されるもの。
漁野尚登議員は、食文化ストーリー創出・発信事業に対し「どのくらいの頻度でクジラを食べるのか。町民にアンケートをとってみては」。また、物価上昇を踏まえた施策など町の意向などを質問した。
森岡茂夫議員は町有林、町有地伐採について「4年前の集中豪雨の時、木が揺れることによって一部の石垣が崩壊している。木の切り方には慎重になってほしい」などと求めた。
現在、7月第3月曜日に制定されている国民の祝日「海の日」の7月20日への固定化を求める意見書の提出もあった。
(2022年6月17日付紙面より)
阿弥陀寺で青葉まつり (那智勝浦町 )
弘法大師・空海の誕生を祝う「青葉まつり」が15日、那智勝浦町南平野の妙法山阿弥陀寺(谷宏之住職)で営まれた。護摩祈とうや先祖供養が行われたほか、参拝者が「お砂踏み」で、四国や西国の巡礼と同じ功徳を積んだ。コロナ禍の影響で、参拝者を招いての実施は3年ぶりとなる。
大師堂で護摩祈とうと四国八十八カ所のお砂踏み、本堂で先祖供養と西国三十三所のお砂踏みがあった。お砂踏みは、巡礼の札所となる寺院の砂が布袋に入れられており、これを踏んでいくことで、巡礼したのと同じ功徳が得られるとされている。同寺の青葉まつりはおととしと去年、コロナ禍の影響で参拝者を招かずに行っていた。
大師堂では、弘法大師・空海が42歳の頃の姿と伝えられる、等身大の大師尊像を開帳して行われた。谷住職が護摩をたき読経、参拝者や関係者がその周囲を巡り、お砂踏みを行った。当日は強い雨が降る荒天で、それにもかかわらず訪れた参拝者らは、手を合わせて一心に祈りながら、一つずつゆっくりと各札所の砂を踏んでいた。
新宮市から訪れた40代女性は「青葉まつりに参加するのは初めて。もともと先祖供養で、こちらでお世話になっており、それがきっかけで参加した。お砂踏みは、一歩ずつ清められていくような感じだった。来られて良かったと思った」と話した。
谷住職(65)は「少しずつ世の中で新型コロナが落ち着き、日常が戻ってきているので良かった。大師尊像も皆さんのおかげで解体修理ができ、開帳させていただいてありがたい。徐々にコロナ禍の前のように戻っていくことを願う」と語った。
阿弥陀寺は平安初期の815年、弘法大師・空海が妙法山で修行し、西にある極楽浄土への入り口として開いたとされる。阿弥陀如来を本尊としたため、阿弥陀寺と名付けられたと伝わる。大師堂は和歌山県の指定文化財で、1509年に建てられている。大師尊像は1451年の作で、2020年に解体修理を終え、当初の彩色を取り戻したという。
(2022年6月17日付紙面より)
5年目までの消防団員が基礎訓練 (県消防協会紀南支会 )
三重県消防協会紀南支会基礎訓練が熊野市有馬町の市防災公園屋根付練習場であった。入団5年目までの消防団員が対象で、経験の浅い団員の資質向上と消防機械器具取り扱いの習熟が目的。通常は3年未満を対象とするが、新型コロナウイルス感染症の影響で過去2年の訓練が中止に。このため、対象範囲を拡大して3年ぶりの開催となった。
参加団員は同市、御浜町、紀宝町各分団の60人。市消防本部職員12人が指導教官を務め、各団員はそれぞれが指示に従って訓練に励んだ。内容は基礎訓練が「集まれ」と「わかれ」の要領や、「停止」と「行進」での間隔の取り方。一方、器具取り扱い訓練では消防ホースを伸ばす展張(てんちょう)と収納および筒先の結合。筒先を持って放水姿勢を取り、消防ポンプの取り扱い説明も受けた。最初は戸惑う団員もあったが、繰り返すうちに動きもスムーズに。住民の生命と財産を守る自覚を深めていった。
訓練はコロナ感染症拡大予防のため、内容を簡素化してマスク着用で実施。紀南支会の橋本智英支会長は「各分団でも独自に訓練をしているが、一堂に集まってやれば効果が全然違うし、団員同士の連帯感や絆も深まる」と述べ、訓練の成果を期待した。
(2022年6月17日付紙面より)
少年剣道優勝大会県選考会 (三輪崎剣道クラブ )
和歌山県空手道選手権大会 (拳武館新宮 )
小学生ソフトテニス選手権大会県予選会
神倉少年野球クラブが体験会 (新宮市 )
「鼓童」が創立40周年ツアー (新宮市 )
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で10日夜、太鼓芸能集団「鼓童」の創立40周年ツアー公演「鼓童ワン・アース・ツアー2022~童」が開催された。市内外から約800人が来場。同団体が繰り広げる迫力あるステージを堪能した。
佐渡を拠点に太鼓を中心とした伝統的な音楽芸能に無限の可能性を見いだし、現代への再創造を試みる太鼓芸能集団。1981年にベルリン芸術祭でデビューして以来、53の国と地域で6500回を超える公演を行ってきた。
劇場公演のほか、小・中学生・高校生との交流を目的とした「交流学校公演」や、多様なジャンルのアーティストとの共演、映画音楽などへ参加している。2012年から16年までは歌舞伎俳優の板東玉三郎氏を芸術監督に招聘(しょうへい)。昨年、創立40周年を迎え、全国各地で周年ツアーを展開中だ。
今回の舞台「童」は、佐渡をテーマに「鼓」は太鼓を、「童」は人を際立たせる2連作。クラシカルな演目、演出を基調に、体と太鼓の音のみのシンプルな表現と多様な音の響きが融合する内容となっている。
舞台は「聲(こえ)」で開幕。冒頭から迫力ある演奏で観客を魅了。時に激しく、時にコミカルに、時に異国情緒あふれる演奏とパフォーマンスを披露し、来場者から大きな歓声と拍手をさらった。
同ツアー開催に当たり、同団体の船橋裕一郎代表は「太鼓という楽器は、人が集い、音を奏でることが生きる活力となることを日々私たちに伝えてくれます」。
新宮公演主催者の「かまん、くまの」見臺洋一代表は「私たちにとって、待ちに待った丹鶴ホールが完成し、念願の鼓童公演がこのホールで開催の運びとなりました」「全ての困難を凌駕(りょうが)してきたメンバーの誠真実を、鼓童の皆さんの演奏の中に感じていただければ」などとあいさつを寄せた。
(2022年6月12日付紙面より)
新宮市役所別館で10日、令和4年度第2回新宮市地域公共交通活性化協議会(会長=辻本勝久・和歌山大学経済学部教授)があった。市や県、国土交通省、新宮警察署、交通事業者、地域住民など22人が出席。本年度の事業計画や予算など5議案を承認した。
同協議会は、地域公共交通のマスタープランである地域公共交通計画の策定や実行に加え、地域公共交通会議(バスなどの運行内容の協議など)の機能を併せ持つ、地域公共交通に関する協議や合意形成を行う場。
今年4月22日に書面にて設立総会が開催され、従来の市地域公共交通会議は発展的改組の上、同協議会に統合となった。
開会に当たり辻本会長があいさつ。「地域公共交通の将来に向けての議論や意見交換をさせていただきたい。有意義な会議となるよう積極的なご参加を」と呼びかけた。
議案審議では、店名の変更や閉店に伴う熊野川町デマンドタクシーの目的地(乗降場所)の変更、路線バス高田線および市内線の運行内容変更などについて意見が交わされた。
今年10月からを予定している高田地域の公共交通再編に関して、市は住民意見やアンケート調査内容などを基に再編案を策定。審議案件として路線バス高田線の上限運賃の設定(片道500円上限)、高田線および市内線の運行ルート・運行ダイヤの変更、フリー乗降区間の設定などが盛り込まれた。
なお、ルート・ダイヤ変更のほか、高田線は「松山高田線」、市内線(ふれあいばす、こみゅにてぃばす)は「相筋線」「広角住宅線」に変更し「松山高田線」を市内線に追加する。
バスを運行する熊野御坊南海バス(株)は「便数も限られた中で利用しにくいといった意見もあり、どうしたら使っていただけるのか、いかにコストを抑えられるのか、持続可能な公共交通を目指して議論させていただいた。これからも意見を聞かせていただき、少しでも使っていただけるバスにしていきたい」と述べた。
閉会に当たり、副会長の向井雅男副市長が「地域公共交通のマスタープラン策定に関して、生活路線、観光路線を含めてさまざまな観点からご意見を頂ければ」と協力を求めた。
本年度事業は、市地域公共交通計画(案)の作成と、地域の生活交通の実情やニーズを的確に把握しつつ、議論を経て策定する地域の特性や実情に応じた最適な移動手段の提供などを行うための令和5年度新宮市地域内フィーダー系統確保維持計画(生活交通確保維持改善計画)の策定を計画。予算は921万6000円を予定している。
(2022年6月12日付紙面より)
30日まで開放、熊野那智大社 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)は、境内にある紫陽花(あじさい)園を30日(木)まで開放している。園内のアジサイは現在四分咲きを迎え、参拝者の目を楽しませている。開放時間は午前9時から午後3時まで。
大社によると、境内のアジサイは1960年ごろから栽培を始め、職舎付近や参道、車道沿いに植えられている。現在は2000株ほどが自生しており、ガクアジサイ、ヤマアジサイ、タマアジサイなど十数種類がある。
例年は14日に営まれる「紫陽花祭」後に一般開放されるが、花の咲きなどを考慮し、5日からの開放となったという。
大谷知也権禰宜(ごんねぎ)は「開花は昨年より少し遅いが、花の状態は例年並みに良い。季節のものなのでぜひ、ご参拝にお越しの際はアジサイを楽しんでいただけたら」と話していた。
愛知県から訪れた20代女性は「初めて那智山に来たが、良い雰囲気の場所。アジサイがきれいなので写真を撮影しました」と語った。
紫陽花園は大社の大鳥居下の階段を下りた参道横にある。
(2022年6月12日付紙面より)
土砂災害啓発センター (那智勝浦町 )
那智勝浦町市野々の和歌山県土砂災害啓発センター(稲田健二所長)では、国土交通省が定める土砂災害防止月間である1日から30日(木)までの間、特別企画展の開催やセンターを紹介する動画を公開中だ。県民に対し、早い避難の啓発や危険区域把握の周知を図っている。
土砂災害防止月間は住民が自分の命を守るべく、「みんなで防ごう土砂災害」をスローガンに、防災知識の普及や避難訓練などの催しを実施し、土砂災害による人命、財産を守ることを目的とした月間。
1982(昭和57)年7月に長崎県長崎市を中心に大きな被害を発生させた「昭和57年7月豪雨」(長崎大水害)が契機となった。また、1~7日はがけ崩れ防災週間になっている。
センターによる特別展は2020年から開始。展示では▽同町井関在住で紀伊半島大水害語り部の防災士・久保榮子さんの体験紙芝居(コピー)や動画公開▽土砂災害の実例など解説をしたパネル▽令和3年度の小中学校における防災学習感想文▽和歌山工業高等専門学校の学生が開発した防災ロールプレイングゲーム(RPG)の体験▽「紀伊半島大水害豪雨~平成23年台風12号、新宮市映像の記録~」などの動画公開―もある。
さらに今回は、防災RPGにおいて、日高川町にある各小学校エリアに特化して、授業で取り組んだ14校分のディスクや土砂災害防止に関する絵画・作文コンクールの作品なども展示されている。
稲田所長は「これから雨の多い梅雨時期に入るため、災害のリスクも高まる。普段から自宅の周辺の危険な箇所や避難経路を確認いただき、気象情報などに注意して、災害時は早めの避難を心がけていただけたら幸いです」と話している。
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センターでは多くの人々にセンターの役割などを知ってもらおうと、職員が同月間に合わせて紹介動画「きいちゃんと学ぶ 土砂災害啓発センターってどんなところ?」を作成。初の試みである動画は5月25日から公開している。
動画では、和歌山県PRキャラクター「きいちゃん」が観光地である同町を巡っている際に周囲にある砂防えん堤を発見。疑問を持ってセンターに入り、展示品や実験を通じて、その役割や土砂災害について学びを深め、センター紹介する内容となっている。
動画はセンターホームページや動画投稿サイト「ユーチューブ」でも配信されている。なお、センター内だけでなく、屋外の窓ガラスからも動画が見られるように、外向きにモニターを設置するなどの工夫も行っている。問い合わせは同センター(電話0735・29・7531)まで。
(2022年6月8日付紙面より)
本年度プレミアムお買物券 (串本町商工会 )
串本町商工会(須賀節夫会長)が5日、本年度第1回のプレミアムお買物券発行を始めた。発行数は3000セット(1セットは500円券22枚つづり)。文化センターそばにある商工会館(串本2410番地)で売り切れるまで販売するとしている。
この発行は、町の小売店舗等消費拡大推進事業の補助適用を受けて実施。1セット1万円で販売していて、1人につき5セットまで購入でき、購入時は家族3人分まで代理購入が認められるため、最大で20セットを入手できる。有効期限付きの商品券で、掛け金の支払いには使えず、釣り銭が出ないため購入金額を補助する形での利用が前提。今回の有効期限は8月31日(水)までで、町内の取扱参加店約140店舗で使用できる。
本年度も感染症予防を意識しながらの発行開始で、初日は役員と職員が手分けして同館と中湊コミュニティセンターに発行窓口を設置。取扱店舗を記載したチラシと合わせて希望セット数を販売した。6日以降の窓口は平日午前9時~午後5時に同館内で設け、売り切れるまで発行を続ける。
2002年に始まり20周年の節目を迎えた同券。須賀会長は「この発行は取り扱いに参加する店舗の大きな支えになっています。ご購入いただいた皆さまには有効期限もあるがお早めにご活用いただけるとありがたい」と地域経済循環の刺激になる成果を期待し、初日の同館発行窓口で円滑に購入できるよう会場整理に当たるなどしていた。
取扱参加店の情報は、同券に記載しているQRコードを通信端末で読み込むと閲覧できる案内地図「まぐトルマップ」でも確認できる。問い合わせは同商工会(電話0735・62・0044)まで。
(2022年6月8日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で6日、「梅の日記念式典」が営まれた。田辺市やみなべ町など、梅産地の各団体でつくる「紀州梅の会」(会長・真砂充敏田辺市長)の会員や関係者ら約50人が参列。豊作や業界の発展を祈願した。
梅の日は1545年6月6日、雨が降らず人々が困っていたことを知った後奈良天皇が賀茂神社の例祭(現在の葵祭)に梅を奉納し祈ったところ、大雨が降り出し五穀豊穣(ほうじょう)をもたらしたという故事にちなむ。梅が実り、収穫が本格的に始まる時季にも当たる。
同会は1969年に設立され、県内産地の首長や生産者組合らで組織。2006年に毎年6月6日を「梅の日」と定め、みなべ町の須賀神社や京都府の上賀茂神社と下鴨神社にも梅を奉納しており、東京都などでもさまざまなキャンペーンを催してPRを実施している。
式典では祝詞奏上後、九鬼宮司と参列者らが神前に置いたたるに紀州梅、塩、お神酒を入れる「梅漬けの儀」を営んだ後、巫女(みこ)が神楽「豊栄(とよさか)の舞」を奉納した。この日漬けられた梅は、紀州梅の会がいったん持ち帰り、梅干しとして完成させた後に改めて同大社に納める予定となっている。
参列した紀州田辺梅干協同組合の大谷喜則理事長は「『梅はその日の難逃れ』『番茶に梅干し、医者いらず』といったことわざもあり、梅は長い伝統と歴史に裏付けられた健康食品。梅干しにコロナウイルスの増殖を抑える効果があるとの研究成果も発表された。多くの人に紀州梅を食していただき、健康な日々を過ごしてほしい」。
九鬼宮司は「生産者の方々にはコロナ禍で試行錯誤の中、育てた梅を納めていただいた。梅ポリフェノールに新型コロナウイルスの感染を阻害する効果があるとの発表があった。梅の素晴らしさを改めて感じている。梅の力で多くの人が健康で過ごし、一日も早く新型コロナが収束することを祈念している」と話していた。
(2022年6月8日付紙面より)
新宮弓友会主催の月例射会
他3選手も近畿大会出場決める (新宮高校レスリング部 )
卓球・ソフトテニス・バレーボール
渚の会が地元区らと連携 (那智勝浦町 )
日本財団「海と日本PROJECT」と環境省などが実施する全国一斉清掃キャンペーン「春の海ごみゼロウイーク」にエントリーした「かつうら渚(なぎさ)の会」(猪飼伸会長、会員22人)は5日、ウミガメの産卵地としても知られる那智勝浦町下里の太田川河口(通称・大浜海岸)で清掃活動を実施した。会員や地元の高芝区、地域の各団体、一般参加者など約80人が集まり、作業に汗を流した。
清掃キャンペーンは同財団らが海洋ごみ問題の周知啓発と海洋ごみの流出を少しでも防ぐことを目的に、「ごみゼロの日」の5月30日から6月8日の「世界海洋デー」前後を「春の海ごみゼロウイーク」、9月18日の「ワールドクリーンアップデー」から26日までを「秋の海ごみゼロウイーク」と定めている。
この日は開始時刻より1時間以上早くから現地に集まり、作業に取り組む人の姿も多く見られた。キャンペーンの必須アイテムである青色のシャツや帽子、タオルなどを身に着けた参加者はごみ拾いに加え、大きな木々の切断や海藻、流木などを集めて焼却した。
清掃に参加した堀順一郎町長は「渚の会を中心に地元区の方々や県、役場、各団体、サーファーの皆さまにご参加いただけて良かった。この活動を通して、町民の皆さまにも地域の魅力や環境の大切さを再認識していただけたら」。
高芝区としても年に数回、大浜を清掃しているという伊藤善之区長は「この浜では釣り客やパラグライダーをされる方もいる。町内外からご参加いただき、感謝しています。近年では不法投棄も問題になっているため、浜をきれいにしていただくことで抑止にもつながる。また、流木が流れてこないために行う施策の検討も必要かもしれない」と話した。
猪飼会長は「多くの皆さまにお集まりいただき、本当にありがたい。ウミガメが産卵に訪れる場所が少しでもきれいになればうれしいです」と語った。
この日は高芝区民、町赤十字奉仕団、「なちかつ古道を守る会」、南紀パラグライダー、玉の浦リップルズクラブ、東牟婁振興局、町役場職員、などの各有志が参加した。
(2022年6月7日付紙面より)
潮岬小6年対象の租税教室 (串本町 )
串本町立潮岬小学校(水上茂秀校長)の6年生25人を対象にした租税教室が2日にあり、児童は講師の新宮納税協会会員と一緒に税金の大切さを考える機会を得た。
この教室は、新宮・東牟婁租税教育推進協議会(会長=山端克明(やまばな・よしあき)新宮税務署長)が学校からの依頼に応えて講師を派遣する形で実施。串本町内ではこの日が初実施で午前に串本小、午後に潮岬小でそれぞれ開講した。
潮岬小へは同協会を代表して青年部会の野中亮伸副部会長と税理士を本業とする部会員・中谷公大さんが同協会の泉晶子書記と共に来校。前半は中谷さんと一緒に身近なところでどのような税金があるかを考え、約50種類ある税金がなかったら世の中はどうなるかを映像教材「マリンとヤマトの不思議な日曜日」を鑑賞しワークシートで考える流れでイメージし、税金の大切さを実感した。
後半は野中副部会長が児童に身近な学校の建設や義務教育にどれぐらいの税金が充てられているかを説明。学校は平均15億円、義務教育は小学生1人につき平均で年間89万円(月約7万4千円)と伝え、通い事の月謝のように毎月これを払うのは大変だと児童と共感しあって中谷さんのいう大切さを後押しした。
児童は説明に出てくる額の実感を得るきっかけとして1億円(1万円札×1万枚)の重さも体験。中谷さんは「税金はみんなから集める社会の会費だとおうちの人に話し、みんなの税金でつくった学校を大切にして勉強や運動に頑張ってほしい」と呼びかけて締めくくった。
同協議会事務局によると、串本小へは新宮税務署の職員を講師として派遣。同町内では13日(月)に西向小、15日に(水)に出雲小と橋杭小で開く予定(以降の日程は未発表)という。
(2022年6月7日付紙面より)
歴探スクールで白石博則さん (新宮市 )
熊野学研究委員会歴史部会・新宮市教育委員会が主催する令和4年度熊野学講座「第37回歴史探訪スクール」が5日、同市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」であった。和歌山城郭調査研究会代表の白石博則さんが「奥熊野の城跡―その魅力と歴史を語る」をテーマに講話。約80人が聴講した。
開講式を兼ねたこの日は、講演を前に速水盛康教育長があいさつ。熊野学研究委員会の山本殖生さんが講師の白石さんを紹介した。
白石さんは、最近では天守のない城も注目されている傾向にあるとし「城跡から過去の人間や生き様など、『人との出会い』を感じているのでは」と推測した。
近世城郭や中世城郭を写真で紹介し、村やクニなど公共団体が維持管理をしていた古代から、武士の館であった平安~鎌倉時代を経て南北朝時代には山城が出現。戦国時代には山城と館がセットになった根小屋式城郭となり、その後、安土城や大坂城に代表される織豊系城郭が誕生したと説明した。
那智山麓、那智川の両岸の二大勢力(廊ノ坊塩崎氏一族らと実報院米良氏+堀内氏)による那智山内の覇権争いの際に、廊ノ坊が籠城した勝山城跡(那智勝浦町、1581年落城)について「山麓には関所もあったとされる。元々地域の政治的な場だった」。
勝山城の対岸にあった実報院の藤倉城跡の主要部分は、インターチェンジのために削減されたが多くの遺物が出土していることなどを紹介。「勝山城籠城戦は奥熊野戦国史のハイライト。堀内氏は勝山城を落とした後、さらに南に進攻していった」と説明した。
築城の名手・藤堂高虎が85~89年ごろに築城したと伝わる赤木城(熊野市紀和町)について「枡形虎口(ますがたこぐち)や横矢掛(よこやが)りなど織豊系城郭の特徴が見られる。豊臣政権にとって熊野木材の確保は喫緊の課題であり北山支配は極めて必要度が高く築城の契機となったと考えられている」。
堀内氏が築き、堀内氏善が蟄居(ちっきょ)したとされる京城跡(紀宝町大里)について「奥熊野随一の優れた縄張り。奥熊野で使われる築城技法を全て使った城だが織豊系城郭の影響は限定的」とした。
白石さんは、石垣・石積みの多用や、城内に聖地の印として大岩が残されているなど、奥熊野の魅力や特徴、登りやすい城跡を紹介。「戦国・安土桃山・江戸時代の三期の城が狭い範囲で見学できる。奥熊野は隠れた名城の宝庫」と評した。
(2022年6月7日付紙面より)
那智勝浦町の海岸沿いで発見
那智勝浦町の海岸沿いで、国指定天然記念物であるムラサキオカヤドカリを発見した。陸にすむ大型のヤドカリの一種で、日本の固有種。体長は7㌢ほどで、鮮やかな紫色の体色をしており、発見時にはサザエの殻をすみかにしていた。
世界の熱帯・亜熱帯を中心に分布するオカヤドカリ属は15種が知られており、日本にはそのうちの7種が生息。主生息地である沖縄諸島や小笠原諸島以外にも、高知県や宮崎県、東京都の八丈島や伊豆大島などで発見されている。
ムラサキオカヤドカリはその中でも最も北方に分布し、低温に適応した種であると考えられている。普段は海岸近くの林の中に住み、夏の繁殖期には夜間に海岸へ移動して波打ち際で幼生を海へ放つ。北限に近い生息地である紀伊半島へは、黒潮に乗って幼生が運ばれたものとみられる。
小型のムラサキオカヤドカリは赤や白、明褐色などさまざまな体色を持っているが、大型の個体はおおむね鮮やかな紫色になる。
国内で発見されている7種のオカヤドカリは、いずれも国指定天然記念物であり、個人での採取、飼育、販売は法律によって禁じられている。
(2022年6月7日付紙面より)
新宮市緑ヶ丘の東牟婁振興局で5月31日夜、「国道168号美化協議会」の設立総会があった。和歌山県、新宮市、市観光協会、新宮商工会議所、熊野川町ふれあい公社、新宮青年会議所、新宮ライオンズクラブ、新宮ロータリークラブなど協議会構成団体関係者ら26人が出席。協議会規約や本年度事業計画などを承認。会長に里中陽互・市観光協会長を選任した。
東牟婁地域と県内外各地域との往来のための主要道路である国道168号。沿道は住宅が少なく人目にもつきにくいことから、全域でポイ捨てによる空き缶やペットボトルなど飲料のごみが散乱しており、待避所や道の駅周辺では飲食物のごみが散乱している。沿道に捨てられたごみは熊野川に流れ込み、最終的に海に至る。
そういった状況を鑑み、東牟婁振興局健康福祉部衛生環境課は昨年秋、168号沿いの道の駅および待避所計3カ所に実験的に公衆ごみ箱を設置。ごみ箱の維持管理における問題点と沿道などにおける散乱ごみの削減効果の検証を実施してきた。
協議会の設立は、公衆ごみ箱の常設設置を行うことにより、路上などの散乱ごみ(ポイ捨てごみ)を低減させ、当地方の山・川・海の自然環境の保全に寄与することを目的として官民一体となって組織。運営母体となって情報交換や連絡調整を行いつつ、相互に連携して不法投棄対策活動を展開していく。
開会に当たり、杉本善和・東牟婁振興局健康福祉部長が設立趣意を説明。「県では2020年4月に『ごみの散乱防止条例』を施行し対策を強化してきたが完全には抑制しきれていない」と現状を明かした。
昨年、公衆ごみ箱を設置し検証を行ったところ、沿線全域でごみの種類別に25~40%程度の削減効果が認められたとし「ポイ捨て根絶を目指すためには行政だけではなく、地元住民や事業者が主体となって地域に根差した取り組みを継続していくことが重要」と協力を呼びかけた。
里中会長は関係者や賛助会員に対する感謝を示し「世界遺産にも登録されている当地域の素晴らしい景観を守り、子どもたちに残していくためにも、地域に根差した実践活動を実施していきたい」とあいさつ。オブザーバーとして参加した酒井清崇東牟婁振興局長が出席者や関係者に感謝を伝えた。
本年度は▽公衆ごみ箱の設置▽公衆ごみ箱の維持管理▽周知や啓発、関係機関との連携による清掃活動など、ごみの不法投棄防止対策に関する事業―などを予定。公衆ごみ箱は昨年設置した3カ所(相賀、熊野川町田長、同町相須)に加え、南桧杖と熊野川町日足にも設置する計画としている。
(2022年6月3日付紙面より)
「わくわく楽しいありがとう展」 (那智勝浦町 )
5月27~29日の3日間、那智勝浦町朝日で「わくわく楽しいありがとう展」を初開催した陶芸サークル「器遊」とペーパークイリング「ファミリー」、己書(おのれしょ)「紀伊のおと道場」の3団体の代表者らは30日、同町役場を訪問し、期間中に募ったウクライナ人道支援のための義援金を堀順一郎町長に手渡した。集まった6万5710円は日本赤十字社を通して寄付される。
各団体のそれぞれの力作を、多くの人に味わい、楽しんでもらいたいという思いから実施に至った同展。
会場には手作りの皿や器などの陶芸作品、色とりどりの紙を巻いて作った小さいパーツを組み合わせ、刺しゅうのような装飾を施すペーパークイリング作品、書き方や文字の書き順にとらわれることなく、自由に筆を走らせ、自分の世界観を楽しく表現する己書作品を多数展示。また、無料のプレゼントコーナーや各種体験も人気を博した。
同展事務局によると、新型コロナウイルス感染症対策を施した中で実施された催しには3日間で500人以上が訪れたという。
会場に足を運んだという堀町長は「素晴らしい器や根気のいるペーパークイリング作品、前向きな言葉などが書かれた己書を見せていただいた。文化活動や地域に根差した祭りなど、残すべきものは残していきたい」。
義援金については「このたびはありがとうございました。多くの命が絶たれてしまう状況が続く、ウクライナ問題が一刻も早く、収束してほしいと願っている」と述べた。
「器遊」代表の松本ひとみさんと、「ファミリー」の石橋久美子さん「紀伊のおと道場」の道場主・杉本博子さんらは「義援金はお困りの方々に届けていただけたらそれが一番です。国内でもコロナ禍で最高の日常が失われてしまっている。催しの名前のように、わくわく楽しい日常が取り戻されることを祈っています。タイミングがあえば、次回もぜひ開催したいです」と話していた。
(2022年6月3日付紙面より)
円柱堤防を助成受け研究 (新宮高校 )
和歌山県立新宮高校(東啓史校長)3年生の寺地航琉(わたる)君がこのほど、日本財団とリバネスが行うマリンチャレンジの認定研究に採択された。円柱の防波堤で津波被害を低減させる研究で、研究費の助成を受けて実験を繰り返し、最終的には最適な防波堤配置の提案を目指す。
マリンチャレンジとは、海洋分野の課題の研究に挑戦する中高生を対象に、研究資金の提供や助言者による支援を行う事業。対象地域は全国で、申請書での選考を経て認定研究が決まる。採択を受けた研究者は、研究費5万円などを受けて研究を行い、主に8月に全国5カ所で実施される成果発表会に臨む。さらに上位の全国大会もある。
寺地君のテーマは「津波減波に最適な防波堤形状と設置方法に関する研究」。円柱が水流に対して耐性があることから、円柱の防波堤を隣接して配置し、津波の威力を相殺することで、被害を最小限にできるとの仮説を立てた。その実証として、模型で実験した後、津波発生装置とコンピューターによるシミュレーションを行うことを考えている。環境面でも、従来型の防波堤より負荷を低減できるとする。2年生だった2月に申請し、4月に採択を受けた。
防災課題を考え始めたきっかけは、2011年の紀伊半島大水害。「当時は小1だった。新宮市に住んでいて被害はなかったが、自分の身を守るにはどうしたらいいかを考えるようになった」と振り返る。この経験が、津波被害低減の研究につながっていった。今回の採択について「これで研究できると思うとうれしい。考えているときが楽しい。研究は自分にとって最高のものだと感じている」と喜ぶ。
8月の成果発表会に向けた実験は、すでに始まっている。発泡スチロールの箱と水道を使って、簡易的な津波発生装置を製作。滑車や重りを用いて、起こる津波の威力を一定にするよう工夫した。水を入れたペットボトルで、円柱の構造物を再現。2本の円柱の距離を変えることで、津波の威力がどれぐらい低減するかを調べている。
津波により流された物の距離で、威力を数値にすることを考えている。「可視化して、グラフを活用して(最適値を)求めていきたい」と意気込む。実験は毎日、昼休みや放課後に学校内の一室で行っている。
これらで得た知見を基に、南紀熊野ジオパークセンターの津波発生装置を借りて実験を行い、大学などの関係機関にコンピューターシミュレーションを行ってもらう構想もある。「津波という地域課題の解決につながり、将来は円柱の防波堤が建つようになればうれしい。今回の研究は絶対やり遂げたい」と力を込める。
他にも、円柱の防波堤に加え、さらに沖合に円すいの防波堤を配置し、津波の威力のみならず、向きまでも変えることができないかとの発想もあるという。
(2022年6月3日付紙面より)
井田海岸でウミガメパトロール開始 (紀宝町 )
アカウミガメの産卵期を迎え、紀宝町ウミガメ保護監視員(萩野進也代表)は1日、同町の井田海岸でパトロールを開始した。萩野代表と木村一樹さん、西昌志さん、前地敏久さん、杉浦利也さん、前地正喜さんが7月末まで交代で海岸を歩き、上陸、産卵するアカウミガメを見守る。
初日は上陸がないか確かめ、毎年続けている清掃活動と海岸の定点測量も行った。今年も産卵した1匹分の卵を井田小学校のふ化場に移す。萩野代表は「3年間上陸、産卵がなかったが、いつ上陸してもいいように海岸の環境整備を続けている。毎年、最初の1匹を見るとほっとする。今年は1匹でも上陸、産卵してほしい」と話していた。
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■パトロールボランティア募集
同町企画調整課は、ウミガメ保護監視員と一緒にパトロールするボランティアを募っている。7月末まで毎週土曜日午後8時から実施し、1回だけの参加も可能。中学生以下は保護者同伴。
申し込みは同課(電話0735・33・0334)まで。受け付けは平日の午前8時30分から午後5時まで。新型コロナウイルス対策としてマスク着用、検温に協力を呼びかけている。感染状況により、中止となる場合もある。
(2022年6月3日付紙面より)