「文化財防火デー」(1月26日)を前に、田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で23日、防火訓練が実施された。大社職員で組織する自衛消防隊や神職、田辺市消防署本宮分署、田辺市消防団本宮支団本宮分団・請川分団から約40人が参加し、放水訓練などを通じて防火意識と文化財愛護意識の高揚を図った。
文化財防火デーは、1949(昭和24)年に奈良県の法隆寺金堂で発生した火災で壁画が焼損したことを契機に制定された日。貴重な文化財を火災や震災、その他の災害から守るため、全国で防火運動が展開される。
熊野本宮大社は、第一殿・第二殿(西御前・中御前)、第三殿(証誠殿)、第四殿(若一王子)が国指定重要文化財に指定されており、宝物殿には国・県指定の有形文化財である絵画や工芸品が収蔵されている。
今年の訓練は、宝物殿奥の山林から出火し、境内を巡回中の神職が火事を発見したという想定で実施。小雨が降る中、参加者らは初期消火や119番通報、文化財の搬出などを行い、最後に延焼予防のため檜皮(ひわだ)ぶきの社殿に向けて一斉に放水した。
田辺市消防署本宮分署による立ち入り検査や、瑞鳳殿の店舗職員も参加した自動体外式除細動器(AED)・消火器訓練もあり、地域も一体となって取り組んだ。
訓練後、井戸清明・田辺消防署本宮分署長は「迅速に消火活動が行われていた。地域の方々の協力もあって防火が守られており、大変ありがたい」と講評。
九鬼宮司は「日本の47都道府県には、それぞれの地域の神社仏閣、文化財が遺(のこ)されている。郷土の宝であるこれらの文化財や熊野権現造りの社殿を後世に受け継いでいくことがわれわれの責務。これからより一層寒い時期となるが、職員一同火に気をつけ、文化財愛護の精神を広めていきたい」と誓いを新たにした。
(2023年1月25日付紙面より)
災害対策本部各部が報告 (新宮市 )
新宮市役所別館で23日、令和4年度災害対策本部報告会があった。本部長の田岡実千年市長や副本部長の向井雅男副市長に災害対策本部員や防災対策課職員、災対各部班長らが取り組みを報告。情報や現状を共有した。
近い将来、発生が予想されている南海トラフを震源とする大震災。新宮市では、同大震災などの大災害に対応するため、対応マニュアルの作成や修正、実践的な訓練を各部で行い、防災力を高め不測の事態に備えている。
報告会は、2016年の熊本地震を契機に「災対本部各部の具体的行動計画の作成」や「行動計画に基づく災対本部各部における実効性のある訓練の実施」、「災害本部各部から本部長・副本部長への報告」を行い、大災害に対応した体制を整え、今後の防災施策に反映させることを目的に実施している。
新型コロナウイルス感染症の影響などで4年ぶりとなった開催に当たり、田岡市長は「災害から一人の犠牲者も出さないという信念で、職員一丸となって対応していく中で、それを実現するためには災害への備えや訓練が非常に重要となってくる。本日の指示に基づき、各部、各支部の災害対応に向けた取り組みを継続し、実施していただくとともに、職員一人一人が災害に対する主体的な取り組みを継続し、市民の信頼に応えるために努力を」とあいさつした。
災対▽総務部▽救助部▽技術部▽水道部▽医療救護部▽消防水防部▽熊野川支部▽三輪崎支部▽高田支部―が、マニュアルの作成・更新や行動計画の見直し、訓練の実施など、それぞれ取り組みを発表し、防災部局がコメントした。
報告後には竹田和之防災対策課長が、ブラインド方式を導入した訓練の実施や収集した情報の災対本部への報告、災害対応知識の向上に向けた取り組みなどを提言し「今後も全庁挙げて災害対応を」と呼びかけた。
向井副市長は「課題の報告や防災部局からの指摘もあった。課題を踏まえて、さらに災害対応への取り組みを進めていただきたい」。
田岡市長は各部に対して総括を行い、さらなる防災意識向上に協力を求めた。
(2023年1月25日付紙面より)
ロケット打ち上げ体験会 (南紀串本観光協会 )
南紀串本観光協会(島野利之会長)が21日、串本町潮岬にある南紀熊野ジオパークセンターや望楼の芝でイベント「モデルロケット打ち上げ体験会」を開き、事前に申し込んだ小中学生14人に体験の機会を提供した。
和歌山ロケット応援団後援、おひさま基金活用協議会協賛。内容は▽ロケットワークショップ(WS)▽モデルロケット製作▽同ロケット打ち上げ―の3部構成で、WSはロケットガイドの神保圭志さんが担当し他地域と比較しながらのスペースポート紀伊やロケット「カイロス」の紹介、打ち上げる人工衛星がどのような利便をもたらすか、打ち上げの楽しみ方などで要点をかいつまんで解説した。
中盤以降は県宇宙教育研究会の太田昇事務局次長(串本中教諭)を講師に迎え、14人は個々にモデルロケットキット「アルファ3」を組み立て、望楼の芝で打ち上げに臨んだ。同所ではイベント「本州最南端の火祭り」実施中で、その会場アナウンスで紹介されたこともあり来場者も多数注目。全員が同伴の家族も見守る中で打ち上げを成功させて体験を終了した。
今回は同キットの予備分を使って島野会長や会場とした南紀熊野ジオパークセンターを代表して大江晃司さんもモデルロケットの一連の流れを体験し理解を得た。
(2023年1月25日付紙面より)
大塚製薬と包括連携協定 (新宮市 )
新宮市と大塚製薬㈱は23日、包括連携協定を締結した。今後、両者は市民の健康寿命の延伸や熱中症対策などの各分野において、市民サービスの向上と地域の活性化を推進する取り組みを展開していく。
同社では、47都道府県をはじめとする全国の自治体と健康に関する包括的な連携協定を締結し、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業で培ってきた健康情報やノウハウを生かした取り組みを実施している。
日々の健康維持増進や疾病管理、また、災害時の健康支援など、地域ごとに異なる課題に対してトータルヘルスケア企業として幅広く専門的な情報などを提供し、地域の人々と共に健康づくりを推進している。
なお、同市との協定締結は県内で7自治体目(和歌山県除く)となる。
新宮市役所で締結式が行われ、田岡実千年市長と同社ニュートラシューティカルズ事業部の吉田卓史・関西第一支社支店長が協定書にサイン。締結に当たり、田岡市長は「当市では、地域の皆さまが安心安全で心豊かに元気に暮らせるまちづくりに向けて、市民生活に密着した諸課題の解決に向けた取り組みを進めているが、大塚製薬さまのこれまでの取り組みによる知見や企業ネットワークをご活用させていただき、市民の皆さまの生活をより良いものにしていくため、協定を機に相互に連携・協力できることを心強く感じています」とあいさつ。
吉田支店長は「35年以上にわたって、お子さまからご高齢の方まで熱中症対策として水分補給の大切さを訴える活動をしてきた。そういった強みの他にも、市民の方々に健康情報を発信していければ」と思いを語った。
今後、両者は協力体制の下、市民を対象とした健康教室の開催などの「健康づくり」、啓発や講習会などを通した「熱中症対策」、物資提供などの「災害対策」、スポーツ教室や既存スポーツイベントへの協力などを含めた「スポーツ振興」のほか、協定の目的達成に資する事業を展開していくという。
(2023年1月25日付紙面より)
第186回職場対抗ボウリング大会
県高校バドミントン新人大会 (新翔高校 )
戸別受信機希望者169人 (新宮市 )
防災行政無線戸別受信機の配布を進めている新宮市は17日、戸別受信機無償貸与者を決定する抽選を市役所で行った。田岡実千年市長がパソコン上で抽選のボタンを押し、本年度の貸与者を決定した。
近年、激甚化・頻発化している大規模災害に対して、防災情報を速やかに取得してもらうことを目的に実施。防災行政無線放送の「聞こえない」を少しでも解消するため、本年度は「防災行政無線システム改修事業」として約4742万円が計上。うち、約700万円が戸別受信機無償貸与に充てられる見込みとなっている。
このたびの無償貸与の対象者は▽身体障害者手帳(1級・2級)の交付を受けている者▽療育手帳(A判定)の交付を受けている者▽精神障害者保健福祉手帳(1級)の交付を受けている者および自立支援医療費の支給認定を受けている者▽介護保険要介護3以上または要介護2で認知症がある者▽指定難病やその他、常時特別な医療などを必要とする在宅療養者―で1058人(2022年12月7日現在)。昨年末から1月13日にかけて貸与希望者を募り、169人から申し込みがあった。
本年度の貸与予定数100台を超える申請があったため、このたびの抽選に至った。なお、本年度の抽選から外れた人は、優先的に来年度以降の抽選対象となる。希望台数に満たない場合は「固定電話がなく、かつ携帯電話を所有する人がいない世帯の世帯主」も条件に付し希望者を募っていくという。
田岡市長は「希望者が貸与予定数よりオーバーしてしまい、抽選となって申し訳ない。外れてしまった人に対しては、来年度に対応させていただけると思っている」と話している。なお、抽選の結果は近日中に郵送で通知。戸別受信機の設置は2~3月にかけて実施していくという。
□ □
■メール配信サービスなど利用を
市では、気象条件などによって防災行政無線放送の内容が聞き取りにくい場合のために、メールや電話、FAXの配信サービスや、放送内容をツイッターで同時配信するサービスなどを展開している。各種サービスについての問い合わせは市防災対策課(電話0735・23・3333、内線4203)まで。
(2023年1月19日付紙面より)
新宮支部が安全祈願祭など (県自動車整備振興会 )
和歌山県自動車整備振興会新宮支部は17日、新宮市五新の新宮自動車整備工業協同組合で「新年の集い」を開いた。会員ら約25人が出席。業界の振興・発展を願うとともに安全を祈願した。
同整備振興会は、自動車社会における整備事業の公共性と責務の重大性を認識し▽公平誠実な応接▽公正明朗な取引▽優秀なサービスの提供―などの信念と意識を持って、事業経営を行い顧客および社会に対する責任を果たすことを目的に1952年に設立。県内7協議会で2022年4月現在、会員数は944人となっている。
開式に当たり、久保正彦理事長が、1月からスタートした電子車検証、24年10月から開始する自動車の電子的な検査(OBD検査)、今年10月からのインボイス制度などに言及し「整備業界も大きく変化し、ペーパーレス化やデジタル化が一層推進され、対応が求められている」とあいさつ。
「今年はうさぎ年。飛躍の1年であるよう、会員一丸となって躍進したい。業界が目まぐるしく変化するがお体に気を付けていただき、ご活躍を」と呼びかけた。
田岡実千年市長は「高い技術を持って地域住民が安全で快適に運転ができることにご貢献いただいている」と感謝。現在整備が進む紀伊半島一周高速道路の現状に触れ「早ければ令和10~12年ごろには実現いただけるのではと希望を持っている。車での長距離移動も増えると思う。引き続き技術を最大限に発揮していただければ」とあいさつした。
田原正士新宮警察署長は「飲酒運転の横行、高齢者の交通事故防止対策も重要課題。交通事故のない安全なまちづくりのため、皆さまとの連携をさらに強化していきたい」と協力を求めた。
交通講話では、嶝口知宏交通課長が管内の交通情勢や、同署の取り組みなどを説明した。
閉会後、会員らは熊野速玉大社に移動し、1年の安全を祈願した。
(2023年1月19日付紙面より)
本格公演を生徒が鑑賞 (熊野川中学校 )
文化庁が行う事業として、本格的な「落語と紙切り」の公演が16日、新宮市立熊野川中学校(松本潤校長)であった。全校生徒25人が参加、プロによる演芸を楽しんだ。代表生徒6人による、紙切りの実践もあった。
文化庁の「文化芸術による子供育成推進事業」として実施した。公演に先立ち昨年の12月14日に、ワークショップ(事前学習会)を開催。生徒らは落語や紙切りについての予備知識を得た上で、公演に臨んだ。新宮市立熊野川小学校(山本佳人校長)の3年生から6年生の23人も観覧に訪れた。
公演ではまず、桂小南さんが、落語について説明。「話を聞いて想像し、頭に絵を描いて笑ってもらう」「1人で2人3人の役をやる」「手ぬぐいや扇子で物を表現する」などを語った。
林家二楽さんが、紙切りを披露した。軽妙な小話で場をつなぎながら紙を切り、作品を見せた。生徒のリクエストにも即興で対応。見事な出来栄えに、児童生徒の歓声が湧いた。
「紙切り大喜利」では、代表生徒6人がステージ上で、ワークショップの際に出されていた「山の物」の紙切りに挑戦した。「クマ」「サル」「キノコ」などを切って作り、称賛の拍手を浴びた。
桂さんと林家さん2人の紙工劇落語「牛ほめ」もあった。桂さんの落語に合わせ、その場面を林家さんが紙切りで作り、スクリーンで映し出した。会場では大きな笑い声が響いていた。
3年生の松本友惺(ゆうせい)さんは「本格的な落語は今まで見たことがなかった。落語を何年もやってきただけあって、面白かった。紙切りも本当にうまくてすごいと思った。良い経験になった」と述べた。
同事業は、日本の一流の文化芸術団体に、小中学校などで公演してもらうもの。子どもらが優れた舞台芸術を鑑賞する機会を得ることにより、発想力やコミュニケーション能力の育成、将来の芸術家の育成や芸術鑑賞能力の向上につなげることを目的としている。
(2023年1月19日付紙面より)
宇久井小でジビエ出前授業 (那智勝浦町 )
和歌山県は現在、県内323校の小中学校や特別支援学校の給食に、「わかやまジビエ」(シカ肉、イノシシ肉、ジビエソーセージ)を提供している。那智勝浦町立宇久井小学校では17日、給食提供に先立って県による出前授業があり、5年生23人が学習やレザークラフトに取り組んだ。
県畜産課の上田雅彦課長補佐は「ジビエは狩猟で手に入れた野生動物の肉を指すフランス語。昔の日本では猟師が食べるのに必要な分だけ捕っていたが、現代では野生動物による農作物の獣害が多く発生するようになった。和歌山県ではその対策で捕獲したシカやイノシシを食資源や観光に生かそうと取り組んでいる」と解説した。
レザークラフトにはレタメロディア(有田川町)の中井謙次朗さんが協力。那智勝浦町を含む県内各地で生産されたシカ革(一部イノシシ革)を使い、児童とリス、ハリネズミ、ネコなどのキーホルダーを手作りした。
中井さんは「革は猟師たちが命がけで捕獲した一頭一頭の動物の命を頂いてできている。以前は『いらないもの』として処分されていたが、僕たちがフランスのパリで展示会を開いた時には、『日本にしかないもの』と高く評価された。現在ごみになっているものも、視点を変えれば世界で通用するものになる。皆さんにはいろいろな文化や価値観に触れてほしい」と思いを伝えた。「革製品は長年使うと色が濃くなり、光沢が出てくる」と話すと、児童から「大切に育てる」と声が上がった。
同校では20日(金)に、シカ肉を使ったベニスンシチューが提供される。亀井めぐさんは「ジビエは駆除した動物の肉を安く売っていると思っていたが、高級なものもあると知ってイメージが変わった。キーホルダーは、ランドセルに着ける。給食が楽しみ」と話していた。
(2023年1月19日付紙面より)
新宮市・那智勝浦町で出初め式
新宮市と那智勝浦町で8日、消防出初め式が開催された。消防関係者らが出席し、防災力向上への誓いを新たにした。式典後には、新宮市では2019年以来4年ぶり、那智勝浦町では20年以来3年ぶりに一斉放水などが行われた。
□ □
新宮市では、同市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で3年ぶりに従来に近い規模で式典が開催された。消防関係者や来賓ら約350人が出席する中、中谷健兒・消防団長が開会宣言。功労者たちに賞状と記念品が贈呈された。式典後には4年ぶり(2020年は荒天のため中止)に同施設敷地内で分列行進と、熊野川河川敷で一斉放水が行われた。
田岡実千年市長は、社会環境の変化により、複雑多様化、大規模化の傾向を強めている自然災害と新型コロナウイルス感染状況に言及。「本市においても、社会環境の変化に即した消防力の充実強化、大規模災害や特殊災害に対応した消防体制の確立を図り、災害に強い、安心で快適な活力あるまちづくりを進めていきたい」と式辞。さらなる協力を呼びかけた。
榎本鉄也市議会議長は「今後も盤石なる消防体制を堅持し、職務遂行にご尽力を。市議会としても市民の安全・安心を願い、災害に強いまちづくりに向けより一層、消防・防災体制の充実を推進していく所存」と述べた。
表彰状・感謝状の授与、伝達に続き、岸本周平知事(杉本善和・東牟婁振興局健康福祉部長代読)、自民党の世耕弘成参院幹事長、田原正士・新宮警察署長が来賓のあいさつ。消防関係者の日頃の尽力に感謝を伝えた。
閉会に当たり、垣内一男消防長は「3年間のコロナ禍を経験し、改めて消防の任務が市民生活に直結し、役割の大きさや消防に対する期待を職員全員が再認識する機会になった」。
「どんな環境下であっても市民の皆さまの安心と安全のためにしっかりと態勢を整え、あらゆる状況にも立ち向かうべく常に準備し、創意工夫する中で勇気と英知をもって柔軟に対応していくことの大切さを痛感した。今年も市民に安心と安全を感じていただくといった目標達成のために、職員が一丸となって職務にまい進していきたい」と決意を新たにした。
昨年1年間の出動状況は火災12件、救急件数1702件、救助23件だった。
□ □
那智勝浦町消防出初め式が8日、那智勝浦町天満の体育文化会館などであった。通常規模の開催は3年ぶりで、式典のほか分列行進、一斉放水も実施。職員28人と団員131人が参加、町民の安全安心な暮らしの確立に向け、意識を新たにした。
コロナ禍に伴いおととしは中止、昨年は規模を縮小していた。分列行進と一斉放水は、同町築地の勝浦港「渡の島」の突堤に移動して実施。地域住民も多数、観覧に訪れた。
式典では、優良消防職団員の表彰などに続き、堀順一郎町長が式辞。表彰受賞者を祝福し、功績への感謝を伝えたほか、全国で増加傾向にある自然災害に言及。「被害を最小限に抑え、安心安全を守るためには、町民の防災意識の向上が必要。団員はそれぞれの地域で、町民の防災意識向上のための啓発に、引き続き取り組んでもらえるようお願いします」と呼びかけた。
湯川辰也消防長もあいさつ。「消防・防災センターを中核とし、本部と団が十二分に活用して、消防力を強化する必要がある」と強調した。来賓として、自民党の世耕弘成参院幹事長、荒尾典男・同町議会議長、酒井清崇・県東牟婁振興局長、谷洋一・県議会議員、田原正士・新宮警察署長(代読)が祝辞を述べた。
最後に、下地将仁団長が訓示。「自分たちの地域は自分たちで守るを理念に、町民の安全安心を目指し、誇りと自覚を持って、災害対応力の向上に努め、日夜訓練を重ねる所存。団員各位の努力精進に感謝を申し上げる」と力を込めた。
式典後は、渡の島に移動。各分団が分列行進し、消防車両や消防艇がこれに続いた。一斉放水では、合図とともに団員らがホースを伸ばし、海に向けて開始。放水が弧を描き、海上では消防艇も放水しながら進んだ。
(2023年1月11日付紙面より)
潮﨑本之宮神社「お的祭り」 (串本町 )
串本町串本にある潮﨑本之宮神社(山本貞夫宮司)で9日、お的祭りがあり弓頭2人は的に放った矢8本を全て的中させて年の初めに大きな弾みをつけた。
同神社総代会(吉村健三総代長)による成人の日を期日にした新春行事。新型コロナウイルスの情勢でおととしと昨年は行えなかったため、今年は3年ぶりの実施となる。
花形の弓頭は氏子の独身男性が務める慣習があり、今年は矢倉悠斗さん(17)と吉村大空(たく)さん(17)を人選。例年に無く期日の巡りが早いため、2人は高校クラブ活動との両立を図りつつ昨年12月21日から堀好之総代ら指導の下で稽古を積んできた。
当日はほぼ快晴の好天に恵まれ、弓頭2人は早朝に上浦海岸で潮垢離(しおごり)をして身を清めた後に吉村総代長(80)や矢拾いの人選を受けた井上月紫さん、中村泉水さん(ともに小学校3年)らと共に神前奉告に臨み、境内に設けた弓場へ参進しお弓式に臨んだ。
総代が直径約3・6㍍の的を弓場に据え、弓頭は吉村総代長の仕切りの下で約25㍍離れた場所から伝統の所作をこなして各4本を奉射。計8本全てが的中する幸先も良い結果となり、以降は総代や氏子が的を引きちぎり門先の魔よけとして分け合った。弓頭はさらに各2本を境内の外へ向けて放ち、吉村総代長からねぎらいを受けて式を締めくくった。
式と並行して同神社は厄払い祈祷(きとう)を執り行い、今年は14人が参列した。式と祈祷が終わった後は弓頭2人と祈祷参列者の代表が本殿前に据えたやぐらに上がり、総代会が準備した5斗分の餅をまいた。
弓頭2人が掲げた目標は的に放つ矢を全て的中させること。互いに無事達成できたことを喜び合い、そろってこの好調が氏子区域の平和、そして自身のこれからの進路選択にも良い結果をもたらしてくれることを今後に願った。吉村総代長は「無事にお的祭りを終えることができ、しかも百発百中で言うことのない結果」と喜び、この勢いが新型コロナウイルスを退け例年通りの秋祭りにも結び付くことを向こう1年に願った。
(2023年1月11日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で7日夜、和歌山県指定民俗文化財の「八咫烏(やたがらす)神事」が営まれた。厄よけの「白玉宝印(しらたまほういん)」を入手しようと、各地から多くの参列者が訪れた。
正月三が日の間、神門前に飾られた門松で「熊野牛王(ごおう)宝印」を調製し、たいまつの火と水ではらい清め祭神の魂を吹き込む宝印押し初めの神事。
今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、拝殿での参拝を30人に限定。拝殿前に設置されたテント前にはモニターが設けられ、神事の様子が中継された。
神事では照明を落とした暗闇の中、神職が「えーい」の掛け声とともに拝殿の柱へと宝印を押して奉納。九鬼宮司に続いて参拝者らが玉串をささげた。神事後には神職が白紙に押した宝印が参拝者らに授けられた。
九鬼宮司は、ウクライナ情勢や低迷する経済、収束のめどの立たない新型コロナウイルス感染状況などに触れ「今日は、それぞれいろいろな思いで熊野にお出ましいただいた。うさぎ年の今年は飛躍の年であり再チャレンジの年。昨年の一文字揮毫(きごう)では『力』という文字を納めさせていただいたが、地域力、そして皆さんの本来持っている底力を思い出していただき、総合力をもって日本、そして地域の活性化につながることを祈念したい」とあいさつした。
(2023年1月11日付紙面より)
熊野速玉大社で恵比寿祭 (新宮市 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)境内の熊野恵比寿(えびす)神社で10日、恵比寿祭(恵比寿神社例大祭)が執り行われた。熊手などを手にした参拝者らが見守る中、上野潤権宮司が祭司を務め新型コロナウイルス感染症の収束や商売繁盛などを祈願した。
例年では商売繁盛や家内安全などを願い、前日夜の宵宮から縁起物の福笹(ふくざさ)や熊手を買い求める多くの人々でにぎわいを見せる同大社の「十日えびす」。
新型コロナウイルス感染拡大の観点から、今年も昨年に引き続き規模を縮小し神事のみを斎行。えびす様の御利益にあやかろうと、地域住民や参拝者らが上野権宮司や上野宮司らに続いて玉串をささげた。
神事を終え、「熊野ゑびす講」の星谷千学会長の代理として参列した三栗章史さんは「本来なら縁起物を出して商売繁盛を祈願したいところだが、新型コロナウイルの影響で規模を縮小させていただいた。来年、状況が好転したら盛大にお祭りができるように態勢を整えて頑張っていきたい」とあいさつ。
上野宮司は、地元商店街の店主らが昭和30~40年代にえびす宮総本山の西宮神社から勧請した熊野恵比寿神社の歴史などについて説明し、参列者らの多幸や一年の開運を願った。
(2023年1月11日付紙面より)
新宮商工会議所「新春年賀会」
新宮市井の沢の新宮ユーアイホテルで5日、新宮商工会議所(関康之会頭)の新春年賀会が開催された。同会議所役員ら約50人が出席し、新春をことほいだ。
関会頭は冒頭のあいさつで「長かった新型コロナウイルスの影響から脱却する糸口がようやく見え始めたがコロナ前の状態にはまだまだ戻らず、加えて原材料費の高騰や大手チェーン店の出店、人口減少とそれに伴う人手不足、人材不足などにより地方経済を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いている」。
「商工会議所として、諸問題に積極的に取り組み、『経営改善普及事業』をはじめとして、事業者に寄り添った伴走型の経営支援を引き続き行っていく」と誓いを新たに。
また、紀伊半島一周高速道路の現状や今後の計画、新宮市の姉妹都市・名取市の名取老女が名取熊野三社を勧請(かんじょう)して今年で900年の節目を迎えることなどに言及。「当商工会議所は課題に前向きに取り組み、会員のための、また、地域のためになる商工会議所として、地域経済の発展に引き続き取り組んでいく所存。エンターテインメントの観点からも『熊野の魅力を再発掘』し、地域の活性化につなげてまいりたいと思っています」と力を込めた。
来賓として出席した田岡実千年市長は「入国制限の解禁によるインバウンドの本格的な回復に期待し、2025年の大阪・関西万博に焦点を合わせて取り組んでいきたい。また、引き続き令和5年度もサイクルツーリズムに力を入れ、Eバイク(電動アシスト自転車)の増車やサイクリストに向けた情報発信を実施していければ」などとあいさつ。
榎本鉄也市議会議長は「本市においても地域経済、とりわけ飲食業や観光業をはじめ、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあるが、社会情勢を踏まえ、活気にあふれた魅力あるまちづくりを目指して市当局と共に全力で取り組んでいく」と述べた。
同商工会議所の夏山晃一顧問が地域発展を祈願し乾杯の音頭。新年の門出を祝った。
(2023年1月8日付紙面より)
新春初笑い演芸会 (那智勝浦町 )
南紀くろしお商工会(森川起安会長)は5日、那智勝浦町の体育文化会館で新春の集い!「新春初笑い演芸会」を開催した。那智勝浦観光機構、町水産振興会、南紀勝浦温泉旅館組合が協力。「~笑う門には福来たる~思いっきり笑うと元気になれます」と題して落語家の林家染二さんが講演後に落語を披露し、60人が来場した会場は笑いに包まれた。
染二さんは1984年に二代目林家染二(現四代目染丸)さんに入門。翌85年に染吉として林家一門勉強会で初舞台。97年に「三代目・林家染二」を襲名した。上方落語会では、文化庁芸術祭優秀賞を2度受賞したほか、天満天神繁昌亭大賞など、多数の賞も受賞している。
また、日航名人会海外公演では19カ国30都市を巡演。2012年からは京都大学で、落語家では初となるゲスト講師を年に1回務めるほか、大学教育や各種社会問題をテーマとした講演などを幅広く活躍している。
森川会長が来月19日(日)に3年ぶりの開催が予定されている第26回商工祭「南の国の雪まつり」に触れ、「希望する声も多かった。コロナ禍だが、町や経済の活性のために開催したいと思う」。
演芸会については「楽しい演芸会になることを期待してほしい。今日は思い切り笑っていただければ」とあいさつした。
染二さんは卓越したトークとともに登場し「はなし家として38年目。小さい頃にこちらに来たことはあるが、仕事では初めて。気楽に笑っていただけたら」と笑いを誘った。
1部の講演では、入門時、自身の師匠と接する際に重要となる「快のアンテナ」について解説。気配り、目配り、気転が必要であるとし、「師匠が何を求めているのかを知らなくてはいけない。どうすれば人が喜ぶのかを学ぶことができる」と話した。
笑いについては、自己免疫力が高まり、調和につながると説明し、多くを学んだ笑福亭仁鶴さんとのエピソードや雑談する力の詳細を紹介した。
母親が赤ん坊をあやす際の声かけ「マザリーズ」を用いることや触れ合いと声をかけ合うこと、「そうだね」「ありがとう」「大丈夫」「ごめんね」「おつかれさま」の言葉などもで重要であると強調した。
2部では着物姿の染二さんが高座に上がり、落語「車屋」を披露。来場者は笑い声を上げ、大きな拍手を送った。
(2023年1月8日付紙面より)
雪フェスティバル、開幕 (飛雪の滝キャンプ場 )
紀宝町浅里の飛雪の滝キャンプ場で7日、「雪フェスティバル」が開かれた。スノーマシンで雪に覆われた芝生広場に子どもたちが集まり、普段体験できない雪だるま作りやそりなどの遊びを満喫した。8日も午前10時から午後4時まで開かれる。入場無料。
雪が積もらない紀宝町で雪遊びを楽しんでもらおうと、初めて開催。初日は5㌧の氷を用意し、スノーマシンで雪を降らせた。子どもたちは「冷たい」「シャリシャリしてる」と喜び、雪だるまと一緒に写真撮影するなど、楽しい時間を過ごした。
8日も芝生広場に雪を降らせる。正午から飛雪米を使用した「飛雪の滝オリジナルマイヤーレモンカレー」(先着100人)、豚汁(先着100人)、午後2時からぜんざいの振る舞いがある。小学生以下にはお菓子の詰め合わせ(先着100人)をプレゼントする。
午後1時からは点描体験教室、2時30分からアウトドアショップ「Orange」の山本マネージャー、兄弟お笑い芸人「すみたに」によるトークショー「冬キャンの楽しみ方について」も繰り広げる。
問い合わせは飛雪の滝キャンプ場(電話0735・21・1333)まで。
(2023年1月8日付紙面より)
「北山川の筏流し技術」
北山村教育委員会(泉清久教育長)はこのほど、「北山川の筏(いかだ)流し技術」を今年春ごろの認可に向け、日本林業遺産登録の申請をした。認可を受ければ和歌山県初の日本林業遺産となる。
1914年に創立した日本森林学会が行う林業遺産認定事業は、2013年に学会100周年を契機として、日本各地の林業の多様な発展の歴史を将来にわたり記憶・記録していくための試みとして発足した。
候補の推薦は学会員を通じて行われ、林業遺産選定委員会で審議の上、理事会の承認を得て選定となる。なお、22年12月現在では全国で48件が認定されている。
日本で唯一の飛び地の村である北山村の「筏流し」は、道路もトラックもない、古い時代から良質な木材が育まれる奥熊野の木材を筏師が組み乗り、北山川から熊野川を流し、河口まで搬出輸送していた林業文化。
現在は筏流しの技術と、筏を組む技術を継承するために観光に転用し、毎年5月から9月までの間「北山川観光筏下り」として世界中から約6500~7000人が体験に訪れる観光の目玉となっており、同村では筏師の後継育成にも力を注いでいる。
全国に同じような筏流しの歴史はあるが、技術と文化が今も残されており、かつ運航しているのは日本で同村のみとなっている。
このたびの申請は、日本の林業の歴史として、そして「木の国=紀の国」の語源となるほど、山の資源に恵まれた和歌山県の歴史が色濃く残された文化であり、北山川の険しい渓谷の数ある難所を越えてきた同村の歴史も受け継がれていることから、日本森林学会林業遺産地区推薦委員で大住克博・元鳥取大学教授が推薦した。
(2023年1月8日付紙面より)