大学の和歌山看護学部
東京医療保健大学和歌山看護学部の説明会が21日、県立新宮高校(東啓史校長)であった。看護系の進路に興味を持つ、1~3年生の15人が参加、担当者による学校紹介を聞いた。
上田優人特任教授が説明を担当した。上田特任教授は、最近の医療の傾向として「病院に長く入院するのが難しくなってきた。自宅療養などで、どういう看護の手を差し伸べるかを考える必要がある」と指摘した。
新たな看護の在り方として、産業看護を紹介。「企業が看護師や保健師を雇い、職員の健康管理を行うところが増えてきている。今年の卒業生でも、産業看護を目指すという人がすでにいる」と明かした。
和歌山看護学部はできたばかりであり、今年初めて100人の卒業生を出したことに言及。「うち55人が、日本赤十字和歌山医療センターに就職している。新高の先輩2人も日赤に。全員が就職しており、92人が県内で、8人が大阪で勤めている」と述べた。
看護師の働く場所として▽病院▽訪問看護▽高齢者施設▽行政▽企業―など、さまざまあることを説明。「看護師の就職は安定している。将来性があり、AI(人工知能)やロボットが代わって看護を行えるとは思えない」と話した。
学校の魅力として、同学部が日赤和歌山医療センターと連携していることを提示。「県内最高水準の医療施設であり、そこで8割方の研修ができる」と語った。▽看護師▽保健師▽養護教諭▽助産師―などの多くの資格や、学位も取得可能であることを伝えた。
最近の看護師には▽高い看護技術▽情報収集力▽判断力―が必要と強調。「このため4年間、じっくり勉強することが大事になってくる。教養分野と専門分野を教え、教養分野にも力を入れる」などと話した。
この他、学校が日赤和歌山医療センターから徒歩15分の距離にあることや、推薦や一般などの入試の種類についても解説した。
東京医療保健大学は、東京都に本部がある医療系の私立大学。和歌山看護学部は和歌山市にキャンパスがある。
(2022年6月23日付紙面より)
古座の御舟謡保存会「河内会」 (串本町 )
串本町古座の御舟謡(みふねうた)保存会「河内(こうち)会」(片山潔会長)がこのほど、古座漁村センターを宿にして2年4カ月ぶりに稽古を始めた。目的となる今年の河内神社例祭「河内祭」は規模縮小で御舟を出さないため奉仕の機会はないが、「練習の成果を9月の古座神社例祭や2月の古座・愛宕(あたご)神社例祭の奉納につなげたい」と意気込んで練習に励んでいる。
古座の御舟謡は「河内祭」の祭船・御舟を運行する時に船内で奏する近世由来の歌唱。「河内会」は全11曲のうち符号が分かっている8曲を継承し、宵宮から本祭にわたる歌唱に耐える喉をつくるため6月中旬からほぼ連夜1カ月にわたる稽古を平年の定例としている。
新型コロナウイルスの情勢でおととし、昨年と「河内祭」が神事のみとなり、古座神社や古座・愛宕神社の例祭も同様の判断をして奉納の機会が得られなかったため、準備の稽古も休止。今年は古座の獅子舞を継承する古座青年会の技術継承を目的とした練習再開の意欲に刺激を受け、さらにおととし2月の第14回和歌山県民俗芸能祭出演に向けた臨時稽古から会員として加わった谷口海心君と森口海晴君(ともに古座小6年)からの期待もあり稽古再開に踏み切ったという。
稽古始めは13日。感染症予防のため宿を勇進会館より広い同センターとし、連夜ではなく週1回、毎週月曜日の午後3時30分から1時間程度行うかたちで7月18日(月・祝)まで活動する計画で臨んでいる。今月20日は谷口君と森口君も参加し、計6人で曲「出し」「入舟のはうた」を練習。7月からはさらに曲「こうてい」を加えた3曲を練習し、このかたちが古座神社や古座・愛宕神社における奉納と合致することや谷口君と森口君に何とか奉納の経験を託したいという思いが前述した意気込みに結びついている。
稽古の再開について片山会長は技術継承と会員の絆保持の2点を目的として見据え、「今後に御舟謡を伝えていくための足掛かりをつけたい」と練習に込める思いを語った。
(2022年6月23日付紙面より)
生徒考案、学食で販売 (新翔高校 )
新宮市佐野の県立新翔高校(藤田勝範校長)の食堂で21日、生徒が考案した「マグロカツサンド」の販売があった。初日は18食限定(1個150円)で販売。ランチタイム開始とともに多くの生徒らが食堂に押しかけ、販売開始から数分で売り切れるほど好評を博した。
3年生の選択科目「観光一般」の授業の一環として12人の生徒らが考案した。同授業では、北山村のじゃばらの収穫作業の手伝いや熊野古道の道普請などを通した地域学習を展開。本年度からは地域を自分たちで積極的にPRしていくことを目指し、より実践的な授業を展開している。
「マグロカツサンド」は、地域の良いところを広めていくために「地域には何があるか」「資源をどう活用するか」などについて意見を出し合って考案。2回の試作を経て反省点を話し合い、このたびの販売にこぎ着けた。生徒らは各種SNS(交流サイト)を駆使して商品をPR。販売開始に向けて機運上昇に努めた。
食堂での調理・販売は生徒らのレシピを基に食堂事業者が実施。カツサンドに使用するマグロは、那智勝浦町の木下水産物㈱が安価で提供した。
レシピ考案に携わった丸亀亜久里君は「初めての取り組みなので材料の量や何を入れたらいいかなど難しかった。試作品を試食したらソースとマグロのバランスが悪くてソースの量を調節するなど完成形に近づけていった」と苦労を口にしながらも「食堂の人にも協力してもらい楽しく考えることができた。今後、地域や他県の人にも味わってもらう機会が持てれば。新翔観光一般=(イコール)マグロカツサンドのイメージができればいいなと思います」。
商品の出来に関して「100点満点です」と笑顔で話した。
同授業において、地域に根差した学校づくりの実践を目指す奥田健太教諭は「最初は手探りだったが生徒たちが積極的に意見を出してくれた。取り組みを継続し、校外の人にも販売したり販売の交渉を行えるようになれば。最終的には県外にもPRしたい」と話していた。
購入した生徒らは「おいしい」「マグロの風味を感じる」などと舌鼓。マグロカツサンドは23日まで生徒に向けて食堂で販売。アンケート調査などを重ねて改良を重ねていくという。
(2022年6月23日付紙面より)
民児協が6月定例会 (紀宝町 )
紀宝町民生委員児童委員協議会(濵口啓会長)の6月定例会が21日、町福祉センターであった。委員約30人が参加し、熊野市の民生委員、井奥つな子さんから手話を学んだ。
手指の運動をした後、日本語の五十音を指の形で表現する「指文字」を練習。井奥さんは「それぞれの指文字には特徴があり、名前を紹介する際に使います」と話し、「あ」はアルファベットの「a」、「き」は影絵の「きつね」の形、「こ」はカタカナの「コ」の形など、指文字の多くはアルファベットのローマ字読みやカタカナなどに似た形を手と指の形で表現すると説明した。
手話は、両手で食べる仕草をする「スイカ」、人差し指と中指を立て胸の前で1回まわす「トマト」をはじめ、ネコ、ユリの花、パンダ、イカ、タコなどを紹介した。
民生委員が自宅訪問した際を想定して、参加者は手話でのあいさつや会話を学び、「紀宝町」「民生委員」の表現も練習した。井奥さんは「後ろから声をかけるのではなく、目の前でかけてほしい。訪問時には名札を見せてから自己紹介してください」と呼びかけた。
最後は、全員で童謡「ふるさと」の歌詞を手話で表現した。
(2022年6月23日付紙面より)
ガールズ&キッズフェスティバル (和歌山県サッカー協会 )
県学童女子選手権大会
市野々小が現場体験学習 (那智勝浦町 )
国土交通省近畿地方整備局紀伊山系砂防事務所は20日、那智勝浦町の「那智川本川上流帯工(左岸)他工事」の現場に同町立市野々小学校(中西健校長)の児童を招き、砂防工事についての現場体験学習を実施した。全校児童29人がミニショベルカーの操作や砂防えん堤への石積みを体験し、土砂災害からまちを守る仕事に触れた。
紀伊半島大水害(2011年)において土石流などで大きな被害を受けた那智川流域では、現在までに8支川に15基の砂防えん堤の建設が完了。那智川本川上流帯工(左岸)他工事は井筒建設株式会社が施工し、発生した土石流の流れを緩和して堆積させる遊砂地の造成などを行っている。
学習には同事務所那智勝浦監督官詰所・建設専門官の追鳥裕樹さんや井筒建設の瀬古幸信さんらが協力。追鳥さんは現在進んでいる砂防工事の意義を解説し、「砂防施設は造って終わりではなく、たまった土砂をショベルカーなどで運び出す作業が必要。今日は、皆さんにその工事をしてもらいます」と説明。児童は重さ1㌧弱のミニショベルカーに乗り込み、プールに浮かぶゴムボールを土砂に見立てて運び出していった。
3~6年生の体験では、県内有数の観光地である那智川流域の景観を保全するため、砂防えん堤などに職人が一つ一つ手作業で石積みを施していることを説明。井筒建設の職員が製作した模型に石を貼り付け、その構造を学んだ。
大谷英吉君(1年)は「ショベルカーを動かしてボールがいっぱい取れたのが楽しかった。またやりたい」。米川愛琉(あいる)さん(4年)は「ショベルカーが動いているのを見たことはあるけれど、動かしたのは初めて。楽しかった」と話していた。
(2022年6月21日付紙面より)
太地小4年が福祉学習
太地町立太地小学校(海野文宏校長)で16日、福祉学習があった。4年生20人が美熊野福祉会事務局長の橋上慶一さんと同福祉会利用者で全盲の溝本和彦さんから視覚障害を持つ人の見え方や生活などについて教わった。
同校は町社会福祉協議会(岡本研会長)によって「福祉教育推進校」に指定にされている。学習は、児童がさまざまな人の立場や人生を体験することで、自分たちに何ができるのかを考えて福祉への学びを深めることを目的に行われている。この日は同協議会や民生委員、地域包括支援センターなどの職員も来校した。
冒頭で岡本会長は「これから皆さんが、どのように成長してくれるかと思い企画しています。今日、学んでもらうことを忘れず今後に生かしてもらいたいと思います」とあいさつした。
橋上さんと溝本さんは子どもたちを前に「見えない人のことを知ろう」をテーマに講話。視覚障害の症状には▽全く見えない▽物が半分しか見えない▽望遠鏡を通しているようにしか見えない―など、人によって違いがあると説明。生活の中でさまざまな状況を把握しているとし「私たちと同じように毎日を安心して暮らし、いろんな場所に行って楽しんだりする権利があります。みんなが思いやりの心を持って、お互いに助け合うことを忘れてはいけません」と述べた。
橋上さんは溝本さんの日常生活を交えながら白杖や盲導犬、点字ブロック、音響信号機、ガイドヘルパーの重要性を語った。その後、児童は溝本さんの手を引いて声をかけながら4年生の教室や階段の上り下りの誘導を実践。アイマスクを着用し全盲の体験や点字学習にも取り組んだ。
授業を終え、筋師令那(すじし・れな)さんは「アイマスクを着けて目が見えない体験をして怖かったけど、少しでも気持ちが知れてよかった。これから困っている人を見かけたら進んで手伝いができるようになりたいと思った」。
海野校長は「幼い頃から福祉を学習することによって障害を持った方が、どのような生活や困り事、上手な活動しているかを知る貴重な経験になると思います。授業を通じて困っている人に自然とサポートができる思いやりのある大人に成長していってもらえれば」と話していた。
(2022年6月21日付紙面より)
潮岬分団第3部器具置場開所 (串本町消防団 )
串本町潮岬、望楼の芝西端の道向かいで17日、串本町消防団潮岬分団(稲田賢団長、芝山克分団長)の第3部器具置場の開所式があった。
住民の高台移転に伴い世帯数が急増傾向にある同分団管内。同分団はとりわけ新築住宅が増えている芝古地地区の消防力強化を目的として第3部の新設(増設)へと動き出し、団本部経由でその思いを知った町も潮岬地区財産区所有地の無償貸与を受けて器具置場を新設し可搬式小型動力ポンプ軽積載車を配備。互いに出動可能な状況を整えて、この日の開所式へとこぎ着けた。
同分団からは芝山分団長以下6人が代表出席。田嶋勝正町長は「この施設で防災力も高まると思う。潮岬分団の皆さん方におかれては、地域の皆さん方の安全安心のため尽力いただくことを心からお願いしたい」と述べて器具置場と車両の鍵を託し、芝山分団長は「潮岬区民、並びに広めては串本町民の生命と財産を守るため大切に活用していきたい」と応えて預かった。
来賓の町議会・鈴木幸夫議長と潮岬地区・西敏幸代表区長が見届け、立ち会った稲田団長は「芝山分団長を中心に、潮岬の区民方が安心して暮らせるよう警戒に当たってほしい」と述べて団員を鼓舞し、併せて土地を提供している同財産区への感謝も掲げた。
器具置場は木造平屋で延べ床面積は24・8平方㍍。配置する器具などの屋外整備を想定し前面に5㍍せり出すコンクリート舗装が付帯するが、詰め所となる待機室はなく形状としては倉庫となっている。
(2022年6月21日付紙面より)
丹鶴幼で火災避難訓練 (新宮市 )
新宮市立丹鶴幼稚園(尾﨑卓子園長、園児39人)で17日、火災避難訓練が行われた。園児らは避難経路をたどり防災への意識を高めた。
同園では定期的に火災や地震、不審者などの各訓練を実施し、日頃から防災・防犯意識を高めている。
この日は、職員室から火災が発生したと想定。午前10時30分ごろに放送が流れると、子どもたちは教職員の指示に従って避難を開始し、手を口と鼻に当て、落ち着いて近隣にある市保健センター隣の花壇・タウンガーデンへと逃げた。
尾﨑園長は「今日は皆さん、上手に逃げることができました」と講評。「絶対に火事が起きないということはなく、おうちでも発生することもあるかもしれません。その時は訓練したことを忘れず、安全に避難しましょうね」と呼びかけていた。
(2022年6月21日付紙面より)
王子ヶ浜にアカウミガメ上陸 (新宮市 )
新宮市の王子ヶ浜で14日早朝、アカウミガメの今期初産卵が確認された。午前5時前、ウミガメの保護活動を展開する「紀伊半島の海亀を守る会」の榎本晴光会長が卵を発見した。
同浜は絶滅危惧種・アカウミガメが訪れる世界でも数少ない海岸の一つ。同会は、波浪流失や小動物の捕食被害からアカウミガメの卵を守るための保護活動を行っている。
アカウミガメの上陸・産卵シーズンは5月中旬から8月半ばごろまで。1回の産卵で平均110~120個の卵を産み、60~80日でふ化する。卵は海岸に隣接するふ化場に移し、ふ化した子ガメは秋ごろに同会や関係者らの手によって海に戻される。
なお、昨年は例年より早めとなった5月20日に初上陸および初産卵を確認。以降、再度上陸が確認されたが産卵はなかった。初産卵で98個の卵を発見。うち、ふ化した14匹を放流した。
5月から同浜での早朝ウミガメパトロールを開始した榎本会長。この日は同浜の南端、御手洗海岸寄りの波打ち際から約60㍍付近での産卵を確認。60㌢ほどの深さの穴から、ピンポン球大の卵127個が見つかった。
風雨が吹き付ける中、一つ一つ丁寧に卵を採取した榎本会長は「今シーズンの初産卵にほっとした。シーズンはまだ続くので今後の上陸と産卵に期待したい」と話していた。
(2022年6月15日付紙面より)
串本・新宮駅で災害パネル展 (新宮警察署 )
新宮警察署は、JR串本駅と新宮駅で災害パネル展を実施している。
出水期(梅雨)を迎えるに当たり、住民の防災意識の向上を図るとともに、災害現場などでの活動に理解を深めてもらおうと実施。2011年3月に発生した東日本大震災、同年9月の紀伊半島大水害などの被災状況や、警察による災害現場での活動状況などを記録した写真、両駅合わせて約20点を展示している。
11年前の水害発生当時、勝浦幹部交番で勤務していた同署の谷英人警備課長。変わり果てた自身の生まれ故郷を目の当たりにし、その凄惨(せいさん)な状況が目に焼き付いているという。
「ここ数年でゲリラ豪雨による水害や土砂崩れ、洪水などの災害が増えており、いつどこで起こるか分からない。普段から避難場所や避難情報を確認し、有事に備えてほしい」とパネル展に託した思いを話した。
展示は両駅とも19日(日)まで。
(2022年6月15日付紙面より)
町道サンゴ台中央線が全通へ (串本町 )
串本町の田嶋勝正町長が14日、町道サンゴ台中央線の未供用区間が7月1日(金)付で開通することを明らかにした。
この区間は西の岡からサンゴ台団地南端を結ぶ延長約1242㍍の新道で、将来の町道化を見据えたすさみ串本道路の工事用道路として整備された。車道は幅3㍍強の対向2車線。沿線にくしもとこども園新園舎(建設中)や統合小新校舎(建設前、現行で串本小と橋杭小の統合校としている)の用地があり、その通学・通園路となる幅3・5㍍の自転車歩行者道(通称・自歩道)が伴う。
田嶋町長は今月14日に始まった町議会6月定例会における諸報告の中でこの区間の開通を明らかにした。2011年11月のくしもと町立病院開院以降、消防防災センターや東牟婁振興局串本建設部、串本海上保安署や現・新宮警察署官舎ならびに代替指揮所や福祉総合センター(社会福祉協議会串本事業所)、さらに喫緊で昨年7月に役場がサンゴ台地内へ移転。他方、同地内への車両出入り口は橋杭小そばとJR串本駅そば踏切の2カ所のままで、とりわけ踏切そばで深刻化している通勤時間帯の混雑の分散化を主たる理由として国土交通省とも調整しながら開通を急いできた。
町建設課によると、7月1日午前10時から未供用区間のサンゴ台側で式典と通り初めをし、以降バリケードを撤去し町道として供用を始める。以降当面は工事用車両も多く往来する点を踏まえて利用してほしいとしている。
この町道は国道42号沿いにあるコミュニティバス上浦停留所そばから橋杭小前を連絡する計画延長2815㍍の路線。新道の上浦側の一部(国道から西の岡まで)は学校給食センター運用のためすでに部分供用されていて、今後の開通により全線で供用開始となる。
(2022年6月15日付紙面より)
5年生が地震・津波学習 (勝浦小 )
那智勝浦町立勝浦小学校(山下真司校長)で13日、5年生44人を対象とした地震・津波に関する防災学習が開かれた。「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」主任研究員の河田慈人さんが来校し、近年の災害から得た知見を基に、「これからの那智勝浦の防災・減災」を演題に講話した。
兵庫県にある同センターは、阪神・淡路大震災(1995年)の教訓を後世に伝え、災害被害の軽減に貢献するために設立された防災ミュージアム。河田さんは防災教育や早期避難、地域防災を専門に研究し、和歌山県教育委員会防災教育推進委員も務める。
勝浦小学校の5年生は昨年度、土砂災害について総合的に学習し、防災冊子を作成。本年度はその学習を発展させ、30年以内に70~80%の確率で発生するといわれる南海トラフ巨大地震や津波への備えについて学ぶ。
河田さんは東日本大震災(2011年)や熊本地震(16年)、大阪府北部地震(18年)などによる被害を紹介。ハザードマップを過信することの危険性やいざというときに避難をすることの難しさを伝え、「おそらく皆さんが生きているうちに、南海トラフ巨大地震が起こる。子どものうちは自分の命を自分で守ることが第一だが、20年後には大人になって、大切な人を守る立場になる。避難所運営や防災の知識は、大人になっても絶対に役に立つ」と学習の大切さを訴えた。
講演後には、今後の総合学習について担任教職員らと協議。同校は、児童の興味関心も尊重しつつ、保護者や地域全体に学習の成果を発信できるよう取り組んでいくとしている。
(2022年6月15日付紙面より)
全日本小学生大会など東牟婁予選 (少女バレー )
県高校総体空手道競技で活躍 (近大新宮 )
消防が訓練して備え (那智勝浦町 )
那智勝浦町消防本部の同町消防署は8日、土砂災害の発生に備えた埋没者の救助訓練を、同町浜ノ宮のブルービーチ那智(那智海水浴場)で実施した。火災時の消火活動などを行う警防第一班の5人が参加。砂浜に埋めた人形を掘り出して救出し、手順を確かめた。
昨年度に続き2回目となる。同署は警防第一班から第三班まであり、交代で24時間365日、火災などの災害に備えている。埋没者救助訓練はこの日のほか、第二班が15日(水)、第三班が22日(水)に、同じ場所での実施を予定している。
この日は、要救助の埋没者として砂浜に人形を埋めて、訓練を開始。埋没者の四方に合板を立てて、打ち込むことで土留めとした。班員が中に入り、埋没者の体を傷つけないよう、小型のスコップで周囲を掘削。掘った砂はバケツに入れて他の班員に手渡し、合板の外へと出した。
掘り進めることで周囲の砂が崩れ、流れ込むのを防ぐため、合板をさらに打ち込みながら作業。埋没者の体が見え始めると、手掘りに切り替えてけがを防いだ。引っ張り出して救助した後は「もうちょっと外側を掘った方が良かったかも」「土留めの合板があまり遠いと圧がかからない」など、気付いた点を話し合っていた。
他にも、埋没者の左右に2人ずつ座り、大型のスコップを用いて、左右で同じ方向に掘り助け出す訓練も実施。手掘りも使って埋没者の上の砂を除き、途中で班員同士が位置を交代するなどもしながら、手順や注意点を確認していた。
畑下純副班長は「要救助者の呼吸を確保しながら掘り進め、迅速に救助できるようにしたい。訓練を通して、作業の流れを身に付けたい」と話した。
関谷善文署長は「台風や大雨時の災害を想定した訓練。重機が使用できない発災直後や、災害場所によっては重要な活動となる。訓練で技術を高め、災害に備えたい」と述べた。
(2022年6月10日付紙面より)
星野さんら絵本の朗読奉納 (補陀洛山寺 )
「引き波は、町からあらゆるものをうばっていく。海がまたたく間に町からうばったもので埋めつくされていった。『地獄だ』トミジは呻いた(原文ママ)」。震災体験絵本「トミジの海」の一文だ。現在、那智勝浦町の補陀洛山寺(髙木智英住職)で刺しゅう画「レジリエンス~千手観音菩薩~」の展示を実施している刺しゅう作家の星野真弓さん=東京都=と株式会社ベイエフエム=千葉県=の執行役員で東京支社長を務める小縣正幸さんが3日、同寺で絵本の朗読奉納を行った。絵本は2011年に発生した東日本大震災の大津波を乗り越えたワカメ漁師の実話を基に同社が作成したもの。星野さんは、震災を風化させないために各地で朗読を実施している。
絵本の登場人物であるトミジは、宮城県石巻市鮎川浜在住でワカメの養殖などを行う齋藤富嗣さんがモデル。小舟に乗った齋藤さんは、津波に遭遇するも生還した体験を持つ。震災後は各地で語り部としても活動しているという。
被災地支援で現地入りしていた小縣さんは、齋藤さんの話に衝撃を受け、今後に残すべき体験だと確信。同社で話を進め、ラジオ放送などでクラウドファンディングを呼びかけて資金を集め、制作に至った。また、絵は墨絵画家で絵本作家の本多豊國さんが無償で手がけている。
星野さんは震災後、作品の寄贈や刺しゅう教室を開くなど、長年にわたって東北地方の復興に尽力。自身が代表を務める一般社団法人三月のひまわりにおいて、福岡県や東京都などで絵本の朗読にも務めてきた。
奉納当日、星野さんと小縣さんが一文一文に思いを込めて朗読し、集まった地域住民は真剣な表情で聞き入っていた。
同寺の管理人である南善文さんは「当地域では南海トラフ地震がいつ起きるか分からない。各家庭でも日頃から心がけが必要になる。今回の絵本の朗読は本当にありがたい」と話した。
小縣さんは「この地域は南房総に似ていて、優しさを感じる。初朗読でしたが、ご本尊様を近くに感じながら、トミジの気持ちになってやり遂げることができた。もしも、地震が発生した際は早期の避難を行ってほしいです」。
星野さんは「この絵本は私がさまざまな活動を行うきっかけの一つとなり、全ての根幹につながっている。今後も朗読を継続して絵本を成長させながら、活動を全国に展開していきたい。そして、震災の記憶が風化しないように伝え続けていきます」と語った。
なお、絵本は書店での取り扱いはなく、同社のホームページにあるショッピングサイトから購入できる。
(2022年6月10日付紙面より)
錦江山無量寺で十七回忌法要 (串本町 )
串本町串本にある錦江山無量寺(東谷洞雲住職)で8日、歴代住職の一人・湊素堂老師の十七回忌法要が営まれ檀家(だんか)ら約70人が参列して供養し遺徳をしのぶなどした。
湊老師は1912年、徳島市生まれ。55年5月から61年11月まで同寺43代住職を務め、後に鎌倉・建長寺派管長、京都・建仁寺派管長を歴任し2006年に享年94で遷化(せんげ=高僧として亡くなること)した。
当代・東谷住職が檀家から伝え聞く湊老師の人柄は「厳しい中にも情あり、剛の中にも柔あり」で、とりわけ子どもを大切にして地域と接していたそう。他方、在寺中に檀家ら地域と力を合わせてゆかりの絵師・丸山応挙や長澤芦雪(ろせつ)の作風を伝える美術館「応挙芦雪館」を建設するなど、その人柄は今も多くの檀家らに親しく記憶されるとなっている。
その意をくんで東谷住職は、前芝雅嗣総代長ら総代会と共に、歴代住職の眞乗和尚百五十回忌、梅渓和尚百回忌も合わせて同法要を計画。湊老師の後進となる京都・建仁寺派の現管長・小堀泰巖老師を導師に迎え、護法婦人会による御詠歌を経て小堀導師や東谷住職ら僧12人が読経し参列一同で順次焼香、その後は境内にある湊老師を含む歴代住職の墓参をするなどした。
小堀老師は鎌倉・建長寺で湊老師に付き、以降亡くなるまで添った愛弟子の一人。自身から見た湊老師の厳しくも楽しく、物事を熟慮して先々を考える人柄を説き伝え、同法要について「感無量で勤めた」「私にとってありがたくうれしいこと」と話し無量寺の招きに感謝した。
この日は法要後も焼香台を本堂に据え随時参拝を受け入れ。法要に合わせて作成した湊老師の頂相(ちんぞう)を祭陣に掲げ、檀家が寄せた湊老師の小僧画複数も祭陣周りに飾り付けて披露した。
小堀老師は湊老師への寵愛を込めた漢詩を同寺へ託し、東谷住職は「私が今こうして立っていられるのは檀家をはじめ皆さまのおかげ。非力非才で恥ずかしい限りですが、これからも皆さまのために一生懸命お勤めをしていきたい」と一同に心中を明かして感謝した。
(2022年6月10日付紙面より)
交通安全教育の推進と交通事故防止に貢献した学校に贈られる本年度の「交通安全優良学校」に紀宝町立神内小学校(寺本真奈美校長、児童68人)が選ばれた。8日に伝達式があり、紀宝地区交通安全協会の出口康一会長が、子ども会の更谷なのは会長、役員の畠花菜さん、塚田新菜さんに賞状などを伝達した。
一般財団法人三重県交通安全協会、県知事、県警察本部長連名の表彰。紀宝地区交通安全協会が例年、交通安全大会の席上で優良運転者などとともに表彰しているが、本年度は新型コロナウイルスの影響で中止となり、出口会長が出向いた。
伝達式で更谷会長は「これからもみんなが交通ルールを守れるよう頑張ります」と誓った。
同校は毎年、年2回の交通安全教室を開いており、本年度は4月に1年生を対象に実施した。28日(火)には全校児童の教室を開く。
通学路では神内子ども見守りサポーター15人が毎朝、見守り活動を続けており、寺本校長は「子どもたちの安全な登校を見守っていただき感謝しています」と話していた。
(2022年6月10日付紙面より)
和歌山県道場少年剣道大会
近大新宮が準決勝進出 (県高校総体サッカー競技 )
県内行進、新宮市で最終日 (国民平和大行進 )
原水爆禁止和歌山県平和行進実行委員会は、核兵器廃絶を訴えながら被爆地広島・長崎を目指す「国民平和大行進2022」を実施している。5月6日に橋本市から始まった県内の日程は2日をもって終了。今後は三重県に引き継がれ、8月4日(木)に終結地の広島県の広島平和記念公園に到着する予定。
広島と長崎に原爆が投下されて77年目。2017年7月、国連総会で賛成122、反対1の大差で核兵器禁止条約が採択され昨年1月22日、50カ国を超える国々の参加で国際法となった。なお、唯一の被爆国である日本は参加も批准もしていない。
平和大行進は1958年6月、たった1人の行動から始まった。現在では全都道府県および8割以上の自治体を通過し、毎年10万人の人々が参加する国民的行動となった。
条約発効後2回目となった今年の平和行進。新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、昨年に引き続き従来通りの集会と行進を中止。核兵器のない平和な世界への願いを署名とペナントに託し、各自治体を宣伝カーでつないだ。
和歌山県最終日の2日、新宮市では、市役所駐車場で出発集会があった。紀南地区労働組合協議会の岸本芳明事務局長は、ロシアによるウクライナ侵攻、日本で米国の核兵器を配備して共同運用する「核共有」の議論を求める声が上がっていることなどに言及。「今やるべきことはウクライナからのロシア軍の撤退、国連憲章に基づく平和と核兵器の禁止・廃絶を求めていくこと。唯一の被爆国である日本が一日も早く核兵器禁止条約に署名し批准するように求めていきたい」とあいさつした。
田岡実千年市長は「ロシアによるウクライナ侵攻により国際社会の平和と安全が脅かされており、地球上には人類を絶滅させるほどの大量の核兵器が蓄積・配備されている。こうした状況の中にあって唯一の被爆国であるわが国の果たすべき役割は極めて重要」。
「平和行進にご参加の皆さんの行動を支持し、共に力を合わせて核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向かって前進したい」と激励した。
原水爆禁止和歌山県協議会の里崎正事務局長が諸報告を行い、和歌山市民生協の杉岡龍一さんが「2022原水爆禁止広島大会の成功を目指して共に頑張りましょう」と決意表明。参加者らは核のない世界恒久平和の実現に向けて行進を開始。三重県に宣伝カーをつないだ。
(2022年6月4日付紙面より)
神倉小4年生がふるさと学習 (新宮市 )
新宮市立神倉小学校(藪中秀樹校長)の4年生71人は5月31日、市内各所でふるさと学習のフィールドワークを実施した。児童は各クラス2班に分かれ、新宮城跡、浮島の森、神倉山、徐福公園へと赴き、地域の歴史や文化について学びを深めた。
学習は同校運営協議会(下岡輝子会長)による「ヤタガラス子ども未来プロジェクト」の一環。まちの歴史や文化を学び、愛着を持ってもらおうと、同協議会メンバーを中心に有志ボランティアの協力を得ながら取り組んでいる。4月18日には、下岡会長をはじめコーディネーター5人が来校し、事前授業が行われた。現地で学んだ内容や感想は後日、壁新聞などで発表する予定となっている。
児童らはガイドブックや取材用紙を手に同校を出発。各班にはコーディネーターなどのボランティアも同行した。1組の「おいの伝説班」17人は東くめ生家跡を訪れた後、「新宮藺沢(いのそ)浮島植物群落」(浮島の森)で学習。市観光ガイドの会の赤嶋恵子さんから浮島の森の成り立ちや同所で見られる動植物について教わった。
旧千穂小学校時代の図工クラブの児童たちが1986(昭和61)年度に卒業記念として制作した紙芝居「浮島の森」で伝説の復習もした。
赤嶋さんは「昔、この場所は海の中にあった」「寒い所と暖かい場所に生息する植物が混じり合うように生えています」などと説明。子どもたちは熱心にメモを取り、敷地内の珍しい植物や昆虫を観察して回った。
森岡源氏君は「『お正月』などの有名な歌が、新宮出身の東くめさんが作ったのが印象に残った。楽しかったです」。米良晄君は「昨年、新宮市に引っ越してきたので、勉強になった。世界遺産のある町で、これからもいろんなことを調べたい」と話していた。
(2022年6月4日付紙面より)
ジオ興しチームと橋杭小 (串本町 )
串本町域を枠組みにして地質資源活用の在り方を考える集まり「ジオ興しチーム」が2日、町立橋杭小学校(溝内聡子校長)の6年生12人と連携して橋杭岩保全活動に取り組んだ。
町産業課や町教育委員会教育課、同町商工会や南紀串本観光協会の各職員と町内で活動する南紀熊野ジオパークガイドで結成する同チーム。会議を開いて前述した在り方を模索する中で町域へさらに考える裾野を広げる必要があると気づき、その足掛かりとして町域でも特に象徴的なジオサイト「橋杭岩」を架け橋にして同校と連携することを考えた。
同パークの学びを通して地域への愛着を深め、その精神で保全活動に取り組んで考えるきっかけを託すという筋道をこの活動の狙いとし、連携の誘いを受けた同校は総合的な学習の時間の成果としてこの狙いを組み込み。その達成のための内容を準備してこの日の実動へとこぎ着けた。
当日は潮岬にある同パークセンターで合流し、同チームの上野一夫さん(同ガイド)をリーダーに立てて活動を始めた。序盤は上野さんが橋杭岩の成り立ちの背景にある大地や人の営みなどを解説して理解と愛着を深め、中盤は橋杭岩前へと移動し本来はそこにないはずの石類(コンクリートや陶器、ガラスなど)を判断して拾い集める保全活動に両者一丸で取り組んだ。昼食休憩を経て終盤は活動の振り返りをして締めくくったという。
中盤までの内容を経て橋杭小の中海琴さんは「このごつごつとした岩が地震とかで動いているという話が印象に残った。橋杭岩はすごいし日本一だと思うけど、何がいいのかもっと知りたいなと思った」と印象を語った。
今回の活動は橋杭小との連携を前提にして考えた内容で、同チームは学校だけでなく町内のいろいろな集まりと互いにできる内容で連携して町域全体に活用の考えを広めていきたいとしている。問い合わせは同チームの事務局がある町産業課(電話0735・62・0557)まで。
(2022年6月4日付紙面より)
細密鉛筆画家・篠田さん (熊野那智大社 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で2日、神奈川県出身で細密鉛筆画家の篠田教夫さんが手がけた「那智瀧図Ⅱ―夜―」「那智瀧図Ⅲ―霧―」2作品の奉納があった。篠田さんは那智勝浦ロータリークラブ(那智勝浦RC)の後誠介会長と共に同大社を訪れ、奉納参拝を行った。
篠田さんは鉛筆による細密描写、迫真表現で自然の造形の社寺などをテーマに作品を発表している作家で、「高野山・熊野を愛する百人の会」メンバー。2017年に那智勝浦RCの招きで、初めて同大社に「那智瀧図」を奉納しており、今回で3作目となった。
「那智瀧図Ⅱ―夜―」は4年前に、「那智瀧図Ⅲ―霧―」は昨年4月ごろに完成した作品。
昨年11月には那智勝浦RCの創立60周年記念事業で、「紀の国わかやま文化祭2021(第36回国民文化祭・わかやま2021、第21回全国障害者芸術・文化祭わかやま大会)」応援事業の一環として「細密鉛筆画家 篠田教夫展―神仏宿る細密画の世界 那智瀧図にはじまる―」を町内で開催している。
奉納を受け、男成宮司は「以前に奉納いただいた分も含め、素晴らしい作品。大社にとって滝は神様。精神的で、宗教的な印象も感じます」。
後会長は「本来なら昨年に奉納する予定だった。コロナ禍で半年、遅れることになり残念。しかし、このような形で篠田先生と熊野に関わりができ、深まっていただけてありがたい。次の作品も楽しみにしています」と話した。
現在4作目の作画に挑んでいるという篠田さんは「那智の滝は、風や水量の作用などで印象が変化する。さまざまな表現形態を考えた際、那智の滝一つだけでその全てが可能になる。追求する間に一生を終えてしまうほど。今後も表情の違う那智の滝を描いていきたい」と語った。
なお、篠田さんは11日(土)から25日(土)までの間、水墨画家の山口英紀さんと共に東京都の日本橋茅場町の「Gallery Suchi」で「篠田教夫・山口英紀 二人展」を開催する。
(2022年6月4日付紙面より)
健康週間、磨いて啓発 (くじらの博物館 )
国と日本歯科医師会が定めた「歯と口の健康週間」を間近に控えた1日、太地町立くじらの博物館(稲森大樹館長)は「クジラの歯磨き」の一般公開を始めた。10日(金)まで。クジラショー後に歯磨きを行って見せることで、歯と口の衛生の普及啓発を目指す。
歯磨きを行うのは、コビレゴンドウ、オキゴンドウ、ハナゴンドウの3種類。磨く様子を観客に見せながら、種類ごとの食性の違いや、歯の数、大きさが異なることを説明する。同週間に合わせて行う、同館の恒例行事となっている。
初日の1回目の一般公開では、太地町立太地こども園(森尾扶佐子園長)の5歳児16人が招待されていた。コロナ禍の影響でおととしのみ招待を中止していたが、例年は同様に招待している。
園児らは、クジラのショーに興じた後、歯磨きを見学した。クジラに関するスタッフの説明を聞きながら、口の中をのぞき込み、歯を磨く様子を観察した。代表園児が歯ブラシを持ち、クジラの歯を磨く一幕もあった。最後に同館から園児に、歯ブラシがプレゼントされた。
岡田李琉(りる)ちゃん(6)は「楽しかった。私も歯磨きは朝や晩にする。クジラの歯磨きを見て、私も歯磨きを頑張ろうと思った」と話した。
「クジラの歯磨き」は、午前10時30分、午後0時30分、午後2時30分からのクジラショー後に、10分程度を予定している。問い合わせは同館(電話0735・59・2400)まで。
(2022年6月2日付紙面より)
天満保育園で「花の日」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町天満の日本基督教団紀南教会の天満保育園(小宮一文園長)で5月31日、「花の日」の行事があり、園児たちが町役場や病院、日頃お世話になっている商店などへ花束と色紙を届けた。
花の日は1866年にアメリカの教会で始まった行事。子どもたちが季節の花を持ち寄り、地域の人々や福祉施設に届けたり、病気の人を見舞って励ましたりする。
礼拝を終えた園児たちは花を持って町内へ出発。町役場へは5歳児7人が訪れ、花束と「いつもありがとう」のメッセージが書かれた色紙を手渡した。園の給食に魚などを届ける北郡商店へは4歳児10人が訪れ、賛美歌「この花のように」も歌った。
花と色紙を受け取った役場職員は「町長室と福祉課窓口へ飾ります。コロナ禍で思いっきり遊べない日々が続いていると思いますが、元気な姿を見せてくれ、とてもうれしいです」と語る。
小宮園長は「『この花が生まれたように、あなたは決して神様から忘れられてなどいない』というメッセージを込めた行事です。人生には苦しい時期もありますが、誰かに慰めを届けたという経験は、苦しいとき、自分にもきっとどこからか慰めが来るという希望につながるのではないでしょうか」と話していた。
(2022年6月2日付紙面より)
大阪国税局ら迎えて宣言式 (和歌山東漁協 )
県内最大規模の組合員数を誇る和歌山東漁業協同組合(𠮷田俊久代表理事組合長)が5月31日、同組合串本本所で適正申告・キャッシュレス納付推進を宣言した。その象徴として津波避難デッキの階段に懸垂幕を掲出。𠮷田組合長は時代相応の納税利便として利用の裾野拡大に意気込んでいる。
キャッシュレス納付は▽ダイレクト納付▽振替納税▽インターネットバンキング等▽クレジットカード納付―といった税務署や金融機関に赴かず納税ができる仕組みの総称で、国税庁が時代に即した適正申告の先鋭手法として目下推進を目指すさなかにある。
同組合は2009年に消費税完納推進と併せてダイレクト納付の受け皿となっている仕組み「e―Tax」の普及定着を宣言。その進展としてキャッシュレス納付を捉え、いち早く推進を宣言することを決めたという。同組合の組合員数は現在約1700人。宣言がもたらす影響力の大きさは、各方面から注目されるところともなっている。
この日は同本所研修室を会場にして、新宮納税貯蓄組合連合会(森川起安会長)と両輪で宣言式を挙行。森川会長は「当連合会の運動趣旨に賛同して宣言をしていただけることは膨大な喜び。当連合会としては本日の貴重な宣言を背に、管内の納税者に対し適正申告・キャッシュレス納付推進を広く啓発していきたい」とあいさつし、𠮷田組合長は「地場産業を担う漁業者の代表である組合が率先して適正申告・キャッシュレス納付を実践し利用推進に取り組むことは、活力ある地域社会の実現に貢献すると考えている」など宣言し組合内で集めた73通の振替納税の依頼書とともに宣言文を新宮税務署の山端克明(やまばな・よしあき)署長へ託した。
来賓を代表して大阪国税局の馬場則行徴収部長、山端署長、紀南県税事務所の清水真己所長、串本町の田嶋勝正町長が祝辞を述べ、同町商工会の須賀節夫会長、近畿税理士会の瀧岡俊太・新宮支部長、同町税務課の島野和昭副課長も列席して今後を期待。以降主催2人、来賓代表4人と後見した新宮納税協会の横手章郎会長、新優会の小森正剛会長の計8人で懸垂幕を除幕し、宣言の象徴として掲げた。
(2022年6月2日付紙面より)
高田川などで太公望
熊野地方の熊野川流域で1日、アユ漁が解禁された。この日を待ちわびていた太公望が夜明けとともに釣り糸を垂らした。
熊野川漁業協同組合は4月に四村川350㌔、赤木川上流250㌔、同川下流200㌔、大塔川350㌔、三越川100㌔、本宮と敷屋で各50㌔の稚アユを放流した。組合は「今年の天然遡上(そじょう)は例年に比べていいようです」と話している。
新宮市の高田川を訪れた40代男性=同市三輪崎=は「ようやく、この日を迎えられて喜んでいます。1年が始まったような気持ち。午前5時半ごろから2時間半で15~16㌢のアユが約20匹釣れた。近年の新型コロナウイルスの影響で行動を制限せざるを得ない状況ですが、しっかり感染対策をして釣りを満喫できれば」と笑顔を見せていた。
(2022年6月2日付紙面より)